JP2015124382A - 非水系インク - Google Patents

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尚亨 部田
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真一郎 志村
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Abstract

【課題】省電力化、サテライト抑制、及び印刷濃度向上を維持しつつ、ノズルプレートに対するインクの濡れ性を改善し、かつアミン臭を低減し得る非水系インクを提供する。
【解決手段】色材と、アミノ基を有する水溶性樹脂と、非水系樹脂と、非水系溶剤と、脂肪酸又はアルキル化剤とを少なくとも含む非水系インクである。脂肪酸としては、液体の不飽和脂肪酸であるものが好ましい。アルキル化剤としては、炭酸ジアルキル又は硫酸ジアルキルであることが好ましい。
【選択図】なし

Description

本発明は、非水系インク、特にインクジェット記録装置の使用に適した非水系インクに関する。
インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なヘッドノズルからインク粒子として噴射し、上記ノズルに対向して置かれた記録媒体に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、近年急速に普及している。このようなインクジェット記録方式に用いられるインクとして、非水溶性溶剤に色材を微分散させたいわゆる非水系インクが知られている。
近年、資源環境や省エネルギーの観点からプリンタ等の機器の消費電力を、可能な限り低減することが望まれており、インクジェット印刷においても節電のために省電力化の要求が益々高まっている。
インクジェット記録装置では、インクジェットヘッドに設けられたインク室に圧力を付与して、インク室内のインクをノズルから吐出するが、低温環境下ではインクの粘度が高くなるため、所望量のインクを吐出するためにインクジェットヘッドの駆動電圧を大きくする必要があり、そのため消費電力が大きくなってしまう。また、駆動電圧が大きい状態で吐出をすると、サテライトが発生しやすくなる。サテライトは、記録媒体上に付着して印刷品質を低下させる。そのため、従来、サテライトが発生しやすい低温環境下では、印刷品質を確保するためにインクジェットヘッドを加温するいわゆるウォームアップ動作を行った後に記録を開始するように設計されている。このウォームアップ動作も消費電力の増大の原因となる。
以上のことから、消費電力を抑えるには、低温環境でのインクを低粘度化することが考えられるが、そのための手段として、インクの低粘度化を図ることは極めて有効である。インク中の色材量、粉体量を減らせばインクの低粘度化を図ることが可能であるが、そうすると印字濃度が下がり画像品質が低下してしまうという問題がある。
以上の問題を解決するため、例えば特許文献1には、顔料と、分散剤と、この分散剤の反応性官能基と反応して分散剤に化学結合した1分子中に1級および/または2級アミノ基を2個以上含む水溶性樹脂とが複合体となった着色剤を使用したインクが提案されている。このインクは、高い保存安定性と顔料分散性、ならびにノズル部での目詰まりが起きない吐出安定性を備えたものである。しかし、特許文献1に記載されている着色剤では、低温環境下においてインクを安定化させるためには分散剤の量を増やす必要があり、サテライトを抑制する程度にまで粘度を低下させることはできない。
ところで、炭化水素系の高沸点で低粘度の非極性溶剤(以下、単に炭化水素系非極性溶剤という)を用いることでインクの低粘度化が可能である。炭化水素系非極性溶剤をインク溶剤に用いることでインク溶剤の極性が変わることになり、顔料分散安定性が悪くなることがあるが、これは分散剤の構成を変えることで解決できると考えられる。特許文献2には、顔料分散能を有する非水溶性樹脂分散微粒子を含む非水系顔料インクが提案されている。
しかし、特許文献2に記載されている非水溶性樹脂分散微粒子は、炭化水素系非極性溶剤中において、顔料に吸着する官能基(ウレタン基)が内側に、炭化水素系非極性溶剤と親和性の高いアルキル基が外側に向く形態で分散するため、非水溶性樹脂分散微粒子は顔料に吸着しにくく、少量では充分な顔料分散性が確保できない。このため、顔料に対しての非水溶性樹脂分散微粒子を予め多く処方する必要があり、そうするとインク粘度が高くなってしまうという問題がある。一方で、顔料分散性は炭化水素系非極性溶剤と顔料との親和性がよいことが必要であるが、親和性が高すぎると、炭化水素系非極性溶剤が記録媒体に浸透する際に顔料も記録媒体内部に引き込まれやすい傾向がある。その結果、印刷濃度が低くなり、裏抜けが発生しやすくなる。
特開2008−19333号公報 特開2010−1452号公報
以上の問題を解決するため、本出願人は、顔料と、非水系溶剤と、非水溶性樹脂と、水溶性樹脂とを含む非水系顔料インクであって、前記非水溶性樹脂が少なくとも炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(A)と、β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有するモノマー(B)とを含むモノマー混合物の共重合体からなるアクリル系樹脂である非水系顔料インクを提案した(特願2012−151614)。一般に顔料分散剤は顔料表面に対して吸着と脱着を繰り返すことで平衡状態になってインク系安定化させているが、当該非水系顔料インクにおいては、顔料分散剤たる非水溶性樹脂を顔料表面に固定化でき、インクを安定化させることが可能である。これにより、省電力化、サテライト抑制及び印刷濃度の向上を図ることができるとともに、低温適性と顔料分散安定性を確保しながら、同時に裏抜けを抑制することができ、高い印刷濃度を実現することができる。
しかしながら、上記非水系顔料インクは、水溶性樹脂として、ポリエチレンイミンなどのアミノ基を含む水溶性樹脂を用いた場合、理由は不明であるがノズルプレート面にインクが付着しやすくなったり、不快なアミン臭を発したりするという問題があり、改善の余地が残されていた。
本発明は、上記従来の問題点に鑑みなされたものであり、その課題は、省電力化、サテライト抑制、及び印刷濃度向上を維持しつつ、ノズルプレートに対するインクの濡れ性(撥インク性)を改善し、かつアミン臭を低減し得る非水系インクを提供することにある。
前記課題を解決する本発明は以下の通りである。
(1)色材と、アミノ基を有する水溶性樹脂と、非水系樹脂と、非水系溶剤と、脂肪酸又はアルキル化剤とを少なくとも含む非水系インク。
(2)前記脂肪酸が、液体の不飽和脂肪酸である前記(1)に記載の非水系インク。
(3)前記アルキル化剤が、炭酸ジアルキル又は硫酸ジアルキルである前記(1)に記載の非水系インク。
本発明によれば、省電力化、サテライト抑制、及び印刷濃度向上を維持しつつ、ノズルプレートに対するインクの濡れ性(撥インク性)を改善し、かつアミン臭を低減し得る非水系インクを提供することができる。
<非水系インク>
本発明の非水系インクは、色材と、アミノ基を有する水溶性樹脂と、非水系樹脂と、非水系溶剤と、脂肪酸又はアルキル化剤とを少なくとも含むことを特徴としている。
本発明の非水系インクは、本出願人が提案した非水系顔料インク(特願2012−151614)の効果(省電力化、サテライト抑制及び印刷濃度の向上、低温適性と顔料分散安定性を確保、裏抜けを抑制)を維持しつつ、ノズルプレートに対するインクの濡れ性(撥インク性)の改善と、アミン臭の低減とを図ったものである。
上記出願に係る非水系顔料インクにおいては、インク製造時において、非水系樹脂とアミノ基を有する水溶性樹脂とが反応するのであるが、当該水溶性樹脂の一部が未反応で残存することがある。そして、その未反応の水溶性樹脂は、アミノ基由来のアミン臭の原因となったり、ノズルプレートの対する濡れ性が高くなる原因となったりする。本発明においては、(1)脂肪酸を添加して上記未反応の水溶性樹脂のアミノ基と反応し塩を生成することで、あるいは(2)アルキル化剤を添加して上記水溶性樹脂のアミノ基を3級化又は4級化することで、上記問題の解決を図ったものである。
以下に本発明の非水系インクの各成分について詳述する。
[色材]
本発明の非水系インクに含まれる色材としては、顔料と染料とが挙げられる。以下に、それぞれについて説明する。
(顔料)
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料等の有機顔料、及び、無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料が挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料が挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキシサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)等が挙げられる。無機顔料としては、代表的にはカーボンブラック及び酸化チタン等が挙げられる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の非水系インク中の顔料の含有量は、通常0.01〜20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から1〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることが一層好ましい。
(染料)
染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料等の油溶性染料を挙げることができる。
これらの染料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
本発明の非水系インク中の染料の含有量は、通常0.01〜10質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から0.3〜5質量%であることが好ましく、0.5〜3質量%であることが一層好ましい。
インク中の色材の平均粒子径は、500nm以下程度であることが好ましく、200nm以下であることがより好ましく、150nm以下であることが一層好ましい。一方、印刷物の裏抜けを抑制するため、この平均粒子径は50nm以上程度であることが好ましい。ここで、色材の平均粒子径は、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布測定装置LB−500により測定される体積基準の値である。
[非水系溶剤]
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り、2種以上を組み合わせて使用することもできる。低粘度化の観点で言えば、非極性有機溶剤を使用することが好ましい。
非極性有機溶剤の含有量は、インク溶剤全質量に対して20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、さらには50質量%以上が好ましい。炭化水素系非極性溶剤の含有量が溶剤全量に対して20質量%以上であると、十分に低粘度化を図ることができる。
非極性有機溶剤の含有量がインク溶剤全質量に対して50質量%以上の場合、インク粘度のさらなる低粘度化と、貯蔵安定性のさらなる改善の効果を得ることができる。非極性有機溶剤の含有量がインク溶剤全質量に対して50質量%以上となると、水溶性樹脂はインク溶剤中にはほとんど遊離することなく、顔料の近傍に集まり、顔料の表面に強固に吸着するようになる。このため、溶剤自体の低粘度化だけでなく、溶剤中の遊離樹脂量を低減できることでの低粘度化の効果を得ることが可能となるとともに、顔料の分散安定性をより向上させることが可能となるものと推測される。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系の溶剤が挙げられる。例えば、以下の商品名で販売されているものが挙げられる。テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、ナフテゾールL、ナフテゾールM、ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、アイソゾール300、アイソゾール400、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、及びAFソルベント7号(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製);アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD80、エクソールD100、エクソールD130、及びエクソールD140(いずれも東燃ゼネラル石油株式会社製)。芳香族炭化水素溶剤としては、グレードアルケンL、グレードアルケン200P(いずれもJX日鉱日石エネルギー株式会社製)、ソルベッソ200(東燃ゼネラル石油株式会社製)等が挙げられる。
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、等を好ましく挙げることができる。例えば、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル等の、1分子中の炭素数が14以上のエステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等の、1分子中の炭素数が8以上の高級アルコール系溶剤、等が挙げられる。
また、本発明の非水系インクのアルキル化剤を用いる態様においては、高級脂肪酸系溶剤を用いることができる。当該高級脂肪酸系溶剤としては、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等の、1分子中の炭素数が9以上の高級脂肪酸系溶剤が挙げられる。
[非水系樹脂]
非水系樹脂は、少なくとも炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート(A)と、β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有するモノマー(B)とを含むモノマー混合物の共重合体からなるアクリル系樹脂、ヨウ素価が100gI/100g以上の油及び/又は脂肪酸からなる油長が50質量%以上である油変性アルキド樹脂及び/又は脂肪酸変性アルキド樹脂、油変性ポリエステル樹脂及び/又は脂肪酸変性ポリエステル樹脂、または炭素数8〜18のアルキル基を有するエポキシ樹脂などが挙げられ、中でも、印刷濃度の向上、及び裏抜けの抑制の観点から、上記共重合体からなるアクリル系樹脂が好ましい。
上記アクリル系樹脂においては、炭素数8〜18のアルキル基を含むことで前記非水系溶剤の炭化水素系非極性溶剤と相溶性が高く、これによって非水系溶剤に溶解した状態となり、その一方で、β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を含むことによりインクの粘度を下げることができ、低温適性をより向上させることができる。また、粘度上昇が抑制されることで、インクが記録媒体に着弾する際のインクの静電的な凝集、定着にも寄与し、結果的に印刷濃度を向上させ、裏抜けの抑制を実現することができる。
上記アクリル系樹脂においてアルキル基の炭素数が19以上になると低温で非水溶性樹脂が固化しやすくなり低温適性が悪くなることがある。一方で、炭素数が7以下の場合には、炭化水素系非極性溶剤との相溶性が下がって、色材を安定的に分散することができないので貯蔵安定性が悪くなり、インクの粘度も高くなってしまうことがある。また、低温環境ではインク粘度がさらに高くなってしまうこととなり低温適性が悪くなる。上記アルキル基の炭素数は12〜18であることがより好ましい。
上記炭素数8〜18のアルキル基は、直鎖であっても分岐鎖であってもよい。具体的には、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等が挙げられ、これらは複数種が含まれていてもよい。
官能基を構成するβ−ジケトン基としては、たとえば好ましい例としてアセトアセチル基、プロピオンアセチル基等が挙げられ、β−ケト酸エステル基としては、たとえば好ましい例としてアセトアセトキシ基、プロピオンアセトキシ基等が挙げられる。
アクリル系樹脂の分子量(重量平均分子量)は、特に限定されないが、インクジェット用インクとして用いる場合には、インクの吐出性の観点から5000〜50000程度であることが好ましく、10000〜30000程度であることがより好ましい。
アクリル系樹脂のガラス転移温度(Tg)は、常温以下であることが好ましく、さらには0℃以下であることがより好ましい。これにより、インクが記録媒体上で定着する際に、常温で成膜を促進させることができる。
アルキル(メタ)アクリレート(A)は、炭素数8〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレートであり、モノマー(B)とともにアクリル系樹脂の主鎖を形成し、アルキル基は主鎖の官能基を構成する。アルキル(メタ)アクリレート(A)としては、例えば、パルミチル/ステアリルメタクリレート(C16/C18)、セチルアクリレート(C16)、ドデシルメタクリレート(C12)、ドデシルアクリレート(C12)、2−エチルヘキシルメタクリレート(C8)、2−エチルヘキシルアクリレート(C8)を好ましく挙げることができる。これらは、単独でも適宜混合しても用いることができる。
モノマー(B)はβ−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリレートまたは(メタ)アクリルアミドであり、アルキル(メタ)アクリレート(A)とともにアクリル系樹脂の主鎖を形成し、β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基が主鎖の官能基を構成する。このモノマー(B)を含むことによりインクの粘度を下げることができ、低温適性をより向上させることができる。
モノマー(B)としては、たとえば、エステル鎖にβ−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を含む(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミドが好ましい例として挙げられる。より詳細には、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、ヘキサジオン(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を併用することができる。
上記モノマー混合物(アルキル(メタ)アクリレート(A)とモノマー(B))において、アルキル(メタ)アクリレート(A)は30質量%以上含まれていることが好ましく、40〜95質量%であることがより好ましく、50〜90質量%であることが一層好ましい。モノマー(B)は3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
上記の各モノマーは、公知のラジカル共重合により、容易に重合させることができる。反応系としては、溶液重合または分散重合で行うことが好ましい。この場合、重合後のアクリル系樹脂の分子量を上記の好ましい範囲とするために、重合時に連鎖移動剤を併用することが有効である。連鎖移動剤としては、たとえば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタンなどのチオール類が用いられる。
重合開始剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日油(株)製)等の過酸化物など、公知の熱重合開始剤を使用することができる。その他にも、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生する光重合型開始剤を用いることができる。溶液重合に用いる重合溶媒には、たとえば石油系溶剤(アロマフリー(AF)系)などを使用できる。この重合溶媒は、そのままインクの非水系溶剤として使用できる溶剤(後述)のなかから1種以上を選択することが好ましい。重合反応に際し、その他、通常使用される重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に添加することもできる。
本発明に係るアクリル系樹脂は、アルキル(メタ)アクリレート(A)とモノマー(B)とが構成するアクリル系樹脂の主鎖に対してウレタン基を側鎖として有する櫛形構造であることが好ましい。アルキル(メタ)アクリレート(A)の炭素数8〜18のアルキル基によって後述する非水系溶剤の炭化水素系非極性溶剤との親和性が向上し溶剤に対する溶解性が確保される。一方で、ウレタン基の側鎖によって色材を吸着して貯蔵安定性を向上させることができる。
側鎖のウレタン基は、アルキル(メタ)アクリレート(A)、モノマー(B)に加え、アミノ基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリレートを用いることで、アミノ基と反応しうる官能基と、後述するアミノアルコールと多価イソシアネート化合物との反応により導入することができる。アミノ基と反応しうる官能基としては、グリシジル基、ビニル基、および(メタ)アクリロイル基を好ましく挙げることができる。
グリシジル基を有する(メタ)アクリレートとしては、グリシジル(メタ)アクリレートが挙げられ、ビニル基を有する(メタ)アクリレートとしては、ビニル(メタ)アクリレート、2−(2−ビニロキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート等が好ましく挙げられる。(メタ)アクリロイル基を有する(メタ)アクリレートとしては、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの(メタ)アクリレートは、複数種が含まれていてもよい。なお、これらのアミノ基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリレートはウレタン基を導入しない場合であっても用いることができる。
アミノ基と反応しうる官能基にアミノアルコールが反応して結合し、アミノアルコールのヒドロキシ基に、多価イソシアネート化合物のイソシアン酸エステル基(RN=C=O)が下記のように付加反応すると、ウレタン基(ウレタン結合)(カルバミン酸エステル:RNHCOOR)が導入される。ここでR−は、共重合体の官能基に結合したアミノアルコール部を示す。
N=C=O + R−OH→ROCONHR
上記により、色材への吸着基として作用するウレタン基が導入される。
アミノアルコールとしては、モノメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等を例示できる。なかでも、2個のヒドロキシ基を有するものは形成されるウレタン基の数を増やせることから、一般式(HOR)NH(Rは2価の炭化水素基)で示されるジアルカノールアミン(2級アルカノールアミン)であることが好ましい。これらのアミノアルコールは、複数種を組み合わせて用いることもできる。
ウレタン基を導入する観点から、アミノアルコールは、上記(メタ)アクリレートのアミノ基と反応しうる官能基に対して、0.05〜1モル当量で反応させることが好ましく、0.1〜1モル当量で反応させることがより好ましい。アミノアルコールが1モル当量より少ない場合は、アミノ基と反応しうる官能基を有する(メタ)アクリレートにおいて未反応の官能基が残ることになるが、残った官能基は色材への吸着基として作用すると考えられる。
多価イソシアネート化合物としては、1,6−ジイソシアネートへキサン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート等の脂肪族系、脂環式系、芳香族系のものが挙げられ、複数種を使用することもできる。多価イソシアネート化合物は、ヒドロキシ基との反応でウレタン基を導入する際に未反応原料などが残らないようにするために、仕
込んだ原料に含まれるヒドロキシ基に対してほぼ当量(0.98〜1.02モル当量)で反応させることが好ましい。
アクリル系樹脂における共重合体部と、導入されたウレタン基部との質量比率は、80:20〜99:1であることが好ましく、85:15〜95:5であることがより好ましい。アクリル系樹脂における共重合体部の質量は、共重合に使用したモノマーの合計質量であり、導入されたウレタン基部の質量とは、反応に使用したアミノアルコールと多価イソシアネート化合物の合計質量である。ウレタン基部は色材への吸着能が高いため、ウレタン基部の質量比率が高ければ高いほど色材への吸着率が上がると考えられるが、予想に反して質量比率が20よりも高くなると溶剤との相溶性が悪くなり、遊離の非水溶性樹脂が増えてしまって逆に色材の吸着率が低下する。
[アミノ基を有する水溶性樹脂]
アミノ基を有する水溶性樹脂は、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリビニルピリジン等の塩基性高分子電解質またはそれらの誘導体を挙げることができ、特に、重量平均分子量が200〜2000のポリエチレンイミン、または、重量平均分子量200〜2000のポリエチレンイミンとアクリル酸エステルまたはビニル化合物のいずれかと付加反応した変性ポリエチレンイミンを好適に使用することができる。変性ポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミンの全アミン価を1モル当量とした場合に、アクリル酸エステルまたはビニル化合物との比率が0.3モル当量以上1モル当量未満のもの(以下、単に変性ポリエチレンイミンともいう)が好ましい。ここで、アミン価は、JIS K−7237−1995(エポキシ樹脂のアミン硬化剤の全アミン価試験方法)の(2)指示薬滴定方法によりアミン価(KOHmg/g)を求め、KOHの分子量56.11mg/mmolと換算して算出したものである。
ポリエチレンイミンの重量平均分子量が200未満であると普通紙に対する高濃度化の効果が低く、2000以上になると保存環境にもよるが保存安定性が悪くなる。ポリエチレンイミンの重量平均分子量は、高濃度化の効果が大きく、かつ、流動点が−5℃以下であって低温時の保存安定性が良好であることから、300〜1800であることがより好ましい。
ポリエチレンイミンは、市販のものを用いることが可能であり、たとえば、(株)日本触媒製エポミンSP−006、エポミンSP−012、エポミンSP−018、エポミンSP−200;BASF社製Lupasol FG、Lupasol G20 Waterfree、Lupasol PR8515等を好ましく挙げることができる。
ポリエチレンイミンは、そのアミノ基の一部を、アクリル酸エステルやビニル化合物やモノイソシアネートなどで変性した、変性ポリエチレンイミンを用いることができる。変性の程度としては、ポリエチレンイミンのアミン価を1モル等量とした場合に、変性に用いる物質の反応基0.8モル等量以下であることが望ましい。0.8モル等量を超えて変性してしまうと、分散性が低下しインクの粘度が高くなってしまう。
変性ポリエチレンイミンを使用するとノズルプレート撥インク性が改善するメカニズムについては以下のように推測される。すなわち、ポリエチレンイミンを使用したインク中に存在するイミノ基、アミノ基(-NH、-NH)は、インクジェットヘッドのノズルプレートに固着しやすい傾向にある。ポリエチレンイミンのイミノ基、アミノ基に対してアクリル酸エステル、ビニル化合物をマイケル付加させた変性ポリエチレンイミンを使用することによって、撥インク性が高くなりノズルプレートに対する濡れ性が改善される。
アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、等を好ましく挙げることができる。
ビニル化合物としては、アクリロニトリル、塩化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル、酢酸ビニル等を好ましく挙げることができる。
変性ポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミンのイミノ基、アミノ基に対してアクリル酸エステル、ビニル化合物をマイケル付加させることにより得ることができる。詳細には、50〜60℃に加熱したジエタノールアミン中に、攪拌しながら、ポリエチレンイミンとアクリル酸エステルまたはビニル化合物を滴下した後、50〜60℃で、1〜3時間維持することによって製造することができる。
本発明において、アミノ基を有する水溶性樹脂の含有量は、色材に対する質量比で0.01〜0.5であることが好ましく、0.05〜0.3であることがより好ましく、0.1〜0.2であることが最も好ましい。インク総量に対しては、0.1〜5質量%程度含まれていることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることが一層好ましい。
非水系樹脂の、アミノ基を有する水溶性樹脂に対する含有量は、質量比で0.1〜20であることが好ましく、0.4〜10であることがより好ましい。非水系樹脂の含有量が、水溶性樹脂に対する質量比で0.1未満と少ない場合も、20超と多い場合も、貯蔵安定性が確保されにくくなる。
色材の質量に対する樹脂の質量(水溶性樹脂および非水系樹脂の総量)は、色材の質量を1として、分散性の効果を確保する観点から0.2以上であることが好ましく、インク粘度の向上と経時変化による吐出不良を回避する観点から1.5以下であることが好ましい。
既述の通り、以上のアミノ基を有する水溶性樹脂が未反応でインク中に残存すると、アミノ基由来のアミン臭の原因となったり、ノズルプレートに対するインクの濡れ性が高くなったりする。そこで、本発明においては、以下に説明する脂肪酸又はアルキル化剤を添加する。
[脂肪酸]
本発明において、脂肪酸は、アミノ基を有する水溶性樹脂のアミノ基と反応して塩を生成する。その結果、ノズルプレートに対するインクの親和性が抑制され、濡れ性を改善することができる。また、それとともにアミノ基由来のアミン臭を低減することができる。
脂肪酸としては、飽和・不飽和であるか、あるいは直鎖状・分岐状・環状であるかを問わず使用することができる。中でも、インクの調製を容易にする観点から、常温・常圧(25℃、1気圧(1013hPa))で液体の脂肪酸が好ましい。
当該脂肪酸としては、オレイン酸、イソステアリン酸、イソパルチミン酸、リノール酸、αリノレン酸、ドコサヘキサエン酸等などが挙げられる。
以上の脂肪酸の中でも、低粘度化の観点から、不飽和脂肪酸が好ましい。不飽和脂肪酸としては、例えば、オレイン酸、リノール酸、αリノレン酸、ドコサヘキサエン酸等が挙げられ、中でも、オレイン酸が好ましい。
本発明の非水系インクにおいて、脂肪酸の配合量は、インク総量に対して0.1〜5.0質量%とすることが好ましく、0.3〜3.0質量%とすることがより好ましく、0.5〜1.0質量%とすることがさらに好ましい。
また、アミノ基を有する水溶性樹脂に対する脂肪酸のモル比率は1.0〜150とすることが好ましく、5〜100とすることがより好ましく、10〜60とすることがさらに好ましい。
[アルキル化剤]
一方、本発明において、アルキル化剤は、水素結合を形成しうる1級アミノ基、または2級アミノ基を有する水溶性樹脂のアミノ基と反応し、当該アミノ基が3級化又は4級化され、その結果、ノズルプレートに対するインクの親和性が抑制され、濡れ性を改善することができる。また、それとともにアミノ基由来のアミン臭を低減することができる。
アルキル化剤としては、アミノ基を有する水溶性樹脂のアミノ基を3級化又は4級化し得るものであればよく、例えば、炭酸ジアルキル、硫酸ジアルキル、塩化アルキル、臭化アルキル、ヨウ化アルキルが挙げられ、中でも、炭酸ジアルキル、硫酸ジアルキル、ヨウ化アルキルが好ましい。
上記炭酸ジアルキル等の塩の中のアルキル基の炭素数は、1〜 8が好ましい。具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸ジ‐2‐エチルヘキシル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、ヨウ化メチルが好適なものとして挙げられる。
本発明の非水系インクにおいて、アルキル化剤の配合量は、インク総量に対して10〜5000ppmとすることが好ましく、20〜3000ppmとすることがより好ましく、30〜1500ppmとすることがさらに好ましい。
また、アミノ基を有する水溶性樹脂に対するアルキル化剤のモル比率は、0.001〜10とすることが好ましく、0.005〜2とすることがより好ましく、0.01〜1とすることがさらに好ましい。
本発明の非水系インクには、上記各成分に加えて、慣用の添加剤が含まれていてよい。添加剤としては、界面活性剤、例えばアニオン性、カチオン性、両性、もしくはノニオン性の界面活性剤、酸化防止剤、例えばジブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、トコフェロール、ブチルヒドロキシアニソール、及びノルジヒドログアヤレチック酸等、が挙げられる。
本発明の非水系インクの粘度は、インクジェット記録システム用の場合、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、インクジェット記録装置用として適している。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
以下に、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(樹脂溶液aの合成)
四つ口フラスコに、AFソルベント6号(ナフテン系溶剤;JX日鉱日石エネルギー(株)製)を仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながら表1に示す組成の単量体混合物とAFソルベント6号 、及びパーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;日油(株)製)との混合物を3時間かけて滴下した。110℃で1時間熟成を行い、不揮発分50%の無色透明の樹脂溶液aを得た。得られた樹脂溶液の重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は11600であった。
Figure 2015124382
(樹脂溶液bの合成)
表2に示すように、四つ口フラスコに、上記で得られた樹脂溶液a(AFソルベント6号溶剤中に固形分50%)、プロピレングリコール(旭硝子(株)製)、ジエタノールアミン((株)日本触媒製)を仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。110℃に1時間保ち、樹脂溶液aのグリシジル基とジエタノールアミンとの反応を完結させた。その後、触媒としてジブチル錫ジラウレートを添加し、タケネート600(1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、三井化学ポリウレタン(株)製)とエキセパールHL(ラウリン酸ヘキシル,花王(株)製)との混合物を1時間かけて滴下した。滴下後、温度を120℃に昇温して6時間反応させた後、冷却して、固形分40%の樹脂溶液bを得た。得られた樹脂溶液bの重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は20700であった。
Figure 2015124382
[実施例1〜9、比較例1〜4]
(非水系インクの調製)
各実施例・比較例において、表3及び表4に示す成分をそれぞれの配合比率で混合し、得られた調合液をビーズミルで充分に分散して非水系インク(以下、単に「インク」と呼ぶ。)を調製した。
(評価方法)
(印刷濃度)
得られたインクをインクジェットプリンタ(オルフィスX9050、(理想科学工業(株)製)に装填し、印刷設定の用紙種類を普通紙、画像品質を標準(300x300dpi)として、普通紙(理想用紙薄口、理想科学工業(株)製)に印刷したベタ画像の表面と裏面のOD値を、光学濃度計(RD920、マクベス社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。表面のOD値が高ければ画像濃度が高く、裏面のOD値が低ければ裏抜けが少ないことを示している。
印刷濃度(表OD)
S:1.20以上
A:1.15〜1.19
B:1.10〜1.14
C:1.05〜1.09
D:1.04以下
印刷濃度(裏OD)
S:0.20以下
A:0.21〜0.25
B:0.26〜0.30
C:0.31以上
(インクの貯蔵安定性(70℃))
各インクを密閉容器に入れて、70℃の環境下で4週間放置し、その後インクの粘度変化を測定し、その測定結果を以下のように評価した。
粘度変化率:
[(4週間後の粘度×100)/(粘度の初期値)]−100(%)
S:粘度変化率が±3%未満
A:粘度変化率が±5%未満
B:粘度変化率が±10%未満
C:粘度変化率が±10%以上
(低温適性)
得られたインクを−5℃で4週間放置した後、−5℃でのインク粘度を測定し、以下の基準で評価した。
A:50mPa・s未満
B:50mPa・s以上100mPa・s未満
C:100mPa・s以上
(吐出安定性)
各インクをインクジェットプリンタ(オルフィスX9050、(理想科学工業(株)製)に装填して印刷動作を行った後、30分間印刷機を停止した状態で放置し、その後印刷操作を再開した時の吐出性を以下の基準で評価した。
A:全く不吐出が発生しない
B:時々不吐出が発生するが、吸引クリーニング動作により回復する
C:不吐出ノズルが頻発する
(サテライト)
インクジェットプリンタ(オルフィスX9050、(理想科学工業(株)製)で、ヘッドギャップ3mm、環境温度15℃、印刷速度120ppm、解像度300dpi×300dpi でA4用紙に印字を行い、以下の基準で評価した。
A:サテライトはほとんど確認できず、画質良好
B:サテライトは確認できるが、画質は実使用に耐えられるレベル
C:サテライトが顕著であり、画質は実使用に耐えられないレベル
(インク臭気)
密閉できる容量100mlの容器に各インクを50g入れて密閉し23℃の環境に一晩放置した後、容器のふたを開けて容器の中の臭いを嗅ぎ、以下の基準で評価した。
A:アミン臭がしない
B:アミン臭がする
(ノズルプレートに対する濡れ性(撥インク性))
インクを30ml容器に入れ、ノズルプレートの片端をピンセットでつまみ、もう一方の片端2cmをインクに浸漬させた。その後、ノズルプレートを素早く引き上げ、ノズルプレート上に残ったインク膜がインク滴になるまでの時間(秒)を10回測定し、その平均値を撥インク時間(秒)とした。そして、ノズルプレートをインクに浸漬した状態で60℃で1か月放置後の撥インク時間を測定し、以下の基準で評価した。
A:4秒未満
B:4秒以上8秒未満
C:8秒以上
Figure 2015124382
Figure 2015124382
表3及び表4より、実施例1〜9の非水系インクはいずれも、印刷濃度、貯蔵安定性、低温適性、吐出安定性、サテライトの評価において好結果が得られ、かつインク臭気(アミン臭)及びノズルプレートに対する濡れ性の評価(撥インク性評価)においても好結果が得られたことが分かる。
これに対して、比較例1〜4においては、撥インク性評価及びインク臭気評価のいずれか又は両方について良好な評価結果が得られなかった。脂肪酸を用いなかった比較例1は、撥インク性評価及びインク臭気評価のいずれも好結果が得られず、ポリエチレンイミンを用いなかった比較例2はインク臭気評価については当然ながら好結果が得られたが、撥インク性評価については好結果が得られなかった。脂肪酸の代わりにリン酸エステルを用いた比較例3は臭気評価は良好であったがノズルプレート浸漬評価において好結果が得られなかった。また、塩酸を用いた比較例4はインクの調製すらできなかった。
以上より、脂肪酸を使用することで、ノズルプレートに対するインクの濡れ性の改善及びアミン臭の低減が可能であることが示された。
[実施例10〜17、比較例5〜8]
(非水系インクの調製)
表5及び表6に示す割合で、得られた非水系樹脂 、ポリエチレンイミン((株)日本触媒製エポミンSP−012)、顔料(カーボンブラック、三菱化学(株)製MA77)、分散時溶剤としてAFソルベント6号、エキセパールHLを混合し、得られた調合液をビーズミルで充分に分散して顔料分散体を調製した。
その後、粘度調整用溶剤としてAFソルベント6号、エキセパールHL、及びアルキル化剤を加えて希釈してから、約70℃に加温して3時間攪拌を行い、得られた希釈液を遠心機にかけた後、3μmのメンブレンフィルターで濾過してゴミおよび粗大粒子を取り除いて非水系インク(以下、単に「インク」と呼ぶ。)を得た。
得られたインクについて、平均粒子径とインクの粘度を測定した。平均粒子径は、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒径分布装置LB−500により測定した。インクの粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける粘度であり、ハーケ社製応力制御式レオメータRS75(コーン角度1°、直径60mm)で測定した。
Figure 2015124382
Figure 2015124382
表5及び表6より、実施例10〜17の非水系インクはいずれも、印刷濃度、貯蔵安定性、低温適性、吐出安定性、サテライトの評価において好結果が得られ、かつインク臭気及び撥インク性の評価においても好結果が得られたことが分かる。
これに対して、アルキル化剤を用いなかった点においてのみ実施例10、11と異なる比較例5、6は、インク臭気及び撥インク性の評価において好結果が得られなかった。また、アルキル化剤は用いたものの、ポリエチレンイミンを用いなかった比較例7及び8においては、比較例7は分散すらできず、比較例8は、分散剤として非水系樹脂を少なくとも2倍量必要とするため、低温時にインク粘度が高くなるため低温適正が得られず、また、印刷濃度も悪くなる。
以上より、アルキル化剤を使用することで、ノズルプレートに対するインクの濡れ性の改善及びアミン臭の低減が可能であることが示された。

Claims (3)

  1. 色材と、アミノ基を有する水溶性樹脂と、非水系樹脂と、非水系溶剤と、脂肪酸又はアルキル化剤とを少なくとも含む非水系インク。
  2. 前記脂肪酸が液体の不飽和脂肪酸である請求項1に記載の非水系インク。
  3. 前記アルキル化剤が、炭酸ジアルキル又は硫酸ジアルキルである請求項1に記載の非水系インク。
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