JP2011061023A - 基板保持部材及び薄膜の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】成膜工程における背板の着脱作業を解消し、基板の面の温度を均一に昇温することが容易であり、効率のよい薄膜の化学蒸着を可能にすることができる基板保持部材及び薄膜の製造方法を提供することである。
【解決手段】凹部5及びシール部材31等によって、基板密着面とガラス基板20の一方の面の略全面を密着した状態で保持することが可能であり、ガラス基板20を保持した状態のまま走行装置によって化学蒸着室内に導入可能であり、炭素繊維強化炭素複合体によって形成される基板保持部材1を提供する。
【選択図】図5

Description

本発明は、基板保持部材及び薄膜の製造方法に関し、さらに詳細には、化学気相成長法を実施する薄膜製造装置において、基板を保持するための基板保持部材、及び当該基板保持部材を用いる薄膜の製造方法に関する。
近年、石油等の化石原料の高騰や、発電を行う際の環境への配慮から太陽電池パネルを用いた発電が注目されている。なぜなら、太陽電池は太陽光を基に発電するので、枯渇性燃料が持つ有限性への対策になり、また、発電時に二酸化炭素を排出しないので、地球温暖化の緩和策に成り得る等の理由によるものである。
ここで、太陽電池パネル(薄膜太陽電池)は、板状であり、透明導電膜、半導体層、金属導電膜及び有機保護膜を順次、ガラス基板上に積層して製造される。
これらの透明導電膜、半導体層、金属導電膜は、例えば、CVD法(化学気相成長法)によって形成される。
例えば、透明導電膜を成膜する際には、LPCVD法(減圧化学気相成長法)を利用して成膜する。ここで、LPCVD法とは、減圧雰囲気中で行うCVD法のことであり、具体的には、減圧雰囲気中で、透明導電膜の原料が含まれるガスをガラス基板の周辺に配し、熱CVDを実行することで、透明導電膜が生成される。なお、ここで熱CVDとはエネルギーによる原料ガスの分解生成物や化学反応を利用して薄膜を形成するCVDの一種である。
より具体的には、基板を減圧状態の成膜室に搬入し、成膜室内に錫や亜鉛を含有するガスを充填する。そして、ヒータで基板を昇温することで、基板上にSnO2やZnO等の膜を成膜する。
ところで、成膜室で成膜する際の基板の姿勢には、水平姿勢と垂直姿勢が考えられるが、搬入効率と、成膜室の空間を有効利用する点で、垂直姿勢が優れている。即ち、基板を縦置きにすると、成膜室の全床面積の内、基板一枚を配置するために使用する面積が小さくなるため、より多くの基板を成膜室内に配置できる。
このように、基板の姿勢を縦置き姿勢で保持した上で成膜室に出入りさせるためには、搬送用のトレーが使用されることが一般的である。
そして、このようなトレーは、特許文献1に開示されているように、ステンレススチールによって作られることが一般的である。これは、ステンレスは耐食性が良好であり、成膜時において、原料ガスによって腐食しにくく、清掃の時において、強酸又は強アルカリの清掃液で腐食しにくいためであり、また剛性が高く破損が少ないためである。
さらに、基板の背面には熱伝導性に優れた背板が装着される(特許文献1)。
詳細に説明すると、上記した熱CVDによる基板の成膜では、高温の部位に膜が生成されるため、基板の成膜を行う面に温度のバラつきが生じると、成膜した膜の厚さにバラつきができる。したがって、基板表面に温度のバラつきがあってはならない。加えて、エネルギー効率を良くするために、基板は短時間で昇温されることが望ましい。
しかし、一般的な搬送トレーの素材たるステンレスは熱伝導性が低く、基板をステンレス製の搬送トレーに直接接した状態で基板を加熱すると、基板表面の温度にバラつきが生じる。また、ステンレスは比熱が低く昇温しにくいので、基板の昇温に長時間を有する。
そこで、特許文献1では、搬送トレーに別素材で形成した背板を設け、背板をガラス基板の最も面積の大きな面(背面)と接触させている。
特開2001−185610号公報
このように従来技術において、基板の背面に接触する背板を設けることは必須であったが、背板の着脱作業には大きな労力を伴うため、工程上大きな負担が強いられる。また、搬送トレーに基板を嵌め込んだ際に、基板端部が搬送トレーの一部に接触することにより、背板から基板に伝わった熱が基板端部から放熱され、成膜を行う基板の面の温度にバラつきが発生してしまうという問題があった。
そこで本発明は、成膜工程における背板の着脱作業を解消し、基板の表面の温度を均一に昇温することが容易であり、効率のよい薄膜の化学蒸着を可能にすることができる基板保持部材及び薄膜の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための請求項1に記載の発明は、化学蒸着室内において基板を加熱すると共に、原料ガス雰囲気中に基板をさらして基板の一方の面に薄膜を形成させる化学蒸着を実施する際に使用される基板保持部材であって、走行装置に保持されることが可能であって、基板を保持する基板保持手段を備え、化学蒸着によって薄膜を形成させる際に、基板を保持した状態で化学蒸着室内に導入される基板保持部材において、炭素繊維強化炭素複合材によって成形され、基板の一方の面の略全面と密着する基板密着面を有することを特徴とする基板保持部材である。
ここで、「走行装置に保持される」とは、走行装置に対して着脱自在に保持されている状態であっても、走行装置に対して着脱不能であってもよい。即ち、本発明の基板保持部材は走行装置と一体であってもよい。また、「基板の一方の面の略全面」とは、基板の一方の面の内80%(パーセント)以上、より好ましくは90%(パーセント)以上、更にこのましくは95%(パーセント)以上である。
本発明の基板保持部材は、炭素繊維強化炭素複合材(カーボンコンポジット材)によって形成されている。そのため、基板保持部材が衝撃に強く壊れにくい、さらに、比熱と熱伝導率が高く、熱変形し難いという特徴がある。したがって基板保持部材は、熱変形することなく、低エネルギーで素早く昇温させることが可能である
また、基板保持部材から基板に熱が伝達する際に、基板保持部材が基板と密着している全ての部分から、基板保持部材の熱が基板に伝達する。本発明の基板保持部材は略全体が基板と密着するので、基板を広範囲に亘って同時加熱することができる。そのため、基板が昇温する際に、基板表面に温度のバラつきが発生しにくい。
さらに、本発明の基板保持部材は耐久性が良く、長期の使用に耐え得るので、基板保持部材の交換コストを低減できる。
請求項2に記載の発明は、前記基板保持手段は、基板を立てた姿勢で保持することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の基板保持部材である。
本発明の基板保持部材では、基板保持部材が基板を、立てた姿勢で保持することが可能であるから、基板を立てた状態で成膜を実施することができる。そのことにより、CVD装置の成膜室の床面積が小さくても成膜を実施できるため、効率のよい化学蒸着を実施することができる。
請求項3に記載の発明は、基板の薄膜を形成させる面を除いた部分を、外気に接触しないように密閉することのできる密閉手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板保持部材である。
本発明の基板保持部材では、基板の薄膜を形成させる面を除いた部分を、外気に接触させない。そのため、成膜を行う際に、基板の薄膜を形成させる部分以外が、原料ガス(少なくとも、薄膜の原料の内の一つを含有するガス)に接触しない。そのため、成膜を必要な部分にだけ確実に実施できるため、精度の高い成膜が実施可能となる。
請求項4に記載の発明は、前記基板保持手段が、基板を仮止めする仮止め部と、基板を外側から押圧可能な移動片からなり、前記移動片が前記密閉手段を兼ねることを特徴とする請求項3に記載の基板保持部材である。
本発明の基板保持部材では、前記基板保持手段の一部である移動片が前記密閉手段を兼ねる。そのため、基板保持部材の部品点数が少なくなり、本発明の基板保持部材を安価に実現できる。
請求項5に記載の発明は、基板を保持する凹部が設けられ、当該凹部の内面によって基板密着面が構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基板保持部材である。
本発明の基板保持部材では、基板を保持する凹部が設けられ、当該凹部の内面によって基板密着面が構成される。そのため、凹部に基板を嵌め込むことだけで、基板を保持した状態で基板保持部材に密着させることができる。そのことにより、基板の取り付けが容易になり、成膜工程の効率が良くなる。
請求項6に記載の発明は、前記基板保持部材は、減圧化学気相成長法を実施する装置で使用可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の基板保持部材である。
本発明の基板保持部材では、基板保持部材をLPCVD装置(減圧化学気相成長法を実施する装置)で使用可能に形成する。そのため、前述の優れた効果を有したLPCVD装置又はLPCVD方法を提供できる。
請求項7に記載の発明は、前記走行装置に複数設置可能であり、走行装置に設置された状態で減圧化学気相成長法を実施する装置により成膜を実施可能であることを特徴とする請求項6に記載の基板保持部材である。
本発明の基板保持部材では、前記走行装置に複数同時に設置可能であり、走行装置に設置された状態でLPCVD装置(減圧化学気相成長法を実施する装置)により成膜を実施可能である。そのため、複数の基板を同時に成膜可能であり、また、成膜の際に走行装置からの取り外し作業が発生しないので、作業効率がよい成膜を実施することができる。
請求項8に記載の発明は、前記炭素繊維強化炭素複合材は、熱伝導率が25W/mK以上150W/mK以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の基板保持部材である。
本発明の基板保持部材では、基板保持部材を形成する、炭素繊維強化炭素複合材の熱伝導率が25W/mK以上150W/mK以下であるため、効率のよい成膜を実施することができる。なぜなら、熱伝導率が低すぎると、基板密着面全体を均一な温度で昇温することが難しくなり、熱伝導率が高すぎると、他の部材への熱の干渉の制御が難しくなるためである。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載の基板保持部材を用いることを特徴とする薄膜の製造方法である。
本発明の薄膜の製造方法では、上記した基板保持部材を用いるため、基板の運搬、加熱及び成膜後の後処理を効率よく実施することができる。
請求項10に記載の発明は、基板保持部材に基板を脱着する工程と、基板を保持する基板保持部材を走行装置に立設する工程と、基板を保持する基板保持部材を走行装置で運搬する工程と、基板を保持する基板保持部材を加熱する工程と、基板保持部材に保持されている基板の表面を成膜する工程とを有することを特徴とする請求項9に記載の薄膜の製造方法である。
本発明の薄膜の製造方法では、基板を保持した基板保持部材を走行装置に立設して運搬する。そのため、基板保持部材を横置きにした場合と比べて、一度により多くの基板保持部材を走行装置で運搬できるため、基板を効率良く運搬できる。
また、基板を保持する基板保持部材を加熱し、基板保持部材から熱を伝導して基板を昇温するため、基板をヒータで直接加熱した場合と比べて、基板の表面の広範囲に亘る加熱が、安価且つ容易に実行できる。
さらに、基板保持部材に保持している基板に膜を堆積させるので、成膜時の基板の姿勢
及び基板表面の成膜する部分を調整しやすいという利点がある。
請求項11に記載の発明は、前記基板はガラスであり、基板の面の内で最大の面の面積が0.8m2以上であることを特徴とする請求項9又は10に記載の薄膜の製造方法である。
ここで、「基板の面の内で最大の面」の面積は0.8m2以上であり、より好ましくは1m2以上である。
通常、ヒータで基板を昇温させる場合、基板の面積が大きくなるにつれて、基板の表面に温度のバラつきが発生し易くなる。また、基板にガラス等の熱伝導率の低い部材を用いても、ヒータで加熱された部分とそうでない部分に温度差が発生し易くなり、基板の表面に温度のバラつきが発生し易くなる。そのため、面積が大きな基板及び/又は、熱伝導率の低い部材で形成された基板は、膜の厚さを均一にするための表面温度の制御が難しい。
しかし、本発明の薄膜の製造方法では、基板の略全面を同時に加熱することができるため、大きなガラス基板のような、表面積が大きく、熱伝導率の低い基板に成膜を行う場合でも、好適な成膜を実施することができる。
つまり、本発明の基板保持部材は、面積の大きな基板及び/又は熱伝導率の低い部材で形成された基板の保持に適している。
本発明は、成膜工程における背板の着脱作業を解消し、基板の面の温度を均一に昇温することが容易であり、効率のよい薄膜の化学蒸着を可能にすることができる基板保持部材及び薄膜の製造方法を提供することができる。
本発明の第一の実施形態に係る基板保持部材が、台車に取り付けられた状態を示す斜視図である。 図1に示された基板保持部材及び台車の一部を切り欠いた状態を示す、基板保持部材及び台車の一部断面斜視図である。 本発明の第一の実施形態に係る基板保持部材を示す斜視図である。 図3の基板保持部材の分解斜視図である。 図3の基板保持部材へのガラス基板の取り付けを示す斜視図である。 図3の基板保持部材へガラス基板を取り付けて、シール部材を中心側へ移動した状態を示す斜視図である。 図6の基板保持部材のB−B面の断面斜視図である。 図1の台車を示す斜視図である。 本発明の第二の実施形態に係る基板保持部材の斜視図である。 本発明の第三の実施形態に係る基板保持部材の斜視図である。
本発明の一実施形態に係る基板保持部材について、以下、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1,2に示される様に、基板保持部材1は、ガラス基板20を取り付けた状態で、台車10に複数立設することで、基板キャリア7としてLPCVD装置で使用される。換言すると、基板キャリア7は、直方体状の台車10を有し、台車10の上面に設けられた溝35に基板保持部材1が嵌め込まれ、基板保持部材1は立て置きの状態で使用される。このような基板キャリア7を成膜室内に搬入し、ガラス基板20への成膜を行う。以下、具体的に説明する。
基板保持部材1は、図3に示すように、略正方形の平板状の部材であり、炭素繊維強化炭素複合材(カーボンコンポジット材)で形成されている。
ここで、本発明の炭素繊維強化炭素複合材(カーボンコンポジット材)とは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)の炭素繊維及又はプラスチックのいずれか又は双方を炭化させたものである。ここで、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)とは炭素繊維にプラスチック材料等を含浸して硬化させたものである。そして、炭化は、例えば緻密化と呼ばれる処理や熱処理等によって行うことができる。なお、緻密化とは、炭素繊維強化プラスチック(CFRP)等を一度焼成したものを、特定の樹脂等に含浸し、再び焼成する処理であって、好ましくはこれを繰り返す。
炭素繊維には、レーヨン、ポリアクリロニトリル、石炭・石油化学の残渣としてでるピッチを溶融紡糸後に焼成して得たもの等の適宜なものが使用される。
成形硬化に使用する樹脂はフラン、フェノール、ポリイミド、エポキシ等の適宜の熱硬化性樹脂が主に使用される。また、これらが高粘度や固体である場合は、適当な溶媒に溶かすか、加熱し溶融するかして用いることも可能である。
そして、緻密化の一例として、複合材料をフラン、フェノール等の各樹脂、或いはコールタールピッチ等に含浸し、窒素やアルゴン等の不活性雰囲気中、或いは真空中で焼成する方法がある。
また、緻密化は複合材料を、窒素、アルゴン等の非酸化性雰囲気中で加熱し、エタン、ベンゼン等の炭化水素ガスを導入して行ってもよい。
更に、炭素の配列構造を変え、耐熱酸化性を向上させる熱処理を必要に応じて行ってもよい。この熱処理は、不活性ガス雰囲気中2000℃(度)〜3000℃(度)の温度で処理することが通例である。これらの緻密化及び/または熱処理を所定の特性が得られるまで繰り返すことで、目的の性質を持つ炭素繊維強化炭素複合材を生成する。
以下、炭素繊維強化炭素複合材の一例を製造方法と共に詳細に説明する。
まず、適宜の方法で炭素繊維を芯材にしたフェノール樹脂成形物を作り、それを真空中で1000℃(度)〜2300℃(度)で焼成して、フェノール樹脂部分を炭化させる。その後、一度焼成済みのものをフェノール樹脂液に浸し加圧含浸した後、再度焼成炭化する処理を繰り返すことにより、炭素繊維強化炭素複合材が製造される。
つまり、例示した炭素繊維強化炭素複合材は、炭素繊維の周りをフェノール樹脂が炭化してできたカーボンで囲まれた状態になっている。このカーボンは、内部の気泡(フェノール樹脂の中の水素、酸素等の炭素以外の成分が、焼成する際に気化して発生する気泡)が、フェノール樹脂液を加圧含浸した後、再度焼成炭化する処理によって埋められている。そのことにより、従来のカーボン材に比べて、曲げ強さが大きく衝撃に強いという特徴がある。
基板保持部材1は、中央部分に凹部5が設けられている。この凹部5は、成膜対象物であるガラス基板20が嵌めこみ可能な大きさである。即ち、凹部5の開口の面積は、ガラス基板20の成膜を実施する面の面積と同等以上である。
さらに、凹部5は基板密着面25を有している。この基板密着面25は、凹部の底面(図3における奥側の面)であり、平滑な面になっている。そのため、ガラス基板20を嵌め込んだ際、ガラス基板20が基板密着面25に隙間なく接触することにより、後述の溝30の部分を除いて、ガラス基板20の一面と基板保持部材1が密着することができる。
さらに、図3,4で示されるように、凹部5の開口の周辺には、溝30が図3における上側と下側に2つずつ、左側と右側に一つずつの計6つ設けられており、シール部材31が前後左右にそれぞれ一つずつの計4つ設けられている。
この溝30は、正面視が四角形状の、図示しないロボットのアームの先端を挿入可能な溝である。即ち、この溝にアームの先端(爪)を挿入し、ガラス基板20の端部を引っ掛けることで、ロボットは基板保持部材1に嵌め込まれたガラス基板20を掴み取ることができる。そのことにより、ロボットは基板保持部材1にガラス基板20を着脱することができる。
シール部材31は、図3,4に示されるように、凹部5の開口の周囲を囲むように4つ配されている。詳細には、このシール部材31は正面視が台形の部材であり、上側(図3における上側)に配されたシール部材31の上底部分と、下側(図3における下側)に配されたシール部材31の上底部分が対向しており、右側(図3における右側)に配されたシール部材31の上底部分と、左側(図3における左側)に配されたシール部材31の上底部分が対向している状態で配されている。
また、シール部材31はそれぞれ長孔32を有しており、ピン26によって基板保持部材1に直線的に摺動可能な状態で取り付けられている(図3)。そのため、これら4つのシール部材31は、基板保持部材1の中心に向かって、それぞれが突出、退入する(図3における上側と下側に配されたシール部材31は、ずれるように上下動し、図3における右側と左側に配されたシール部材31は、ずれるように左右動する)ことができる。
図5,6に示されるように、4つのシール部材31が基板保持部材1の端部側から中心に向かって突出することにより、基板保持部材1の凹部5に嵌め込んだガラス基板20が、外れないように抑え込み固定することができる。なお、本実施例では、シール部材31と凹部5によって、基板保持手段が構成されている。
加えて、図7に示されるように、このシール部材31が基板保持部材1の中心側へ移動することにより、シール部材31は、ガラス基板20と凹部5の端部の間の隙間15を覆うように配される。そのため、ガラス基板20と凹部5の間の隙間15は、密閉された空間となるため、隙間15に外気が浸入しない。
ここで、図7に示されるようにシール部材31の凹部5側の端部(上底部分)には段差40が設けられている。そのため、ガラス基板20の厚さが変化しても段差40の深さを変化させることにより、シール部材31をガラス基板20に密着させ、抑え込むことができる。
図8に示される様に、台車10の上面には溝35が設けられている。詳細には、溝35は、複数設けられており、それぞれ、台車10の上面の長手方向と平行な方向に延びている溝である。また、前述したように台車10の両側には合計4個の車輪11が設けられている。そのため、台車10は長手方向と平行な方向(図8におけるX方向)に動くことができる。なお、このとき、図示しない台車を台車10の下側に取り付けることにより、長手方向と垂直な方向(図8におけるY方向)にも動けるようにすることができる。
次に、本実施形態の基板保持部材1を使用するCVD装置を用いて、LPCVD(及び熱CVD)法によって、ガラス基板20に透明導電膜を成膜する手順を、基板保持部材1の作用と共に説明する。
なお、CVD装置が実施するCVD法は、減圧されたチャンバ内で、ガラス基板20を加熱し、原料ガス(生成する膜を構成する原料の内、少なくとも一つ以上の原料を含むガス)をガラス基板20の表面で化学反応させることで成膜するものとする。即ち、プラズマ等の電気的処理を必要としないCVD法である。
まず、基板保持部材1の凹部5に、作業用ロボット等を用いて、ガラス基板20を嵌め込む(図5)。そして、図6に示される様に、基板保持部材1のシール部材31をすべて、基板保持部材1の中心側へ移動させて、ガラス基板20を基板保持部材1に取り付ける。なお、ガラス基板20は、成膜を実施する面のみを露出した状態で取り付けられる。
次に、図1に示される様に、ガラス基板20を取り付けた基板保持部材1を、台車10の溝35に嵌め込み、基板キャリア7を形成する。このとき、溝35と係合する基板保持部1の下端部分(図6におけるAの範囲)が基板保持部材1の被保持部24となり、基板保持部材1の被保持部24が台車10(走行装置)に保持される。
ここで、それぞれの基板保持部材1は、取り付けられたガラス基板20が対向する様に配置するものとする(図2)。
全ての基板保持部材1を台車10に取り付けたら、基板キャリア7を成膜室内に移動させ、成膜室内を減圧し、図示しない従来周知のヒータによって全ての基板保持部材1を加熱する。ヒータはプレートヒータ、カーボンヒータ、赤外線ランプや紫外線ランプ等適宜のものを使用可能であるが、本実施形態では赤外ランプヒータを使用するものとする。
このとき、基板保持部材1の加熱は、正面(凹部5を設けた面)からでも背面側から行ってもよいが、正面から加熱する方がより好ましい。これは、本実施形態では、基板にガラス製のガラス基板20を用いていることにより、ガラス基板20が赤外線を10%(パーセント)〜25%(パーセント)吸収するためである。詳細には、ガラス基板20に吸収された赤外線がガラス基板20を直接加熱し、ガラス基板20に吸収されなかった赤外線(ガラス基板20を透過した赤外線)が基板保持部材1の基板密着面25を加熱するため、背面から加熱して基板保持部材1の熱伝導のみで加熱した場合に比べ、昇温時のエネルギー効率がよく、経済的で生産性が高い。また、図1のようにガラス基板20の成膜面を内側で対向するように設けた場合、放射線上に赤外線を放出するヒータを用いることにより、1つのヒータで2枚の基板を加熱できるという利点もある。
ヒータにより基板保持部材1の背面が加熱されると、基板保持部材1が熱伝導率の高いカーボンコンポジットにより形成されているため、短時間で、凹部5全体が、温度が均一の状態で昇温する。この昇温した凹部5の熱を、基板密着面25からガラス基板20の接触面(成膜を実施する面と対向する面全体)へ伝導させることにより、ガラス基板20は、成膜を実施する面全体が同時に加熱される。そのため、成膜を実施する面全体に温度のバラつきが発生しない状態で、ガラス基板20を昇温させることができる。
ここで、上記したように、凹部5の基板密着面25以外の部分も、基板密着面25と同等または極めて近い温度に昇温される。したがって、基板保持部材1のガラス基板20と接触している部分は、全て基板密着面25と同等または近い温度である。
そのため、従来の基板保持部材のように、ガラス基板20が基板保持部材の温度が低い部分に接触するという事態が発生しないため、効率良くガラス基板20を昇温できる。
ヒータによるガラス基板20の昇温が成されると同時に、若しくは成された後で、原料ガスを成膜室内に供給して成膜を実施する。このとき上記した理由により、ガラス基板20の露出面の温度が均一に昇温されるため、成膜させる薄膜は、膜厚と膜質が均一なものとなる。
本実施形態において、シール部材31の先端部分には段差40を設けたが、設置時に凹部5から突出するガラス基板20を押さえ込み、凹部5の端部とガラス基板20の間を密閉する手段はこれに限るものではない。例えば、シール部材31の先端部分を、先端側に向かうにつれて幅が小さくなるような、所謂テーパ状にしてもよい。
本実施形態において、基板保持部材1の凹部5にガラス基板20を嵌め込んだ際、ガラス基板20が凹部5の開口から突出する大きさ(ガラス基板20の厚さが凹部5の深さを上回る大きさ)で実施したが、ガラス基板20と凹部5の体積及び容積の関係はこれに限るものではない。
例えば、基板保持部材1の凹部5にガラス基板20を嵌め込んだ際、基板保持部材1の凹部5が形成されている面とガラス基板20の成膜を実施する面が面一になるように実施してもよい。また、その際、シール部材31の先端に設けた段差40を設けずに実施してもよいし、段差40の代わりに先端を別の形状に変更してよい。
即ち、凹部5の大きさや深さは、ガラス基板20の大きさに合わせて適宜変更してよく、シール部材31の先端部分はガラス基板20に密着可能であればよい。
上記した本実施形態において、正面視が四角形状の溝30を上側と下側に2つずつ、左側と右側に一つずつの計6つ設けたが、溝30の配置方法はこれに限るものではない。溝30の形状、数、配置位置は、使用するロボットのアームの先端の形状、ガラス基板の大きさ等の条件に応じて適宜変更してよい。例えば、上下左右に1つずつ設けてもよいし、下側及び左側、右側に設けて上側に設けないといった配置にしてもよい。また、正面視の形状(開口の形状)を円形や三角形等に変更してもよい。
また、上記した実施形態において、基板保持部材1は切削加工して形成したが、基板保持部材1の形成方法はこれに限るものではない。適宜の機械加工や金型等の成形型によけって形成してもよい。
以下では第二の実施形態及び第三の実施形態を説明するが、特に説明がない限り、第1の実施形態における基板保持部材1と同様の部分については、同様の符号を付して重複する説明を省略する。
第二の実施形態の基板保持部材50は、図9に示されるように、被保持部60によって、丸棒状の走行装置64に保持されていることを特徴とする。
なお、被保持部60は平板状の部材の両端部に、取り付け部材62,63を一体に取り付けたような形状である。詳細に説明すると、取り付け部材62は基板保持部材50の端部を挟み込むようにして取り付けることができる略「コ」の字型の部材であり、取り付け部材63は、走行装置の側面に沿うように略一体に取り付け可能な部材である。
この基板保持部材50は、棒状の走行装置を図示しない部材で動かすことにより、移動可能となっている。
第三の実施形態の基板保持部材51は、図10に示されるように、被保持部61によって、車輪状の走行装置65に保持されていることを特徴とする。
なお、被保持部61は平板状の部材であって、上端部に取り付け部材64を一体に取り付けており、下端部に走行装置65を一体に取り付けている。ここで、取り付け部材64は基板保持部材51の端部を挟み込むようにして取り付けることができる略「コ」の字型の部材である。そして、走行装置65は、角柱状の土台66から下方へ突出する平板状の部材に車輪67を回転可能に取り付けている。
なお、被保持部61は角柱状の部材から上方に突出した平板部材65の上端部に、取り付け部材64を一体に取り付け、下方に突出した平板部材66に走行装置を取り付けている
この基板保持部材51は、図示しない部材でいずれかの部分を押すこと等で、車輪67が駆動し、移動することができる。
1 基板保持部材
5 凹部(基板保持手段,仮止め部)
10 台車(走行装置)
20 ガラス基板(基板)
25 基板密着面
31 シール部材(移動片,密閉手段)

Claims (11)

  1. 化学蒸着室内において基板を加熱すると共に、原料ガス雰囲気中に基板をさらして基板の一方の面に薄膜を形成させる化学蒸着を実施する際に使用される基板保持部材であって、走行装置に保持されることが可能であって、基板を保持する基板保持手段を備え、化学蒸着によって薄膜を形成させる際に、基板を保持した状態で化学蒸着室内に導入される基板保持部材において、
    炭素繊維強化炭素複合材によって成形され、基板の一方の面の略全面と密着する基板密着面を有することを特徴とする基板保持部材。
  2. 前記基板保持手段は、基板を立てた姿勢で保持することが可能であることを特徴とする請求項1に記載の基板保持部材。
  3. 基板の薄膜を形成させる面を除いた部分を、外気に接触しないように密閉することのできる密閉手段を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の基板保持部材。
  4. 前記基板保持手段が、基板を仮止めする仮止め部と、基板を外側から押圧可能な移動片からなり、前記移動片が前記密閉手段を兼ねることを特徴とする請求項3に記載の基板保持部材。
  5. 基板を保持する凹部が設けられ、当該凹部の内面によって基板密着面が構成されていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の基板保持部材。
  6. 前記基板保持部材は、減圧化学気相成長法を実施する装置で使用可能であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の基板保持部材。
  7. 前記走行装置に複数設置可能であり、走行装置に設置された状態で減圧化学気相成長法を実施する装置により成膜を実施可能であることを特徴とする請求項6に記載の基板保持部材。
  8. 前記炭素繊維強化炭素複合材は、熱伝導率が25W/mK以上150W/mK以下であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の基板保持部材。
  9. 請求項1乃至8のいずれかに記載の基板保持部材を用いることを特徴とする薄膜の製造方法。
  10. 基板保持部材に基板を脱着する工程と、基板を保持する基板保持部材を走行装置に立設する工程と、基板を保持する基板保持部材を走行装置で運搬する工程と、基板を保持する基板保持部材を加熱する工程と、基板保持部材に保持されている基板の表面を成膜する工程とを有することを特徴とする請求項9に記載の薄膜の製造方法。
  11. 前記基板はガラスであり、基板の面の内で最大の面の面積が0.8m2以上であることを特徴とする請求項9又は10に記載の薄膜の製造方法。
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