JP2012245723A - 油中水型エマルションインク用後処理剤、インクセット、及び印刷方法 - Google Patents

油中水型エマルションインク用後処理剤、インクセット、及び印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクにおいて染料の発色を改善する油中水型エマルション用後処理剤を提供する。
【解決手段】水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクに用いられ、水及び/または水溶性溶剤を50質量%以上含む、油中水型エマルションインク用後処理剤である。
【選択図】図1(a)

Description

本発明は、油中水型エマルションインク用後処理剤、インクセット、及び印刷方法に関する。
インクジェット記録方式は、流動性の高いインクジェットインクを微細なヘッドノズルからインク粒子として噴射し、上記ノズルに対向して置かれた被印刷体に画像を記録するものであり、低騒音で高速印字が可能であることから、近年急速に普及している。
インクジェット記録用インクの着色剤としては、染料または顔料を使用することができ、染料を用いる場合、発色が良いという利点がある。
溶剤からみると、水系タイプインクと非水系タイプインクが知られている。水系タイプインクは、普通紙に両面印字しても裏抜け(記録媒体裏面にインクが浸透する現象)がしにくく、文字再現性がよいという特徴がある。一方、水系タイプインクを用いて普通紙に印字する場合の問題点として、カール(凸カール)やコックリング(波打ち)現象が挙げられる。これは、紙の繊維間の水素結合が水によって切断され、用紙が膨潤してしまうために生じる現象である。
非水系タイプインクは、揮発性溶剤を主体とする溶剤系インクや不揮発性溶剤を主体とするオイル系インクのように、インク用溶媒として水を使用しないため、水系タイプインクに比べ乾燥性が良く、印刷適性にも優れている。一方、非水系タイプインクでは、普通紙に印刷した際に着色剤が非水系溶媒とともに紙内部に引き込まれやすい傾向がある。その結果、印刷濃度が低くなり、裏抜けが発生しやすい。
これらに対し、インクジェット記録用インクとして油中水型エマルションインクがある。油中水型エマルションインクは、油相に水相を分散させたインクであり、水分量を低減することができるため用紙のカールを抑制し搬送不良を防止することができる。また、水相中に水溶性染料を含ませることで、溶剤とともに着色剤が用紙内部に浸透することを抑制し、印刷濃度の低下を防止することができる。
水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクでは、印刷濃度等の画質が水溶性染料の発色によって影響される。
特許文献1には、油相及び/または水相中に色材を含有する第一の油中水型エマルションインクと、水相中にコロイダルアルミナまたはコロイダルシリカを含有する第二の油中水型エマルションとを連続して印刷する方法において、両インクが混合したときにコロイダルアルミナまたはコロイダルシリカが凝集することで、色材の印刷媒体への浸透を抑制し、印刷濃度を向上させることが提案されている。
特許文献2には、表面に酸性基を備えた色材を水相中に含有する第一の油中水型エマルションインクと、多価金属塩を水相中に含有する第二の油中水型エマルションインクとを連続して印刷する方法において、両インクが混合したときに色材が凝集することで、色材の印刷媒体への浸透を抑制し、印刷濃度を向上させることが提案されている。
特許文献3には、エマルジョンタイプの孔版印刷インキを用いて、解乳化剤を含有する孔版印刷画像受容媒体に印刷を行なう孔版印刷方法において、受容媒体の解乳化剤の作用によりインキのエマルジョンを破壊し、油相成分と水相成分を分離してインキの浸透促進によって乾燥性が向上し、裏移り(未乾燥のインキが次の被印刷物裏面に移行すること)を防止することが提案されている。
しかしながら、特許文献1から3には、印刷後に記録媒体上でインクを再溶解するために十分な水分量によって後処理することは記載されていない。また、引用文献3では、インクが染料を含む場合の問題について示唆すらされていない。
一方、特許文献4には、顔料インクを用いてインクジェット記録を行った後に、記録媒体に無機粒子を含有する水性後処理液を塗布することで、光沢ムラの発生及び耐擦性の低下を解決することが提案されている。特許文献1で用いられる顔料インクは、水に顔料系着色剤を含有させたものである。
しかしながら、特許文献4には、油中水型エマルションインクに適した後処理剤について開示されておらず、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクにおいて問題となる染料の発色の問題についてなんら示唆されていない。
特開2010−30283号公報 特開2010−111845号公報 特開平9−207277号公報 特開2003−291484号公報
本発明の目的としては、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクにおいて染料の発色を改善する油中水型エマルション用後処理剤、インクセット、及び印刷方法を提供することである。
本発明の一側面としては、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクに用いられ、水及び/または水溶性溶剤を50質量%以上含む、油中水型エマルションインク用後処理剤である。
本発明の他の側面としては、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインク、及び上記油中水型エマルションインク用後処理剤の組み合わせである、インクセットである。
本発明のさらに他の側面としては、上記インクセットを用いる印刷方法であって、記録媒体に油中水型エマルションインクを印刷し、少なくとも印刷面を油中水型エマルションインク用後処理剤で処理する、印刷方法である。
本発明によれば、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクにおいて染料の発色を改善する油中水型エマルションインク用後処理剤、インクセット、及び印刷方法を提供することができる。
図1は、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクを記録媒体である普通紙に印刷したときの普通紙表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す。図1(a)は油相に顔料を含み、水相に水溶性染料を含むインクであり、図1(b)は水相に水溶性染料を含むインクである。
以下、本発明に係る実施の形態について説明するが、本実施の形態における例示が本発明を限定することはない。
本発明の一実施形態による油中水(W/O)型エマルションインク用後処理剤(以下、単に「後処理剤」と称することがある)は、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインク(以下、単に「インク」と称することがある)に用いられ、水及び/または水溶性溶剤を50質量%以上含むことを特徴とする。このような後処理剤によれば、染料の発色を改善することができる。すなわち、染料の発色を改善することで、印刷濃度を高めることができる。
水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクは、水溶性染料の発色を十分に得ることができないことがある。この現象は、インクジェット記録用エマルションインクや孔版印刷用エマルションインクで確認することができる。一方、水に水溶性染料を添加した水性インクでは、水溶性染料の発色を十分に得ることができる。これより、この現象は、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクに固有であるといえる。
水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクについて検討したところ、油中水型エマルションインクを印刷した印刷物において、水溶性染料の発色が十分に発揮されない原因は、外相である油相が内相である水相に含まれる水溶性染料の均一な定着を妨げ、水溶性染料が記録媒体表面上で局在化するためであるという知見を得た。
図1に、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクを記録媒体である普通紙に印刷したときの普通紙表面のSEM(走査型電子顕微鏡)写真を示す。図1(a)は油相に顔料を含み、水相に水溶性染料を含むインクであり、図1(b)は水相に水溶性染料を含むインクである。図1(a)及び図1(b)では、普通紙の紙繊維上に、染料が球形になって局所的に析出していることが観察される。このように染料が局在化する場合、染料が十分に発色しないで、印刷濃度が低下すると推測される。
そこで、記録媒体上での水溶性染料の局在化を防ぐために、数ある方法を検討した結果、印刷物の印刷面を、水及び/または水溶性溶剤を含む後処理剤によって処理することで、記録媒体上に塗布された水溶性染料が後処理剤中の水及び/または水溶性溶剤によって再溶解されて、均一に分散及び定着されることを見いだした。すなわち、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションを普通紙等の記録媒体に印刷した印刷物において、水溶性染料の発色を改善するためには、記録媒体上に水溶性染料を均一に分散及び定着すればよく、これを実現するために本実施形態の後処理剤が有効であることを見いだした。
さらに、本実施形態の後処理剤で処理することで、裏抜けを低減することもできる。これは、水溶性染料が記録媒体内部に浸透する前に後処理剤で記録媒体が処理されることで、水溶性染料が記録媒体表面に定着しやすくなり、裏抜けが低減されると推測される。
本実施形態の後処理剤は、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクを記録媒体に印刷し、少なくとも印刷面を処理するために使用することができる。
本実施形態の後処理剤は、水及び/または水溶性溶剤を50質量%以上含む。さらに、水及び/または水溶性溶剤を70質量%以上含むことがより好ましく、80質量%以上含むことがさらに好ましい。これによって、記録媒体上で水溶性染料の局在化を防ぎ、均一に分散及び定着させることができ、水溶性染料の発色を改善し、印刷濃度を高めることができる。
水と水溶性溶剤との組み合わせとしては、特に制限されることなく、水のみであってもよいし、水溶性溶剤のみであってもよい。水と水溶性溶剤とを含む場合は、粘度調整と保湿効果の観点から、水と水溶性溶剤とを質量比で1:9〜9:1の範囲で含むことが好ましい。
後処理剤の水としては、特に限定されないが、イオン交換水、蒸留水等の純水、または超純水等、不純物の含有が少ない水が好ましい。
後処理剤の水溶性溶剤としては、室温で液体であり、水に溶解可能な有機化合物を用いることができる。たとえば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、2−メチル−2−プロパノール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;エチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン;ジグリセリン;アセチン類(モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン);トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコールエーテル類;トリエタノールアミン、スルホラン等を用いることができる。平均分子量200、300、400、600等の平均分子量が190〜630の範囲にあるポリエチレングリコール、平均分子量400等の平均分子量が200〜600の範囲にあるジオール型ポリプロピレングリコール、平均分子量300、700等の平均分子量が250〜800の範囲にあるトリオール型ポリプロピレングリコール等の低分子量ポリアルキレングリコールを用いることもできる。これらの水溶性溶剤は単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらの中でも、水溶性溶剤としては、アルコール類、ケトン類、及びグリコールエーテル類から選択される1種以上を含むことが好ましい。
本実施形態の後処理剤は、さらに無機粒子を含んでもよい。また、本実施形態の後処理剤は、樹脂粒子を含んでもよく、この樹脂粒子は、単独で、または無機粒子とともに含んでもよい。
後処理剤が無機粒子及び/または樹脂粒子を含むことで、水及び/または水溶性溶剤によって記録媒体上で再溶解した水溶性染料が、これらの粒子に吸着し水溶性染料がより局在化して、印刷濃度を高めることができる。さらに、無機粒子及び/または樹脂粒子が記録媒体上に塗布されることで印刷物の耐水性を得ることもできる。なお、印刷物を後処理剤で処理した後に熱処理を行なう場合は、無機粒子を用いることが好ましい。
さらに、後処理剤が無機粒子及び/または樹脂粒子を含むことで、より裏抜けを低減することができる。これは、無機粒子及び/または樹脂粒子が記録媒体の表面及びその近傍に残存しているインク中の溶剤を吸収し、インク中の色材が溶剤とともに記録媒体の内部に浸透することを防止するため、裏抜けを低減すると推測される。
無機粒子としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、非鉄金属等、またはこれらの酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、及び硫酸塩等を含有してもよい。例えば、金、白金、銀、アルミニウム等の単体金属、または珪素、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、チタン、亜鉛、バリウム、ジルコニウム、マンガン、鉄、ナトリウム、カリウム等の酸化物、水酸化物、硫化物、炭酸塩、及び硫酸塩等を挙げることができる。特に、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、及び酸化亜鉛を好ましく含有することができる。
これらの中でも、無機粒子としては、シリカ及び/またはアルミナを含むことが好ましく、さらに、コロイダルシリカを含むことがより好ましい。コロイダルシリカは、水溶性染料を記録媒体上で吸着しやすく、水溶性染料をより局在化させて、印刷濃度を高めることができる。
シリカとしては、これに限定されないが、粉末シリカ、コロイダルシリカ、及び合成非晶質シリカ等をそれぞれ単独で、または組み合わせて使用することができる。粉末シリカとしては、例えば、日本アエロジル株式会社製AEROSIL 90、OX 50、東ソー・シリカ株式会社製E−200A、E−220A、K−500、E−1009、E−1011、E−1030、E−150J、E−170等を使用することができる。コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業株式会社製スノーテックスS、OS、XS、OXS、20、30、40、50、O、AK、AK−YL、O−40、CM、20L、C、ZL、XL、N、UP、PS−P、PS−M、扶桑化学工業株式会社製クォートロン PL−1、PL−3、PL−7、PL−20、三興コロイド化学株式会社製シリカロイド、シリカロイド−LL、シリカロイド−A等を使用することができる。合成非晶質シリカとしては、珪酸塩と酸の中和反応で形成され、その製造方法によりさまざまな性質に分けることができるが、例えば、水澤化学工業株式会社製ミズカシルP−73、P−78A、P−707、P−709、P−527、P−803等を使用することができる。
アルミナとしては、例えば、水分散液の形態である日産化学工業株式会社製アルミナゾル100、200、520等を使用することができる。特に、水相成分としての安定性からアルミナゾル520(硝酸安定化したベーマイト板状結晶型アルミナ)が好ましい。
無機粒子の形状としては、特に制限されず、任意の形状のものを適宜使用することができる。無機粒子の1次粒子の形状としては、例えば、球状、針状、粒状、板状、棒状(細長い円柱などの柱形状)、鎖状(粒子が「く」の字等に折れ曲がった細長形状)、羽毛状等が挙げられ、適宜選択して使用することができる。無機粒子の2次粒子の形状としては、例えば、球状、針状、粒状、板状、棒状、鎖状、パールネックレス状(球状粒子が複数結合した細長形状)、3次元網目構造を有する形状等が挙げられ、適宜選択して使用することができる。
無機粒子の形状としては、印刷濃度の観点から、鎖状や棒状、パールネックレス状などの細長形状であることが好ましく、特に鎖状またはパールネックレス状であることが好ましい。特に、シリカの好適な形状としては、短軸が3nm以上30nm以下、より好ましくは5nm以上20nm以下であり、長軸が30nm以上500nm以下、より好ましくは40nm以上120nm以下である。これは、細長形状の凝集体が記録媒体表面で重なり合って被膜状になり、水溶性染料をより均一に分散させて、印刷濃度を高めることができるからと推測される。
無機粒子の平均粒子径は、特に制限されず、例えば5nm〜10μmの範囲で適宜選択して用いることができる。ここで、無機粒子の平均粒子径は、動的光散乱法によって測定して求めたものである。具体的には、株式会社堀場製作所製動的光散乱式粒度分布測定装置「LB500」によって測定することができる。無機粒子の平均粒子径は、無機粒子の種類によって、1次粒子の場合も、主に1次粒子が凝集した凝集体、すなわち2次粒子の場合もある。無機粒子の平均粒子径が小さい場合、比表面積が大きくなり、水溶性染料をより吸着しやすくなり、水溶性染料をより均一に分散させて、印刷濃度を高めることができる。一方、無機粒子の平均粒子径が大きい場合、記録媒体表面に付着した無機粒子が光を乱反射して画質が低下することがある。これより、上記範囲内であることが好ましい。
さらに、無機粒子は平均粒子径が30nm〜150nmであるシリカを含むことが好ましい。より好ましくは、40nm〜120nmであり、さらに好ましくは、80nm〜120nmである。この範囲であることで、より印刷濃度を高め、裏抜けを低減することができる。
樹脂粒子としては、特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、アクリル−スチレン樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂等の水分散体を用いることができる。樹脂粒子の形状及び平均粒子径は上記した無機粒子と同様の範囲で適宜選択することができる。
無機粒子及び/または樹脂粒子の後処理剤中の含有量としては、固形分換算で、1〜20質量%が好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。1質量%以上であることで、印刷濃度の向上及び裏抜けの低減の効果を十分に得ることができる。記録媒体上での光の乱反射の防止や、後処理剤中での分散安定性の観点から、20質量%以下であることが好ましい。
また、後処理剤が無機粒子及び/または樹脂粒子を含む場合は、塗布量が多すぎると、記録媒体上で光を乱反射して画質が低下することがあり、少なすぎると、インク中の水溶性溶剤の分散の作用を十分に得ることができないことがある。この観点から、後処理剤中の無機粒子及び/または樹脂粒子の塗布量としては、固形分換算で、0.5〜20g/mであることが好ましい。
後処理剤には、表面張力の調整や無機粒子及び/または樹脂粒子の分散性のために、高分子分散剤や界面活性剤に代表される分散剤を使用してもよい。
高分子分散剤としては、たとえば市販品として、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ(ソルスパース20000、27000、41000、41090、43000、44000)、ジョンソンポリマー社製のジョンクリルシリーズ(ジョンクリル57、60、62、63、71、501)等が挙げられる。
界面活性剤としては、たとえば、花王株式会社製デモールシリーズ(デモールN、RN、NL、RNL、T−45)などのアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲンA−60、A−90、A−500、B−40、L−40、420)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
後処理剤中に分散剤を使用する場合の後処理剤中の配合量は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般に、インク全量に対し10質量%以下で使用されることが好ましく、または、有効成分(固形分量)の質量比で無機粒子及び/または樹脂粒子1に対し、0.005〜0.5の範囲で使用されることが好ましい。
後処理剤には、それぞれ上記の成分に加え、任意に、表面張力調整剤(浸透剤)、消泡剤、酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、湿潤剤(保湿剤)、定着剤等を適宜含有させることができる。
表面張力調整剤、消泡剤等として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤を使用することができる。
具体的には、アニオン性界面活性剤としては、花王株式会社製エマールシリーズ(エマール0、10、2F、40、20C)、ネオペレックスシリーズ(ネオペレックスGS、G−15、G−25、G−65)、ペレックスシリーズ(ペレックスOT−P、TR、CS、TA、SS−L、SS−H)、デモールシリーズ(デモールN、NL、RN、MS)が挙げられる。
カチオン性界面活性剤としては、たとえば、花王株式会社製アセタミンシリーズ(アセタミン24、86)、コータミンシリーズ(コータミン24P、86P、60W、86W)、サニゾールシリーズ(サニゾールC、B−50)が挙げられる。
非イオン性界面活性剤としては、エアプロダクツ社製サーフィノールシリーズ(サーフィノール104E、104H、420、440、465、485)などのアセチレングリコール系界面活性剤や、花王株式会社製エマルゲンシリーズ(エマルゲン102KG、103、104P、105、106、108、120、147、150、220、350、404、420、705、707、709、1108、4085、2025G)などのポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤が挙げられる。
両性界面活性剤としては、花王株式会社製アンヒトールシリーズ(アンヒトール20BS、24B、86B、20YB、20N)などが挙げられる。
酸化防止剤を配合することにより、後処理剤成分の酸化を防止し、後処理剤の保存安定性を向上させることができる。たとえば、L−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸ナトリウム、イソアスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、亜二チオン酸ナトリウム、ピロ亜硫酸ナトリウム等を使用でき、これらを単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
インクの粘度やpHを調整するために、インクに電解質を配合することもできる。電解質としては、たとえば、硫酸ナトリウム、リン酸水素カリウム、クエン酸ナトリウム、酒石酸カリウム、ホウ酸ナトリウムが挙げられ、2種以上を併用してもよい。硫酸、硝酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、トリエタノールアミン等も、インクの増粘助剤やpH調整剤として用いることができる。
後処理剤に、防腐剤を配合することにより、後処理剤の腐敗を防止して保存安定性を向上させることができる。防腐剤としては、たとえば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸を用いることができる。
湿潤剤としては、多価アルコール類を使用することができる。
後処理剤の調整方法としては、特に制限されず、水及び/または水溶性溶剤に、必要に応じて無機粒子及び/または樹脂粒子を含む任意の成分を混合することで調整することができる。
後処理剤の処理方法としては、特に制限されず、任意の方法によって記録媒体上に処理することができる。例えば、グラビア印刷方法、インクジェット記録方法、スクリーン印刷方法、ロールコート方法、及びバーコート方法等を適宜選択して用いることができる。
インクジェット記録方法で後処理剤を処理する場合は、後処理剤の塗布量をより簡易に制御することができ、インクジェット記録用インクとともに後処理剤を同じ装置に組み込むことができる。処理方法がインクジェット記録方法の場合、後処理剤の吐出性を向上させるために、後処理剤の表面張力を下げるように、上記した表面張力調整剤を添加してもよい。
後処理剤の塗布量としては、特に制限されず、適宜調整して用いることができる。なお、後処理剤は水及び/または水溶性溶剤を含むため過剰に塗布すると印刷物がカールする可能性があることから、塗布量は30g/m以下であることが好ましい。
本実施形態の後処理剤は、水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクに用いられる。
油中水型エマルションインクは、水相及び油相を有し、水相が油相中に分散されている。好ましくは、油相と水相の割合は、油相10質量%〜90質量%、水相90質量%〜10質量%である。
水相を構成する水としては、特に限定されないが、イオン交換水、蒸留水等の純水、または超純水等、不純物の含有が少ない水が好ましい。
水相に含まれる水溶性染料としては、特に限定されず、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等のうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性になるものを用いることができる。具体的には、水溶性染料としては、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、フタロシアニン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等を挙げることができる。これらの染料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わされて使用されてもよい。
水溶性染料の具体例としては、FOOD BLACK 2(例えば、KST Black J−BL、日本化薬株式会社製)、Direct Black154(例えば、Water Black 187−LM、オリエント化学工業株式会社製)、Direct Black2(例えば、Water Black 455またはR−510、オリエント化学工業株式会社製)等を使用することができる。
水溶性染料(固形分)の含有量は、インク全量に対して、0.1質量%〜20質量%が好ましく、1質量%〜10質量%の範囲がより好ましく、4.5質量%〜10質量%の範囲が一層好ましい。
油相を構成する非水系溶剤としては、特に限定されず、非極性溶剤及び極性溶剤のいずれも使用することができる。例えば、非極性溶剤として炭化水素溶剤等、極性溶剤としてエステル溶剤、アルコール溶剤、高級脂肪酸溶剤、エーテル溶剤等を使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。2種以上を混合して使用する場合には、混合液は単一の連続する相を形成する必要がある。
炭化水素溶剤としては、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤等が挙げられる。脂肪族炭化水素溶剤及び脂環式炭化水素系溶剤としては、新日本石油社製「テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7」(いずれも商品名)、新日本石油化学社製「日石アイソゾール、ナフテゾール」(いずれも商品名)、エクソンモービル社製「IsoparG、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxolD40、ExxolD80、ExxolD100、ExxolD140、ExxolD140」(いずれも商品名)等が挙げられる。
エステル溶剤としては、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリル等が挙げられる。
アルコール溶剤としては、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール等が挙げられる。
高級脂肪酸溶剤としては、イソノナン酸、イソミリスチン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸等が挙げられる。
エーテル溶剤としては、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等が挙げられる。
油相はさらに色材を含んでもよい。色材としては、顔料、染料、またはこれらの組み合わせであってもよい。
油相に含まれる顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
顔料の平均粒径は、分散性と保存安定性の観点から300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。ここで、顔料の平均粒径は、(株)堀場製作所製の動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500により測定された値である。
インク中の顔料の含有量は、通常0.01〜20質量%であり、印刷濃度とインク粘度の観点から3〜15質量%であることが好ましい。
油相に含まれる染料としては、アゾ染料、金属錯塩染料、ナフトール染料、アントラキノン染料、インジゴ染料、カーボニウム染料、キノンイミン染料、キサンテン染料、シアニン染料、キノリン染料、ニトロ染料、ニトロソ染料、ベンゾキノン染料、ナフトキノン染料、フタロシアニン染料、金属フタロシアニン染料などの油溶性染料がより好ましい。これらの染料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。インク中の染料の含有量は、通常0.01〜20質量%である。
油相が顔料を含む場合は、顔料分散剤をさらに含んでもよい。顔料分散剤としては、特に限定されず、顔料を溶剤中に安定して分散させるものであればよい。たとえば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等が好適に使用され、そのうち、高分子分散剤の使用が好ましい。これらは単独で用いられるほか、複数種を組み合わせて使用してもよい。
市販されている顔料分散剤の具体例としては、
日本ルーブリゾール社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、22000、24000、28000」(いずれも商品名);
エフカケミカルズ(Efka CHEMICALS)社製「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46,47,48,49,4010,4055(変性ポリウレタン)」(いずれも商品名);
花王株式会社製「デモールP、EP、ポイズ520、521、530、ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)」(いずれも商品名);
楠本化成株式会社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名);
第一工業製薬株式会社製「ディスコール202、206、OA−202、OA−600(多鎖型高分子非イオン系)」(いずれも商品名);
等が挙げられる。
インク中の顔料分散剤の配合量は、適宜設定できるが、顔料分散性の観点から、重量比で、顔料1部に対し0.05〜1.0部程度であることが好ましく、0.1〜1.0部であることがより好ましい。インク総量に対しては、顔料分散剤は、0.5〜10重量%程度含まれていることが好ましく、1〜8重量%であることが一層好ましい。
エマルションを形成するための界面活性剤としては、油中水型エマルションインクを形成できるものであれば特に制限されるものではないが、非イオン性界面活性剤が好ましく用いられる。非イオン性界面活性剤として、例えばソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート等のソルビタン高級脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ジグリセリド、及び高級アルコール、アルキルフェノール、脂肪酸等の酸化エチレン付加物等を挙げることができる。
このうち、水の多い系で安定な油中水型エマルションを形成するためには、ポリグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。ここでいうポリグリセリン脂肪酸エステルとは、グリセリンの脱水縮合によって得られたポリグリセリンと脂肪酸とのエステル化物を言う。ポリグリセリン脂肪酸エステルにおいて、グリセリン縮合量は4〜12モルであることが好ましく、これに数モル(例えば1〜10モル)の高級脂肪酸がエステル結合していることが好ましい。高級脂肪酸としては、炭素数8〜24の脂肪酸が好ましく、オキシ脂肪酸であることがより好ましい。好ましいオキシ脂肪酸としては、リシノレイン酸、オキシラウリン酸、オキシミリスチン酸、オキシパルミチン酸、オキシステアリン酸、オキシベヘン酸、オキシトリデカン酸、オキシペンタデカン酸、オキシマルガリン酸、オキシオクタデカン酸、オキシノナデカン酸、オキシアラキン酸、リシエライジン酸等が挙げられる。好ましいポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、モノイソステアリン酸テトラグリセリル、ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル等が挙げられる。
非イオン性界面活性剤のHLBは、油中水型エマルションを形成しやすい点から、14以下が好ましい。
本実施形態における非イオン系界面活性剤の使用量は、インキ全量に対し、固形分重量比で、0.5〜40質量%であることが好ましく、より好ましくは1.0〜15質量%であり、さらに好ましくは2.0〜12質量%である。この使用量が0.5質量%に満たない場合には、エマルションの保存安定性の向上が期待できなくなる。また、この使用量が40質量%を超えた場合には、粘度が高くなり、インクジェット用途に適さなくなる。
その他、インクには、必要に応じて、消泡剤、表面張力低下剤、電解質、保湿剤、凍結防止剤、水溶性高分子、水中油型樹脂エマルション、防黴剤、防腐剤、及びpH調整剤等を配合することができる。
本実施形態のインクの粘度は、インクジェット記録装置用として用いる場合、吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜100mPa・sであることが好ましく、5〜35mPa・sであることがより好ましく、5〜25mPa・sであることが一層好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
本実施形態のインクは、水と水溶性染料とを含む水性成分と、非水系溶剤と界面活性剤とを含む油性成分とを混合、乳化させることにより製造できる。または、水性成分に非水系溶剤等の成分を順次添加しながら、乳化させてもよい。製造には、ディスパーミキサー、ホモミキサー等の乳化機を用いることができる。
本発明の一実施形態によるインクセットは、上記した油中水型エマルションインクと、上記した後処理剤との組み合わせであることを特徴とする。このようなインクセットによれば、印刷濃度を高め、裏抜けを低減することができる。
本実施形態のインクセットによれば、記録媒体に油中水型エマルションインクを印刷し、少なくとも印刷面を後処理剤で処理することで、記録媒体の表面やその近傍で、後処理剤の水及び/または水溶性溶剤が油中水型エマルションインクの水相中の水溶性染料を再溶解させ均一に分散させ、印刷濃度を高め、裏抜けを低減することができる。
記録媒体としては、特に限定されず、普通紙、上質普通紙、インクジェット(IJ)紙、IJマット紙、記録媒体上にインク吸収溶液がコートされたコート紙、コート紙よりもインク吸収層の厚みが薄い微コート紙、光沢紙(フォト光沢用紙)、特殊紙、布等で使用することができる。
次に、本発明の一実施形態による印刷方法としては、上記したインクセットを用いる印刷方法であって、記録媒体に油中水型エマルションインクを印刷し、少なくとも印刷面を上記した後処理剤で処理することを特徴とする。このようなインクジェット記録方法によれば、印刷濃度を高め、裏抜けを低減することができる。
後処理剤は、印刷面の一部分または全面を処理してもよく、印刷面とともに非印刷面を処理してもよい。後処理剤は、上記した処理方法から適宜選択して処理することができる。
本実施形態の印刷方法は、油中水型エマルションインクをインクジェット記録方法によって印刷することができる。インクジェット記録方法としては、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにする。インクジェット記録方法としてラインヘッド方式を用いることもでき、ラインヘッド方式のインクジェット記録方法によれば高速の印刷速度による印刷が可能である。なお、孔版印刷法などの他の印刷方法による印刷物に対しても、本実施形態の後処理剤を用いれば同様の効果を得ることができる。
油中水型エマルションインクの印刷後、後処理剤で処理するまでの時間は、特に制限されないが、後処理剤が無機粒子及び/または樹脂粒子を含む場合、印刷直後(例えば、印刷から5秒以内)であることが好ましい。印刷直後であると、無機粒子及び/または樹脂粒子が記録媒体の表面及びその近傍に残存しているインク中の溶剤を吸収し、インク中の色材が溶剤とともに浸透することを防止し、より裏抜けを低減することができる。
また、油中水型エマルションインクの印刷後、後処理剤で処理するまでの時間は、印刷後一定時間後であってもよい。ここで、印刷後一定時間後は、インクが着弾、浸透、定着した後のことである。例えば、印刷後1日以上経過した後に印刷面を後処理剤で処理することで、インクの水溶性染料がより効果的に再溶解され、印刷濃度の向上効果をより得ることができる。
以下、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<油中水型エマルションインクの調製>
表1に油中水型エマルションインクの処方を示す。表1に示す配合で、界面活性剤を溶解させた顔料分散体である油相成分に、水溶性染料を含む水相成分を添加し、高速ホモジナイザーで20000rpm/5分間で攪拌して乳化し、油中水型エマルションインクを得た。
<後処理剤の調整>
表2に後処理剤の処方を示す。表2に示す配合で、各コロイダルシリカ分散体に、分散剤を混合し、無機粒子が所定の濃度になるように水及び/または水溶性溶剤で希釈し、後処理剤を調製した。
表2に示す無機粒子の特性を表3に示す。表3に示す平均粒子径は、動的光散乱式粒径分布測定装置「LB500」(株式会社堀場製作所製)を用いて動的光散乱法で測定した。この平均粒子径は、1次粒子の寸法に基づく数値であった。また、表3に示す形状は、電子顕微鏡「JSM−5400LV」(日本電子株式会社製)を用いて求めた。
表1及び表2に示す成分は以下の通りである。
Hexaglyn PR−15:ポリリシノレイン酸ヘキサグリセリル、日光ケミカルズ株式会社製
IS−401P:モノイソステアリン酸ヘキサグリセリル、阪本薬品工業株式会社製
IsoparM:エクソンモービル社製
MA8:カーボンブラック、三菱化学株式会社製
S13940:ソルスパース13940、固形分40質量%、日本ルーブリゾール株式会社製
S18000:ソルスパース18000、固形分100質量%、日本ルーブリゾール株式会社製
KST Black J−BL:日本化薬株式会社製
S27000:ソルスパース27000、固形分100質量%、日本ルーブリゾール株式会社製
スノーテックスN:日産化学工業株式会社製
スノーテックスUP:日産化学工業株式会社製
スノーテックスPS−S:日産化学工業株式会社製
(実施例)
表4に示す組み合わせで、上記各油中水型エマルションインクと上記各後処理剤とを使用して、以下の手順で印刷を行った。
各油中水型エマルションインクを「ORPHIS X9050」(理想科学工業株式会社製、インクジェット記録装置である高速カラープリンター)に装填し、普通紙(理想用紙薄口、理想科学工業株式会社製)に、黒ベタ画像(42pl相当)を印刷した。なお、X9050は、300dpiのライン型インクジェットヘッド(各ノズルが約85μm間隔で並ぶ)を使用し、主走査方向(ノズルが並んでいる方向)に直交する副走査方向に用紙を搬送して印刷を行なうシステムである。
印刷直後(約0.5〜5秒後)に、印刷面上に各後処理剤をバーコーターにて液膜厚が8μm(約9g/m)となるように塗工した。
(比較例)
比較例として、上記した実施例と同様に各油中水型エマルションインクで印刷を行ったもので、後処理剤で処理しないものを用意した。
<評価>
各実施例及び比較例の印刷濃度及び裏抜けを評価し、結果を表4に示す。
(印刷濃度)
得られた印刷物を1日間放置した後、印刷物の印刷面(表面)の印刷濃度(表面OD値)を、マクベス反射濃度計(マクベス社製RD920)により測定した。また、表面OD値を相対的に評価した。評価基準を次に示す。
基準:比較例1または比較例2の表面OD値
AA:表面OD値の比較例との差の絶対値が0.05以上
A:表面OD値の比較例との差の絶対値が0.03〜0.04
B:表面OD値の比較例との差の絶対値が0.02以下
(裏抜け)
得られた印刷物を1日間放置した後、印刷物の非印刷面(裏面)の印刷濃度(裏面OD値)を、マクベス反射濃度計(マクベス社製RD920)により測定した。また、裏面OD値を相対的に評価した。評価基準を次に示す。
基準:比較例1または比較例2の裏面OD値
AA:裏面OD値の比較例との差の絶対値が0.08以上
A:裏面OD値の比較例との差の絶対値が0.05〜0.07
B:裏面OD値の比較例との差の絶対値が0.04以下
表4に示す通り、水相に水溶性染料を含むインク1では、後処理剤で処理することで、印刷濃度が向上し、裏抜けを低減することができた。後処理剤の溶剤は水であっても水溶性溶剤であっても同等に効果を得ることができた。実施例2では、後処理剤にコロイダルシリカを含み、より印刷濃度が向上し、裏抜けを低減することができた。
また、水相に水溶性染料を含み、油相に顔料を含むインク2では、後処理剤で処理することで、印刷濃度が向上し、裏抜けを低減することができた。実施例6から8では、後処理剤にコロイダルシリカを含み、より印刷濃度が向上し、裏抜けを低減することができた。実施例6及び8では、コロイダルシリカがそれぞれパールネックレス状及び鎖状であり、実施例7の球状のコロイダルシリカに比べ、平均粒子径を考慮すると、より印刷濃度が向上し、裏抜けを低減することができた。

Claims (7)

  1. 水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインクに用いられ、
    水及び/または水溶性溶剤を50質量%以上含む、油中水型エマルションインク用後処理剤。
  2. 前記水溶性溶剤は、アルコール類、ケトン類、及びグリコールエーテル類から選択される少なくとも1種を含む、請求項1に記載の油中水型エマルションインク用後処理剤。
  3. 無機粒子をさらに含む、請求項1または2に記載の油中水型エマルションインク用後処理剤。
  4. 前記無機粒子がシリカを含む、請求項3に記載の油中水型エマルションインク用後処理剤。
  5. 前記シリカは鎖状またはパールネックレス状のコロイダルシリカである、請求項4に記載の油中水型エマルションインク用後処理剤。
  6. 水相に水溶性染料を含む油中水型エマルションインク、及び
    請求項1から5のいずれか1項に記載の油中水型エマルションインク用後処理剤の組み合わせである、インクセット。
  7. 請求項6に記載のインクセットを用いる印刷方法であって、
    記録媒体に油中水型エマルションインクを印刷し、少なくとも印刷面を油中水型エマルションインク用後処理剤で処理する、印刷方法。
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