JP2011012149A - インクジェット用非水系インクセット及びインクジェット記録方法 - Google Patents

インクジェット用非水系インクセット及びインクジェット記録方法 Download PDF

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Abstract

【課題】印刷画像を高濃度化するとともに、裏抜けを防止することができるインクジェット用非水系インクセットを提供する。
【解決手段】アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第1の非水系溶剤を含有する第1のインクと、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第2の非水系溶剤を含有する第2のインクとを備え、前記第1のインク及び前記第2のインクのうち少なくとも一方は色材を含有する、インクジェット用非水系インクセット。
【選択図】なし

Description

本発明は、インクジェット用非水系インクセット及びインクジェット記録方法に関する。
インクジェット記録システムは、流動性の高い液体インクを微細なノズルから噴射し、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行なう印刷システムである。このシステムは、比較的安価な装置で、高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能という特徴を有し、最近急速に普及している。
インクジェット記録システムとして、記録媒体の制約を受けずに高速でフルカラー印刷が行なえることがさらに要求される場合には、ラインヘッド方式インクジェット記録方法が適している。ラインヘッド方式インクジェット記録方法では、インクの普通紙等の記録媒体への浸透が速く、記録媒体上でのインクの乾燥が速く、さらに印刷画像の画像性(高濃度・高画質)が良好なインクが必要とされる。
溶剤からみると、インクは大きく、水系タイプインクと非水系タイプインクに分けられる。揮発性溶剤を主体とする溶剤系インクや不揮発性溶剤を主体とするオイル系インクのように、インク用溶媒として水を使用しない非水系インクは、機上安定性(間欠吐出性、長時間放置後の吐出回復性など)が良い、印刷用紙のカールがない、インクの浸透乾燥時間が短い、などの特徴を有し注目されている。
水系インクに比べ、非水系インクでは色材と溶剤の親和性が高いために、インクが普通紙等の記録媒体に付着した際、色材が普通紙の表面にとどまることなく、溶剤とともに普通紙内部に浸透してしまい、印刷物の印刷面(表面)におけるインク濃度が低下し、さらに非印刷面(裏面)に裏抜けするという問題がある。また、印刷ドットが滲むことで、画像性が低下することもある。
特許文献1では、黒インクと、黒インク中の第1成分を不溶化または凝集させる第2成分を含んだ黒以外のカラーインクを用いて、黒インクとカラーインクとを含む黒画像を形成し、黒画像の濃度を高めることが開示されている。特許文献1には、水系インクにおいてアニオン性のインクとカチオン性のインクを用いることで、被プリント材上で相互作用し、効果が得られることが提案されている。
特許文献2では、酸性下において増粘する樹脂として、水系インクにおいて、ウレタン系樹脂を含有するインクと、この樹脂を増粘させる酸とを用いて、インクを記録媒体に吐出する前または後に酸を記録媒体に供給することで、インクの滲みを防止し、インクの顔料の記録媒体からの剥がれを防止することが開示されている。
特許文献1及び2の提案は、いずれも水性インクにおける構成であり、非水系インクにおいて優れた効果を有する方法とはいえない。
一方、紫外線や電子線硬化型インク、または熱硬化型インクを用いて、インクを記録媒体上で硬化させて記録媒体の表面に留め、画像濃度の低下を防止する方法がある。しかし、この方法では、照射装置や加熱装置が必要になり、印刷装置が複雑で大型化し消費電力も増大することがある。
特許3320292号公報 特許3885398号公報
本発明の目的としては、印刷画像を高濃度化するとともに、裏抜けを防止することができるインクジェット用非水系インクセット及びインクジェット記録方法を提供することである。
本発明の一側面としては、アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第1の非水系溶剤を含有する第1のインクと、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第2の非水系溶剤を含有する第2のインクとを備え、前記第1のインク及び前記第2のインクのうち少なくとも一方は色材を含有する、インクジェット用非水系インクセットである。
本発明の他の側面としては、上記インクジェット用非水系インクを用いるインクジェット記録方法であって、記録媒体に前記第1のインク及び前記第2のインクのうちいずれか一方を吐出した後に、これに重ねて他方のインクを連続的に吐出する、インクジェット記録方法である。
本発明のインクジェット用非水系インクセット及びインクジェット記録方法によれば、印刷画像を高濃度化し、裏抜けを防止することができる。
以下、本発明に係る実施の形態について説明するが、本実施の形態における例示が本発明を限定することはない。
本発明のインクジェット用非水系インクセット(以下、単に「インクセット」と称することがある)は、アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第1の非水系溶剤を含有する第1のインクと、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第2の非水系溶剤を含有する第2のインクとを備え、第1のインク及第2のインクのうち少なくとも一方は色材を含有することを特徴とする。このようなインクセットによれば、印刷画像を高濃度化し、裏抜けを防止することができる。
本発明のインクセットによれば、記録媒体上に第1及び第2のインクのうち一方を塗布した後に、他方を塗布することで、記録媒体の表面やその近傍で、第1のインクの高分子化合物と第2のインクの高分子化合物とが接触して反応し、色材を凝集させ、インクを増粘させる。これによって、インクの記録媒体への浸透速度が調整され、記録媒体の表面やその近傍に色材が留まり、印刷画像を高濃度化するとともに裏抜けを防止することができる。また、記録媒体上でのインクの滲みを抑制することも可能であり、高精彩な印刷画像を得ることができる。
ここで、第1のインクにはアニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子が含有され、第2のインクには1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物が含有されることで、2つの高分子化合物が記録媒体上で接触すると、反応によってゲル化が発生し、ゲルネットワーク構造を形成すると考えられる。ゲル化によってインクが増粘することで、記録媒体への色材の浸透が抑制され、印刷画像の低下及び裏抜けを防止することができる。
また、第1及び/または第2のインクに色材として顔料が含まれる場合では、第1及び/または第2のインクの高分子化合物を顔料分散剤として使用することで、この2つの高分子化合物が記録媒体上で接触し反応すると、顔料の分散系が崩れ、顔料が凝集し記録媒体への浸透が抑制され、印刷画像の低下及び裏抜けを防止することができる。
第1のインクとしては、アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第1の非水系溶剤を含有する。
第1のインクの高分子化合物のうちアニオン性官能基を有する構成モノマーとしては、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、硝酸基、炭酸基、及びそれらの誘導体等のアニオン性官能基を有するモノマーが挙げられる。特に、カルボキシル基を有するモノマーであることが好ましく、一分子中にカルボキシル基を1つまたは複数有するモノマーであればよく、中でもアクリル酸及びメタクリル酸、さらにアクリル酸であることがより好ましい。その他、カルボキシル基を末端または側鎖に有するマクロモノマーを使用することができる。また、スルホ基を有するモノマーとしては、例えば、スチレンスルホン酸やビニルスルホン酸、2-アクリルアミド−2-メチルプロパンスルホン酸等を挙げることができる。また、リン酸基を有するモノマーとしては、例えば、モノ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、モノ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート、ジ(2−アクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート等を挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
アニオン性官能基を有する構成モノマーの官能基としては、後述する第2のインクの高分子化合物のうち1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーの官能基と反応し、ゲル化するものであることが好ましい。第1及び第2のインクの高分子化合物が記録媒体上で接触し、反応しゲル化することで、色材の記録媒体への浸透が抑制され、画像濃度の低下及び裏抜けを防止することができる。
また、アニオン性官能基を有する構成モノマーとしては、高分子化合物に導入しやすく、さらに、高分子化合物を顔料分散剤として使用することを考慮すると顔料表面に導入しやすいモノマーを使用することが好ましい。このような構成モノマーとしては、上記した中でも、カルボキシル基、スルホ基、及びリン酸基を特に好ましく使用することができる。
アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物のうち、アニオン性官能基を有する構成モノマーは0.5mol/kg以上3.0mol/kg以下含有されることが好ましく、さらに0.7mol/kg以上2.7mol/kg以下含有されることがより好ましく、1.0mol/kg以上2.5mol/kg以下含有されることが一層好ましい。0.5mol/kg以上であることで、インク画像の高濃度化及び裏抜け防止に効果があり、また、インクの顔料分散性をより良好にするとともに、インク粘度をより低粘度化することができる。一方、3.0mol/kg以下であることで、インクの分散安定性をさらに良好に維持することができる。
第1のインクの高分子化合物を構成するモノマーは、上記アニオン性官能基を有する構成モノマーの他に、アルキル(メタ)アクリレートモノマーを使用することができる。ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートを意味する。
アルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的には、ドデシル(メタ)アクリレート、ドコシル(メタ)アクリレート(ベヘニル(メタ)アクリレート)、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレートのような分岐鎖(メタ)アクリレートを挙げることができる。メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の比較的短鎖のアルキル(メタ)アクリレートを用いることも可能であるが、これらのモノマーは非極性溶剤中で重合する場合にポリマーが析出しやすく、かつ、臭気が強く皮膚刺激性も高いため、必要な場合に限って、必要最少量を使用することが望ましい。
また、アニオン性官能基を有する構成モノマー以外のモノマーとして、たとえば、グリシジル基等の顔料吸着能のある官能基を有するモノマーを使用することができる。これにより、高分子化合物を顔料分散剤として使用する場合に、高分子化合物への顔料の吸着性が向上し、顔料分散性をより向上させることができる。具体的には、グリシジル(メタ)アクリレート等が使用できる。
さらに、アニオン性官能基を有する構成モノマー以外のモノマーとして、例えば、2−(アセトアセトキシ)エチル(メタ)アクリレート(AAEM)、2−(アセトアセトキシ)プロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドエチルアセトキシアセテート、ヘキサジオン(メタ)アクリレート、アクリロイルモルホリン(ACMO)、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、α−オレフィン等が挙げられる。
これらのその他の構成モノマーは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
また、高分子化合物を顔料分散剤として使用する場合に、アニオン性官能基を有する構成モノマーとの組み合わせとしては、上記したアニオン性官能基を有する構成モノマー以外のモノマーのうち、顔料分散性の観点から、含窒素系環状モノマーを使用することが好ましい。含窒素系環状モノマーとしては、アクリロイルモルホリンや、含窒素複素環を有するマクロモノマー等を挙げることができる。含窒素系環状モノマーは、高分子化合物のうち、0.3mol/kg以上1.5mol/kg以下含有されることが好ましい。
アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物の分子量(質量平均分子量)は、インクの吐出性の観点から、10,000〜100,000程度であることが好ましく、20,000〜80,000程度であることがより好ましい。
上記の各モノマーは、公知のラジカル共重合により、容易に重合させることができる。反応系としては、溶液重合または分散重合で行うことが好ましい。
重合開始剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂株式会社製、カヤエステルO、化薬アクゾ株式会社製)等の過酸化物など、公知の熱重合開始剤を使用することができる。
溶液重合に用いる重合溶媒には、たとえば石油系溶剤(アロマフリー(AF)系)などを使用できる。この重合溶媒は、そのままインクの非水系溶剤として使用できる溶媒(後述)のなかから1種以上を選択することが好ましい。
重合温度については、60〜100℃が適している。その他にも、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生する光重合型開始剤も用いることができる。
重合反応に際し、その他、通常使用される重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に添加することもできる。
アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物は、インク粘度及び顔料分散性の観点から、第1のインク全体に対し、1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%〜10.0質量%であることがより好ましく、さらに4.0質量%〜7.5質量%であることが一層好ましい。
また、アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物は、顔料分散剤として使用する場合は、顔料分散性の観点から、質量比で、顔料1部に対し、0.005〜1.50部程度であることが好ましく、0.10〜1.00部であることがより好ましい。
第1のインクには、第1の非水系溶剤が含有される。ここで、非水系溶剤とは、非極性有機溶剤および極性有機溶剤であって、50%留出点が150℃以上の溶剤をいう。50%留出点は、JIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定される、重量で50%の溶剤が揮発したときの温度を意味する。
たとえば、非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、たとえば、日本石油(株)製「テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7」、Exxon社製「Isopar(アイソパー)G、Isopar H、Isopar L、Isopar M、Exxsol D40、Exxsol D80、Exxsol D100、Exxsol D130、Exxsol D140」等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、日本石油(株)製「日石クリーンソルG」(アルキルベンゼン)、Exxon社製「ソルベッソ200」等を好ましく挙げることができる。
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤、およびこれらの混合溶剤を用いることができる。たとえば、炭素数8〜20の高級脂肪酸と炭素数1〜24のアルコールとのエステルであるエステル系溶剤、炭素数8〜24の高級アルコール、および炭素数8〜20の高級脂肪酸からなる群から選ばれた1種以上を好ましく使用できる。
極性有機溶剤としてより具体的には、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどのエステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ヘキシルデカノール、オクチルドデカノール、デシルテトラデカノールなどのアルコール系溶剤;ノナン酸、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸系溶剤;ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、が好ましく挙げられる。
これらの非水系溶剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
第2のインクとしては、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第2の非水系溶剤を含有する。
第2の高分子化合物のうち1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーとしては、1分子中に1級及び2級アミノ基のうち少なくとも1個以上を有するモノアミン、ジアミン、トリアミン等のアミン化合物を使用することができる。このようなアミン化合物が高分子化合物に含まれる場合では、1分子中に3級アミノ基のみを有する構成モノマーが含有される場合に比べ、上記したアニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物と反応が起こりやすいと考えられる。そのため、記録媒体への色材の浸透が抑制され、印刷画像を高濃度化し、裏抜けを防止することができる。
特に、1分子中に1級アミノ基と2級アミノ基とをそれぞれ1個以上有するモノマーを使用することが好ましい。このようなモノマーでは、高分子化合物の合成の際に、その他の構成モノマーと1級または2級アミノ基が反応するが、1級アミノ基が合成に使用されても、2級アミノ基が残るため、反応性の高い高分子化合物を得ることができる。
このような1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーの具体例としては、いずれも信越シリコーン株式会社製のKBE−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン)、KBM−602(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン)、KBM−603(N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン)等のアミノ基含有シラン(アミノシラン)を好ましく使用することができる。これらは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物のうち、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーは0.15mol/kg以上0.80mol/kg以下含有されることが好ましく、さらに0.30mol/kg以上0.50mol/kg以下含有されることがより好ましく、0.35mol/kg以上0.45mol/kg以下含有されることが一層好ましい。0.15モル%以上であることで、画像濃度の低下及び裏抜けをより低減し、インクの顔料分散性をより良好にすることができる。0.80mol/kg以下であることで、インクの分散安定性をより良好に維持することができる。
高分子化合物を構成するモノマーは、上記1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーの他に、上記した第1のインクの場合と同様のものを使用することができる。
1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物の分子量(質量平均分子量)は、インクの吐出性の観点から、10,000〜100,000程度であることが好ましく、20,000〜80,000程度であることがより好ましい。
上記の各モノマーは、上記した第1のインクの場合と同様に重合させることができるが、さらに次のように重合させることが好ましい。
1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物は、例えば、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマー以外の各モノマーと、重合開始剤と、重合溶媒とをまず反応させた分散樹脂に、アミノ基を有する構成モノマーを加え続けて反応させて得ることができる。この場合の重合溶剤は、インクに含まれる非水系溶剤と同じであることが好ましい。アミン化合物と分散樹脂との反応は、攪拌下で行うことが好ましい。さらにこの反応は、一般に加熱により反応効率が上がるため、加熱下で行うことが好ましい。例えば、60℃以上の加熱下で行うことが好ましい。
1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物は、インク粘度及び顔料分散性の観点から、第2のインク全体に対し、1.0質量%以上15.0質量%以下であることが好ましく、2.5質量%〜10.0質量%であることがより好ましく、さらに4.0質量%〜7.5質量%であることが一層好ましい。
また、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物は、顔料分散剤として使用する場合は、顔料分散性の観点から、質量比で、顔料1部に対し、0.005〜1.50部程度であることが好ましく、0.10〜1.00部であることがより好ましい。
第2のインクには、第2の非水系溶剤が含有される。第2の非水系溶剤としては、上記した第1のインクの第1の非水系溶剤と同様のものを用いることができる。
第1のインクにおけるアニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物及び/または第2のインクにおける1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物は、それぞれ、上記した第1及び第2の非水系溶剤に分散することが好ましい。ここで、「分散する」状態としては、高分子化合物が非水系溶剤に完全に溶解する状態ではなく、高分子化合物の一部または全体が分散質となって非水系溶剤中に分散する状態を表す(以下同じ)。
高分子化合物が非水系溶剤に分散することで、第1及び第2のインクが記録媒体上に塗布されると、高分子化合物の非水系溶剤、及びその他の溶解性の樹脂からの離脱が促進され、非水系溶剤等が記録媒体内部に浸透する一方で高分子化合物は記録媒体の表面近傍に留まりやすくなり、記録媒体の表面近傍で第1及び第2のインクの高分子化合物が接触してゲル化し、画像濃度の低下を防止することができる。さらに、高分子化合物が非水系溶剤に分散することで、第1のインクと第2のインクとが記録媒体上で接触する際に高分子化合物同士の反応性を高めることができる。
分散状態としては、高分子化合物が非水系溶剤中で微粒子状態となっていることが好ましい。微粒子状態としては、第1及び第2の高分子化合物の平均粒径がそれぞれ200nm以下が好ましく、さらに100nm以下がより好ましい。この範囲の微粒子状態であることで、記録媒体上で第1及び第2のインクの高分子化合物の接触性を向上させ、ゲル化を促進させることができ、また、第1及び第2のインクの貯蔵安定性も向上させることができる。
高分子化合物が分散する非水系溶剤としては、例えば、溶解性パラメータ(SP値)が6.5(cal/cm1/2以上10.0(cal/cm1/2以下の非水系溶剤を好ましく使用することができる。
このSP値は、溶解性パラメータであり、凝集エネルギーの変化で溶解性を求めようとするものである。液体の凝集エネルギーは、蒸発エンタルピーと等価であることから、モル蒸発熱ΔHVと分子容Vより、溶解性パラメータδは次式(1)のように定義することができる。この式を用いて、1モル体積の液体が蒸発するために必要な蒸発熱から、SP値を計算できる。
〔数1〕
δ(SP値)={(ΔHV−RT)/V}1/2 ・・・(1)
ここで、ΔHは蒸発熱を示し、Vは分子容である(「溶解性パラメータ適用事例集」(メカニズムと溶解性の評価・計算例等を踏まえて)、52〜54頁、(株)情報機構、2007年3月15日発行参照)。
上記したSP値の範囲の非水系溶剤としては、上記した第1及び第2の非水系溶剤に使用される非極性有機溶剤(6.5〜9.0(cal/cm1/2)や極性有機溶剤(6.5〜9.0(cal/cm1/2)を挙げることができる。中でも、非極性有機溶剤としてAFソルベント7号(7.0〜7.5(cal/cm1/2)等、極性有機溶剤としてオレイン酸メチル(8.0〜9.0(cal/cm1/2)、パルミチン酸イソオクチル(8.0〜9.0(cal/cm1/2)等が挙げられる。括弧内はSP値を示す。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、第1及び/または第2のインクの高分子化合物に極性の高い高分子化合物を用いることによって、インクが記録媒体に塗布されると、非水系溶剤からの離脱が促進され、記録媒体の表面近傍に留まりやすいと考えられるため、第1及び第2のインクの高分子化合物の接触及び反応が促進され、印刷画像をさらに高濃度化することができる。
インクセットは、第1のインク及び第2のインクのうち少なくとも一方が色材を含有する。第1のインク及び第2のインクの両方に色材が含有されてもよく、第1のインク及び第2のインクにそれぞれ含有される色材は同色であっても異なる色であってもよい。また、第1のインク及び第2のいずれか一方に色材が含有され、他方には色材が含有されなくてもよい。好ましくは、第1のインク及び第2のインクのいずれか一方が黒色となり、他方が無色またはシアン色となるように色材が含有される。これによって、黒色の画像形成において、黒色の画像濃度を高めることができる。
第1のインク及び第2のインクはそれぞれ何色であってもよく、したがって顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
顔料の平均粒径は、分散性と保存安定性の観点から300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。ここで、顔料の平均粒径は、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500により測定された値である。
インク中の顔料の含有量は、通常0.01〜20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から3〜15質量%であることが好ましい。
また、顔料のみならず、染料を使用することも可能である。染料においても、記録媒体の内部に入り込むことで、画像濃度の低下及び裏抜けの問題がある。染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料などの油溶性染料がより好ましい。これらの染料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。インク中の染料の含有量は、通常0.01〜20質量%である。
上記顔料および染料は、単独で用いてもよいし、適宜組み合わせて使用することも可能である。
以上の各成分に加え、第1及び第2のインクには、それぞれ必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通常用いられている各種添加剤を含ませることができる。
具体的には、顔料分散剤、消泡剤、表面張力低下剤等として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤をインクに含有させることができる。
酸化防止剤としては、ジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、ノルジヒドログアヤレチック酸等の公知のものが使用でき、これらを単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
インクは、ボールミル、ビーズミル等の任意の分散手段を用いて配合成分を混合することによって調製できるが、たとえば、顔料と、顔料分散剤と、非水系溶剤とを含む顔料分散体をまず調製し、さらに非水系溶剤及びその他の任意の成分を加えて製造することができる。顔料分散体を調製する際の非水系溶剤(あるいは希釈溶剤)は、インクに含まれる非水系溶剤と同じであることが好ましく、さらには分散剤を溶液重合により合成する場合には、その重合溶媒と同じであることが好ましい。
第1及び/または第2のインクにおいて、高分子化合物はインク調製後に添加してもよいし、色材が顔料である場合は顔料分散剤として処方してもよい。高分子化合物を顔料分散剤として使用することで、顔料の分散状態の崩壊、及び反応によるゲル化が同時に作用し、印刷画像の濃度低下をより防止することができる。
第1のインク及び第2のインクは、それぞれインクジェット記録装置用として好ましく使用できる。インクジェット用インクとして用いる場合のインクの粘度は、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、5〜13mPa・sであることがさらに好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
本発明のインクセットによれば、上記した第1のインク及び第2のインクを用いることにより、色材が記録媒体に入り込みにくく、記録媒体の表面に留まりやすくなるため、画像濃度の高い印刷物を得ることができる。
本発明のインクジェット記録方法としては、上記したインクジェット用非水系インクを用いるインクジェット記録方法であって、記録媒体に第1のインク及び第2のインクのうちいずれか一方を吐出した後に、これに重ねて他方のインクを連続的に吐出することを特徴とする。このようなインクジェット記録方法によれば、印刷画像を高濃度化し、裏抜けを防止することができる。
インクジェット記録方法としては、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにする。
インクジェット記録方法はラインヘッド方式であることが好ましく、ラインヘッド方式のインクジェット記録方法によれば高速の印刷速度による印刷が可能である。また、第1のインクと第2のインクとを吐出する間隔を短くすることができる。
第1及び第2のインクのうちいずれか一方を吐出してから、他方を吐出するまでの時間は、短い方が好ましく、通常は0.5秒以下程度が好ましい。これによって、先に吐出されたインク中の色材が記録媒体へ入り込む前に、後に吐出されるインクによって反応及びゲル化が起こり、印刷画像の濃度低下及び裏抜けを防止することができる。
第1及び第2のインクの単位面積当たりの吐出量は、特に制限されないが、第1のインクの高分子化合物におけるアニオン性官能基の当量と、第2のインクの高分子化合物における1級及び/または2級アミノ基の当量とが等しくなる程度に制御されるとより好ましい。
また、第1のインクの高分子化合物のうちアニオン性官能基を有する構成モノマーの割合、第2のインクの高分子化合物のうち1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーの割合、第1のインク中の高分子化合物の割合、第2のインク中の高分子化合物の割合等を上記した範囲に調整することで、記録媒体上で第1及び第2のインクの高分子化合物同士を適当な官能基の割合で反応及びゲル化させることができる。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物の合成>
アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物を表1の処方で合成した。表1では、アニオン性官能基を導入するために、アクリル酸を用いた。500mlの四つ口フラスコにモノマー混合液全量(100g)、重合開始剤半量、重合溶剤半量ずつを仕込み、窒素気流下で80℃のオイルバスで加熱撹拌し反応させた。合成開始2時間後に重合開始剤と重合溶剤の残量を混合した溶液を滴下し、さらに反応させた。合成開始10時間後に反応を終了させ、アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物として分散樹脂1〜7を得た。また、アニオン性官能基を有する構成モノマーを含まない高分子化合物として分散樹脂8を同様に作製した。いずれも固形分40質量%の分散樹脂であった。
分散樹脂1〜8では、重合開始剤としてカヤエステルO(化薬アクゾ株式会社製)を全量で8.0g使用し、重合溶剤としてAF7(AFソルベント7号、ナフテン系溶剤、新日本石油株式会社製)を全量で140.0g、及びオレイン酸メチル(エキセパールM−OL、花王株式会社製)を全量で22.0g使用した。
<シアンインクの作製>
表2に示す各成分をプレミックスし、その後、直径(φ)0.5mmのジルコニアビーズを入れ、ロッキングミル((株)セイワ技研製)にて60分間分散し、得られた分散液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、シアンインクとしてCインク1〜8を調製した。
比較インクとして、分散樹脂の代わりに、S28000を使用した他は、Cインク1〜8と同様にして比較インクCを調製した。
<1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物の合成>
1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物を表2及び表3の処方で合成した。500mlの四つ口フラスコに表2に示すモノマー混合液全量(100.0g)、重合開始剤としてカヤエステルOを8.0g、重合溶剤としてAF7を100.0gで仕込み、窒素気流下で110℃にて加熱撹拌し6時間反応させ、ベース樹脂Aを得た。ベース樹脂Aの固形分は48質量%であった。
次に、500mlの四つ口フラスコに得られたベース樹脂Aと、2級アミノ基を導入するためのKBE−603と、重合溶剤としてオレイン酸メチル及びパルミチン酸イソオクチルとを表3に示す量で仕込み、80℃にて加熱攪拌し3時間反応させ、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物として分散樹脂9〜11を作製した。いずれも固形分39質量%の分散樹脂であった。
<黒インクの作製>
表5に示す処方に基づき、上記したシアンインクと同様の方法で、黒インクとしてKインク1〜3を調製した。
比較インクとして、分散樹脂の代わりに、S28000を使用した他は、Kインク1〜3と同様にして比較インクKを調製した。
<成分>
表1〜5において使用した成分は以下のとおりである。
アクリル酸(AA):和光純薬工業株式会社製
アセトアセトキシエチルメタクリレート(AAEM):日本合成化学工業株式会社製
2−エチルヘキシルメタクリレート:和光純薬工業株式会社製
ベヘニルメタクリレート:日本油脂株式会社製
アクリロイルモルホリン(ACMO):和光純薬工業株式会社製
AF7:AFソルベント7号、ナフテン系溶剤、新日本石油株式会社製
パルミチン酸イソオクチル:日光ケミカルズ株式会社製
オレイン酸メチル:エキセパールM−OL、花王株式会社製
S28000:ソルスパース28000、日本ルーブリゾール株式会社製、固形分100%
グリシジルメタクリレート:和光純薬工業株式会社製
カヤエステルO:化薬アクゾ株式会社製
KBE−603:N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、信越シリコーン社製
MA−100:カーボンブラック、三菱化学株式会社製
<インクセットによる印刷>
表6〜表8に示すシアンインクと黒インクのインクセットを用いて重ね印刷を行った。また、表8に示す黒インクを用いて単色印刷を行った。
印刷装置には、インクジェット記録装置として「HC5500」(理想科学工業株式会社製)を使用した。「HC5500」は、300dpiのライン型インクジェットヘッド(各ノズルが約85μm間隔で並ぶ)を使用し、主走査方向(ノズルが並んでいる方向)に直行する副走査方向に用紙を搬送して、印字を行うシステムである。用紙には、普通紙(理想用紙薄口、理想科学工業株式会社製)を使用した。
各インクを、インクジェット記録装置「HC5500」に装填し、用紙に対し、液滴42plで300dpi相当のべた画像を印刷した。
インクセットの印刷では、HC5500の各インク吐出経路に黒インク及びシアンインクをそれぞれ導入し、用紙の片面に、シアンインク吐出経路から用紙表面にシアンインクを吐出させた後、直ちに黒インク吐出経路から同じ用紙表面に黒インクを吐出させるとともに、先に吐出されたシアンインクのドットに黒インクのドットが重なるようにして、ベタ画像と文字・細線を印刷した。印刷は、解像度300×300dpiにて5drop/dotの条件で行った。
黒インクの単色印刷では、上記インクセットの印刷と同様の条件で、黒インクのみによってベタ画像と文字・細線を印刷した。
<評価>
(分散樹脂のインク溶剤中での状態)
表1及び表4に示す分散樹脂1〜11をそれぞれ表2及び表5に示すインクの溶剤と混合し、溶剤中での分散樹脂1〜11の状態を室温において目視で観察した結果、いずれも「分散状態」であった。「分散状態」は、溶剤中に分散樹脂を添加した際に溶液が白濁または半透明であることが観察され、溶剤中に分散樹脂が完全に溶解せず粒子状態で分散した状態を示す。評価結果を表1及び表4に示す。
(インクの粘度)
上記各シアンインク及び黒インクの粘度を測定した結果、いずれもインクジェット用インクとして使用可能であった。各インクの粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける粘度であり、ハーケ社製応力制御式レオメータRS75(コーン角度1°、直径60mm)で測定した。評価結果を表2及び表4に示す。
(インクの顔料分散性)
シアンインク及び黒インクの顔料分散性として、メンブレンフィルター(開口径3μm)1枚に対するインクの通過量を評価した。評価基準を次に示す。評価結果を表2及び表4に示す。
A:100g以上
B:20g以上100g未満
C:20g未満
(インクの分散安定性)
シアンインク及び黒インクの分散安定性として、70℃貯蔵安定性を評価した。各インクを密閉容器に入れて、70℃の環境下で4週間放置し、その後インクの粘度変化を測定し、その測定結果を以下のように評価した。評価結果を表2及び表4に示す。
粘度変化率:
[(4週間後の粘度値―粘度の初期値)/(粘度の初期値)]×100(%)
粘度変化率が±5%未満のものをA、粘度変化率が±5%以上10%未満のものをB、粘度変化率が±10%以上のものをCとした。
(画像濃度)
得られた印刷物の印刷面(表面)の画像濃度(表面OD値)を、マクベス濃度計(マクベス社製RD920)により測定した。評価基準を次に示す。評価結果を表6〜表8に示す。
A:1.20以上
B:1.15以上1.20未満
C:1.10以上1.15未満
D:1.10未満
(裏抜け)
得られた印刷物の非印刷面(裏面)の画像濃度(裏面OD値)を、マクベス濃度計(マクベス社製RD920)により測定した。評価基準を次に示す。評価結果を表6〜表8に示す。
A:0.23未満
B:0.23以上0.25未満
C:0.25以上0.35未満
D:0.35以上
(文字・細線の滲み)
得られた印刷物の文字・細線の滲みを目視で観察し、下記基準に従い評価した。評価結果を表6〜表8に示す。
A:全く滲みなし
B:やや滲みがあるが、使用用途に応じては問題ない
C:明らかに滲みあり
D:滲みが大きく、文字が潰れている
Figure 2011012149
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表6に示すように、実施例1〜7は、本発明のシアンインクと黒インクのインクセットであり、画像濃度が高く、裏抜けを防止することができた。比較例1は、シアンインクの分散樹脂にアニオン性官能基を有する構成モノマーが含まれていない点で実施例1〜7と異なり、画像濃度の低下及び裏抜けを防止することができなかった。比較例2は、シアンインクの分散樹脂の代わりに通常の顔料分散剤を使用したものであり、画像濃度の低下及び裏抜けを防止することができなかった。
また、表7に示すように、実施例1、8、及び9は、本発明のシアンインクと黒インクのインクセットであり、画像濃度が高く、裏抜けを防止することができた。比較例3は、黒インクの分散樹脂の代わりに通常の顔料分散剤を使用したものであり、画像濃度が低下し、裏抜けを防止することができなかった。
また、表8に示すように、比較例4〜7は、黒インクの単色印刷でありシアンインクを使用しないものであり、画像濃度が低下した。比較例8は、黒インク及びシアンインクにそれぞれ通常の顔料分散剤を使用したものであり、画像濃度が低下し、裏抜けを防止することができなかった。
各実施例のインクセットは、シアンインクと黒インクのそれぞれの分散樹脂が用紙上で反応しゲル化することで、用紙への顔料の浸透を抑制し、画像濃度を高くし、裏抜けを防止することができた。これに対し、各比較例のインクセット及び黒インクは、用紙上で分散樹脂のゲル化が起こらないため、用紙へ顔料が浸透しやすく、画像濃度が低下し、裏抜けが発生することがあった。
また、表6〜表8に示すように、各実施例では、各比較例に比べ文字・細線の滲みが良好であった。このことから、各実施例のインクセットでは、シアンインクと黒インクのそれぞれの分散樹脂が用紙上で反応しゲル化することで、用紙上での顔料の広がりを防止し、文字・細線の滲みが防止されることがわかった。
また、表2に示すように、Cインク1〜7はいずれも顔料分散性及び分散安定性が良好であった。Cインク5は、全モノマー中のアニオン性官能基を有するモノマーの割合が低く、顔料分散性及び分散安定性がいずれも低下したが、実用可能な程度であった。また、Cインク1及び7はCインク6と同じ割合のアクリル酸を含むが、ACMOが添加され、良好な顔料分散性が得られたと考えられる。なお、Cインク4は、ACMOを含有しないがアクリル酸の割合が高く、良好な顔料分散性が得られたと考えられる。
また、表5に示すように、Kインク1〜3では、全モノマー中の1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーの割合が高いと顔料分散性がより良好になり、この割合が低いと分散安定性がより良好になることがわかった。

Claims (7)

  1. アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第1の非水系溶剤を含有する第1のインクと、
    1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物、及び第2の非水系溶剤を含有する第2のインクとを備え、
    前記第1のインク及び前記第2のインクのうち少なくとも一方は色材を含有する、インクジェット用非水系インクセット。
  2. 前記アニオン性官能基を有する構成モノマーは、カルボキシル基を有するモノマーを含む、請求項1に記載のインクジェット用非水系インクセット。
  3. 前記アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物のうち、アニオン性官能基を有する構成モノマーは0.5mol/kg以上3.0mol/kg以下含有される、請求項1または2に記載のインクジェット用非水系インクセット。
  4. 前記1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物のうち、1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーは0.15mol/kg以上0.80mol/kg以下含有される、請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット用非水系インクセット。
  5. 前記アニオン性官能基を有する構成モノマーを含む高分子化合物は、前記第1の非水系溶剤に分散する、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット用非水系インクセット。
  6. 前記1級及び/または2級アミノ基を有する構成モノマーを含む高分子化合物は、前記第2の非水系溶剤に分散する、請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット用非水系インクセット。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット用非水系インクを用いるインクジェット記録方法であって、
    記録媒体に前記第1のインク及び前記第2のインクのうちいずれか一方を吐出した後に、これに重ねて他方のインクを連続的に吐出する、インクジェット記録方法。
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