JP2013216008A - 顔料インク用前処理剤及び印刷方法 - Google Patents

顔料インク用前処理剤及び印刷方法 Download PDF

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Abstract

【課題】前処理剤塗布後の用紙変形を防止し、インク塗布後の画像濃度を高くし、裏抜けを低減し、画像滲みを低減する顔料インク用前処理剤を提供する。
【解決手段】無機粒子、水、及び非極性溶剤を含み、非極性溶剤は、前処理剤全量に対し2質量%以上20質量%以下である、顔料インク用前処理剤である。
【選択図】なし

Description

本発明は、顔料インク用前処理剤及び印刷方法に関する。
インクジェット印刷方法においては、近年、記録媒体の制約を受けずに高速でフルカラー印刷が行えることが益々要求されている。この要求に応えるためには、ラインヘッド方式のインクジェットプリンタの使用が適しており、この場合、普通紙への浸透が速く、かつ、画像濃度が高く、画像滲みや裏抜けの少ない高画質な印刷画像の得られるインクが望まれる。
インクジェット印刷方法に用いられるインクジェットインクは、水系インクと非水系インクに大別される。水系インクは溶媒として水を含有するため、特に記録媒体として普通紙を用いた場合、溶媒は記録媒体に容易に浸透するが、色材は記録媒体の表面に留まり易いため、高濃度・高画質の印刷画像が得られやすいという利点を有する。一方、水系インクは水を含有するために、記録媒体がカールやコックリングを起こしやすく、記録媒体の搬送性に悪影響を及ぼし、高速印刷の弊害となるという問題がある。
非水系インクは、主として高揮発性の有機溶剤を溶媒として含有する溶剤インクと、主として低揮発性の有機溶剤を溶媒として含有する油性インクに大別される。溶剤インクは、乾燥性に優れているが、溶媒が大量に揮発するため使用環境が制限される。一方で、油性インクは記録媒体として普通紙を用いた場合、記録媒体への浸透性および乾燥性に優れ、また、水系インク及び溶剤インクよりも溶媒が揮発し難いため、インクノズルにおける目詰まりが生じにくく、インクノズルのクリーニング回数が少なくて済むといった利点があり、高速印刷、特にラインヘッド方式の高速インクジェット印刷方法に適している。
しかし、油性インクは記録媒体上での色材と溶媒の離脱性が悪く、特に記録媒体として普通紙を用いた場合、色材と溶媒が一緒に記録媒体の繊維間隙に浸透しやすく、画像濃度の低下、裏抜けの増大、印刷ドットの滲みが生じ、印刷画像の画質が低下するという問題がある。
従来から、色材を用紙等の記録媒体表面に留め、印刷ドットの滲みを抑制するために、無機粒子や定着樹脂で構成されたインク受容層を表面に備えた専用紙が各種存在する。しかし、普通紙で同様の効果を得るには、印刷時に色材を用紙表面に留める方法を用いることが望ましい。
水系インクでは、色材を溶媒と一緒に浸透させずに用紙表面に留める方法として、インクに重ねて処理液を吐出し、または、処理液塗布後にインクを吐出し、インクと処理液に含まれる物質を用紙表面で反応させることにより、色材を凝集させて浸透しにくくする方法が提案されている(特許文献1、2及び3)。また、カチオン性ポリマーを含む前処理液を印刷前に記録用メディア表面に処理し、アニオン性染料を含む水系インクを反応させて定着させる方法が提案されている(特許文献4)。
しかし、これらの方法は色材を用紙表面に留め、印刷ドットの滲みを抑制するという効果は有するものの、処理液とインク両方が水分を多く含むため、特に普通紙に対する印刷においては記録媒体がカールやコックリングを起こしやすく、高速印刷への弊害となるという問題がある。
非水系インクでは、特許文献5に、アニオン性官能基を有する高分子化合物を含む第1のインクと、1級および/または2級アミノ基を有する高分子化合物を含む第2のインクとを重ねて吐出し、用紙表面で両物質を反応させることにより、色材を凝集させ、浸透しにくくする方法が提案されている。しかし、この方法では、常に2種のインクを一定量重ねて印刷するため、画像率が高い印刷物を多枚数印刷する場合、インクを大量に消費するという問題がある。
特許文献6には、特定の平均粒子径を有する無機粒子と所定の割合で水溶性有機溶剤と水とを含む前処理液を印刷媒体へ塗布した後、油性インクを記録媒体上へ吐出させることにより印刷を行う油性インクジェット印刷方法が提案されている。この印刷方法によれば、前処理液で印刷媒体の表面を処理することで、印刷媒体の表面が目止めされて、印刷された油性インク中の色材が印刷媒体上に留まるとともに、色材の印刷媒体への浸透が抑制され、印刷濃度が向上すると同時に裏抜けと滲みを防止することが可能である。
特許文献6の印刷方法の場合、前処理液が水溶性有機溶剤と水とを所定の割合で含有するので、前処理液で記録媒体の表面を処理した場合でも、印刷媒体にカール等の変形を生じさせることは軽減され、印刷媒体の搬送性を良好に保つことが可能である。しかし、前処理液を印刷媒体へ塗布した後、直ちに油性インクを印刷媒体上へ吐出させるといったさらなる高速性に対応できることが望まれる。
さらに、ラインヘッド式のインクジェット印刷方法において前処理剤を用いる場合、印刷の高速性が要求されるため、前処理剤が塗布された記録媒体を長時間乾燥することは難しい。短時間で乾燥させるためには、前処理剤塗布後の記録媒体に対して高熱を送風する方法、加熱ロールを記録媒体に接触させて乾燥する方法等が考えられるが、システムへの負荷、消費電力の増加が懸念されるため好ましくない。前処理剤塗布後の記録媒体の乾燥速度を速めるために、前処理剤の溶媒として高揮発性の有機溶剤を使用することもできるが、使用環境が制限されるため好ましくない。
特開2000−198263号公報 特開2003−326829号公報 特開2009−208437号公報 特開2007−276387号公報 特開2011−012149号公報 特開2011−098454号公報
本発明の目的としては、前処理剤塗布後の用紙変形を防止し、インク塗布後の画像濃度を高くし、裏抜けを低減し、画像滲みを低減する顔料インク用前処理剤及び印刷方法を提供することである。
本発明の一側面としては、無機粒子、水、及び非極性溶剤を含み、前記非極性溶剤は、前処理剤全量に対し2質量%以上20質量%以下である、顔料インク用前処理剤である。
本発明の他の側面としては、上記した顔料インク用前処理剤を記録媒体へ塗布した後、顔料及び溶剤を含むインクを用いて記録媒体に印刷する、印刷方法である。
本発明によれば、前処理剤塗布後の用紙変形を防止し、インク塗布後の画像濃度を高くし、裏抜けを低減し、画像滲みを低減する顔料インク用前処理剤及び印刷方法を提供することができる。
本発明の一実施形態による顔料インク(以下、単に「インク」という場合がある)用前処理剤(以下、単に「前処理剤」という場合がある)は、無機粒子、水、及び非極性溶剤を含み、非極性溶剤は、前処理剤全量に対し2質量%以上20質量%以下であることを特徴とする。この前処理剤は、インク塗布前に記録媒体に塗布することで、前処理剤塗布後の記録媒体において記録媒体の変形を防止することができ、インク塗布後の印刷物において画像濃度を高くし、裏抜けを低減し、画像滲みを低減することができる。
本実施形態による前処理剤によれば、非極性溶剤が前処理剤全量に対し2質量%以上20質量%以下であることで、前処理剤を記録媒体に塗布した直後から記録媒体の用紙変形を防止することができる。特に、前処理剤を記録媒体に塗布してから20秒以内で記録媒体の用紙変形を低減することができる。これによって、前処理剤を塗布直後においても搬送不良を防止し、高速搬送を行うことができる。特に、ラインヘッド式のインクジェット印刷方法に適する。また、例えば、前処理剤塗布とインク塗布とをインラインにした印刷装置において、前処理剤塗布からインク塗布までの時間を短縮することができる。
また、前処理剤が非極性溶剤とともに無機粒子を含むことで、前処理剤が記録媒体に塗布されると、記録媒体上に無機粒子が留まり、次いでインクが塗布されると、記録媒体上に留まった無機粒子によって、顔料が記録媒体内部に浸透することが防止され、画像濃度を高くし、裏抜けを低減することができる。また、記録媒体上で無機粒子が顔料を保持する作用によって、画像滲みを防止することもできる。
無機粒子としては、特に限定されないが、体質顔料として使用される無機粒子を使用することができ、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化チタン、アルミナホワイト、水酸化アルミニウム、白土、タルク、クレー、ケイソウ土、カオリン、マイカ等の無機粒子を好ましく挙げることができる。これらは単独、または2種以上の組み合わせとして用いてもよい。
無機粒子の平均粒子径としては、1〜20μmであることが好ましい。ここで、平均粒子径は、レーザー光回折散乱法により測定された値であり、レーザー光回折散乱粒度分布測定装置により測定することができる。一例としては、平均粒子径は、株式会社島津製作所製「SALD−2000A」を用いて、レーザー光波長:680nm、測定温度:25℃、分散媒:水の条件により測定することができる。
無機粒子の平均粒子径が1〜20μmであることで、記録媒体表面上に無機粒子が留まり、この留まった無機粒子がインク中の顔料が記録媒体内部に浸透することを防止して、いわゆる目止め作用を発揮し、裏抜けを低減して、画像濃度を高くすることができる。
無機粒子は、平均粒子径が異なる2種以上の無機粒子を組み合わせて用いてもよい。異なる平均粒子径の無機粒子を用いることで、記録媒体上で多様なサイズの顔料を保持することができ、より裏抜けを低減し、画像濃度を高くすることができる。例えば、1〜9μmの無機粒子と、10〜20μmの無機粒子とを、質量比で1:9〜9:1で組み合わせて使用することができる。
無機粒子は、前処理剤全量に対し5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは10質量%以上であり、一層好ましくは20質量%以上である。
無機粒子がこの範囲で含まれることで、記録媒体に前処理剤を塗布した際に、前処理剤中の無機粒子が記録媒体上に十分な量で留まり、記録媒体に対する目止め作用を十分に得ることができる。また、この範囲であれば、前処理剤の塗布量を増加させなくても適量で無機粒子の作用が得られるため、塗布される前処理剤中の水分量を抑えて、記録媒体の乾燥性が高く記録媒体の変形を防止することができ、また、画像滲みを防止することができる。
また、無機粒子は、前処理剤全量に対し50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは35質量%以下であり、一層好ましくは30質量%以下である。
これによって、前処理剤中での無機粒子の分散安定性を良好に保ち、前処理剤を記録媒体に均一に塗布することができる。
前処理剤中の水分量としては、前処理剤全量に対し65質量%以下であることが好ましく、より好ましくは60質量%以下であり、一層好ましくは55質量%以下である。ここで水分量は、前処理剤に溶媒として含まれる水の他、樹脂や分散剤、その他の添加剤等に含まれる水分量を合わせたものである。
水分量がこの範囲であることで、前処理剤塗布後の記録媒体の変形をより効果的に防止することができ、また、前処理剤の貯蔵安定性を良好に保つことができる。
また、前処理剤中の水分量としては、前処理剤全量に対し30質量%以上であることが好ましく、より好ましくは35質量%以上である。
これによって、記録媒体に前処理剤をムラなく均一に塗布し、記録媒体上に無機粒子を均一に塗布して、より裏抜けを低減し、画像濃度を高くすることができる。
水としては、蒸留水やイオン交換水等の不純物の少ない水を用いることが好ましい。
非極性溶剤としては、特に限定されないが、例えば、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等を好ましく挙げることができる。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、ナフテン系、パラフィン系、イソパラフィン系等の石油系炭化水素溶剤を使用でき、たとえば、ドデカンなどの脂肪族飽和炭化水素類、JX日鉱日石エネルギー株式会社製「テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、AF−7」、Exxon社製「Isopar(アイソパー)G、Isopar H、Isopar L、Isopar M、Exxsol D40、Exxsol D80、Exxsol D100、Exxsol D120、Exxsol D130、Exxsol D140、Norpar(ノルパー)13、Norpar 15、Somentor 32」、日本サン石油株式会社製「サンセン、サンパー」等を好ましく挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、JX日鉱日石エネルギー株式会社製「日石クリーンソルG」(アルキルベンゼン)、Exxon社製「ソルベッソ200」等を好ましく挙げることができる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記した非極性溶剤は、SP値が8(cal/cm1/2未満の溶剤である。好ましくは、非極性溶剤のSP値としては、7.5(cal/cm1/2以下であり、さらに好ましくは2(cal/cm1/2である。
このSP値は、溶解度パラメータであり、分子の凝集エネルギー密度の平方根で定義される。種々の計算方法があるが、ここではFedorの提案した推算法(数1)により計算された値を用いる。
[数1]
δ(SP値)=[ΣEcoh/ΣV]1/2 ・・・(1)
ここで、Ecohは各官能基に固有の定数を示し、Vはモル分子を表す(「SP値基礎・応用と計算方法」、66〜67頁、(株)情報機構、2005年3月31日発行参照)。
非極性溶剤は、前処理剤全量に対し2質量%以上であり、好ましくは7質量%以上であり、より好ましくは10質量%以上である。これによって、前処理剤中の非極性溶剤の作用が十分に発揮され、用紙変形を低減することができる。
また、非極性溶剤は、前処理剤全量に対し20質量%以下であり、好ましくは17質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。前処理剤中に非極性溶剤を添加することで用紙変形を防止することができるが、過剰に配合されると前処理剤の安定性が低下して、画像濃度向上等の作用を得にくくなることがある。これより、非極性溶剤の上限値は上記範囲に設定するとよい。
前処理剤には、本発明の効果を損なわない限り、上記した非極性溶剤以外の溶剤を含んでいてもよい。例えば、アルコール系溶剤、エステル系溶剤、エーテル系溶剤等を含んでもよい。これらのその他の溶剤は、溶剤全量に対し40質量%以下であることが好ましい。
前処理剤は、分散剤をさらに含んでもよい。前処理剤に分散剤が含まれることで、無機粒子を前処理剤中に安定して分散させ、良好な貯蔵安定性を得ることができる。また、前処理剤には、水及び非水系溶剤が共に含まれるため、分散剤の作用によって、水及び非水系溶剤が乳化されて、エマルション形態の前処理剤を得ることができる。このエマルション形態の前処理剤は、良好な貯蔵安定性を提供することができ、また、記録媒体に前処理剤中の成分を均一に塗布することができる。
前処理剤に含まれる分散剤としては、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、または、スチレン、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、アクリル酸、アクリル酸誘導体、マレイン酸、マレイン酸誘導体、イタコン酸、イタコン酸誘導体、フマル酸、フマル酸誘導体から選ばれた2種以上の単量体からなるブロック共重合体、ランダム共重合体およびこれらの塩等を用いることができ、そのうち、高分子分散剤が好ましい。
市販品としては、ビックケミー・ジャパン株式会社製「DISPERBYK190、191、192、193,194、180、2095(高分子分散剤)」、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース27000(高分子分散剤)」、花王株式会社製「デモールEP(特殊ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)」等を挙げることができる。
前処理剤に、上記した分散剤とともに、または分散剤に代えて界面活性剤を添加することでも、エマルション形態の前処理剤を得ることができる。
前処理剤に含まれる界面活性剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤等を挙げることができる。
市販品としては、日光ケミカルズ株式会社製「Hexaglyn1−L(モノラウリン酸ヘキサグリセリル)、Decaglyn1−M(モノミリスチン酸デカグリセリル)、MYO−10(モノオレイン酸ポリエチレングリコール)、TL−10(モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン)」、花王株式会社製「エマール20C(ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステル塩)、アンヒトールBS(ラウリルベタイン)」等を挙げることができる。
本実施形態の前処理剤には、本発明の効果を損なわない限り、上記した成分の他に、例えば、樹脂、定着剤、防腐剤、消泡剤等の他の成分を添加してもよい。
樹脂としては、水分散性または水溶性樹脂を好ましく用いることができる。水分散性または水溶性樹脂としては、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂、ウレタン樹脂、酢酸ビニル樹脂、アクリル−酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)、デンプン、アルキド樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアセタール等を好ましく挙げることができ、これらは単独でまたは2種以上を適宜組み合わせて使用することができる。より具体的には、例えば、第一工業製薬株式会社製のスーパーフレックスシリーズのなかのスーパーフレックス460、460s、470、500M、610、700、株式会社アデカ製アデカボンタイターシリーズのなかのアデカボンタイターHUX−380、290K、290H、三井化学ポリウレタン株式会社製タケラックW−512A6等が挙げられる。これらは、ウレタン骨格を有する水分散性樹脂である。また、スチレン−アクリル樹脂として日本合成化学株式会社製モビニール965、モビニール8055A等、ポリビニルアルコールとして日本酢ビ・ポバール株式会社製JMR−10M等が挙げられる。水分散性樹脂は、インク全量に対し1〜15質量%で含まれていることが好ましく、3〜10質量%で含まれていることがより好ましい。
定着剤を用いることで、前処理剤塗工層の耐久性を付与し、さらに印刷画像の滲みを防止することができる。定着剤としては、各種の水溶性または水分散性樹脂などが使用可能である。水溶性または水分散性樹脂としては上記した樹脂と同様のものを用いることができる。
防腐剤を配合することにより、インクの腐敗を防止して貯蔵安定性を向上させることができる。防腐剤としては、たとえば、5−クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン、2−n−オクチル−4−イソチアゾリン−3−オン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン等のイソチアゾロン系防腐剤;ヘキサヒドロ−1,3,5−トリス(2−ヒドロキシエチル)−s−トリアジン等のトリアジン系防腐剤;2−ピリジンチオールナトリウム−1−オキシド、8−オキシキノリン等のピリジン・キノリン系防腐剤;ジメチルジチオカルバミン酸ナトリウム等のジチオカルバメート系防腐剤;2,2−ジブロモ−3−ニトリロプロピオンアミド、2−ブロモ−2−ニトロ−1,3−プロパンジオール、2,2−ジブロモ−2−ニトロエタノール、1,2−ジブロモ−2,4−ジシアノブタン等の有機臭素系防腐剤;p−ヒドロキシ安息香酸メチル、p−ヒドロキシ安息香酸エチル、ソルビン酸カリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、サリチル酸等を用いることができる。市販品としては、日本エンバイロケミカルズ株式会社製「スラウト33」等を用いることができる。
消泡剤としては、例えば、シリコーン系、ポリエーテル系、脂肪酸エステル系等のものを用いることができる。市販品としては、エアプロダクツジャパン株式会社製「サーフィノールDF−58」等を用いることができる。
本実施形態による前処理剤としては、例えばビーズミル等の分散機に全成分を一括または分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等の過機を通すことにより調製できる。好ましくは、無機粒子及び水と、分散剤と、任意の添加剤とを混合及び分散して水相を調整し、次いで、この水相に、油相として非極性溶剤を徐々に添加して混合及び分散し、エマルション状態の前処理剤を調整することができる。
前処理剤の記録媒体への塗布方法としては、特に制限されず、任意の方法で塗布することができる。例えば、前処理剤は、刷毛、ローラー、バーコーター等を使用して記録媒体の表面全面に塗布してもよく、または、インクジェット印刷およびグラビア印刷等の印刷方法によって記録媒体の表面全面または画像領域部分に塗布してもよい。
前処理剤の塗布は、印刷装置内でインクの塗布とインラインで行うこともできる。例えば、塗工ローラー等の前処理剤の塗布機構部を、インクの印刷機構部より用紙搬送方向手前に配置し、前処理剤の塗布機構部によって記録媒体に前処理剤を塗布した後に、搬送機構部によって記録媒体をインクの印刷機構部に搬送し、インクの印刷機構部によって前処理剤塗布領域にインクを印刷することができる。この場合、インラインであるため、前処理剤の塗布からインクの印刷までの時間を短縮することができる。本実施形態による前処理剤では、塗布直後の用紙変形を防止するため、前処理剤の塗布からインクの印刷までの時間が短い機構においても、搬送不良を低減することができる。
前処理剤は、前処理剤量が10〜15g/mとなるように記録媒体に塗布することが好ましく、より好ましくは11〜14g/mであり、さらに好ましくは11〜13g/mである。前処理剤量が10g/m以上であることで、記録媒体表面に無機粒子が十分な量で塗布され、目止め作用が十分に発揮される。これによって、インク塗布後に記録媒体内部にインク中の顔料が浸透することを防止して、裏抜けを低減し、画像濃度を高くすることができる。
また、前処理剤量が15g/m以下であることで、記録媒体に塗布される前処理剤中の水分量を適正に保ち、用紙変形を抑制して、搬送性を向上させることができる。さらに、前処理剤の塗布量が多くなると、印刷ドットの滲みが小さくなって、解像度300×300dpi程度の印刷の際に、ベタを形成するのに十分なドットサイズを得ることができない場合がある。これによって、裏抜けは抑制されるが画像濃度が低下することがある。この観点からも、前処理剤の塗布量の上限を上記範囲に制限することが好ましい。
本実施形態による前処理剤は、顔料及び溶剤を含むインクを塗布する前に、記録媒体に塗布して用いることができる。インクとしては、非水系顔料インクまたは水系顔料インクのいずれであってもよい。
非水系顔料インクとしては、顔料及び非水系溶剤を主に含む。ここで、非水系顔料インクは、実質的に水を含まない非水系顔料インクであり、非水系インクは、インク中の水の量が5質量%以下であることを意味する。
非水系顔料インクの顔料としては、有機顔料、無機顔料を問わず、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、カーボンブラック、カドミウムレッド、クロムイエロー、カドミウムイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、ウルトラマリンブルー、プルシアンブルー、コバルトブルー、アゾ系顔料、フタロシアニン系顔料、キナクリドン系顔料、イソインドリノン系顔料、ジオキサジン系顔料、スレン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、キノフタロン系顔料、金属錯体顔料などを使用することができる。これらの顔料は単独で用いてもよいし、2種以上組み合わせて使用してもよい。
顔料は、非水系顔料インク全量に対し0.01〜20質量%の範囲で含まれることが好ましい。
非水系顔料インク中における顔料の分散性を良好にするために、非水系顔料インクに顔料分散剤を添加してもよい。顔料分散剤としては、顔料を非水系溶剤中に安定して分散させるものであれば特に限定されないが、例えば、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を使用することができる。そのうち、高分子分散剤を使用することが好ましい。
顔料分散剤の具体例としては、日本ルーブリゾール株式会社製「ソルスパース5000(フタロシアニンアンモニウム塩系)、13940(ポリエステルアミン系)、17000、18000(脂肪酸アミン系)、11200、22000、24000、28000」(いずれも商品名)、BASFジャパン株式会社製「エフカ400、401、402、403、450、451、453(変性ポリアクリレート)、46、47、48、49、4010、4055(変性ポリウレタン)」(いずれも商品名)、花王株式会社製「デモールP、EP、ポイズ520、521、530、ホモゲノールL−18(ポリカルボン酸型高分子界面活性剤)」(いずれも商品名)、楠本化成株式会社製「ディスパロンKS−860、KS−873N4(高分子ポリエステルのアミン塩)」(いずれも商品名)、第一工業製薬株式会社製「ディスコール202、206、OA−202、OA−600(多鎖型高分子非イオン系)」(いずれも商品名)等が挙げられる。
上記顔料分散剤のうち、ポリエステル鎖からなる側鎖を複数備える櫛形構造のポリアミド系分散剤が好ましく使用される。ポリエステル鎖からなる側鎖を複数備える櫛形構造のポリアミド系分散剤とは、ポリエチレンイミンのような主鎖に多数の窒素原子を備え、窒素原子を介してアミド結合した側鎖を複数備える化合物であって、側鎖がポリエステル鎖であるものをいい、例えば、特開平5−177123号公報に開示されているような、ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンからなる主鎖一分子当り3〜80個のポリ(カルボニル―C3〜C6―アルキレンオキシ)鎖がアミド架橋によって側鎖として結合している構造の分散剤が挙げられる。なお、かかる櫛形構造のポリアミド系分散剤としては、上記日本ルーブリゾール株式会社製ソルスパース11200、ソルスパース28000(何れも商品名)が該当する。
顔料分散剤の含有量は、上記顔料を十分に非水系溶剤中に分散可能な量であれば足り、適宜設定することができる。
非水系溶剤とは、非極性有機溶剤および極性有機溶剤であって、50%留出点が150℃以上の溶剤をいう。50%留出点は、JIS K0066「化学製品の蒸留試験方法」に従って測定される、質量で50%の溶剤が揮発したときの温度を意味する。非水系溶剤は、インクの溶媒すなわちビヒクルとして機能するものであれば特に限定されず、揮発性溶剤および難揮発性溶剤の何れであってもよい。しかしながら、本実施形態では環境上の観点から、非水系溶剤は、難揮発性溶剤を主体として含有することが好ましい。難揮発性溶剤の沸点は、200℃以上が好ましく、より好ましくは240℃以上である。
非水系溶剤としては、非極性有機溶剤および極性有機溶剤の何れの有機溶剤も使用できる。これらは、単独で使用してもよく、または、単一の相を形成する限り、2種以上組み合わせて使用できる。本実施形態では、非極性有機溶剤および極性有機溶剤を組み合わせて使用することが好ましく、20〜80質量%の非極性溶剤と80〜20質量%の極性溶剤とから溶剤を構成することが好ましく、25〜45質量%の非極性溶剤と75〜55質量%の極性溶剤とから溶剤を構成することがより好ましい。
たとえば、非極性有機溶剤としては、上記した前処理剤に含まれる非極性溶剤と同様のものを、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
極性有機溶剤としては、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤などが挙げられる。これらは、単独で、または、2種以上組み合わせて用いることができる。
エステル系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が5以上、好ましくは9以上、より好ましくは12乃至32の高級脂肪酸エステル類が挙げられ、例えば、イソノナン酸イソデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、パルミチン酸ヘキシル、パルミチン酸イソステアリル、イソパルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、オレイン酸ヘキシル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸ヘキシル、ステアリン酸イソオクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ピバリン酸2−オクチルドデシル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2エチルヘキサン酸グリセリルなどが挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が12以上の脂肪族高級アルコール類が挙げられ、具体的には、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなどの高級アルコールが挙げられる。
脂肪酸系溶剤としては、例えば、1分子中の炭素数が4以上、好ましくは9乃至22の脂肪酸類が挙げられ、イソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸などが挙げられる。
エーテル系溶剤としては、ジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどのグリコールエーテル類の他、グリコールエーテル類のアセタートなどが挙げられる。
非水系顔料インクには、本発明の効果を損なわない限り、上記成分以外に、例えば、染料、界面活性剤、定着剤、防腐剤、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、粘度調整剤等の他の成分を添加してもよい。
非水系顔料インクは、例えばビーズミル等の分散機に全成分を一括または分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより調製することができる。例えば、予め非水系溶剤の一部と顔料の全量を均一に混合させた混合液を調製して分散機にて分散させた後、この分散液に残りの成分を添加してろ過機を通すことにより調製することができる。
インクジェット印刷方法に用いる場合、非水系顔料インクの粘度としては、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において1〜30mPa・sであることが好ましく、3〜15mPa・sであることがより好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
水系顔料インクとしては、顔料、水、水系溶剤を主に含む。ここで、水系顔料インクは、溶媒が主に水及び水系溶剤からなる水系顔料インクである。
水系顔料インクの顔料としては、たとえば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料、ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類を用いることができる。これらの顔料は、いずれか1種が単独で用いられるほか、2種以上が組み合わせて使用されてもよい。
さらに、化学的または物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入された自己分散性顔料を用いることが好ましい。自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性またはカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシル基、カルボニル基、ヒドロキシル基、ホスホン酸基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基などが好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理などが挙げられる。
顔料はインク全量に対し1〜30質量%で含まれていることが好ましく、1〜15質量%で含まれていることがより好ましい。
水系顔料インクは、水中に顔料を安定して分散させるために、水分散性樹脂を含むことができる。水分散性樹脂としては、水に安定に分散させるために必要な親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。水分散性樹脂としては、上記した前処理剤に含まれる樹脂と同様のものを用いることができる。水分散性樹脂は、インク全量に対し1〜15質量%で含まれていることが好ましく、3〜10質量%で含まれていることがより好ましい。
水は、粘度調整の観点から、インク中に20〜80質量%で含まれていることが好ましく、30〜70質量%で含まれていることがより好ましい。水としては、蒸留水やイオン交換水等の不純物の少ない水を用いることが好ましい。
水系溶剤としては、水溶性有機溶剤が使用される。水溶性有機溶剤としては、具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、などのグリコール類、グリセリン、アセチン類、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテルなどのグリコール誘導体、トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン、β−チオグリコール、スルホランなどを用いることができる。これらの水溶性有機溶剤は単独で、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。水溶性有機溶剤は、インク全量に対し1〜80質量%含まれていることが好ましく、10〜60質量%含まれていることがより好ましい。
水性インクには、必要に応じて、本発明の目的を阻害しない範囲内で、当該分野において通常用いられている各種添加剤を含ませることができる。具体的には、顔料分散剤、消泡剤、表面張力低下剤等として、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、または高分子系、シリコーン系、フッ素系の界面活性剤をインクに含有させることができる。
水系顔料インクは、上記非水系顔料インクと同様の方法で調製することができる。また、水系顔料インクの粘度は、上記非水系顔料インクと同様に調整することが好ましい。
上記した顔料インク用前処理剤は、上記した顔料インク用前処理剤と組み合わせてインクセットとして提供することができる。このインクセットによれば、本実施形態による前処理剤及び顔料インクを用いて、印刷工程をより簡単に行うことができる。
ここで、インクセットの一形態としては、例えば、前処理剤と顔料インクとをそれぞれ任意の個数で組み合わせた構成であればよい。前処理剤を収容した前処理剤カートリッジと、インクを収容したインクカートリッジとを、それぞれ任意の個数で組み合わせて一体化し、1つのカートリッジとして提供してもよい。また、単独の前処理剤カートリッジとインクカートリッジとをそれぞれ任意の個数で組み合わせ、複数のカートリッジの組み合わせの構成として提供してもよい。また、前処理剤カートリッジとインクカートリッジとともに記録ヘッドとを一体化した構成として提供してもよい。
また、本発明の一実施形態による印刷方法としては、上記した前処理剤を記録媒体へ塗布した後、顔料及び溶剤を含む顔料インクを用いて記録媒体に印刷する、印刷方法である。この印刷方法によれば、用紙変形を防止して搬送不良を低減するとともに、画像濃度を高くし、裏抜けを低減し、画像滲みを低減することができる。
本実施形態によるインクを用いた印刷方法は、特に限定されないが、インクジェット印刷方法を用いて行われることが好ましい。インクジェットプリンタは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよい。インクジェット記録装置を用いる場合は、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドから本実施形態によるインクを吐出させ、吐出されたインク液滴を記録媒体に付着させるようにすることが好ましい。
前処理剤の塗布とインクの印刷とを上記したようにインラインで行う場合、本実施形態による前処理剤によれば、前処理剤塗布後の用紙変形を防止することができるため、搬送不良を低減することができる。また、前処理剤塗布直後の用紙変形を防止することができるため、前処理剤塗布からインクの印刷までの搬送時間を短くすることができ、高速搬送を実現することができる。
前処理剤塗布からインクの印刷までの時間としては、好ましくは、60秒以下で適宜設定することができる。さらに、本実施形態による前処理剤を用いることで、前処理剤塗布後の用紙変形を防止することができるため、30秒以下とすることができ、さらに20秒以下とすることができる。
記録媒体としては、特に限定されず、普通紙、光沢紙、特殊紙、布、フィルム、OHPシートなどが使用できる。とりわけ、本実施形態によれば、普通紙に印刷する場合でも、顔料が記録媒体内部に浸透することを防止して記録媒体表面に留めることができるため、印刷物の画像濃度が向上し、裏抜けや画像滲みが低減し、また、印刷中の用紙変形が防止され、高速印刷が可能である。
以下に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<前処理剤の調整>
表1に前処理剤の処方を示す。前処理剤3、4、6及び7では、表1に示す成分のうち、水相として、無機粒子、分散剤、樹脂、防腐剤、消泡剤、及び水をプレミックスし、超音波分散機にて1分間分散した。次いで、この水相に、油相として非極性溶剤を徐々に添加して混合しながら、超音波分散機にて3分間分散し、エマルション状態の前処理剤を調整した。
前処理剤1、2及び5では、表1に示す成分を一括して混合し、超音波分散機にて1分間分散し、前処理剤を得た。
表1には、分散剤のDISPERBYK190(固形分40質量%)及び樹脂のスチレン/アクリル樹脂(固形分45質量%)について固形分量を合わせて示す。また、これらの溶媒である水と、配合した水とを合わせて、前処理剤中の水分量を表1に合わせて示す。
<非水系顔料インクの調整>
表2に非水系顔料インクの処方を示す。表2に示す各成分を表2に示す割合でプレミックスし、その後、ビーズミル(直径(φ)0.5mmのジルコニアビーズ使用)にて分散し、得られた分散液をメンブレンフィルター(開口径3μm)でろ過し、非水系顔料インクを得た。
<実施例1〜4及び比較例1〜4>
表3に実施例及び比較例の前処理剤の組み合わせを示す。表2に示す非水系顔料インクを、理想科学工業株式会社製ラインヘッド式インクジェットプリンタ「HC5500(商品名)」の吐出経路に導入し、印刷用紙として理想科学工業株式会社製「理想用紙薄口(商品名)」を用い、この印刷用紙の片面全面に表1に示す前処理剤を、塗布量が11〜12g/mになるように、バーコーターで塗布した後、20秒後に印刷用紙の処理表面上に非水系顔料インクを吐出させ、ベタ画像および複数の細線を印刷した。印刷は、解像度300×300dpiにて、1ドット当りのインク量が36plの吐出条件で行った。なお、比較例1では、前処理剤の塗布を行わずに印刷を行った。
Figure 2013216008
Figure 2013216008
Figure 2013216008
各表に示す成分は次の通りである。
(前処理剤)
ミズカシルP−73:シリカ粒子、平均粒子径4μm、水澤化学工業株式会社製
ミズカシルP−758C:シリカ粒子、平均粒子径13μm、水澤化学工業株式会社製
DISPERBYK190:高分子分散剤、固形分40質量%、ビックケミー・ジャパン株式会社製
ポリビニルアルコール:JMR−10M、日本酢ビ・ポバール株式会社製、けん化度65.0mol%、重合度250のポリビニルアルコール
スチレン/アクリル樹脂エマルション:モビニール966A(固形分45質量%)、日本合成化学株式会社製
スラウト33:日本エンバイロケミカル株式会社製
サーフィノールDF−58:エアプロダクツジャパン株式会社製
ジエチレングリコール−m−エチルエーテル:SP値10.9、和光純薬工業株式会社製
ナフテン系溶剤:AF−7、SP値7.0(cal/cm1/2、JX日鉱日石エネルギー株式会社製
イソパラフィン系溶剤:アイソパーM、SP値7.0(cal/cm1/2、Exxon社製
(インク)
カーボンブラック:MA8、三菱化学株式会社製
ソルスパース28000:日本ルーブリゾール株式会社製
オレイン酸メチル:エキセパールMOL、花王株式会社製
ミリスチン酸イソプロピル:エキセパールIPM、花王株式会社製
炭化水素系溶剤:AF−6、JX日鉱日石エネルギー株式会社製
上記シリカ粒子の平均粒子径は、株式会社島津製作所製「SALD−2000A」を用いて、レーザー光回折散乱法により測定した。
<評価>
得られた印刷物について以下の評価を行い、結果を表3に合わせて示す。
(印刷物の画像濃度)
上記で得られた印刷物を1晩放置後、ベタ画像部分の表面の画像濃度(OD値)を、光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用いて測定し、以下の基準で評価した。
AA:1.30≦OD
A:1.25≦OD<1.30
B:1.20≦OD<1.25
C:OD<1.20
(印刷物の裏抜け)
上記で得られた印刷物を1晩放置後、ベタ画像部分の裏面の画像濃度(OD値)を、光学濃度計(RD920:マクベス社製)を用いて測定した。また、印刷物の非印刷部分のOD値を同様に測定した。そして、ベタ画像部分の裏面の画像濃度(OD値)から印刷物の非印刷部分のOD値を差し引いた値ΔODを求め、以下の基準で評価した。裏抜けの評価では、裏面の画像濃度が低いほど、つまりΔODが小さいほど改善されたことを示す。
A:0.1≦ΔOD<0.16
B:0.16≦ΔOD
(印刷物の画像滲み)
上記で得られた印刷物を1晩放置後、細線が複数並んだ画像を印刷した印刷物を目視で観察し、線の滲みの度合いを、以下の基準で評価した。
A:滲みがない
B:やや滲んでいる
C:大きく滲んでいる
(印刷物の用紙変形)
理想用紙薄口を10cm×15cmにカットしたものの一辺を台紙に両面テープで固定し、この用紙の片面全面に、表1に示す前処理剤を塗布量が11〜12g/mになるようにバーコーターで塗布した。前処理剤を塗布してから20秒後の印刷物の用紙変形量を、以下の基準で評価した。なお、用紙変形量は環境の影響を受けやすいため、室温23℃、湿度50%の環境で評価した。
下記変形量の評価では、用紙が静置面から見て凸に変形した場合の最も高い部分の値を正(+)の変形量、凹に変形した場合の最も高い部分の値を負(−)の変形量として評価した。
A:−5mm<用紙変形量<5mm
B:−15mm<用紙変形量≦−5mm、または5mm≦用紙変形量<15mm
C:用紙変形量≦−15mm、または15mm≦用紙変形量
表3に示す通り、各実施例の印刷物では、画像濃度、裏抜け及び画像滲みとともに、用紙変形も良好であることがわかった。実施例3及び4では、前処理剤に非極性溶剤の量がより多く配合され、用紙変形をより効率よく抑えることができた。
比較例1では、前処理剤で処理しないで印刷したものであり、用紙変形はもちろん発生しなかったが、前処理剤の作用である画像濃度、裏抜け及び画像滲みの改善が得られなかった。比較例2では、前処理剤の溶剤が水のみであり、用紙変形量が大きかった。比較例3及び4では、前処理剤の溶剤が水及び極性溶剤を含むものの、用紙変形量が大きかった。

Claims (6)

  1. 無機粒子、水、及び非極性溶剤を含み、
    前記非極性溶剤は、前処理剤全量に対し2質量%以上20質量%以下である、
    顔料インク用前処理剤。
  2. 前記非極性溶剤は、前処理剤全量に対し7質量%以上17%以下である、請求項1に記載の顔料インク用前処理剤。
  3. 前記非極性溶剤は、SP値が8(cal/cm1/2未満である、請求項1または2に記載の顔料インク用前処理剤。
  4. 前記非極性溶剤は、ナフテン系溶剤及びイソパレフィン系溶剤のうち1種を少なくとも含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の顔料インク用前処理剤。
  5. エマルション形態である、請求項1から4のいずれか1項に記載の顔料インク用前処理剤。
  6. 請求項1から5のいずれか1項に記載の顔料インク用前処理剤を記録媒体へ塗布した後、顔料及び溶剤を含むインクを用いて記録媒体に印刷する、印刷方法。
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