JP2012211062A - 炭素繊維強化炭素複合材ルツボ - Google Patents
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Abstract
【課題】シリコン単結晶引上げに用いられる石英ルツボを内側に装入して保持するカーボンルツボであって、強度特性に優れ、かつ、耐久性を向上させた炭素繊維強化炭素複合材ルツボを提供する。
【解決手段】周縁部に湾曲部1を有する底部2と、湾曲部1から上方に延びる直胴部3とを有する炭素繊維強化炭素複合材ルツボにおいて、少なくとも湾曲部1において、ルツボ最内層及び最外層が炭素繊維織物の積層体11,12からなり、これらの積層体11,12の間に少なくとも1層の膨張黒鉛シート21が挟み込まれている構成とする。
【選択図】図1
【解決手段】周縁部に湾曲部1を有する底部2と、湾曲部1から上方に延びる直胴部3とを有する炭素繊維強化炭素複合材ルツボにおいて、少なくとも湾曲部1において、ルツボ最内層及び最外層が炭素繊維織物の積層体11,12からなり、これらの積層体11,12の間に少なくとも1層の膨張黒鉛シート21が挟み込まれている構成とする。
【選択図】図1
Description
本発明は、半導体や太陽電池用のシリコン単結晶を引上げるための装置内でシリコン融液を収容する石英ルツボを内側に装入して保持する炭素繊維強化炭素複合材ルツボに関する。
半導体や太陽電池等の材料であるシリコン単結晶は、一般に、チョクラルスキー法により製造されている。
図4に、チョクラルスキー法による単結晶製造の概略図を示す。図4に示すように、チョクラルスキー法による単結晶製造においては、石英ルツボ30内に収容されたシリコン融液31に種結晶32を着液させ、石英ルツボ30を回転させるとともに、この種結晶32を反対方向に回転させながら上方へ引上げることによって、種結晶32の下端にシリコン単結晶33を育成する。
図4に、チョクラルスキー法による単結晶製造の概略図を示す。図4に示すように、チョクラルスキー法による単結晶製造においては、石英ルツボ30内に収容されたシリコン融液31に種結晶32を着液させ、石英ルツボ30を回転させるとともに、この種結晶32を反対方向に回転させながら上方へ引上げることによって、種結晶32の下端にシリコン単結晶33を育成する。
このとき、石英ルツボ30は、シリコン単結晶33の引上げに伴い、その周囲を取り囲むように配設されたヒータ34やシリコン融液31の熱によって軟化する。このため、石英ルツボ30は、カーボンルツボ35に嵌め込んで保持する。
そして、単結晶引上げ終了後、石英ルツボ30及びカーボンルツボ35は冷却されるが、このとき、両者が密着した状態であると、カーボンルツボ35は熱膨張係数が石英ルツボ30よりも大きいため、カーボンルツボ35にひびが生じ、さらには、割れや破損を生じるおそれがあった。
そして、単結晶引上げ終了後、石英ルツボ30及びカーボンルツボ35は冷却されるが、このとき、両者が密着した状態であると、カーボンルツボ35は熱膨張係数が石英ルツボ30よりも大きいため、カーボンルツボ35にひびが生じ、さらには、割れや破損を生じるおそれがあった。
このため、従来のカーボンルツボよりも強度特性に優れたものとして、近年、炭素繊維強化炭素複合材からなるルツボが提案されている。炭素繊維強化炭素複合材は、熱膨張係数が石英ガラスに近く、また、機械的強度がカーボン材よりも高いため、このような材質からなるカーボンルツボを用いれば、シリコン単結晶引上げ終了後の冷却時のルツボの割れの発生を抑制することができる。
上記のような炭素繊維強化炭素複合材ルツボとしては、例えば、特許文献1に、内側が炭素繊維クロス又はフェルトの積層体を用いた炭素繊維強化炭素材、外側がフィラメントワインディング法により成形された炭素繊維強化炭素材である2層構成のルツボが開示されている。
しかしながら、上記のような炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、単結晶引上げ時に石英ルツボから生じるSiOガスによって炭素繊維強化炭素材がケイ化されて消耗しやすく、十分な強度を長時間維持することが困難であった。
しかしながら、上記のような炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、単結晶引上げ時に石英ルツボから生じるSiOガスによって炭素繊維強化炭素材がケイ化されて消耗しやすく、十分な強度を長時間維持することが困難であった。
これに対しては、上記のような炭素繊維強化炭素材のケイ化を抑制する方法として、炭素繊維強化炭素材よりも柔軟性や圧縮性に優れた材料として膨張黒鉛シートを用い、これを石英ルツボとカーボンルツボとの間に挟むことが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
しかしながら、上記特許文献2に記載されたような方法では、ルツボのサイズが大きくなるほど、膨張黒鉛シートの必要面積が多くなり、カーボンルツボと石英ルツボとの間に膨張黒鉛シートを挟む作業工程での手間及びコストが増大する。
また、膨張黒鉛シートは、比較的脆く、発塵しやすいものであり、ケイ化することによりさらに脆くなり、発塵性が増大するという課題を有していた。
また、膨張黒鉛シートは、比較的脆く、発塵しやすいものであり、ケイ化することによりさらに脆くなり、発塵性が増大するという課題を有していた。
したがって、割れや破損を生じることなく、内側に装入された石英ルツボを安定的に保持することができ、かつ、石英ルツボから生じるSiOガスによるケイ化反応を抑制することができ、耐久性に優れたカーボンルツボが求められている。
本発明は、上記技術的課題を解決するためになされたものであり、シリコン単結晶引上げに用いられる石英ルツボを内側に装入して保持するカーボンルツボであって、強度特性に優れ、かつ、耐久性を向上させた炭素繊維強化炭素複合材ルツボを提供することを目的とするものである。
本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、周縁部に湾曲部を有する底部と、前記湾曲部から上方に延びる直胴部とを有する炭素繊維強化炭素複合材ルツボであって、少なくとも前記湾曲部において、ルツボ最内層及び最外層が炭素繊維織物の積層体からなり、これらの積層体の間に少なくとも1層の膨張黒鉛シートが挟み込まれていることを特徴とする。
炭素繊維織物の積層体の間に膨張黒鉛シートを中間層として挟み込むことにより、石英ルツボから生じるSiOガスによるケイ化反応が抑制され、また、熱膨張起因によるカーボンルツボに生じる応力が緩和され、変形や割れを抑制することができ、カーボンルツボの耐久性の向上も図られる。
炭素繊維織物の積層体の間に膨張黒鉛シートを中間層として挟み込むことにより、石英ルツボから生じるSiOガスによるケイ化反応が抑制され、また、熱膨張起因によるカーボンルツボに生じる応力が緩和され、変形や割れを抑制することができ、カーボンルツボの耐久性の向上も図られる。
前記炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、ルツボ最内層及び最外層の炭素繊維織物の積層体の間に、膨張黒鉛シートと炭素繊維織物の積層体とが交互に積層されていることが好ましい。
このように、膨張黒鉛シートを複数層挟み込んで積層させることにより、炭素繊維強化炭素複合材ルツボの強度特性及び耐久性をより向上させることができる。
このように、膨張黒鉛シートを複数層挟み込んで積層させることにより、炭素繊維強化炭素複合材ルツボの強度特性及び耐久性をより向上させることができる。
また、前記炭素繊維強化炭素複合材ルツボにおいては、膨張黒鉛シートの1層の厚さが0.2〜1.5mmであることが好ましい。
膨張黒鉛シートが上記範囲内の厚さであれば、各層間で剥離することなく、SiOガスの遮蔽効果等を十分に発揮することができる。
膨張黒鉛シートが上記範囲内の厚さであれば、各層間で剥離することなく、SiOガスの遮蔽効果等を十分に発揮することができる。
さらに、前記ルツボ最内層の炭素繊維織物の積層体は、少なくとも1層の炭素繊維織物のシートからなり、前記積層体の厚さが0.4〜2.0mmであることが好ましい。
ルツボ最内層の炭素繊維織物の積層体が上記範囲内の厚さであれば、中間層の膨張黒鉛シートによる上述したような効果が減殺されることなく、発塵防止効果が得られる。
ルツボ最内層の炭素繊維織物の積層体が上記範囲内の厚さであれば、中間層の膨張黒鉛シートによる上述したような効果が減殺されることなく、発塵防止効果が得られる。
また、前記膨張黒鉛シートは、ルツボ壁の全体の厚さの1/2よりも内層側に設けられていることが好ましい。
膨張黒鉛シートがこのような位置に設けられていることにより、石英ルツボから生じるSiOガスの遮蔽効果が十分に得られ、カーボンルツボの強度の向上が図られる。
膨張黒鉛シートがこのような位置に設けられていることにより、石英ルツボから生じるSiOガスの遮蔽効果が十分に得られ、カーボンルツボの強度の向上が図られる。
本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボを用いれば、シリコン単結晶引上げに用いられる石英ルツボを内側に装入して保持する際に、割れや破損を生じることなく、内側に装入された石英ルツボを安定的に保持することができ、かつ、シリコン単結晶引上げ時に石英ルツボから生じるSiOガスによるケイ化反応を抑制することができる。
したがって、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボによれば、カーボンルツボの強度特性及び耐久性の向上を図ることができ、ひいては、シリコン単結晶引上げの歩留向上に寄与し得る。
したがって、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボによれば、カーボンルツボの強度特性及び耐久性の向上を図ることができ、ひいては、シリコン単結晶引上げの歩留向上に寄与し得る。
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。
図1に、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボのルツボ壁の構成の一例を示す。
図1に示す炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、周縁部に湾曲部1を有する底部2と、湾曲部1から上方に延びる直胴部3とを有する炭素繊維強化炭素複合材ルツボである。なお、図1は、このようなルツボの部分断面図である。
この炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、その内部に、半導体や太陽電池等の材料であるシリコン単結晶の製造に用いられるシリコン融液を収容する石英ルツボを装入し、石英ルツボを保持するために用いられる。
図1に、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボのルツボ壁の構成の一例を示す。
図1に示す炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、周縁部に湾曲部1を有する底部2と、湾曲部1から上方に延びる直胴部3とを有する炭素繊維強化炭素複合材ルツボである。なお、図1は、このようなルツボの部分断面図である。
この炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、その内部に、半導体や太陽電池等の材料であるシリコン単結晶の製造に用いられるシリコン融液を収容する石英ルツボを装入し、石英ルツボを保持するために用いられる。
そして、図1に示す炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、ルツボ最内層及び最外層が炭素繊維織物の積層体11,12からなり、これらの積層体11,12の間に膨張黒鉛シート21が挟み込まれている。
このように、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボにおけるルツボ壁の炭素繊維織物の積層体と膨張黒鉛シートとの積層構造は、膨張黒鉛シートが少なくとも1層挟み込まれているような構成とする。
このように、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボにおけるルツボ壁の炭素繊維織物の積層体と膨張黒鉛シートとの積層構造は、膨張黒鉛シートが少なくとも1層挟み込まれているような構成とする。
炭素繊維織物の積層体は、熱膨張係数が非常に小さいが、ケイ化された部分は、熱膨張係数が3〜6倍になるため、この熱膨張係数差によって炭素繊維強化炭素複合材ルツボ全体が脆くなり、割れを生じやすくなる。
これに対して、膨張黒鉛シートは、柔軟性、弾力性に富み、形状加工性に優れているカーボン材である。その上、ガス透過性が小さい、すなわち、ガス遮蔽性に優れている。
このため、炭素繊維織物の積層体の間に膨張黒鉛シートを中間層として挟み込むことにより、単結晶引上げ時に石英ルツボから生じるSiOガスの透過が遮蔽され、外層の炭素繊維織物の積層体のケイ化を抑制することができるとともに、膨張黒鉛シートの柔軟性、弾力性によって、熱膨張起因によるカーボンルツボに生じる応力が緩和され、変形や割れを抑制することができる。
これに対して、膨張黒鉛シートは、柔軟性、弾力性に富み、形状加工性に優れているカーボン材である。その上、ガス透過性が小さい、すなわち、ガス遮蔽性に優れている。
このため、炭素繊維織物の積層体の間に膨張黒鉛シートを中間層として挟み込むことにより、単結晶引上げ時に石英ルツボから生じるSiOガスの透過が遮蔽され、外層の炭素繊維織物の積層体のケイ化を抑制することができるとともに、膨張黒鉛シートの柔軟性、弾力性によって、熱膨張起因によるカーボンルツボに生じる応力が緩和され、変形や割れを抑制することができる。
また、膨張黒鉛シートは、比較的脆いが、炭素繊維織物の積層体の間に挟み込むことによって補強され、また、弾力性を有していることによって、応力の集中等により該炭素繊維強化炭素複合材ルツボに割れや破損が生じることが抑制され、強度の向上が図られる。
さらに、膨張黒鉛シートの弾力性によって、該炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、単結晶引上げ時においては、収容する高温のシリコン融液によって軟化した状態にある石英ルツボとの高い密着性が得られ、石英ルツボを安定して保持することができる。
さらに、膨張黒鉛シートの弾力性によって、該炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、単結晶引上げ時においては、収容する高温のシリコン融液によって軟化した状態にある石英ルツボとの高い密着性が得られ、石英ルツボを安定して保持することができる。
また、従来のカーボンルツボにおいては、単結晶引上げ終了後の冷却時には、軟化した石英ルツボがカーボンルツボの形状に沿って変形した状態であるため、カーボンルツボ内から石英ルツボを取り外すことが困難であり、石英ルツボを破壊して取り出さなければならなかった。その際、カーボンルツボも傷や衝撃を受け、割れや破損を生じることがあった。
これに対して、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、単結晶引上げ終了後の冷却時には、高温時にルツボ内側に向かって膨張していた膨張黒鉛シートが徐々に収縮し、石英ルツボとの間に適度な隙間が生じるため、石英ルツボを破壊することなく取り外すことができる。したがって、単結晶引上げにおける作業性の向上のみならず、カーボンルツボの長寿命化も図られる。
これに対して、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、単結晶引上げ終了後の冷却時には、高温時にルツボ内側に向かって膨張していた膨張黒鉛シートが徐々に収縮し、石英ルツボとの間に適度な隙間が生じるため、石英ルツボを破壊することなく取り外すことができる。したがって、単結晶引上げにおける作業性の向上のみならず、カーボンルツボの長寿命化も図られる。
前記炭素繊維強化炭素複合材ルツボにおいては、ルツボ最内層及び最外層は炭素繊維織物の積層体により構成され、膨張黒鉛シートはこれらの積層体の間に挟み込まれるように設けられる。
ルツボ最内層又は最外層に膨張黒鉛シートを設けた場合、比較的脆い膨張黒鉛シートからの発塵が生じやすくなり、また、割れや破損を防止する効果が十分に得られない。
また、上記のように膨張黒鉛シートを中間層とした方が、膨張黒鉛シートの使用量を低減することができ、かつ、該炭素繊維強化炭素複合材ルツボ全体の重量増加を抑制することができる。
ルツボ最内層又は最外層に膨張黒鉛シートを設けた場合、比較的脆い膨張黒鉛シートからの発塵が生じやすくなり、また、割れや破損を防止する効果が十分に得られない。
また、上記のように膨張黒鉛シートを中間層とした方が、膨張黒鉛シートの使用量を低減することができ、かつ、該炭素繊維強化炭素複合材ルツボ全体の重量増加を抑制することができる。
図2に、本発明に係る炭素繊維強化炭素複合材ルツボのルツボ壁の構成の他の例を示す。図2に示す炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、図1に示すルツボと同様に、ルツボ最内層及び最外層が炭素繊維織物の積層体11,12からなり、これらの積層体11,12の間に膨張黒鉛シート21,22,23と炭素繊維織物の積層体13,14とが交互に積層されている。
炭素繊維織物の積層体の間に挟み込まれる膨張黒鉛シートは、1層でもよいが、炭素繊維強化炭素複合材ルツボの強度特性及び耐久性をより向上させるためには、図2に示すように、複数層が炭素繊維織物の積層体と交互に積層されていることが好ましい。
膨張黒鉛シートが複数層設けられている方が、石英ルツボから生じるSiOガスの遮蔽性が高まり、炭素繊維織物の積層体のケイ化や酸化による消耗をより効果的に抑制することができる。
また、膨張黒鉛シートと炭素繊維織物の積層体とは、一般に、カーボンペースト等の接着剤によって接合して積層させるが、交互に複数層積層されている方が、熱膨張時における応力緩和効果が高まり、層間での剥離が生じにくくなるという利点を有している。
膨張黒鉛シートが複数層設けられている方が、石英ルツボから生じるSiOガスの遮蔽性が高まり、炭素繊維織物の積層体のケイ化や酸化による消耗をより効果的に抑制することができる。
また、膨張黒鉛シートと炭素繊維織物の積層体とは、一般に、カーボンペースト等の接着剤によって接合して積層させるが、交互に複数層積層されている方が、熱膨張時における応力緩和効果が高まり、層間での剥離が生じにくくなるという利点を有している。
また、前記炭素繊維強化炭素複合材ルツボは、周縁部に湾曲部を有する底部と、前記湾曲部から上方に延びる直胴部を有する形状であり、少なくとも前記湾曲部のルツボ壁において、上記のような層構成とする。
ルツボは、前記湾曲部が熱膨張及び収縮による応力が最も集中しやすい部分であるため、この部分のルツボ壁を上記のような層構成とすれば、炭素繊維強化炭素複合材ルツボの強度特性及び耐久性の向上の効果が得られる。
もちろん、直胴部においても同様の層構成としてもよく、さらに、ルツボ全体において上記と同様の層構成としてもよい。
ルツボは、前記湾曲部が熱膨張及び収縮による応力が最も集中しやすい部分であるため、この部分のルツボ壁を上記のような層構成とすれば、炭素繊維強化炭素複合材ルツボの強度特性及び耐久性の向上の効果が得られる。
もちろん、直胴部においても同様の層構成としてもよく、さらに、ルツボ全体において上記と同様の層構成としてもよい。
前記膨張黒鉛シートの1層の厚さは0.2〜1.5mmであることが好ましい。
前記厚さが0.2mm未満の場合、薄すぎて、石英ルツボから生じるSiOガスを遮蔽する効果が十分に得られない。
一方、前記厚さが1.5mmを超える場合、中間層の膨張黒鉛シートと接する層間において剥離しやすくなる。
したがって、ルツボのサイズや使用態様によって、SiOガスの遮蔽効果や強度をより高めるために、膨張黒鉛シートの総厚を厚くしたい場合には、上述したように、薄い膨張黒鉛シート複数層を炭素繊維織物の積層体と交互に積層させる構成とすればよい。
前記厚さが0.2mm未満の場合、薄すぎて、石英ルツボから生じるSiOガスを遮蔽する効果が十分に得られない。
一方、前記厚さが1.5mmを超える場合、中間層の膨張黒鉛シートと接する層間において剥離しやすくなる。
したがって、ルツボのサイズや使用態様によって、SiOガスの遮蔽効果や強度をより高めるために、膨張黒鉛シートの総厚を厚くしたい場合には、上述したように、薄い膨張黒鉛シート複数層を炭素繊維織物の積層体と交互に積層させる構成とすればよい。
また、前記ルツボ最内層の炭素繊維織物の積層体は、少なくとも1層の炭素繊維織物のシートからなり、前記積層体の厚さは0.4〜2.0mmであることが好ましい。
前記厚さが0.4mm未満の場合、薄すぎて、比較的脆い膨張黒鉛シートがルツボ内表面に露出しやすくなり、発塵のおそれがある。
一方、前記厚さが2.0mmを超える場合、膨張黒鉛シートによるSiOガスの遮蔽効果による耐久性の向上や強度向上の効果が十分に得られない。
前記厚さが0.4mm未満の場合、薄すぎて、比較的脆い膨張黒鉛シートがルツボ内表面に露出しやすくなり、発塵のおそれがある。
一方、前記厚さが2.0mmを超える場合、膨張黒鉛シートによるSiOガスの遮蔽効果による耐久性の向上や強度向上の効果が十分に得られない。
また、図1,2に示すように、前記膨張黒鉛シートは、ルツボ壁の全体の厚さtの1/2よりも内層側に設けられていることが好ましい。
ルツボ内表面から厚さ方向にt/2までの範囲内に膨張黒鉛シートが設けられていないと、石英ルツボから生じるSiOガスの遮蔽が十分になされず、内層側の炭素繊維織物の積層体がケイ化したり、酸化したりして、強度不十分となるおそれがある。
また、図2に示すような中間層の膨張黒鉛シートが複数層である場合は、これらの膨張黒鉛シートがルツボ内表面から厚さ方向にt/2までの範囲内に設けられていることにより、ルツボ壁の厚さ方向での収縮量が大きくなるため、単結晶引上げ終了後、石英ルツボを容易に取り外しやすくなる。
ルツボ内表面から厚さ方向にt/2までの範囲内に膨張黒鉛シートが設けられていないと、石英ルツボから生じるSiOガスの遮蔽が十分になされず、内層側の炭素繊維織物の積層体がケイ化したり、酸化したりして、強度不十分となるおそれがある。
また、図2に示すような中間層の膨張黒鉛シートが複数層である場合は、これらの膨張黒鉛シートがルツボ内表面から厚さ方向にt/2までの範囲内に設けられていることにより、ルツボ壁の厚さ方向での収縮量が大きくなるため、単結晶引上げ終了後、石英ルツボを容易に取り外しやすくなる。
上記のような炭素繊維強化炭素複合材ルツボの製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、ルツボ成形用金型に最内層の炭素繊維織物の積層体を巻き付けるようにして成形し、その外周面に所定の厚さの膨張黒鉛シート及び炭素繊維織物の積層体を積層していくことにより成形することができる。
図3に、このような成形方法において用いられる膨張黒鉛シート又は炭素繊維織物の形状の一例(a)及びこれを巻き付ける工程の概略(b)を示す。
図3(a)に示す膨張黒鉛シート又は炭素繊維織物は、地球儀を形成するとの同様の要領で、ルツボ湾曲部となる部分に切り込みを入れて展開した状態の平面状の1枚のシートである。そして、図3(b)に示すように、前記シートの切れ目を突き合わせることにより、ルツボ形状とすることができる。
図3に、このような成形方法において用いられる膨張黒鉛シート又は炭素繊維織物の形状の一例(a)及びこれを巻き付ける工程の概略(b)を示す。
図3(a)に示す膨張黒鉛シート又は炭素繊維織物は、地球儀を形成するとの同様の要領で、ルツボ湾曲部となる部分に切り込みを入れて展開した状態の平面状の1枚のシートである。そして、図3(b)に示すように、前記シートの切れ目を突き合わせることにより、ルツボ形状とすることができる。
ルツボの成形に用いられる膨張黒鉛シート又は炭素繊維織物のシートは、図3に示した形状に限られず、複数枚に分割したものを重ね合わせるようにして成形してもよい。また、ルツボ形状に予め立体成形したものを積層するようにしてもよい。
膨張黒鉛シート及び炭素繊維織物の各層間の接合には、熱硬化性樹脂とカーボン粉との混合物からなるカーボンペースト等の接着剤が用いられる。このような接着剤を用いて接合することにより、炭素繊維織物のシート同士、膨張黒鉛シートと炭素繊維織物の積層体との接合面、あるいはまた、切れ目や重ね合わせ部分における密着性を高めることができる。
なお、ガス遮蔽性を高めることや各層の剥離防止等の観点から、シートの切れ目や重ね合わせ部分は、該シートと接する層(シート)における切れ目や重ね合わせ部分と同じ位置にならないように、ずらして積層させることが好ましい。
膨張黒鉛シート及び炭素繊維織物の各層間の接合には、熱硬化性樹脂とカーボン粉との混合物からなるカーボンペースト等の接着剤が用いられる。このような接着剤を用いて接合することにより、炭素繊維織物のシート同士、膨張黒鉛シートと炭素繊維織物の積層体との接合面、あるいはまた、切れ目や重ね合わせ部分における密着性を高めることができる。
なお、ガス遮蔽性を高めることや各層の剥離防止等の観点から、シートの切れ目や重ね合わせ部分は、該シートと接する層(シート)における切れ目や重ね合わせ部分と同じ位置にならないように、ずらして積層させることが好ましい。
上記のようにして得られたルツボの成形体は、その後、熱処理することにより、炭素繊維強化炭素複合材ルツボが得られる。具体的な熱処理方法の一例としては、まず、100〜300℃で熱硬化処理を行った後、不活性ガス雰囲気下、約1000℃で炭素化処理を行う。次いで、フェノール樹脂やタールピッチ等を含浸させた後、1000℃で焼成後、2000℃以上の温度で二次焼成あるいは黒鉛化処理を行う。また、必要に応じて高純度処理を行う。このような工程による熱処理を経ることにより、炭素繊維強化炭素複合材ルツボを製造することができる。
1 湾曲部
2 底部
3 直胴部
10 膨張黒鉛シート又は炭素繊維織物のシート
11,12,13,14 炭素繊維織物の積層体
21,22,23 膨張黒鉛シート
30 石英ルツボ
31 シリコン融液
32 種結晶
33 シリコン単結晶
34 ヒータ
35 カーボンルツボ
2 底部
3 直胴部
10 膨張黒鉛シート又は炭素繊維織物のシート
11,12,13,14 炭素繊維織物の積層体
21,22,23 膨張黒鉛シート
30 石英ルツボ
31 シリコン融液
32 種結晶
33 シリコン単結晶
34 ヒータ
35 カーボンルツボ
Claims (5)
- 周縁部に湾曲部を有する底部と、前記湾曲部から上方に延びる直胴部とを有する炭素繊維強化炭素複合材ルツボであって、
少なくとも前記湾曲部において、ルツボ最内層及び最外層が炭素繊維織物の積層体からなり、これらの積層体の間に少なくとも1層の膨張黒鉛シートが挟み込まれていることを特徴とする炭素繊維強化炭素複合材ルツボ。 - 前記ルツボ最内層及び最外層の炭素繊維織物の積層体の間に、膨張黒鉛シートと炭素繊維織物の積層体とが交互に積層されていることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合材ルツボ。
- 前記膨張黒鉛シートの1層の厚さが0.2〜1.5mmであることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維強化炭素複合材ルツボ。
- 前記ルツボ最内層の炭素繊維織物の積層体は、少なくとも1層の炭素繊維織物のシートからなり、前記積層体の厚さが0.4〜2.0mmであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の炭素繊維強化炭素複合材ルツボ。
- 前記膨張黒鉛シートは、最も内側のシートがルツボ壁の全体の厚さの1/2よりも内層側に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の炭素繊維強化炭素複合材ルツボ。
Priority Applications (1)
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JP2011078685A JP2012211062A (ja) | 2011-03-31 | 2011-03-31 | 炭素繊維強化炭素複合材ルツボ |
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---|---|---|---|---|
CN105088340A (zh) * | 2015-09-06 | 2015-11-25 | 江苏协鑫硅材料科技发展有限公司 | 一种坩埚及其制备方法 |
JP2016003812A (ja) * | 2014-06-17 | 2016-01-12 | 明智セラミックス株式会社 | 黒鉛坩堝 |
CN106517178A (zh) * | 2016-11-15 | 2017-03-22 | 黑龙江省科学院高技术研究院 | 一种交联状碳纤维包覆膨胀石墨复合材料的制备方法 |
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2011
- 2011-03-31 JP JP2011078685A patent/JP2012211062A/ja not_active Withdrawn
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