JP2015107888A - 炭素繊維強化炭素複合材 - Google Patents

炭素繊維強化炭素複合材 Download PDF

Info

Publication number
JP2015107888A
JP2015107888A JP2013250934A JP2013250934A JP2015107888A JP 2015107888 A JP2015107888 A JP 2015107888A JP 2013250934 A JP2013250934 A JP 2013250934A JP 2013250934 A JP2013250934 A JP 2013250934A JP 2015107888 A JP2015107888 A JP 2015107888A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
degrees
carbon fiber
composite material
protective layer
carbon
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2013250934A
Other languages
English (en)
Inventor
狩野 正樹
Masaki Kano
正樹 狩野
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Original Assignee
Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shin Etsu Chemical Co Ltd filed Critical Shin Etsu Chemical Co Ltd
Priority to JP2013250934A priority Critical patent/JP2015107888A/ja
Publication of JP2015107888A publication Critical patent/JP2015107888A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Ceramic Products (AREA)
  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Chemical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

【課題】
本発明の目的は、炭素繊維強化炭素複合材の表面に保護層を被覆した際に膜剥離が発生しにくい、耐酸化性および耐食性に優れた炭素繊維強化炭素複合材を提供することである。
【解決手段】
本発明は、炭素繊維の平行積層体をマトリックス樹脂と共に複合成形し、硬化および焼成炭化処理して得られる表面に、保護層を堆積した炭素繊維強化炭素複合材であって、前記平行積層体の水平方向と交差するように形成された面が該水平方向と小さい方の角度で20度以上70度以下、又は大きい方の角度で110度以上160度以下になるように構成されていることを特徴とする。また、上記硬化および焼成炭化処理して得られる表面に、マトリックス樹脂と異なる樹脂がさらに含浸され、高温で炭素化又は黒鉛化されていることが好ましい。
【選択図】図2

Description

本発明は、金属鋳造用部材、ガラス成形用部材、半導体製造装置用部材、単結晶製造装置部材、太陽電池製造装置用部材、熱処理用治具、航空宇宙用構造材、鉄道の集電装置など多岐にわたって使用される耐食性および耐熱性に優れた炭素繊維強化炭素複合材に関するものである。
炭素繊維強化炭素複合材は、卓越した強度と弾性率を有するうえに優れた耐熱性および化学的安定性を備えているため、金属鋳造用部材、ガラス成形用部材、半導体製造装置用部材、単結晶製造装置部材、太陽電池製造装置用部材、熱処理用治具、航空宇宙用構造材、鉄道の集電装置など多くの分野で使われている。この炭素繊維強化炭素複合材は、通常、炭素繊維を強化材として、これに炭化残留率の高い樹脂を含浸又は塗布して積層形成したのち、硬化及び焼成炭化処理を施して製造される。
例えば、溶融シリコンからシリコン単結晶を引上げる際に用いられる石英ガラスルツボは、その回りを黒鉛ルツボによって保持されて使用されているが、この黒鉛ルツボに炭素繊維強化炭素複合材を使用することが提案されている。例えば、特許文献1には、炭素繊維に熱硬化性樹脂を含浸させて形成したプリプレグを成形型内に積層して容器状に成形し、これを硬化した後に焼成して炭素容器を製造する方法が記載されており、また、特許文献2には、底部および側部が熱分解性炭素を含浸させたカーボンファイバーで作られた石英るつぼを強化するシェルが記載されている。
そして、このような炭素繊維強化炭素複合材を使用した炭素容器やシェルは、等方性黒鉛材ルツボに比べて機械的強度が大きくて軽量化できるうえに、低熱容量化が可能となって電力消費の著しい削減が達成されている。しかし、溶融シリコンからシリコン単結晶を引上げる際に用いられる炭素繊維強化炭素複合材を用いた黒鉛ルツボでは、使用中にこの中に嵌装されている石英ガラスのルツボと反応し、この反応に伴って特性の劣化が進行するために寿命が短くなるという問題が指摘されている。
このような問題は、カーボン繊維強化ルツボの内側に石英ガラスルツボを嵌め込んで高温でシリコン単結晶の引上げを行うと、これと接している石英ガラスと次の(1)乃至(3)の反応によって、その表面にSiC層やSiを生成し、このSiがカーボン繊維強化ルツボと、次の(4)の反応によってSiCを生成するためであると考えられる。
SiO2 +C →SiO+CO・・・・(1)
SiO+2C →SiC+CO・・・・(2)
SiO+SiC→2Si+CO・・・・(3)
Si+C →SiC ・・・・(4)
そして、この結果、カーボン繊維強化ルツボの外表面にSiCの珪化層が形成されると、熱膨張率の差異によって表面に応力が発生し、これが原因でルツボに割れが生じてしまうために、長期の使用に耐えられなかったと考えられる。また、この材料には、易酸化性という炭素材固有の材質的な欠点があるため、この材料の汎用性を阻害する最大のネックともなっている。そのため、炭素繊維強化炭素複合材の表面に耐酸化性の被覆を施して改質化する試みがなされている。
しかし、このように改質された保護層では、使用時の熱サイクル過程で被覆界面に層間剥離や亀裂が生じてしまうため、酸化の進行を十分に阻止する機能が発揮されていないのが実情である。また、コンバージョン法によって被覆層を形成する場合は、基材の表層部が連続的な組織で傾斜的な機能を有するSiC層組織となるために、界面剥離の発生を防止することはできるが、CVD法に比べて緻密性に劣るために十分な耐酸化性が望めないという問題がある。
そこで、このような問題を解決するために、例えば、特許文献3には、炭素繊維強化炭素基材の表面にSiOガスを接触させて、コンバージョン法により先ず第1のSiC被覆層を形成し、次いでCVD法により、アモルファス質のSiCを第1のSiC被覆層の表面に析出沈着して第2のSiC被覆層を形成する方法が提案されている。しかし、このような方法で形成された被覆層でも、使用時の熱サイクル過程で被覆界面に層間剥離や亀裂が生じてしまうために、酸化の進行を十分に阻止することができず、その部分から選択的に基材の消耗が促進されてしまうという問題がある。
さらに、最近では、長寿命化の要求に伴って、その膜厚をいっそう厚くすることができないかという要望が高くなっているが、膜厚をより厚くすると熱応力による割れや層間剥離が発生しやすくなるために、これまで満足のいく炭素繊維強化炭素複合材が提供されていないのが実情である。
特開平2−307816号 特開平2−116696号 特開平4―12078号
そこで、本発明の目的は、上記のような事情に鑑み、炭素繊維強化炭素複合材の表面に保護層を被覆した際に膜剥離が発生しにくい、耐酸化性と溶融金属、腐食性ガスに対する耐食性に優れた炭素繊維強化炭素複合材を提供することである。
本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意検討を行ったところ、従来の炭素繊維強化炭素複合材の場合、その炭素繊維が平行方向に織り込まれた積層体(以下、「炭素繊維の平行積層体」という)の水平な方向と垂直な方向との間で熱膨張率に差があること、すなわち、この積層体に水平な方向では0.2×10-6/℃であるのに対し、積層体に垂直な方向では11×10-6/℃であるから、両者の熱膨張率の間では2桁の差があり、また、炭化珪素、熱分解黒鉛、硼素含有熱分解黒鉛、熱分解窒化硼素などが被覆された保護層の熱膨張率は1×10-6/℃〜4×10-6/℃であるから、この保護層と炭素繊維強化炭素複合材との間でも熱膨張率に大きな差があるため、これら熱膨張率の差が熱応力を生じさせ、これが層間剥離や亀裂の原因となっていることを見出した。
なお、ここでいう「熱膨張率」とは、室温から800℃の間における値であり、以下も同様である。
そして、本発明者らは、さらに検討を重ねたところ、その炭素繊維の平行積層体の水平方向の面と垂直方向(厚さ方向)の面との角度が、図2に示す従来例のように、通常の90度近辺であると、加熱・冷却の繰り返しによって熱膨張差による残留応力が生じ、これが保護層を層分離させる力となって作用して、熱履歴や外部からの衝撃によって保護層が剥離してしまうために、図2に示す本発明例のように、炭素繊維の平行積層体の水平方向と交差するように形成された面がこの平行積層体の水平方向と小さい方の角度で20度以上70度以下、又は大きい方の角度で110度以上160度以下になるように構成されていると、熱膨張の差による層間剥離を抑えることができることを知見し、本発明に至ったものである。
すなわち、本発明の炭素繊維強化炭素複合材は、炭素繊維の平行積層体をマトリックス樹脂と共に複合成形し、硬化および焼成炭化処理して得られる表面に、保護層を堆積した炭素繊維強化炭素複合材であって、この平行積層体の炭素繊維が織り込まれた平行方向と交差するように形成された面がこの水平方向と小さい方の角度で20度以上70度以下、又は大きい方の角度で110度以上160度以下になるように構成されていることを特徴とするものである。
また、本発明では、その保護層が炭化珪素、熱分解黒鉛、硼素を含有した熱分解黒鉛、熱分解窒化硼素であることが好ましく、前記硬化および焼成炭化処理して得られる表面に、さらにマトリックス樹脂と異なる樹脂が含浸され、高温で炭素化又は黒鉛化されていることが好ましい。
本発明によれば、保護層が剥離しにくく、耐酸化性、耐摩耗性に優れた炭素繊維強化炭素複合材を提供することができるので、その用途を大幅に拡大することができる。
図1は、炭素繊維が織り込まれた面の平行方向とこれに交差する面とのなす角度とその斜面の見かけ上の熱膨張率との関係を示すグラフである。 図2は、サセプターの実施例と従来例を示す概要図である。 図3は、本発明のサセプターのカット面端部の拡大図である。 図4は、本発明のサセプターのカット面端部の拡大図である。 図5は、ルツボ(断面図)の実施例と従来例を示す概要図である。 図6は、本発明のルツボのカット面端部の拡大図である。 図7は、ヒーターの実施例と従来例を示す概要図である。 図8は、本発明のヒーターのカット面端部の拡大図である。
以下、本発明の実施の態様について具体的に説明するが、本発明は、この実施の態様に限定されるものではない。
最初に、本発明の炭素繊維強化炭素複合材の保護層について、熱分解炭素を例に説明するが、この他の材質の保護層についてもその効果は同等であるから、その説明は省略する。この保護層として用いる熱分解炭素は、通常、熱CVD法(化学気相成長法)によって製造される。そして、その製造温度は、一般的に400℃から2400℃であり、この熱分解炭素のかさ密度は1.2〜2.25g/cm3である。
この熱分解炭素は、一般に、黒鉛基材の表面を被覆するような用途に供される。具体的には、ガラス成形用黒鉛部材、エピタキシャル成長を行う際に使用されるサセプター、ボート、坩堝、遮熱板などの構成部品、高温で溶融金属を処理する際に用いられる坩堝、ボート、ダイス、鋳型、単結晶引上げ用ルツボ、単結晶引上げ装置用高温部材などが挙げられる。また、この他にも、特に高純度で高強度、耐酸化性、耐摩耗性を要する高温用の部材など多岐にわたって使用されている。
本発明で用いる炭素繊維としては、石油ピッチ又はコールタールピッチを原料とし、紡糸用ピッチの調整や溶融紡糸、不融化および炭素化を行って得られるピッチ系炭素繊維又はアクリロニトリル(共)重合体繊維を耐炎化及び炭素化して得られるPAN系炭素繊維の何れでもよい。
本発明の炭素繊維強化炭素複合材は、このような炭素繊維が平行方向に織り込まれた平行積層体とマトリックス樹脂とを複合成形し、これを硬化および焼成炭化処理して得られる表面に、前記のような熱分解炭素を堆積して保護層を形成することで得られるものである。その際に、硬化および焼成炭化処理して得られる前記の表面に、さらにマトリックス樹脂と異なる樹脂を含浸させ、これを高温で炭素化又は黒鉛化処理させると、基材と保護層との密着性がさらに向上して、剥離や亀裂などを抑制することができるので好ましい。
このような炭素繊維強化炭素複合材は、通常、これにアングルカットを施して、例えば、図2に示すサセプター、図5に示すルツボ及び図7に示すヒーターなどを作製するための材料に供される。図2〜図8は、炭素繊維強化炭素複合材をアングルカットして作製されたサセプター、ルツボおよびヒーターを示す概要図である。
例えば、図3に示すサセプターの場合や図6に示すルツボの場合では、炭素繊維の平行積層体の水平方向と交差するようにカット面が形成され、このカット面が炭素繊維の平行積層体の水平方向と小さい方の角度で20度以上70度以下になるように構成されている。そして、その際の他方の大きい角度は、110〜160度となる。
また、図4又は図8の場合では、図4の大きい方のθc°は110度以上160度以下に構成されており、図8のθa°〜θd°のそれぞれは110度以上160度以下に構成されている。そして、このカット面の形成については、連続的に異なる角度の面を連ねて設けても同様な効果が得られるし、ジグザグ状の凹凸を設けても同様な効果が得られる。
本発明の保護層は、その材質として、炭化珪素、熱分解黒鉛、硼素を含有した熱分解黒鉛、熱分解窒化硼素の何れかを用いることができるが、このような材質によって高純度で高強度、耐酸化性、耐摩耗性に優れた炭素繊維強化炭素複合材を得ることができる。また、これらの保護層は、炭素繊維の平行積層体の水平方向の熱膨張率と比較的近い値であるから、剥離しにくいという性質がある。
ところで、炭素繊維強化炭素複合材は、その炭素繊維が織り込まれた面と同方向(平行積層体の水平方向)の熱膨張率は、-0.5×10-6/℃であるのに対して、炭化珪素、熱分解黒鉛などの保護層の同方向の熱膨張率は、それぞれ炭化珪素で5×10-6/℃、熱分解黒鉛で0.2〜2×10-6/℃、硼素を含有した熱分解黒鉛で0.1〜4×10-6/℃、熱分解窒化硼素で0.5〜4×10-6/℃であるから、炭素繊維強化炭素複合材との熱膨張率の差は、0.6×10-6/℃〜5.5×10-6/℃程度となる。
これに対し、炭素繊維が織り込まれた面と垂直な方向(平行積層体の水平方向と垂直な方向)の熱膨張率は11×10-6/℃であるから、この垂直方向の面に保護層のそれぞれの材質が堆積した場合の熱膨張率の差は、6×10-6/℃〜10.9×10-6/℃の範囲内となるから、前者の同方向の熱膨張率の場合と比べて、その熱膨張率の差が大きくなることになる。
例えば、保護層が熱分解黒鉛の材質である場合、この熱分解黒鉛と基材の炭素繊維強化炭素複合材とでは、その熱膨張率が大きく異なるし、基材の炭素繊維強化炭素複合材だけの場合でも、その平行積層体の水平方向(面方向)と厚さ方向とでは、その熱膨張率が大きく異なっている。以下に、熱分解黒鉛と炭素繊維強化炭素複合材の熱膨張率を示す。
熱分解黒鉛の熱膨張率:2×10-6/℃

炭素繊維強化炭素複合材の水平方向(面方向)の熱膨張率:-0.5×10-6/℃
炭素繊維強化炭素複合材の水平方向(面方向)と垂直な方向の熱膨張率:11×10-6/℃
このように、熱膨張率の差が大きく異なると、次のような問題が生じることになる。すなわち、従来のように、本体の積層断面(厚さ方向の断面)とこの積層断面に接する壁面のなす角が90度付近に構成されている炭素繊維強化炭素複合材では、加熱後室温まで冷却したときに積層断面の熱膨張率が大きいので、積層断面部に大きな残留応力が発生することになる。そして、このような加熱・冷却を数回繰り返すうちに、この残留応力によって剥離が進展して寿命を短くする原因となっている。
そのため、本発明では、残留応力の発生を抑えるために、炭素繊維強化炭素複合材の炭素繊維の平行積層体をアングルカットして、この平行積層体の水平方向と交差するように形成された面(カット面)が平行積層体の水平方向と小さい方の角度で20度以上70度以下となるように構成されている。
図1は、炭素繊維が織り込まれた平行積層体の水平方向と交差するように形成された面と平行積層体の水平方向とのなす角度および見かけの熱膨張率の関係を示したグラフである。グラフ横軸は炭素繊維が織り込まれた平行積層体の水平方向と交差するように形成された面と平行積層体の水平方向とのなす角度で0〜90度の範囲としているが、他方の大きい角度で表現すると180度〜90度となる。図1に示すように、角度と熱膨張率との間に一定の相関関係があるから、水平方向と垂直な方向にカット面を形成し、その見かけ上の熱膨張率を11×10-6/℃より小さくして熱膨張率の差を小さくすれば、表面に保護層を堆積した場合に保護層の剥離や亀裂などを抑制することが可能となる。
本発明では、炭素繊維の平行積層体の水平方向と交差するように形成された面が平行積層体の水平方向と小さい方の角度θで20度未満であると、角が鋭利になりすぎてその部分の保護層が剥れやすくなるために、20度以上とする。また、この角度θが70度を超えると、見かけ上の熱膨張率があまり小さくならず、熱膨張率の差で剥離が生じてしまうために、70度以下とする必要がある。
また、この角度θが40度以下であると、応力の発生をより一層確実に抑えることができるし、また、角度θが30度以上であると、アングルカット後の容器の機械的強度を十分に保つことができるため、より好ましくは、このカット面の角度θが30度以上40度以下であるのがよい。そして、このような角度θとすることにより熱応力を抑制することができるので、保護層を厚くしても剥れ難くなり、寿命も長くなるという有利性もある。
以下、実施例と比較例を対比して、さらに本発明を具体的に説明する。
<実施例1と比較例1>
実施例1では、先ず、炭素繊維強化炭素複合材からなる厚さ20mm、一辺100mmの正方形の角板を作製した。ここで、本発明でいう炭素繊維の平行積層体の水平方向とは、この角板の平面方向のことであり、この水平方向に交差するように形成された面とは、厚さ方向の面のことである。そして、この角板の炭素繊維の平行積層体をアングルカットして、この角板の平面とカット面とのなす角度が小さい方の角度で10〜90度の範囲となる種々の角板のサンプルを作製した。その際に、他方の大きい角度は90〜170度となる。
次に、これら種々の角度で加工された炭素繊維強化炭素複合材からなる角板をCVD炉の中に設置し、炉内を2000℃に保ち、カーボン源となるプロパンガスを3L/分で導入して、熱分解黒鉛の保護層を角板の全面にその厚さを10〜100μmの範囲で種々変えて積層した。
そして、このような熱分解黒鉛の保護層を被覆した種々の角板について、その保護層の剥れやクラックなどの状況を観察して評価したところ、その結果は、次の表1に示すとおりである。
Figure 2015107888
表1の結果によれば、小さい方の角度θaが20度以上70度以下、他方の大きい角度θbが110度以上160度以下の実施例1では、膜厚が10μm〜100μmの範囲では、膜クラックや膜浮上り、膜剥れなどは観察されなかった。
しかし、角度θaが20度未満又は70度を超えた比較例1では、保護層の膜厚が薄い10μm〜50μmの場合、特に膜クラックや膜浮上り、膜剥れなどは観察されなかったが、70μm以上に膜厚が厚くなると、一部のサンプルで膜のクラックや膜浮上り、膜剥れなどが確認された。
炭素繊維強化炭素複合材の長寿命化のためには、保護層の厚さが100μm程度は必要であるところ、実施例1によれば、保護層の厚さを100μm程度に厚く被覆した場合でもその外観上特に問題がないので、保護層が熱分解黒鉛である炭素繊維強化炭素複合材は、長寿命化に有効であることが確認された。
<実施例2と比較例2>
実施例2では、実施例1と同じ角板を準備し、この角板の小さい方の角度が10〜90度となるように種々の角板のサンプルを作製した。その際に、他方の大きい角度は90〜170度となる。
次に、これら角板の全面に、さらにマトリックス樹脂と異なるフェノール樹脂を含浸させた後に1500度まで加熱してこれを炭素化処理した。また、これら種々の角度で加工された炭素繊維強化炭素複合材からなる角板をCVD炉の中に設置し、炉内を2000℃に保ち、カーボン源となるプロパンガスを3L/分で導入して、熱分解黒鉛の保護層を角板の全面にその厚さを10〜140μmの範囲で種々変えて積層した。
そして、このような熱分解黒鉛の保護層を被覆した種々の角板について、その保護層の剥れ、クラックなどの状況を観察して評価したところ、その結果は、次の表2に示すとおりである。
Figure 2015107888
表2の結果によれば、小さい方の角度θが20度以上70度以下、他方の大きい角度θbが110度以上160度以下の実施例2では、膜厚が10μm〜140μmの範囲では、膜クラックや膜浮上り、膜剥れなどは観察されなかった。
しかし、角度θaが20度未満又は70度を超えた比較例2では、保護層の膜厚が薄い10μm〜90μmの場合、特に膜クラックや膜浮上り、膜剥れなどは観察されなかったが、100μm以上に膜厚が厚くなると、一部のサンプルで膜のクラックや膜浮上り、膜剥れなどが確認された。
したがって、実施例2では、基材表面に、さらにマトリックス樹脂と異なるフェノール樹脂を含浸させた後に1500度まで加熱してこれを炭素化処理しているので、実施例1の場合と比べて、膜厚を140μmまでより厚くしても膜クラックなどの問題が生じないことが確認された。また、基材全面を上記のように処理すると、基材と保護層との密着性が向上し、剥離や亀裂などを抑制できることも確認された。
<実施例3と比較例3>
実施例3では、実施例1と同じ角板を準備し、この角板の小さい方の角度が10〜90度となるように種々の角板のサンプルを作製した。その際に、他方の大きい角度は90〜170度となる。
次に、これら種々の角度で加工された炭素繊維強化炭素複合材からなる角板をCVD炉の中に設置し、炉内を2000℃に保ち、窒素源となるアンモニアガスを3L/分で導入し、B源となる三塩化硼素ガスを1L/分で導入して、熱分解窒化硼素の保護層を角板の全面にその厚さを10〜100μmの範囲で種々変えて積層した。
そして、このような熱分解窒化硼素の保護層を被覆した種々の角板について、その保護層の剥れ、クラックなどの状況を観察して評価したところ、その結果は、次の表3に示すとおりである。
Figure 2015107888
表3の結果によれば、小さい方の角度θが20度以上70度以下、他方の大きい角度θbが110度以上160度以下の実施例3では、膜厚が10μm〜100μmの範囲では、膜クラックや膜剥離などは観察されなかった。
しかし、角度θが20度未満又は70度を超えた比較例3では、保護層の膜厚が薄い10μm〜30μmの場合、特に膜クラックや膜剥離は観察されなかったが、50μm以上に膜厚が厚くなると、一部のサンプルで膜クラックや膜剥離が確認された。
したがって、実施例3によれば、保護層を熱分解窒化硼素の材質とした場合、その保護層の厚さを100μm程度に厚く被覆してもその外観上特に問題がないので、保護層が熱分解窒化硼素である炭素繊維強化炭素複合材は、長寿命化に有効であることが確認された。
<実施例4と比較例4>
実施例4では、実施例1と同じ角板を準備し、この角板の小さい方の角度が10〜90度となるように種々の角板のサンプルを作製した。その際に、他方の大きい角度は90〜170度となる。
次に、これら種々の角度で加工された炭素繊維強化炭素複合材からなる角板をCVD炉の中に設置し、炉内を2000℃に保ち、カーボン源となるプロパンガスを3L/分で導入し、B源となる三塩化硼素ガスを0.1L/分で導入して、硼素添加熱分解黒鉛の保護層を角板の全面にその厚さを10〜140μmの範囲で種々変えて積層した。
そして、このような硼素添加熱分解黒鉛の保護層を被覆した種々の角板について、その保護層の剥れ、クラックなどの状況を観察して評価したところ、その結果は、次の表4に示すとおりである。
Figure 2015107888
表4の結果によれば、小さい方の角度θが20度以上70度以下、他方の大きい角度θbが110度以上160度以下の実施例4では、膜厚が10μm〜140μmの範囲では、膜クラックや膜浮上り、膜剥れなどは観察されなかった。
しかし、角度θが20度未満又は70度を超えた比較例4では、保護層の膜厚が薄い10μm〜90μmの場合、特に膜クラックや膜浮上り、膜剥れなどは観察されなかったが、100μm以上に膜厚が厚くなると、一部のサンプルで膜のクラックや膜浮上り、膜剥れが確認された。
したがって、実施例4によれば、保護層を硼素添加熱分解黒鉛の材質とした場合、その保護層の厚さを140μm程度までより厚く被覆してもその外観上特に問題がないので、保護層が硼素添加熱分解黒鉛である炭素繊維強化炭素複合材は、長寿命化に有効であることが確認された。
<実施例5と比較例5>
実施例5では、実施例1と同じ角板を準備し、この角板の小さい方の角度が10〜90度となるように種々の角板のサンプルを作製した。その際に、他方の大きい角度は90〜170度となる。
次に、これら種々の角度で加工された炭素繊維強化炭素複合材からなる角板をCVD炉の中に設置し、炉内を2000℃に保ち、炭素源となるメタンガスを3L/分で導入し、珪素源となる四塩化珪素ガスを1L/分で導入して、炭化珪素の保護層を角板の全面にその厚さを10〜100μmの範囲で種々変えて積層した。
そして、このような炭化珪素の保護層を被覆した種々の角板について、その保護層の剥れ、クラックなどの状況を観察して評価したところ、その結果は、次の表5に示すとおりである。
Figure 2015107888
表5の結果によれば、小さい方の角度θが20度以上70度以下、他方の大きい角度θbが110度以上160度以下の実施例5では、膜厚が10μm〜100μmの範囲では、膜クラックや膜浮上り、膜剥れなどは観察されなかった。
しかし、角度θが20度未満又は70度を超えた比較例5では、保護層の膜厚が薄い10μm〜30μmの場合、特に膜クラックなどは観察されなかったが、50μm以上に膜厚が厚くなると、一部のサンプルで膜クラックや基材クラックが確認された。
したがって、実施例5によれば、保護層を炭化珪素の材質とした場合、その保護層の厚さを100μm程度まで厚く被覆してもその外観上特に問題がないので、保護層が炭化珪素である炭素繊維強化炭素複合材は、長寿命化に有効であることが確認された。



Claims (3)

  1. 炭素繊維の平行積層体をマトリックス樹脂と共に複合成形し、硬化および焼成炭化処理して得られる表面に、保護層を堆積した炭素繊維強化炭素複合材であって、前記平行積層体の水平方向と交差するように形成された面が該水平方向と小さい方の角度で20度以上70度以下、又は大きい方の角度で110度以上160度以下になるように構成されていることを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材。
  2. 前記保護層は、炭化珪素、熱分解黒鉛、硼素を含有した熱分解黒鉛、熱分解窒化硼素の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の炭素繊維強化炭素複合材。
  3. 前記硬化および焼成炭化処理して得られる表面に、さらに前記マトリックス樹脂と異なる樹脂が含浸され、高温で炭素化又は黒鉛化されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の炭素繊維強化炭素複合材。

JP2013250934A 2013-12-04 2013-12-04 炭素繊維強化炭素複合材 Pending JP2015107888A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013250934A JP2015107888A (ja) 2013-12-04 2013-12-04 炭素繊維強化炭素複合材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013250934A JP2015107888A (ja) 2013-12-04 2013-12-04 炭素繊維強化炭素複合材

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2015107888A true JP2015107888A (ja) 2015-06-11

Family

ID=53438585

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013250934A Pending JP2015107888A (ja) 2013-12-04 2013-12-04 炭素繊維強化炭素複合材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2015107888A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017202945A (ja) * 2016-05-09 2017-11-16 信越化学工業株式会社 一酸化珪素の製造装置及び製造方法
CN112811921A (zh) * 2021-01-27 2021-05-18 巩义市泛锐熠辉复合材料有限公司 一种纤维增强陶瓷基复合材料耐热板及其制备方法
CN113582728A (zh) * 2021-07-30 2021-11-02 湖南工学院 用溶胶凝胶烧结法在碳碳复合材料表面制备氮化硼纤维缠绕涂层的方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0465359A (ja) * 1990-07-04 1992-03-02 Hitachi Ltd 炭素繊維炭素複合材およびその製造方法
JPH05148018A (ja) * 1991-11-26 1993-06-15 Tokai Carbon Co Ltd 耐酸化性炭素繊維強化炭素材の製造方法
JPH0789776A (ja) * 1993-07-27 1995-04-04 Hitachi Chem Co Ltd 窒化硼素被覆炭素材料の製造法
JPH08314159A (ja) * 1995-05-22 1996-11-29 Fuji Electric Co Ltd 電子写真用有機感光体およびその製造方法
JP2006104554A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Shin Etsu Chem Co Ltd Pbn容器及びpbn容器の製造方法
JP2009249928A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Shimizu Corp 柱状体の補強構造および接合構造
JP2011061023A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Kaneka Corp 基板保持部材及び薄膜の製造方法
JP2011093772A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 耐プラズマ特性を備えたグラファイト部材

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH0465359A (ja) * 1990-07-04 1992-03-02 Hitachi Ltd 炭素繊維炭素複合材およびその製造方法
JPH05148018A (ja) * 1991-11-26 1993-06-15 Tokai Carbon Co Ltd 耐酸化性炭素繊維強化炭素材の製造方法
JPH0789776A (ja) * 1993-07-27 1995-04-04 Hitachi Chem Co Ltd 窒化硼素被覆炭素材料の製造法
JPH08314159A (ja) * 1995-05-22 1996-11-29 Fuji Electric Co Ltd 電子写真用有機感光体およびその製造方法
JP2006104554A (ja) * 2004-10-08 2006-04-20 Shin Etsu Chem Co Ltd Pbn容器及びpbn容器の製造方法
JP2009249928A (ja) * 2008-04-07 2009-10-29 Shimizu Corp 柱状体の補強構造および接合構造
JP2011061023A (ja) * 2009-09-10 2011-03-24 Kaneka Corp 基板保持部材及び薄膜の製造方法
JP2011093772A (ja) * 2009-11-02 2011-05-12 Shin-Etsu Chemical Co Ltd 耐プラズマ特性を備えたグラファイト部材

Non-Patent Citations (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
角板 東京硝子器械(TGK)板シート網【通販モノタロウ】696-30-58-12, JPN6016045028, ISSN: 0003445836 *

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2017202945A (ja) * 2016-05-09 2017-11-16 信越化学工業株式会社 一酸化珪素の製造装置及び製造方法
CN112811921A (zh) * 2021-01-27 2021-05-18 巩义市泛锐熠辉复合材料有限公司 一种纤维增强陶瓷基复合材料耐热板及其制备方法
CN113582728A (zh) * 2021-07-30 2021-11-02 湖南工学院 用溶胶凝胶烧结法在碳碳复合材料表面制备氮化硼纤维缠绕涂层的方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100634935B1 (ko) 복합 탄소질 단열재 및 그의 제조 방법
CN103804006B (zh) 一种透波型Si3N4纤维增韧Si3N4陶瓷基复合材料的制备方法
JP2015107888A (ja) 炭素繊維強化炭素複合材
JP4514846B2 (ja) 高純度炭素繊維強化炭素複合材料とその製造方法
CN115094514A (zh) 一种复合材料坩埚及其制备方法
JP2013234369A (ja) グラファイト材に熱分解窒化ほう素をコーティングする方法及びその方法によって得られた被覆物
US11220465B2 (en) Method for producing SiC/SiC composite material
JP4077601B2 (ja) 単結晶引き上げ用c/cルツボの製造方法
Aleshkevich et al. High performance carbon–carbon composites obtained by a two-step process from phthalonitrile matrix composites
CN104478461B (zh) 一种晶须改性碳/碳复合材料的制备方法
CN104844246B (zh) 汽车制动盘用Cf/SiC复合材料及其制备方法
CN103342573B (zh) 一种金刚石薄膜增强碳/碳复合材料热导率的方法
JPH1059795A (ja) 半導体単結晶引き上げ用c/cルツボ
JPH01264964A (ja) 耐熱衝撃性に優れた炭素繊維強化炭素複合材並びにその製造方法
JP6960448B2 (ja) 炭化ケイ素系複合体の製造方法
JP5979862B2 (ja) C/c複合材積層体
JPH01167210A (ja) 炭素質フェルト加工品並びにその製造方法
JPH10139581A (ja) 単結晶引上げ装置用高温部材
JP3983459B2 (ja) 炭素繊維強化炭素複合材料製ネジ
JP4358313B2 (ja) 半導体単結晶引き上げ装置のシードチャック
JP3562989B2 (ja) 溶射層を有する複合材およびその製造方法
JP2607409B2 (ja) 炭素繊維強化炭素複合材の耐酸化処理法
JPH0292886A (ja) 耐酸化性を有する炭素繊維強化複合材料の製造法
JPS59102880A (ja) 高温耐熱性材料
JP3219314B2 (ja) 炭化ホウ素質被覆炭素材料の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20151027

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20160818

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20160829

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20161011

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20161128

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20170619