JP2013176948A - 油性インクジェット印刷方法及びインクセット - Google Patents
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Abstract
【課題】前処理液を印刷媒体へ塗布した後、顔料及び溶剤を含有する油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより印刷を行う油性インクジェット印刷システム、特に、ラインヘッド式インクジェットプリンタを用いて普通紙に印刷するインクジェット印刷システムにおいて、新規な前処理液を提供することにより、印刷物の印刷ドットのばらつきを低減し印刷濃度を高め、裏抜けを防止する。
【解決手段】平均粒子径が1μm以上20μm以下の無機粒子、溶剤及び分散剤を含み、該分散剤として、(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体、または(b)HLB値が8以上15以下であるノニオン系ジェミニ型界面活性剤を該無機粒子量に対して9.0重量%以上含む前処理液を印刷面に塗布した上で、油性インクを用いて印刷する。
【選択図】なし
【解決手段】平均粒子径が1μm以上20μm以下の無機粒子、溶剤及び分散剤を含み、該分散剤として、(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体、または(b)HLB値が8以上15以下であるノニオン系ジェミニ型界面活性剤を該無機粒子量に対して9.0重量%以上含む前処理液を印刷面に塗布した上で、油性インクを用いて印刷する。
【選択図】なし
Description
本発明は、印刷媒体内へのインクの浸透を抑制して裏抜け及び滲みを防止することにより、印刷濃度を向上させる油性インクジェット印刷方法及び該印刷方法に用いるインクセットに関する。
インクジェット印刷システムにおいては、近年、記録媒体の制約を受けずに高速でフルカラー印刷が行えることが益々要求されている。この要求に応えるためには、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタの使用が適しており、その場合、普通紙への浸透が早く、乾燥が早く、かつ、印刷濃度が高く、滲みや裏抜けの少ない高画質な印刷画像の得られるインクが必要となる。
インクジェット印刷方式に用いられるインクジェットインクは、水性インクと非水性インクに大別される。
水性インクは、溶媒として水を含有するため、印刷媒体として普通紙を用いた場合、溶媒が印刷媒体に容易に浸透し、顔料が印刷媒体の表面に留まり易いため、高濃度・高画質の印刷画像が得られ易い一方で、印刷媒体がカールやコックリングを起こし易く、印刷媒体の搬送性に悪影響を及ぼし、高速印刷の弊害となるという欠点がある。
水性インクは、溶媒として水を含有するため、印刷媒体として普通紙を用いた場合、溶媒が印刷媒体に容易に浸透し、顔料が印刷媒体の表面に留まり易いため、高濃度・高画質の印刷画像が得られ易い一方で、印刷媒体がカールやコックリングを起こし易く、印刷媒体の搬送性に悪影響を及ぼし、高速印刷の弊害となるという欠点がある。
非水性インクは、主として高揮発性の有機溶剤を溶媒として含有する溶剤インクと、主として低揮発性の有機溶剤を溶媒として含有する油性インクに大別される。
溶剤インクは、乾燥性に優れているが、溶媒が大量に揮発するため使用環境が制限される。他方、油性インクは、印刷媒体として普通紙を用いた場合、印刷媒体への浸透性及び乾燥性に優れるだけでなく、水性インク及び溶剤インクよりも溶媒が揮発し難いため、インクノズルにおける目詰まりが生じにくく、インクノズルのクリーニング回数が少なくて済むといった利点があり、高速印刷、特にラインヘッド方式の高速インクジェット印刷に適している。
溶剤インクは、乾燥性に優れているが、溶媒が大量に揮発するため使用環境が制限される。他方、油性インクは、印刷媒体として普通紙を用いた場合、印刷媒体への浸透性及び乾燥性に優れるだけでなく、水性インク及び溶剤インクよりも溶媒が揮発し難いため、インクノズルにおける目詰まりが生じにくく、インクノズルのクリーニング回数が少なくて済むといった利点があり、高速印刷、特にラインヘッド方式の高速インクジェット印刷に適している。
しかし、油性インクは、印刷媒体上での色材と溶媒の離脱性が悪く、特に印刷媒体として普通紙を用いた場合、色材と溶媒が一緒に印刷媒体の繊維間隙に浸透し易く、画像濃度の低下、裏抜けの増大、印刷ドットの滲みが生じ、印刷画像の画質が悪化するという欠点があった。
従来から、色材を紙表面に留めるために、無機粒子や定着樹脂で構成されたインク受容層を表面に備えた専用紙は各種存在する。しかし、普通紙で同様の効果を得るためには、印刷時に色材を紙表面に留める手段が必要になる。水性インクでは、色材を溶媒と一緒に浸透させずに普通紙表面に留める方法として、インク中に反応性をもった物質を含有させ、その物質と反応する物質を含む処理液を用意し、該インクに重ねて該処理液を吐出し、紙表面で両物質を反応させることにより、色材を凝集させ、浸透しにくくする方法が既に提案されている(特許文献1〜3)。また、カチオン性の無機粒子を含む前処理液を印刷前に普通紙表面に塗布処理し、アニオン性染料を含む水性インキを反応させて定着させる方法が提案されている(特許文献4)。しかし、非水性インクについて同様の効果を示す方法は未だ提案されていない。また、非水性インクについて、アニオン性官能基を有する高分子化合物を含む第1のインクと、1級及び/または2級アミノ基を有する高分子化合物を含む第2のインクとを重ねて吐出し、紙表面で両物質を反応させることにより、色材を凝集させ、浸透しにくくする方法を出願人は提案している(特許文献5)。しかし、常に2種のインクを一定量重ねて印刷する必要があるため、画像率が高い印刷物を多枚数印刷する場合、インクを大量に消費するという課題がある。
また、インクジェット印刷時に無機粒子を含む前処理液で普通紙を処理する場合、前処理液の溶媒としては、乾燥性が良好で安全な水を使用することが好ましいが、前処理液中の水分量が多いと普通紙の変形が起こり、印刷媒体の搬送性に悪影響を与え、高速印刷の阻害要因となる。
前処理液中の水分量を少なくする手段として、無機粒子の配合濃度を高くすることが考えられるが、無機粒子濃度を高くすると前処理液の粘度が上昇するため、印刷媒体に塗工する際に塗工層にムラが発生するという課題がある。特に塗工ロールで前処理液を塗工する場合、前処理液の粘度が高いと塗工ロール上で前処理液が均一に広がらず、塗工層がムラになったまま紙に転移してしまう恐れがある。前処理液の塗工層がムラになった状態でインクジェット印刷を行うと、印刷画像の画像ドットが不均一になってしまい、画像ムラが発生し印刷品質が低下するという課題がある。
前処理液中の水分量を少なくする手段として、無機粒子の配合濃度を高くすることが考えられるが、無機粒子濃度を高くすると前処理液の粘度が上昇するため、印刷媒体に塗工する際に塗工層にムラが発生するという課題がある。特に塗工ロールで前処理液を塗工する場合、前処理液の粘度が高いと塗工ロール上で前処理液が均一に広がらず、塗工層がムラになったまま紙に転移してしまう恐れがある。前処理液の塗工層がムラになった状態でインクジェット印刷を行うと、印刷画像の画像ドットが不均一になってしまい、画像ムラが発生し印刷品質が低下するという課題がある。
本発明は、前処理液を印刷媒体へ塗布した後、長時間の乾燥や高負荷の乾燥システム無しに、顔料を含有する油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより印刷を行う油性インクジェット印刷システム、特にラインヘッド式インクジェットプリンタを用いて普通紙に印刷するインクジェット印刷システムにおいて、新規な前処理液を提供することにより、無機粒子を高配合した前処理液を低粘度に作製することができ、印刷媒体にその前処理液を塗工し印刷することで、濃度が高くかつ画像ムラがない高品質な印刷物を得ることを目的とする。
本発明者は、上記目的の下に鋭意研究した結果、上記インクジェット印刷システムにおいて、前記前処理液に所定の分散剤を使用することで、前処理液中に無機粒子を高濃度配合しても当該前処理液の大幅な低粘度化が可能となり、前処理液を塗布ロールで高速塗布しても、紙にムラなく均一に塗布することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の一局面によれば、前処理液を印刷媒体へ塗布した後、顔料および溶剤を少なくとも含んでなる油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより印刷を行う油性インクジェット印刷方法において、前記前処理液は、レーザー光回折散乱法による平均粒子径が1μm以上20μm以下の無機粒子、溶剤及び分散剤を少なくとも含んでなり、前記分散剤は、(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体、又は(b)ノニオン系ジェミニ型界面活性剤が、前記無機粒子量に対して9.0重量%以上含まれるものであることを特徴とする油性インクジェット印刷方法が提供される。
また、本発明の他の局面によれば、前処理液を印刷媒体へ塗布した後、油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより印刷を行う油性インクジェット印刷に使用するインクセットであって、前記前処理液は、レーザー光回折散乱法による平均粒子径が1μm以上20μm以下の無機粒子、溶剤及び分散剤を少なくとも含んでなり、前記分散剤は、(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体、又は(b)ノニオン系ジェミニ型界面活性剤を、前記無機粒子量に対して9.0重量%以上含んでなることを特徴とする油性インクジェット印刷用インクセットが提供される。
従来使用していたアニオン性のポリグリセリン系界面活性剤では、高濃度の無機粒子を分散させると、前処理液の高粘度化は避けられなかったところ、本発明の前処理液では、前処理液に従来の界面活性剤に代えて所定の分散剤を用いることで、無機顔料への分散剤の吸着性が向上し、その結果、高濃度の無機粒子を分散させているにも拘わらず、使用可能な程度に前処理液の低粘度化を図ることが可能となったものである。
本発明によれば、無機粒子、無機粒子を分散させるための分散剤および有機溶剤を少なくとも含む前処理液中の当該分散剤として、(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体、または(b)ノニオン系ジェミニ型界面活性剤で構成することとしたので、該前処理液中に無機粒子を高濃度配合しても前処理液を大幅に低粘度化でき、前処理液を塗布ロールで高速塗布した場合に紙にムラなく均一に塗布することができる。その結果として、高速インライン塗工システムを搭載した印刷システムでの印刷画像の画質安定化が図られる。
以下、本発明を更に詳細に説明する。
1.油性インク
本発明で使用する油性インクは、溶剤及び顔料から主として構成されるが、必要に応じて、顔料分散剤その他の成分を含有してもよい。
本発明で使用する油性インクは、溶剤及び顔料から主として構成されるが、必要に応じて、顔料分散剤その他の成分を含有してもよい。
1−1.溶剤
溶剤は、インクの溶媒すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、揮発性溶剤及び難揮発性溶剤の何れであってもよい。しかしながら、本発明では環境上の観点から、溶剤は、難揮発性溶剤を主体として含有することが好ましい。難揮発性溶剤の沸点は、200℃以上が好ましく、より好ましくは240℃以上である。溶剤の溶解度パラメータ(SP値)は、6.5(cal/cm3)1/2以上、10.0(cal/cm3)1/2以下のものを使用することが好ましく、7.0(cal/cm3)1/2以上、9.0(cal/cm3)1/2以下のものを使用することがより好ましい。
溶剤は、インクの溶媒すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、揮発性溶剤及び難揮発性溶剤の何れであってもよい。しかしながら、本発明では環境上の観点から、溶剤は、難揮発性溶剤を主体として含有することが好ましい。難揮発性溶剤の沸点は、200℃以上が好ましく、より好ましくは240℃以上である。溶剤の溶解度パラメータ(SP値)は、6.5(cal/cm3)1/2以上、10.0(cal/cm3)1/2以下のものを使用することが好ましく、7.0(cal/cm3)1/2以上、9.0(cal/cm3)1/2以下のものを使用することがより好ましい。
溶剤としては、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤の何れの有機溶剤も使用できる。これらは、単独で使用してもよく、または、単一の相を形成する限り、2種以上組み合わせて使用できる。本発明では、非極性有機溶剤及び極性有機溶剤を組み合わせて使用することが好ましく、20〜80質量%の非極性溶剤と80〜20質量%の極性溶剤とから溶剤を構成することが好ましく、30〜45質量%の非極性溶剤と55〜70質量%の極性溶剤とから溶剤を構成することがより好ましい。
1−1−1.非極性溶剤
非極性有機溶剤としては、ナフテン系、パラフィン系、イソパラフィン系等の炭化水素溶剤を使用でき、具体的には、ドデカンなどの脂肪族飽和炭化水素類、エクソンモービル社製「アイソパー、エクソール」(いずれも商品名)、新日本石油社製「AFソルベント、ノルマルパラフィンH」(いずれも商品名)、サン石油社製「サンセン、サンパー」(いずれも商品名)等が挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
非極性有機溶剤としては、ナフテン系、パラフィン系、イソパラフィン系等の炭化水素溶剤を使用でき、具体的には、ドデカンなどの脂肪族飽和炭化水素類、エクソンモービル社製「アイソパー、エクソール」(いずれも商品名)、新日本石油社製「AFソルベント、ノルマルパラフィンH」(いずれも商品名)、サン石油社製「サンセン、サンパー」(いずれも商品名)等が挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
1−1−2.極性溶剤
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が5以上、好ましくは9以上、より好ましくは12乃至32の高級脂肪酸エステル類が挙げられ、例えば、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、イソパルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルドデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリルなどが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が12以上の脂肪族高級アルコール類が挙げられ、具体的には、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコールが挙げられる。
脂肪酸系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が4以上、好ましくは9乃至22の脂肪酸類が挙げられ、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる、
エーテル系溶剤としては、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのグリコールエーテル類の他、グリコールエーテル類のアセタートなどが挙げられる。
1−2.顔料
顔料としては、有機顔料、無機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ピリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などが好適に使用できる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料としては、有機顔料、無機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ピリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などが好適に使用できる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料は、油性インキ全量に対して0.01〜20質量%の範囲で含有されることが好ましい。
1−3.顔料分散剤
油性インク中における顔料の分散を良好にするために、油性インクに顔料分散剤を添加することが好ましい。本発明で使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が好適に使用され、そのうち、高分子分散剤を使用するのが好ましい。
油性インク中における顔料の分散を良好にするために、油性インクに顔料分散剤を添加することが好ましい。本発明で使用できる顔料分散剤としては、顔料を溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が好適に使用され、そのうち、高分子分散剤を使用するのが好ましい。
顔料分散剤の具体例としては、日本ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、22000、24000、28000」(いずれも商品名)、Efka CHEMICALS社製「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46,47,48,49,4010,4055(変性ポリウレタン)」(いずれも商品名)、花王社製「デモールP、EP、ポイズ520、521、530、ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)」(いずれも商品名)、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名)、第一工業製薬社製「ディスコール202、206、OA−202、OA−600(多鎖型高分子非イオン系)」(いずれも商品名)等が挙げられる。
上記顔料分散剤のうち、ポリエステル鎖からなる側鎖を複数備える櫛形構造のポリアミド系分散剤が好ましく使用される。ポリエステル鎖からなる側鎖を複数備える櫛形構造のポリアミド系分散剤とは、ポリエチレンイミンのような主鎖に多数の窒素原子を備え、該窒素原子を介してアミド結合した側鎖を複数備える化合物であって、該側鎖がポリエステル鎖であるものをいい、例えば、特開平5−177123号公報に開示されているような、ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンからなる主鎖一分子当り3〜80個のポリ(カルボニル―C3〜C6―アルキレンオキシ)鎖がアミド架橋によって側鎖として結合している構造の分散剤が挙げられる。なお、かかる櫛形構造のポリアミド系分散剤としては、上記日本ルーブリゾール社製ソルスパース11200、ソルスパース28000(何れも商品名)が該当する。
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に上記有機溶剤中に分散可能な量であれば足り、適宜設定できる。
1−4.その他の成分
本発明の油性インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記有機溶剤、顔料、顔料分散剤以外に、例えば、染料、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
本発明の油性インクには、インクの性状に悪影響を与えない限り、上記有機溶剤、顔料、顔料分散剤以外に、例えば、染料、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。
1−5.油性インクの製造方法
本発明の油性インクは、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め溶剤の一部と顔料の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
本発明の油性インクは、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め溶剤の一部と顔料の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
2.前処理液
本発明で使用する前処理液は、無機粒子、水および溶剤を少なくとも含んでなり、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
本発明で使用する前処理液は、無機粒子、水および溶剤を少なくとも含んでなり、必要に応じて、その他の成分を含有してもよい。
2−1.無機粒子
無機粒子としては、体質顔料として使用されている無機粒子が使用でき、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、白土、タルク、クレー、ケイソウ土、カオリン、マイカなどの無機粒子が挙げられる。レーザー光回折散乱法により求めたこれらの無機粒子の平均粒子径は、1μm以上20μm以下であることが必要であり、1μm以上15μm以下であることが好ましく、1μm以上12μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が1μmより小さい場合及び平均粒子径が20μmより大きい場合の何れでも、印刷媒体に対する目止め作用が十分でなく、印刷濃度の向上効果が十分に得られない。
無機粒子としては、体質顔料として使用されている無機粒子が使用でき、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、白土、タルク、クレー、ケイソウ土、カオリン、マイカなどの無機粒子が挙げられる。レーザー光回折散乱法により求めたこれらの無機粒子の平均粒子径は、1μm以上20μm以下であることが必要であり、1μm以上15μm以下であることが好ましく、1μm以上12μm以下であることがより好ましい。平均粒子径が1μmより小さい場合及び平均粒子径が20μmより大きい場合の何れでも、印刷媒体に対する目止め作用が十分でなく、印刷濃度の向上効果が十分に得られない。
無機粒子は、前処理液全量に対して0.01〜40質量%の範囲で含有されることが好ましく、より好ましくは、5〜30質量%の範囲である。
本発明では、印刷濃度向上、裏ぬけの防止及びインクの一次定着性を向上させるために、上記無機粒子を、下記数式(1)で表わされる吸液性(A)の値が0.2〜0.5の無機粒子(P-1)20〜80質量%と、該吸液性(A)の値が0.5〜1.5の無機粒子(P-2)20〜80質量%とから構成することが好ましい。上記無機粒子(P-1)の配合量が多すぎると、特に紙への塗工量が少ない場合(例えば、無機粒子の量にして1.0g/m2以下の場合)、塗工層の吸液性が十分でないため、インクの吸収速度が低下し、一次定着性が悪化し、それに伴い、印刷ドットの滲みも大きくなり、印刷濃度が十分に向上しない。したがって、上記無機粒子(P-1)の配合量は、30〜75質量%であることが好ましく、45〜70質量%であることがより好ましい。上記無機粒子(P-2)の配合量が多すぎると、印刷ドットの滲みが抑制され過ぎて、特に紙への塗工量が少ない場合(例えば、無機粒子の量にして1.0g/m2以下の場合)、印刷濃度向上及び裏抜け抑制には効果があるが、インク中の顔料が紙表面に多く留まり、一次定着性が悪化し、それに伴い、印刷物を後加工する際に、ロールへの転写汚れなどが生じる。また、上記無機粒子(P-2)の配合量が多すぎると、粒子の吸液性が高いため、処理液中の無機粒子含有量を高くすると処理液の粘度が高くなりすぎ、均一な塗工が困難となる。したがって、上記無機粒子(P-2)の配合量は、25〜70質量%であることが好ましく、30〜55質量%であることがより好ましい。なお、本発明では、無機粒子全体が上記平均粒径を満たす必要があるが、上記無機粒子(P-1)及び上記無機粒子(P-2)の両者が上記平均粒径範囲に入る場合、通常、無機粒子全体も上記平均粒径を満たすことになる。
A=B/C ・・・(1)
A:無機粒子の吸液性。
B:無機粒子の吸油量(ml/100g)。
C:無機粒子の比表面積(m2/g)。
Bは、JIS K−5101−21によるアマニ油吸油量測定方法で求めた値である。
Cは、BET比表面積測定方法で求めた値である。
A:無機粒子の吸液性。
B:無機粒子の吸油量(ml/100g)。
C:無機粒子の比表面積(m2/g)。
Bは、JIS K−5101−21によるアマニ油吸油量測定方法で求めた値である。
Cは、BET比表面積測定方法で求めた値である。
また、前処理液を印刷媒体に塗布した際の無機粒子量(g/m2)が多すぎる場合、印刷ドットの滲みが小さくなりすぎ、解像度300×300dpi程度の印刷の際に、ベタ画像を形成するのに十分なドットサイズにならず、裏抜けは抑制されるが高濃度の印刷物が得られない。また、無機粒子量が少なすぎる場合、印刷媒体の表面の目止め効果が低減し、印刷されたインク中の色材が浸透しやすくなり、印刷濃度が低下する。したがって、前処理液の塗布量は、無機粒子の量にして1.0〜6.0g/m2であることが好ましく、2.0〜5.0g/m2であることがより好ましく、2.5〜4.5g/m2であることがさらにより好ましい。
2−2.溶剤
本発明で使用する前処理液の溶剤は、水および有機溶剤からなる群より選択して使用できる。有機溶剤は、溶解度パラメータが規定の範囲内であれば、水溶性有機溶剤であっても非水溶性有機溶剤であってもよい。
水溶性有機溶剤としては、グリコール系溶剤、グリコールエーテル類、グリコールエーテル類のアセタート、低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、イミダゾリジノン系溶剤、3−メチル−2,4−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して使用してもよい。
本発明で使用する前処理液の溶剤は、水および有機溶剤からなる群より選択して使用できる。有機溶剤は、溶解度パラメータが規定の範囲内であれば、水溶性有機溶剤であっても非水溶性有機溶剤であってもよい。
水溶性有機溶剤としては、グリコール系溶剤、グリコールエーテル類、グリコールエーテル類のアセタート、低級アルコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、ポリグリセリン、イミダゾリジノン系溶剤、3−メチル−2,4−ペンタンジオールなどが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、また、単一の相を形成する限り、2種以上混合して使用してもよい。
グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のアルキレングリコール類が挙げられる。
グリコールエーテル類としては、アルキレングリコールアルキルエーテル及びポリアルキレングリコールアルキルエーテル(本明細書では、両者を(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルと総称する)が挙げられ、例えば、下記化学式(1)で示される化合物が挙げられる。
(式(1)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6好ましくは4〜6のアルキル基であり、nは1乃至4の整数である。)
上記化学式(1)で示される(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルの具体例としては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノプロピルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
他の(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルの具体例としては、下記化学式(2)で示される化合物が挙げられる。
(式(2)中、R1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜6好ましくは4〜6のアルキル基であり、nは1乃至4の整数である。)
上記化学式(2)で示される(ポリ)アルキレングリコールアルキルエーテルの具体例としては、例えば、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノプロピルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールジブチルエーテル、トリプロピレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。
低級アルコールとしては、例えば一分子中の炭素数が1〜6の脂肪族アルコール類が挙げられ、具体的には、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール等が挙げられる。
これらの水溶性有機溶剤のうち、グリコール系溶剤、グリコールエーテル類、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン及びポリグリセリンが好ましく使用される。
また、非水溶性有機溶剤の具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等が挙げられる。
また、非水溶性有機溶剤の具体例としては、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等が挙げられる。
本発明において、前処理液の溶剤の溶解度パラメータ(SP値)と油性インクの溶剤の溶解度パラメータ(SP値)との差が所定の値以上であることが好ましい。また、無機粒子の粒子径が小さいほど、無機粒子自体が印刷用紙の繊維間に沈み込みやすくなるため、上記SP値の差をより大きくする必要がある。前処理液に含有させる無機粒子として、平均粒子径が1μm以上20μm以下の無機粒子を使用する場合、当該SP値の差は1.0(cal/cm3)1/2以上であることが好ましい。当該SP値の差が小さすぎると、印刷媒体の中の残溶剤および粒子の分散に用いた分散剤の影響によりインクが浸透しやすくなり、隠蔽性が低下し、印刷濃度が十分に向上せず、裏抜けや滲みが発生し易くなる。
有機溶剤としては、溶解度パラメータ(SP値)が、7.5(cal/cm3)1/2以上、17.0(cal/cm3)1/2以下のものを使用することが好ましく、8.0(cal/cm3)1/2以上、17.0(cal/cm3)1/2以下のものを使用することがより好ましい。
前処理液の溶剤は、水および上記各種有機溶剤からなる群より選ばれた1種または2種以上から構成してもよいが、特定のSP値の溶剤を得るには、1種のみで溶剤を構成する方が簡便であり好ましい。なお、前処理液の溶剤として水を使用した場合は、印刷媒体が普通紙等の印刷用紙である場合、用紙の変形が生じ、印刷媒体の搬送性が低下し、高速印刷の阻害要因となるので注意が必要である。これを防止するためには、前処理液の溶剤を、全量有機溶剤から構成することが考えられる。
無機粒子を分散させる分散剤としては、(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体、又は(b)ノニオン系ジェミニ型界面活性剤が用いられる。これらの分散剤は単独でまたは組み合わせて使用できる。
(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体分散剤
この種の分散剤としては、アクリル系ブロック共重合体、ポリエーテル系重合体又はポリウレタン系重合体からなる高分子分散剤を使用できる。アクリル系ブロック共重合体分散剤を用いる場合、側鎖に高極性基(親水基)と低極性基(疎水基)をもつブロックポリマーであることが好ましい。高極性基と低極性基とを1分子中にバランス良く持つことにより、無機顔料に対する吸着性と溶媒に対する分散性を両立することが可能となる。高極性基はEO鎖,PO鎖を主体とするものであることが特に好ましい。
(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体分散剤
この種の分散剤としては、アクリル系ブロック共重合体、ポリエーテル系重合体又はポリウレタン系重合体からなる高分子分散剤を使用できる。アクリル系ブロック共重合体分散剤を用いる場合、側鎖に高極性基(親水基)と低極性基(疎水基)をもつブロックポリマーであることが好ましい。高極性基と低極性基とを1分子中にバランス良く持つことにより、無機顔料に対する吸着性と溶媒に対する分散性を両立することが可能となる。高極性基はEO鎖,PO鎖を主体とするものであることが特に好ましい。
また、この水溶性高分子共重合体の酸価は、1mgKOH/g以上45mgKOH/g未満であることが好ましい。酸価が配合量が45mgKOH/g以上である場合、前処理液の増粘が生じ、塗工適性が若干劣るため印刷画像に僅かなムラが生じることがある。
アクリル系ブロック共重合体分散剤の具体例としては、DISPERBYK−190、DISPERBYK−2015(いずれも商品名、ビックケミー・ジャパン社製)などが挙げられる。また、ポリウレタン系共重合体分散剤の具体例としては、SOLSPERSE 41000(商品名、日本ルーブリゾール社製)などが挙げられる。さらに、ポリエーテル系共重合体分散剤の具体例としては、SOLSPERSE 44000(商品名、日本ルーブリゾール社製)などが挙げられる。
酸価を持つ水溶性高分子共重合体の配合量は、上記無機粒子の量に対して9.0〜40.0重量%であることが好ましい。配合量が無機粒子の量に対して9.0重量%未満である場合、無機粒子が短時間で沈降してしまうため、前処理液が塗工ローラーから印刷媒体へ転写する際に無機粒子が十分な量塗工されず、前処理紙の印刷画像が低下する恐れがある。また、配合量が無機粒子の量に対して40.0重量%以上である場合、前処理液が著しく増粘し、前処理液の塗工ムラが顕著になり、前処理紙に印刷した際に印刷物の画像性が低下するおそれがある。
(b)ノニオン系ジェミニ型界面活性剤
ジェミニ型界面活性剤は、1分子中に少なくとも親水基を2つ以上、疎水基を2つ以上もつ構造をしていることが好ましい。特に、親水基がEO鎖、PO鎖を主体とするものであることが好ましい。
また、ノニオン系ジェミニ型界面活性剤は、HLBが8以上15以下の範囲にあることが好ましい。HLBがこの範囲から外れた場合、無機粒子の分散性が低下し、前処理液の粘度が上昇する恐れがあるので好ましくない。
ジェミニ型界面活性剤は、1分子中に少なくとも親水基を2つ以上、疎水基を2つ以上もつ構造をしていることが好ましい。特に、親水基がEO鎖、PO鎖を主体とするものであることが好ましい。
また、ノニオン系ジェミニ型界面活性剤は、HLBが8以上15以下の範囲にあることが好ましい。HLBがこの範囲から外れた場合、無機粒子の分散性が低下し、前処理液の粘度が上昇する恐れがあるので好ましくない。
このようなジェミニ型界面活性剤の具体例としては、サーフィノールCT-211(商品名、エアプロダクツ社製、HLB=8〜11)、CT−221(商品名、エアプロダクツ社製、HLB=11〜15)、CT-136商品名、エアプロダクツ社製、HLB=11)などが挙げられる。
ジェミニ型界面活性剤の配合量は、無機粒子の量に対して9.0〜40.0重量%であることが好ましい。配合量が無機粒子の量に対して40.0重量%以上である場合、前処理液の増粘が著しくなり、前処理液が塗工ローラーから印刷媒体へ転写する際にムラが生じ、前処理紙の印刷画像が低下するおそれがある。また、配合量が無機粒子の量に対して9.0重量%未満である場合、無機粒子が短時間で沈降してしまうため、前処理液が塗工ローラーから印刷媒体へ転写する際に無機粒子が十分な量塗工されず、前処理紙の印刷画像が低下する恐れがある。
2−3.その他の成分
本発明で使用する前処理液には、その性状に悪影響を与えない限り、上記溶剤、無機粒子及び分散剤以外に、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。特に、定着剤は、印刷画像の滲みを防止するために有用である。定着剤としては、各種の水溶性高分子または水分散性の高分子粒子などが使用可能である。高分子の種類としては、アクリル酸系共重合体、アクリル/スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、デンプン、アルキド樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール等が好ましい。
本発明で使用する前処理液には、その性状に悪影響を与えない限り、上記溶剤、無機粒子及び分散剤以外に、例えば、界面活性剤、定着剤、防腐剤等の他の成分を添加できる。特に、定着剤は、印刷画像の滲みを防止するために有用である。定着剤としては、各種の水溶性高分子または水分散性の高分子粒子などが使用可能である。高分子の種類としては、アクリル酸系共重合体、アクリル/スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、デンプン、アルキド樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール等が好ましい。
このうち、前処理液の溶剤として水を使用した場合は、定着剤として、重合度が500以下でけん化度が60mol%以上であるポリビニルアルコールを使用することが好ましい。このようなポリビニルアルコールを使用すると、300×300dpi以下の比較的低解像度で印刷した場合に、高い印刷濃度が得られる。ポリビニルアルコールは、無機粒子量に対して3.0〜35.0質量%の範囲で含有されることが好ましく、6.0〜30.0質量%の範囲で含有されることがより好ましい。ポリビニルアルコールの添加量が多すぎると、ドットサイズが大きくなり、輝度が高くなるため、画像性が低下する。また、ポリビニルアルコールの添加量が少なすぎると、塗工層自体の強度が低下し、印刷媒体表面から剥がれやすくなる。
2−4.前処理液の製造方法
本発明で使用する前処理液は、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め溶剤の一部と顔料の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
本発明で使用する前処理液は、例えばビーズミル等の公知の分散機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の公知のろ過機を通すことにより調製できる。例えば、予め溶剤の一部と顔料の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
3.インクジェット印刷方法
本発明のインクジェット印刷方法は、前処理液を印刷媒体へ塗布した後、油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより行われる。前処理液の印刷媒体への塗布は、刷毛、ローラー、バーコーター等を使用して印刷媒体の表面を均一にコーティングすることによって行ってもよく、または、インクジェット印刷及びグラビア印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。例えば、インクジェットプリンタを使用し、印刷媒体上へ前処理液を吐出した後これに重ねて油性インクを連続的に吐出させることにより印刷を行ってもよい。なお、本発明では、前処理液を印刷媒体に塗布した後、塗布された処理液が浸透および蒸発乾燥した後に油性インクを吐出させることが好ましい。そのため、前処理液中の水分量が多い場合には、油性インク印刷前に乾燥工程を付与してもよい。乾燥工程は、前処理液の塗布後に印刷媒体に熱風を当てる、熱したロールの下に印刷媒体を搬送させるなど、既存の方法を用いることができる。
本発明のインクジェット印刷方法は、前処理液を印刷媒体へ塗布した後、油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより行われる。前処理液の印刷媒体への塗布は、刷毛、ローラー、バーコーター等を使用して印刷媒体の表面を均一にコーティングすることによって行ってもよく、または、インクジェット印刷及びグラビア印刷などの印刷手段によって画像を印刷することで行ってもよい。例えば、インクジェットプリンタを使用し、印刷媒体上へ前処理液を吐出した後これに重ねて油性インクを連続的に吐出させることにより印刷を行ってもよい。なお、本発明では、前処理液を印刷媒体に塗布した後、塗布された処理液が浸透および蒸発乾燥した後に油性インクを吐出させることが好ましい。そのため、前処理液中の水分量が多い場合には、油性インク印刷前に乾燥工程を付与してもよい。乾燥工程は、前処理液の塗布後に印刷媒体に熱風を当てる、熱したロールの下に印刷媒体を搬送させるなど、既存の方法を用いることができる。
本発明のインクジェット印刷方法を容易に実施できるように、上記前処理液と油性インクを少なくとも含むインクセットを構成して販売すると好都合である。
本発明において、印刷媒体は、特に限定されるものではなく、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシートなどが使用できる。とりわけ、本発明によれば、普通紙に印刷する場合でも、顔料が印刷用紙に浸透せずに印刷用紙の表面に留まるので、印字濃度が向上し、裏抜けが低減するという大きなメリットが得られる。
以下、本発明を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
1.無機粒子を含む前処理分散体の調製
表1及び表2に示す各成分を各表に示す割合でプレミックスし、その後、超音波分散機にて1分間分散し、得られた無機粒子濃度25重量%の分散液を得た。これらの分散液を前処理分散体1〜8とした。
表1及び表2に示す各成分を各表に示す割合でプレミックスし、その後、超音波分散機にて1分間分散し、得られた無機粒子濃度25重量%の分散液を得た。これらの分散液を前処理分散体1〜8とした。
尚、表1記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
ミズカシルP−73:水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−73(商品名)」(平均粒子径13μmの粉体シリカ)。
ミズカシルP−758:水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−758(商品名)」(平均粒子径13μmの粉体シリカ)。
DISPERBYK−190:ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体分散剤「DISPERBYK−190(商品名)」
DISPERBYK−2015:ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体分散剤「DISPERBYK−2015(商品名)」
DISPERBYK−192:ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体分散剤「DISPERBYK−192(商品名)」
SOLSPERSE 41000:日本ルーブリゾール社製アニオン性高分子系分散剤「SOLSPERSE 41000(商品名)」
SOLSPERSE 44000:日本ルーブリゾール社製アニオン性高分子系分散剤「SOLSPERSE 44000(商品名)」
デモールEP::花王社製「デモールEP(商品名)」(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、固形分25%)。
JMR−10M:日本酢ビ・ポバール株式会社製「JMR−10M(商品名)」(けん化度65.0mol%、重合度250のポリビニルアルコール)。
ミズカシルP−73:水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−73(商品名)」(平均粒子径13μmの粉体シリカ)。
ミズカシルP−758:水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−758(商品名)」(平均粒子径13μmの粉体シリカ)。
DISPERBYK−190:ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体分散剤「DISPERBYK−190(商品名)」
DISPERBYK−2015:ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体分散剤「DISPERBYK−2015(商品名)」
DISPERBYK−192:ビックケミー・ジャパン社製アクリル系ブロック共重合体分散剤「DISPERBYK−192(商品名)」
SOLSPERSE 41000:日本ルーブリゾール社製アニオン性高分子系分散剤「SOLSPERSE 41000(商品名)」
SOLSPERSE 44000:日本ルーブリゾール社製アニオン性高分子系分散剤「SOLSPERSE 44000(商品名)」
デモールEP::花王社製「デモールEP(商品名)」(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、固形分25%)。
JMR−10M:日本酢ビ・ポバール株式会社製「JMR−10M(商品名)」(けん化度65.0mol%、重合度250のポリビニルアルコール)。
尚、表2記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
ミズカシルP−73:水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−73(商品名)」(平均粒子径13μmの粉体シリカ)。
ミズカシルP−758:水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−758(商品名)」(平均粒子径13μmの粉体シリカ)。
サーフィノールCT-211:エアプロダクツ社製非イオン系ジェミニ型界面活性剤「サーフィノールCT-211(商品名)」(HLB=8〜11)
サーフィノールCT-221:エアプロダクツ社製非イオン系ジェミニ型界面活性剤「サーフィノールCT-221(商品名)」(HLB=11〜15)
サーフィノールCT-136:エアプロダクツ社製非イオン系ジェミニ型界面活性剤「サーフィノールCT-136(商品名)」(HLB=11)
サーフィノールCT-151:エアプロダクツ社製アニオン系ジェミニ型界面活性剤「サーフィノールCT-151(商品名)」
デモールEP::花王社製「デモールEP(商品名)」(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、固形分25%)。
JMR−10M:日本酢ビ・ポバール株式会社製「JMR−10M(商品名)」(けん化度65.0mol%、重合度250のポリビニルアルコール)。
ミズカシルP−73:水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−73(商品名)」(平均粒子径13μmの粉体シリカ)。
ミズカシルP−758:水澤化学工業株式会社製「ミズカシルP−758(商品名)」(平均粒子径13μmの粉体シリカ)。
サーフィノールCT-211:エアプロダクツ社製非イオン系ジェミニ型界面活性剤「サーフィノールCT-211(商品名)」(HLB=8〜11)
サーフィノールCT-221:エアプロダクツ社製非イオン系ジェミニ型界面活性剤「サーフィノールCT-221(商品名)」(HLB=11〜15)
サーフィノールCT-136:エアプロダクツ社製非イオン系ジェミニ型界面活性剤「サーフィノールCT-136(商品名)」(HLB=11)
サーフィノールCT-151:エアプロダクツ社製アニオン系ジェミニ型界面活性剤「サーフィノールCT-151(商品名)」
デモールEP::花王社製「デモールEP(商品名)」(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤、固形分25%)。
JMR−10M:日本酢ビ・ポバール株式会社製「JMR−10M(商品名)」(けん化度65.0mol%、重合度250のポリビニルアルコール)。
2.前処理液の調製
前記した前処理分散体1〜8及び9〜14をそれぞれ表3及び表4に示す量だけビーカーに計り取り、スターラーで攪拌しながら、各表に示す各成分を各表に示す割合で添加し、無機粒子濃度21.3重量%の前処理液1〜8及び9〜14をそれぞれ調製した。
前記した前処理分散体1〜8及び9〜14をそれぞれ表3及び表4に示す量だけビーカーに計り取り、スターラーで攪拌しながら、各表に示す各成分を各表に示す割合で添加し、無機粒子濃度21.3重量%の前処理液1〜8及び9〜14をそれぞれ調製した。
なお、表3及び表4に記載の原材料の詳細は下記の通りである。
モビニール966A:日本合成化学株式会社製スチレン/アクリル系エマルション樹脂「モビニール966A(商品名)」
スラウト33:日本エンバイロケミカル株式会社製防腐剤「スラウト33(商品名)」
サーフィノールDF−58:日信化学工業株式会社製シリコーン変性消泡剤「サーフィノールDF−58(商品名)」
モビニール966A:日本合成化学株式会社製スチレン/アクリル系エマルション樹脂「モビニール966A(商品名)」
スラウト33:日本エンバイロケミカル株式会社製防腐剤「スラウト33(商品名)」
サーフィノールDF−58:日信化学工業株式会社製シリコーン変性消泡剤「サーフィノールDF−58(商品名)」
3.油性インクの作製
表5に示す各成分を表5に示す割合でプレミックスし、その後、ビーズミル(直径(φ)0.5mmのジルコニアビーズ使用、 製)にて分散し、得られた分散液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、油性インクを得た。
表5に示す各成分を表5に示す割合でプレミックスし、その後、ビーズミル(直径(φ)0.5mmのジルコニアビーズ使用、 製)にて分散し、得られた分散液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、油性インクを得た。
尚、表5記載の原材料の詳細は下記のとおりである。
カーボンブラック:三菱化学社製カーボンブラック「MA−11(商品名)」
ソルスパース28000:ルーブリゾール社製顔料分散剤「ソルスパース28000(商品名)」
オレイン酸メチル:花王株式会社製有機溶剤「エキセパールM−OL(商品名)」
ミリスチン酸イソプロピル:花王株式会社製有機溶剤「エキセパールIPM(商品名)」
炭化水素溶剤:新日本石油製有機溶剤「ノルマルパラフィンH(商品名)」
カーボンブラック:三菱化学社製カーボンブラック「MA−11(商品名)」
ソルスパース28000:ルーブリゾール社製顔料分散剤「ソルスパース28000(商品名)」
オレイン酸メチル:花王株式会社製有機溶剤「エキセパールM−OL(商品名)」
ミリスチン酸イソプロピル:花王株式会社製有機溶剤「エキセパールIPM(商品名)」
炭化水素溶剤:新日本石油製有機溶剤「ノルマルパラフィンH(商品名)」
4.実施例1〜8、比較例1〜7
表6及び表7に記載の各前処理液について、以下の評価を行った。その結果を表6及び表7にそれぞれ示す。
表6及び表7に記載の各前処理液について、以下の評価を行った。その結果を表6及び表7にそれぞれ示す。
(評価項目)
(1)粘度
各前処理液作製後に、23℃、ストレス10Paにおける各前処理液の粘度を、ティー・エー・インストルメンツ社製レオメータ(商品名:AR−G2)を用いて測定した。
○:50mPa・s以下
△:50〜70mPa・s
×:70mPa・s以上
(1)粘度
各前処理液作製後に、23℃、ストレス10Paにおける各前処理液の粘度を、ティー・エー・インストルメンツ社製レオメータ(商品名:AR−G2)を用いて測定した。
○:50mPa・s以下
△:50〜70mPa・s
×:70mPa・s以上
(2)分散安定性
各前処理液作製後、3日間静置し、無機粒子の分散状態を目視で観察した。
◎:沈降物がなく上澄みもない
○:液面近傍に白く濁った上澄みがあるが、沈降物はない
△:透明な上澄みがあるが、無機粒子が容器の底に沈降しており、手で降ると容易に再分散する
×:透明な上澄みがあるが、無機粒子が容器の底に沈降しており、手で降っても沈降物が残る
各前処理液作製後、3日間静置し、無機粒子の分散状態を目視で観察した。
◎:沈降物がなく上澄みもない
○:液面近傍に白く濁った上澄みがあるが、沈降物はない
△:透明な上澄みがあるが、無機粒子が容器の底に沈降しており、手で降ると容易に再分散する
×:透明な上澄みがあるが、無機粒子が容器の底に沈降しており、手で降っても沈降物が残る
(3)インクジェット印刷物についての評価
表5に記載の油性インクを、インクジェットプリンタHC5500(商品名;理想科学工業株式会社製)の吐出経路に導入し、印刷用紙として理想科学工業株式会社製普通紙「理想用紙薄口(商品名)」を用い、該印刷用紙の片面全面に表2及び表4に記載のそれぞれの前処理液を、塗工層中のシリカ粒子量が2.9g/m2になるように、塗工ローラで塗布し、ヒートロールで溶剤を乾燥させた後、該印刷用紙の処理表面上に前記油性インクを吐出させ、ベタ画像を印刷した。印刷は、解像度300×300dpiにて、30pl/dotのインク量の条件で行った。得られた印刷物の印刷ドットのばらつき、印刷濃度及び裏抜けを下記方法で測定し評価した。結果を表6及び表7に示す。
表5に記載の油性インクを、インクジェットプリンタHC5500(商品名;理想科学工業株式会社製)の吐出経路に導入し、印刷用紙として理想科学工業株式会社製普通紙「理想用紙薄口(商品名)」を用い、該印刷用紙の片面全面に表2及び表4に記載のそれぞれの前処理液を、塗工層中のシリカ粒子量が2.9g/m2になるように、塗工ローラで塗布し、ヒートロールで溶剤を乾燥させた後、該印刷用紙の処理表面上に前記油性インクを吐出させ、ベタ画像を印刷した。印刷は、解像度300×300dpiにて、30pl/dotのインク量の条件で行った。得られた印刷物の印刷ドットのばらつき、印刷濃度及び裏抜けを下記方法で測定し評価した。結果を表6及び表7に示す。
印刷物の印刷ドットのばらつき:得られたそれぞれのベタ画像印刷物の印刷ドットのばらつきを実体顕微鏡で観察し評価した。
○:印刷ドットが均一である
△:印刷ドットが若干ばらついているが、目立たない
×:印刷ドットのばらつきが大きく、均一な画像でない
○:印刷ドットが均一である
△:印刷ドットが若干ばらついているが、目立たない
×:印刷ドットのばらつきが大きく、均一な画像でない
印刷物の印刷濃度:ベタ画像印刷物を一晩放置後、該ベタ画像表面の印刷画像濃度(OD)を光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用いて測定し下記基準で評価した。
○:1.20≦OD値
△:1.15≦OD値<1.20
×:OD値<1.15
○:1.20≦OD値
△:1.15≦OD値<1.20
×:OD値<1.15
印刷物の裏抜け:ベタ画像印刷物を一晩放置後、該ベタ画像の裏面の印刷画像濃度(OD)を光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用いて測定し下記基準で評価した。
○:OD値≦0.22
△:0.22<OD値≦0.25
×:0.25<OD値
○:OD値≦0.22
△:0.22<OD値≦0.25
×:0.25<OD値
表6の結果から、以下のことがわかる。
実施例1〜5では、酸価を持つ水溶性高分子共重合体を所定量用い、前処理液にその全量に対して高濃度(25重量%)の無機粒子を分散させているので、従来の特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤を用いた場合(比較例2)よりも前処理液を低粘度で製造でき、また前処理液の分散安定性も良好であった。また、本発明の前処理液を塗布した後に油性インクを印刷した場合、印刷物の印刷ドットのばらつき及び印刷濃度はおおむね良好であり、裏抜けも防止された。
これに対し、前処理液を用いなかった比較例1では、印刷ドットのばらつきが大きいだけでなく、印刷濃度が低く、裏抜けも生じた。特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤を用いた比較例2では、前処理液が高粘度となり分散安定性も劣るので、塗工ロールでの塗工時に塗工層の形成が困難となり、印刷物の印刷ドットのばらつきが大きく印刷濃度は悪化した。前処理液の分散剤として酸価を持たない水溶性高分子共重合体を用いた比較例3や酸価を持つ水溶性高分子共重合体を所定量に達しない添加量とした比較例4では、前処理液を低粘度で製造できるが、該前処理液の分散安定性は悪化するため、塗工ロールでの塗工時に十分な塗工層を形成できず、印刷物の品質が不十分であった。
実施例1〜5では、酸価を持つ水溶性高分子共重合体を所定量用い、前処理液にその全量に対して高濃度(25重量%)の無機粒子を分散させているので、従来の特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤を用いた場合(比較例2)よりも前処理液を低粘度で製造でき、また前処理液の分散安定性も良好であった。また、本発明の前処理液を塗布した後に油性インクを印刷した場合、印刷物の印刷ドットのばらつき及び印刷濃度はおおむね良好であり、裏抜けも防止された。
これに対し、前処理液を用いなかった比較例1では、印刷ドットのばらつきが大きいだけでなく、印刷濃度が低く、裏抜けも生じた。特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤を用いた比較例2では、前処理液が高粘度となり分散安定性も劣るので、塗工ロールでの塗工時に塗工層の形成が困難となり、印刷物の印刷ドットのばらつきが大きく印刷濃度は悪化した。前処理液の分散剤として酸価を持たない水溶性高分子共重合体を用いた比較例3や酸価を持つ水溶性高分子共重合体を所定量に達しない添加量とした比較例4では、前処理液を低粘度で製造できるが、該前処理液の分散安定性は悪化するため、塗工ロールでの塗工時に十分な塗工層を形成できず、印刷物の品質が不十分であった。
また、表7の結果から、以下のことがわかる。
実施例6〜8では、ノニオン系ジェミニ型界面活性剤を所定量用い、前処理液にその全量に対して高濃度(25重量%)の無機粒子を分散させているので、該前処理液を低粘度で製造でき、また前処理液の分散安定性も良好であった。また、本発明の前処理液を塗布した後に油性インクを印刷した場合、印刷物の印刷ドットのばらつき及び印刷濃度は良好であり、裏抜けも防止された。
これに対し、前処理液を用いなかった比較例1では、印刷ドットのばらつきが大きく、印刷濃度が低いだけでなく、裏抜けも生じた。アニオン系ジェミニ型界面活性剤を用いた比較例6では、前処理液製造時粘度が上昇し、分散安定性も悪化したので、印刷物の品質においても印刷ドットのばらつきが大きくなった。前処理液の分散剤としてアニオン系特殊ポリカルボン酸型高分子分散剤を用いた比較例7では、前処理液の粘度上昇が著しく分散安定性に劣るので、塗工ロールでの塗工層の形成が困難となり、印刷物の印刷ドットのばらつきは大きく、印刷濃度も悪化した。
実施例6〜8では、ノニオン系ジェミニ型界面活性剤を所定量用い、前処理液にその全量に対して高濃度(25重量%)の無機粒子を分散させているので、該前処理液を低粘度で製造でき、また前処理液の分散安定性も良好であった。また、本発明の前処理液を塗布した後に油性インクを印刷した場合、印刷物の印刷ドットのばらつき及び印刷濃度は良好であり、裏抜けも防止された。
これに対し、前処理液を用いなかった比較例1では、印刷ドットのばらつきが大きく、印刷濃度が低いだけでなく、裏抜けも生じた。アニオン系ジェミニ型界面活性剤を用いた比較例6では、前処理液製造時粘度が上昇し、分散安定性も悪化したので、印刷物の品質においても印刷ドットのばらつきが大きくなった。前処理液の分散剤としてアニオン系特殊ポリカルボン酸型高分子分散剤を用いた比較例7では、前処理液の粘度上昇が著しく分散安定性に劣るので、塗工ロールでの塗工層の形成が困難となり、印刷物の印刷ドットのばらつきは大きく、印刷濃度も悪化した。
本発明のインクジェット印刷方法及びインクセットは、印刷媒体を前処理液で表面処理した後、油性インクをノズルヘッドから吐出して印刷媒体の処理表面に印字できるインクジェットプリンタで簡単に実施することができ、インクジェット印刷の分野で広く利用できる。
Claims (10)
- 前処理液を印刷媒体へ塗布した後、顔料および溶剤を少なくとも含んでなる油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより印刷を行う油性インクジェット印刷方法において、前記前処理液は、レーザー光回折散乱法による平均粒子径が1μm以上20μm以下の無機粒子、溶剤及び分散剤を少なくとも含んでなり、前記分散剤は、
(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体、又は
(b)ノニオン系ジェミニ型界面活性剤
が、前記無機粒子量に対して9.0重量%以上含まれるものであることを特徴とする油性インクジェット印刷方法。 - 前記水溶性高分子共重合体の酸価は、1mgKOH/g以上45mgKOH/g未満である請求項1に記載の油性インクジェット印刷方法。
- 前記水溶性高分子共重合体は、ブロック型アクリルポリマー、ポリマーエーテル又はポリウレタンである請求項1に記載の油性インクジェット印刷方法。
- 前記ブロック型アクリルポリマーは、側鎖に高極性基と低極性基を持つブロックポリマーである請求項3に記載の油性インクジェット印刷方法。
- 前記ノニオン系ジェミニ型界面活性剤は、1分子中に親水基及び疎水基を少なくとも各2つ以上有するものである請求項1に記載の油性インクジェット印刷方法。
- 前処理液を印刷媒体へ塗布した後、油性インクを該印刷媒体上へ吐出させることにより印刷を行う油性インクジェット印刷に使用するインクセットであって、前記前処理液は、レーザー光回折散乱法による平均粒子径が1μm以上20μm以下の無機粒子、溶剤及び分散剤を少なくとも含んでなり、前記分散剤は、
(a)酸価を持つ水溶性高分子共重合体、
(b)ノニオン系ジェミニ型界面活性剤
が、前記無機粒子量に対して9.0重量%以上含まれるものであることを特徴とする油性インクジェット印刷用インクセット。 - 前記水溶性高分子共重合体の酸価は、1mgKOH/g以上45mgKOH/g未満である請求項6に記載の油性インクジェット印刷用インクセット。
- 前記水溶性高分子共重合体は、ブロック型アクリルポリマー、ポリマーエーテル又はポリウレタンである請求項6又は7に記載の油性インクジェット印刷用インクセット。
- 前記ブロック型アクリルポリマーは、側鎖に高極性基と低極性基を持つブロックポリマーである請求項8に記載の油性インクジェット印刷用インクセット。
- 前記ノニオン系ジェミニ型界面活性剤は、1分子中に親水基及び疎水基を少なくとも各2つ以上有するものである請求項6に記載の油性インクジェット印刷用インクセット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2012043172A JP2013176948A (ja) | 2012-02-29 | 2012-02-29 | 油性インクジェット印刷方法及びインクセット |
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JP2012043172A JP2013176948A (ja) | 2012-02-29 | 2012-02-29 | 油性インクジェット印刷方法及びインクセット |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2015196808A (ja) * | 2014-04-03 | 2015-11-09 | 株式会社クラレ | ポリビニルアルコールフィルムの製造方法 |
JP2017132047A (ja) * | 2016-01-25 | 2017-08-03 | セイコーエプソン株式会社 | 前処理液、油性インクジェット記録用インクセット及び油性インクジェット記録方法 |
-
2012
- 2012-02-29 JP JP2012043172A patent/JP2013176948A/ja active Pending
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JP2015196808A (ja) * | 2014-04-03 | 2015-11-09 | 株式会社クラレ | ポリビニルアルコールフィルムの製造方法 |
JP2017132047A (ja) * | 2016-01-25 | 2017-08-03 | セイコーエプソン株式会社 | 前処理液、油性インクジェット記録用インクセット及び油性インクジェット記録方法 |
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