JP5186198B2 - 非水系顔料インク - Google Patents

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Description

本発明は、非水系顔料インクに関し、特にインクジェット記録システムへの使用に適した非水系顔料インクに関する。
インクジェット記録システムは、流動性の高い液体インクを微細なノズルから噴射し、紙等の記録媒体に付着させて印刷を行う印刷システムである。このシステムは、比較的安価な装置で、高解像度、高品位の画像を、高速かつ低騒音で印刷可能、という特徴を有し最近急速に普及している。
このインクジェット記録システムに用いられるインクの色材としては、顔料を利用したものと染料を利用したものに大別される。このうち、高画質印刷に必要な耐光性、耐候性および耐水性に優れていることから、顔料を色材とするインクが増加する傾向にある。
溶剤からみると、インクは大きく、水系タイプインクと非水系タイプインクに分けられる。水系タイプインクは、水系溶剤と水がインクの媒体であるので、ここに顔料を微細に分散させ且つその安定性を確保することは極めて困難である。
このような観点から、顔料をカプセル化して水系媒体に分散させることを可能とした水系顔料インク提案されている(特許文献1、2)。しかし、水系であるが故に、耐水性が悪いという問題は否めない。
これに対し、揮発性溶剤を主体とする溶剤系インクや不揮発性溶剤を主体とするオイル系インクのように、インク用溶媒として水を使用しない非水系インクが注目されている。非水性インクは水系インクに比べると乾燥性が良く、印刷適性にも優れている。
特開平9−151342号公報 特開平11−140343号公報
この非水系インクは、非水系の溶剤、顔料、顔料分散剤等から構成される。汎用されている顔料分散剤はポリマーであり、溶液であるが、これが低温下インク中で固化するという問題がある。特に、室温付近に顔料分散剤の凝固点があると、1日の温度サイクルによって、インクが液体と固体の状態変化を起こし、顔料の凝集が起きやすくなってしまう。
顔料分散剤の凝固点を下げるために、鎖長の短いアルキル基や分岐鎖を有する長鎖アルキル基を顔料分散剤ポリマーに導入すると、顔料分散体の粘度が上がり、したがって希釈剤として粘度の低い溶剤を使用する必要性が生じる。しかし、粘度の低い溶剤は、一般的に揮発性が高いので、開放系でインクが放置された場合、特にインクジェットの吐出ヘッドのノズル近傍においてインクの著しい粘度上昇を引き起こし、ノズルの目詰まりやインク滴の飛翔乱れを引き起こす。加えて、鎖長の短いアルキル基を用いた場合は、長期保存安定性も維持できず、特に高湿下でのインクの変質が著しい。
そこで本発明は、温度や湿度の変動に強く、長期保存安定性に優れ、かつインクジェット記録システムに使用した場合には吐出安定性にも優れた非水系顔料インクを提供することを目的とする。
本発明は、顔料と顔料分散剤と非水系溶剤とを含む非水系顔料インクにおいて、前記顔料分散剤が、構成モノマーとしてアルキル(メタ)アクリレートを、全構成モノマー中85モル%以上含むアクリル系ポリマーであり、全アルキル(メタ)アクリレートモノマーのうち、アルキル鎖長が炭素数12以上であるモノマーが82モル%以上、ドデシル(メタ)アクリレートが70〜85モル%、かつ、ドコシル(メタ)アクリレートが12〜26モル%それぞれ含まれている、非水系顔料インクに関する。
別の本発明は、上記本発明に係る水系顔料インクを用いて印刷された印刷物に関する。
さらに別の本発明は、構成モノマーとしてアルキル(メタ)アクリレートを、全構成モノマー中85モル%以上含むアクリル系ポリマーからなる非水系顔料インク用顔料分散剤であって、全アルキル(メタ)アクリレートモノマーのうち、アルキル鎖長が炭素数12以上であるモノマーが82モル%以上、ドデシル(メタ)アクリレートが70〜85モル%、かつ、ドコシル(メタ)アクリレートが12〜26モル%それぞれ含まれている、非水系顔料インク用顔料分散剤に関する。
本発明に係る非水系顔料インク(以下、単に「インク」と記す場合もある。)は、顔料分散剤としてアルキル(メタ)アクリレートを含むアクリル系ポリマーを使用し、その構成モノマーとして複数のアルキル(メタ)アクリレートを用い、各アルキル基の鎖長を制御している。すなわち、顔料分散剤ポリマーに複数のアルキル基を導入し、そのアルキル鎖長に分布を持たせるようにしている。この構成により、単一のアルキル鎖長を制御する場合とは異なり、顔料分散剤の凝固点を低く維持しつつ、顔料分散体の粘度を低くすることができる。その結果、本願発明によれば、高湿下や低温環境下での保存安定性が良好であり、かつインクジェット記録システムに使用した場合には吐出安定性にも優れた非水系顔料インクを実現できる。
本発明に係るインクは、必須成分として、顔料と顔料分散剤と非水系溶剤とを含む。
顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
顔料の平均粒径は、分散性と保存安定性の観点から300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。ここで、顔料の平均粒径は、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500により測定された値である。
インク中の顔料の含有量は、通常0.01〜20重量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から1〜15重量%であることが好ましく、5〜10重量%であることが一層好ましい。
顔料分散剤(以下、単に「分散剤」ともいう。)は、モノマーとしてアルキル(メタ)アクリレートを含むアクリル系ポリマーである。ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。
このアクリル系ポリマーを構成する全モノマーのうち、アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、インクの保存安定性を確保する観点から、さらには普通紙への印刷物濃度を確保する観点から、85モル%以上含まれており、より好ましくは90モル%以上含まれている。
エステル部分のアルキル鎖は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。
アルキル(メタ)アクリレートモノマーとしては、主として、ドデシル(メタ)アクリレートとドコシル(メタ)アクリレートを併用することが好ましい。
すなわち、全アルキル(メタ)アクリレートモノマーのうち、アルキル鎖長が炭素数12以上であるモノマーが82モル%以上含まれ、さらに、アルキル鎖の炭素数が12であるドデシル(メタ)アクリレート(ラウリル(メタ)アクリレート)が70〜85モル%含まれ、かつ、アルキル鎖の炭素数が22であるドコシル(メタ)アクリレート(ベヘニル(メタ)アクリレート)が12〜26モル%含まれている。このモノマー構成により、インクの凝固点低下と顔料分散体の低粘度化を両立することができるため、長期保存安定性に優れるインクを提供することができる。さらに、アルキル鎖長が炭素数12以上であるモノマーが所定量含まれていることにより、このインクを用いて、印刷濃度の高い印刷印刷物を提供することができる。
炭素数12以上の直鎖アルキル基としては、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基、ヘンイコサニル基、ドコサニル基等が挙げられる。
より具体的には、ドデシル(メタ)アクリレートおよびドコシル(メタ)アクリレート以外のアルキル鎖長が炭素数12以上であるアルキル(メタ)アクリレートとしては、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の直鎖アルキル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレートのような分岐鎖アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
アルキル鎖長の炭素数が12未満のアルキル(メタ)アクリレートとしては、たとえば、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレートのような分岐鎖(メタ)アクリレートを使用することが好ましい。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート等の比較的短鎖のアルキル(メタ)アクリレートを用いることも可能であるが、これらのモノマーは非極性溶剤中で重合する場合にポリマーが析出しやすく、かつ、臭気が強く皮膚刺激性も高いため、必要な場合に限って、必要最少量を使用することが望ましい。
顔料分散剤であるアクリル系ポリマーは、アルキル(メタ)アクリレートと共重合しうる、アルキル(メタ)アクリレート以外のモノマーも、全構成モノマーの15モル%未満の範囲で含むことができる。
たとえば、アミノ基、カルボキシ基(酸、またはその塩/エステル等)、スルホ基(酸、またはその塩/エステル等)、グリシジル基等の顔料吸着能のある官能基を有するモノマーを使用することができる。これにより、分散剤への顔料の吸着性が向上し、顔料分散性をより向上させることができる。具体的には、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、スチレン、N−メチルピロリドン、またはスチレンマクロモノマー等が使用できる。これらは、単独で用いられるほか、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
顔料を、後述するアミン化合物を使用して被覆する形態をとる場合には、さらに構成モノマーとして、1級または2級アミノ基との反応性を有する反応性官能基を含むモノマーを使用することが好ましい。この反応性官能基は、アミン化合物による顔料被覆性(カプセル化)を好ましく実現させる観点から、モノマー1分子中に2個以上含まれていることが好ましい。
反応性官能基としては、グリシジル基、オキセタン基、イソシアネート基などが挙げられるが、なかでも反応性の観点から、グリシジル基が最も好ましい。モノマーとしては、グリシジル(メタ)アクリレート、イソシアナトエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
さらにアルキル(メタ)アクリレート以外の構成モノマーとして、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー:マレイン酸エステル、フマル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、酢酸ビニル、α−オレフィン等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
アクリル系ポリマーの分子量(重量平均分子量)は、インクの吐出性の観点から15000〜35000程度であることが好ましく、20000〜30000程度であることがより好ましい。
上記の各モノマーは、公知のラジカル共重合により、容易に重合させることができる。反応系としては、溶液重合または分散重合で行うことが好ましい。
この場合、重合後のアクリル系ポリマーの分子量を上記好ましい範囲とするために、重合時に連鎖移動剤を併用することが有効である。連鎖移動剤としては、たとえば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタンなどのチオール類が用いられる。
重合開始剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂(株)製)等の過酸化物など、公知の熱重合開始剤を使用することができる。
溶液重合に用いる重合溶媒には、たとえば石油系溶剤(アロマフリー(AF)系)などを使用できる。この重合溶媒は、そのままインクの非水系溶剤として使用できる溶媒(後述)のなかから1種以上を選択することが好ましい。
重合温度については、アクリル系モノマーがグリシジル基を有する場合に、このグリシジル基の重合時の開環を防止するために、あまり高温ではないほうが好ましく、65℃以下程度で重合させることが好ましい。この観点からは、油溶性低温型アゾ系重合開始剤である、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(V−65、和光純薬工業(株)製)の使用が適している。その他にも、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生する光重合型開始剤も用いることができる。
重合反応に際し、その他、通常使用される重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に添加することもできる。
インク中の顔料分散剤の配合量は、顔料分散性の観点から、重量比で、顔料1部に対し0.05〜1.0部程度であることが好ましく、0.1〜0.7部であることがより好ましい。
インク総量に対しては、顔料分散剤は、0.5〜10重量%程度含まれていることが好ましく、1〜5重量%であることが一層好ましい。
非水系溶剤とは、非極性有機溶剤および極性有機溶剤であって、50%留出点が150℃以上の溶剤をいう。50%留出点は、JIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定される、重量で50%の溶剤が揮発したときの温度を意味する。
たとえば、非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、たとえば、日本石油(株)製「テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7」、Exxon社製「Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxsolD40、ExxsolD80、ExxsolD100、ExxsolD130、ExxsolD140」等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、日本石油(株)製「日石クリーンソルG」(アルキルベンゼン)、Exxon社製「ソルベッソ200」等を好ましく挙げることができる。
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤、およびこれらの混合溶剤を用いることができる。より具体的には、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどのエステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどのアルコール系溶剤;イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸系溶剤;ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、が好ましく挙げられる。
これらの非水系溶剤は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
顔料の少なくとも一部を被覆する観点から、インクは、上記顔料、顔料分散剤、および非水系溶剤に加えて、アミン化合物を含むことができる。この場合、顔料分散剤としては、上記の反応性官能基を含むモノマーを構成モノマーとして含むアクリル系ポリマーを用いるようにし、それにより、顔料と顔料分散剤とアミン化合物とを含む、一種の顔料複合体を形成させることができる。この顔料複合体とすることにより、インクの保存安定性と顔料分散性、および、インクジェット用として用いた場合の吐出安定性をより高めることができる。
アミン化合物は、分散剤の反応性官能基に化学結合して、分散剤に吸着した顔料を取り囲むように存在することにより、顔料の分散剤からの脱着が生じにくくなり、その結果、顔料の分散性が高まることが推測できる。同時に、分散剤の分散効率が高まるので、分散剤の使用量を適性に保つことができ、したがって、過量の分散剤による耐擦過性の低下を回避できると考えられる。
さらに、このアミン化合物は、1分子中に2個以上のアミノ基を有することでそれ自身が極性の高い化合物となる。これが顔料を取り囲むように存在することにより、顔料の非水系溶剤に対する溶剤リリース性が高まり、その結果、高い印刷物濃度が得られ、かつ、裏面へのインクの裏抜けが防止できると推測できる。
加えて、顔料と分散剤とアミン化合物とが顔料複合体を形成することにより、溶剤に不溶化する。その結果、記録媒体にインクが転移した際、溶剤のリリース速度が速くなり、インクの裏抜けが防止できることも考えられる。
このアミン化合物は、1分子中に1級および/または2級アミノ基を2個以上含むアミン化合物(ジアミン、トリアミン等)であることが好ましく、さらに、アミン化合物1分子中に含まれるアミノ基の数は、印刷物(表側)の画像濃度の観点から、実験的に3個以下であることが好ましく、2個であることが最も好ましい。
アミン化合物は、ハンドリング性の観点から、常温で液体のものを用いることが好ましい。常温で固体あるいは粘稠性の高いアミン化合物を使用する場合は、必要に応じて使用時に加温することが好ましい。
ジアミンとしては、好ましくは、一般式(1)NHR−(X)n−NHR(式(1)中、RおよびRはそれぞれ独立に水素または任意の1価の基であり;Xは直鎖アルキル鎖、分岐鎖アルキル鎖、エチレンオキシド鎖、プロピレンオキシド鎖、またはブチレンオキシド鎖のいずれかである、少なくとも1種の炭素数3以上の2価の基であり;nは1以上の整数である。)で表されるジアミンが用いられる。ここで、nが2以上であるとき、Xは異なる2価の基の、2以上の組み合わせであってもよい。
この2つのアミンの結合鎖である2価の基Xは、油性溶剤への溶解性の観点から、炭素数3以上の直鎖または分岐鎖アルキル鎖であることがさらに好ましい。このXの炭素数が2または1であると、分散剤の反応性官能基との反応時に顔料の凝集が生じやすく、インクの保存安定性が低下する恐れがある。一方、ハンドリング性の観点から、Xの炭素数は12以下であることが好ましい。さらに、Xは1以上の任意の置換基、たとえばヒドロキシ基、アルコキシ基等を有していてもよい。nは、溶剤への溶解性の観点から1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
アミノ基の置換基であるRおよびRは、水素、炭素数1〜18の置換または無置換の直鎖アルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換の分岐鎖アルキル基、炭素数3以上の置換または無置換のシクロアルキル基等が例示できる。アルキル基に置換していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
なかでも、RおよびRのどちらか少なくとも一方は、保存安定性の観点から、炭素数12以上の置換または無置換の直鎖または分岐鎖アルキル基であることがより好ましい。さらに、アルキル基は不飽和結合を持たない飽和アルキル基であることが好ましい。
このようなジアミン化合物としては、具体的には、1,3−プロパンジアミン、N−メチル−1,3−プロパンジアミン、2−ヒドロキシエチルアミノプロピルアミン、ビス(3−アミノプロピル)エーテル、1,2−ビス(3−アミノプロポキシ)エタン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)2,2−ジメチルプロパン、1,3−ビス(3−アミノプロポキシ)2,2−ジメチルプロパン、1,4−ジアミノブタン、ラウリルアミノプロピルアミン、α,ω−ビス(3−アミノプロピル)ポリエチレングリコールエーテル、ポリ(エチレングリコール)ビス(3−アミノプロピル)、N−オレイル−1,3−ジアミノプロパン、N−ヤシアルキル−1,3−ジアミノプロパン(アルキル基はC12、C14、C16、C18等の混合物)、N−牛脂アルキル−1,3−ジアミノプロパン(アルキル基はC14、C16、C18等の混合物)、N−硬化牛脂アルキル−1,3−ジアミノプロパン(アルキル基はC14、C16、C18等の混合物)などが挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
市販品としては、広栄化学工業(株)製の各種ジアミン、ライオンアクゾ(株)製の商品名「デュオミン」シリーズ(デュオミンC、CD、M、O、OX、T、HT等)、花王(株)製の商品名「ジアミンR−86」、「ジアミンRRT」、日本油脂(株)製の商品名「アスファゾール#10、#20」等が挙げられる。
トリアミンとしては、好ましくは、一般式(2)NHR−(X)n−NR−(Y)m−NHR(式(2)中、R、RおよびRはそれぞれ独立に水素または任意の1価の基であり;XとYはそれぞれ独立に直鎖アルキル鎖、分岐鎖アルキル鎖、エチレンオキシド鎖、プロピレンオキシド鎖、またはブチレンオキシド鎖のいずれかである、少なくとも1種の炭素数3以上の2価の基であり;nおよびmはそれぞれ独立に1以上の整数である。)で表されるトリアミンが用いられる。ここで、nとmが、それぞれ2以上であるときは、XおよびYは異なる2価の基の、2以上の組み合わせであってもよい。
この3つのアミンの結合鎖である2価の基XおよびYは、油性溶剤への溶解性の観点から、炭素数3以上の直鎖または分岐鎖アルキル鎖であることがさらに好ましい。このXおよびYの炭素数が2または1であると、分散剤の反応性官能基との反応時に顔料の凝集が生じやすく、インクの保存安定性が低下する恐れがある。一方、ハンドリング性の観点から、XおよびYの炭素数は12以下であることが好ましい。さらに、XおよびYは1以上の任意の置換基、たとえばヒドロキシ基、アルコキシ基等を有していてもよい。nおよびmは、溶剤への溶解性の観点から1〜10が好ましく、1〜5がより好ましい。
アミノ基の置換基であるR、RおよびRは、水素、炭素数1〜18の置換または無置換の直鎖アルキル基、炭素数1〜18の置換または無置換の分岐鎖アルキル基、炭素数3以上の置換または無置換のシクロアルキル基等が例示できる。アルキル基に置換していてもよい置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシル基等が挙げられる。
なかでも、R、RおよびRのいずれか1以上が、保存安定性の観点から、炭素数12以上の置換または無置換の直鎖または分岐鎖アルキル基であることがより好ましい。さらに、アルキル基は不飽和結合を持たない飽和アルキル基であることが好ましい。
このようなトリアミン化合物としては、具体的には、イミノビスプロピルアミン、メチルイミノビスプロピルアミン等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて使用してもよい。
市販品としては、広栄化学工業(株)製の各種トリアミン、ライオンアクゾ(株)製の商品名「トリアミン」シリーズ(トリアミンC、OV、T、Y12D、YT等)を好ましく用いることができる。
顔料複合体中のフリーのアミノ基、すなわち上記アミン化合物のアミノ基のうち、分散剤の反応性官能基との反応に関与していないアミノ基の量は、印刷物の高濃度化の観点からみて、あまり多すぎないことが好ましい。したがって、これらのアミン化合物の配合量は、上記分散剤の反応性官能基1当量に対し、アミノ基が1〜2.5当量となる量であることが好ましい。
インク総量に対しては、アミン化合物は、0.1〜5重量%程度含まれていることが好ましく、0.5〜1.5重量%であることが一層好ましい。
アミン化合物のアミノ基のうち、分散剤の反応性官能基との反応に関与していない(フリーの)アミノ基は、カルボン酸と酸アミドを形成していることが好ましい。つまり、アミン化合物のアミノ基のうちフリーのアミノ基を、カルボン酸と反応させて酸アミドに変性させることが好ましく、それにより、さらに印刷物の濃度を高め、かつ、画像の裏抜けをより一層防止することができる。
酸アミド形成のためのカルボン酸は、油性溶剤への溶解性およびインクの保存安定性の観点から、ポリカルボン酸ではなく、モノカルボン酸であることが好ましい。これは、ポリカルボン酸であると、経時的に、カルボキシル基による顔料粒子間の架橋が生じ、顔料が凝集してしまうためではないかと推測できる。
さらに、油性溶剤への溶解性や、画像の裏抜け防止の観点から、分子量100以下のカルボン酸であることがさらに好ましい。これは、カルボン酸の分子量が大きすぎると分子の非極性部分の割合が高くなって、油性溶剤への親和性が高まるため、顔料複合体が溶剤に伴われて紙内部に浸透しやすくなるためではないかと推測できる。
したがって、分子量100以下のモノカルボン酸を最も好ましく用いることができ、具体的には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、および酪酸のなかから選ばれる1種以上を好ましく使用できる。
カルボン酸の配合量は、アミン化合物におけるフリーのアミノ基の当量に対し、カルボキシル基が1〜2当量となる量であることが好ましい。
フリーのアミノ基の酸アミド変性は、常温でも進行するが、80〜100℃程度に加温して行うことが好ましい。また、反応後の過剰のカルボン酸は、エバポレータ等の溶剤蒸留装置を用いて流去することが好ましい。
顔料複合体は、たとえば、顔料と、顔料分散剤と、非水系溶剤とを含む顔料分散体に、アミン化合物を加え、分散剤の反応性官能基とアミン化合物のアミノ基とを反応させて得ることができる。この場合の非水系溶剤(あるいは希釈溶剤)は、インクに含まれる非水系溶剤(後述)と同じであることが好ましく、さらには分散剤を上述のように溶液重合により合成する場合には、その重合溶媒と同じであることが好ましい。
顔料と分散剤と非水系溶剤とを含む顔料分散体は、これら3者を混合し、ボールミル、ビーズミル等の任意の分散手段を用いて顔料を分散させることにより、好ましく得ることができる。
好ましく用いられるアミン化合物は、一般に、汎用の非水系インクジェット溶剤に溶解しやすい。アミン化合物が溶剤に微溶もしくは難溶である場合にはアミン化合物と分散剤との反応にシェアをかける必要があるが、溶解性のよいアミン化合物の場合は、分散剤との反応に際しそのようなシェアをかける必要がなく、この点からもハンドリング性が良好である。
アミン化合物と分散剤との反応は、攪拌下で行うことが好ましい。さらにこの反応は、一般に加熱により反応効率が上がるため、加熱下で行うことが好ましい。たとえば、60℃以上の加熱下で行うことが好ましいが、一方、あまり高温にすると熱による顔料の凝集が生じやすくなるため、100℃以下程度で行うことが好ましい。
ここで、あまり低温下で両者が反応をするようでは、両者の混合時の反応を防ぐために冷却下で混合する必要があり、むしろ非効率的である。したがって、両者は、熱を加えた状態で反応するものであることが好ましい。すなわち、分散剤の反応性官能基は、アミノ基との熱時反応性を有する官能基であって、分散剤とアミン化合物との反応は加熱反応(熱時反応)であることが好ましい。
得られた顔料複合体の平均粒径は、500nm以下程度であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが一層好ましい。一方、印刷物の裏抜けを抑制するため、この平均粒径は50nm以上程度であることが好ましい。ここで、顔料複合体の平均粒径は、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500により測定された値である。
インク中の顔料複合体(固形分)の配合量は、0.1〜25重量%程度であることが好ましく、1〜20重量%であることがより好ましく、5〜15重量%であることが一層好ましい。
以上の各成分に加え、インクには、必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通常用いられている各種添加剤を含ませることができる。
具体的には、顔料分散剤、消泡剤、表面張力低下剤等として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤をインクに含有させることができる。
インクの粘度を調整するために、インクに電解質を配合することもできる。電解質としては、たとえば、硫酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、ホウ酸ナトリウムが挙げられ、2種以上を併用してもよい。硫酸、硝酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン等も、インクの増粘助剤として用いることができる。
酸化防止剤を配合することにより、インク成分の酸化を防止し、インクの保存安定性を向上させることができる。酸化防止剤としては、たとえば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウムを用いることができる。
防腐剤を配合することにより、インクの腐敗を防止して保存安定性を向上させることができる。防腐剤としては、たとえば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸を用いることができる。
さらに、インクにポリオキシエチレンアルキルアミン(酸化エチレン付加脂肪族アミン:C2n+1N[(EO)H][(EO)H])を添加することにより、吐出安定性をより向上させ、かつ、普通紙への印刷においてより高い印刷濃度を得ることができる。上記一般式において、EOはオキシエチレン基を表し、xとyはそれぞれ独立に、0以上の整数であって、両者が共に0であることはない。
上記式のアルキルアミンとしては、ラウリルアミン、ステアリルアミン、オレイルアミン等が用いられる。なかでも、さらなる吐出安定性と低温保存安定性の確保の点から、ラウリルアミンであることが好ましい。
高い吐出安定性と普通紙での高濃度化、および低温環境下での保存安定性の観点から、酸価エチレンの付加モル数(上記一般式におけるxとyの合計量)は2〜8であることが好ましく、3〜7であることがより好ましい。
ポリオキシエチレンアルキルアミンを配合する場合のインク中への配合量は、高い吐出安定性と普通紙での高濃度化の観点から、1.0〜5.0重量%であることが好ましい。
インクの粘度は、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、インクジェット記録装置用として適している。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
次に、本発明に係る印刷物は、上記の本発明のインクを用いて印刷されたものである。本発明に係るインクを用いることにより、顔料が印刷用紙の内部に入り込みにくく、用紙表面に留まりやすくなるため、印刷濃度の高い印刷物を得ることができる。
印刷方法は、特に限定されないが、インクジェット記録装置を用いて行われることが好ましい。インクジェットプリンタは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本発明に係るインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにする。
本発明に係るインクは、低温環境下でも良好に使用することができ、かつインクジェット記録システムに使用した場合には吐出安定性にも優れている。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、「重量%」を単に「%」と記す。
<顔料分散剤の合成>
500ml四つ口フラスコに、ラウリルメタクリレート(日本油脂(株))72.5g、ベヘニルメタクリレート(日本油脂(株))20.0g、ジメチルアミノエチルメタクリレート(和光純薬工業(株))5.0g、グリシジルメタクリレート(和光純薬工業(株))2.5gを混合し、さらに重合開始剤としてV−65(和光純薬工業(株))1.5g、連鎖移動剤としてステアリルメルカプタン(和光純薬工業(株))1.2g、AF7(AFソルベント7号、ナフテン系溶剤、新日本石油(株))230.9gを加え、61℃±3℃の条件下で、還流させながら5時間反応を行って、顔料分散剤A溶液(固形分30%)を得た。反応後に、重合禁止剤としてメトキノン(p−メトキシフェノール)を微量(0.002g)添加した。
得られた顔料分散剤A溶液10gを120℃のホットプレートで5時間加熱した後に得られたポリマーは2.64g(収率88%)であり、その重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は、18000であった。
表1に示す構成モノマーを使用して、同様の方法で、顔料分散剤B〜Mの溶液(いずれも固形分30%のAF7溶液)を得た。セチルメタクリレートおよびステアリルメタクリレートは日本油脂(株)製、それ以外のモノマーは和光純薬工業(株)製のものを用いた。
得られたポリマーは、いずれも重量平均分子量15000〜30000であり、反応収率は85〜94%であった。
Figure 0005186198
<実施例1>
250mlのポリプロピレン製容器に、上記の顔料分散剤A溶液を45.0g、黒色顔料S170(デグサ社製カーボンブラック、一次粒子径17nm)27.0g、パルミチン酸イソオクチル(日光ケミカルズ(株))31.5g、AF7(上記同)31.5gを混合し、ジルコニアビーズ(直径0.5mm)450gを入れて、ロッキングミル((株)セイワ技研)により60分間分散したのち、ジルコニアビーズを濾別して顔料分散体を得た。
得られた顔料分散体135gを250ml三角フラスコに移し、アミン化合物としてデュオミンT(N−牛脂アルキル−1,3−ジアミノプロパン、ライオンアクゾ(株)製)0.875gを加え、80℃で5時間還流した。さらに、酢酸0.308gを添加して、30℃で24時間攪拌した。用いたアミン化合物は、全アミン価が323〜356であり、アルキル組成はC16が30%、C18が64%の化合物である。
得られた顔料複合体溶液に、非水系溶剤として、AF7(上記同)91.5g、AF4(AFソルベント4号、ナフテン系溶剤、新日本石油(株))10.0g、およびパルミチン酸イソオクチル(上記同)62.4g加え、内容物を3.0μmおよび0.8μmのメンブランフィルターで濾過してゴミおよび粗大粒子を取り除き、実施例1のインクを得た。インク中の顔料の配合量は9%であった。
<実施例2〜6、比較例1〜7>
表2に示す組成で、上記実施例1と同様にして、各インクを調製した。
実施例6および比較例6〜7では、顔料複合体化は行わず、顔料分散体を非水系溶剤で希釈するようにした。
得られたインクは、全て、インクジェットインクとしての適正範囲の粘度・顔料粒径を備えたものであった。粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける粘度であり、ハーケ社製応力制御式レオメータRS75(コーン角度1°、直径60mm)で測定した。
各インクの特性は、以下のようにして評価した。
<−5℃でのインク状態>
実施例および比較例の各インクを密閉容器に入れて−5℃の環境下に置き、インクの状態を目視で観察した。
<保存安定性(70℃)>
各インクを密閉容器に入れて、70℃の環境下で4週間放置し、その後インクの粘度変化を測定し、その測定結果を以下のように評価した。
粘度変化率:
[(4週間後の粘度値×100)/(粘度の初期値)]−100(%)
粘度変化率が5%未満のものをA、粘度変化率が5%以上10%未満のものをB、粘度変化率が10%以上のものをCとした。
<保存安定性(サイクル試験)>
各インクを密閉容器に入れて、50℃〜−20℃のサイクル環境下で4週間放置し、その後インクの粘度変化を測定し、その測定結果を以下のように評価した。
粘度変化率:
[(4週間後の粘度値×100)/(粘度の初期値)]−100(%)
粘度変化率が5%未満のものをA、粘度変化率が5%以上10%未満のものをB、粘度変化率が10%以上のものをCとした。
<印刷物の濃度>
各インクを、インクジェット記録装置「HC5500」(理想科学工業(株))に装填し、普通紙(理想用紙薄口(理想科学工業(株))に印字して、印刷物を得た。HC5000は、300dpiのライン型インクジェットヘッド(各ノズルが約85μm間隔で並ぶ)を使用し、主走査方向(ノズルが並んでいる方向)に直交する副走査方向に用紙を搬送して、印字を行うシステムである。
得られた印刷物の印刷面(表)のOD値を光学濃度計(RD920、マクベス社製)で測定して、1.1以上のものをA、1.0以上1.1未満のものをB、1.0未満のものをCとして評価した。
<印刷物の裏抜け>
上記得られた印刷物の非印刷面(裏)を目視で観察し、目立った裏抜けが無いものをA、裏抜けはあるが軽度のものをB、裏抜けが目立つものをCとして評価した。
<吐出安定性>
印刷動作を行った後、30分間印刷機を停止状態で放置し、その後印刷操作を再開したときに、全く不吐出が発生しないものをA、時々不吐出ノズルが発生するが、吸引クリーニング動作により回復するものをB、不吐出ノズルが頻発するものをCとして評価した。
<高湿下での放置回復性能>
各インクをインクジェットヘッドに充填し、温度45℃、湿度85%の環境下で4週間放置し、その後HC5500でインクを吐出させ、吐出状態を評価した。クリーニング動作により正常吐出できるものをA、クリーニング動作をかけても正常吐出できないものをCとして評価した。
以上の結果を、同じく表2に示す。
Figure 0005186198

Claims (4)

  1. 顔料と顔料分散剤と非水系溶剤とを含む非水系顔料インクにおいて、
    前記顔料分散剤が、構成モノマーとしてアルキル(メタ)アクリレートを、全構成モノマー中85モル%以上含むアクリル系ポリマーであり、
    全アルキル(メタ)アクリレートモノマーのうち、アルキル鎖長が炭素数12以上であるモノマーが82モル%以上、ドデシル(メタ)アクリレートが70〜85モル%、かつ、ドコシル(メタ)アクリレートが12〜26モル%それぞれ含まれている、非水系顔料インク。
  2. 前記アクリル系ポリマーが、構成モノマーとしてさらに、アミノ基、カルボキシ基、スルホ基、およびグリシジル基から選ばれる1種以上の官能基を有するモノマーを含むものである、請求項1記載の非水系顔料インク。
  3. 請求項1または2記載の非水系顔料インクを用いて印刷された印刷物。
  4. 構成モノマーとしてアルキル(メタ)アクリレートを、全構成モノマー中85モル%以上含むアクリル系ポリマーからなる非水系顔料インク用顔料分散剤であって、
    全アルキル(メタ)アクリレートモノマーのうち、アルキル鎖長が炭素数12以上であるモノマーが82モル%以上、ドデシル(メタ)アクリレートが70〜85モル%、かつ、ドコシル(メタ)アクリレートが12〜26モル%それぞれ含まれている、非水系顔料インク用顔料分散剤。
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