以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像形成装置の一例であるフルカラーレーザビームプリンタの概略構成を示す図である。図1において、201はフルカラーレーザビームプリンタ(以下、プリンタという)、201Aは画像形成装置本体であるプリンタ本体(装置本体)、201Bはシートに画像を形成する画像形成部である。202はプリンタ本体201Aの上方に略水平に設置された画像読取装置であり、この画像読取装置202とプリンタ本体201Aとの間に、シート排出用の排出空間Sが形成されている。
230は、プリンタ本体201Aに装着可能に設けられ、シートPを収納するシート収納部である給紙カセット1と、給紙カセット1からシートPを給送するシート給送装置である。シート給送装置230は、シート給送部であるピックアップローラ8と、ピックアップローラ8から送り出されたシートPを分離するためのフィードローラ9とリタードローラ10とからなる分離部と、を備えている。
画像形成部である画像形成部201Bは、4ドラムフルカラー方式のものであり、レーザスキャナ210と、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及びブラック(K)の4色のトナー画像を形成する4個のプロセスカートリッジ211を備えている。ここで、各プロセスカートリッジ211は、感光体ドラム212、帯電部である帯電器213、現像部である現像器214を備えている。また、画像形成部201Bは、プロセスカートリッジ211の上方に配された中間転写ユニット201Cと、定着部220を備えている。なお、215は現像器214にトナーを供給するためのトナーカートリッジである。
中間転写ユニット201Cは、駆動ローラ216a及びテンションローラ216bに巻き掛けられた中間転写ベルト216を備えている。なお、中間転写ベルト216の内側には感光体ドラム212に対向した位置で中間転写ベルト216に当接する1次転写ローラ219が設けられている。ここで、中間転写ベルト216は、不図示の駆動部により駆動される駆動ローラ216aにより矢印方向に回転する。
そして、1次転写ローラ219によって感光体ドラム上の負極性を持つ各色トナー像が順次中間転写ベルト216に多重転写される。中間転写ユニット201Cの駆動ローラ216aと対向する位置には、中間転写ベルト上に形成されたカラー画像をシートPに転写する2次転写ローラ217が設けられている。さらに、この2次転写ローラ217の上部に定着部220が配置され、この定着部220の左上部には第1排出ローラ対225a、第2排出ローラ対225b及び両面反転部201Dが配置されている。この両面反転部201Dは、正逆転可能な反転ローラ対222及び一面に画像が形成されたシートを再度、画像形成部201Bに搬送する再搬送通路R等が設けられている。なお、図1において、260は、画像形成動作及びシート給送動作等を制御する制御部(演算部)である。
次に、プリンタ201の画像形成動作について説明する。まず、原稿の画像情報を画像読取装置202によって読み取ると、この画像情報は画像処理された後、電気信号に変換されて画像形成部201Bのレーザスキャナ210に伝送される。画像形成部201Bでは、レーザ光により、帯電器213によって表面が所定の極性・電位に一様に帯電されている感光体ドラム212の表面が順次露光される。これにより、各プロセスカートリッジ211の感光体ドラム上に、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの静電潜像が順次形成される。
この後、この静電潜像を各色トナーにより現像して可視化すると共に、1次転写ローラ219に印加した1次転写バイアスにより、各感光体ドラム上の各色トナー像を中間転写ベルト216に順次重ね合わせて転写する。これにより、中間転写ベルト216上にトナー画像が形成される。また、このトナー画像形成動作に並行してシート給送装置230に設けられたピックアップローラ8からシートPが送り出される。送り出されたシートPは、フィードローラ9とリタードローラ10とからなる分離部により、1枚ずつ分離されてレジストレーションローラ対240に搬送され、レジストレーションローラ対240により斜行が補正される。
斜行が補正された後、シートPは、レジストレーションローラ対240により2次転写部まで搬送され、2次転写部において、2次転写ローラ217に印加した2次転写バイアスにより、トナー像がシートP上に一括して転写される。次に、トナー像が転写されたシートPは、定着部220に搬送され、定着部220において熱及び圧力を受けて各色のトナーが溶融混色し、シートPにカラーの画像として定着される。
この後、画像が定着されたシートPは、定着部220の下流に設けられた第1排出ローラ対225a及び第2排出ローラ対225bによって排出空間Sに排出され、排出空間Sの底面に突出された積載部223に積載される。なお、シートPの両面に画像を形成する際は、画像が定着された後、シートPは反転ローラ対222により再搬送通路Rに搬送され、再度、画像形成部201Bに搬送される。
図2は、本実施の形態に係るシート給送装置230の構成を説明する図である。図2において、1aはプリンタ本体201Aに着脱自在に設けられた給紙カセット1のカセット本体であり、2はカセット本体1aに設けられた支持軸3を中心に上下方向に回動自在に支持されたシート積載部である積載トレイ(中板)である。4は昇降可能な積載トレイ2の下方に配置され、積載トレイ2を昇降させる回動可能なアーム板であり、アーム板4は、回動軸5がカセット本体1aに設けられた不図示の軸受けに支持されて上下方向に回動する。
このアーム板4は、図3に示すように給紙カセット1の奥側に配置された扇ギア13と、回動軸5を介して連結されている。ここで、給紙カセット1を、シート給送方向と直交する方向に押し込んでプリンタ本体201Aに装着すると、扇ギア13は、プリンタ本体201Aに配置されたリフタギア14と噛合する。なお、リフタギア14は、不図示のギア列を介して伝達される駆動部である後述する図5に示す、駆動速度が可変のリフタモータM1の駆動により回転する。
このリフタギア14の回転は、扇ギア13、回動軸5を介してアーム板4に伝達されてアーム板4が上方回動し、これにより積載トレイ2が上昇する。なお、本実施の形態において、リフタモータM1、リフタギア14、アーム板4、昇降ギアである扇ギア13等により、リフタモータM1の駆動により積載トレイ2を上昇可能に昇降させる駆動部である昇降機構231が構成される。
このように積載トレイ2が上昇することにより、シートPはピックアップローラ8に当接し、この後、後述する図5に示す給紙モータM2からの駆動力により、ピックアップローラ8及びフィードローラ9が回転する。これにより、シートPはピックアップローラ8によってフィードローラ9とリタードローラ10との圧接により形成される分離ニップ部まで給送され、この後、分離ニップ部により1枚ずつ分離され、画像形成部201Bへ搬送される。
ここで、フィードローラ9は、図4に示すように、後述する図5に示す駆動部である給紙モータM2により回転する回転軸であるフィードローラ軸91に取り付けられている。また、リタードローラ10は、リタードローラ軸101に不図示のトルクリミッタを介して回転自在に取り付けられている。なお、図4において、81はピックアップローラ8を回転自在に保持すると共に、フィードローラ軸91を支点として上下方向に回動自在に設けられた保持部であるピックアップアームである。このピックアップアーム81は、ピックアップローラ8がシート最上面に当接した状態で回転するよう不図示の付勢部材により下方に付勢されている。
フィードローラ軸91には、駆動ギア92が取り付けられている。そして、給紙モータM2によりフィードローラ軸91が回転すると、駆動ギア92及びアイドラギア93を介してピックアップローラ8に取り付けられたローラギア94が回転し、ピックアップローラ8が回転する。リタードローラ軸101には不図示の駆動伝達機構によりフィードローラ軸91の回転が伝達されるようになっている。これにより、フィードローラ軸91が回転すると、リタードローラ軸101はシート搬送方向と逆方向(以下、逆送方向という)に回転する。このようにリタードローラ軸101が回転すると、トルクリミッタを介してリタードローラ軸101の回転がリタードローラ10に伝達され、リタードローラ10が逆送方向に回転する。
このように構成することにより、分離ニップ部10aに2枚以上のシートが進入したときには、トルクリミッタを介してリタードローラ軸101の回転がリタードローラ10に伝達されてリタードローラ10が逆送方向に回転する。これにより、シートの重送を防止することができる。なお、分離ニップ部10aに入り込むシートが1枚の場合、又はシートが入り込んでいない場合、フィードローラ9とリタードローラ10の間の摩擦力によるトルクが、トルクリミッタのリタードローラ10を逆送方向に回転させるトルクを上回るようになる。この場合は、トルクリミッタが空転し、これによりリタードローラ10はシート搬送方向へフィードローラ9に連れ回って回転し、シートが搬送される。
ところで、プリンタ本体201Aには、図2に示すように紙面検知センサ(シート検知センサ)7、シート有無検知センサ11及び図5に示すカセット検知センサ(装着検知部)18が設けられている。また、給紙カセット1には減速位置検知センサ6が設けられている。この紙面検知センサ7、シート有無検知センサ11、減速位置検知センサ6及びカセット検知センサ18は図5に示すように制御部260に接続されている。尚、紙面検知センサ7及び減速位置検知センサ6により、高さ検知部16が構成されている。
また、制御部260には、計時部であるタイマ19が接続されている。そして、制御部260は、紙面検知センサ7、シート有無検知センサ11、減速位置検知センサ6、カセット検知センサ18のON・OFF信号、及びタイマ19による計時情報に基づいてリフタモータM1、給紙モータM2等の駆動を制御する。なお、計時部としては、リフタモータM1としてパルスモータを用い、このパルスモータのパルスから時間を計時する方式であってもよい。
紙面検知センサ7は、積載トレイ2が上昇し、積載トレイ2上に積載されている最上位シートがピックアップローラ8によるシートの給送が可能な給送可能位置に到達したことを検知可能になっている。なお、紙面検知センサ7は、図4に示すようにピックアップアーム81の一部により構成される紙面検知センサフラグ7aと、紙面検知センサフラグ7aによりON・OFFするフォトセンサ15とを備えている。制御部260は、本実施の形態におけるシート検知センサを構成する紙面検知センサ7の検知信号(ON・OFF信号)に基づいてシートの紙面を検知する。
そして、給紙カセット1内のシートが積載トレイ2により上昇し、最上位シートがピックアップローラ8に当接してピックアップローラ8を押し上げると、紙面検知センサフラグ7aも押し上げられる。これにより、フォトセンサ15の光軸が遮られる(以下、この状態をOFFとする)。制御部260は、このフォトセンサ15のOFFによるOFF信号に基づいてリフタモータM1の駆動を停止して積載トレイ2の上昇量を制御し、シートの紙面高さが最適になるようにしている。このような積載トレイ2のリフトアップ動作により、最上位シートはピックアップローラ8に当接した状態で待機している。
シート有無検知センサ11は、給紙カセット1内に積載されたシートの有無に応じた検知信号(ON・OFF信号)を出力するものである。なお、給紙カセット1には、図2に示すように積載トレイ2が上昇すると積載トレイ2に積載されたシートの最上位シートにより押し上げられ、シート有無検知センサ11をONするシート有無検知センサフラグ12が設けられている。
そして、積載トレイ2上にシートが積載されている場合、積載トレイ2が上昇し、最上位シートがシート有無検知センサフラグ12を押し上げてシート有無検知センサ11をONにすると、制御部260は、このON信号によりシート有りを検知する。また、積載トレイ2上にシートが積載されていない場合、積載トレイ2には不図示の開口部がシート有無検知センサフラグ12の直下に開けられているため、シート有無検知センサフラグ12は押し上げられず、シート有無検知センサ11はOFFのままになる。そして、紙面検知センサ7が積載トレイ2を検知してON信号が出力されて積載トレイ2の上昇が停止したときに、制御部260は、シート有無検知センサ11のOFF信号により積載トレイ2上にシートが無いこと、すなわち紙無しを検知する。
ところで、制御部260は、給紙動作に備え、紙面検知センサ7からの信号に基づいてリフタモータM1を制御して積載トレイ2を上昇させ、シートの紙面高さが最適な高さとなる位置(高さ方向の一定の範囲)で積載トレイ2を待機させる必要がある。しかし、積載トレイ2を停止させる際、積載トレイ2が瞬時に停止しないため、積載トレイ2にオーバーランが生じ、積載トレイ2が給紙動作に備えるための最適な高さを超えた位置で停止する場合がある。このオーバーラン量は、積載トレイ2の上昇速度(リフトアップ速度)が速くなるほど大きくなる。なお、このオーバーラン量は、積載トレイ2の上昇速度を遅くすることで低減することができるが、上昇速度を遅くすると、積載トレイ2のリフトアップに要する時間が増加する。これにより、シート給送装置230によるシートを送り出すまでの時間が長くなったり、プリンタ201がシートに画像形成するトータル時間が長くなったりする。
そこで、本実施の形態では、積載トレイ2の上昇速度をリフトアップ途中で減速する制御が採用されている。即ち、リフトアップ開始時、積載トレイ2を第1上昇速度(通常速度)であるV1で上昇させる。そして、最上位シートが紙面検知センサ7に近づき、停止位置が近づいてきたタイミングで減速を行い、V1>V2の関係を満たす第2上昇速度(減速速度)であるV2で積載トレイ2を上昇させる。そして、このように停止位置が近づくと上昇速度を減速させることにより、積載トレイ2を素早く、かつ停止位置をオーバーランすることなく停止させることができ、シートの紙面高さを適切な高さにコントロールすることができる。
減速位置検知センサ6は、積載トレイ2の上昇速度の減速開始の位置を検知するための信号(ON・OFF信号)を出力するものである。この積載トレイ2の上昇速度を第1上昇速度V1から第2上昇速度V2に減速する減速位置を検知する減速位置検知センサ6は積載トレイ2の自由端近傍の上方に配置され、不図示の光源と受光部とを備えている。光源と受光部は互いに水平方向に向き合うよう給紙カセット1の相対する側板にそれぞれ配置されている。制御部260は、減速位置検知センサ6からの検知信号に基づいて減速位置を検知する。即ち、減速位置検知センサ6は、積載トレイ2の上昇動作の開始位置と給送可能位置との間に設定された所定の高さに設けられ、積載トレイ2の上の最上位シートの到達に応じて検知信号を出力する。
この光源と受光部の位置は、積載トレイ2上に配置されたシートの紙面が低い場合は光源からの光が遮られることなく、光を受光部で受光できる位置となっている。そして、このように光を受光部が受光できる状態のとき、減速位置検知センサ6からはOFF信号が制御部260に出力される。また、積載トレイ2上に配置されたシートの紙面が高い場合、シートにより光源からの光を遮られ受光部によって受光することができない。そして、このように光を受光部が受光できない状態のとき、減速位置検知センサ6からはON信号が制御部260に出力される。
そして、制御部260は、減速位置検知センサ6からOFF信号が出力された場合には、リフタモータM1を制御して積載トレイ2を第1上昇速度V1で上昇させる。そして、積載トレイ2の上昇途中で減速位置検知センサ6がONになると、積載トレイ2を減速し、第2上昇速度V2(V1>V2)の速度で上昇させる。なお、本実施の形態においては、リフタモータM1の駆動制御方式であるPWM制御のONとOFFを切り替えることで、積載トレイ2を上昇させる上昇速度の加減速制御を行う。即ち、リフタモータM1は、制御部260からの制御信号に基づいて積載トレイ2の上昇速度を、後述する第1上昇速度V1と第2上昇速度V2との間で変更可能になっている。
図6(a)は、給紙カセット1内に少数枚のシートが積載された状態を表している。少数枚のシートが給紙カセット1内に積載されている場合、リフトアップ開始時点では減速位置検知センサ6はOFFであるため、積載トレイ2は第1上昇速度V1でリフトアップを開始する。この後、図6(b)に示すように積載トレイ2の上昇途中で減速位置検知センサ6がONすると、制御部260はリフタモータM1を減速し、積載トレイ2の上昇速度を減速し、第2上昇速度V2でリフトアップを行う。そして、図6(c)に示すように最上位シートP1がピックアップローラ8に当接してピックアップローラ8を押し上げ、紙面検知センサ7がONした段階で、積載トレイ2のリフトアップが停止されて、給紙動作開始に備える。
図7(a)は、給紙カセット1内にほぼ満載のシートが積載された状態を表している。この状態の場合、給紙カセット1をプリンタ本体210A内に挿入し、リフトアップの開始前の時点ですでに減速位置検知センサ6はONになっている。このため、リフトアップを開始時から減速された第2上昇速度V2でリフトアップを開始する。そして、図7(b)に示すように最上位シートP1がピックアップローラ8に当接してピックアップローラ8を押し上げ、紙面検知センサ7がONした段階で、リフトアップが終了し給紙動作開始に備える。即ち、制御部260は、カセット検知センサ18の検知信号により給紙カセット1がプリンタ本体210A内に装着されたことを検知したときに、減速位置検知センサ6が検知信号(ON)を出力している場合には、リフタモータM1を制御する。このリフタモータM1を制御することにより、積載トレイ2を第2上昇速度V2で上昇させる。
ところで、本実施の形態において、制御部260は、計時部がカウントした積載トレイ2の上昇時のカウント値(リフトアップ時間)と、積載トレイ2の上昇速度とからシート積載量を演算するようにしている。ここで、図8(a)に示す従来技術のように、積載トレイ2の上昇速度が一定速度の場合、リフトアップ時間(t)とシート積載量(H)との関係は、図8(b)に示すようにH=−at+bで示されるtを変数とする一次関数を用いて演算することができる。なお、a、bはそれぞれ一次関数における定数を示しており、aはリフトアップ速度から、bは紙面検知センサ7のONの高さから算出される定数である。このように、一次関数によって示される演算式を用いてシートの積載量を演算する画像形成装置において、積載トレイ2のリフトアップ速度が一定速度の場合は、シート積載量を精度良く演算することができる。
しかしながら、本実施の形態では、既述したように積載トレイ2が上昇している途中で積載トレイ2の上昇速度の減速を行うようにしている。このように、積載トレイ2のリフトアップ速度を上昇途中で変更させる場合、シート積載量を単なる一次関数で演算すると、演算で得られたシート積載量と実際のシート積載量とに差が生じてしまい、精度良くシート積載量の検知を行うことができない。ここで、積載トレイ2の上昇速度の減速を行う場合、図9(a)で示すように、減速位置検知センサ6がONになると同時に上昇速度が第1上昇速度V1から第2上昇速度V2に減速されるのが理想である。しかし、実際には図9(b)で示されるように、減速位置検知センサがONの後、一定時間の減速を経て第1上昇速度V1から第2上昇速度V2に速度が変化する。
一方、図7に示すようにシートが満載状態で、積載トレイ2のリフトアップを開始する時点ですでに減速位置検知センサ6がONになっている場合、上昇途中での上昇速度の減速は行わない。つまり、積載トレイ2の上昇を開始する時点で減速位置検知センサ6がONになっている場合、図9(b)の破線で示す第2上昇速度V2の速度により、積載トレイ2を上昇させる。
ところで、例えば図10(a)に示すように、リフトアップ開始時の紙面高さが減速位置検知センサ6よりも少し高い高さH2の場合に第2上昇速度V2の速度で積載トレイ2を上昇させた場合、リフトアップ開始から終了までに要する時間はT1となる。一方、リフトアップ開始時の紙面高さが減速位置検知センサ6よりも少し低い高さH1の場合も、リフトアップ開始から終了までに要する時間がT1となる。つまり、リフトアップ開始時の紙面高さである積載高さH1,H2、すなわちシート積載量が減速位置検知センサ6の近傍となる高さの場合、リフトアップ開始からシートが給送可能位置に達するまでのリフトアップ時間T1が同じになる。言い換えれば、リフトアップ時間T1が同じでも、シート積載量が異なる場合があり、このためリフトアップ時間T1に基づいてシート積載量を演算することはできない。
図10(a)で示される関係を、縦軸にシート積載量(H)、横軸にリフトアップ時間(t)をとって図示する。この場合、図10(b)の実線のようになり、シート積載量が減速位置検知センサ6のON位置よりも多いか少ないかで給送可能位置までのリフトアップ時間(t)とシート積載量(H)との関係が異なる。つまり、図10(b)の実線により、積載トレイ2の上昇途中に減速するか否か、すなわち給紙カセット1の挿入時に減速位置検知センサ6がONかOFFかによって、リフトアップ時間(t)とシート積載量(H)との関係が異なることがわかる。したがって、リフトアップ時間(t)とシート積載量(H)との関係を、図8(b)で示すH=−at+bで示されるような単純な一次関数で演算してしまうと、実際のシート積載量と演算して得られたシート積載量との差が大きくなってしまう。このため、精度良いシート積載量の演算ができない。
そこで、本実施の形態においては、制御部260は、2つの(複数の)シート積載量の演算式を備え、給紙カセット1の挿入時における減速位置検知センサ6のON・OFFによって2つのシート積載量の演算式のうちの一方を用いるようにしている。例えば、給紙カセット1の挿入時に減速位置検知センサ6がONの場合、シート積載量(H)を、リフトアップ開始から紙面検知センサ7がONするまでの時間(t)を用いて、図10(b)に示すH=−Ct+Dで表される第1演算式により演算する。また、図10(b)の一点鎖線に示すように、給紙カセット1の挿入時に減速位置検知センサ6がOFFである場合は、リフトアップ開始から紙面検知センサ7がONするまでのリフトアップ時間を測定しない。この場合、リフトアップ開始から減速位置検知センサ6がONするまでの時間(t)を測定し、その時間(t)を用いてシート積載量(H)を演算するようにしている。即ち、給紙カセット1の挿入時に減速位置検知センサ6がOFFの場合、シート積載量(H)を、リフトアップ開始から減速位置検知センサ6がONするまでの時間(t)を用いて、図10(b)に示すH=−At+Bで表される第2演算式により演算する。これにより、給紙カセット1の挿入時に減速位置検知センサ6がOFFである場合に、リフトアップ速度として第1上昇速度V1のみを一次関数により近似してシート積載量を演算できる。このため、リフトアップ速度として複数の速度を一次関数により近似してシート積載量を演算する場合に比べて、シート積載量の演算精度を向上することができる。
なお、第2演算式であるH=−At+Bと第1演算式であるH=−Ct+Dとにおいて、Aは減速前のリフトアップ速度である第1上昇速度V1、Cは減速後のリフトアップ速度である第2上昇速度V2である。Bは減速位置検知センサ6の高さ位置に基づく定数、本実施の形態においては、減速位置検知センサ6がONとなる高さで決まる定数である。Dは紙面検知センサ7の高さ位置に基づく定数、本実施の形態においては、紙面検知センサ7がONとなる高さで決まる定数である。このように、減速位置検知センサ6のON・OFFによって、第1演算式又は第2演算式によりシート積載量(H)を演算することにより、シート積載量の演算を精度良く行うことができる。
次に、このシート積載量の演算制御について、図11に示すフローチャートを用いて説明する。まず、制御部260は、プリンタ201の電源がONされると、カセット検知センサ18のON・OFFによってプリンタ本体201Aに給紙カセット1が装着されているか否かを検知する(S10)。そして、カセット検知センサ18がONとなっている場合には(S10のY)、制御部260はプリンタ本体201Aに給紙カセット1が装着されていることを検知する。制御部260は、給紙カセット1が装着されていることを検知すると、積載トレイ2のリフトアップ動作(上昇動作)を開始する前に、給紙カセット1内の最上位シートが給送可能位置にあるかどうかを紙面検知センサ7により判断する(S12)。なお、カセット検知センサ18がONしていない場合には(S10のN)、制御部260は、給紙カセット1が無いと判断する(S11)。そして、制御部260は、給紙カセット1が装着されていないことを操作部やモニター等でユーザに報知し、プリンタ本体201Aに給紙カセット1が装着されるまで待つ(S10)。
ここで、紙面検知センサ7がONの場合は(S12のY)、制御部260は、紙面が適正な高さにあると判断し、次にシート有無検知センサ11により、給紙カセット1内のシートの有無を検知する(S13)。シート有無検知センサ11がONの場合は(S13のY)、制御部260は給紙カセット1内のシートは満載であると判断する(S14)。一方、シート有無検知センサ11がOFFの場合は(S13のN)、給紙カセット1内にシートが無い(紙無し)と判断する(S15)。
紙面検知センサ7がONしていない場合は(S12のN)、制御部260は次に減速位置検知センサ6がONしているかを判断する(S16)。そして、減速位置検知センサ6がONしている場合には(S16のY)、制御部260はシート積載量を第1演算式により演算するように決定する。一方、減速位置検知センサ6がOFFしている場合には(S16のN)、制御部260はシート積載量を第2演算式により演算するように決定する。
このようにシート積載量を演算する演算式を決定した後、減速位置検知センサ6がONしている場合(S16のY)、制御部260はリフタモータM1を駆動して積載トレイ2を第2上昇速度V2でリフトアップさせる(S17)。そして、紙面検知センサ7がONするのを待つ(S18)。更に、紙面検知センサ7がONすると(S18のY)、言い換えれば、シートが給送可能位置に達すると、制御部260は、紙面検知センサ7からの検知信号に基づきシート積載量Hの算出処理を行う(S19)。即ち、制御部260は、リフトアップ開始から、紙面検知センサ7がONし、積載トレイ2の上昇が終了するまでの時間(上昇時間)tをタイマ19でカウント(計時)、即ち計測する。そして、制御部260は、その計時時間であるカウント値(リフトアップ時間t)と、第1演算式(H=−Ct+D)とによりシート積載量(シート残量)Hを演算する。
また、減速位置検知センサ6がOFFしている場合には(S16のN)、制御部260はリフタモータM1を駆動して第1上昇速度V1で積載トレイ2をリフトアップさせる(S20)。これにより、積載トレイ2が上昇し、やがて減速位置検知センサ6がシートを検知してONとなる(S21のY)。この後、制御部260は、リフタモータM1に第2上昇速度V2で積載トレイ2を上昇させるように駆動させて、紙面検知センサ7がONするのを待つ(S22)。そして、紙面検知センサ7がONすると(S22のY)、制御部260はシート積載量Hの算出処理を行う(S23)。ここでは、制御部260は、リフトアップ開始から、減速位置検知センサ6がONするまでの時間tをカウントし、そのカウント値(計時時間)tと、第2演算式(H=−At+B)とによりシート積載量(シート残量)Hを演算する。
このように、本実施の形態においては、制御部260は、減速位置検知センサ6がシートを検知しているときには第1演算式を用いてシート積載量を演算する。一方、制御部260は、減速位置検知センサ6がシートを検知していないときは第2演算式を用いてシート積載量を演算するようにしている。つまり、積載トレイ2のシート積載量を、減速位置検知センサ6又は紙面検知センサ7がシートを検知するまでの時間に基づいて演算するようにしており、これにより他にセンサを追加することなく、精度良くシート積載量の検知を行うことができる。
なお、これまでの説明においては、積載トレイ2を、シートが給送可能位置の手前まで第1上昇速度V1で上昇させた後、減速位置検知センサ6の検知信号に基づいて第2上昇速度V2に減速する場合について説明したが、本発明は、これに限らない。例えば、積載トレイ2を、シートが給送可能位置の手前まで複数の上昇速度で上昇させると共に、複数の減速位置検知センサを設けるようにしても良い。この場合には、3つ以上の演算式を用いてリフトアップ時間と上昇速度とからシート積載量を演算することにより、シート積載量の演算の精度を上げることが可能となる。
さらに、これまでの説明において、積載トレイ上のシートの有無をシート有無検知センサ11からの検知信号により制御部260が検知する場合について説明したが、本発明は、これには限られない。例えば、シート有無検知センサ11を有していなくても、高さ検知部16によりシートの有無を検出するようにしてもよい。例えば、シートの積載されていない積載トレイ2が上昇した場合、積載トレイ2がピックアップローラ8を移動させて紙面検知センサ7をONにしてしまう。この時、積載トレイ2は減速位置検知センサ6よりも上側に位置しているので、制御部260は減速位置検知センサ6がOFFであることを検知する。このように、積載トレイ2の上昇動作が開始されて紙面検知センサ7がONになっても減速位置検知センサ6がシートを検知しない場合には、積載トレイ2上にシートが無いことを検知できる。即ち、減速位置検知センサ6及び紙面検知センサ7によりシートの有無の検知を行うことができる。また、シート有無検知センサ11が減速位置検知センサ6の機能を兼用してもよい。すなわち、シート有無検知センサ11が積載トレイ2上のシートによりON信号を出力したときに、シートの最上位が減速位置に達したとして、制御部260がリフタモータM1を制御する。このリフタモータM1を制御することにより、第1上昇速度から第2上昇速度に積載トレイ2の上昇速度を切り換えるようにしてもよい。これらの場合には、センサの数を減らすことができてコストの低減が図れる。
さらに、これまでの説明において、制御部260は積載トレイ2の上昇開始時に減速位置検知センサ6のON・OFFによらず必ずシート積載量を演算する場合について説明したが、本発明は、これに限られない。例えば、制御部260は、積載トレイ2の上昇開始時に減速位置検知センサ6がOFFである場合にのみシート積載量を演算するようにしてもよい。