JP5979862B2 - C/c複合材積層体 - Google Patents
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C/C複合材は、母材(マトリックス)としての樹脂の炭化物に炭素繊維が組み合わされたものであり、製造方法の一つとして抄造法が存在する。
本発明において開口比とは、織布の全面積に対する開口の面積の比率である。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るC/C複合材積層体より構成された鋳型100を示す。図1(a)は鋳型100の斜視図であり、図1(b)は図1(a)のA−A線に沿った断面図である。
なお織布層20は互いに積層された複数の織布24a、織布24b1、24b2、織布24c1、織布24c2が順次積層されて構成され、複数の織布のうち少なくともコア材10に隣接した織布24aは、織り込まれた第2の炭素繊維22間に形成された開口23を有している。
上記C/C複合材積層体において、図2(c)に示すように、コア材10に隣接した織布24aは開口23を有しているため、織布の弾性率をコア材に近づけることが出来、この開口23が、応力緩和領域となり、第1の炭素繊維14の分散したコア材10と、第2の炭素繊維22が規則正しく配列した織布24aとの界面に発生する応力を緩和することができる。
このように、上記構成のC/C複合材積層体において、コア材10に近い側の織布24aよりも遠い側に積層された織布24c2は開口比が小さい。このため、コア材10に近い側に積層された織布層はコア材から遠い側に積層された織布層よりも弾性率が小さくなる。コア材10に近い側に積層された織布層は伸縮しやすいので剥がれにくく、コア材10から遠い側に積層された織布層は、繊維密度が高いので高弾性かつ高強度の織布である。したがって、C/C複合材積層体30の強度を大きくしながらコア材10と織布層20を剥がれにくくすることができる。
織布の縦糸及び緯糸は、炭素繊維の素線を用いてもよいが、500〜10000本程度をまとめた束(ストランド)を用いてもよい。
(1)コア材のプリフォームの準備工程
(2)成形工程
(3)硬化工程
(4)脱脂工程
(5)焼成工程
[コア材のプリフォーム準備工程]
コア材のプリフォームは、平均繊維長が0.01〜30mmの第一の炭素繊維と第一の炭素繊維を繋ぐバインダ樹脂(炭素質母材の前駆体)とからなる。バインダ樹脂(炭素質母材の前駆体)は加熱して炭化するものであればどのようなものでもよいが、フェノール樹脂、フラン樹脂、及びイミド樹脂などの熱硬化性樹脂などが好適に利用できる。炭素繊維とバインダ樹脂との重量比は1:1〜1:2のものが好ましい。第一の炭素繊維の比率を上記範囲にとることで、成形性が良好でかつ高密度のコア材を得ることができ、高い強度を得ることができる。また焼成時にバインダ樹脂の分解により発泡するのを抑制することができ、内部クラックの発生を抑えることができる。第一の炭素繊維の比率が増えると成形性が悪くなり高密度のコア材が得られず高い強度が得られない。バインダ樹脂(炭素質母材の前駆体)の比率が増えると後の焼成時にバインダ樹脂の分解により発泡しやすくなり、内部クラックができやすくなる。ここでバインダ樹脂は、炭素質母材の前駆体であり、焼成後、最終的には炭素質母材となる。
本実施形態では、抄造法により、内側(内法寸法)が1050×1050×315mmの箱形状のプリフォームを用意する。ここで板厚は25mm程度とする。
プリフォームの表面を炭素繊維の織布で覆い成形する。C/C複合材が平坦に近い形状であれば1軸プレスで成形することができ、立体形状であればオートクレーブで成形することができる。
加熱温度は熱硬化性樹脂の軟化温度以上まで昇温することが好ましい。
炭素質母材となるバインダ樹脂は熱硬化性樹脂の場合、上記成形工程において十分に圧力を上げた後、加熱し、プリフォームに含まれる熱硬化性樹脂を溶融硬化させることが好ましい。これにより、プリフォームが変形しないように形状を固定化することができる。加熱温度は熱硬化性樹脂の硬化温度以上まで昇温することが好ましい。具体的には、加熱温度は100℃以上が好ましい。加熱温度が100℃以上であると、バインダ樹脂の硬化が速やかに行われるので、硬化工程にかかる時間を短縮出来る。加熱温度が高ければ高いほど硬化が速やかに進行するが、加熱温度は200℃以下であることが好まい。200℃を越えると、表面のみ先に硬化しやすいので、表面が硬い殻を形成し、内部の密度が上がりにくいからである。前記の成形工程をオートクレーブで行う場合等、成形工程で充分に加熱できれば、硬化工程は成形工程と同時に行うこともできる。
こうして得られた成形体を還元性雰囲気あるいは不活性雰囲気で熱処理しバインダ樹脂を炭素化する。脱脂は400〜1000℃で行うことが好ましい。
前記脱脂工程の次に焼成工程を行うことにより、バインダ樹脂を十分に炭素化させ炭素質母材を形成し、C/C複合材の積層体を得ることができる。焼成温度は1500〜2500℃で焼成することが好ましい。
発生ガスの処理に対応できる炉であれば、脱脂工程と焼成工程を同時に行うことができる。
図4は、本発明の第2の実施形態に係るC/C複合材積層体より構成された保温筒200を示す。図4(a)は保温筒200の斜視図であり、図4(b)は図4(a)のA−A線に沿った断面図である。
本実施形態のC/C複合材積層体では、C/C複合材からなるコア材10を形成した後に織布層20を貼り付けているので織布層20の開口23に第1の炭素繊維14は充填されない。
従って、図5(b)および図5(c)に示すように、織布層20とコア材10の界面は平滑であり、開口23にはコア材10(第1の炭素繊維14)が存在しない。
図1(a)および(b)は、本発明の第1の実施形態のC/C複合材積層体の実施例を示す。本実施例のC/C複合材積層体は、上記実施の形態1と同様、凹部50と平面部分とを有するバット状(箱状)の形状をなすものである。
本実施例のC/C複合材積層体は、内側(内法)が縦1000×横1000×高さ200mm、厚さ30mmの箱形の形状であり、溶融した金属を冷却するための鋳型である。このC/C複合材積層体は、平均繊維長が0.5mmの炭素繊維が炭素質母材中に分散したC/C複合材からなるコア材と、内表面側及び外表面に貼り付けられた5層の織布とからなる。織布は外側から、第1層〜第5層24c2、24c1、24b2、24b1、24aを構成している。ここでC/C複合材積層体の板厚は25mmである。
参考例1のC/C複合材積層体として、円筒状の形状をなす保温筒200について説明する。保温筒200は図4(a)および図4(b)に示すとおりである。図4(a)は斜視図、図4(b)はA−A断面図である。
参考例1のC/C複合材積層体の断面拡大図を図5に示す。図5(a)は参考例1のC/C複合材積層体を示す要部断面図であり、図5(b)は図5(a)の点線部分の拡大図、図5(c)は第1層目の織布を貼着した状態を示すようにコア材から第1層目の織布の上面で切断した斜視図である。
12 炭素質母材
14 第1の炭素繊維
20 織布層
22 第2の炭素繊維
23 開口
24a、24b、24c、24b1、24b2、24c1、24c2 織布
30 C/C複合材積層体
50 凹部
100 鋳型
200 保温筒
Claims (4)
- 炭素質母材と、当該炭素質母材中に分散した状態で存在する第1の炭素繊維とを含むコア材と、
第2の炭素繊維の織布から構成され、前記コア材の少なくとも一面に積層された織布層と、
を備え、
前記織布層は互いに積層された複数の織布から構成され、前記複数の織布のうち少なくとも前記コア材に隣接した織布は、織り込まれた前記第2の炭素繊維間に形成された開口を有し、
前記コア材に隣接した織布に比べて、前記コア材から遠い側に積層された織布は、織布の全面積に対する開口の面積の比率である開口比が小さく、
前記開口には前記コア材から突出した前記炭素質母材及び前記第1の炭素繊維が充填されている、C/C複合材積層体。 - 炭素質母材と、当該炭素質母材中に分散した状態で存在する第1の炭素繊維とを含むコア材と、
第2の炭素繊維の織布から構成され、前記コア材の少なくとも一面に積層された織布層と、
を備え、
前記織布層は互いに積層された複数の織布から構成され、前記複数の織布のうち少なくとも前記コア材に隣接した織布は、織り込まれた前記第2の炭素繊維間に形成された開口を有し、
前記コア材に隣接した織布に比べて、前記コア材から遠い側に積層された織布は、織布の全面積に対する開口の面積の比率である開口比が小さく、
前記開口には前記コア材から突出した前記炭素質母材及び前記第1の炭素繊維が存在している、C/C複合材積層体。 - 請求項1または2に記載のC/C複合材積層体であって、
前記コア材に隣接した前記第2の炭素繊維の織布は、開口比が50〜70%に設定されている、C/C複合材積層体。 - 請求項1から3のいずれか1項に記載のC/C複合材積層体であって、
前記織布層は前記コア材の両面に接着されている、C/C複合材積層体。
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