JP2015124382A - 非水系インク - Google Patents
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Abstract
【解決手段】色材と、アミノ基を有する水溶性樹脂と、非水系樹脂と、非水系溶剤と、脂肪酸又はアルキル化剤とを少なくとも含む非水系インクである。脂肪酸としては、液体の不飽和脂肪酸であるものが好ましい。アルキル化剤としては、炭酸ジアルキル又は硫酸ジアルキルであることが好ましい。
【選択図】なし
Description
以上のことから、消費電力を抑えるには、低温環境でのインクを低粘度化することが考えられるが、そのための手段として、インクの低粘度化を図ることは極めて有効である。インク中の色材量、粉体量を減らせばインクの低粘度化を図ることが可能であるが、そうすると印字濃度が下がり画像品質が低下してしまうという問題がある。
しかし、特許文献2に記載されている非水溶性樹脂分散微粒子は、炭化水素系非極性溶剤中において、顔料に吸着する官能基(ウレタン基)が内側に、炭化水素系非極性溶剤と親和性の高いアルキル基が外側に向く形態で分散するため、非水溶性樹脂分散微粒子は顔料に吸着しにくく、少量では充分な顔料分散性が確保できない。このため、顔料に対しての非水溶性樹脂分散微粒子を予め多く処方する必要があり、そうするとインク粘度が高くなってしまうという問題がある。一方で、顔料分散性は炭化水素系非極性溶剤と顔料との親和性がよいことが必要であるが、親和性が高すぎると、炭化水素系非極性溶剤が記録媒体に浸透する際に顔料も記録媒体内部に引き込まれやすい傾向がある。その結果、印刷濃度が低くなり、裏抜けが発生しやすくなる。
(1)色材と、アミノ基を有する水溶性樹脂と、非水系樹脂と、非水系溶剤と、脂肪酸又はアルキル化剤とを少なくとも含む非水系インク。
本発明の非水系インクは、色材と、アミノ基を有する水溶性樹脂と、非水系樹脂と、非水系溶剤と、脂肪酸又はアルキル化剤とを少なくとも含むことを特徴としている。
本発明の非水系インクは、本出願人が提案した非水系顔料インク(特願2012−151614)の効果(省電力化、サテライト抑制及び印刷濃度の向上、低温適性と顔料分散安定性を確保、裏抜けを抑制)を維持しつつ、ノズルプレートに対するインクの濡れ性(撥インク性)の改善と、アミン臭の低減とを図ったものである。
上記出願に係る非水系顔料インクにおいては、インク製造時において、非水系樹脂とアミノ基を有する水溶性樹脂とが反応するのであるが、当該水溶性樹脂の一部が未反応で残存することがある。そして、その未反応の水溶性樹脂は、アミノ基由来のアミン臭の原因となったり、ノズルプレートの対する濡れ性が高くなる原因となったりする。本発明においては、(1)脂肪酸を添加して上記未反応の水溶性樹脂のアミノ基と反応し塩を生成することで、あるいは(2)アルキル化剤を添加して上記水溶性樹脂のアミノ基を3級化又は4級化することで、上記問題の解決を図ったものである。
以下に本発明の非水系インクの各成分について詳述する。
本発明の非水系インクに含まれる色材としては、顔料と染料とが挙げられる。以下に、それぞれについて説明する。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等の油溶性染料を挙げることができる。
これらの染料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り、2種以上を組み合わせて使用することもできる。低粘度化の観点で言えば、非極性有機溶剤を使用することが好ましい。
非極性有機溶剤の含有量は、インク溶剤全質量に対して20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、さらには50質量%以上が好ましい。炭化水素系非極性溶剤の含有量が溶剤全量に対して20質量%以上であると、十分に低粘度化を図ることができる。
また、本発明の非水系インクのアルキル化剤を用いる態様においては、高級脂肪酸系溶剤を用いることができる。当該高級脂肪酸系溶剤としては、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の、1分子中の炭素数が9以上の高級脂肪酸系溶剤が挙げられる。
非水系樹脂は、少なくとも炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(A)と、β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有するモノマー(B)とを含むモノマー混合物の共重合体からなるアクリル系樹脂、ヨウ素価が100gI2/100g以上の油及び/又は脂肪酸からなる油長が50質量%以上である油変性アルキド樹脂及び/又は脂肪酸変性アルキド樹脂、油変性ポリエステル樹脂及び/又は脂肪酸変性ポリエステル樹脂、または炭素数8〜18のアルキル基を有するエポキシ樹脂などが挙げられ、中でも、印刷濃度の向上、及び裏抜けの抑制の観点から、上記共重合体からなるアクリル系樹脂が好ましい。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、常温以下であることが好ましく、さらには0℃以下であることがより好ましい。これにより、インクが記録媒体上で定着する際に、常温で成膜を促進させることができる。
R1N=C=O + R−OH→ROCONHR1
上記により、色材への吸着基として作用するウレタン基が導入される。
込んだ原料に含まれるヒドロキシ基に対してほぼ当量(0.98〜1.02モル当量)で反応させることが好ましい。
アミノ基を有する水溶性樹脂は、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン等の塩基性高分子電解質またはそれらの誘導体を挙げることができ、特に、重量平均分子量が200〜2000のポリエチレンイミン、または、重量平均分子量200〜2000のポリエチレンイミンとアクリル酸エステルまたはビニル化合物のいずれかと付加反応した変性ポリエチレンイミンを好適に使用することができる。変性ポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミンの全アミン価を1モル当量とした場合に、アクリル酸エステルまたはビニル化合物との比率が0.3モル当量以上1モル当量未満のもの(以下、単に変性ポリエチレンイミンともいう)が好ましい。ここで、アミン価は、JIS K−7237−1995(エポキシ樹脂のアミン硬化剤の全アミン価試験方法)の(2)指示薬滴定方法によりアミン価(KOHmg/g)を求め、KOHの分子量56.11mg/mmolと換算して算出したものである。
ビニル化合物としては、アクリロニトリル、塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル、酢酸ビニル等を好ましく挙げることができる。
本発明において、脂肪酸は、アミノ基を有する水溶性樹脂のアミノ基と反応して塩を生成する。その結果、ノズルプレートに対するインクの親和性が抑制され、濡れ性を改善することができる。また、それとともにアミノ基由来のアミン臭を低減することができる。
当該脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸、イソパルチミン酸、リノール酸、αリノレン酸、ドコサヘキサエン酸等などが挙げられる。
以上の脂肪酸の中でも、低粘度化の観点から、不飽和脂肪酸が好ましい。不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、中でも、オレイン酸が好ましい。
また、アミノ基を有する水溶性樹脂に対する脂肪酸のモル比率は1.0〜150とすることが好ましく、5〜100とすることがより好ましく、10〜60とすることがさらに好ましい。
一方、本発明において、アルキル化剤は、水素結合を形成しうる1級アミノ基、または2級アミノ基を有する水溶性樹脂のアミノ基と反応し、当該アミノ基が3級化又は4級化され、その結果、ノズルプレートに対するインクの親和性が抑制され、濡れ性を改善することができる。また、それとともにアミノ基由来のアミン臭を低減することができる。
上記炭酸ジアルキル等の塩の中のアルキル基の炭素数は、1〜 8が好ましい。具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジ‐2‐エチルヘキシル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ヨウ化メチルが好適なものとして挙げられる。
また、アミノ基を有する水溶性樹脂に対するアルキル化剤のモル比率は、0.001〜10とすることが好ましく、0.005〜2とすることがより好ましく、0.01〜1とすることがさらに好ましい。
四つ口フラスコに、AFソルベント6号(ナフテン系溶剤;JX日鉱日石エネルギー(株)製)を仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながら表1に示す組成の単量体混合物とAFソルベント6号 、及びパーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;日油(株)製)との混合物を3時間かけて滴下した。110℃で1時間熟成を行い、不揮発分50%の無色透明の樹脂溶液aを得た。得られた樹脂溶液の重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は11600であった。
表2に示すように、四つ口フラスコに、上記で得られた樹脂溶液a(AFソルベント6号溶剤中に固形分50%)、プロピレングリコール(旭硝子(株)製)、ジエタノールアミン((株)日本触媒製)を仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。110℃に1時間保ち、樹脂溶液aのグリシジル基とジエタノールアミンとの反応を完結させた。その後、触媒としてジブチル錫ジラウレートを添加し、タケネート600(1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、三井化学ポリウレタン(株)製)とエキセパールHL(ラウリン酸ヘキシル,花王(株)製)との混合物を1時間かけて滴下した。滴下後、温度を120℃に昇温して6時間反応させた後、冷却して、固形分40%の樹脂溶液bを得た。得られた樹脂溶液bの重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は20700であった。
(非水系インクの調製)
各実施例・比較例において、表3及び表4に示す成分をそれぞれの配合比率で混合し、得られた調合液をビーズミルで充分に分散して非水系インク(以下、単に「インク」と呼ぶ。)を調製した。
(印刷濃度)
得られたインクをインクジェットプリンタ(オルフィスX9050、(理想科学工業(株)製)に装填し、印刷設定の用紙種類を普通紙、画像品質を標準(300x300dpi)として、普通紙(理想用紙薄口、理想科学工業(株)製)に印刷したベタ画像の表面と裏面のOD値を、光学濃度計(RD920、マクベス社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。表面のOD値が高ければ画像濃度が高く、裏面のOD値が低ければ裏抜けが少ないことを示している。
印刷濃度(表OD)
S:1.20以上
A:1.15〜1.19
B:1.10〜1.14
C:1.05〜1.09
D:1.04以下
印刷濃度(裏OD)
S:0.20以下
A:0.21〜0.25
B:0.26〜0.30
C:0.31以上
各インクを密閉容器に入れて、70℃の環境下で4週間放置し、その後インクの粘度変化を測定し、その測定結果を以下のように評価した。
粘度変化率:
[(4週間後の粘度×100)/(粘度の初期値)]−100(%)
S:粘度変化率が±3%未満
A:粘度変化率が±5%未満
B:粘度変化率が±10%未満
C:粘度変化率が±10%以上
得られたインクを−5℃で4週間放置した後、−5℃でのインク粘度を測定し、以下の基準で評価した。
A:50mPa・s未満
B:50mPa・s以上100mPa・s未満
C:100mPa・s以上
各インクをインクジェットプリンタ(オルフィスX9050、(理想科学工業(株)製)に装填して印刷動作を行った後、30分間印刷機を停止した状態で放置し、その後印刷操作を再開した時の吐出性を以下の基準で評価した。
A:全く不吐出が発生しない
B:時々不吐出が発生するが、吸引クリーニング動作により回復する
C:不吐出ノズルが頻発する
インクジェットプリンタ(オルフィスX9050、(理想科学工業(株)製)で、ヘッドギャップ3mm、環境温度15℃、印刷速度120ppm、解像度300dpi×300dpi でA4用紙に印字を行い、以下の基準で評価した。
A:サテライトはほとんど確認できず、画質良好
B:サテライトは確認できるが、画質は実使用に耐えられるレベル
C:サテライトが顕著であり、画質は実使用に耐えられないレベル
密閉できる容量100mlの容器に各インクを50g入れて密閉し23℃の環境に一晩放置した後、容器のふたを開けて容器の中の臭いを嗅ぎ、以下の基準で評価した。
A:アミン臭がしない
B:アミン臭がする
インクを30ml容器に入れ、ノズルプレートの片端をピンセットでつまみ、もう一方の片端2cmをインクに浸漬させた。その後、ノズルプレートを素早く引き上げ、ノズルプレート上に残ったインク膜がインク滴になるまでの時間(秒)を10回測定し、その平均値を撥インク時間(秒)とした。そして、ノズルプレートをインクに浸漬した状態で60℃で1か月放置後の撥インク時間を測定し、以下の基準で評価した。
A:4秒未満
B:4秒以上8秒未満
C:8秒以上
これに対して、比較例1〜4においては、撥インク性評価及びインク臭気評価のいずれか又は両方について良好な評価結果が得られなかった。脂肪酸を用いなかった比較例1は、撥インク性評価及びインク臭気評価のいずれも好結果が得られず、ポリエチレンイミンを用いなかった比較例2はインク臭気評価については当然ながら好結果が得られたが、撥インク性評価については好結果が得られなかった。脂肪酸の代わりにリン酸エステルを用いた比較例3は臭気評価は良好であったがノズルプレート浸漬評価において好結果が得られなかった。また、塩酸を用いた比較例4はインクの調製すらできなかった。
以上より、脂肪酸を使用することで、ノズルプレートに対するインクの濡れ性の改善及びアミン臭の低減が可能であることが示された。
(非水系インクの調製)
表5及び表6に示す割合で、得られた非水系樹脂 、ポリエチレンイミン((株)日本触媒製エポミンSP−012)、顔料(カーボンブラック、三菱化学(株)製MA77)、分散時溶剤としてAFソルベント6号、エキセパールHLを混合し、得られた調合液をビーズミルで充分に分散して顔料分散体を調製した。
その後、粘度調整用溶剤としてAFソルベント6号、エキセパールHL、及びアルキル化剤を加えて希釈してから、約70℃に加温して3時間攪拌を行い、得られた希釈液を遠心機にかけた後、3μmのメンブレンフィルターで濾過してゴミおよび粗大粒子を取り除いて非水系インク(以下、単に「インク」と呼ぶ。)を得た。
これに対して、アルキル化剤を用いなかった点においてのみ実施例10、11と異なる比較例5、6は、インク臭気及び撥インク性の評価において好結果が得られなかった。また、アルキル化剤は用いたものの、ポリエチレンイミンを用いなかった比較例7及び8においては、比較例7は分散すらできず、比較例8は、分散剤として非水系樹脂を少なくとも2倍量必要とするため、低温時にインク粘度が高くなるため低温適正が得られず、また、印刷濃度も悪くなる。
以上より、アルキル化剤を使用することで、ノズルプレートに対するインクの濡れ性の改善及びアミン臭の低減が可能であることが示された。
Claims (3)
- 色材と、アミノ基を有する水溶性樹脂と、非水系樹脂と、非水系溶剤と、脂肪酸又はアルキル化剤とを少なくとも含む非水系インク。
- 前記脂肪酸が液体の不飽和脂肪酸である請求項1に記載の非水系インク。
- 前記アルキル化剤が、炭酸ジアルキル又は硫酸ジアルキルである請求項1に記載の非水系インク。
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JP2013272460A JP2015124382A (ja) | 2013-12-27 | 2013-12-27 | 非水系インク |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2018131509A (ja) * | 2017-02-14 | 2018-08-23 | 理想科学工業株式会社 | 油性インクジェットインク |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH11197485A (ja) * | 1997-10-17 | 1999-07-27 | Kawaken Fine Chem Co Ltd | 分散剤 |
JPH11293173A (ja) * | 1998-04-06 | 1999-10-26 | Nippon Shokubai Co Ltd | 印刷画像耐水性向上剤およびその用途 |
JP2007197500A (ja) * | 2006-01-24 | 2007-08-09 | Riso Kagaku Corp | 非水系顔料インク |
-
2013
- 2013-12-27 JP JP2013272460A patent/JP2015124382A/ja active Pending
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