JP2012020983A - 歯科用組成物 - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明の歯科用組成物によれば、硬組織誘導能を有するとされる歯科用組成物が優れた操作性と物性及び、優れた歯質接着性を備えた形態で提供できる。
【選択図】なし
Description
(A)分子内に少なくとも1つの重合性基を有する化合物、
(B)フィラー、
(C)重合開始剤、および、
(D)ポルトランドセメント成分を含んでなることを特徴としている。
本発明の歯科用組成物に配合される(A)成分は、分子内に少なくとも1つの重合性基を有する化合物である。この(A)成分中にある重合性基としては、ラジカル重合性基が好ましく用いられ、ビニル基、シアン化ビニル基、アクリロイル基、メタアクリロイル基、アクリルアミド基、メタアクリルアミド基などを挙げることができる。
分子内に少なくとも1つの重合性基と酸性基を有する化合物(A1)と、
分子内に少なくとも1つの重合性基を有し,且つ,酸性基を有しない化合物(A2)とに分けることができる。
(メタ)アクリル酸(以下、アクリル酸とメタアクリル酸の総称として(メタ)アクリル酸と記載する。)、マレイン酸等のα−不飽和カルボン酸;
4-ビニル安息香酸等のビニル芳香環化合物;
11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(以下、アクリロイルとメタアクリロイルの総称として(メタ)アクリロイルと記載する。)等の(メタ)アクリロイルオキシ基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸化合物;
6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルナフタレン(ポリ)カルボン酸;
4-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸等といった(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸;
4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸等のさらに水酸基を含有する化合物;
2,3-ビス(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレ−ト(以下、アクリレートとメタアクリレートの総称として(メタ)アクリレートと記載する。)等のカルボキシベンゾイルオキシを有する化合物;
N,O-ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O-(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、O-(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N,O-ジ(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン等のN-および/またはO-位置換のモノまたはジ(メタ)アクリロイルオキシアミノ酸;
N-(メタ)アクリロイル-4-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-5-アミノ安息香酸、2-または3-または4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-または5-(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸等の官能性置換基を有する安息香酸の(メタ)アクリロイル化合物;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トと無水マレイン酸または3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと不飽和ポリカルボン酸無水物の付加反応物;
2-(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、N-フェニルグリシンまたはN-トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレ−トとの付加物、4-[(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3-または4-[N-メチル-N-(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などのポリカルボキシベンゾイルオキシと(メタ)アクリロイルオキシを有する化合物などを挙げることができる。
リン酸基、即ち、少なくとも1個の水酸基がリン原子に結合している基、および水中で容易に該基に変換し得る官能基として、例えばリン酸エステル基で水酸基を1個または2個を有する基を好ましく例示することができる。このような基を有する重合性単量体としては、例えば2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2-および/または3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシドホスフェート;
ビス[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシドホスフェート、ビス[2-または3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシドホスフェート等の2つ以上の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有するアシドホスフェート;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-p-メトキシフェニルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基とフェニレン基などの芳香環やさらには酸素原子などのヘテロ原子を介して有するアシドホスフェートなどを挙げることができる。
3-ブロモ-2-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシ-1-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート等の前記のアルキル部にハロゲンや酸素などのヘテロ原子を含む原子団を有する化合物;
1,1-ジメチル-2-スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2-メチル-2-(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸等の前記アクリレートに換えてアクリルアミドである化合物など;
さらには4-スチレンスルホン酸、4-(プロプ-1-エン-2-イル)ベンゼンスルホン酸などのビニルアリールスルホン酸などを挙げることができる。
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖状または分枝状アルキル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート等の酸素原子などを含む複素環(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ) アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のさらに塩素などのハロゲンを有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ) アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の直鎖状または分枝状のポリもしくはモノアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のようなトリメチロールアルカントリ( メタ) アクリレートなどの三官能重合性単量体;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等のようなポリメチロールアルカンやそのエーテルのテトラ(メタ)アクリレートなどの四官能重合性単量体;
ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等のようなポリメチロールアルカンやそのエーテルのポリ(メタ)アクリレート
などの五官能以上の重合性単量体が挙げられる。
本発明における(A)成分は、(A)〜(D)を混合して得られる組成物の合計100重量部中に、8〜85重量部の範囲内の量、好ましくは15〜80重量部の範囲内の量、特に好ましくは20〜75重量部の範囲内の量で含有される。前記数値範囲の下限を下回ると操作性が著しく低下し、前期数値範囲の上限を上回ると所望の接着性能を発揮することができにくくなる。
また、無機フィラーと樹脂間に強固な結合を得るには、シラン処理、ポリマーコートなどの表面処理を施した無機フィラーを使用することが好ましい。
前記ポリマー粒子の多官能モノマーの配合率や重量平均分子量の数値範囲外では、いずれも、当該ポリマー粒子による組成物の粘度調整や重合調整等の効果を充分発揮し難くなるので好ましくない。
CaO 47〜57重量%、
SiO2 21〜28重量%、
Bi2O3 17〜21重量%、
Al2O3 2〜2.4重量%、
MgO 1.4〜1.8重量%、
SO3 0.57〜0.69重量%、
FeO 0.42〜0.52重量%
である。好適な具体例((D)成分と(B1)成分とを併せた組成物)としては、三酸化ミネラルアグリゲイトであってもよい。
アセチルパーオキサイド等のような過酸化カルボン酸無水物;
ベンゾイルパーオキサイド等のような芳香族系過酸化カルボン酸無水物;
スクシン酸パーオキサイド等のようなポリカルボン酸の過酸化無水物;
ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等のような直鎖状または分枝状脂肪族系及び/または芳香族系パーオキシジカーボネート;
tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルパーオキシネオデカネート、クメンパーオキシネオデカネート等のような直鎖状または分枝状脂肪族系及び/または芳香族系過酸化エステル;
アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等のようなカルボン酸とスルホン酸の過酸化無水物などが挙げられる。
α−ナフチル等のようなナフチル系化合物;
ベンジル、p,p’−ジメトキシベンジル等のようなベンジル系化合物;
ペンタジオン等のようなβ−ジケトン化合物;
1,4−フェナントレンキノン、ナフトキノン等のようなキノン化合物;
ジフェニルトリメチルベンゾイルフォスフィンオキシド等のようなベンゾイルフォスフィンオキシド系化合物などが挙げられる。これらは、可視光または紫外光照射によって励起されて重合を開始する公知の化合物類であり、1種単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、有機過酸化物もしくは光重合開始剤を使用する場合、有機還元剤や無機還元剤などの還元性化合物を併用することができるが、これら自体レドックス系などで重合開始剤(C)として用いることも可能である。
N−フェニルグリシン(NPG)およびその塩、N−トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)などのアミン類を併用することができる。これらの中では、DMPT、DEPT、DEABA,DMABAd、NPG、NTGが好ましく使用できる。
硬化を速やかに終了させるための、有機過酸化物と還元性化合物との組み合わせとしては、ベンゾイルパーオキサイドと、N−フェニルグリシンおよび/またはN−トリルグリシン(NTG)との組み合わせなどが好ましく用いられる。当該組合せの重量比率としては、好ましくは5:1〜1:5、より好ましくは3:1〜1:3、更に好ましくは1:1.5〜1.5:1である。
ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素;
ジイソアミルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンなどのジアルキルボラン;
テトラフェニルホウ素ナトリウム、テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩、テトラフェニルホウ素ジメチル-p-トルイジン塩、テトラフェニルホウ素ジメチルアミノ安息香酸エチルなどのアリールボレート化合物;
部分酸化トリブチルホウ素などの部分酸化トリアルキルホウ素などを挙げることができる。
本発明における(C)成分は、(A)〜(D)を混合して得られる組成物の合計100重量部中に、0.01〜40重量部の範囲内の量、好ましくは0.05〜35重量部の範囲内の量、特に好ましくは0.1〜30重量部の範囲内の量で含有される。前記数値範囲の下限を下回ると重合不足により物性が低下するまた、上限を上回ると重合硬化速度が速すぎるため、操作性が著しく低下し性能を発揮することができにくくなる。
CaOは、好ましく4〜85重量%、より好ましく40〜85重量%、更に好ましくは55〜75重量%、特に好ましくは60〜70重量%、
SiO2は、好ましく10〜95重量%、より好ましく10〜50重量%、更に好ましくは15〜40重量%、更に好ましくは18〜32重量%、
Al2O3は、好ましく0〜17重量%、より好ましく0〜15重量%、更に好ましくは1.5〜8重量%、特に好ましくは2.5〜6重量%、
SO3は、好ましく0.02〜6重量%、より好ましく0.2〜6重量%、更に好ましくは0.5〜3重量%、特に好ましくは0.6〜2重量%、
Fe2O3は、好ましく0〜4.7重量%、より好ましく0〜4.5重量%、更に好ましくは0.2〜2重量%、特に好ましくは0.5〜1重量%、
MgOは、好ましく0.02〜5重量%、より好ましく0.2〜5重量%、更に好ましくは0.7〜3重量%、特に好ましくは0.8〜2重量%、
上記の残余が、上記以外の遷移金属(原子番号順にバナジウムから銅)やその他のアルカリ金属元素等である。
但し、ポルトランドセメントでは、これらの成分がそれぞれ単独で粉末乃至は粒子として存在していることは殆ど無く、複数の成分が混合された固溶体で存在している。
エーライト相としてケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2)系固溶体、
ビーライト相としてケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)系固溶体、
アルミネート相としてカルシウムアルミネート(3CaO・Al2O3)系固溶体及び、
フェライト相としてカルシウムアルミノフェライト(3CaO・Al2O3・Fe2O3)系固溶体を有しており、
それぞれ、20〜65重量%、10〜55重量%、5〜10重量%、9〜15重量%含まれるものであり、その他、ガラス質の混合相を有することもある。
エーライト相としてケイ酸三カルシウム(3CaO・SiO2)系固溶体:
ビーライト相としてケイ酸二カルシウム(2CaO・SiO2)系固溶体:
アルミネート相としてカルシウムアルミネート(3CaO・Al2O3)系固溶体=20〜65:10〜55:5〜10の重量比にて含まれていることが好ましい。
以下、本発明を実施例によりさらに詳述するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
以下の実施例などで表記に略号の意味は次の通りである。
MMA:メチルメタクリレート
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
4−MET:4−メタアクリロキシエチルトリメリット酸
2.6E:ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物とメタクリル酸の縮合体
VR90:下記の式で示されるビスフェノールA型エポキシアクリレート
UDMA:2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとHEMAの付加物
ZrO2:酸化ジルコニウム
TMPT・f:SiO2含有トリメチロールプロパントリメタクリレート(T
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
UDMA:2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートとHEMAの付加物
ZrO2:酸化ジルコニウム
TMPT・f:SiO2含有トリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT)硬化物の微粉末
PMMA:ポリメチルメタアクリレート
BPO:ベンゾイルパーオキサイド
NPG・Na:N−フェニルグリシンナトリウム塩
DMPT:N,N−ジメチル−p−トルイジン
TBBO:部分酸化トリブチルホウ素(トリブチルホウ素1モルに対して酸素原子0.4モルを付加)
HQME:ハイドロキノンモノメチルエーテル
BHT:2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール(ブチルヒドロキシトルエン)
MTA:三酸化アグリゲイト(ProRootMTA/DENTSPLY International Inc.製)
生セメント(家庭化学工業株式会社製のポルトランドセメント)
以下に各実施例組成物および、比較例を示す。
〔実施例1〕
HEMA/4−MET/2.6E/VR90/TEGDMA/BPO/TMPT・f/ZrO2/NPG・Na/生セメント=19.5/9.5/7.5/7.5/5.0/0.5/20.0/20.0/7.5/3
HEMA/4−MET/2.6E/VR90/TEGDMA/BPO/TMPT・f/ZrO2/NPG・Na/MTA=19.5/9.5/7.5/7.5/5.0/0.5/20.0/20.0/7.5/3
HEMA/4−MET/2.6E/VR90/TEGDMA/BPO/TMPT・f/ZrO2/NPG・Na/生セメント=19.5/9.5/7.5/7.5/5.0/0.5/20.0/20.0/7.5/10
MMA/4−MET/PMMA/TBB/MTA=46.0/2.5/46.5/1.5/3.5
生セメント/精製水=74.1/25.9
〔比較例2〕
MTA/精製水=74.1/25.9
上記の実施例・比較例に示した各組成物は、いずれも、各成分を室温(23℃)にて、10分間混合して作成した混和泥であり、混合完了直後、直ちにそれぞれの試験に適用した。
実施例・比較例の各組成物を混合したペーストをアルミパン内に約0.1g充填し、予め37℃に一定にした示差走査熱量計DSC−60(島津製作所)にセットして、最大発熱時のピーク時間を測定した。この最大発熱ピーク時間を硬化時間と定義して評価した。
ウシ下顎前歯を注水下#180エメリーペーパーで研磨し平坦な接着用象牙質面を削りだし、水洗、乾燥した後、前記の面を粘着テープでマスキングして直径4.8mmの円形の接着面積を規定した。次に、10%クエン酸と3%塩化第二鉄とを含有する水溶液(以下10−3溶液)を10秒間塗布し、水洗・乾燥した後に、実施例・比較例の各組成物を混合したペーストを接着歯面に塗布、更に上部にPPフィルムを乗せて圧接した状態で10分間保持し硬化させた。続いて、スーパーボンドC&B(サンメディカル(株)社製のメタクリレート系接着材)を用いてアクリルロッドを圧接して植立した。1時間経過し硬化したサンプルを5℃と55℃の水槽に交互に20秒ずつ、5000回の浸漬を繰り返した(ヒートサイクル)後、オートグラフAGS−2000G(島津製作所)を用いて、クロスヘッドスピード2mm/minで引張接着強さを評価した。
直径3mm、厚さ3mmの円筒形の孔の空いたテフロンモールドに、実施例・比較例の各組成物を混合したペーストを充填し、室温(23℃)で24時間放置した後、モールドから硬化物を取り出して、37℃の恒温水槽に24時間浸漬した。この硬化体をオートグラフAGS−2000G(島津製作所)により、クロスヘッドスピード2mm/minで圧縮強度を評価した。
硬化時間、引張り接着強さ、微小引張り接着強さおよび、圧縮強度の評価結果を下記の表1に示す。
Claims (10)
- (A)分子内に少なくとも1つの重合性基を有する化合物、
(B)フィラー、
(C)重合開始剤、および、
(D)ポルトランドセメント成分を含んでなることを特徴とする歯科用硬化性組成物。 - 上記(A)〜(D)からなる歯科用硬化組成物の合計を100重量部としたときに、(A)成分が8〜85重量部、(B)成分が12〜90重量部、(C)成分が0.01〜40重量部、(D)成分が0.1〜79重量部の範囲内の量で含有されていることを特徴とする請求項第1項記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(A)成分が,
分子内に少なくとも1つの重合性基と酸性基を有する化合物(A1)と、
分子内に少なくとも1つの重合性基を有し,且つ,酸性基を有しない化合物(A2)のいずれか一方もしくは両者であることを特徴とする請求項第1項または第2項記載の歯科用硬化性組成物。 - 上記(A1)成分が、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基、チオリン酸基およびその他の酸性基よりなる群から選ばれる少なくとも1つの酸性基を有することを特徴とする請求項第3項記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(A1)成分が、4-(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸および/またはその酸無水物であることを特徴とする請求項3項記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(B)成分が、無機フィラー、有機フィラーあるいは無機有機複合化フィラーのいずれかもしくはこれらの混合物であることを特徴とする請求項第1項乃至第5項のいずれかの項記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(D)成分が、酸化カルシウム、二酸化ケイ素及び硫酸カルシウムよりなる群から選ばれる少なくとも一種類の無機成分を含有することを特徴とする請求項第1項乃至第6項のいずれかの項記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(D)成分が更に三酸化ミネラルアグリゲイトを含有することを特徴とする請求項第1項または第7項記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記の歯科用組硬化性成物が、更に(E)色素および/または顔料を含むことを特徴とする請求項第1項乃至第8項のいずれかの項記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記の歯科用硬化性組成物が、更に(F)水中においてフッ化物イオンを放出する化合物を含むことを特徴とする請求項第1項乃至第9項のいずれかの項記載の歯科用硬化性組成物。
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