JP2019019233A - 油性インクジェットインク - Google Patents
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Abstract
【課題】顔料の溶剤脱離性と定着性を向上させ、顔料が記録媒体表面に留まりやすく、且つ印刷後に記録媒体上で定着する油性インクジェットインクを提供すること。【解決手段】インクジェット印刷装置で使用する油性インクジェットインクのインク成分として、顔料と、非水系溶剤と、アミノ基を有する水溶性高分子と、リン酸基を有する水溶性高分子とを少なくとも含有させることで、記録媒体に印刷された印刷画像の高濃度化し、且つ印刷後のインクの定着性が向上して耐擦過性に優れたインクとなる。【選択図】なし
Description
本発明は、インクジェット記録装置の使用に適した油性インクジェットインクに関するものである。
普通紙やコート紙のような記録媒体上に画像を形成する方法の一つとしてインクジェット記録方法が知られている。このインクジェット記録方法は、流動性の高いインクジェットインクを微細なノズルから液滴として噴射し、ノズルに対向して置かれた記録媒体に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、一般に広く普及している。
また、このようなインクジェット記録方法に用いられるインクとして、水を主溶媒として含有する水性インク、重合性モノマーを主成分として高い含有量で含有する紫外線硬化型インク(UVインク)、ワックスを主成分として高い含有量で含有するホットメルトインク(固体インク)とともに、非水系溶剤を主溶媒として含有する、いわゆる非水系インクが知られている。
非水系インクは、主溶媒が揮発性有機溶剤であるソルベントインク(溶剤系インク)と、主溶媒が低揮発性或いは不揮発性の有機溶剤である油性インク(オイル系インク)に分類できる。ソルベントインクは主に有機溶剤の蒸発によって記録媒体上で乾燥するのに対して、油性インクは記録媒体への浸透が主となって乾燥する。
揮発性有機溶剤を主体とする溶剤系インクや不揮発性有機溶剤を主体とする油性インクのように、インク用溶媒として水を使用しない非水系インクは、機上安定性(間欠吐出性、長時間放置後の吐出回復性など)が良い、印刷用紙のカールやコックリングがない、インクの浸透乾燥時間が短い、などの特徴を有し注目されている。
特に油性インクは、ノズルの目詰まりが生じにくいため印刷中のクリーニングの回数が少なくて済むといった理由から、高速インクジェットプリンター用インクとして適しており、多種類のインクが提案されている。
しかし、油性インクは、有機溶剤が記録媒体に浸透する際に顔料も記録媒体中に引き込まれやすい傾向があるため、記録媒体表面に残る色材の量が少なくなり、画像濃度が低下して印刷画像の悪化を招くという問題がある。また、顔料が記録媒体中に浸透してしまうことで裏抜けも多くなり、両面印刷が行えないという問題もあった。
そこで、上記問題を解決するため、1分子中にアミノ基を2個以上含むポリエチレンイミンのような水溶性高分子を用いることで、インクが紙に着弾した際に顔料の溶剤脱離性を高め、顔料自体が記録媒体表面に留まるようにして高い画像濃度を実現するとともに、裏抜けを抑制させたインクが提案されている(詳細は、下記特許文献1を参照)。
しかしながら、特許文献1のインクについて、さらに画像濃度を上げようと顔料部数を増やすとインクの定着性が悪くなってしまうという問題があった。そのため、印刷済み用紙の紙面に残った未定着の顔料が搬送ローラのローラ面に付着して搬送する他の用紙が汚れたり、印刷済み用紙の画像部分にユーザの指が触れることで画像部分が擦れ、未定着の顔料で紙面が汚れたりする虞があった。
このように、特許文献1のインクは、画像濃度や裏抜けを抑制することができるが、画像濃度の更なる高濃度化を図るとインクの定着性が悪くなってしまい、両者を両立させることが難しく改良の余地があった。
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、印刷画像の画像濃度を高め、且つ紙面に対するインクの定着性に優れた油性インクジェットインクを提供することを目的としている。
インク成分として、顔料と、非水系溶剤と、アミノ基を有する水溶性高分子と、リン酸基を有する水溶性高分子とを主成分とすることで、顔料の溶剤脱離性が向上して記録媒体表面に顔料が留まりやすくなるとともに、インクの定着性が向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、下記の油性インクジェットインクを提供する。
[1]顔料と、非水系溶剤と、アミノ基を有する水溶性高分子と、リン酸基を有する水溶性高分子とを含有することを特徴とする、油性インクジェットインク。
[1]顔料と、非水系溶剤と、アミノ基を有する水溶性高分子と、リン酸基を有する水溶性高分子とを含有することを特徴とする、油性インクジェットインク。
[2]前記リン酸基を有する水溶性高分子は、前記[1]に記載の油性インクジェットインクにおいて、インク全質量に対して0.5質量%〜3質量%含有させることを特徴とする、油性インクジェットインク。
本発明の油性インクジェットインクによれば、インク成分としてアミノ基を有する第1の水溶性高分子を含有することで、高分子中のアミノ基が顔料表面の官能基と結合し、顔料が記録媒体表面に留まりやすくなる。また、リン酸基を有する第2の水溶性高分子を含有することで、高分子中のリン酸基が顔料表面の官能基と結合した第1の水溶性高分子のアミノ基と緩く結合し、第2の水溶性高分子で顔料表面が覆われるようになる。これにより、インク中の顔料部数を増やしたとしても、画像濃度を向上させつつ、インクの定着性(擦過性)を向上させることができる。
以下、本発明に係る実施形態について説明を行うが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内で種々変形して実施することが可能である。
[1.油性インクジェットインクの概要]
本発明の油性インクジェットインクは、顔料部数の増加を起因としたインクの定着性悪化を改善して画像濃度の向上と記録媒体表面へのインク定着性を両立させるため、インク成分として、「顔料」と、「非水系溶剤」とに加え、「アミノ基を有する第1の水溶性高分子」と、「リン酸基を有する第2の水溶性高分子」と含有した構成とする。以下、本発明の油性インクジェットインクに含まれる各成分について詳細に説明する。
本発明の油性インクジェットインクは、顔料部数の増加を起因としたインクの定着性悪化を改善して画像濃度の向上と記録媒体表面へのインク定着性を両立させるため、インク成分として、「顔料」と、「非水系溶剤」とに加え、「アミノ基を有する第1の水溶性高分子」と、「リン酸基を有する第2の水溶性高分子」と含有した構成とする。以下、本発明の油性インクジェットインクに含まれる各成分について詳細に説明する。
<1−1.顔料>
本発明の油性インクジェットインクは、インク着色用の色材として顔料が含まれている。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料などの有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物などの無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料などが挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料などが挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)などが挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどが挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの顔料は、単独或いは2種以上組み合わせて使用してもよい。
本発明の油性インクジェットインクは、インク着色用の色材として顔料が含まれている。
顔料としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、多環式顔料、染付レーキ顔料などの有機顔料、及び、カーボンブラック、金属酸化物などの無機顔料を用いることができる。アゾ顔料としては、溶性アゾレーキ顔料、不溶性アゾ顔料及び縮合アゾ顔料などが挙げられる。フタロシアニン顔料としては、金属フタロシアニン顔料及び無金属フタロシアニン顔料などが挙げられる。多環式顔料としては、キナクリドン系顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、アンスラキノン系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料及びジケトピロロピロール(DPP)などが挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラックなどが挙げられる。金属酸化物としては、酸化チタン、酸化亜鉛などが挙げられる。これらの顔料は、単独或いは2種以上組み合わせて使用してもよい。
インク中における顔料粒子の平均粒子径は、吐出安定性と保存安定性の観点から、動的光散乱法により測定した粒度分布における体積基準の平均値として、300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることが一層好ましい。
また、顔料の含有量は、印刷濃度とインク粘度の観点から、インク全質量に対して0.1質量%〜20質量%であることが好ましく、1質量%〜15質量%であることがより好ましく、5質量%〜10質量%であることが一層好ましい。
<1−2.非水系溶剤>
本発明の油性インクジェットインクは、分散媒として機能する非水系溶剤が含まれている。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤又は極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、非水系溶剤としては、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
本発明の油性インクジェットインクは、分散媒として機能する非水系溶剤が含まれている。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤又は極性有機溶剤の何れも使用できる。これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用することもできる。なお、本発明において、非水系溶剤としては、1気圧20℃において同容量の水と均一に混合しない非水溶性有機溶剤を用いることが好ましい。
(1−2−1.非極性有機溶剤)
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤などの石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。
非極性有機溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素溶剤、芳香族炭化水素溶剤などの石油系炭化水素溶剤を好ましく挙げることができる。
脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤としては、パラフィン系、イソパラフィン系、ナフテン系などの非水系溶剤を挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素溶剤の市販品例としては、「0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、カクタスノルマルパラフィンN−10、カクタスノルマルパラフィンN−11、カクタスノルマルパラフィンN−12、カクタスノルマルパラフィンN−13、カクタスノルマルパラフィンN−14、カクタスノルマルパラフィンN−15H、カクタスノルマルパラフィンYHNP、カクタスノルマルパラフィンSHNP、アイソゾール300、アイソゾール400、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、AFソルベント4号、AFソルベント5号、AFソルベント6号、AFソルベント7号、ナフテゾール160、ナフテゾール200、ナフテゾール220」(何れもJXTGエネルギー株式会社製の商品名)、「アイソパーG、アイソパーH、アイソパーL、アイソパーM、エクソールD40、エクソールD60、エクソールD80、エクソールD95、エクソールD110、エクソールD130」(何れもエクソンモービル社製の商品名)、「モレスコホワイトP−40、モレスコホワイトP−60、モレスコホワイトP−70、モレスコホワイトP−80、モレスコホワイトP−100、モレスコホワイトP−120、モレスコホワイトP−150、モレスコホワイトP−200、モレスコホワイトP−260、モレスコホワイトP−350P」(何れも株式会社MORESCO製の商品名)などを好ましく挙げることができる。
芳香族炭化水素溶剤としては、「グレードアルケンL、グレードアルケン200P」(何れもJXTGエネルギー株式会社製の商品名)、「ソルベッソ100、ソルベッソ150、ソルベッソ200、ソルベッソ200ND」(何れもエクソンモービル社製の商品名)などを好ましく挙げることができる。
これら石油系炭化水素溶剤の蒸留初留点は、100℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましく、200℃以上であることが一層好ましい。蒸留初留点はJIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定することができる。
(1−2−2.極性有機溶剤)
極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤などを好ましく挙げることができる。例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチルなどの1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノールなどの1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤などが挙げられる。
極性有機溶剤としては、脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤などを好ましく挙げることができる。例えば、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソデシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸イソステアリル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸エチル、リノール酸イソブチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチルなどの1分子中の炭素数が13以上、好ましくは16〜30の脂肪酸エステル系溶剤;イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、イソエイコシルアルコール、デシルテトラデカノールなどの1分子中の炭素数が6以上、好ましくは12〜20の高級アルコール系溶剤;ラウリン酸、イソミリスチン酸、パルミチン酸、イソパルミチン酸、α−リノレン酸、リノール酸、オレイン酸、イソステアリン酸などの1分子中の炭素数が12以上、好ましくは14〜20の高級脂肪酸系溶剤などが挙げられる。
脂肪酸エステル系溶剤、高級アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤などの極性有機溶剤の沸点は、150℃以上であることが好ましく、200℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが一層好ましい。なお、沸点が250℃以上の非水系溶剤には、沸点を示さない非水系溶剤も含まれる。
これらの非水系溶剤は、単独で使用してもよく、単一の相を形成する限り2種以上を組み合わせて使用することもできる。また、使用する非水系溶剤と単一相を形成できる範囲で他の有機溶剤を含ませてもよい。
<1−3.第1の水溶性高分子(アミノ基を有する水溶性高分子)>
本発明の油性インクジェットインクは、第1の水溶性高分子としてアミノ基を有する水溶性高分子が含まれている。
第1の水溶性高分子は、非水系溶剤に対して親和性がないため溶解せず、また顔料の表面はアミノ基が結合しやすい性質を有している。そのため、油性インクジェットインクの成分としてアミノ基を有する第1の水溶性高分子を含有させると、高分子中のアミノ基が顔料表面の官能基と結合することで顔料が非水系溶剤から分離しやくなり、その結果、顔料が非水系溶剤によって記録媒体内部に引き込まれず記録媒体表面に留まるため、画像濃度が向上するものと推測される。
本発明の油性インクジェットインクは、第1の水溶性高分子としてアミノ基を有する水溶性高分子が含まれている。
第1の水溶性高分子は、非水系溶剤に対して親和性がないため溶解せず、また顔料の表面はアミノ基が結合しやすい性質を有している。そのため、油性インクジェットインクの成分としてアミノ基を有する第1の水溶性高分子を含有させると、高分子中のアミノ基が顔料表面の官能基と結合することで顔料が非水系溶剤から分離しやくなり、その結果、顔料が非水系溶剤によって記録媒体内部に引き込まれず記録媒体表面に留まるため、画像濃度が向上するものと推測される。
第1の水溶性高分子としては、顔料との反応性の点から、アミノ基を有する必要があり、具体的には、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリビニルピリジン、ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン樹脂などの塩基性高分子電解質又はそれらの誘導体を挙げることができる。特に、数平均分子量が200〜2000のポリエチレンイミン、又は、数平均分子量200〜2000のポリエチレンイミンとアクリル酸エステル又はビニル化合物の何れかと付加反応した変性ポリエチレンイミンを好適に使用することができる。変性ポリエチレンイミンは、ポリエチレンイミンの全アミン価を1モル当量とした場合に、アクリル酸エステル又はビニル化合物との比率が0.3モル当量以上1モル当量未満のものが好ましい。ここで、アミン価は、JISK−7237−1995(エポキシ樹脂のアミン硬化剤の全アミン価試験方法)の(2)指示薬滴定方法によりアミン価(KOHmg/g)を求め、KOHの分子量56.11mg/mmolと換算して算出したものである。
ポリエチレンイミンの数平均分子量が200以上であると普通紙に対する高濃度化の効果が大きく、2000以下であると保存環境下によらず保存安定性が良好になる。ポリエチレンイミンの数平均分子量は、高濃度化の効果が大きく、且つ流動点が−5℃以下であって低温時の保存安定性が良好であることから、300〜1800であることがより好ましい。
ポリエチレンイミンは、市販のものを用いることが可能であり、例えば「エポミンSP−006、SP−012、SP−018、SP−200」(何れも株式会社日本触媒製の商品名)、「LupasolFG、LupasolG20Waterfree、LupasolPR8515」(何れもBASF株式会社製の商品名)などを好ましく挙げることができる。
第1の水溶性高分子の含有率は、油性インクジェットインク全質量に対して0.2質量%〜10質量%であることが好ましく、0.5質量%〜5質量%であることがより好ましい。
<1−4.第2の水溶性高分子(リン酸基を有する水溶性高分子)>
本発明の油性インクジェットインクは、第2の水溶性高分子としてリン酸基を有する水溶性高分子が含まれている。
第1の水溶性高分子と第2の水溶性高分子は共に水溶性であるため、顔料表面の官能基と結合した第1の水溶性高分子のアミノ基と、第2の水溶性高分子のリン酸基とが顔料近傍中に含まれる微量の水分に溶解することで緩く結合する。これにより、顔料表面が第2の水溶性高分子で覆われるため、インクの定着性(擦過性)が向上するものと推測される。
本発明の油性インクジェットインクは、第2の水溶性高分子としてリン酸基を有する水溶性高分子が含まれている。
第1の水溶性高分子と第2の水溶性高分子は共に水溶性であるため、顔料表面の官能基と結合した第1の水溶性高分子のアミノ基と、第2の水溶性高分子のリン酸基とが顔料近傍中に含まれる微量の水分に溶解することで緩く結合する。これにより、顔料表面が第2の水溶性高分子で覆われるため、インクの定着性(擦過性)が向上するものと推測される。
第2の水溶性高分子としては、数平均分子量が500〜100000でリン酸基を有する水溶性高分子であることが好ましく、具体的には、リン酸化でんぷん、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸などが挙げられる。リン酸化でんぷんとしては、数平均分子量が1000〜100000程度のものが好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸としては、ポリオキシエチレンアルキル鎖がリン酸基に対してジ又はトリ、オキシエチレンの付加モル数が2〜10、アルキル基の炭素数が12〜15、数平均分子量が500〜2500程度のものが好ましい。第2の水溶性高分子の市販品例としては、「ブリバイン(高分子量型)、ブリバインP−63(低分子量型)」(何れも日澱化學株式会社製の商品名)などが挙げられる。
第2の水溶性高分子の含有率は、インク定着性及びインク粘度の観点から、油性インクジェットインク全質量に対して0.1質量%〜5質量%であることが好ましく、0.5質量%〜3質量%であることがより好ましい。また、第1の水溶性高分子と、第2の水溶性高分子との含有比としては、質量比として、1:10〜10:1が好ましく、インク定着性の観点からすると、1:3〜3:1とするのがより好ましい。
<1−5.その他の含有成分について>
本発明の油性インクジェットインクには、本発明の効果を阻害しない範囲内で、例えば、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤、定着剤、防腐剤及び界面活性剤などを適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。
本発明の油性インクジェットインクには、本発明の効果を阻害しない範囲内で、例えば、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤、定着剤、防腐剤及び界面活性剤などを適宜添加することができる。これらの種類は、特に限定されることはなく、当該分野で使用されているものを用いることができる。
顔料分散剤としては、顔料が凝集することなく非水系溶剤中に安定して一様に分散できるものであれば特に限定されない。顔料分散剤としては、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、ビニルピロリドンと長鎖アルケンとの共重合体、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリエステルポリアミンなどが好ましく用いられる。
顔料分散剤の市販品例としては、「アンタロンV216(ビニルピロリドン・ヘキサデセン共重合体)、V220(ビニルピロリドン・エイコセン共重合体)」(何れもアイ・エス・ピー・ジャパン株式会社製)、「ソルスパース13940(ポリエステルアミン系)、16000、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、24000、28000」(何れも日本ルーブリゾール株式会社製)、「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、4055(変性ポリウレタン)」(何れもBASFジャパン株式会社製)、「ディスパロンKS−860、KS−873N4(ポリエステルのアミン塩)」(何れも楠本化成株式会社製)、「ディスコール202、206、OA−202、OA−600(多鎖型高分子非イオン系)」(何れも第一工業製薬株式会社製)、「DISPERBYK2155、9077」(何れもビックケミー・ジャパン株式会社製)、「HypermerKD2、KD3、KD11、KD12」(何れもクローダジャパン株式会社製)などが挙げられる。
顔料分散剤は、顔料1に対し0.2〜1.0の質量比で含まれていることが好ましい。顔料分散剤のインク総量における含有量としては、0.5質量%〜15質量%であることが好ましく、1質量%〜5質量%であることがより好ましい。
[2.油性インクジェットインクの製法]
本発明の油性インクジェットインクは、上記各成分を適宜選択し、インクの製造方法の一例としては、ビーズミルなどの分散機や高速攪拌機に、顔料、非水系溶剤、アミノ基を有する水溶性高分子、リン酸基を有する水溶性高分子と、必要に応じて顔料分散剤などのその他の成分を含む全成分を一括又は分割して加えて攪拌・混合し、所望により、メンブレンフィルターなどによりろ過することによって得られる。
本発明の油性インクジェットインクは、上記各成分を適宜選択し、インクの製造方法の一例としては、ビーズミルなどの分散機や高速攪拌機に、顔料、非水系溶剤、アミノ基を有する水溶性高分子、リン酸基を有する水溶性高分子と、必要に応じて顔料分散剤などのその他の成分を含む全成分を一括又は分割して加えて攪拌・混合し、所望により、メンブレンフィルターなどによりろ過することによって得られる。
[3.記録媒体]
記録媒体としては、特に限定されるものではないが、普通紙、コート紙及び特殊紙などの印刷用紙、布、多孔質シートなどを用いることができる。また、これらを記録媒体として裏面に粘着層を設けた粘着シートなどを用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙などの印刷用紙を用いるのが好ましい。
記録媒体としては、特に限定されるものではないが、普通紙、コート紙及び特殊紙などの印刷用紙、布、多孔質シートなどを用いることができる。また、これらを記録媒体として裏面に粘着層を設けた粘着シートなどを用いることができる。これらの中でも、インクの浸透性の観点から、普通紙、コート紙などの印刷用紙を用いるのが好ましい。
ここで、普通紙とは、通常の紙の上にインクの受容層やフィルム層などが形成されていない紙である。普通紙の一例としては、上質紙、中質紙、PPC用紙、更紙、再生紙などを挙げることができる。
また、コート紙としては、マット紙、光沢紙、半光沢紙などのインクジェット用コート紙や、いわゆる塗工印刷用紙を好ましく用いることができる。
塗工印刷用紙とは、従来から凸版印刷、オフセット印刷、グラビア印刷などで使用されている印刷用紙であって、上質紙や中質紙の表面にクレーや炭酸カルシウムなどの無機顔料と、澱粉などのバインダーを含む塗料により塗工層を設けた印刷用紙である。塗工印刷用紙は、塗料の塗工量や塗工方法により、微塗工紙、上質軽量コート紙、中質軽量コート紙、上質コート紙、中質コート紙、アート紙、キャストコート紙などに分類される。
[4.記録方法]
本発明の油性インクジェットインクを用いたインクジェット記録方法は、ピエゾ方式、静電方式、何れの方式であってもよい。インクジェット印刷装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態に係るインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
本発明の油性インクジェットインクを用いたインクジェット記録方法は、ピエゾ方式、静電方式、何れの方式であってもよい。インクジェット印刷装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態に係るインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
[5.作用・効果]
以上のように、本発明の油性インクジェットインクは、顔料、非水系溶剤に加え、第1の水溶性高分子となるアミノ基を有する水溶性高分子と、第2の水溶性高分子となるリン酸基を有する水溶性高分子を含有している。
以上のように、本発明の油性インクジェットインクは、顔料、非水系溶剤に加え、第1の水溶性高分子となるアミノ基を有する水溶性高分子と、第2の水溶性高分子となるリン酸基を有する水溶性高分子を含有している。
油性インクジェットインクに第1の水溶性高分子を含有することで、該高分子中のアミノ基が顔料表面の官能基と結合して顔料が溶剤から脱離されやすくなることで顔料が記録媒体表面に留まるようになり、結果として画像濃度が向上するという効果を奏することができる。
また、油性インクジェットインクに第2の水溶性高分子を含有することで、該高分子のリン酸基が顔料表面の官能基と結合した第1の水溶性高分子のアミノ基と緩く結合し、第2の水溶性高分子で顔料表面が覆われるようになる。これにより、インク中の顔料部数を増やしたとしても、画像濃度を向上させつつ、インクの定着性(擦過性)を向上させることができる。
さらに、第2の水溶性高分子の含有量を、インク全質量に対して0.5〜3質量%とすることで、インク中における第2の水溶性高分子の含有比率が最適化され、記録媒体表面に対するインクの定着性を一層高めることができる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
本発明の油性インクジェットインクを用いた印刷物に対する画像濃度、定着性についての評価試験を行った。下記表1には、本評価試験で使用した実施例1〜7及び比較例1〜3の油性インクジェットインクの各成分と評価結果について示している。
<インクの調整>
表1に示す各成分とジルコニアビーズを容器に入れ、撹拌分散機(セイワ技研社製のロッキングミル RM05S型)で十分に分散し、各実施例1〜7及び比較例1〜3に示す油性インクジェットインクを得た。表1中の各成分は、「質量%」で示す。
表1に示す各成分とジルコニアビーズを容器に入れ、撹拌分散機(セイワ技研社製のロッキングミル RM05S型)で十分に分散し、各実施例1〜7及び比較例1〜3に示す油性インクジェットインクを得た。表1中の各成分は、「質量%」で示す。
表1に記載の各成分の詳細については、下記の通りである。
−顔料−
・カーボンブラック1:MA8(三菱ケミカル株式会社製)
・カーボンブラック2:MA77(三菱ケミカル株式会社製)
−顔料分散剤−
・ポリエステルアミン系分散剤:ソルスパース13940(日本ルーブリゾール株式会社製)
・変性ポリアクリレート系分散剤:エフカ450(BASFジャパン株式会社製)
−第1の水溶性高分子−
・ポリエチレンイミン:エポミンSP−006(株式会社日本触媒製)
・ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン樹脂:パピオゲンP−105(センカ株式会社製)
−第2の水溶性高分子−
・リン酸化でんぷん1:ブリバインP−63(日澱化學株式会社製)
・リン酸化でんぷん2:ブリバイン(日澱化學株式会社製)
−水溶性低分子−
・リン酸トリエチル(和光純薬工業株式会社製)
−非水系溶剤−
・脂肪酸エステル系溶剤:ミリスチン酸イソプロピル(和光純薬工業株式会社製)
・石油系炭化水素(ナフテン系)溶剤:エクソールD−130(JXTGエネルギー株式会社製)
・高級アルコール系溶剤:イソエイコシルアルコール:リソノール20SP
−顔料−
・カーボンブラック1:MA8(三菱ケミカル株式会社製)
・カーボンブラック2:MA77(三菱ケミカル株式会社製)
−顔料分散剤−
・ポリエステルアミン系分散剤:ソルスパース13940(日本ルーブリゾール株式会社製)
・変性ポリアクリレート系分散剤:エフカ450(BASFジャパン株式会社製)
−第1の水溶性高分子−
・ポリエチレンイミン:エポミンSP−006(株式会社日本触媒製)
・ジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン樹脂:パピオゲンP−105(センカ株式会社製)
−第2の水溶性高分子−
・リン酸化でんぷん1:ブリバインP−63(日澱化學株式会社製)
・リン酸化でんぷん2:ブリバイン(日澱化學株式会社製)
−水溶性低分子−
・リン酸トリエチル(和光純薬工業株式会社製)
−非水系溶剤−
・脂肪酸エステル系溶剤:ミリスチン酸イソプロピル(和光純薬工業株式会社製)
・石油系炭化水素(ナフテン系)溶剤:エクソールD−130(JXTGエネルギー株式会社製)
・高級アルコール系溶剤:イソエイコシルアルコール:リソノール20SP
<印刷物作製方法>
印刷装置としてインクジェット印刷装置「オルフィスFW5230」(理想科学工業株式会社製)を使用した。浸透性記録媒体として普通紙(理想用紙マルチ:理想科学工業株式会社製)を使用し、この普通紙に各実施例1〜7及び比較例1〜3に示す油性インクジェットインクを用いて画像を形成した。インク画像の画像情報は、解像度300dpi×300dpiで1画素あたり30plの画像とした。
印刷装置としてインクジェット印刷装置「オルフィスFW5230」(理想科学工業株式会社製)を使用した。浸透性記録媒体として普通紙(理想用紙マルチ:理想科学工業株式会社製)を使用し、この普通紙に各実施例1〜7及び比較例1〜3に示す油性インクジェットインクを用いて画像を形成した。インク画像の画像情報は、解像度300dpi×300dpiで1画素あたり30plの画像とした。
<評価方法>
作製した印刷物に関する各評価を行った。評価結果は表1に併せて示す。
作製した印刷物に関する各評価を行った。評価結果は表1に併せて示す。
−画像濃度−
作製した印刷物の画像部分のOD値を光学濃度計(RD920:マクベス社製)で測定し、画像部分における画像濃度(表濃度)を以下の評価基準に従って評価した。OD値が高いほど、画像濃度が高いことを示している。
(評価基準)
S:OD値が1.05以上
A:OD値が1.00を超え1.05未満
B:OD値が1.00以下
作製した印刷物の画像部分のOD値を光学濃度計(RD920:マクベス社製)で測定し、画像部分における画像濃度(表濃度)を以下の評価基準に従って評価した。OD値が高いほど、画像濃度が高いことを示している。
(評価基準)
S:OD値が1.05以上
A:OD値が1.00を超え1.05未満
B:OD値が1.00以下
−定着性−
作製した印刷物の画像部分の定着性について官能検査を行った。ここでは、検査者が画像部分を指で1回擦った時の状態を目視で観察し、画像部分の定着性を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
S:汚れが確認されない状態
A:汚れが若干生じるが文字は判別できる状態
B:汚れて文字が判別できない状態
作製した印刷物の画像部分の定着性について官能検査を行った。ここでは、検査者が画像部分を指で1回擦った時の状態を目視で観察し、画像部分の定着性を以下の評価基準に従って評価した。
(評価基準)
S:汚れが確認されない状態
A:汚れが若干生じるが文字は判別できる状態
B:汚れて文字が判別できない状態
以上の評価結果について、インクの処方とともに表1に示す。
<評価結果>
表1に示すように、実施例1、3、4、6、7の油性インクジェットインクは、画像濃度、定着性の評価が共に優れており、印刷画像の画像濃度が高く、また印刷後のインク定着性も兼ね備えたインクであることがわかる。
表1に示すように、実施例1、3、4、6、7の油性インクジェットインクは、画像濃度、定着性の評価が共に優れており、印刷画像の画像濃度が高く、また印刷後のインク定着性も兼ね備えたインクであることがわかる。
上記各実施例のインクは、何れも第1の水溶性高分子と第2の水溶性高分子を含有し、第1の水溶性高分子がポリエチレンイミンであり、第2の水溶性高分子の含有量がインク全質量に対して0.5質量%〜3質量%の範囲となっている。
上記各実施例のインクにおいて、第1の水溶性高分子と第2の水溶性高分子を上記範囲で含有することで、第1の水溶性高分子の作用によりインク着弾時における溶剤離脱性を高めて記録媒体表面にインクが留まるようになり、印刷画像の画像濃度が高まったものと推測される。
また、第1の水溶性高分子のアミノ基が、顔料表面の官能基と結合した状態で第2の水溶性高分子のリン酸基と緩く結合することで、第2の水溶性高分子によって顔料表面が覆われるため、インクの耐擦過性が高まり定着性が向上したものと推測される。
以上のことから、油性インクジェットインクに、アミノ基を有する第1の水溶性高分子と、リン酸基を有する第2の水溶性高分子を上記範囲で含有させることで、印刷画像の高濃度化とインク定着性が両立されたインクになることが確認された。
また、第1の水溶性高分子のアミノ基が、顔料表面の官能基と結合した状態で第2の水溶性高分子のリン酸基と緩く結合することで、第2の水溶性高分子によって顔料表面が覆われるため、インクの耐擦過性が高まり定着性が向上したものと推測される。
以上のことから、油性インクジェットインクに、アミノ基を有する第1の水溶性高分子と、リン酸基を有する第2の水溶性高分子を上記範囲で含有させることで、印刷画像の高濃度化とインク定着性が両立されたインクになることが確認された。
また、実施例4は、第2の水溶性高分子の種類を変更したが、評価結果が変わらず優れた評価となった。これにより、第2の水溶性高分子の種類に拘わらず、印刷画像の高濃度化とインク定着性が両立されたインクになることが確認された。
また、実施例6、7は、顔料、顔料分散剤、非水系溶剤の種類を変更したが、評価結果は変わらず優れた評価となった。これにより、顔料、顔料分散剤、非水系溶剤の種類に拘わらず、第1の水溶性高分子と第2の水溶性高分子を含有させることで、印刷画像の高濃度化とインク定着性が両立されたインクになることが確認された。
実施例2の油性インクジェットインクは、画像濃度の評価は優れているが、定着性の評価は実施例1、3〜7と比べて低くなっている。実施例2のインクに含まれる第1の水溶性高分子の量がインク全質量に対して0.3質量%であり、実施例1、3〜7に比べて第1の水溶性高分子の含有量が少ないため、インク中における第2の水溶性高分子で覆われた顔料の量も実質的に少なくなる。そのため、発明としての効果は十分に得られているが、実施例1、3〜7と比べて画像濃度が若干低下したものと推測される。
実施例5の油性インクジェットインクは、定着性の評価は優れているが、画像濃度の評価は実施例1〜4、6、7と比べて低くなっている。実施例1〜4、6、7では、第1の水溶性高分子としてポリエチレンイミンを使用したが、実施例5では、第1の水溶性高分子として、ポリエチレンイミンよりもアミン価の低いジメチルアミンアンモニアエピクロルヒドリン樹脂を使用している。よって、実施例5は、実施例1〜4、6、7と比べてアミノ基の数が少なく、高分子中のアミノ基が顔料表面の官能基と結合する量が少なくなり、顔料を非水系溶剤から分離する作用が弱くなるため、発明としての効果は十分に得られているが、画像濃度が若干低下したものと推測される。
比較例1の油性インクジェットインクは、画像濃度の評価は優れているが、定着性の評価が実施例1〜7と比べてかなり低く、満足する結果が得られなかった。これは、比較例1のインクに第2の水溶性高分子を含有させていないため、顔料表面の官能基と結合した第1の水溶性高分子のアミノ基と第2の水溶性高分子のリン酸基との結合作用により第2の水溶性高分子で顔料表面を覆うことができず、インク定着性が悪くなったものと推測される。
比較例2の油性インクジェットインクは、定着性の評価は優れているが、画像濃度の評価が実施例1〜7と比べてかなり低く、満足する結果が得られなかった。比較例2は、インク成分として第1の水溶性高分子を含有させていないため、第1の水溶性高分子の作用によりインク着弾時における溶剤離脱性を高めて記録媒体表面にインクを留まらせる効果を十分に得ることができず、実施例1〜7のインクと比べて画像濃度が低くなったものと推測される。
比較例3の油性インクジェットインクは、画像濃度の評価は優れているが、定着性の評価が実施例1〜7と比べてかなり低く、満足する結果が得られなかった。比較例3は、インク成分として第2の水溶性高分子の代わりにリン酸基を有する水溶性低分子(すなわち、ポリマーではない)であるリン酸トリエチルを使用したため定着性向上の効果が得られず、実施例1〜7のインクと比べて定着性が悪くなったものと推測される。これにより、リン酸基を有する水溶性高分子を用いることで、インク定着性を向上させる効果が得られることが確認された。
Claims (2)
- 顔料と、非水系溶剤と、アミノ基を有する水溶性高分子と、リン酸基を有する水溶性高分子とを含有することを特徴とする油性インクジェットインク。
- 前記リン酸基を有する水溶性高分子は、インク全質量に対して0.5質量%〜3質量%含有させることを特徴とする請求項1記載の油性インクジェットインク。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017139175A JP2019019233A (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 油性インクジェットインク |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2019019233A true JP2019019233A (ja) | 2019-02-07 |
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JP2017139175A Pending JP2019019233A (ja) | 2017-07-18 | 2017-07-18 | 油性インクジェットインク |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2021017512A (ja) * | 2019-07-23 | 2021-02-15 | 理想科学工業株式会社 | 油性インク |
-
2017
- 2017-07-18 JP JP2017139175A patent/JP2019019233A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021017512A (ja) * | 2019-07-23 | 2021-02-15 | 理想科学工業株式会社 | 油性インク |
JP7294926B2 (ja) | 2019-07-23 | 2023-06-20 | 理想科学工業株式会社 | 油性インク |
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