以下、本発明を実施するための一形態である収穫機1について図面を参照しつつ説明する。収穫機1は、走行装置2、及び、走行装置2の後部に装着される収穫装置3を備えている。図1においては、走行装置2を二点鎖線の仮想線で、収穫装置3を実線で示している。走行装置2は、四輪式のいわゆる農業用トラクターであり、車体21、前輪22、後輪23、運転席24、操舵部(ハンドル)25等を備えている。なお、以下において、前後左右上下の各方向は、運転席24に着座した運転者から見た方向を基準とする。車体21は、前輪22が設けられた車体前部21aと後輪23が設けられた車体後部21bとを有している。前輪22及び後輪23は、本発明の接地部に対応する。車体前部21aは、前後方向に長尺な箱型の概略形状を有し、車体後部21bの下部においてその前端から前方に向かって突出している。車体前部21a内にはエンジンが収容されている。エンジンが発生させる駆動力の一部は、車体21の下部又は下方に配置された伝達機構により後輪23へと伝達される。これにより、後輪23が駆動されることで、走行装置2が前後方向に走行する。
エンジンが発生させる駆動力の他の一部は、車体21の下部又は下方に配置された油圧式伝達機構により車体21の後方に伝達される。油圧式伝達機構は、内部に作動油が充てんされたチューブなどの管を有し、この管内の作動油に圧力を伝達させることでエンジンとは別の場所に駆動力を伝達する。この駆動力は、後述の通り、装着機構25を駆動させるのに利用される。エンジンが発生させる駆動力のさらに他の一部は、後述のPTO軸29に伝達される。PTO軸29には、後輪23への伝達機構や油圧式伝達機構とは別に駆動力が伝達される。
車体後部21bは、上下方向に長尺な箱型の概略形状を有し、その内部且つ上部には運転席24が収容されている。車体後部21bの外壁は、運転席24の周囲に当たる部分がガラス等の透明な素材で構成されている。これにより、運転席24に着座した運転者が車体21の外部を見ながら運転できる。運転席24の周辺には、操舵部41の他、アクセル、シフトチェンジ用の操作部などの操縦装置が設けられている。これにより運転者は、アクセルなどを操作することでエンジンを制御しつつ駆動する。また、シフトチェンジによりエンジンの駆動力を後輪23に伝達する伝達機構のギヤ比を変更したり、前進と後進を切り替えたりする。なお、走行装置2が四輪駆動であってもよい。つまり、前輪22にも駆動力が伝達されてもよい。さらに、運転者は、操舵部41の操作により走行装置2を操舵する。操舵部41の操作は、車体前部21aに設けられた伝達機構42により前輪22に伝達される。操舵部41の操作に応じて前輪22が方向を変えることにより、走行装置2が前進や後進しつつ左右方向に旋回する。また、運転席24の周辺には、後述の装着機構25を操作する操作部も設けられている。
車体後部21bの後端且つ下部には、図2に示すように、収穫装置3が装着される装着機構25が設けられている。装着機構25はリンクアーム25a〜25cを有している。リンクアーム25a〜25cは、後述する収穫装置3側のリンク部31〜33とそれぞれ対応している。なお、図2にはリンクアーム25a及び25cのみが図示されている。リンクアーム25b及びその駆動機構は、リンクアーム25cと左右対称に構成されている。以下においては、主にリンクアーム25cについてのみ説明する。リンクアーム25a〜25cは、車体後部21bの下部に設けられた下部フレーム26に支持されている。なお、下部フレーム26は、後輪23の車軸23xも支持している。
リンクアーム25aは前後方向に長尺なアーム部材であり、その前端は下部フレーム26に、支持部26aを中心としてR1方向に回転可能に支持されている。リンクアーム25aは、油圧シリンダ25sと、油圧シリンダ25s内のシリンダロッドに連結された後部アーム25tとを有している。油圧シリンダ25sは、油圧式駆動機構を通じてエンジンから伝達された駆動力により、後部アーム25tをQ1方向に往復移動させる。この動作は、運転席24の周辺に設けられた操作部を介して操作可能である。リンクアーム25aの後端部には左右方向に貫通する貫通孔25xが形成されている。
リンクアーム25cは前後方向に長尺なアーム状の部材であり、後端部には上方に開口した切り欠き25zが形成されている。なお、リンクアーム25bの後端には、切り欠き25zと同様の切り欠き25yが形成されている。リンクアーム25cの前端部は下部フレーム26に設けられた支持部26bに、R2方向に回転可能に支持されている。リンクアーム25cは、油圧駆動アーム28と接続されている。
油圧駆動アーム28は、油圧シリンダ28sと、油圧シリンダ28sに下方から上端部が挿入されたロッド28tとを有している。ロッド28tの下端部は、支持部28aを中心としてR3方向に回転可能にリンクアーム25cに支持されている。油圧シリンダ28sの上端部は、支持部27aを中心としてR4方向に回転可能に支持アーム27に支持されている。支持アーム27は下部フレーム26に固定されている。油圧シリンダ28sは、油圧式駆動機構を通じてエンジンから伝達された駆動力により、ロッド28tをQ2方向に往復移動させる。これによってリンクアーム25cが、支持部26bを中心にR2方向に回転する。油圧シリンダ28sによるロッド28tの移動は、運転席24の周辺に設けられた操作部を介して操作可能である。
下部フレーム26の後端からは、後方に向けてPTO軸29が突出している。PTO軸29は、上述の通り、エンジンからの駆動力が伝達され、これによって回転駆動される。
次に、装着機構25を介して走行装置2に装着される収穫装置3について説明する。収穫装置3は、図1に示すように、油圧によって各部に駆動力を供給する収穫側駆動源30(支持体)、圃場の作物を収穫する収穫部100、収穫された作物を搬送する搬送部200(第1搬送部)、及び、搬送された作物を収容する収容部300を有している。本実施形態では、収穫部100、搬送部200及び収容部300は、いずれも収穫側駆動源30に支持されている。収穫側駆動源30は、左右方向に長尺な箱型の概略形状を有している。その前面には、走行装置2側のPTO軸29に接続されるPTO軸34が設けられている。収穫側駆動源30内には、PTO軸29からPTO軸34を介して伝達された駆動力を油圧によって供給する作動油供給ユニットが設けられている。以下において説明する油圧シリンダや油圧モータは、作動油が充てんされたチューブなどの管を介して作動油供給ユニットと接続される。収穫側駆動源30は、作動油供給ユニットと油圧シリンダや油圧モータとの間で作動油を流通させることによってこれらに駆動力を供給する。
収穫側駆動源30の前面には、さらに、走行装置2への装着部を構成するリンク部31〜33が設けられている。リンク部31には、図2に示すように、これを左右方向に貫通する貫通孔31xが形成されている。この貫通孔31xを、走行装置2側のリンクアーム25aに形成された貫通孔25xと重ね合わせた上で、これらの貫通孔にシャフトを通すことで、リンク部31と走行装置2側のリンクアーム25aとを連結させる。リンク部32及び33には、下方に開口した切り欠き32y及び33zがそれぞれ形成されている。なお、図2にはリンク部33と切り欠き33zのみが図示されているが、切り欠き32yの構成も同様である。切り欠き32y及び33zをリンクアーム25b及び25cの切り欠き25y及び25zに重ね合わせた上で、これらの切り欠きに図1のA1の軸に沿って1本の棒状部材を通し、棒状部材をボルトやナット等の固定部材で適宜リンク部32及び33に固定することで、リンク部32及び33とリンクアーム25b及び25cとを連結させる。
リンク部31〜33がリンクアーム25a〜25cに連結された状態で油圧シリンダ25sや油圧シリンダ28s等を駆動することで、収穫側駆動源30が昇降する。これにより、収穫側駆動源30は、地面から離隔した状態(図2のP1に示す状態)と地面に接地した状態(図2のP2に示す状態)とを選択的に取ることができる。なお、図2では収穫側駆動源30が鉛直方向に昇降する場合が示されているが、リンクアーム25a〜25cの前端の支持部を中心に回転移動するように昇降してもよい。
収穫側駆動源30の背面下部には、後方に向かって突出する2本のフォーク35(容器支持部)が固定されている。2本のフォーク35は、互いに同じ高さに左右方向に離隔して配置されている。
収容部300は、図1〜図3に示すように、左右方向に長尺な直方体の概略形状を有するコンテナ301を有している。コンテナ301は、左右方向に長尺な、上方に開口した箱型の概略形状を有している。その内部には、上方の開口から作物が収容される収容空間301aが形成されている。コンテナ301の前面を構成する外壁の上部は開口しており、これによって開口301bが形成されている。このように、コンテナ301は前面の外壁のみが他の外壁より低く形成されている。しかし、前面、背面、右側面及び左側面のすべてがコンテナ301の前面の外壁と同じように低く形成されていてもよい(つまり、いわゆるハーフコンテナが用いられてもよい)。収容空間301aの底面よりさらに下部には、フォーク35が挿入される挿入部301cが設けられている。挿入部301cは、コンテナ301の前面に開口している。この開口は本発明の挿入口に対応する。
例えば、コンテナ301が地面に置かれているとする。このとき、フォーク35が挿入部301cと同じ高さに配置された状態で走行装置2が前後方向に走行すると、図3に示すように、フォーク35が挿入部301cに抜き差しされる。図3の実線は、フォーク35が挿入部301cから抜き出された状態を示す。二点鎖線は、フォーク35が挿入部301cに挿入された状態の収穫側駆動源30及びフォーク35を示す。フォーク35が挿入部301cに挿入された状態(図2のP2の状態)で走行装置2の装着機構25が収穫側駆動源30を上昇させると、コンテナ301がフォーク35に支持された状態となる(図2のP1の状態)。
次に、収穫部100について、図1及び図4〜図7を参照しつつ説明する。収穫部100は、図1に示すように、収穫装置3全体の右側部分に相当する。収穫部100は、固定部102を介して収穫側駆動源30に固定された下部フレーム101を有している。下部フレーム101は、その全体が収穫側駆動源30の底面より上方に位置するように収穫側駆動源30に固定されている。下部フレーム101は、前後方向に走行装置2の車体後部21bの前部付近からフォーク35の後端付近まで延びている。下部フレーム101の前端部にはホイール支持アーム103が支持されている。ホイール支持アーム103は前後方向に延びており、その後端部が下部フレーム101に、支持部101aを中心としてR5方向に回転可能に支持されている(図4参照)。ホイール支持アーム103の前端部には、ゲージホイール104が、軸103aを中心に回転可能に支持されている。
下部フレーム101は、シリンダ支持アーム112を介して油圧シリンダ105の後端部を支持している。シリンダ支持アーム112は、支持部101aより若干後方において下部フレーム101に固定され、下部フレーム101から上方に向かって延びている。油圧シリンダ105は、シリンダ支持アーム112の上端部に設けられた支持部101bを中心として、R6方向に回転可能にシリンダ支持アーム112に支持されている(図4参照)。油圧シリンダ105の前端からはロッド106が前方に突出している。ホイール支持アーム103の支持部101aより若干前方には、このロッド106を支持する支持部103bが設けられている。ロッド106の前端部は、支持部103bを中心としてR7方向に回転可能に下部フレーム101に支持されている(図4参照)。油圧シリンダ105は、Q3方向に沿って出入りするようにロッド106を駆動する。ロッド106がQ3方向に沿って移動すると、ホイール支持アーム103が支持部101aを中心にR5方向に回転する。
収穫側駆動源30は、油圧シリンダ105との間で作動油の流通が自由になされる状態と、油圧シリンダ105との間で作動油の流通を停止させる状態とを選択的に取ることができる。前者の状態では、ホイール支持アーム103が動作するのに応じてロッド106がQ3方向に自由に出入りする。後者の状態では、ロッド106がQ3方向に関して所定の突出位置で保持される。
ホイール支持アーム103には左右方向に走行装置2に向かって突出するカッター支持アーム107が固定されている。カッター支持アーム107には、回転軸107aが回転可能に支持されており、回転軸107aにはカッター108(作物分離部)が固定されている。回転軸107aは、油圧モータによって回転駆動される。カッター108は、圃場に生える作物αを切断し、果実体βが付いた上部α1(被収穫部分)と下部α2に分離する(図4参照)。カッター108は、図4に示すように前後方向に関して運転席24より前方に配置されている。このため、運転者は、カッター108によって作物αが切断される状況を観察しながら走行装置2を運転操作することができる。
ホイール支持アーム103は、支持部103bより前方において固定アーム109の下端部に固定されている。固定アーム109の上端部は、固定部109aにおいて固定アーム110の下端部に固定されている。固定アーム110の上端部はU字フレーム111に固定されている。U字フレーム111については後述する。固定アーム109及び110は、固定アーム109の下端部がホイール支持アーム103を下方へと押圧するようにU字フレームに固定されている。したがって、収穫側駆動源30と油圧シリンダ105との間の作動油の流通が自由になされる状態では、ホイール支持アーム103は、支持部101aを中心に下方へと回転し、ホイール104を地面に押し付けた状態で保持される。
作物の収穫中には、収穫側駆動源30と油圧シリンダ105との間の作動油の流通が自由になされる状態とされる。これにより、ロッド106がQ3方向に自由に出入りするため、圃場の地面に多少の凹凸がある場合にも、ホイール104が地面の形状に追随して上下するように、ホイール支持アーム103が支持部101aを中心にR5方向に回転する。よって、ホイール104と地面との接地が確保される。一方、収穫中以外の際に収穫機1が移動する場合には、固定アーム109の押圧力に抗してホイール104を地面から離隔させた状態で収穫側駆動源30と油圧シリンダ105との間の作動油の流通が停止される。これにより、ホイール104を地面から離隔させたまま、収穫機1を移動させることができる。
収穫部100は、さらに、切断作物搬送部120(第2搬送部)、作物引き込み部140及び果実分離部150を有している。これらの各構成要素はいずれも、下部フレーム101の底面より上方に位置するように、下部フレーム101に支持されている。したがって、ホイール104及びホイール支持アーム103を除く収穫部100のいずれの構成要素も、下部フレーム101より下方に配置されることがない。切断作物搬送部120は、カッター108によって分離された作物上部α1を後方に搬送する。作物引き込み部140は、切断作物搬送部120の前部よりさらに前方に突出するように配置され、圃場に生えた作物を切断作物搬送部120の前端部へと引き込むように誘導する。果実分離部150は、切断作物搬送部120が搬送する作物上部α1から果実体βを分離する。以下、これらの各構成要素についてより詳細に説明する。
切断作物搬送部120は、図1、図4〜図7に示すように、前後方向にはカッター108付近から収穫部100の後端部まで、上下方向にはカッター108のやや上方からコンテナ301の上部よりさらに上方まで延びている。切断作物搬送部120は、収穫装置3全体における右側部分に相当する収穫部100の上部に配置されている。切断作物搬送部120は、搬送フレーム121、搬送ベルト122、搬送ローラ123及び124、プーリ130、並びに、プーリ130との間に搬送ベルト122を挟むように配置された挟持部125を有している。搬送フレーム121は、切断作物搬送部120の前端部付近から後端部まで延びている。搬送フレーム121の前端部には搬送ローラ123が回転可能に支持され、搬送フレーム121の後端部には搬送ローラ124が回転可能に支持されている。搬送フレーム121の後端部はU字フレーム125の上端部に固定されている。U字フレーム125の下端部は下部フレーム101に固定されている。
搬送ローラ123及び124の周囲には無端の搬送ベルト122が巻き掛けられている。搬送ローラ124の回転軸は油圧モータによって回転駆動される。搬送ローラ124が駆動されると搬送ベルト122が、図7の矢印C1及びC2に沿って走行する。
挟持部125は、図1及び図5に示すように、搬送ベルト122の収穫側駆動源30に近い方の走行経路に沿って延びる板状の部材であり、搬送ベルト122との間に作物上部α1を挟持する。挟持部125は、その縦断面に関する図5に示すように、上下方向に沿った平板部125aと、平板部125aの上端部及び下端部のそれぞれから搬送ベルト122に向かって突出する突出部125bとを有している。挟持部125は、搬送ローラ123に対向する位置からU字フレーム125まで延びており、その後端部においてU字フレーム125に固定されている。挟持部125は、突出部125bの先端が搬送ベルト122に左右方向に近接するように配置されている。挟持部125が搬送ベルト122との間で作物上部α1を挟持する際には、突出部125bの先端が作物上部α1に接触する(図5参照)。挟持部125と搬送ベルト122とが作物上部α1を挟持し始める位置は、カッター108よりわずかに前方に配置されるように調整されている。
プーリ130は、図5に示すように、円筒形状のプーリ体131と、プーリ体131の回転軸131aを回転可能に支持するプーリ支持アーム132とを有している。プーリ支持アーム132は、搬送ベルト122を挟持部125に向かって押圧するように搬送フレーム121に支持されている。押圧の程度は、突出部125bと搬送ベルト122との間に所定の隙間Δ(図5参照)が形成されるように調整されている。隙間Δは、作物上部α1の茎が挟持されるのに適した幅を有している。プーリ130は、図1に示すように、搬送ベルト122に沿って複数設けられている。プーリ130が搬送ベルト122を挟持部125に向かって押さえつつ、搬送ベルト122と挟持部125とが作物上部α1を挟持する。この状態で搬送ベルト122が挟持部125に対して走行することにより、作物上部α1が搬送ベルト122と挟持部125とに挟持されつつ搬送ベルト122の走行方向に搬送される。
図1に示すように、切断作物搬送部120の前部付近にはU字フレーム111が固定されている。U字フレーム111は、搬送フレーム121及び挟持部125を跨ぐように逆U字型に配置され、搬送フレーム121の右側面及び挟持部125の左側面に固定されている。これにより、U字フレーム111は、搬送フレーム121及び挟持部125を一体に固定する役割を果たしている。また、U字フレーム111は、上述の通り、固定アーム109及び110を介してホイール支持アーム103と固定されている。これにより、ホイール支持アーム103と搬送フレーム121とを一体に固定する役割を果たしている。
作物引き込み部140は、図1に示すように、ローラ141及び142、ローラ支持アーム143、引き込みベルト144、並びに、引き込みアーム145を有している。引き込みアーム145は、切断作物搬送部120の挟持部125の前端に連結された平板部材である。引き込みアーム145は、挟持部125の前端から左方に向かいつつ前方へと突出している。
ローラ141は搬送ローラ123と同軸で回転可能にローラ支持アーム143の後端部に支持されている。搬送ローラ123が回転すると、搬送ローラ123と一体のローラ141も搬送ローラ123の回転と同期しつつ回転する。ローラ支持アーム143は、ローラ141の上方から右方へと向かいつつ前方に突出している。ローラ支持アーム143の前端部にはローラ142が回転可能に支持されている。引き込みベルト144はローラ141及び142の周囲に巻き掛けられている。引き込みベルト144の外周面には、外方へと突出する複数の突起144aが設けられている。ローラ141が回転すると引き込みベルト144が走行し、これに従動してローラ142も回転する。
走行装置2が前方へと走行すると、圃場に生えている作物が前方から、引き込みベルト144と引き込みアーム145との間へと取り込まれる。そして、引き込みベルト144が走行すると、突起144aが作物を引き込み、引き込みアーム145との間で搬送ベルト122と挟持部125との挟持位置へと誘導する。
果実分離部150は、図1、図6及び図7に示すように、切断作物搬送部120の途中部の下方に配置されている。果実分離部150は、分離ロッド151及び152、ロッド支持部153及び154、並びに、固定フレーム155を有している。ロッド支持部153は、搬送フレーム121の下部に直接固定されている。ロッド支持部154は、ロッド支持部153より後方且つ下方に配置されるように、固定フレーム155を介して搬送フレーム121の下部に固定されている。
分離ロッド152は、図6に示すように、円柱状の軸心152aと、軸心152aの外周面からその外方へと突出する突起部152bとを有している。突起部152bは、前方から見て時計回りに後方へと向かうように、軸心152aの周囲をらせん状に延びている。分離ロッド151は、分離ロッド152と同様の軸心と突起部とを有している。分離ロッド151の突起部は、前方から見て反時計回りにらせん状に後方へと向かうように形成されている。分離ロッド151及び152は、作物上部α1の茎が互いの間を通過可能なように左右方向に隙間を空けつつ、それぞれの中心軸周りに回転可能にロッド支持部153及び154に支持されている。分離ロッド151及び152は、前端部がロッド支持部153に支持され、後端部がロッド支持部154に支持されることにより、前端部から後端部に向かって斜め下方に延びるように配置されている。分離ロッド152は、油圧モータによって、図6のR8方向に回転駆動される。分離ロッド151は、油圧モータによって、R8方向とは反対方向に回転駆動される。
切断作物搬送部120が図6のQ4方向に作物上部α1を搬送すると、作物上部α1が後方に移動するにつれて、果実体βが下方から分離ロッド151及び152に接近していく。果実体βが分離ロッド151及び152に接触すると、回転する分離ロッド151及び152によって、果実体βが下方へと押圧される。作物上部α1は切断作物搬送部120によって斜め上方に搬送されていくため、果実体βは分離ロッド151及び152に押し付けられていく。これによって結局、果実体βが茎からしごき落とされる。果実体βが茎から分離された後の作物上部α1は、切断作物搬送部120によってさらに後方へと搬送され、収穫部100の後方に排出される。
次に、搬送部200について、図1、図6及び図7を参照しつつ説明する。搬送部200は、収穫部100において作物の茎から分離された果実体βをコンテナ301へと搬送する。搬送部200は、その全体が収穫側駆動源30の底面より上方に配置されるように、図示しないフレームを介して収穫側駆動源30に支持されている。搬送部200は、無端の搬送ベルト201、搬送ローラ202及び203、並びに、ダンパユニット210を有している。
搬送ローラ202及び203は、互いに同じ円筒形の概略形状及び大きさを有し、上記フレームに回転可能に支持されている。搬送ローラ202は、果実分離部150のロッド支持部153の下方において、図7に示すように、回転軸が前方から後方に向かって左方から右方へと延びるように、前後方向及び左右方向の両方向に対して傾斜して配置されている。搬送ローラ202は、左右方向に関して切断作物搬送部120をほぼ跨いでいる。搬送ローラ203は、コンテナ301の上方において、搬送ローラ202と平行に配置されている。搬送ベルト201は、搬送ローラ202及び203の周囲に巻き掛けられている。搬送ベルト201の幅は搬送ローラ202及び203の幅とほぼ同一である。搬送ベルト201は、平面視において、前後方向に関して分離ロッド151及び152とほぼ重複している。したがって、分離ロッド151及び152によって作物上部α1から分離された果実体βは、搬送ベルト201から外れることなくほぼすべてその上面に落下する。なお、搬送ベルト201の代わりにコンベアチェーンが用いられてもよい。
搬送ローラ202は、油圧モータによって回転駆動される。搬送ローラ202が回転すると、搬送ベルト201の上半分は、搬送ローラ202から上昇しつつ左方且つ後方に向かうと共に、コンテナ301の開口301bを通って搬送ローラ203に向かって走行する。これによって、搬送ベルト201の上面に載置された果実体βが、前方からコンテナ301へと搬入される。果実搬送方向は、図6及び図7に示すように、前方から後方に、且つ、右方から左方に、且つ、下方から上方に向かう方向となる。つまり、本実施形態の果実搬送方向は、左右方向及び前後方向の両方向に対して傾斜する。
ダンパユニット210は、搬送ベルト201による搬送経路の最も下流の位置に配置されている。ダンパユニット210は、図1及び図7に示すように、ダンパ211、ダンパ回転部212及びダンパ支持アーム213を有している。ダンパ211は、コンテナ301の上部から下方へとコンテナ301の内部に向かいつつ、前方に向かって湾曲した板状の部材である。搬送ベルト201によって搬送された果実体βは、搬送経路の最も下流の位置においてベルト上面から下方へと落下する。その際、果実体βは、ダンパ211の表面に沿ってなめらかにコンテナ301内の収容空間301aへと落下する。これにより、落下の衝撃で果実体βが傷つくのが抑制される。ダンパ211は、ダンパ支持アーム213を介してダンパ回転部212に接続されている。ダンパ回転部212は油圧モータを有し、ダンパ支持アーム213を図1のR9方向に回転させることができる。したがって、コンテナ301内に蓄積した果実体βの量に応じ、ダンパ211を昇降させることで、果実体βの落下距離が大きくなるのを抑制できる。
以上説明した本実施形態によると、収穫装置3を構成する収穫部100、搬送部200及び収容部300のすべてが収穫側駆動源30に支持されている。そして、収穫部100は、上述の通り、ホイール104及びホイール支持アーム103を除き、収穫側駆動源30の底面より上方に配置される。また、搬送部200も、全体が収穫側駆動源30の底面より上方に配置される。したがって、フォーク35に支持されたコンテナ301の底面と収穫側駆動源30の底面とが地面から離隔するように、走行装置2の装着機構25によって収穫側駆動源30が持ち上げられたとき(図2参照)、収穫装置3は、ホイール104を除いた全範囲が地面から離隔する。よって、この状態で収穫機1を走行させると、走行装置2の後輪23より後方に接地部が存在しない。これにより、走行装置2を操舵する際、旋回によって軌跡を描く接地部が後輪23より後方には存在せず、収穫機1の旋回性能が高くなる。
このように、収穫装置3は、走行装置2の後輪23より後方において地面から離隔するように走行装置2に装着される。このため、収穫装置3の軽量化や重量バランスの向上は重要な課題である。本実施形態の収穫部100、搬送部200及び収容部300は、いずれも、以下の通り、かかる課題の解決に大きく寄与するものである。この意味で、収穫部100、搬送部200及び収容部300に関して以下に述べる特徴は、本発明に密接に関連している。しかしながら、これらの特徴は、「走行装置2の後輪23より後方において地面から離隔するように収穫装置3が走行装置2に装着される」との構成を必須とせず、本発明の構成に対して独立に成立する特徴でもある。したがって、これらの特徴は、本発明から離れて採用される場合、走行装置と収穫装置とが分離可能に装着されるものであることを必ずしも前提としない。例えば、走行装置と収穫装置とが分離不可能に一体に構成された自走型の収穫機であってもよい。また、走行方式も車輪式かキャタピラ式か否かによらない。さらに、場合によっては、収穫部100、搬送部200及び収容部300同士で関連せず、これらのうちのいずれか1つの特徴として他の構成とは独立に成立し得る。
収穫部100は、搬送ベルト122と挟持部125との間に左右方向に作物上部α1を挟持した状態で、挟持部125に対して搬送ベルト122を走行させることで作物上部α1を搬送する。つまり、左右方向に関して一方には搬送ベルト122が設けられるため、プーリ130やベルト用の駆動機構が設けられる必要がある。しかし、他方の挟持部125はプーリや駆動機構を必要としない。したがって、両側に搬送ベルトを配置する従来技術と比べ、作物を搬送する搬送装置をコンパクト且つ軽量に構成することができる。
また、挟持部125が搬送ベルト122との間に作物上部α1を挟持する際には、突出部125bの先端が作物上部α1と接触する。したがって、例えば挟持部全体が単純な平板形状を有している場合と比べて、挟持部125における作物上部α1との接触面積が小さい。よって、作物上部α1を押圧する圧力が大きくなり、作物上部α1がしっかり挟持される。特に、果実分離部150が配置された辺りでは、果実分離部150が作物上部α1から果実体βを下方へとしごき落とす。この動作により、作物上部α1全体が切断作物搬送部120から引きずり落とされるおそれがある。これに対し、挟持部125は、上記の通り、搬送ベルト122との間に作物上部α1をしっかり挟持するため、果実分離部150によって作物上部α1が引きずり落とされにくい。
なお、挟持部全体が単純な平板形状を有する場合も本発明の範囲である。この場合と比べて作物上部α1をしっかり挟持させるためには、挟持部を少なくとも以下の構成とすればよい。つまり、挟持部の縦断面の形状(図5に対応する断面形状)において、搬送ベルト122側の表面のうち、上下方向に一部の範囲のみが作物上部α1に接触するように、挟持部が構成されていればよい。図5の態様では、突出部125bの先端面が、上記一部の範囲に相当する。
また、作物引き込み部140は、左右方向の一方に引き込みベルト144、及び、ローラ141などのベルト用の駆動機構を有し、他方に引き込みアーム145を有している。このため、両側に引き込みベルトを設ける場合と比べ、作物引き込み部140全体がコンパクト且つ軽量に構成されている。なお、他方にも引き込みベルトやその駆動機構が設けられる場合も本発明の範囲であるし、両方に引き込みアームが設けられる場合も本発明の範囲である。
搬送部200は、果実分離部150によって茎から分離された果実体βをコンテナ301まで搬送する。その際の搬送方向は、前方から後方、且つ、右方から左方、且つ、下方から上方に向かう方向である。つまり、搬送部200は、コンテナ301に向かって、前後方向及び左右方向の両方に傾斜した方向に沿って果実体βを搬送する。このように構成されているのは以下の理由による。
果実分離部150において、果実体βが分離される位置は、常に同じ位置であるとは限らない。特に、本実施形態の果実分離部150は、後方に向かって搬送される作物上部α1から、前後方向に長尺な分離ロッド151及び152によって果実体βをもぎ落す。このため、果実体βが分離される位置は、分離ロッド151及び152の延びる範囲のいずれになるか確定しない。したがって、分離された果実体βを搬送ベルトに確実に受け取らせるためには、搬送ベルトの受け取り可能な範囲を、果実体βが分離される可能性がある範囲、つまり、果実体の落下範囲と前後方向に可能な限り大きく重複させることが好ましい。なお、追加の搬送装置を用いて果実体の落下範囲をカバーすることも考えられるが、装置が増加するため、好ましくない。
ところで、分離された果実体をコンテナへと搬送する方法として、従来、果実体βを分離位置から左右方向に搬出する第1方法と後方に搬出する第2方法との2つがある。しかしながら、第1方法によれば、搬送ベルトは、果実体の落下範囲と可能な限り前後方向に大きく重複させるため、前後方向(ベルト走行方向と直交する方向)に幅広い構成とする必要が生じる。したがって、搬送ベルトを含む搬送装置全体が過大になるおそれがある。また、果実体を分離位置から左右方向に搬出した後、さらに後方のコンテナへと果実体を搬入する場合には、結局追加の搬送装置が必要となる。
一方、第2方法によれば、搬送装置が果実体の分離位置から後方に延びることになる。したがって、本実施形態のように果実体の分離位置が収穫装置の左右方向に一方に配置されている場合には、搬送装置もそちら側に偏って設けられることになる。よって、収穫装置の重量が左右方向の一方に偏る。また、分離装置の真後ろにコンテナを配置することは通常、困難であるため、コンテナは分離位置から左右方向にずらして配置される。したがって、結局、後方に搬出された果実体をさらに左右方向に搬送する別の搬送装置を追加せざるを得ない。この場合、さらに重量が偏ることになる。
これに対し、本実施形態の搬送部200は、果実体βを、分離位置である果実分離部150からコンテナ301に向かって、前後方向及び左右方向の両方に関して斜めに搬送する。これにより、図7に示すように、果実体βの落下範囲(分離ロッド151及び152が延びる範囲)がベルト走行方向(果実搬送方向)に対して斜めになる。したがって、搬送ベルト201の幅は、ベルト走行方向に対して斜め方向に確保すればよいため、ベルト走行方向に直交する方向に関してはそれほど広く取らなくてもよい。このため、搬送装置が過大になるのを抑制できる。また、搬送方向を斜めにすることで、果実体βの分離位置とコンテナ301とを一本の直線状の搬送経路で直結させることができる。このため、搬送装置を追加する必要もない。さらに、搬送部200は、コンテナ301へと前方から果実体βを搬入する構成を取っている。したがって、上記第2方法による場合と比べ、搬送部200が収穫装置3全体に対して左右方向に比較的中心に位置する。よって、収穫装置3の重量が左右方向の一方に偏ったりしにくい。なお、上記第1方法による場合も、コンテナへと前方から果実体を搬入する構成になるため、第2方法と比べると重量が偏りにくい。
収容部300は、図3に示すように、収穫装置3が装着された状態で走行装置2が後方に走行すると、フォーク35がコンテナ301(の挿入部301c)に挿入される。その後、図2に示すように、装着機構25が収穫側駆動源30を上昇させると、コンテナ301がフォーク35に支持される。このように、コンテナ301を他の装置で積み下ろしすることなく、走行装置の運転操作によってコンテナ301を収穫装置3に設置することができる。
この他、本実施形態においては、収穫側駆動源30と油圧シリンダ105との間の作動油の流通が自由になされる状態では、上述の通り、ホイール104及びホイール支持アーム103が地面の凹凸に追随して移動する。一方、ホイール支持アーム103には、カッター支持アーム107を介してカッター108が支持されている。したがって、ホイール支持アーム103が地面の凹凸に追随すると、カッター108もこれに追随して上下する。これにより、地面に凹凸がある場合にもカッター108の地面からの距離が一定に保持されやすい。地面に凹凸があると、作物αにおける適切な切断位置も凹凸に応じて上下しやすいが、カッター108の地面からの距離が一定に保たれると、カッター108が作物αを切断する位置も上下方向に一定に保持される。したがって、常に適切な位置で切断される。また、ホイール支持アーム103は、固定アーム109及び110並びにU字フレーム111を介して切断作物搬送部120の前部に固定されている。このため、切断作物搬送部120の前部もホイール104に追随して上下するため、切断作物搬送部120が作物上部α1を挟持する位置も適切に保持される。
<変形例>
以上は、本発明の好適な実施形態についての説明であるが、本発明は上述の実施形態に限られるものではなく、課題を解決するための手段に記載された範囲の限りにおいて様々な変更が可能なものである。
例えば、上述の実施形態では、走行装置2が車輪を有する構成であるが、クローラーを有する構成であってもよい。この場合、走行装置は、クローラーを地面に接地させて車体を支持しつつ、クローラーを回転させることで走行する。また、左右両側のクローラー同士の回転速度を変えることで操舵可能である。
また、上述の実施形態では、固定アーム109及び110同士が固定されていると共に、これらとホイール支持アーム103及びU字フレーム111も互いに固定されている。しかし、固定アーム109及び110同士が図4のR8方向に回転できるようにこれらが構成されていてもよい。つまり、固定アーム109及び110同士が固定部109aの位置で回転可能に支持され、固定アーム109の下端部がホイール支持アーム103に回転可能に支持され、且つ、固定アーム110の上端部がU字フレーム111に回転可能に支持されていてもよい。これによると、ホイール支持アーム103に対して切断作物搬送部120の上下方向の位置が調整可能になる。
また、上述の実施形態では、走行装置2側に設けられた装着機構25が収穫側駆動源30を昇降させることにより、収穫側駆動源30に支持された収穫部100、搬送部200及び収容部300が一体に昇降する。しかし、収穫装置側に昇降機構が設けられ、この昇降機構が収穫部100、搬送部200及び収容部300が昇降させてもよい。この場合も本発明の範囲であるが、収穫装置側の重量が大きくなりやすいため、上述の実施形態の構成が好ましい。
また、上述の実施形態では、カッター108が作物αを上下に切断することにより、作物上部α1を作物下部α2から分離する。しかし、カッター108の代わりに、作物αを引き抜くことにより圃場から分離する引き抜き機構が設けられてもよい。また、カッター108は運転席24より前方に配置されているが、前後方向に運転席24に掛かる位置であればよい。
また、上述の実施形態では、走行装置2の前輪22及び後輪23以外の接地部がホイール104に限られる。しかし、ホイール104のような車輪が複数設けられてもよい。この場合、車輪の位置は、前後方向に後輪23と同じ位置か、これより前方であればよい。このとき、収穫機1における接地部分は、前後方向に走行装置2と同じ範囲に限られるため、走行装置2の操舵の際、旋回運動に影響を与える範囲が走行装置2の範囲に限定される。よって、収穫機1全体の旋回性能が低下しにくい。
また、上述の実施形態では、収穫装置3側には、後輪23より後方に車輪が設けられていない。しかし、後輪23より後方の位置において収穫装置3に車輪が設けられてもよい。この場合でも、かかる車輪が地面から離隔するように装着機構25が収穫装置3を上昇させた状態で走行装置2を走行させれば、操舵の際の旋回運動に車輪が影響を与えることがない。また、旋回性能が低下しても問題ない状況では、装着機構25に収穫装置3を下降させ、車輪を接地させることで、収穫装置3を安定に車輪に支持させることができる。
また、上述の実施形態では、切断作物搬送部120を、右側に搬送ベルト122を設け、左側に挟持部125を設ける構成としている。しかし、図8に示すように、挟持部125の代わりに、右側の搬送ベルト122及びその周辺構成と同様の構成を有するベルト機構420を設けてもよい。ベルト機構420には従動ベルト422が設けられている。作物は、搬送ベルト122と従動ベルト422とに挟持される。ただし、ベルト機構420側には駆動源が設けられていない。油圧モータが右側の搬送ローラ124を回転させると搬送ベルト122が走行する。そして、従動ベルト422が、搬送ベルト122との間に作物を挟持しつつ、搬送ベルト122の走行に伴って従動する。これにより、両ベルトに挟持された作物が後方に搬送される。なお、図8に示すように、ベルト機構420の前端部には、右側のローラ141及び142、ローラ支持アーム143及び引き込みベルト144と左右対称に同様の構成が設けられている。従動ベルト422が走行すると、これに伴い、左側の引き込みベルト142も右側と同様に走行する。したがって、左右両側において引き込みベルト142が、搬送ベルト122及び従動ベルト422による挟持位置へと作物を誘導する。
<その他の変形例1>
その他の変形例について説明する。搬送部200の変形例である搬送部500は、図9及び図10に示すように、複数本のコンベアロッド501と、コンベアロッド501を支持するフレーム502とを有している。複数本のコンベアロッド501は、果実搬送方向に沿って等間隔に配列されつつ互いに連結されている。果実搬送方向は、前方から後方に、且つ、右方から左方に、且つ、下方から上方に向かう方向である。複数本のコンベアロッド501の上方に面した表面が、果実分離部150によって茎から分離された果実体βが載置される搬送面501aを形成している。搬送面501aは、果実搬送方向に沿って果実分離部150からコンテナ301まで延びている。なお、果実分離部150は前後方向に延びているのに対し、果実搬送方向は平面視において前後方向及び左右方向の両方に傾斜している。したがって、搬送面501aは、果実分離部150が延びる方向に対して斜めにコンテナ301まで延びていることになる。
フレーム502は、コンベアロッド501の長さ方向(搬送面501aに沿った方向であって果実搬送方向に直交する方向)の両側において、コンベアロッド501を果実搬送方向に沿って移動可能に支持している。搬送装置500は、これらのコンベアロッド501を駆動する駆動機構を有している。この駆動機構は、収穫側駆動源30から駆動用の油圧が供給される油圧モータによって駆動される。駆動機構は、互いに連結されたコンベアロッド501を果実搬送方向に搬送する。コンベアロッド501は、果実搬送方向に沿って最後方まで搬送された後、搬送部500の下部を果実搬送方向と反対方向に移動し、矢印C3に沿って前方から再び上部へと戻ってくる。
フレーム502の上面には落下防止壁503及び504が固定されている。落下防止壁503は、搬送面501aに直交する方向に沿ってフレーム502の上面から上方に突出している。また、落下防止壁503は、搬送面501aの前方側の端縁に沿って延びている。落下防止壁503は、搬送面501aより前方へと果実体βが落下するのを防止する。落下防止壁504は、搬送面501aに直交する方向に沿ってフレーム502の上面から上方に突出している。また、落下防止壁503は、搬送面501aの前方側の端縁に沿って延びている。落下防止壁504は、搬送面501aより後方へと果実体βが落下するのを防止する。
搬送面501aにおいて、果実分離部150の下方に位置した領域の周囲には、果実分離部150によって茎から分離された果実体βを搬送面501aへと案内するガイド部521〜524(案内部材)が設けられている。ガイド部521及び522は金属板で構成され、ガイド部523及び524はゴムなどの弾性材料からなるシートで構成されている。
ガイド部521は、果実分離部150の後端部から前方且つ下方に向かって斜めに延びている。ガイド部521の上端部には矩形の切り欠き部521aが形成されている。果実分離部150の後端部はこの切り欠き部521aを前方且つ上方から後方且つ下方に向かって貫通している。前方に面したガイド部521の表面は果実体βを搬送面501aへと案内する案内面521bを構成している。ガイド部521の下端部は落下防止壁504に固定されている。ガイド部521は、平面視において、搬送面501aの後方側の端縁と、走行左右方向に沿った第1仮想線と、走行前後方向に沿った第2仮想線とに囲まれた領域と案内面521bとが重なるような位置に配置されている。かかる領域は、図7で言えば、二点鎖線L1〜L3に囲まれた三角形領域に相当する。このとき、二点鎖線L1は第1仮想線に、二点鎖線L2は第2仮想線に、二点鎖線L3は搬送面501aの後方側端縁に対応する。また、図7において搬送面501aに対応するのは、搬送ベルト201の上面である。
ガイド部522は、上端部522a及び傾斜部522bを有している。上端部522aは、果実分離部150の後端部の右方であって、ガイド部521の上端部の右端付近から前方に向かって延びると共に上下方向に沿っている。傾斜部522bは、上端部522aの下端から左方且つ下方に向かって果実分離部150の下方の位置まで延びている。傾斜部522bにおいて左方に面した表面は果実体βを搬送面501aに案内する案内面を構成している。傾斜部522bの後端部(図9の二点鎖線522cで示す部分)は、平面視において、搬送面501aの後方側の端縁と、走行左右方向に沿った第1仮想線と、走行前後方向に沿った第2仮想線とに囲まれた領域(図7のL1〜L3に囲まれた三角形領域に相当する領域)と重なっている。
ガイド部523はフレーム502の前部の上面に固定されている。ガイド部523の右端部は、果実分離部150の下方に配置されている。ガイド部523は、弾性材料からなるシートを丸めた形状に形成されている。ガイド部524は、果実分離部150の下方における搬送部500より前方に配置されている。ガイド部524もガイド部523と同様、弾性材料からなるシートを丸めた形状に構成されている。ガイド部523及び524は、ガイド部521及び522に比べて前方寄りに配置されている。一方、果実分離部150は前方ほど高い位置にある。したがって、ガイド部523及び524に果実体βが落下してくる場合、その落下距離はガイド部521及び522に落下してくる場合と比べて大きい。これに対し、ガイド部523及び524は弾性材料で構成されている。このため、果実体βが接触した際の衝撃が吸収されやすい。
複数のコンベアロッド501のうちの一部の表面には複数本の突起部511が固定されている。各突起部511は、コンベアロッド501から、搬送面501aに直交する方向に斜め上方に向かって突出している。突起部511は、コンベアロッド501の長さ方向に沿って等間隔に配列されている。この突起部511の列は、果実搬送方向に関して等間隔に複数列設けられている(図10参照)。これらの突起部511は、搬送面501aに載置された果実体βが果実搬送方向とは反対方向に転がり落ちるのを防止する。
搬送面501aの右端付近の上方には、コンベアロッド501の長さ方向に沿って等間隔に配列された突起部513が設けられている。突起部513は、収穫機の本体フレームに固定された桁部514の下面に固定されており、搬送面501aに直交する方向に沿って桁部514から斜め下方に向かって突出している。突起部513は、コンベアロッド501の移動に伴って各突起部511が突起部513同士の各隙間をすり抜けるように配置されている。これにより、突起部513は、突起部511と共に、果実搬送方向の反対方向に果実体βが転がり落ちるのを防止する防止壁を構成する。
上述の実施形態における搬送部200と同様、搬送部500は平面視において、前後方向及び左右方向の両方に対して傾斜して配置されている。一方、果実体βが載置される搬送面501aは矩形の平面形状を有している。したがって、図7の二点鎖線L1〜L3に囲まれた三角形領域に示すように、果実分離部150と搬送面とが重複していない領域であって搬送面の端縁に沿った三角形領域が、果実分離部150付近に必ず形成される。果実分離部150が茎から果実体βを分離する際、果実体βは上記のような三角形領域に落下するおそれがある。特に、果実分離部150と搬送面とが重複した領域の後方に形成される三角形領域に果実体βが落下するおそれが高い。果実体βは切断作物搬送部120によって後方に搬送されるため、落下の際に後方に向かう慣性が働くからである。そこで、本変形例のように三角形領域にガイド部521やガイド部522を設けることで、搬送面501aより外側の領域に果実体βが落下するのを抑制することが可能である。なお、搬送部200や搬送部500と果実分離部150の位置関係によっては、果実分離部150と搬送面とが重複した領域の前方に形成される三角形領域に果実体βが落下することが問題になる場合もある。このような場合には、果実分離部150と搬送面とが重複した領域の前方に形成される三角形領域にガイド部521のようなガイド部が設けられることが好ましい。
<その他の変形例2>
さらにその他の変形例について説明する。切断作物搬送部120に係る上述の図8の変形例では、挟持部125の代わりにベルト機構420が採用されている。さらにその変形例として、プーリ130の代わりに、図11及び図12に示すプーリ610及びプーリ630が採用されてもよい。プーリ610及び630は、作物搬送方向に沿って延びるフレーム601及び602に支持されている。フレーム601とこれに支持された複数のプーリ610は切断作物搬送部の右側に、フレーム602とこれに支持された複数のプーリ630は切断作物搬送部の左側にそれぞれ配置されている。プーリ610は、フレーム601に沿って等間隔に配列されている。プーリ630は、フレーム602に沿って、プーリ610同士の間に位置するように配列されている。
プーリ610は、円筒形状のプーリ体611(押し付けローラ)、プーリ体611を回転可能に支持する支持軸611a、支持軸611aが一端に固定された支持アーム612、支持アーム612を回転可能に支持する支持柱613(支持軸心)等を有している。支持アーム612は、支持柱613に支持された位置においてV字型に折れ曲がっている。支持アーム612において、支持軸611aが固定された端部とは反対側の端部にはコイルばね614(弾性部材)の一端が固定されている。コイルばね614の他端は、フレーム601に固定されたばね固定部615に固定されている。コイルばね614は、その弾性力によって支持アーム612の端部を引っ張っている。この弾性力は、支持柱613を中心にして支持アーム612を図11のR10方向に回転させるようなトルクを支持アーム612に作用させる。これにより、プーリ体611が搬送ベルト122(第1無端ベルト)に左方へと押し付けられている。なお、搬送ベルト122は、図8の変形例と同様、油圧モータによって駆動される。
フレーム601において支持アーム612より若干前方には、支持アーム612の移動を規制する規制部材616(規制手段)が固定されている。規制部材616は、フレーム601の表面から上方且つ前方へと突出している。
規制部材616の機能は以下のとおりである。搬送ベルト122が走行すると、プーリ体611は、搬送ベルト122に追従してベルトの走行方向(作物搬送方向)へと移動しようとする。つまり、支持アーム612が支持柱613を中心に図12の反時計回りに回転しようとする。仮に、この回転の方向に関して支持アーム612がどこまでも自由に移動できるようになっている場合、左右方向に関してプーリ体611が支持柱613から最も離隔する位置(図12の二点鎖線で示す位置)よりも作物搬送方向のさらに下流へとプーリ体611が移動するおそれがある。なお、本発明における支持軸心から第1無端ベルトに向かう方向とは、本実施形態の左方に対応する。
プーリ体611が一旦、図12の二点鎖線で示す位置の位置よりも作物搬送方向の下流へと移動すると、コイルばね614の弾性力によっては図11に示す元の位置に自然に戻ることがない。コイルばね614の弾性力は、プーリ体611を作物搬送方向により下流へと移動させるような力だからである。一方、本実施形態は、支持アーム612が二点鎖線の位置に至るまでに規制部材616と当接するように構成されている。図12の破線は支持アーム612が規制部材616と当接した状態を示している。規制部材616は、この状態よりさらに回転しないように、支持アーム612の回転を規制している。したがって、支持アーム612は、二点鎖線の位置よりも作物搬送方向の下流へと移動したりしない。
プーリ630は、円筒形状のプーリ体631、プーリ体631を回転可能に支持する支持軸631a、及び、支持軸631aが一端に固定された支持アーム632を有している。支持アーム632は、フレーム602に固定されている。プーリ体631は、前方且つ右方に向かって従動ベルト422(第2無端ベルト)に押し付けられている。なお、従動ベルト422は、図8の変形例と同様、搬送ベルト122の走行に従動する。
ところで、本変形例に係る切断作物搬送部では、作物搬送用の2つのベルトのうち、一方が従動ベルト422である。そして、2つのベルトに作物を搬送させる際には、搬送ベルト122を従動ベルト422に押し付けつつ搬送ベルト122を走行させることで、従動ベルト422を搬送ベルト122に従動させる。したがって、従動ベルト422を搬送ベルト122に確実に従動させるためには、コイルばね614の弾性力を調整することにより、プーリ体611を搬送ベルト122に押し付ける力を十分大きくしなければならない。このため、本変形例では、2つのベルトの両方を油圧モータ等によって駆動する場合と比べて、プーリをベルトに押し付ける力を強くすることが多くなる。例えば、図11や図12に示すように、ベルトが各プーリに押されることで波打つような形状を呈する程度まで押し付ける力を強くする場合もある。
しかしながら、このようにプーリ体611を強く搬送ベルト122に押し付けると、プーリ体611が搬送ベルト122から受ける摩擦力も大きくなる。これにより、搬送ベルト122が走行する際に、プーリ体611が搬送ベルト122の走行に引きずられることで支持アーム612が図11のR10方向に回転しやすくなる。仮に支持アーム612がどこまでも自由に移動できるようになっているとすると、上記の通り、プーリ体611が二点鎖線に示す位置を超えるおそれがある。この場合、プーリ体611が二点鎖線に示す位置を超えるには、図12に示すように、搬送ベルト122を左方へと押し退けて移動する必要がある。したがって、本来、プーリ体611が搬送ベルト122に押し付けられる力が弱い場合には、プーリ体611が二点鎖線の位置を超えにくい。しかしながら、本変形例では、プーリ体611が搬送ベルト122に押し付けられる力が強いため、支持アーム612が図11のR10方向に回転しやすい。このため、仮に支持アーム612がどこまでも自由に移動できるようになっているとすると、本変形例では、プーリ体611が図12の二点鎖線で示す位置よりも作物搬送方向の下流に移動するおそれが強い。
これに対し、本変形例では上記の通り、支持アーム612の移動を規制する規制部材616が存在する。このため、プーリ体611が二点鎖線の位置を超えて作物搬送方向の下流に移動することが防止される。このように、従動ベルト422を採用することによってプーリ体611を搬送ベルト122に強く押し付ける必要が生じ、その結果、プーリ体611が図12の二点鎖線の位置を超えて移動するおそれが強まった本変形例の構成において、規制部材616の技術的意義はとりわけ高い。
なお、本変形例では、規制部材616が支持アーム612に直接当接することでその回転を規制している。しかし、別の部材を介して支持アーム612に当接することで間接的にその回転を規制する部材が設けられてもよい。また、コイルばね614は、搬送ベルト122へと押し付ける弾性力を、支持アーム616を介して間接的にプーリ体611に作用させる。しかし、このような弾性力をプーリ体611に直接作用させるように弾性部材が設けられてもよい。