JP2015074624A - 複合充填材及び歯科用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】硬組織などの生体組織に対して有益に作用する生物活性セメント成分を重合性組成物で内包し、重合体とした後粉末化することで、マトリックスとなる重合体との馴染みが良好になり、優れた操作性と機械的物性の向上が達成でき、且つ接着促進モノマーによる硬組織への接着性とシール性の付与と同時に、生物活性セメント由来の硬組織などの生体組織に対して有益な作用を達成できる複合充填材およびそれを含有する歯科用組成物を提供すること。【解決手段】(α)生物活性セメントと、(β)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体よりなる歯科用複合充填材およびそれを含有する歯科用組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、複合充填材及び歯科用組成物に関する。さらに詳しくは、歯科用セメント、歯科用ボンディング材などの歯科用接着性組成物に使用可能な及び覆髄材あるいは根管充填材として使用可能な複合充填材ならびにそれを含有する歯科用組成物に関する。
生物活性セメントが、様々な歯科用途における硬組織の治療を容易にする機能を有していることが証明されている。ここで、生物活性セメントとは、バイオガラス、リン酸カルシウム系セメント、水酸化カルシウム、ヒドロキシアパタイト、ポルトランドセメント等の生体親和性および組織誘導能を有する材料のことである。これらのセメント材料は、これまでに硬組織などの生体組織に対して使用されてきたカルシウム系生体材料である。
例えば、ポルトランドセメントでは歯科組成物としてMTA(Mineral Trioxide Aggregate)と称される歯科用ポルトランドセメントが市販されている。この硬化体は優れた生体親和性及び硬組織誘導能を有し、歯髄や歯根歯周組織に新生硬組織形成を伴う治療を導くとの報告もされている。これらのセメント材料の具体的な歯科用途としては、例えば、象牙質・歯髄の保護としての間接、直接覆髄及び暫間的間接覆髄で使用される覆髄材、根管充填材などが挙げられる。
これらの材料としては、酸性、中性又は塩基性の水性環境中で反応し硬化することでセメント系構造体を形成することができる水系セメントである。これらのセメント材料は、水性環境中で反応し硬化するため、反応速度が遅く、完全硬化までに数日を必要とするものもある。そのため、適用直後ではその強度が弱く、溶解度も高くなる傾向があり、さらに湿潤環境である口腔内では感水による硬化不良も懸念されることから、臨床使用での操作性に問題があった。
そこで、特許文献1では、MTAと称される歯科用ポルトランドセメントをポリマー湿潤構造体とすることで反応速度や適用直後の強度及び溶解度などの問題を解決する手段が提案されている。また、特許文献2では、MTAに機械的物性、さらに接着促進モノマーによる接着性とシール性を付与することで、より効果的な硬組織誘導が可能な歯科用組成物が提案されている。
しかしながら、これらの手法は、セメント粒子をポリマー材料若しくは重合性組成物とただ単に混合しているだけで、それらを含んだ組成物の混和泥中では、セメント粒子はポリマー材料若しくは重合性組成物とは馴染まず、意図する操作性が達成できない。また、それらを含んだ組成物の重合後の硬化体内では、セメント粒子とポリマー材料若しくは重合性組成物とが接する界面で化学的な結合は期待できないため、硬化体に外力が加われば、その界面を基点として破壊し機械的物性が低下する虞がある。
このため、優れた操作性と機械的物性を有すると共に、歯牙への接着性とシール性が達成され、且つ硬組織などの生体組織に対して有益に作用する歯科用組成物の開発が望まれている。
特表2007−528398号公報 特開2012−20983号公報
本発明は、硬組織などの生体組織に対して有益に作用する生物活性セメント成分を重合性組成物で内包し、重合体とした後粉末化することで、マトリックスとなる重合体との馴染みが良好になり、優れた操作性と機械的物性の向上が達成でき、且つ接着促進モノマーによる硬組織への接着性とシール性の付与と同時に、生物活性セメント由来の硬組織などの生体組織に対して有益な作用を達成できる、より効果的な歯科用組成物を提供することを目的としている。
本発明によれば、本発明の上記目的は、
(α)生物活性セメントと、
(β)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体
よりなる歯科用複合充填材
により達成される。
これらの組み合せによって良好な操作性及び機械的物性を有し、硬組織への接着性とシール性が付与され、硬組織などの生体組織に対しての有用能を達成する歯科用組成物を提供できる。
本発明の複合充填材及び歯科用組成物によれば、硬組織などの生体組織に有用とされる生物活性セメント成分を、重合性組成物で内包し、重合体とした後粉末化することで複合充填材とし、その複合充填材を含む歯科用組成物を患部へ適用することで、複合充填材に含まれる生物活性セメント成分の有用性と共に、マトリックスとなる重合体との馴染みが良くなることにより優れた操作性と機械的物性が付与され、更に歯牙への接着性とシール性の付与で、歯冠側からの微小漏洩(コロナルリーケージ)により細菌や唾液及び食物残渣などの侵入を抑制して、より効果的な歯科用組成物を提供することができる。
次に本発明の複合充填材及び歯科用組成物について具体的に説明する。
なお、以下の説明において、好適な数値範囲等の記載で「好ましくはXX〜YY」とあるは、「好ましくはXX以上および/またはYY以下」を意味するものとする。
本発明の複合充填材は、硬組織などの生体組織に有用とされる生物活性セメントを重合性組成物で内包し粉末化した充填材であり、本発明の歯科用組成物は前記複合充填材を含んだ歯科用組成物である。
本発明の複合充填材及び歯科用組成物を患部に適用すると、複合充填材に含有された生物活性セメントが硬組織などの生体組織に対して有益な作用を達成すると同時に、硬組織との接着性とシール性を付与することで、歯冠側からの微小漏洩を低減し、患部の汚染を防止する。
((β)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体)
(β1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物は、構成する単量体100重量%に基づいて、単官能重合性単量体が、好ましくは、32重量%以上、より好ましくは、56重量%以上、更に好ましくは、83重量%以上である単量体組成物の重合体である。また、構成する単量体100重量%に基づいて、(β1’)2官能以上の多官能重合性単量体が、好ましくは10重量%以下、より好ましくは、4.6重量%以下、更に好ましくは、0重量%である。前記数値範囲を満たさない場合、単量体組成物の生物活性セメントとの馴染みが低下して好ましくない場合がある。
なお、単量体組成物中の多官能重合性単量体の含有比率の簡便な判別方法として、ゲル分率測定法があげられる。この方法は単量体組成物を公知の重合法により重合させて得られた硬化体を、適当な溶媒(アセトンなど)で溶解させることで、その硬化体の溶解前後の重量差の百分率(=ゲル分率)を求めるというものである。但し、本発明の充填材は無機成分を含有するので、最終的には、残余のゲル分と無機成分を分別する必要があるが、前記の残余のゲル分と無機成分の混合物について、強力な溶媒にて溶脱したり、高温にて焼却することにてゲル分を除去して、無機成分を精密に秤量してもよいし、この測定をゲル分率測定にかけた試料と同重量の充填材にて行なって推算しても良い。この測定方法によるゲル分率は、本発明における上記重合体について好ましくは、12重量%以下、より好ましくは、8重量%以下、更に好ましくは、4重量%以下である。
また、(β)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体重量平均の分子量は、好ましくは、10,000〜1,000,000、より好ましくは、100,000〜800,000、更に好ましくは、150,000〜600,000である。前記数値範囲の下限値を下回ると重合硬化物としての形態を維持することが困難となり、一方、上限値を上回ると組成物での使用で化合物との馴染みが低下することとなり、何れも好ましくない場合がある。
又、単官能重合性単量体を含有する単量体組成物を構成する単量体は、比較的生体安全性に優れるため(メタ)アクリレート系が好ましく、更に組成物中の化合物との馴染みが比較的良好となるのでメタクリレート系であることがより好ましい。
歯科用複合充填材の重合体乃至は重合体相(100重量%とする)に、(β)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体以外の成分は本発明の効果に支障がない限り、若干含まれてもよいが、その含有量は、好ましくは、5.0重量%以下、より好ましくは、2.0重量%以下、更に好ましくは、1.0重量%以下である。かかる成分としては、顔料、色素、抗菌剤等の無機成分や非高分子系有機成分(数平均分子量10,000未満)が挙げられる。
(β1)単官能重合性単量体
(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物
本発明で用いられる(β1)単官能重合性単量体には、(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物が含まれることが好ましい。この(β1a)成分中にある重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましく、例えばビニル基、シアン化ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基などを挙げることができる。また、酸性基としては、例えばカルボシキル基、リン酸基、チオリン酸基、スルホン酸基、スルフィン酸基あるいはカルボキシル基の酸無水基のように、実用条件において容易に加水・分解して前記酸性基になるなど、実質上酸性基として機能するものも、酸性基として挙げることができる。酸性基と重合性基のそれぞれは分子内に1つまたは2つ以上あってもよい。
本発明において、(β1a)成分の具体的な例であるカルボキシル基を有する重合性化合物の例としては、(メタ)アクリル酸(以下、アクリル酸とメタアクリル酸の総称として(メタ)アクリル酸と記載する。)、マレイン酸等のα−不飽和カルボン酸;4−ビニル安息香酸等のビニル芳香環化合物;11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(以下、アクリロイルとメタアクリロイルの総称として(メタ)アクリロイルと記載する。)等の(メタ)アクリロイルオキシ基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸化合物;6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルナフタレン(ポリ)カルボン酸;4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸等といった(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸;4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸等のさらに水酸基を含有する化合物;2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート(以下、アクリレートとメタアクリレートの総称として(メタ)アクリレートと記載する)等のカルボキシベンゾイルオキシを有する化合物;N,O−ジ(メタ)アクリルチロシン、O−(メタ)アクリルチロシン、N−(メタ)アクリルチロシン、N−(メタ)アクリルフェニルアラニン、O−(メタ)アクリルフェニルアラニン、N,O−ジ(メタ)アクリルフェニルアラニン等のN−及び/又はO−位置換のモノ又はジ(メタ)アクリルアミノ酸;N−(メタ)アクリル−4−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリル−5−アミノ安息香酸、2−又は3−又は4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4−又は5−(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸等の官能性置換基を有する安息香酸の(メタ)アクリロイル化合物;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トと無水マレイン酸又は3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物又は3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと不飽和ポリカルボン酸無水物の付加反応物;2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)−1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、N−フェニルグリシン又はN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレ−トとの付加物、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3−又は4−[N−メチル−N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などのポリカルボキシベンゾイルオキシと(メタ)アクリロイルオキシを有する化合物などを挙げることができる。これらのうち、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸及び4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸が好ましく用いられる。
リン酸基としては、少なくとも1個の水酸基がリン原子に結合している基及び水中で容易に水酸基に変換し得る官能基としての例えばリン酸エステル基を1個又は2個有する基を好ましく例示することができる。このような基を有する重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2−及び/又は3−(メタ) アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシドホスフェート;ビス[2−(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシドホスフェート、ビス[2−又は3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシドホスフェート等の2つ以上の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有するアシドホスフェート;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−p−メトキシフェニルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基とフェニレン基などの芳香環やさらには酸素原子などのヘテロ原子を介して有するアシドホスフェートなどを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基を、チオリン酸基に置き換えた化合物も例示することができる。これらのうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェートを好ましく使用することができる。
スルホン酸基あるいはスルホン酸基に容易に水中で変換し得る官能基を有する重合性単量体として、例えば2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2−又は1−スルホ−1−又は2−プロピル(メタ)アクリレート、1−又は3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート;3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート等の前記のアルキル部にハロゲンや酸素などのヘテロ原子を含む原子団を有する化合物;1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸等の前記アクリレートに換えてアクリルアミドである化合物など;さらには4−スチレンスルホン酸、4−(プロプ−1−エン−2−イル)ベンゼンスルホン酸などのビニルアリールスルホン酸などを挙げることができる。これらのうち、4−スチレンスルホン酸を好ましく使用することができる。(β1a)成分の上記単量体は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
上記(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する単量体は、(β1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物100重量%に対して、好ましくは6〜70重量%、より好ましくは11〜46重量%、更に好ましくは17〜34重量%の範囲で使用される。このような量で(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する単量体を使用することにより、本発明の複合充填材及び歯科用組成物は、被着体である歯質に代表される硬組織に対して良好な接着性を示すようになる。
(β1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物
本発明で用いられる(β1b)成分は、分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物である。このような(β1b)成分として使用できる化合物の例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート類;2−ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのハイドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;2−(2−メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2−(2−(2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリレート類(R−(−O−R−)−O−COCH(R)=CH(R:アルキル基、R:アルキレン基、R:水素又はメチル原子団);アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート;シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類;(テトラハイドロフラン−2−イル)(メタ)アクリレートなどのヘテロ原子を含む環状アルキル(メタ)アクリレート類;パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート及びヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;3−(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物などを挙げることができる。これら(β1b)成分の単量体は単独であるいは2種以上併用して重合に用いられる。
また、(β1b)成分として、歯質など硬組織に対する高い接着力を得るために、歯質などとの接着界面へのモノマーの拡散に低分子量モノマー、例えば分子量が300以下の低分子量モノマーを使用することが好ましい。このような低分子量モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレートを挙げることができる。本発明においては、重合性単量体である(β1b)成分としてこのような低分子量モノマーも使用することもできる。
特に本発明では分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物((β1b)として、人体への刺激性が比較的低いメタアクリレートが特に好ましく使用される。
また、本発明で使用する(β1b)成分としては、酸性基を有する上記(β1a)成分を室温で溶解可能な化合物であることが好ましい。
上記(β1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物は、(β1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物100重量%に対して、好ましくは11〜84重量%、より好ましくは29〜76重量%、更に好ましくは50〜68重量%の範囲で使用される。本発明で使用される(β1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物は、本発明の複合充填材及び歯科用組成物の有する優れた特性を発現させるための基礎となるモノマーであり、上記範囲内で使用することによって本発明の複合充填材及び歯科用組成物の物性に関する基礎的特性が確立する。
(β2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材
本発明に配合される(β2)成分は、予め別に重合させておいた重合体であり、これ以外の成分を重合させる際に混合するものであり、例えば、ポリ((メタ)アクリレート)粒子等からなる充填材である。このポリマー粒子を形成するモノマーとしては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレートなどのアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレートなど芳香族(メタ)アクリレートなどのような(メタ)アクリレート系モノマーを挙げることができる。また、本発明のポリ((メタ)アクリレート)系重合体には、必要に応じて少量の架橋性モノマーを共重合させることができる。架橋性モノマーとしては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタジエンなどの多官能モノマーを挙げることができる。
(β2)成分100重量%中、前記架橋性モノマーは、好ましくは50重量%以下、より好ましくは35重量%以下、更に好ましくは20重量%以下の範囲で使用される。前記数値範囲の上限値を上回ると(β2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材が硬くなることがあり、(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物、及び(β1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物との馴染みが低下し易くなるので、所望の物性を発揮することができにくくなり、好ましくない。
また、(β2)成分中には、少量ならば(メタ)アクリレート系成分以外の単量体や重合体が、共重合や混合していてもよい。(メタ)アクリレート系成分以外の成分としては、スチレン、ブタジエンなどのビニル化合物等が挙げられる。前記(メタ)アクリレート系成分以外の成分は、好ましくは50重量%以下、より好ましくは40重量%以下、更に好ましくは30重量%以下の範囲で使用される。
本発明で充填材(β2)として好適に使用されるポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子の重合体重量平均分子量は、5万〜60万の範囲内にあることが好ましい。
また、本発明において、これらの充填材(β2)は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
本発明において、(β1a)成分と(β1b)成分と後述する(β3)成分との馴染みを向上させるためには、上記充填材(β2)の粒子の平均粒子径は、0.001〜60μmの範囲内にあることが好ましく、さらに、0.01〜50μmの範囲内にあることが特に好ましい。
上記(β2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材は、(β1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の、(β2)以外の成分100重量%に対して、好ましくは0〜185重量%、より好ましくは8.6〜71重量%、更に好ましくは17〜21重量%の範囲で使用される。
前記数値範囲の下限値以上であると、歯科用複合充填材としての形態を維持でき、好ましい。一方、前記数値範囲の上限値を上回ると、本発明の複合充填材に含有する(α)成分の性能が発揮され難くなり、所望する複合充填材及び歯科用組成物硬化体が得られなくなり好ましくない。
(β3)重合開始剤
本発明に配合される(β3)成分は、重合開始剤である。重合開始剤(β3)としては、例えば有機ホウ素化合物、有機過酸化物、無機化酸化物を挙げることができる。有機ホウ素化合物としては、例えばトリエチルホウ素、トリ(n−プロピル)ホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリ(n−ブチル)ホウ素、トリ(s−ブチル)ホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリオクチルホウ素、トリデシルホウ素、トリドデシルホウ素、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素、ブチルジシクロヘキシルボランなどのトリアルキルホウ素;ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素;ジイソアミルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンなどのジアルキルボラン;テトラフェニルホウ素ナトリウム、テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩、テトラフェニルホウ素ジメチル−p−トルイジン塩、テトラフェニルホウ素ジメチルアミノ安息香酸エチルなどのアリールボレート化合物;部分酸化トリブチルホウ素などの部分酸化トリアルキルホウ素などを挙げることができる。なお、トリアルキルホウ素とそれより誘導される部分酸化トリアルキルホウ素などを併せてトリアルキルホウ素化合物という。
有機過酸化物としては、例えばジアセチルパーオキサイド、ジプロピルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、ジカプロルパーオキサイド、ジラウリルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、p,p’−ジクロルベンゾイルパ−オキサイド、p,p’−ジメトキシベンゾイルパーオキサイド、p,p’−ジメチルベンゾイルパーオキサイド及びp,p’−ジニトロジベンゾイルパーオキサイドなどを挙げることができる。
無機過酸化物としては、例えば過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどを挙げることができる。酸化還元性金属化合物としては、例えば銅、鉄、コバルトなど遷移金属の硝酸塩、塩化塩、アセチルアセト塩などを挙げることができる。
これらの中では、トリブチルホウ素あるいは部分酸化トリブチルホウ素を用いることが好ましく、さらに最も好ましい有機ホウ素化合物は部分酸化トリブチルホウ素である。これらの(β3)成分は単独であるいは2種以上組み合わせで使用することができる。
さらに本発明の歯科用組成物において硬化剤の助剤として本発明の目的を損なわない限り、光重合開始剤を配合されていてもよい。光重合開始剤としては、可視光線を照射することによって重合性モノマーの重合を開始しうるものが好ましく使用され、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類;ベンジル、4,4’−ジクロロベンジル、ジアセチル、α−シクロヘキサンジオン、d,1−カンファキノン(CQ)、カンファキノン−10−スルホン酸、カンファキノン−10−カルボン酸などのα−ジケトン;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノンなどのジフェニルモノケトン類;2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド類などの光増感剤を挙げることができる。
これらの中ではd,1−カンファキノン、カンファキノン−10−カルボン酸、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドが特に好ましい。これら光重合開始剤は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
加えて、上記光重合開始剤の重合開始効果を向上するため、有機ホウ素化合物の触媒効果に悪影響を及ぼさない還元性化合物の併用も可能である。例えば、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン、N,N−ジメチル−p−t−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチル−p−クロルアニリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル及びそれらの塩、N,N−ジエチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステルおよびそれらの塩、N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、N−フェニルグリシン及びその塩、N−トリルグリシンおよびその塩、N,N−(3−(メタ)アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシンおよびその塩などの有機還元性化合物を挙げることができる。
上記(β3)重合開始剤は、(β1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物100重量%に対して、好ましくは0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜10重量%の範囲で使用される。また、本発明で光重合開始剤を使用する場合、有機ホウ素化合物の使用量を100重量%に対して、好ましくは0.1〜10重量%、更に好ましくは0.2〜5重量%の範囲で使用される。さらに、還元性化合物の配合量は、通常は使用される光重合開始剤の0.5〜3.0倍の範囲で使用される。
前記数値範囲の下限値を下回るとレジン系組成物が硬化することなく重合が終了してしまい所望する物性を得ることができなくなり、一方、上限値を上回ると重合に関与できなかった重合開始剤がレジン系組成物硬化体の物性に影響を及ぼし、基礎的特性が損なわれるおそれがあり、何れも好ましくない。
(α)生物活性セメント成分
本発明に使用される(α)成分は、生物活性セメント成分である。この(α)成分とは、硬組織などの生体組織に対して有益な作用を達成できるカルシウム系生体材料である。適した生物活性セメントとしては、特に限定されるわけではないが、例えばバイオガラス、リン酸カルシウム系セメント、水酸化カルシウム系セメント、ヒドロキシアパタイト系材料、アルミン酸カルシウム系セメント及びポルトランドセメント等が挙げられる。
バイオガラスとしては、例えばSiO−CaO−NaO−P系ガラス、SiO−CaO−NaO−P−KO−MgO系ガラス、SiO−CaO−Al−P系ガラス(アパタイトウォラストナイト結晶化ガラスとも称する)及びCaO−Al−P系ガラス等が挙げられる。
リン酸カルシウム系セメントとしては、例えばα型第3リン酸カルシウム単独;第4リン酸カルシウム単独;α型第3リン酸カルシウムと第4リン酸カルシウムとの混合物;α型第3リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウム及び/又は第1リン酸カルシウムとの混合物(即ちα型第3リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウムとの混合物、α型第3リン酸カルシウムと第1リン酸カルシウムとの混合物、α型第3リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウムと第1リン酸カルシウムとの混合物);第4リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウム及び/又は第1リン酸カルシウムとの混合物(即ち、第4リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウムとの混合物、第4リン酸カルシウムと第1リン酸カルシウムとの混合物、第4リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウムと第1リン酸カルシウムとの混合物);若しくはα型第3リン酸カルシウムと第4リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウム及び/又は第1リン酸カルシウムとの混合物(即ちα型第3リン酸カルシウムと第4リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウムとの混合物、α型第3リン酸カルシウムと第4リン酸カルシウムと第1リン酸カルシウムとの混合物、α型第3リン酸カルシウムと第4リン酸カルシウムと第2リン酸カルシウムと第1リン酸カルシウムとの混合物)等を挙げることができる。
ポルトランドセメントしては、一般的に土木建築用途に用いられているポルトランドセメントを適宜リファインして、歯科用途に適用したものである。
ポルトランドセメントは、カルシウムの酸化物とケイ素の酸化物を主体として、少量の硫酸カルシウムやアルミニウムの酸化物と、必要に応じて鉄等の遷移金属やその他のアルカリ金属元素やアルカリ土類元素の酸化物や塩を少量含有してなるものであり、好適には固溶体などの形態を有する。特に限定されるものではないが、通常よく知られているポルトランドセメントの一般的組成としては、各元素の酸化物にて換算して、
CaOは、好ましく4〜85重量%、より好ましく40〜85重量%、更に好ましくは55〜75重量%、特に好ましくは60〜70重量%、SiOは、好ましく10〜95重量%、より好ましく10〜50重量%、更に好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは18〜32重量%、Alは、好ましく0〜17重量%、より好ましく0〜15重量%、更に好ましくは1.5〜8重量%、特に好ましくは2.5〜6重量%、SOは、好ましく0.02〜6重量%、より好ましく0.2〜6重量%、更に好ましくは0.5〜3重量%、特に好ましくは0.6〜2重量%、Feは、好ましく0〜4.7重量%、より好ましく0〜4.5重量%、更に好ましくは0.2〜2重量%、特に好ましくは0.5〜1重量%、MgOは、好ましく0.02〜5重量%、より好ましく0.2〜5重量%、更に好ましくは0.7〜3重量%、特に好ましくは0.8〜2重量%、上記の残余が、上記以外の遷移金属(原子番号順にバナジウムから銅)やその他のアルカリ金属元素等である。
但し、酸化物にて換算するとは、対象となる全体の実測重量Woを100重量%として、そこに含まれる分析対象の元素のモル数nを分析測定し、当該モル数nの当該元素を酸化して、指定した形態の酸化物乃至は常温常圧下で最安定の酸化物にした場合の酸化物重量Wxを割り出して、その重量%(100*Wx/Wo)を求めたものである。
従って、当該元素が当該酸化物形態にて含有されると限定されるものではないし、実際に含有されている当該元素の化合物形態が当該酸化物形態と相違すれば、その化合物の重量%が前記酸化物換算値と一致しないことも当然あり得る。
また、ケイ素成分として、ヒュームドシリカのような、アモルファス形態、ナノサイズ、乃至は球状の二酸化ケイ素がポルトランドセメント成分として含まれていてもよい。
但し、ポルトランドセメントでは、これらの成分がそれぞれ単独で粉末乃至は粒子として存在していることは殆ど無く、複数の成分が混合された固溶体で存在している。
ポルトランドセメント(生セメント)は、石灰石、粘土、珪石、酸化鉄等を微粉砕混合し、例えばロータリーキルン等を用いて、最高1450℃に焼成し、1200℃までは徐冷、それ以降は急冷してクリンカーを作製し、これに石膏3〜4重量%を加えて微粉砕して得ることができる。クリンカーは、酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化鉄などを主成分とする固溶体の粉末を主としてなり、例えば、
エーライト相としてケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO)系固溶体、
ビーライト相としてケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO)系固溶体、
アルミネート相としてカルシウムアルミネート(3CaO・Al)系固溶体及び、
フェライト相としてカルシウムアルミノフェライト(3CaO・Al・Fe
系固溶体を有しており、それぞれ、20〜65重量%、10〜55重量%、5〜10重量%、9〜15重量%含まれるものであり、その他、ガラス質の混合相を有することもある。
歯科用途としては、審美性の観点から、着色を抑えるために鉄等の含有を適宜削減することが好ましい。また、粘度調整などの為にヒュームドシリカ等が添加される場合があり、必ずしも上記の通りの組成にて各固溶体が含まれるものではない。本発明の組成物ではエーライト相としてケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO)系固溶体:ビーライト相としてケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO)系固溶体:アルミネート相としてカルシウムアルミネート(3CaO・Al)系固溶体=20〜65:10〜55:5〜10の重量比にて含まれていることが好ましい。
なお、生物活性セメントがポルトランドセメントのような水硬性セメントの場合には、水等と反応して硬化反応可能な状態(未硬化状態)にて複合充填材粒子を形成してもよいし、予め反応させて、もはや反応しない状態(硬化状態)にて複合充填材粒子を形成してもよい。或いは、不完全に反応させた状態(半硬化状態)であったり、それらの任意の混合物であってもよい。更には複合充填材粒子を形成してから、反応させたもの(複合後硬化状態)であってもよい。なお、未硬化状態では、反応性は良いという利点が有り、硬化状態では保存安定性や低発熱であるなどの低為害性を有するという利点が有り、半硬化状態や混合物では、その中間の特性を有するものである。また、複合後硬化状態では、生物活性セメント粒子は、複合充填材粒子表面は専ら硬化状態であり、内部の方は未硬化状態であるので、反応がゆるやかに進む利点がある。
前記の酸化カルシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム及び酸化鉄などの金属酸化物粉末を主成分とする粉末と硫酸カルシウムの他に、その他の粉末成分として、例えば、炭酸カルシウムなどの金属塩粉末、シリカガラス、アルミニウム含有ガラスなどのガラスフィラーなどを有する無機物を含むことができる。
本発明における生物活性セメントのカルシウム含有率は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは、10〜80重量%、更に好ましくは、30〜60重量%である。前記数値範囲の下限値を下回ると生物活性セメントの生体組織への効果が低下することとなり、一方、上限値を上回ると水和硬化後の機械的物性が低下することとなり、何れも好ましくない場合がある。本発明における生物活性セメントのリン含有率は、好ましくは20〜90重量%、より好ましくは、30〜80重量%、更に好ましくは、40〜70重量%である。前記数値範囲の下限値を下回ると構造体の機械的強度が低下することとなり、一方、上限値を上回ると構造体としての形態を維持することが困難となり、何れも好ましくない場合がある。
これら生物活性セメントは、適宜製造しても、市販品を用いてもよく、例えばリン酸カルシウム系セメントは、湿式法、乾式法若しくは水熱法等により、製造した合成リン酸カルシウム系セメントを用いてもよく、又は骨若しくは歯等から分離された天然のリン酸カルシウム系セメントを用いてもよい。
これら生物活性セメントは単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明に用いられる(α)成分の別の実施形態では、(β)重合体と混合する前に、セメント硬化体を形成し、その硬化体を規定のサイズ及び/若しくは形状の粒子に縮小、粉末化させて使用することも可能である。
(α)成分の形態としては、特に限定されるものではないが、例えば充填材のような粒子形状であることが好ましい。この場合に粒径はメッシュパスにて好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下の範囲内にある。なお、下限値については特に限定するものではないが、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上の範囲である。
なお、(α)成分が、例えば充填材のような粒子形状にて、(β)(β1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体の粒子中に分散して複合充填材粒子を形成している場合には、α)成分の粒子直径/当該複合粒子の直径の比率は、好ましくは1:100000〜1:1.001、より好ましくは1:1000〜1:1.01、更に好ましくは1:15〜1:2.5の範囲である。前記数値範囲の上限値を上回ると複合充填材としての形態を維持できないこととなり、いずれも好ましくない。
前記数値範囲の上限を上回ると、前記(β1a)、(β1b)、(β2)、(β3)成分と均一に分散せず偏析してしまい、後述する複合充填材作製において(α)成分が前記(β1a)、(β1b)、(β2)、(β3)成分で構成される重合性組成物に内包されずに粉末化されてしまうおそれがある。
上記(α)生物活性セメントは、(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物、(β1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物、および(β3)重合開始剤の合計100重量%に対して、好ましくは336〜15重量%、より好ましくは270〜40重量%、更に好ましくは203〜65重量%の範囲で使用される。
前記数値範囲の下限を下回ると、硬組織などの生体組織に対する有益な作用が低下することとなり、一方、上限値を上回ると後述する本発明の複合充填材の作製が困難になることとなり、何れも好ましくない。
又、カルシウム原子は、(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物、(β1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物、および(β3)重合開始剤の合計100重量%に対して、好ましくは0.01〜60重量%、より好ましくは1〜50重量%、更に好ましくは10〜40重量%の範囲で使用される。
前記数値範囲の下限を下回ると、硬組織などの生体組織に対する有益な作用が低下することとなり、一方、上限値を上回ると複合充填材の作製及びその形態維持が困難となることとなり、何れも好ましくない。
なお、前記数値範囲を満たすならば、例えば、(α)生物活性セメント粒子以外にカルシウム原子を有しない無機粒子も本発明の歯科用複合充填材に含有されていても差し支えない。
本発明の複合充填材の調製方法
本発明の複合充填材は、前記(β1a)、(β1b)、(β2)、(β3)、(α)成分の混合物を公知の重合法、例えば溶液重合、塊状重合、乳化重合、光重合等の重合法により重合させた後、粉砕して作製することができる。
重合法の好ましい一例を示すと、予め粉末成分である(β2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材及び(α)生物活性セメント成分とを所望の重量比で混合させ、得られたその混合粉末と(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物、(β1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物及び(β2)重合開始剤で構成される液成分とを所望の重量比で混和させペースト化する。得られたそのペーストを硬化する前に金型に充填・圧接し、室温以上の環境下に放置することで硬化体が得られる。
得られた硬化体の粉砕は、予め5mm程度の大きさに粗粉砕した後、ボールミル、ローラーミル、摩砕ミル及びジェットミル等の乾式粉砕機、又はコロイドミル等の湿式粉砕機を用いて行われる。湿式粉砕では溶媒を除去、乾燥する必要があるので、乾式粉砕の方が好ましい。さらに、得られた硬化体が軟質で通常の粉砕が困難な場合は、液体窒素などを用いた凍結粉砕により粉砕してもよい。
粒子形状は球状体であっても不定形体であってもよく、所望の粒子径になるまで実施される。また、粉砕後は篩いやエアジェット分級機等で所望の粒子径や粒子分布を有する粉体を得ることもできる。
本発明における複合充填材中の(α)成分の活性を極力効率よく発現させるためには、塊状に固まらずになるべく分散されていることが好ましいから、本発明における複合充填材の粒径は、メッシュパスを準用して好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは30μm以下の範囲である。但し、通常メッシュパスでは、その上限値粒径より大きい粒子は一切含まれないのが標準であるが、本発明の準用では、前記の各上限値以下の粒径の複合充填材を100重量%とした際に、(α)成分として、各上限値粒径を超えて各上限値粒径の1.3倍以下の粒径の複合充填材は、20重量%以下含まれていても良いが、各上限値粒径の1.3倍を超える粒径の複合充填材は、0.5重量%以下であるものとする。なお、下限値については特に限定するものではないが、好ましくは0.001μm以上、より好ましくは0.01μm以上、さらに好ましくは0.5μm以上の範囲である。
本発明の複合充填材の作製に使用される(β1a)及び(β1b)成分の混合物自体が熱重合するものであれば、(β2)重合開始剤を含まない前駆体をそのまま公知の方法で加熱重合して複合充填材を作製してもよい。
また、複合充填材は後述の表面処理剤や処理方法で疎水化処理して使用しても差し支えない。表面処理剤の好ましい処理量としては、複合充填材100重量部に対して表面処理剤が、好ましくは0.1〜20重量%、より好ましくは0.1〜15重量%であり、更に好ましくは0.1〜10重量%である。
本発明の充填材は、有機成分を多く含むため比重が軽く、無機成分も含むため親水性を有する。そのため、水中に投ずると1日以上の間、水中に浮遊する。これに対して、重合体のみからなるフィラーや撥水処理した無機フィラーは、撥水性のため水面に浮き、無処理の無機フィラーは、親水性と高比重のために水底に没するという違いが有るので、これらのフィラーと本発明の充填材は容易に区別することが可能である。
本発明の歯科用組成物
本発明の歯科用組成物は、前記の複合充填材を含有し、好ましくはそれに加えて、(γ1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物、(γ1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物、(γ2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材、(γ3)重合開始剤及び上記の複合充填材を含むことを特徴とする。また、これらの配合量は、使用目的等に応じて適宜選択される。これらの(γ1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物、(γ1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物、(γ2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材、(γ3)重合開始剤は、それぞれ、前記の(β1a)分子内に酸性基と重合性基を有する化合物、(β1b)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物、(β2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材、(β3)重合開始剤と同様のものを同様の組成比率にて用いることが可能である。
なお、本発明の複合充填材を含有した歯科用組成物の重量を100重量%とした際、当該複合充填材の含有比率は、好ましくは80〜20重量%、より好ましくは70〜30重量%、更に好ましくは60〜40重量%である。
本発明の歯科用組成物における前記複充填材の配合形態乃至保存形態としては、特に限定されるものではないが、(β2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材や後述する(γ5’)無機フィラー、(γ6)色素及び/又は顔料等の乾燥粉末成分に混合乃至は複合されている保存形態が好ましい。
本発明の歯科用組成物における(γ2)ポリ((メタ)アクリレート)系重合体粒子からなる充填材は、(γ1a)、(γ1b)、(γ3)成分と前記複合充填材の混合物で重合硬化し、所望の物性が達成される場合、本発明の歯科用組成物に含まなくてもよい。
(γ4)安定剤
本発明は所望により(γ4)成分の安定剤を使用することができる。(γ4)成分としては、例えば2−ヒドロキシ−4−メチルベンゾフェノンのような紫外線吸収剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,5−ジターシャリーブチル−4−メチルフェノール等の重合禁止剤、変色防止剤、抗菌材、着色顔料その他の従来公知の添加剤等の成分を、必要に応じて任意に添加できる。
(γ1’)多官能(メタ)アクリレート化合物
本発明は所望により(γ1’)成分の多官能(メタ)アクリレート化合物を使用することができる。(γ1’)成分としては、例えばグリセロールジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパンなどのブタントリオールのジ(メタ)アクリレート;メソ−エリスリトールなどのブタンテトラオールのジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート;ペンタントリオールのジ(メタ)アクリレート;テトラメチロールメタンなどのペンタンテトラオールのジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート;キシリトール及びその異性体の水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;ヘキサントリオールのジ(メタ)アクリレート;ヘキサンテトラオールのジ(メタ)アクリレート又はトリ(メタ)アクリレート;ヘキサンペンタオールの水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;ヘキサンヘキサオールの水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;あるいは下記式(1)
Figure 2015074624
[式(1)中、Rは少なくとも1個の芳香族環を有しかつ分子中に酸素原子又は硫黄原子を有していてもよい2価の芳香族残基あるいはシクロアルキル残基、好ましくは下記式(2)
Figure 2015074624
から選択されるいずれかを示し、R及びRは互いに独立して水素原子又はメチル基を示し、n及びmは正の整数を示す]で示される多官能(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。これら多官能(メタ)アクリレートは、官能基の数が2〜3個のものが好ましく用いられ、2個(2官能)のものがより好ましい。官能基数が多い場合には、添加量によって組成物の硬化体の架橋度が高くなり、組成物の硬化体の柔軟性を損なわれ、歯質や歯科用金属への接着性を低下させる傾向がある。
なお、多官能(メタ)アクリレート化合物である(γ1’)成分は通常、酸性基を有しないものとするのが好ましい。
上記(γ1’)多官能(メタ)アクリレート化合物は、(γ)(γ1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体100重量%に対して、好ましくは1〜20重量%、更に好ましくは2〜9重量%の範囲内の量で含有させることができる。前記数値範囲の上限を上回ると、歯科用組成物硬化体の架橋度が高くなり、歯科用組成物硬化体の柔軟性を損なう傾向があり、好ましくない。
(γ5’)無機フィラー
本発明は所望により(γ5’)成分の無機フィラーを使用することができる。無機フィラーの例としては、ジルコニウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸化物、酸化亜鉛及び酸化アルミニウム粒子などの金属酸化物粉末、炭酸カルシウム、炭酸ビスマス、リン酸ジルコニウム及び硫酸バリウムなどの金属塩粉末、シリカガラス、アルミニウム含有ガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラス及びジルコニウムシリケートガラスなどのガラスフィラー、銀徐放性を有するフィラー、フッ素徐放性を有するフィラーなどを挙げることができる。これら無機フィラーは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
また、無機フィラーと樹脂間に強固な結合を得るには、シラン処理、ポリマーコートなどの表面処理を施した無機フィラーを使用することが好ましい。
これらの無機フィラーは、単独であるいは組み合わせて使用することができる。
上記(γ5’)無機フィラーは、(γ)(γ1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体100重量%に対して、好ましくは15〜85重量%、より好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは25〜75重量%の範囲内の量で使用される。前記数値範囲の上限を上回ると、歯科用組成物硬化体の柔軟性を損なう傾向があり、好ましくない。
(γ6)色素及び/又は顔料
本発明は所望により(γ6)成分色素及び/又は顔料を添加してもよい。かかる色素及び/又は顔料としては、例えばフロキシンBK、アシッドレッド、ファストアッシドマゼンダ、フロキシンB、ファストグリーンFCF、ローダミンB、塩基性フクシン、酸性フクシン、エオシン、エチスロシン、サフラニン、ローズベンガル、ベーメル、ゲンチアナ紫、銅クロロフィルソーダ、ラッカイン酸、フルオレセインナトリウム、コチニール及びシソシン、タルク、チタンホワイトなどを挙げることができる。これらの色素及び/又は顔料は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
本発明の歯科用組成物のエッチングなしでの人歯象牙質微小引張接着強さは、好ましくは1〜30MPa、より好ましくは5〜25MPa、更に好ましくは2.5〜20MPaである。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例は歯科における露髄部に適用する直接覆髄材としての使用を想定している。そのため、直接覆髄材として一般的に使用されている水酸化カルシウム製剤(ダイカル デンツプライ三金株式会社)を比較するために使用した。
(ポルトランドセメント含有粉材の調製)
ポルトランドセメント(ホワイトセメント 太平洋セメント株式会社、以下PLC)を水(PLC/蒸留水=74.1g/25.9g)で混練し、80×80×1mmのテフロン(登録商標)製の型枠に流し込み、室温で一晩放置し硬化させた。
硬化後のPLCを遊星回転ボールミル(実験用遊星回転ポットミル LP−1株式会社伊藤製作所)により粉砕し、篩(100メッシュ)を通過させた粉材(以下、R−PLC)とスーパーボンドポリマー粉末クリア(サンメディカル株式会社、以下SBC)を重量比(R−PLC:SBC=9:1)で混合し、ターブラーミキサー(TURBULA T2F Willy A Bachofen AG)で撹拌させ粉材を均一化させた(以下R−PLC/SBC)。
このR−PLC/SBC粉材とスーパーボンドクイックモノマー液(サンメディカル株式会社)、スーパーボンドキャタリスト(サンメディカル株式会社)を重量比(R−PLC/SBC:スーパーボンドクイックモノマー液:スーパーボンドキャタリスト=0.1951g:0.10g:0.0054g)で混和泥を作製し、20×20×1mmのテフロン製の型枠に充填し、23℃で3日間放置した。
3日後、硬化した試料を1mm四方のペレット状に砕き、遊星回転ボールミル(実験用遊星回転ポットミル LP−1 株式会社伊藤製作所)にて粉砕し、篩(280メッシュ)を通過させることで、ポルトランド含有粉材(以下RCP)を得た。
(人歯象牙質微小引張接着強さ測定)
人歯健全大臼歯を咬合面から注水下で#600の耐水研磨紙で研磨し、健全な象牙質を露出させた。
露出象牙質面に対し、下記実施例1又は比較例1に従って、上記RCPを適用し、適用直後にボンドフィルSB(サンメディカル株式会社)を製造者指示通りに適用し、適用直後に厚さ5mmのアクリル板で圧接した。
その状態で、15分間室温で放置した後、圧を取り除き37℃、1晩、水中浸漬した。
水中浸漬後、硬組織精密低速切断機(Isomet low speed saw,Buehler Ltd)を用いて接着界面に垂直に厚さ1mmの連続切片に切り出し、更に切片を接着面積が1×1mmの短冊状になるように切り分け、小型卓上試験機(EZ Test 島津製作所)にて、クロスヘッドスピード1mm/minで微小引張接着強さ測定を行った。
実施例1
上記の微小引張接着強さ測定に従って、上記ポルトランド含有粉材RCPを、スーパーボンドモノマー液(サンメディカル株式会社):スーパーボンドキャタリスト=0.10g:0.0054gの活性化液で露出象牙質面に筆積法(製造業者推奨方法)により適用した。
比較例1
実施例1において、RCPをダイカル(水酸化カルシウム製剤)を替えた以外は、実施例1と同様に行った。
結果を表1に示す。
Figure 2015074624
表1の結果から、一般的に直接覆髄材として使用されている水酸化カルシウム製剤(ダイカル)は歯質と接着せず、それに伴うシール性は期待できないことが示唆された。また、RCPは歯質と接着し、それに伴うシール性が期待できると考えられることから、従来の覆髄材と比較して接着性およびそれに伴うシール性が向上したことで、細菌や唾液などの侵入を抑制することが可能となり、より効率的に生物活性セメント成分の使用が可能となった。

Claims (8)

  1. (α)生物活性セメントと、
    (β)(β1)単官能重合性単量体を含有する単量体組成物の重合体
    よりなる歯科用複合充填材。
  2. (α)生物活性セメントのドメインが(β)重合体成分のマトリクス中に存在している請求項1記載の歯科用複合充填材。
  3. (β)重合体の単量体組成物には、
    (β1a)分子内に少なくとも1つの酸性基を有する単量体
    が含まれている請求項1記載の歯科用複合充填材。
  4. 上記(β1a)分子内に少なくとも1つの酸性基を有する単量体が、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基およびチオリン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1つの酸性基を有する請求項3記載の歯科用複合充填材。
  5. (β)重合体の単量体組成物には、
    (β1b)分子内に酸性基を有しない単量体
    が含まれている請求項1記載の歯科用複合充填材。
  6. (β)重合体中に、
    (β2)ポリ(メタ)アクリレート系重合体粒子
    が含まれている請求項1記載の歯科用複合充填材。
  7. (α)生物活性セメントの微粒子の存在下、
    (β)単量体組成物を硬化させ、
    更に、粉砕することよって形成された請求項1記載の歯科用複合充填材。
  8. 請求項1記載の歯科用複合充填材を含有することを特徴とする歯科用組成物。
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