JP5792606B2 - インクジェット用非水系染料インク - Google Patents

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Description

本発明は、インクジェット用非水系染料インクに関する。
インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なヘッドノズルからインク粒子として噴射し、上記ノズルに対向して置かれた用紙等の記録媒体に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、近年急速に普及している。
溶剤からみると、インクは大きく、水系タイプインクと非水系タイプインクに分けられる。揮発性溶剤を主体とする溶剤系インクや不揮発性溶剤を主体とするオイル系インクのように、インク用溶媒として水を使用しない非水系インクは、水系インクに比べ乾燥性が良く、印刷適性にも優れている。
非水系インクの色材としては、染料と顔料を使用することができるが、染料を用いる場合、分散工程が不要といった利点がある。また、蛍光染料を用いることで蛍光色のインクを提供することができる。
非水系タイプのインクでは、油溶性染料が用いられるところ、この油溶性染料は、用紙に印刷した際に非水系溶剤とともに用紙内部に引き込まれやすい傾向がある。その結果、印刷濃度が低下して、裏抜け(印刷物の裏面にインクが浸透する現象)が発生しやすい。特に、蛍光染料を用いた場合に、普通紙に印刷すると着色はするものの蛍光強度が低下するという問題がある。
一方、特許文献1には、平板インキに適した蛍光油性インキにおいて、蛍光染料で染色されたシアノ基及びカルボキシル基含有のビニル共重合体(A)粒子からなる蛍光顔料(I)が含有されることが提案されている。しかし、顔料インクで蛍光強度を得るには、顔料の平均粒子径をサブミクロンサイズまで大きくしなければならない。インクジェット印刷の場合では、インクジェットヘッドから吐出させるには顔料の平均粒子径が大きすぎて、吐出安定性が低下することがある。また、顔料の平均粒子径が大きいと、顔料が沈降して、貯蔵安定性が低下することがある。
また、特許文献2には、ポリ(メタ)アクリル酸エステルと、グリシジル基等の所定の基を有するアクリルモノマーとの共重合体樹脂粒子で、顔料分散能を備えるものが提案されている。これは、顔料とともに使用され顔料分散剤として作用しており、染料を溶解させるためにはさらなる改善が要求される。
特開2005−54110号公報 特開2010−1452号公報
本発明の目的としては、インクジェット印刷に適し、印刷濃度が高く裏抜けが低減する、インクジェット用非水系染料インクを提供することである。
本発明の一側面としては、炭素数12以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位とを含むアルキル(メタ)アクリレート共重合体、染料、及び非水系溶剤を含む、インクジェット用非水系染料インクである。
本発明によれば、インクジェット印刷に適し、印刷濃度が高く裏抜けが低減する、インクジェット用非水系染料インクを提供することができる。
本発明の一実施形態によるインクジェット用非水系染料インク(以下、単に「インク」という場合がある)は、炭素数12以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位とを含むアルキル(メタ)アクリレート共重合体、染料、及び非水系溶剤を含む、ことを特徴とする。ここで、「(メタ)アクリレート」は、アクリレートおよびメタクリレートを意味する。このインクジェット用非水系染料インクは、インクジェット印刷に適し、印刷濃度を高くし、裏抜けを低減することができる。
本実施形態によるインクは、いかなる染料に対しても印刷濃度を高くし、裏抜けを低減することができるが、特に蛍光染料に対して、その蛍光強度を高くし、裏抜けを低減することができる。また、本実施形態によるインクは、インク粘度の上昇を抑制して、インク粘度を適正範囲内に調整することができ、吐出安定性に優れる。
これは、アルキル(メタ)アクリレート共重合体に、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位を有することで、このエポキシ基が染料と相互作用をして、共重合体と染料とが吸着性を示すと考えられる。これによって、染料の溶解性が高まるため、印刷濃度、すなわち蛍光染料では蛍光強度を高くすることができる。また、共重合体が溶剤離脱性を示すため、用紙等の記録媒体にインクが着弾後、用紙表面に共重合体とともに染料が留まり、溶剤のみが用紙内部に浸透する。これによって、印刷濃度を高めるとともに裏抜けを低減することができる。
さらに、アルキル(メタ)アクリレート共重合体に、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位を有することで、優れた吐出安定性を得ることができる。これは、極性の低い溶剤に対して染料の溶解性が高くなり、染料の析出、沈降が抑制されるためである。
本実施形態によるインクは、染料の溶解性が良好であるため、貯蔵安定性を良好に保つことができ、特に70℃程度の高温領域においても貯蔵安定性を良好に保つことができる。
また、本実施形態によるインクは、アルキル(メタ)アクリレート共重合体が染料とともに用紙表面に留まり、これによって、用紙表面で染料が共重合体によってコートされるようになって、印刷画像の定着性を向上することができる。特に、蛍光染料を光沢紙等の溶剤を吸収しにくい用紙に印刷する場合にも、その定着性をより向上することができる。
本実施形態によるインクは、炭素数12以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位とを含むアルキル(メタ)アクリレート共重合体を含む。
上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、炭素数12以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位を含むことより、非水系溶剤との親和性に優れる。アルキル基の炭素数は、より好ましくは12〜25である。炭素数12以上のアルキル基としては、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基、ヘンイコサニル基、ドコサニル基、イソドデシル基、及びイソオクタデシル基等が挙げられ、これらは分岐を有していてよい。また、これらの複数種が含まれていてもよい。
上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位を有することより、染料との吸着性に優れると考えられ、インク中で染料の溶解性を高めて、インク粘度の上昇を抑えて、優れた吐出安定性を得ることができる。
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位としては、(メタ)アクリレート単位の任意の部位にエポキシ基が結合していればよい。
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位は、アルキル(メタ)アクリレート共重合体に対し、1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上である。これによって、染料の析出や沈降を抑制することができる。一方、その上限値は、30質量%以下であることが好ましく、より好ましくは20質量%以下である。これによって、インク粘度の上昇を抑えて貯蔵安定性の低下を防止することができる。ここで、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位の配合割合は、アルキル(メタ)アクリレート共重合体を重合する際に使用したモノマー混合物総量に対する、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)の仕込み量の割合である。
上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体及び後述する染料は、その一部または全部がアルキル(メタ)アクリレート共重合体と染料とを混合し加熱処理したものとして含まれることが好ましい。これによって、アルキル(メタ)アクリレート共重合体と染料との吸着性が向上し、インク中で染料の溶解性が高まり、優れた吐出安定性を得ることができ、さらに、貯蔵安定性を向上することができる。
加熱処理の温度としては、アルキル(メタ)アクリレート共重合体と染料の吸着性を確実にするために、50℃以上が好ましく、より好ましくは70℃以上であり、一層好ましくは80℃以上である。一方、その上限値としては、染料が変性しないように、120℃以下が好ましく、より好ましくは100℃以下である。
上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、質量比で、固形分換算で、染料1に対し、0.1以上であることが好ましく、より好ましくは0.3以上であり、さらに好ましくは0.7以上である。これによって、染料の溶解性を確保して印刷濃度、裏抜け防止作用及び吐出安定性を向上させることができる。一方、アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、質量比で、固形分換算で、染料1に対し、3以下であることが好ましく、より好ましくは2以下であり、さらに好ましくは1.5以下である。これによって、インク粘度の上昇を抑えて、高温環境下においても優れた吐出安定性及び貯蔵安定性を得ることができる。
インク中におけるアルキル(メタ)アクリレート共重合体の含有量は、その効果を十分に得るために、固形分換算で、0.3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは1質量%以上である。一方、インク中におけるアルキル(メタ)アクリレート共重合体の含有量は、固形分換算で、インク粘度の観点から、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下である。
上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体の分子量(GPCで測定される質量平均分子量)は、特に限定されないが、インクの粘度と保存安定性及び吐出安定性の観点から、5000〜35000程度であることが好ましく、8000〜25000程度であることがより好ましい。
上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体のガラス転移温度(Tg)は、定着性の観点から、40℃以下であることが好ましく、さらには25℃以下であることがより好ましい。
本実施形態によるアルキル(メタ)アクリレート共重合体は、炭素数12以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(A)(以下、「モノマー(A)」ともいう。)と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)(以下、「モノマー(B)」ともいう。)とを含むモノマー混合物を共重合して得られるアルキル(メタ)アクリレート共重合体を用いることができる。
炭素数12以上の、好ましくは炭素数12〜25のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(A)としては、たとえば、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、イソラウリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート等を例示できる。これらは、複数種が含まれていてもよい。
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、3、4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル等が挙げられる。これらは、複数種が含まれていてもよい。
モノマー混合物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、上記のモノマー(A)、(B)以外の、これらと共重合しうるモノマー(C)を含むことができる。
このモノマー(C)としては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系ポリマー;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−オレフィン等が挙げられる。また、アルキル鎖長の炭素数が12未満のアルキル(メタ)アクリレート、たとえば2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート等を使用することもできる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
上記モノマー混合物において、アルキル(メタ)アクリレート(A)は、30質量%以上含まれていることが好ましく、40〜95質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることが一層好ましい。
エポキシ基を有する(メタ)アクリレート(B)は、1〜30質量%含まれていることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
モノマー(A)および(B)以外のモノマー(C)は、60質量%以下の量で含まれることが好ましく、10〜40質量%であることがより好ましい。
モノマー(C)として、β−ジケトン基(−C(=O)−C−C(=O)―)またはβ−ケト酸エステル基(−C(=O)−C−C(=O)OR、Rは炭化水素基)を有するモノマー(C1)を用いることがより好ましい。このモノマー(C1)を含むことにより、インクの粘度を下げることができる。したがって、インクの溶剤を選択する際に、溶剤自身の粘度値に基づく制約が少なくなり、非水系溶剤の選択の幅を拡げることができる。また、必要に応じて定着用樹脂または添加剤などを配合する際の、配合成分によるインク粘度増加の許容範囲が広がり、インク処方の自由度を広げることも可能となる。
モノマー(C1)のβ−ジケトン基としては、たとえば好ましい例としてアセトアセチル基、プロピオンアセチル基等が挙げられ、β−ケト酸エステル基としては、たとえば好ましい例としてアセトアセトキシ基、プロピオンアセトキシ基等が挙げられるが、これらに限定されることはない。
モノマー(C1)としては、たとえば、エステル鎖にβ−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を含む(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドが好ましい例として挙げられる。より詳細には、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、ヘキサジオン(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を併用することができる。
モノマー(C1)が含まれる場合の配合量は、配合することにより得られる効果とイン
クの貯蔵安定性を考慮し、モノマー混合物中に3〜30質量%であることが好ましく、5
〜20質量%であることがより好ましい。
上記の各モノマーは、公知のラジカル共重合により、容易に重合させることができる。反応系としては、溶液重合または分散重合で行うことが好ましい。
この場合、重合後の共重合体の分子量を上述した好ましい範囲とするために、重合時に連鎖移動剤を併用することが有効である。連鎖移動剤としては、たとえば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタンなどのチオール類が用いられる。
重合開始剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日本油脂株式会社製)等の過酸化物など、公知の熱重合開始剤を使用することができる。その他にも、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生する光重合型開始剤を用いることができる。
溶液重合に用いる重合溶媒には、たとえば石油系溶剤(アロマフリー(AF)系)などを使用できる。この重合溶媒は、そのままインクの非水系溶剤として使用できる溶媒(後述)のなかから1種以上を選択することが好ましい。
重合反応に際し、その他、通常使用される重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に添加することもできる。
上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、共重合体の1〜40質量%のウレタン結合[−O(C=O)NH−]を含むウレタン結合部を備えることができ、これによって、ウレタン結合部は極性が高いので染料との親和性にさらに優れると考えられる。
ウレタン結合部は、上記したアルキル(メタ)アクリレート共重合体の重合反応において、モノマー(A)、モノマー(B)及び適宜モノマー(C)を用いてラジカル共重合を行い、続けて、第二段目の反応として、エポキシル基と反応性の基及びアルコール性水酸基とを有する化合物を、得られた共重合体と反応させ、次いで、第三段目の反応として、アルコール性水酸基と多価イソシアネート化合物とを重付加反応させることにより得ることができる。
第二段目の反応において使用される、エポキシ基と反応する基及びアルコール性水酸基とを有する化合物としては、アミノ基、水酸基、カルボキシル基を有するアルコールが挙げられ、好ましくはアミノアルコール及び/又は多価アルコールが使用される。アミノアルコールとしては、炭素数が2〜10のモノオールアミン、例えばモノメチルエタノールアミン、炭素数が4〜20のジオールアミン、例えばジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びこれらの混合物が挙げられ、なかでも、炭素数が4〜20のジアルカノールアミンが好ましい。アミノアルコールは、上記モノマー(B)のエポキシ基1モルに対して、0.05〜1モル当量で反応させることが好ましく、0.1〜1モル当量で反応させることがより好ましい。この範囲であれば、反応に寄与しない遊離のアミノアルコールもあるため、アルキル(メタ)アクリレート共重合体に未反応のエポキシ基が残存することになる。
多価アルコールとしては、炭素数2〜20のアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。好ましくは、多価アルコールはアミノアルコールと組み合わせて使用される。その場合、多価アルコールは、アミノアルコールのアミノ基中の活性水素1モルに対して、好ましくは水酸基が10モル以下になる量、より好ましくは1〜5モルになる量で用いる。
第二段目の反応は、第一段目で得られる共重合体溶液にアミノアルコール及び/又は多価アルコールを添加して、不活性ガスを通気して攪拌しながら、加熱することによって行うことができる。
第三段目の反応で使用される多価イソシアネート化合物としては、炭素数6〜16のアルキレン基等の脂肪族基、シクロアルキレン基等の脂環式基又はアリレーン基等の芳香族基を有する多価イソシアネート、例えば、1,6−ジイソシアナートへキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、及びこれらの混合物が挙げられる。このイソシアネート化合物は、未反応アルコール性水酸基が残らないようにするために、アルコール性水酸基に対してほぼ当量(0.98〜1.02モル当量)で反応させることが好ましい。
第三段目の反応は、第二段目で得られる共重合体溶液に多価イソシアネート化合物を添加し、定法に従い錫触媒等の存在下で加熱して行うことができる。
ウレタン結合部の配合量としては、上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体総量に対し、1〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは1〜30質量%であり、さらに好ましくは5〜20質量%である。このウレタン結合部の配合量は、反応に使用したアミノアルコール、多価アルコール及びイソシアネート化合物の合計質量である。
本実施形態による染料は何色であってもよいが、特に蛍光染料でその効果を得ることができる。蛍光染料としては、カラーインデックスナンバー(以下、「C.I.」で示す。)Basic Yellow 1、同40、C.I.Basic Red 1、同13、C.I. Basic Violet 7、同10、C.I. Basic Orange 22、C.I. Basic Blue 7、C.I. Basic Green 1、C.I. Acid Yellow 3、同7、C.I. Acid Red 52、同77、同87、同92、C.I. Acid Blue 9、C.I. Disperse Yellow 121、同82、同83、C.I. Disperse Orange 11、C.I. Disperse Red 58、C.I. Disperse Blue 7、C.I. Direct Yellow 85、C.I. Direct Orange 8、C.I. Direct Red 9、C.I. Direct Blue 22、C.I. Direct Green 6、C.I. Fluorescent Brightening Agent 55、C.I. Fluorescent Brightening Whitex WS 52、C.I. Fluorescent 162、同112、C.I. Solvent Yellow 44、C.I. Solvent Red 49、C.I. Solvent Blue 5、C.I. Solvent Pink、及びC.I. Solvent Green 7等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。市販品としては、例えば、Aizen Spilon C−GNHnew、Aizen Spilon Red C−BH、Aizen Spilon S.P.T. Blue26(いずれも保土ヶ谷化学工業株式会社製)等を挙げることができる。
染料としては、通常の染料であってもよく、例えば、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等の油溶性染料を挙げることができる。
これらの染料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
インク中の染料の含有量は、通常0.1〜5質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から0.5〜3質量%であることが好ましい。
本実施形態によるインクにおいて、非水系溶剤とは、非極性有機溶剤および極性有機溶剤であって、50%留出点が150℃以上の溶剤をいう。50%留出点は、JIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定される、質量で50%の溶剤が揮発したときの温度を意味する。安全性の観点からは、50%留出点が160℃以上、好ましくは230℃以上のものを用いることが好ましい。
たとえば、非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、たとえば、JX日鉱石油株式会社製「テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7」、Exxon社製「Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxsolD40、ExxsolD80、ExxsolD100、ExxsolD130、ExxsolD140」等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、JX日鉱石油株式会社製「日石クリーンソルG」(アルキルベンゼン)、Exxon社製「ソルベッソ200」等を好ましく挙げることができる。
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤、およびこれらの混合溶剤を用いることができる。より具体的には、
ラウリル酸ヘキシル、、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなどの、1分子中の炭素数が14以上のエステル系溶剤;
イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの、1分子中の炭素数が12以上であるアルコール系溶剤;
イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの高級脂肪酸系溶剤;
エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノオクチルエーテル、ジエチレングリコールモノオクチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのエーテル系溶剤、が好ましく挙げられる。
これらの非水系溶剤は、単独で、または2種以上を混合して用いることができる。
極性は、溶剤の溶解度という観点からα値で表すことができる。本実施形態では、安全性と印刷物の用紙変形の少ない高沸点溶剤という観点から、α値10以下の溶剤を含むことが好ましい。これによって、環境への溶剤揮発を少なくするとともに印刷物の用紙変形を抑制することで高速印刷が可能となっている。また、本実施形態では、染料の溶解性を補助するという観点から、α値60以下のアルキレングリコール系溶剤を含むことが好ましい。これによって、染料の析出、沈降を抑制することが可能となっている。
α値とは、tanα(=無機性値/有機性値)で与えられる値である。ここで、「無機性値」および「有機性値」は、藤田穆により提案された「有機概念図」において用いられる特性であり、有機化合物をその炭素領域の共有結合連鎖に起因する「有機性」(共有結合性)と、置換基(官能基)に存在する静電性の影響による「無機性」(イオン結合性)との2因子に分けて、それぞれを数値化したものである。すなわち、「無機性値」および「有機性値」は、個々の有機化合物の構造等から求められ、両者の比であるα値は化合物の「有機性」と「無機性」のバランスを定量的に示す値である。「有機概念図」に関連する事項は、藤田穆著「系統的有機定性分析(混合物編)」風間書房(1974年)などに詳述されている。
α値10以下の溶剤としては、上記した非水系溶剤のうち、α値が0の溶剤として脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤が挙げられるがその例として、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7、Isopar(アイソパー)G、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxsolD40、ExxsolD80、ExxsolD100、ExxsolD130、ExxsolD140、日石クリーンソルG、ソルベッソ200等が挙げられる。その他にラウリル酸ヘキシル(α値9.5°)パルミチン酸イソオクチル(α値7.3°)、パルミチン酸ヘキシル(α値8.5°)、パルミチン酸イソステアリル(α値5.4°)、オレイン酸メチル(α値9.3°)などの高級脂肪酸エステルが挙げられる。α値10以下の溶剤は、非水系溶剤総量に対し、機上安定性とトナー樹脂の溶解抑制の観点から、30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは50質量%以上である。一方、その上限値は、クリアファイルの膨潤抑制の観点から、90質量%以下であることが好ましい。
α値が60以下のアルキレングリコール系溶剤としては、上記した非水系溶剤のうち、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノオクチルエーテル等を挙げることができる。α値60以下のアルキレングリコール系溶剤は、染料の溶解性の観点から、非水系溶剤総量に対し、3質量%以上であることが好ましく、より好ましくは5質量%以上である。一方、その上限値は、インクの安定性の観点から、20質量%以下であることが好ましく、より好ましくは15質量%以下である。
本実施形態によるインクには、本発明の効果を阻害しない範囲内で、任意の成分を含むことができる。たとえば、上記アルキル(メタ)アクリレート共重合体以外の樹脂として、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エチレン−酢ビ系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、塩酢ビ系樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を含むことができる。
ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを適宜添加することもできる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。
本実施形態によるインクの調製方法は特に限定されず、通常の方法によって調製することができる。例えば、非水系溶剤のうち極性溶剤に染料を溶解し、次に、これに残りの非水系溶剤を混合し、さらにアルキル(メタ)アクリレート共重合体を添加して調製することができる。好ましくは、インクを例えば50℃〜120℃の範囲で加熱して調整することで、アルキル(メタ)アクリレート共重合体と染料との吸着性をより向上させることができる。
インクの粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、最も好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
本実施形態によるインクを用いた印刷方法は、特に限定されないが、インクジェット記録装置を用いて行われることが好ましい。インクジェットプリンタは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
記録媒体としては、特に限定されず、普通紙、上質普通紙、インクジェット(IJ)紙、IJマット紙、記録媒体上にインク吸収溶液がコートされたコート紙、コート紙よりもインク吸収層の厚みが薄い微コート紙、光沢紙(フォト光沢用紙)、特殊紙、布等で使用することができる。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、「質量%」を単に「%」と記す。
<メタクリレート共重合体の調製>
500mlの四つ口フラスコに、AFソルベント7号(ナフテン系溶剤、JX日鉱日石エネルギー株式会社製)125gを仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。
次いで、温度を110℃に保ちながら、この四つ口フラスコに、表1に示す組成の単量体混合物を仕込み、そこへ25gのAFソルベント7号と6gのパーブチルO(t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエート、日油株式会社製)との混合物を3時間かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間および2時間後に、パーブチルOを各0.2g添加した。さらに、110℃で1時間熟成を行い、72.1gのAFソルベント7号で希釈して、不揮発分40%の無色透明の共重合体溶液を得た。
共重合体溶液の固形分と溶剤組成は次の通りであった。
共重合体a溶液:固形分40%、AFソルベント7号60%
共重合体b溶液:固形分40%、AFソルベント7号60%
得られた共重合体の質量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は次の通りであった。
共重合体a:12300
共重合体b:11800
Figure 0005792606
使用した単量体の詳細は、次の通りである。
ベヘニルメタクリレート:分子量339、アルキル基の炭素数22、ブレンマーVMA−70、日油株式会社製
ドデシルメタクリレート:分子量254、アルキル基の炭素数12、ブレンマーLMA、日油株式会社製
グリシジルメタクリレート:分子量142、エポキシ基含有、ブレンマーG、日本油脂株式会社製
アセトアセトキシメタクリレート:分子量228、AAEM、日本合成化学工業株式会社製
<ビニル共重合体cの調製>
冷却装置、温度制御装置、モノマー滴下用ポンプ及び攪拌装置を取り付けた反応容器を、温水槽にセットした。次に、この反応容器中に、重合ロジンエステル樹脂(荒川化学工業株式会社製“ペンセルPHB”)129部、油変性アルキッド樹脂(大日本インキ化学工業株式会社製“ベッコゾールES−6015−60”)33部、AFソルベント7号138部を仕込み溶解するまで加温した後、内温を75℃にして、重合開始剤であるα,α'−アゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBNと略称する。)を4.2部投入し、溶解させた。次いで、別の容器でメタクリル酸メチル165部、アクリロニトリル120部、及びアクリル酸15部からなる混合モノマーを溶解させた後、AIBNを1.8部添加し、溶解させたものをポンプにより前述の反応容器内に攪拌下5時間に亘って滴下し、6時間で反応させた。
共重合体溶液の固形分と溶剤組成は次の通りであった。
ビニル共重合体c溶液:固形分66.7%、AFソルベント7号33.3%
得られた共重合体の質量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は次の通りであった。
ビニル共重合体c:27300
<インクの調製>
(実施例1)
表2に示す配合で実施例1のインクを調製した。具体的には、極性溶剤であるトリエチレングリコールモノブチルエーテルに蛍光染料を溶解し、これに非極性溶剤であるAFソルベント7号及びパルミチン酸イソオクチルを混合し、さらに共重合体溶液を添加して、100℃、3時間で加熱した。
<実施例2〜6、比較例1〜7>
表2及び表3に示す配合で、上記実施例1と同様にして各実施例および比較例のインクを得た。さらに、実施例4及び6では、インク調製時の温度を25℃にした。比較例1、2、6及び7では、共重合体溶液を添加せず、インク調製時の温度を25℃にした。比較例3では、共重合体a溶液の代わりにエポキシ基を含有しない共重合体b溶液を使用した。比較例4では、共重合体a溶液の代わりにソルスパース11200を使用した。比較例5では、共重合体a溶液の代わりにビニル共重合体c溶液を使用した。
Figure 0005792606
Figure 0005792606
使用した成分は次の通りである。
AIZEN COLOR SPILON RED C−BH:赤系蛍光染料、保土ヶ谷化学工業株式会社製
AIZEN S.P.T. Blue 26:青系蛍光染料、保土ヶ谷化学工業株式会社製
共重合体a溶液:エポキシ基含有共重合体溶液、固形分40%
共重合体b溶液:エポキシ基なし共重合体溶液、固形分40%
ソルスパース11200:固形分50%、日本ルーブリゾール社製
ビニル共重合体c溶液:シアノ基、カルボキシル基含有共重合体溶液、固形分66.7%
AFソルベント7号:ナフテン系溶剤、JX日鉱日石エネルギー株式会社製
パルミチン酸イソオクチル:「NIKKOL IOP」、日光ケミカルズ株式会社製
トリエチレングリコールモノブチルエーテル:ブチセノール30、協和発酵ケミカル株式会社製
<評価>
上記した各インクを用いて、インク外観、吐出安定性、蛍光強度、裏抜け防止作用、貯蔵安定性及び定着性について評価を行った。結果を表2及び表3に併せて示す。
(インク外観)
上記した各インクの外観を目視で観察して、以下の基準で評価した。
A:透明
B:分離、沈降がある
C:溶剤と染料が完全に分離して不溶
なお、比較例1及び6では、評価がCで溶剤と染料が完全に分離して不溶であり、その他の評価ができなかった。
(吐出安定性)
上記した各インクをライン式インクジェットプリンタ「HC5500」(理想科学工業株式会社製)に装填し、普通紙(理想用紙薄口、理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm(ノズル600本分)×副走査方向260mmのベタ画像を100枚連続して印刷した。なお、「HC5500」は、300dpiのライン型インクジェットヘッド(各ノズルが約85μm間隔で並ぶ)を使用し、主走査方向(ノズルが並んでいる方向)に直交する副走査方向に用紙を搬送して印字を行うシステムである。
インクの不吐出による非印字部分は白いスジとなって観察されるが、この白スジが100枚の印刷物(延べでノズル6万本に相当)中に何本発生するかによって、吐出安定性を以下の基準で評価した。
A:不吐出がない
B:不吐出がある、または吐出できない。
(蛍光強度)
上記した各インクをライン式インクジェットプリンタ「HC5500」に装填し、普通紙(理想用紙薄口、理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm(ノズル600本分)×副走査方向260mmのベタ画像を印刷することにより、印刷物を得た。
得られた印刷物のベタ画像部分に、UV照射ランプ「Handy UV LampSLUV−4」(AS ONE株式会社製)を用いて365nmの波長の光を照射し、目視で蛍光強度を観察し、以下の基準で評価した。
AA:はっきりと蛍光発色しているのが分かる。
A:部屋を暗くするとはっきりと蛍光発色しているのが分かる。
B:部屋を暗くすると蛍光発色しているのが確認できるが、発色強度が弱く色がくすんで見える。
C:部屋を暗くしても蛍光発色が確認できない。
(裏抜け防止作用)
上記した各インクをライン式インクジェットプリンタ「HC5500」に装填し、両面マット紙(理想用紙マットIJ(W)、理想科学工業株式会社製)に、主走査方向約51mm(ノズル600本分)×副走査方向260mmのベタ画像を印刷することにより、印刷物を得た。
得られた印刷物のベタ画像部分の裏面を目視で観察して、以下の基準で裏抜け防止作用を評価した。
AA:ほとんど裏抜けしていない。
A:わずかに表面の蛍光色が確認できる。
B:表面よりも薄いが表面の蛍光色を確認できる。
C:表面とほとんど変わらない蛍光色が確認できる。
(貯蔵安定性(70℃、1ヶ月間))
上記した各インクについて初期粘度を測定した後に、各インクをそれぞれ密閉容器に入れて、70℃の環境下で1ヶ月間放置し、その後インクの粘度を測定し、粘度変化率((放置後の粘度)/(初期粘度)×100(%))を求め、以下の基準で評価した。インクの粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける粘度であり、ハーケ社製応力制御式レオメータRS75(コーン角度1°、直径60mm)で測定した。
A:粘度変化率が±10%以内で沈降、分離がない。
B:粘度変化率が±10%超過で沈降、分離がない。
C:沈降、分離がある。
(定着性)
上記した各インクをライン式インクジェットプリンタ「HC5500」に装填し、光沢紙(インクジェットペーパー写真画質A4光沢薄手、株式会社DNPフォトマーケティング製)に、主走査方向約51mm(ノズル600本分)×副走査方向260mmのベタ画像を印刷することにより、印刷物を得た。
得られた印刷物のベタ画像部分を指でこすり、指へのインクの付着及びインクのこすれを目視で観察し、以下の基準で評価した。
A:指にインクが付かなくて、インクがこすれない。
B:指にインクが付く。インクがこすれている。
C:印刷物に不吐出が多く、評価できない。
表2及び表3に示す通り、各実施例のインクでは、吐出安定性、蛍光強度、裏抜け防止作用、貯蔵安定性及び定着性が良好であった。実施例1〜3及び5では、インク製造時の温度が100℃であり、染料と共重合体aとの吸着性が高まり、貯蔵安定性がより向上した。実施例1及び3では、実施例2と比べ、共重合体a溶液の配合量が多く、裏抜け防止作用がより向上した。
比較例1及び2は、共重合体溶液を含まない例であり、比較例1では非極性溶剤を主成分とする溶剤系に染料が溶解せず、比較例2では極性溶剤を主成分とする溶剤に染料が溶解するが、極性溶剤のため裏抜け防止作用が低下し、定着性も低下した。染料の種類が異なる比較例6及び7でも同様の結果であった。比較例1及び6では、溶剤と染料が不溶であるため蛍光強度の評価はできなかったが、発色に十分な量の染料がインク中に均一に存在していないため、蛍光強度は低下すると考えられる。
比較例3では、エポキシ基を含有しない共重合体b溶液を含み、吐出安定性が低下し、貯蔵安定性も低下した。比較例3では、共重合体bがエポキシ基を含有しないため、染料の吸着性が低下してインク中で染料が析出しやすく、貯蔵安定性が低下し、吐出安定性も低下すると考えられる。
比較例4では、ソルスパース11200を含み、裏抜け防止作用が低下し、定着性も低下した。比較例5では、ビニル共重合体c溶液を含み、吐出性が悪く、全ノズルから吐出することができず一部のノズルからしか吐出することができず、均一なべた画像を得ることができなかった。

Claims (7)

  1. 炭素数12以上のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート単位と、エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位とを含むアルキル(メタ)アクリレート共重合体、
    染料、
    及び非水系溶剤を含む、
    インクジェット用非水系染料インク。
  2. 前記アルキル(メタ)アクリレート共重合体及び前記染料は、前記アルキル(メタ)アクリレートと前記染料とを混合し加熱処理したものを含む、請求項1に記載のインクジェット用非水系染料インク。
  3. 前記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート単位は、前記アルキル(メタ)アクリレート共重合体に対し、1質量%〜30質量%である、請求項1または2に記載のインクジェット用非水系染料インク。
  4. 前記アルキル(メタ)アクリレート共重合体は、質量比で、前記染料1に対し、0.1〜3である、請求項1から3のいずれか1項に記載のインクジェット用非水系染料インク。
  5. 前記非水系溶剤は、α値10以下の溶剤を30〜90質量%含む、請求項1から4のいずれか1項に記載のインクジェット用非水系染料インク。
  6. 前記非水系溶剤は、α値60以下のアルキレングリコール系溶剤を3〜20質量%含む、請求項1から5のいずれか1項に記載のインクジェット用非水系染料インク。
  7. 前記染料は蛍光染料である、請求項1から6のいずれか1項に記載のインクジェット用非水系染料インク。
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