JP2021038279A - 捺染インクジェット用水性インク、及び捺染物の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】摩擦堅牢性に優れる捺染物を製造するための捺染インクジェット用水性インクを提供することができる。【解決手段】第一水分散性樹脂、第二水分散性樹脂、色材、及び水を含み、第一水分散性樹脂は皮膜伸度が600%以上のウレタン系樹脂であり、第二水分散性樹脂は皮膜伸度が0%〜90%、ガラス転移点が20℃〜85℃のウレタン系樹脂である、捺染インクジェット用水性インクである。【選択図】なし

Description

本発明は、捺染インクジェット用水性インク、及び捺染物の製造方法に関する。
織物、編み物、不織布等の布帛等に、文字、絵、図柄等の画像を捺染する方法として、スクリーン捺染法やローラー捺染法の他に、近年では、コンピュータで画像処理して実質無版で捺染することができるダイレクト方式の捺染インクジェット方法が注目されている。捺染インクジェット方法は、布帛に非接触で画像を捺染することができるという点で、他の捺染方法に比べて応用性が広いという利点もある。
布帛への捺染では、画像の発色性とともに、摩擦堅牢性が求められる。例えば、被服等に用いられる布帛では、洗濯堅牢性を高めるために、湿潤環境での摩擦堅牢性も求められる。
摩擦堅牢性を高める一方法として、色材とともに樹脂を含むインクを用いて布帛に画像を形成することで、布帛上に樹脂皮膜を形成して色材を布帛に定着させる方法がある。
特許文献1には、顔料、水分散性樹脂、水、および水溶性有機溶剤を含む捺染インクジェット用インクにおいて、水分散性樹脂の皮膜伸度が所定値以上であることで、インク膜が布帛の伸縮に追従して伸縮し、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性を改善し得ることが提案されている。
さらに、特許文献2には、顔料と、樹脂と、2−ピロリドン系溶剤とを含み、pHをコントロールしたインクジェット捺染用のインクを用いることで、インク中に、樹脂に由来する凝集物が発生することを抑制することが提案されている。また、特許文献2には、皮膜伸度が400%〜1200%である樹脂を用いることで、布帛の伸縮に対して追従性の良好な画像を形成できることが開示されている。さらに、特許文献2には、インク膜の粘性を適度に保ち、布帛に対するアンカー効果の低下を抑制するために、樹脂の皮膜伸度の上限値を1200%に限定することが開示されている。
特開2009−30014号公報 特開2014−148564号公報
従来の捺染インクジェット用水性インクは、布帛の伸縮に対して追従性が良好な観点から、ある程度の大きさの皮膜伸度を備える樹脂を用いているため、インク皮膜が柔らかい傾向があり、実際にある程度の摩擦力が負荷される状況ではインク皮膜が剥がれ落ちることがある。また、ある程度の大きさの皮膜伸度を備える樹脂を用いると、インク皮膜が粘着性を示してベタつきが生じる問題がある。また、インク皮膜がベタつくと、摩擦堅牢性、特に湿潤環境での摩擦堅牢性が低下する問題につながる。
本発明の一目的としては、摩擦堅牢性に優れる捺染物を製造するための捺染インクジェット用水性インクを提供することである。
本発明の一側面は、第一水分散性樹脂、第二水分散性樹脂、色材、及び水を含み、前記第一水分散性樹脂は皮膜伸度が600%以上のウレタン系樹脂であり、前記第二水分散性樹脂は皮膜伸度が0%〜90%、ガラス転移点が20℃〜85℃のウレタン系樹脂である、捺染インクジェット用水性インクである。
本発明の他の側面は、上記した捺染インクジェット用水性インクを用いて、布帛にインクジェット印刷することを含む、捺染物の製造方法である。
本発明の一実施形態によれば、摩擦堅牢性に優れる捺染物を製造するための捺染インクジェット用水性インクを提供することができる。
以下、本発明の一実施形態を詳しく説明するが、本発明がこれらの実施形態に限定されることはなく、様々な修正や変更を加えてもよいことはいうまでもない。
一実施形態による捺染インクジェット用水性インク(以下、単にインクとも称する。)としては、第一水分散性樹脂、第二水分散性樹脂、色材、及び水を含み、第一水分散性樹脂は皮膜伸度が600%以上のウレタン系樹脂であり、第二水分散性樹脂は皮膜伸度が0%〜90%、ガラス転移点が20℃〜85℃のウレタン系樹脂であることを特徴とする。
これによれば、摩擦堅牢性に優れる捺染物を製造するための捺染インクジェット用水性インクを提供することができる。
第一水分散性樹脂は、皮膜伸度が600%以上のウレタン系樹脂であり、布帛の伸縮に追従しやすい樹脂皮膜を形成可能な成分である。第二水分散性樹脂は、皮膜伸度が0%〜90%、ガラス転移点が20℃〜85℃のウレタン系樹脂であり、第一水分散性樹脂より硬い樹脂皮膜を形成する成分である。
一実施形態によれば、第一水分散性樹脂及び第二水分散性樹脂を組み合わせて用いることで、摩擦堅牢性を高めることができる。これは、得られる捺染物において、インク皮膜の柔らかさと硬さとのバランスが調節され、また、インク皮膜のベタつきが低減されることを一要因とする。
一方、皮膜伸度が大きい樹脂を単独で含むインクを用いる場合では、インク皮膜が柔らかいため、布帛の伸縮にインク皮膜が追従しひび割れは生じにくいが、インク皮膜の柔らかさ、ベタつきのため、摩擦条件によってはインク皮膜が剥がれ落ちやすい問題がある。
一実施形態では、第一水分散性樹脂と第二水分散性樹脂とはともにウレタン系樹脂であることから相溶性を示し、得られるインク皮膜においては、それぞれの樹脂が均一に入り混じった状態で存在すると考えられる。
そして、インク皮膜において、第一水分散性樹脂と第二水分散性樹脂とが混在することで、インク皮膜がある程度の硬さを有し、ベタつきが低減された状態となる。このインク皮膜が相手材から押し付けられる場合に、インク皮膜の沈み込みが抑制され、インク皮膜と相手材との接触面積が小さくなり、摩擦抵抗を低下させて、摩擦堅牢性を高めることができると考えられる。さらには、インク皮膜のベタつきが低減されて粘着性が低いため、相手材との摩擦抵抗がより低下すると考えられる。皮膜伸度が大きい樹脂を単独で含むインクを用いる場合では、インク皮膜が柔らかく、インク皮膜と相手材との接触面積が大きくなり、さらにはベタつきが低減されないため、摩擦抵抗が大きくなる問題がある。
一実施形態において、第一水分散性樹脂は、皮膜伸度が600%以上のウレタン系樹脂であることが好ましい。
第一水分散性樹脂がインクに含まれることで、インク皮膜が適度な柔らかさを備えて、摩擦堅牢性を改善することができる。例えば、布帛にインク皮膜を形成する場合は、布帛の繊維の伸縮にインク皮膜が追従しやすくなって、摩擦堅牢性を改善することができる。また、第一水分散性樹脂は、適度な皮膜伸度を有することで、インク皮膜の成膜性を高めて、インク皮膜をより均一に形成することができる。
第一水分散性樹脂の皮膜伸度は、600%以上が好ましく、640%以上がより好ましく、700%以上がさらに好ましい。これによって、インク皮膜が適度な柔軟性を備えて、摩擦堅牢性をより改善することができ、なかでも布帛の伸縮によるインク皮膜の剥がれ落ちをより防止することができる。
また、第一水分散性樹脂の皮膜伸度の上限値は特に制限されないが、2000%以下であってよく、1500%以下がより好ましく、1200%以下がさらに好ましい。これによって、インク皮膜の強度を確保することができ、また、インク皮膜のベタつきを抑制することができる。また、インク皮膜の布帛へのアンカー効果を維持することができ、インク皮膜の定着性をより高めることができる。
例えば、第一水分散性樹脂の皮膜伸度は、600〜2000%が好ましく、640〜1500%がより好ましく、700〜1200%がさらに好ましい。
ここで、樹脂の皮膜伸度は、次の手順にしたがって測定することができる。まず、乾燥後の膜厚が500μmになるように、ポリテトラフルオロエチレンシート上に水分散性樹脂を塗布し、23℃で15時間乾燥し、さらに80℃で6時間、及び120℃で20分の乾燥を行った後、シートから剥離して樹脂フィルムを作製する。引張試験機を用い、測定温度20℃、測定スピード200mm/minで、得られた樹脂フィルムを伸長させて樹脂フィルムが破断するまでに伸長する長さを測定し、もとの長さに対するその割合をパーセントで表した値を皮膜伸度とする。引張試験機としては、テンシロン万能試験機RTC−1225A(株式会社オリエンテック製)を用いることができる。以下同じである。
第一水分散性樹脂のガラス転移点(Tg)は、皮膜伸度が上記した範囲を満たす限り特に制限されないが、例えば、20℃未満が好ましく、0℃以下がより好ましく、−20℃以下がさらに好ましい。
また、第一水分散性樹脂のガラス転移点(Tg)の下限値は特に制限されないが、−50℃以上であってよく、−40℃以上がより好ましい。
ガラス転移点の測定方法は、示差走査熱量測定(DSC)にしたがって行うことができる。
第一水分散性樹脂は、水性溶媒中で分散可能な樹脂粒子であることが好ましく、例えば、水中油型樹脂エマルションとしてインクに配合することが可能である。
第一水分散性樹脂は、水に安定に分散させるために親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
第一水分散性樹脂の平均粒子径は、インクジェット吐出性の観点から、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がより好ましい。例えば、第一水分散性樹脂の平均粒子径は、10nm〜300nmの範囲とするとよい。
ここで、樹脂の平均粒子径は、体積基準の平均粒子径であり、光散乱法によって測定した数値である。
第一水分散性樹脂は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性のいずれであってもよい。水性インクに配合される色材の多くがアニオン性であることから、水性インク中に色材とともに第一水分散性樹脂をより安定に分散させるために、第一水分散性樹脂はアニオン性または非イオン性であることが好ましい。
第一水分散性樹脂としては、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等のアニオン性の官能基を有する、アニオン性のウレタン系樹脂が好ましい。
第一水分散性樹脂としては、ウレタン骨格を有し水分散性を備える水分散性ウレタン系樹脂を用いることができる。
水分散性ウレタン系樹脂は、ウレタン樹脂に親水性基及び/又は親水性セグメントを導入した自己乳化型のウレタン系樹脂、ウレタン樹脂を界面活性剤によって乳化した強制乳化型のウレタン系樹脂等を好ましく用いることができる。
水分散性ウレタン系樹脂としては、例えば、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合からなる群から選択される1種、又は2種以上を含むウレタン系樹脂等を用いることができる。
具体的に、水分散性ウレタン系樹脂としては、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にエーテル結合とエステル結合を含むポリエステル・エーテル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂などを挙げることができる。なかでも、ポリカーボネート型ウレタン樹脂、ポリエステル型ウレタン樹脂を好ましく用いることができる。
第一水分散性樹脂の市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス300、スーパーフレックス460、スーパーフレックス470、スーパーフレックス460S、スーパーフレックス500M、スーパーフレックス740」等;ダイセル・オルネクス株式会社製「DAOTAN VTW1233、DAOTAN VTW6460」等;DIC株式会社製「ハイドランAP−201、ハイドランHW−311、ハイドランHW−312B」等を挙げることができる(いずれも商品名)。
上記した第一水分散性樹脂は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第一水分散性樹脂は、インク全量に対して、不揮発分量で1質量%以上が好ましく、3質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。これによって、インク皮膜の摩擦堅牢性をより改善することができる。
第一水分散性樹脂は、インク全量に対して、不揮発分量で17.9質量%以下が好ましく、14.5質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。これによって、インク皮膜の柔らかさ及びベタつきを制御することができ、また、インクの貯蔵安定性を適度に維持することができる。
例えば、第一水分散性樹脂は、インク全量に対して、不揮発分量で1〜17.9質量%が好ましく、3〜14.5質量%がより好ましく、5〜10質量%がさらに好ましい。
第一水分散性樹脂は、不揮発分量の質量比で色材1に対し0.01〜0.2が好ましく、0.05〜0.1がより好ましい。
一実施形態において、第二水分散性樹脂は、皮膜伸度が0%〜90%、ガラス転移点が20℃〜85℃のウレタン系樹脂であることが好ましい。
第二水分散性樹脂がインクに含まれることで、インク皮膜が適度な硬さを備えて、摩擦堅牢性を改善することができる。
第二水分散性樹脂を用いることでインク皮膜の伸縮性が低下することがあるが、第一水分散性樹脂の皮膜伸度が600%以上であることで、インク皮膜全体の伸縮性を高めることができ、インク皮膜の摩擦堅牢性を改善することができる。また、硬い樹脂を用いたインク皮膜によって布帛本来の風合いを損なわせることがあるが、一実施形態では、第一水分散性樹脂と第二水分散性樹脂とを組み合わせて用いているため、布帛本来の風合いを良好に保つことが可能である。
皮膜伸度が0%は、所定の引っ張り強度によって皮膜が伸長しない状態を示す。第二水分散性樹脂の皮膜伸度は、0%以上であればよいが、例えば1%以上、さらに3%以上であってもよい。
また、第二水分散性樹脂の皮膜伸度は、90%以下が好ましく、50%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。これによって、インク皮膜が適度な剛性を備えて、摩擦堅牢性をより改善することができる。インク皮膜がある程度の硬さを備えることで、捺染物が相手材によって摩擦される場合に、インク皮膜が布帛に沈み込まないようにして、インク皮膜の剥がれ落ちを防止することができる。
第二水分散性樹脂のガラス転移点(Tg)は、20℃以上が好ましく、25℃以上がより好ましく、30℃以上がさらに好ましい。ガラス転移点が20℃以上であることで、インク皮膜がより適度な硬さを備えることができる。
また、第二水分散性樹脂のガラス転移点(Tg)は、85℃以下が好ましく、75℃以下がより好ましく、50℃以下がさらに好ましい。これによって、インク皮膜が過剰に硬くなることを防止し、摩擦堅牢性の低下を防止することができる。例えば、インク皮膜の剥がれ落ちを防止し、また、耐傷性の低下を防止することができる。
例えば、第二水分散性樹脂のガラス転移点(Tg)は、20〜80℃が好ましく、25〜75℃がより好ましく、30〜50℃がさらに好ましい。
上記した範囲で第一水分散性樹脂と第二水分散性樹脂とがガラス転移点を有することで、布帛上において第一水分散性樹脂と第二水分散性樹脂とがより均一に混合された状態でインク皮膜を形成することができ、摩擦堅牢性の向上をさらに図ることができる。
第二水分散性樹脂は、水性溶媒中で分散可能な樹脂粒子であることが好ましく、例えば、水中油型樹脂エマルションとしてインクに配合することが可能である。
第二水分散性樹脂は、水に安定に分散させるために親水成分が導入された自己乳化型のものでもよいし、外部乳化剤の使用により水分散性となるものでもよい。
第二水分散性樹脂は、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性のいずれであってもよい。水性インクに配合される色材の多くがアニオン性であることから、水性インク中に色材とともに第二水分散性樹脂をより安定に分散させるために、第二水分散性樹脂はアニオン性または非イオン性であることが好ましい。
第二水分散性樹脂としては、カルボキシ基、スルホ基、ヒドロキシ基等のアニオン性の官能基を有する、アニオン性のウレタン系樹脂が好ましい。
また、第一水分散性樹脂と第二水分散性樹脂とのイオン性は同じであるか、又は少なくとも一方が非イオン性であることが好ましく、例えば、いずれもアニオン性であるか、又は一方がアニオン性で他方が非イオン性であることが好ましい。
第二水分散性樹脂の平均粒子径は、インクジェット吐出性の観点から、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下がより好ましい。例えば、第二水分散性樹脂の平均粒子径は、10nm〜300nmの範囲とするとよい。
ここで、樹脂の平均粒子径は、体積基準の平均粒子径であり、光散乱法によって測定した数値である。
第二水分散性樹脂としては、ウレタン骨格を有し水分散性を備える水分散性ウレタン系樹脂を用いることができる。
水分散性ウレタン系樹脂は、ウレタン樹脂に親水性基及び/又は親水性セグメントを導入した自己乳化型のウレタン系樹脂、ウレタン樹脂を界面活性剤によって乳化した強制乳化型のウレタン系樹脂等を好ましく用いることができる。
水分散性ウレタン系樹脂としては、例えば、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合、エステル結合、カーボネート結合からなる群から選択される1種、又は2種以上を含むウレタン系樹脂等を用いることができる。
具体的に、水分散性ウレタン系樹脂としては、ウレタン結合以外に、主鎖にエーテル結合を含むポリエーテル型ウレタン樹脂、主鎖にエステル結合を含むポリエステル型ウレタン樹脂、主鎖にエーテル結合とエステル結合を含むポリエステル・エーテル型ウレタン樹脂、主鎖にカーボネート結合を含むポリカーボネート型ウレタン樹脂などを挙げることができる。なかでも、ポリエステル型ウレタン樹脂、ポリエステル・エーテル型ウレタン樹脂を好ましく用いることができる。
第二水分散性樹脂の市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製「スーパーフレックス126、スーパーフレックス170、スーパーフレックス210、スーパーフレックス820、スーパーフレックス830HS、スーパーフレックス860、スーパーフレックス870」等;ダイセル・オルネクス株式会社製「DAOTAN VTW1686」等;DIC株式会社製「ハイドランAP−40F、ハイドランAP−40N、ハイドランHW−350」等を挙げることができる(いずれも商品名)。
上記した第二水分散性樹脂は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第二水分散性樹脂は、インク全量に対して、不揮発分量で0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%がさらに好ましい。これによって、インク皮膜を適度な硬さとして、摩擦堅牢性をより改善することができる。
第二水分散性樹脂は、インク全量に対して、不揮発分量で10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下がさらに好ましい。これによって、第一水分散性樹脂とのバランスが良好に調節されてインク皮膜が適度な柔軟性を備えて、布帛の伸縮にインク皮膜が追従するようになって、摩擦堅牢性をより改善することができる。また、インクの貯蔵安定性を適度に維持することができる。
例えば、第二水分散性樹脂は、インク全量に対して、不揮発分量で0.1〜10質量%が好ましく、0.5〜5質量%がより好ましく、1〜3%がさらに好ましい。
第二水分散性樹脂は、不揮発分量の質量比で色材1に対し0.01〜0.5が好ましく、0.02〜0.1がより好ましい。
第一水分散性樹脂及び第二水分散性樹脂の合計量は、インク全量に対して、不揮発分量で2質量%以上が好ましく、4質量%以上がより好ましく、6質量%以上がさらに好ましい。これによって、インク皮膜の摩擦堅牢性をより改善することができる。
第一水分散性樹脂及び第二水分散性樹脂の合計量は、インク全量に対して、不揮発分量で18質量%以下が好ましく、16質量%以下がより好ましく、14質量%以下がさらに好ましい。これによって、インクの貯蔵安定性を適度に維持することができ、また、インクジェットノズルからのインクの吐出性をより改善することができる。
例えば、第一水分散性樹脂及び第二水分散性樹脂の合計量は、インク全量に対して、不揮発分量で2〜18質量%が好ましく、4〜16質量%がより好ましく、6〜14質量%がさらに好ましい。
第一水分散性樹脂に対する第二水分散性樹脂の不揮発分量の質量比、すなわち(第二水分散性樹脂の不揮発分量)/(第一水分散性樹脂の不揮発分量)は、0.02以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。
また、(第二水分散性樹脂の不揮発分量)/(第一水分散性樹脂の不揮発分量)は、2.0以下が好ましく、1.5以下がより好ましく、1.0以下がさらに好ましい。
例えば、(第二水分散性樹脂の不揮発分量)/(第一水分散性樹脂の不揮発分量)は、0.02〜2.0が好ましく、0.05〜1.5がより好ましく、0.1〜1.0がさらに好ましい。
これによって、第一水分散性樹脂と第二水分散性樹脂とのバランスを保ち、インク皮膜の摩擦堅牢性をより改善することができる。
インクには、第一水分散性樹脂が1種で、又は2種以上含まれてもよい。また、インクには、第二水分散性樹脂が1種、又は2種以上含まれてもよい。
インクに2種以上の第一水分散性樹脂が含まれる場合、上記した樹脂の配合量は、2種以上の第一水分散性樹脂の不揮発分量の合計量である。第二水分散性樹脂も同様である。
水性インクは、上記した第一水分散性樹脂及び第二水分散性樹脂に加えて、その他の樹脂を含んでもよい。樹脂としては、例えばバインダー樹脂等が挙げられる。上記した第一水分散性樹脂及び第二水分散性樹脂を用いることでバインダー樹脂の作用を得ることは可能であるが、本願発明の効果を損なわない限り、さらにその他の樹脂が配合されていてもよい。
一実施形態によるインクは、色材として、顔料、染料、又はこれらの組み合わせを含むことができ、好ましくは顔料を含むことができる。
一実施形態によるインクは、摩擦堅牢性に優れるインク皮膜を形成することができるため、顔料を用いた場合でも、布帛に顔料をより強固に固着することができ、捺染物の退色、又は色移りを防止することができる。
色材としては、通常のモノクロ印刷又はカラー印刷に用いることができる色材を用いることができる。また、下塗り用のインクを提供するために、色材として白顔料を用いることもできる。
非白色の顔料としては、例えば、アゾ系、フタロシアニン系、染料系、縮合多環系、ニトロ系、ニトロソ系等の有機顔料(ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウォッチングレッド、ジスアゾイエロー、ハンザイエロー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー、アニリンブラック等);コバルト、鉄、クロム、銅、亜鉛、鉛、チタン、バナジウム、マンガン、ニッケル等の金属類、金属酸化物および硫化物、ならびに黄土、群青、紺青等の無機顔料;ファーネスカーボンブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類などを挙げることができる。
顔料の平均粒子径は、発色性の観点から50nm以上であることが好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下であることが好ましい。例えば、顔料の平均粒子径は、50〜500nmであることが好ましく、50〜200nmであることがより一層好ましい。
白色顔料としては、例えば、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、酸化アンチモン、酸化ジルコニウム等の無機顔料などを挙げることができる。さらに、中空樹脂微粒子、高分子微粒子等の白色顔料を用いることもできる。なかでも、隠蔽性の観点から、酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンの平均粒子径は、隠蔽性の観点から50nm以上であることが好ましく、吐出安定性の観点から500nm以下であることが好ましい。酸化チタンを使用する場合は、光触媒作用を抑制するために、アルミナやシリカで表面処理されたものを用いることが好ましい。表面処理量は、顔料中に5〜20質量%であることが好ましい。
顔料として自己分散性顔料を配合してもよい。自己分散性顔料は、化学的処理又は物理的処理により顔料の表面に親水性官能基が導入された顔料である。自己分散性顔料に導入させる親水性官能基としては、イオン性を有するものが好ましく、顔料表面をアニオン性又はカチオン性に帯電させることにより、静電反発力によって顔料粒子を水中に安定に分散させることができる。アニオン性官能基としては、スルホン酸基、カルボキシ基、カルボニル基、ヒドロキシ基、ホスホン酸基等が好ましい。カチオン性官能基としては、第4級アンモニウム基、第4級ホスホニウム基等が好ましい。
これらの親水性官能基は、顔料表面に直接結合させてもよいし、他の原子団を介して結合させてもよい。他の原子団としては、アルキレン基、フェニレン基、ナフチレン基等が挙げられるが、これらに限定されることはない。顔料表面の処理方法としては、ジアゾ化処理、スルホン化処理、次亜塩素酸処理、フミン酸処理、真空プラズマ処理等が挙げられる。
自己分散性顔料としては、例えば、キャボット社製CAB−O−JETシリーズ「CAB−O−JET200、300、250C、260M、270、450C」等、オリヱント化学工業株式会社製「BONJET BLACK CW−1、CW−2、CW−3、CW−4」等を好ましく使用することができる(いずれも商品名)。
顔料として、顔料を樹脂で被覆したマイクロカプセル化顔料を用いてもよい。
顔料分散剤で顔料があらかじめ分散された顔料分散体を使用してもよい。顔料分散剤で分散された顔料分散体の市販品としては、例えば、クラリアント社製HOSTAJETシリーズ、冨士色素株式会社製FUJI SPシリーズ等が挙げられる。後述する顔料分散剤で分散された顔料分散体を使用してもよい。
色材として染料を配合してもよい。染料としては、印刷の技術分野で一般に用いられているものを使用でき、特に限定されない。具体的には、塩基性染料、酸性染料、直接染料、可溶性バット染料、酸性媒染染料、媒染染料、反応染料、バット染料、硫化染料等が挙げられる。これらのうち、水溶性のもの及び還元等により水溶性となるものを好ましく用いることができる。より具体的には、アゾ染料、ローダミン染料、メチン染料、アゾメチン染料、キサンテン染料、キノン染料、トリフェニルメタン染料、ジフェニルメタン染料、メチレンブルー等が挙げられる。
色材は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
色材の配合量は、色材の種類によっても異なるが、遮蔽性、発色性等の観点から、有効成分(顔料濃度)でインク全量に対して0.1〜30質量%で含まれることが好ましく、1〜15質量%であることがより好ましい。
色材として顔料をインクに配合する場合では、インク中に顔料を安定に分散させるために、高分子分散剤、界面活性剤型分散剤等に代表される顔料分散剤を用いることができる。
高分子分散剤としては、例えば、市販品として、EVONIK社製のTEGOディスパースシリーズ「TEGOディスパース740W、TEGOディスパース750W、TEGOディスパース755W、TEGOディスパース757W、TEGOディスパース760W」等、日本ルーブリゾール株式会社製のソルスパースシリーズ「ソルスパース20000、ソルスパース27000、ソルスパース41000、ソルスパース41090、ソルスパース43000、ソルスパース44000、ソルスパース46000」等、BASFジャパン株式会社製のジョンクリルシリーズ「ジョンクリル57、ジョンクリル60、ジョンクリル62、ジョンクリル63、ジョンクリル71、ジョンクリル501」等、ビックケミージャパン株式会社製の「DISPERBYK−102、DISPERBYK−185、DISPERBYK−190、DISPERBYK−193、DISPERBYK−199」等、第一工業製薬株式会社製の「ポリビニルピロリドンK−30、ポリビニルピロリドンK−90」等が挙げられる(いずれも商品名)。
界面活性剤型分散剤としては、例えば、花王株式会社製デモールシリーズ「デモールEP、デモールN、デモールRN、デモールNL、デモールRNL、デモールT−45」等のアニオン性界面活性剤、花王株式会社製エマルゲンシリーズ「エマルゲンA−60、エマルゲンA−90、エマルゲンA−500、エマルゲンB−40、エマルゲンL−40、エマルゲン420」等の非イオン性界面活性剤等が挙げられる(いずれも商品名)。
上記した顔料分散剤は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
顔料分散剤を使用する場合のインク中の配合量は、その種類によって異なり特に限定はされないが、一般に、有効成分(顔料濃度)の質量比で顔料1に対し、0.005〜0.5が好ましい。
一実施形態によるインクは、水性溶媒として水を含むことが好ましく、主溶媒が水であってもよい。
水としては、特に制限されないが、イオン成分をできる限り含まないものが好ましい。特に、インクの貯蔵安定性の観点から、カルシウム等の多価金属イオンの含有量が少ないことが好ましい。水としては、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等を用いるとよい。
水は、インク粘度の調整の観点から、インク全量に対して20質量%〜80質量%で含まれることが好ましく、30質量%〜70質量%で含まれることがより好ましい。
一実施形態によるインクは、水とともに、又は水に代えて、水溶性有機溶剤を含むことができる。
水溶性有機溶剤としては、インクの粘度調整と保湿効果の観点から、室温で液体であって水に溶解可能であることが好ましい。
水溶性有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,2−ブタンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、2−メチル−2−プロパノール等の低級アルコール類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類;グリセリン;モノアセチン、ジアセチン等のアセチン類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノプロピルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノヘキシルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジエチルエーテル等のグリコール類の誘導体;トリエタノールアミン、1−メチル−2−ピロリドン等の2−ピロリドン系溶剤、β−チオジグリコール、スルホランなどを挙げることができる。
さらに、平均分子量200、300、400、600等の平均分子量が190〜630の範囲にあるポリエチレングリコール、平均分子量400等の平均分子量が200〜600の範囲にあるジオール型ポリプロピレングリコール、平均分子量300、700等の平均分子量が250〜800の範囲にあるトリオール型ポリプロピレングリコール等の低分子量ポリアルキレングリコールなどを挙げることができる。
上記した水溶性有機溶剤は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。2種以上の水溶性有機溶剤を用いる場合は、水とともに単一相を形成する組み合わせとすることが好ましい。
水溶性有機溶剤は、インクの粘度調整と保湿効果の観点から、インク全量に対し、1〜80質量%であることが好ましい。インクが水を主溶媒として含む場合は、水溶性有機溶剤は、インク全量に対し、1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
インクは、その他の成分を適宜含んでもよい。その他の成分としては、分散助剤、表面張力調整剤(界面活性剤)、酸化防止剤、防腐剤、架橋剤等が挙げられる。
インクに表面張力活性剤として界面活性剤を配合することにより、インクジェット方法でインクをより安定に吐出させることができ、また、インクの布帛への浸透性をより適切に制御しやすくすることができる。
界面活性剤として、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン性界面活性剤のいずれを用いてもよいが、インクの泡立ちを防止する観点から非イオン性界面活性剤が好ましい。また、低分子系界面活性剤、高分子系界面活性剤のいずれを用いてもよい。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸ソルビタンエステル等のエステル型界面活性剤;ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシプロピレンアルキルエーテル等のエーテル型界面活性剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のエーテルエステル型界面活性剤;アセチレン系界面活性剤;シリコーン系界面活性剤;フッ素系界面活性剤等が挙げられる。なかでも、アセチレン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤を好ましく用いることができる。
アセチレン系界面活性剤としては、例えば、アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレン基を有する界面活性剤等を挙げることができる。
アセチレングリコール系界面活性剤としては、アセチレン基を有するグリコールであって、好ましくはアセチレン基が中央に位置して左右対称の構造を備えるグルコールであり、アセチレングリコールにエチレンオキサイドを付加した構造を備えてもよい。
アセチレン系界面活性剤の市販品としては、例えば、エボニックインダストリーズ社製サーフィノールシリーズ「サーフィノール104E、サーフィノール104H、サーフィノール420、サーフィノール440、サーフィノール465、サーフィノール485」等、日信化学工業株式会社製オルフィンシリーズ「オルフィンE1004、オルフィンE1010、オルフィンE1020」等を挙げることができる(いずれも商品名)。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル・アラルキル共変性シリコーン系界面活性剤、アクリルシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤の市販品としては、例えば、日信化学工業株式会社製の「シルフェイスSAG002、503A」等が挙げられる(いずれも商品名)。
また、その他の非イオン性界面活性剤として、例えば、花王株式会社製エマルゲンシリーズ「エマルゲン102KG、エマルゲン103、エマルゲン104P、エマルゲン105、エマルゲン106、エマルゲン108、エマルゲン120、エマルゲン147、エマルゲン150、エマルゲン220、エマルゲン350、エマルゲン404、エマルゲン420、エマルゲン705、エマルゲン707、エマルゲン709、エマルゲン1108、エマルゲン4085、エマルゲン2025G」等のポリオキシエチレンアルキルエーテル系界面活性剤等が挙げられる(いずれも商品名)。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製エマールシリーズ「エマール0、エマール10、エマール2F、エマール40、エマール20C」等、ネオペレックスシリーズ「ネオペレックスGS、ネオペレックスG−15、ネオペレックスG−25、ネオペレックスG−65」等、ペレックスシリーズ「ペレックスOT−P、ペレックスTR、ペレックスCS、ペレックスTA、ペレックスSS−L、ペレックスSS−H」等、デモールシリーズ「デモールN、デモールNL、デモールRN、デモールMS」等が挙げられる(いずれも商品名)。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製アセタミンシリーズ「アセタミン24、アセタミン86」等、コータミンシリーズ「コータミン24P、コータミン86P、コータミン60W、コータミン86W」等、サニゾールシリーズ「サニゾールC、サニゾールB−50」等が挙げられる(いずれも商品名)。
両性界面活性剤としては、例えば、花王株式会社製アンヒトールシリーズ「アンヒトール20BS、アンヒトール24B、アンヒトール86B、アンヒトール20YB、アンヒトール20N」等が挙げられる(いずれも商品名)。
上記した界面活性剤は1種単独で用いることが好ましいが、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の配合量は、顔料分散剤として界面活性剤が使用される場合はその合計量として、界面活性剤の種類によっても異なるが、インクの表面張力、インクの布帛への浸透性等の観点から、インク全量に対し有効成分量で0.1〜10質量%が好ましい。
インクのpHは、インクの貯蔵安定性の観点から、7.0〜10.0が好ましく、7.5〜9.0がより好ましい。
インクの粘度は適宜調節することができるが、例えば吐出性の観点から、23℃における粘度が1〜30mPa・sであることが好ましい。
インクの製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、スリーワンモーター等の攪拌機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことによりインクを得ることができる。
一実施形態による捺染インクジェット用水性インクは、布帛への印刷に好ましく用いることができる。
布帛としては、例えば、綿、絹、羊毛、麻等の天然繊維;ポリエステル、アクリル、ポリウレタン、ナイロン、レーヨン、キュプラ、アセテート等の化学繊維;又はこれらの混紡繊維等を挙げることができる。また、布帛としては、織物、編物、又は不織布等であってよい。ポリエステルを含む布帛では、摩擦堅牢性が低下する傾向があるが、一実施形態によるインクを用いることで、ポリエステルを含む布帛に対しても、より優れた摩擦堅牢性を得ることができる。
一実施形態において、インクを付与する基材は、前処理してあってもよいし、未処理であってもよい。一実施形態によるインクは、樹脂成分を含むため、未処理の基材に対しても十分な画質、定着性を備えるインク皮膜を形成することができる。前処理した基材を用いることで、インクの画質をより高めることができ、また、インクの基材への定着性をより高めることができる。前処理した基材は、基材に前処理液を付与することで得ることができる。
前処理液としては、凝集剤及び水を含む前処理液を好ましく用いることができる。
凝集剤としては、基材上でインク中の色材を凝集させる作用を備える成分を用いることができる。これによって、前処理液を付与した基材にインクがさらに付与されると、基材上でインク中の色材が凝集し、画像濃度をより高めることができ、また、画像の滲みを防止することができる。凝集剤の具体例としては、金属塩、カチオン性ポリマー、有機酸等、又はこれらの組み合わせを用いることができる。
凝集剤の総量は、有効成分量で、前処理液全量に対し、1〜30質量%が好ましく、3〜30質量%がより好ましく、5〜15質量%がさらに好ましい。
金属塩としては多価金属塩を好ましく用いることができる。
多価金属塩は、2価以上の多価金属イオンとアニオンから構成される。2価以上の多価金属イオンとしては、例えば、Ca2+、Mg2+、Cu2+、Ni2+、Zn2+、Ba2+等が挙げられる。アニオンとしては、例えば、Cl、NO3−、CHCOO、I、Br、ClO3−等が挙げられる。多価金属塩として具体的には、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、硝酸マグネシウム、硝酸銅、酢酸カルシウム、酢酸マグネシウム等が挙げられる。
これらの金属塩は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
金属塩は、有効成分量(固形分量)で、前処理液全量に対し、0.5〜30質量%が好ましく、1〜15質量%がより好ましい。
カチオン性ポリマーとしては、カチオン性水溶性樹脂及びカチオン性水分散性樹脂のいずれであってもよく、これらを組み合わせて用いてもよい。
カチオン性水溶性樹脂としては、例えば、ポリエチレンイミン(PEI)、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン及びその塩、ポリビニルピリジン、カチオン性のアクリルアミドの共重合体等が挙げられる。より具体的には、例えば、ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド等を用いることができる。
カチオン性水溶性樹脂の市販品としては、例えば、第一工業製薬株式会社製シャロールシリーズ「DC−303P、DC−902P」等、センカ株式会社製ユニセンスシリーズ「FCA1000L、FPA100L」等、大阪有機化学工業株式会社HCポリマーシリーズ「1S、1N、1NS、2、2L」等が挙げられる(いずれも商品名)。
また、ポリエチレンイミンの市販品としては、例えば、株式会社日本触媒製エポミンシリーズ「SP−006、SP−012、SP−018、SP−200」等;BASFジャパン株式会社製「Lupasol FG、Lupasol G20 Waterfree、Lupasol PR 8515」等が挙げられる(いずれも商品名)。
また、ポリアリルアミンの市販品としては、例えば、日東紡績株式会社製「アリルアミン重合体であるPAA−01、PAA−03、PAA−05、アリルアミン塩酸塩重合体であるPAA−HCL−01、PAA−HCL−03、PAA−HCL−05、アリルアミンアミド硫酸塩重合体であるPAA−SA」等が挙げられる(いずれも商品名)。
カチオン性水分散性樹脂としては、例えば、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン/(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、オレフィン樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、メラミン樹脂、アミド樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体樹脂、酢酸ビニル−(メタ)アクリル共重合体樹脂、酢酸ビニル−エチレン共重合体樹脂、及びこれらの複合樹脂等において、これらの樹脂にカチオン性の官能基を導入するか、又は、カチオン性分散剤等で表面処理して、プラスの表面電荷を与えたものを用いることができる。カチオン性の官能基は、代表的には第1級、第2級又は第3級アミノ基、ピリジン基、イミダゾール基、ベンズイミダゾール基、トリアゾール基、ベンゾトリアゾール基、ピラゾール基、又はベンゾピラゾール基等が挙げられる。カチオン性の分散剤は、1級、2級、3級又は4級アミノ基含有アクリルポリマー、ポリエチレンイミン、カチオン性ポリビニルアルコール樹脂、カチオン性水溶性多分岐ポリエステルアミド樹脂等が挙げられる。ここで、「(メタ)アクリル樹脂」は、アクリル樹脂とメタクリル樹脂の双方を示す。
カチオン性水分散性樹脂の市販品としては、例えば、Lubrizol社製の「PRINTRITE DP375」等、第一工業製薬株式会社製の「スーパーフレックス620、650」等、明成化学工業株式会社製の「PP−15、PP−17」等、昭和電工株式会社製の「ポリゾールAP−1350」等、DIC株式会社製の「ボンコートSFC−55」等、ジャパンコーティングレジン株式会社製の「アクアテックスAC−3100」等が挙げられる(いずれも商品名)。
カチオン性ポリマーは、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
カチオン性ポリマーは、有効成分量で、前処理液全量に対し、0.5〜20質量%が好ましく、1〜10質量%がより好ましい。
有機酸としては、ギ酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、リンゴ酸、アスコルビン酸等が挙げられる。なかでも、23℃で液体の有機酸が好ましく、23℃で液体の有機酸としては、例えば、酢酸、乳酸等が好ましい。
有機酸は、1種で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
有機酸は、有効成分量で、前処理液全量に対し、1〜30質量%が好ましく、3〜15質量%がより好ましい。
前処理液は、水及び/又は水溶性有機溶剤を含むことが好ましい。
前処理液は、水性溶媒として主に水を含むことが好ましい。水としては、特に制限されないが、例えば、イオン交換水、蒸留水、超純水等が挙げられる。
前処理液中の水は、凝集剤及びその他の任意成分の残部であってよい。例えば、水は、前処理液全量に対して50質量%以上が好ましく、65質量%以上がより好ましい。水は、前処理液全量に対して95質量%以下であってよく、90質量%以下であってよい。
前処理液は、水とともに、又は水に代えて、水溶性有機溶剤を含むことができる。
水溶性有機溶剤としては、上記した捺染インクジェット用水性インクに配合可能な水溶性有機溶剤の中から、1種、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
水溶性有機溶剤は、前処理液全量に対して1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。水溶性有機溶剤は、前処理液全量に対して40質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましい。
前処理液は、必要に応じて、例えば、界面活性剤、消泡剤、pH調整剤、酸化防止剤、防腐剤等のその他の成分をさらに含んでもよい。その他の成分としては、上記した捺染インクジェット用水性インクに配合可能なその他の成分の中から、1種、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
前処理液の製造方法は、特に限定されず、公知の方法により適宜製造することができる。例えば、スリーワンモーター等の攪拌機に全成分を一括又は分割して投入して分散させ、所望により、メンブレンフィルター等のろ過機を通すことにより得ることができる。
一実施形態において、インクを付与した後の基材に、オーバーコート層を形成してもよい。なお、一実施形態によるインクは、樹脂成分を含むことから、摩擦堅牢性に優れるため、オーバーコート層を形成しなくても、インク皮膜を十分に保護することができる。
オーバーコート層は、インクを付与した後の基材に、後処理液を付与することによって形成することができる。後処理液としては、例えば、皮膜を形成可能な樹脂と、水性媒体又は油性媒体とを含む後処理液を用いることができる。
一実施形態によれば、捺染インクジェット用水性インクと、前処理液とを含むインクセットを提供することができる。捺染インクジェット用水性インク及び前処理液については、それぞれ上記したものを用いることができる。インクセットは、その他のインク、及び/又はその他の前処理液をさらに組み合わせて含んでもよい。また、インクセットは、後処理液をさらに含んでもよい。
以下、一実施形態による捺染物の製造方法について説明する。
一実施形態による捺染物の製造方法は、捺染インクジェット用水性インクを用いて、布帛にインクジェット印刷すること(以下、「インクジェット印刷工程」という場合もある。)を含むことができる。捺染インクジェット用水性インクには、上記した一実施形態による捺染インクジェット用水性インクを用いることができる。
これによれば、摩擦堅牢性に優れる捺染物を製造することができる。
布帛としては、上記した捺染インクジェット用水性インクにおいて説明した布帛を用いることができる。
インクジェット印刷を行うインクジェットプリンタは、ピエゾ方式、静電方式、サーマル方式など、いずれの方式のものであってもよく、例えば、デジタル信号に基づいてインクジェットヘッドからインクの液滴を吐出させ、吐出されたインク液滴を布帛上に付着させるようにすることができる。
布帛へのインクの付与量は特に限定されないが、布帛本来の風合いの観点から、布帛の単位面積あたり、500g/m以下であることが好ましく、100g/m以下であることがより好ましく、50g/m以下であることがさらに好ましい。
インクの布帛への付与量は特に限定されないが、画像濃度の観点から、1g/m以上が好ましく、3g/m以上がより好ましく、5g/m以上がより好ましい。
布帛にインクを付与したのちに、インク皮膜を加熱する工程を設けてもよい。これによって、布帛上でインク成分である第一水分散性樹脂及び第二水分散性樹脂の成膜を促進させて、布帛へのインク皮膜の定着性をより高め、摩擦堅牢性をより改善することができる。また、インク中の揮発分を除去して、乾燥性をより高めることができる。
インク皮膜を加熱する温度は、成膜を促進して摩擦堅牢性を得る観点から、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。インク皮膜を加熱する温度は、布帛へのダメージを低減する観点から、200℃以下が好ましい。
インク皮膜を加熱するための装置は、特に制限されないが、例えば、ヒートプレス、ロールヒータ、温風装置、赤外線ランプヒーター等を用いることができる。これらの加熱装置は、インクジェットプリンタに一体的に備えられたものであってもよい。
インク皮膜を加熱する時間は、インク皮膜の成分、加熱方法等に応じて適宜設定すればよく、例えば、ヒートプレスでは、1秒〜10分が好ましく、5秒〜5分であってよい。
布帛にインクを付与する前に、布帛を前処理する工程を設けてもよい。布帛を前処理する方法としては、布帛に前処理液を付与して行うことができる。布帛を前処理しておくことで、インク中の色材成分が布帛表面に残りやすくなり、また表面の繊維に沿って滲みにくくなるため、画質をより向上することができる。
前処理液は凝集剤及び水を含むことが好ましい。前処理液の詳細については、上記した通りである。
前処理液の付与領域は、インク皮膜の形成領域に対応する領域であってもよいし、布帛の部分的又は全体的な領域であってもよい。
布帛に前処理液を付与する方法は特に限定されず、例えば、エアブラシ等を用いるスプレー法、浸漬法、パッド法、コーティング法等の任意の方法を用いることができ、さらにインクジェット印刷、スクリーン印刷等の各種印刷方法を用いてもよい。
インクジェット印刷によって前処理液を付与するためのインクジェットプリンタとしては、例えば、上記したインクを布帛に付与するためのインクジェットプリンタと同様のものを用いることができる。
布帛への前処理液の付与量は、例えば、1〜50g/mが好ましく、3〜30g/mがより好ましい。
布帛に前処理液を付与したのちに、布帛にインクを付与する前に、布帛を加熱する工程を設けてもよい。これによって、前処理液の揮発分を除去して布帛の乾燥性を高めることができる。
前処理液を付与した布帛を加熱する温度は、100℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましい。この加熱温度は、布帛へのダメージを低減する観点から、200℃以下が好ましい。
前処理液を付与した布帛を加熱する温度は、前処理液の成分、加熱方法等に応じて適宜設定すればよく、例えば、ヒートプレスでは、1秒〜10分が好ましく、5秒〜5分であってよい。
前処理液を付与した布帛を加熱するための装置は、特に制限されず、上記したインク皮膜を加熱するための装置と同様の装置を用いることができる。
なお、布帛に前処理液を付与し、続けて布帛にインクを付与し、その後にインク皮膜を加熱してもよい。
また、布帛にインクを付与する前に、任意的に布帛を前処理した後に、布帛に白インクを付与する工程を設けてもよい。これによって、布帛自体の色味や風合いに対して遮蔽性を高めて、次に付与されるインク皮膜の発色性等の画質をより改善することができる。特に布帛の色味が濃い場合や、布帛表面の凹凸が大きい場合に有効な手順である。
白インクとしては、通常用いられている白インクを用いることができる。また、白インクとして、上記した一実施形態による捺染インクジェット用水性インクにおいて色材に白顔料を用いたインクを用いることができる。
白インク付与後に、適宜加熱を行ってもよいし、白インクに続いて黒を含むカラーインクを付与した後に加熱を行ってもよい。インク皮膜の加熱条件については上記した通りである。
また、布帛にインクを付与した後に、布帛を後処理してオーバーコート層を形成する工程を設けてもよい。布帛を後処理する方法としては、布帛に後処理液を付与して行うことができる。一実施形態によるインクは、インク自体に樹脂成分が含まれるため、インクのみで樹脂皮膜を形成して摩擦堅牢性を十分に得ることができるが、用途に応じて、さらにオーバーコート層を形成してもよい。
後処理液の詳細については、上記した通りである。
後処理液の付与量は、適宜設定可能である。後処理液の付与領域は、インク皮膜の形成領域に対応する領域であってもよいし、布帛の部分的又は全体的な領域であってもよい。また、後処理液の付与後に適宜加熱を行ってもよい。
以下、一実施形態による捺染物について説明する。
一実施形態による捺染物としては、基材と、皮膜伸度が600%以上のウレタン系樹脂である第一水分散性樹脂、皮膜伸度が0%〜90%、ガラス転移点が20℃〜85℃のウレタン系樹脂である第二水分散性樹脂、及び色材を含むインク皮膜とを含むことができる。
これによれば、摩擦堅牢性に優れる捺染物を提供することができる。
一実施形態による捺染物において、第一水分散性樹脂、第二水分散性樹脂、及び色材は、それぞれ上記した通りである。基材には、上記した布帛を好ましく用いることができる。
一実施形態による捺染物において、インク皮膜は、上記した一実施形態による捺染インクジェット用水性インクを用いて形成することができる。また、捺染物の製造方法については、上記した通りである。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。本発明は以下の実施例に限定されない。以下の説明において、特に説明のない箇所では、「%」は「質量%」を示す。
<試験片>
試験片にはポリエステル100%生地と綿100%生地の2種類を用いた。
ポリエステル100%生地の試験片は、ポリエステル100%の白Tシャツ生地を210mm×74mmに裁断して用意した。
綿100%生地の試験片は、綿100%オックス生地を210mm×74mmに裁断して用意した。
<前処理>
ポリエステル100%生地については前処理を行ったものと行わないものの2種類を用意した。
前処理を行ったポリエステル100%生地は次のように得た。表1に示す配合割合で原材料を混合して前処理液を得た。表中の配合割合は溶媒等を含む量である。この前処理液を、布質量の70%の質量分、エアブラシを用いてポリエステル100%生地の試験片に塗工し、次いでHotronixFusionヒートプレスを用いて180℃で60秒間加熱した。
Figure 2021038279
用いた成分を以下に示す。
カチオン性ポリマー:ポリジアリルジメチルアンモニウムクロライド(カチオン性ポリマー)、第一工業製薬株式会社製「シャロールDC−902」、(有効成分)51.0。
界面活性剤:アセチレン系界面活性剤(非イオン性界面活性剤)、エボニックインダストリーズ社製「サーフィノール465」、(有効成分)100.0。
有効成分の単位は質量%である。
<インクの作製>
表2〜表5にインク処方を示す。表中の配合割合は溶媒等を含む量である。以下の説明において、第一水分散性樹脂を樹脂(1)と記し、第二水分散性樹脂を樹脂(2)と記し、参考樹脂を樹脂(3)と記す。また、表中に、樹脂(1)の不揮発分、樹脂(2)の不揮発分、樹脂(1)と樹脂(2)の不揮発分の合計量、樹脂(2)/樹脂(1)の不揮発分の質量比を示す。
各表に示す配合割合にしたがって各成分を混合し、孔径0.8μmのメンブレンフィルターで濾過してインクを得た。
<捺染物の作製>
得られたインクをマスターマインド社製インクジェットプリンタ「MMP813BT−3」に導入し、試験片に印刷した。印刷画像は単色ベタ画像とし、インク付与量は約20g/mとした。印刷後、HotronixFusionヒートプレスを用いて150℃で60秒間加熱した。
実施例1〜12、比較例1〜6では、前処理済みのポリエステル100%生地に印刷をした。
実施例13、比較例7では、前処理をしないポリエステル100%生地に印刷をした。
実施例14、比較例8では、前処理をしない綿100%生地に印刷をした。
用いた水分散性のウレタン系樹脂を以下に示す。
スーパーフレックス460:樹脂(1)、皮膜伸度750、(Tg)−21、(不揮発分)38.0。
スーパーフレックス470:樹脂(1)、皮膜伸度640、(Tg)−31、(不揮発分)38.0。
スーパーフレックス500M:樹脂(1)、皮膜伸度1100、(Tg)−39、(不揮発分)45.0。
スーパーフレックス150HS:樹脂(3)、皮膜伸度480、(Tg)32、(不揮発分)38.0。
スーパーフレックス860:樹脂(2)、皮膜伸度3、(Tg)36、(不揮発分)40.0。
スーパーフレックス210:樹脂(2)、皮膜伸度5、(Tg)41、(不揮発分)35.0。
スーパーフレックス170:樹脂(2)、皮膜伸度50、(Tg)75、(不揮発分)33.0。
スーパーフレックス126:樹脂(2)、皮膜伸度87、(Tg)72、(不揮発分)30.0。
ハイドランAPX−101H:樹脂(3)、皮膜伸度230、(Tg)37、(不揮発分)45.0。
スーパーフレックス130:樹脂(3)、皮膜伸度6、(Tg)101、(不揮発分)35.0。
スーパーフレックスシリーズは全て第一工業製薬株式会社製であり、ハイドランAPX−101HはDIC株式会社製である。皮膜伸度の単位は%、ガラス転移点(Tg)の単位は℃、不揮発分の単位は質量%である。
皮膜伸度は、以下の手順によって得られた値である。
乾燥後の膜厚が500μmになるように、ポリテトラフルオロエチレンシート上に水分散性ウレタン系樹脂を塗布し、23℃で15時間乾燥し、さらに80℃で6時間、及び120℃で20分の乾燥を行った後、シートから剥離して、樹脂フィルムを作製した。
テンシロン万能試験機「RTC−1225A」(株式会社オリエンテック製)を用い、測定温度20℃、測定スピード200mm/minで、得られた樹脂フィルムを伸長させて樹脂フィルムが破断するまでに伸長する長さを測定し、もとの長さに対するその割合をパーセントで皮膜伸度として表した。
その他の用いた成分を以下に示す。
ブラック顔料分散体:キャボットジャパン株式会社製「CAB−O−JET300」、顔料濃度15.0質量%。
シアン顔料分散体:キャボットジャパン株式会社製「CAB−O−JET450C」、顔料濃度15.0質量%。
界面活性剤:アセチレングリコール系界面活性剤、日信化学工業株式会社製「オルフィンE1010」、(有効成分)100.0。
グリセリン:水溶性有機溶剤、富士フイルム和光純薬株式会社製。
<評価方法>
得られた捺染物について乾燥摩擦堅牢度及び湿潤摩擦堅牢度を以下の手順にしたがって評価した。評価結果を各表に併せて示す。
「乾燥摩擦堅牢度」
学振型摩擦試験機「RT−200」(株式会社大栄科学精器製作所製)を用いて、摩擦用白綿布を摩擦子の先端に取り付け、重り無しの状態で捺染物を100往復擦過し、汚染グレースケールを用いて白綿布の汚染及び捺染物の変退色を以下の基準で評価した。摩擦用白綿布には、綿100%カナキン3号を用いた。
「湿潤摩擦堅牢度」
学振型摩擦試験機「RT−200」(株式会社大栄科学精器製作所製)を用いて、摩擦用白綿布を摩擦子の先端に取り付け、重り無しの状態で100往復擦過し、汚染グレースケールを用いて白綿布の汚染及び捺染物の変退色を以下の基準で評価した。摩擦用白綿布には、綿100%カナキン3号を用いて、白綿布と同質量のイオン交換水で湿らせて用いた。
乾燥摩擦堅牢度の白綿布の汚染及び捺染物の変退色と、湿潤摩擦堅牢度の白綿布の汚染及び捺染物の変退色とは、それぞれ以下の基準で評価した。
汚染グレースケールはJIS L 0805に準じて、1級、1-2級、2級、2-3級、3級、3-4級、4級、4-5級、5級の9段階で表される。
A:4級以上。
B:2−3級以上、4級未満。
C:2−3級未満。
Figure 2021038279
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Figure 2021038279
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各表に示す通り、各実施例の捺染物は、摩擦堅牢度が良好であった。特に詳述しないが、各実施例のインクはインクジェットインクに適したインク粘度であって、各実施例の捺染物は十分な画像濃度であった。
実施例1〜12、比較例1〜6は、前処理したポリエステル100%生地に捺染を行った例である。
実施例1〜4から、各種の第二水分散性樹脂において摩擦堅牢度が良好であることがわかる。特に、第二水分散性樹脂の皮膜伸度が5%以下、Tgが41℃以下でより良い結果が得られた。
実施例5〜7は、樹脂(2)/樹脂(1)の質量比が異なる例であり、いずれも良好な結果が得られた。
実施例8及び9は、樹脂(1)及び樹脂(2)の合計量が異なる例であり、いずれも良好な結果が得られた。
実施例10及び11から、各種の第一水分散性樹脂において摩擦堅牢度が良好であることがわかる。
実施例12は、シアン顔料分散体を用いた例である。実施例12では、汚染グレースケールを用いてシアン色を相対的に評価したが、総合的な摩擦堅牢度は良好であった。
比較例1は、第二水分散性樹脂が配合されない例であり、インク皮膜が柔らかく、べた付きがあり、摩擦堅牢度が低下した。
比較例2は、第一水分散性樹脂と、皮膜伸度が230%でTgが37℃の参考樹脂とを組み合わせた例であり、インク皮膜が柔らかめであって、摩擦堅牢度が低下した。
比較例3は、第一水分散性樹脂と、皮膜伸度が6%でTgが101℃の参考樹脂とを組み合わせた例であり、インク皮膜が硬めであって、摩擦堅牢度が低下した。
比較例4は、第二水分散性樹脂が配合されない例であり、インク皮膜が柔らかく、べた付きがあり、摩擦堅牢度が低下した。
比較例5は、第二水分散性樹脂と、皮膜伸度が480%でTgが32℃の参考樹脂とを組み合わせた例であり、インク皮膜が硬めであって、摩擦堅牢度が低下した。
比較例6は、第一水分散性樹脂が配合されない例であり、インク皮膜が硬く、捺染物の伸縮にインク皮膜が十分に追従せずに、インク皮膜が剥がれやすかった。そのため、摩擦堅牢度が低下し、特に湿潤摩擦堅牢度が低下した。
実施例13、比較例7は、前処理していないポリエステル100%生地に捺染を行った例である。
ポリエステル100%生地への前処理の有無について、前処理をしていない実施例13は、前処理した実施例1に対して、インクが生地内部により浸透し、画像濃度に若干の低下が観察された。実施例13は、画像濃度が若干低下していることで、湿潤摩擦堅牢度の変退色がB評価となったが、総合的な摩擦堅牢度は良好であった。
実施例14、比較例8は、前処理していない綿100%生地に捺染を行った例である。
綿100%生地は綿本来の吸収性の特性を備えるため、前処理が未実施でも画像濃度を十分に得ることができ、さらに画像定着性が良好であった。摩擦堅牢度の試験において、捺染物が綿製の摩擦用白綿布によって擦られることで、捺染物からインク皮膜が剥がれやすい条件となっている。特に湿潤摩擦堅牢度において、捺染物と摩擦用白綿布とが綿同士で湿潤条件下で擦り合わされるため、汚染及び変退色がB評価となったが、総合的な摩擦堅牢度は良好であった。

Claims (4)

  1. 第一水分散性樹脂、第二水分散性樹脂、色材、及び水を含み、
    前記第一水分散性樹脂は皮膜伸度が600%以上のウレタン系樹脂であり、
    前記第二水分散性樹脂は皮膜伸度が0%〜90%、ガラス転移点が20℃〜85℃のウレタン系樹脂である、捺染インクジェット用水性インク。
  2. 前記第一水分散性樹脂に対する前記第二水分散性樹脂の質量比「第二水分散性樹脂/第一水分散性樹脂」は、不揮発分量で0.02〜2.0である、請求項1に記載の捺染インクジェット用水性インク。
  3. 前記第一水分散性樹脂に対する前記第二水分散性樹脂の質量比「第二水分散性樹脂/第一水分散性樹脂」は、不揮発分量で0.1〜1.0である、請求項2に記載の捺染インクジェット用水性インク。
  4. 請求項1から3のいずれか1項に記載の捺染インクジェット用水性インクを用いて、布帛にインクジェット印刷することを含む、捺染物の製造方法。
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