JP2015124375A - 非水系インク及びその製造方法、並びに顔料分散剤 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】顔料と、顔料分散剤と、非水系溶剤とを少なくとも含む非水系インクであって、前記顔料分散剤が、β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)と、アミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを構成成分として少なくとも含む共重合体からなる非水系インクである。さらに、前記共重合体は、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(C)を構成成分としてさらに含むことが好ましい。
【選択図】なし
Description
以上のことから、消費電力を抑えるには、低温環境でのインクを低粘度化することが考えられるが、そのための手段として、インクの低粘度化を図ることは極めて有効である。インク中の色材量、粉体量を減らせばインクの低粘度化を図ることが可能であるが、そうすると印字濃度が下がり画像品質が低下してしまうという問題がある。
しかし、特許文献2に記載されている非水溶性樹脂分散微粒子は、炭化水素系非極性溶剤中において、顔料に吸着する官能基(ウレタン基)が内側に、炭化水素系非極性溶剤と親和性の高いアルキル基が外側に向く形態で分散するため、非水溶性樹脂分散微粒子は顔料に吸着しにくく、少量では充分な顔料分散性が確保できない。このため、顔料に対しての非水溶性樹脂分散微粒子を予め多く処方する必要があり、そうするとインク粘度が高くなってしまうという問題がある。一方で、顔料分散性は炭化水素系非極性溶剤と顔料との親和性がよいことが必要であるが、親和性が高すぎると、炭化水素系非極性溶剤が記録媒体に浸透する際に顔料も記録媒体内部に引き込まれやすい傾向がある。その結果、印刷濃度が低くなり、裏抜けが発生しやすくなる。
(1)顔料と、顔料分散剤と、非水系溶剤とを少なくとも含む非水系インクであって、
前記顔料分散剤が、β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)と、アミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを構成成分として少なくとも含む共重合体からなる非水系インク。
β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)を構成成分として少なくとも含む重合体を合成し、次いで前記重合体とアミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを構成成分として少なくとも含む共重合体を合成し、顔料分散剤を調製する工程と、
前記顔料分散剤と、顔料と、非水系溶剤とを少なくとも混合分散する工程と、を含む非水系インクの製造方法。
本発明の非水系インクは、顔料と、顔料分散剤と、非水系溶剤とを少なくとも含む非水系インクであって、前記顔料分散剤が、β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)(以下、単に「モノマー(A)」と呼ぶ場合がある。)と、アミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを構成成分として少なくとも含む共重合体からなることを特徴としている。
本発明の非水系インクは、本出願人が提案した非水系顔料インク(特願2012−151614)の効果(省電力化、サテライト抑制及び印刷濃度の向上、低温適性と顔料分散安定性を確保、裏抜けを抑制)を維持しつつ、アミン臭の低減を図ったものである。
以下に本発明の非水系インクの各成分について詳述する。
本発明の非水系インクは何色であってもよく、したがって顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り、2種以上を組み合わせて使用することもできる。低粘度化の観点で言えば、非極性有機溶剤を使用することが好ましい。
非極性有機溶剤の含有量は、インク溶剤全質量に対して20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、さらには50質量%以上が好ましい。炭化水素系非極性溶剤の含有量が溶剤全量に対して20質量%以上であると、十分に低粘度化を図ることができる。
本発明において、顔料分散剤は、β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)と、アミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを構成成分として少なくとも含む共重合体からなる。β−ジカルボニル基と、アミノ基とを反応させて共重合体として用いることで、アミノ基を有する水溶性樹脂としての残存が抑えられ、アミン臭の抑制を図ることができる。その理由については後述する。
以下に、前記共重合体を構成する各構成成分について説明する。
β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)は、β−ジケトン基又はβ−ケト酸エステル基、β−ケトアミド類、シアノアセテート類を含むモノマーが挙げられる。本発明においては、当該モノマー(A)と、アミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを少なくとも用いて共重合体を得るのであるが、両者は、モノマー(A)のカルボニル基と、アミノ基を有する水溶性樹脂のアミノ基とが反応することで結合を形成すると考えられる。
このモノマー(A)を含んだ顔料分散剤は顔料への吸着性が高く、これによって顔料分散性が向上してインクの粘度が低くなり、低温適性を向上させることができる。さらに、低粘度で低温適性に優れるため、記録媒体に着弾する際のインクの静電的な凝集、定着にも寄与し、結果的に印刷濃度を向上させ、裏抜けの抑制を実現することができる。また、水溶性樹脂(B)は本来、非極性有機溶剤になじみがたいが、モノマー(A)と反応させることにより非極性有機溶剤になじみやすくなり、顔料との濡れ性(分散性)が向上する。
アミノ基を有する水溶性樹脂(B)は、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン等の塩基性高分子電解質またはそれらの誘導体を挙げることができ、特に、重量平均分子量が200〜2000のポリエチレンイミンを好適に使用することができる。
本発明に係る顔料分散剤たる共重合体は、構成成分として、さらに炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(C)を含むことが好ましい。アルキル(メタ)アクリレート(C)は、炭素数8〜18のアルキル基を含むことで前記非水系溶剤の炭化水素系非極性溶剤と相溶性が高く、これによって非水系溶剤に溶解した状態となり、その一方で、共重合体としたときにモノマー(A)のβ−ジカルボニル基によりインクの粘度を下げることができ、低温適性をより向上させることができる。また、粘度上昇が抑制されることで、インクが記録媒体に着弾する際のインクの静電的な凝集、定着にも寄与し、結果的に印刷濃度を向上させ、裏抜けの抑制を実現することができる。
アルキル(メタ)アクリレート(C)のガラス転移温度(Tg)は、常温以下であることが好ましく、さらには0℃以下であることがより好ましい。これにより、インクが記録媒体上で定着する際に、常温で成膜を促進させることができる。
また、アルキル(メタ)アクリレート(C)を用いる場合、モノマー(A)100質量部に対して、アルキル(メタ)アクリレート(C)を10〜400質量部であることが好ましく、50〜350質量部であることがより好ましく、90〜300質量部であることが一層好ましい
顔料分散剤のインク全量に対する含有量は、顔料の分散性を確保する観点から0.1質量%以上であることが好ましく、1質量%以上であることがより好ましい。一方、顔料分散剤の含有量が高すぎると、インクの粘度が高くなるばかりでなく、高温環境下での貯蔵安定性が悪くなる恐れがあるため、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましい。すなわち、インク全量に対する顔料分散剤の含有量は、1〜10質量%であることがより好ましく、2〜8質量%であることがさらに好ましい。
以上の本発明の非水系インクは、本発明の非水系インクの製造方法により製造することができる。すなわち、本発明の非水系インクの製造方法は、顔料と、顔料分散剤と、非水系溶剤とを少なくとも含む非水系インクの製造方法であって、β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)を構成成分として少なくとも含む重合体を合成し、次いで前記重合体とアミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを構成成分として少なくとも含む共重合体を合成し、顔料分散剤を調製する工程と、前記顔料分散剤と、顔料と、非水系溶剤とを少なくとも混合分散する工程と、を含むことを特徴としている。
例えば、分散時に、顔料と、β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)と、水溶性樹脂(B)とを配合すると、顔料に対する吸着能は水溶性樹脂(B)よりもモノマー(A)の方が大きいため、当該モノマー(A)が優先的に顔料に吸着し、未反応の水溶性樹脂(B)が多く残存すると考えられる。アミン臭の原因は当該未反応の水溶性樹脂と推察される。
一方、前記モノマー(A)と、水溶性樹脂(B)とを事前に反応(共重合)させると、前記モノマー(A)は水溶性樹脂(B)と効率良く反応するため、未反応の水溶性樹脂(B)の残存量は少ない。従って、この状態で顔料と混合分散してインクとした場合でも未反応の水溶性樹脂(B)の残存量は少なく、上記の場合と比較してアミン臭は低減されると推察される。なお、本発明においては、モノマー(A)ではなく、前記モノマー(A)を構成成分として少なくとも含む重合体として用いるのであるが、当該重合体の構成成分として前記モノマー(A)を含む以上は上記議論は成り立つ。
既述の通り、前記共重合体には、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(C)を構成成分としてさらに含むことが好ましい。なお、本工程において、使用する各成分の量は既述の本発明の非水系インクにおいて説明した通りである。
また、共重合の条件については、既述の本発明の非水系インクにおいて説明した通りであるので、ここでは具体的な反応条件について説明する。なお、好適な反応フローは以下の通りである。
(1)所定の容器内の非水系溶剤を50〜150℃に加温する。
(2)原料モノマー(モノマー(A)及び必要に応じてアルキル(メタ)アクリレート(C)等のモノマー)を1〜5時間かけて前記非水系溶剤に添加する。
(3)さらに、1〜5時間後、非水系溶剤で希釈する。
(4)さらに、1〜5時間後、水溶性樹脂(B)を添加し、1〜3時間撹拌する。
以上のようにすることで無色透明の共重合体が得られる。
なお、温度や時間等の条件は、モノマーや水溶性樹脂の種類、配合比等にあわせて適宜設定することができる。
本発明の顔料分散剤は、β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)と、アミノ基を有する水溶性樹脂(B)を構成成分として少なくとも含む共重合体からなることを特徴としている。
本発明の顔料分散剤は、既述の本発明の非水系インクの顔料分散剤に相当する。従って、各成分や製法の説明や好ましい例は本発明の顔料分散剤の説明としてそのまま妥当するため詳細な説明は省略する。
本発明の顔料分散剤は、非水系溶剤中において、顔料に対して優れた分散性を発揮することができる。また、アミン臭が抑えられる。
(樹脂1〜7の合成)
四つ口フラスコに、アイソパーG(ナフテン系溶剤;東燃ゼネラル石油(株)製)を仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながら表1に示す組成の各単量体混合物(水溶性樹脂(B)を除く)を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間後および2時間後に、アイソパーGで希釈し重合体を得た。次いで、表1に示す部数の水溶性樹脂(B)を混合し、3時間撹拌し、不揮発分50%の無色透明の樹脂(共重合体)1〜7を得た。得られた樹脂溶液の重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は8200〜12500であった。
表2に示す割合で、顔料(カーボンブラック、三菱化学(株)製MA8)、顔料分散剤として上記のようにして得られた樹脂1〜7 、ポリエチレンイミン((株)日本触媒製エポミンSP−012)、分散時溶剤としてアイソパーG(ナフテン系溶剤;東燃ゼネラル石油(株)製)を混合し、得られた調合液をビーズミルで充分に分散して顔料分散体を調製した。その後、粘度調整用溶剤としてアイソパーGを加えて希釈してから、希釈液を遠心機にかけた後、3μmのメンブレンフィルターで濾過してゴミおよび粗大粒子を取り除いて非水系インク(以下、単に「インク」と呼ぶ。)を得た。
得られた各非水系インクを用い、以下の評価を行った。
(1)臭気
50mlのガラス瓶に約20mlのインクを入れキャップで密封した。これを23℃1週間保存した後、キャップを開け、以下の評価基準に従い、臭気を官能評価した。
〜評価基準〜
○:不快な臭気が弱い
×:不快な臭気が強い
(2)印刷濃度
得られたインクをインクジェットプリンタ(オルフィスX9050、(理想科学工業(株)製)に装填し、印刷設定の用紙種類を普通紙、画像品質を標準(300x300dpi)として、普通紙(理想用紙薄口、理想科学工業(株)製)に印刷したベタ画像の表面と裏面の画像濃度(OD値)を光学濃度計(RD920、マクベス社製)を用いて測定した。また、印刷物の非印刷部分のOD値を同様に測定した。そして、ベタ画像部分の印刷濃度を以下の評価基準に従い評価した。さらに、ベタ画像部分の裏面の画像濃度(OD値)から印刷物の非印刷部分のOD値を差し引いた値ΔODを求め、以下の基準で評価した。裏抜けの評価では、裏面の画像濃度が低いほど、つまりΔODが小さいほど改善されたことを示す。
〜評価基準〜
印刷濃度(表OD)
○:1.05以上
△:1.04〜1.00
×:0.99以下
印刷濃度(裏ΔOD)
○:0.15以下
△:0.16〜0.20
×:0.21以上
これに対して、比較例1〜5においては、臭気及び印刷濃度のいずれかについて良好な評価結果が得られなかった。ポリエチレンイミンとモノマー(A)とを反応させず、それぞれ個別に添加した比較例1は臭気の評価において劣り、ポリエチレンイミンを添加しなかった比較例2は凝集し、インクとして使用できない状態であった。実施例1の非水系インクに対して、顔料分散剤としてさらにポリエチレンイミンを添加した比較例3は臭気の評価において劣っていた。また、顔料分散剤としてソルスパース28000のみを用いた比較例4は印刷濃度の評価において劣り、比較例4の非水系インクに対してさらにポリエチレンイミンを添加した比較例5は臭気の評価に劣っていた。
Claims (4)
- 顔料と、顔料分散剤と、非水系溶剤とを少なくとも含む非水系インクであって、
前記顔料分散剤が、β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)と、アミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを構成成分として少なくとも含む共重合体からなる非水系インク。 - 前記共重合体が、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(C)を構成成分としてさらに含む請求項1に記載の非水系インク。
- β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)と、かつアミノ基を有する水溶性樹脂(B)を構成成分として少なくとも含む共重合体からなる顔料分散剤。
- 顔料と、顔料分散剤と、非水系溶剤とを少なくとも含む非水系インクの製造方法であって、
β−ジカルボニル基を有するモノマー(A)を構成成分として少なくとも含む重合体を合成し、次いで前記重合体とアミノ基を有する水溶性樹脂(B)とを構成成分として少なくとも含む共重合体を合成し、顔料分散剤を調製する工程と、
前記顔料分散剤と、顔料と、非水系溶剤とを少なくとも混合分散する工程と、を含む非水系インクの製造方法。
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