JP4342035B2 - 歯科接着性組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯牙などの修復に有利に用いられる歯科接着性組成物に関する。さらに詳しくは、歯質の保護を目的に歯質表面を直接に被覆することによって細菌の感染を予防し、外来刺激を遮断するために使用できる歯科接着性組成物に関する。さらに詳しくは、歯質に直接適用できて良好な接着性を有し、かつ、十分な硬さを有しているために、歯質へのコーティング材として適用でき、歯質への接着性が十分でないリン酸亜鉛セメント、カルボキシレートセメントおよびグラスアイオノマーセメントなどを該コーティング材の上にさらに使用して補綴修復物を適用することも可能であり、また、コンポジットレジン、レジンセメントなどで代表される歯科用レジンと歯質を接着させるための接着材としても使用できる歯科接着性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ムシ歯、破折や摩耗などによって失った歯牙を修復するためには確実に修復物と歯質とに接着する材料が必要となる。不確実な接着は、修復物との間に隙間を生じるために細菌が浸入して繁殖することによって二次カリエスを引き起こす場合がある。また、浸入した細菌が象牙質の象牙細管を経て歯髄に達すると歯髄炎を引き起こす場合がある。
【0003】
歯科修復に当たっては、歯牙の状況や欠損部の大きさ等によって治療方法が異なる。例えば比較的小さな欠損で、かつ、歯牙の衛生状態が良い場合には、ウ蝕部分を切削除去した後、直ちに接着材を使用してコンポジットレジン、グラスアイオノマーセメント、アマルガム等の充填材料を使用することで1度の来院で処置が済む。しかし、欠損部が大きかったり修復物に大きな力がかかる部位に対する治療にあたっては1度の来院ではできず、数日に渡る通院となる。すなわち、一般に、歯科医は最初に患者の歯牙を適切に削って形態を整え(窩洞形成)、印象材を使用して形態のレプリカを作成する。さらに、窩洞形成した歯牙には一旦仮封材などの歯牙に接着しない充填物を仮に詰めて初回治療を終える。そのレプリカをもとに金属やセラミックスなどを鋳造または築造し、数日間に渡って補綴物を製作する。歯科医は補綴物の完成後に再度患者を来院させ、仮の充填物を除去した後に補綴物をセメントにて歯質に装着する。
【0004】
1度の来院で処置ができる治療では、研削した表面に唾液や食物などの接触がないので感染する確率は少ない。一方、仮封材を適用するような上述の従来治療では、細菌が切削した歯質表面に付着したり、象牙細管内に浸入したりする確率が著しく高まる。これが除去されずに残ったまま補綴物を装着された場合には、二次カリエスや歯髄炎を引き起こす原因となりうる。さらに、仮封材を除去する際に先端の鋭利な治具などが歯質に強く触れると患者に歯質の損傷や強い痛みを与える場合があった。
【0005】
これまでに歯質に接着する組成物として、特公平7−64699号公報、特公平7−59487号公報、特公平6−99528号公報、特許第2543516号および特開平7−97306号公報などの提案がなされきた。また、該提案に使用できるホウ素含有の重合開始剤として特公平9−110913号公報が提案されている。しかし、これらは主にコンポジットレジンなどの接着材であり、1度の来院で処置できる治療に適した接着性組成物であり、コーティング材として使用するには、皮膜の厚さを制御するには困難であり、さらに硬化物の硬さが不十分であった。すなわち、接着性や接着耐久性を向上させるために比較的疎水性の硬化性組成物を形成しているが故に、多量の水分を含む歯質表面上に薄い皮膜を形成するためには使用者が歯質表面に塗布した組成物を筆やスポンジなどで塗り広げたり、圧搾空気などをあてて厚みを調整しなければならず、均一な厚みを再現良く形成させることが困難であった。また、薄く塗り広げられた組成物は、空気中の酸素の影響を強く受けてラジカル重合性が低下し、硬化が不十分になった結果として表面硬度、接着性の低下を招くことがあった。さらに、接着させる歯質には金属塩を含んでもよいリン酸、クエン酸およびEDTAなどの前処理(エッチング)が必要であった。
切削した歯質に前処理なしにそのまま接着できる硬化性組成物として特公平6−279226号が提案されている。該提案では酸性基を含有する高分子重合体を使用することを特徴としているが、一般に該成分を含む組成物は粘度が高く、コーティング層が厚くなりがちである。このため、厚みがあると不都合になる用途には使用できない場合があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上述の如く皮膜形成の困難さや皮膜の強度不足、接着性の不足などを解決し、さらに歯質表面に直接適用できる歯科接着性組成物を提供することにある。
本発明の目的を達成するには、(1)薄い皮膜を均一の厚みで形成することができ、(2)歯質に直接適用しても良好に接着し、そして(3)皮膜上の硬化物が硬い、という要求特性を満たすことができる歯科接着性組成物を提供することにある。
【0007】
本発明の目的を達成させるために、さらに詳しくは、(1)薄く均一な皮膜形成をさせるために、有機溶媒に溶解したラジカル重合性単量体を歯質表面に塗布した後に溶媒を揮発させることができ、(2)歯質に直接適用して良好な接着ができるように、1分子内に酸性基を有するラジカル重合体を十分に解離させることができ、そして(3)硬い皮膜を形成できるように、水への溶解度の低いラジカル重合性単量体を用いた、歯科接着性組成物を提供することにある。
本発明の他の目的は、使用にあたっての保存安定性に優れた硬化性組成物を提供することである。すなわち、液の相分離が長期間生じず、長期に保管しても性能を損なわない組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、
(A)分子内に酸性基またはその塩を有するラジカル重合性単量体3〜40重量部、
(B)ラジカル重合性単量体5〜50重量部、
(C)ホウ素含有重合開始剤5〜50重量部および
(D)水1〜70重量部
からなりそして上記(A)と(B)成分からなる混合物の水に対する溶解度が5重量%未満であり且つ上記(A)〜(D)成分の合計が100重量部である歯科接着性組成物によって達成される。
本発明の歯科接着性組成物は、さらに、(E)水混合性有機溶媒1〜100重量部および/または(F)光重合開始剤を0.001〜5重量部で含有することができ、さらに、(G)フィラー0.1〜25重量部で含有することもできる。また本発明の組成物はブリネル硬度が7以上を示す硬化物を提供することができる。
【0009】
本発明の歯科接着性組成物において、ラジカル重合性単量体は分子内に少なくとも1種のラジカル重合性基を有している化合物を示し、該重合性基として例えば、(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基およびアリル基などを有する化合物、即ち、不飽和炭化水素を挙げることができる。
【0010】
本発明において(A)成分は、1分子内に酸性基または酸性塩基を有するラジカル重合性単量体である。酸性基としては、例えばカルボン酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基およびスルホン酸基等を挙げることができる。
【0011】
例えば1分子中にカルボン酸基またはその無水物基を有する単官能重合性単量体としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸およびポリカルボン酸またはその無水物を挙げることができる。ここで、使用できる化合物としては、特公平6−62688号公報に記載されているカルボン酸または/およびその無水物(a2)を挙げることができる。特に、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、p−ビニル安息香酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2または3または4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイルp−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイルO−アミノ安息香酸、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチルN−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸、(メタ)アクリロイルオキシサリチル酸を挙げることができる。このうち、11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)および4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)またはその無水物(4−META)が好ましく用いられる。(A)成分として使用できる多官能重合性単量体で、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する重合性単量体としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはこれらの誘導体を挙げることができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物(PMDM)、2モルの2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと1モルの無水マレイン酸または3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などを反応させた付加反応物、2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパンなどを挙げることができる。
【0012】
1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有する重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2および3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート、ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェート、ビス{2または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル}アシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルp−メトキシフェニルアシドホスフェートなどを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き換えることができる。チオリン酸基を有する重合性単量体としては、特開昭54−21438号、特開昭59−140276号および特開昭59−142268号に記載されているものを使用することができる。具体的には下記の化合物を挙げることができ、[ ]で示した互変異性体であってもよい。
【0013】
【化2】
Figure 0004342035
【0014】
このうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好ましく用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単量体は単独または組み合わせて使用できる
【0015】
1分子中にスルホン酸基を有する重合性単量体である。かかる重合性単量体としては、例えば2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2または1−スルホ−1または2−プロピル(メタ)アクリレート、1または3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート、3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアミドなどを挙げることができる。このうち、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸が好ましく用いられる。
【0016】
(A)成分は酸性基の一部または全部が1価または多価の金属塩やアンモニウム塩などの塩として使用することもできる。この場合、通常、他の酸性化合物と併用して接触した際に(A)成分が酸として働くようにすることが好ましい。
上記の(A)成分はすべて単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0017】
本発明の(B)成分はラジカル重合性単量体であり、具体的に、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、ネオペンチルグルコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2または3−プロピル(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキプロピル(メタ)アクリレート、1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジル(メタ)アクリレートの付加物などの水酸基含有の(メタ)アクリレート類;メチロール(メタ)アクリルアミドなどの水酸基含有の(メタ)アクリルアミド類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類;上記のポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類のどちらか一方の(メタ)アクリロイル基がメチル基およびエチル基などの置換されたモノ(メタ)アクリレート類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートまたは1,3,5−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加物などのウレタン結合を有する(メタ)アクリレート類;ビスフェノールAにオキシエチレンを付加させた生成物にさらに(メタ)アクリル酸縮合させた2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン類などを挙げることができる。これらの重合性単量体は単独で、もしくは組み合わせて使用できる。 本発明の(B)成分のうち、特に好ましくは上記のラジカル重合性単量体のうち、水への溶解度が5%未満であるラジカル重合性単量体である。
【0018】
かかる(B)成分として具体的には、例えばスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物類:酢酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;(メタ)アクリル酸フェニルなどの芳香族エステル類;下記式(1)
【0019】
【化3】
Figure 0004342035
ここで、R1はHまたはCH3でありそしてR2はフェニル基またはナフチル基である、
【0020】
で表される化合物、例えば2−ヒドロキシ−3−フェノキプロピル(メタ)アクリレート(HPPM)、1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジルメタクリレートの付加物(Bis−GMA)、1モルのビスフェノールAグリシジルエーテルの付加重合物と2モルの(メタ)アクリル酸の縮合物(VR90)、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物1モルと2モルの(メタ)アクリル酸の縮合物(エチレンオキシドの付加連鎖数m+n≧2;m+n=2.6は2.6Eと略記)などの芳香族系(メタ)アクリレート類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1モルの2,2,4−(または2,4,4−)トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと2モルの2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加物(UDMA)で代表されるウレタン結合含有(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサメチレンジメタクリレート(1,6−HX)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類(連鎖数n=9以下);プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類(連鎖数n=12以下)などの重合性単量体を挙げることができ、該重合性単量体は単独で、または、組み合わせて用いることができる。これらの中では、常温で固体もしくは100cP以上の粘度を有する重合性単量体が好ましく、例えばHPPM、Bis−GMA、VR90、2.6EおよびUDMAが好ましく用いられる。
このような固体もしくは100cP以上の粘度を有する重合性単量体の使用は、本発明の組成物を適用した際にコーテイング面に確実に付着し、たれを防ぐ役割を果たし、接着性や表面硬度を安定的に発現させる。
実質的には固体もしくは粘性重合性単量体は、それ以下の粘度を有するモノマーと組み合わせるか、もしくは溶媒を用いて本発明の組成物の粘度を調製することができる。
【0021】
水への溶解度が5重量%未満のラジカル重合性単量体とは、蒸留水中に該重合性単量体を5重量%になるように配合した混合液を37℃で30分間攪拌し、同温度下で10分間静置した後に肉眼的な観察をした際、油滴の分離が確認される場合、もしくは、透明な水相と白濁した相とに相分離が認められる場合の重合性単量体を意味し、それ以外の例えば、均一に透明ないしは白濁した状態を少なくとも10分間保っている重合性単量体については、水への溶解度5重量%以上と定義した。
本発明の組成物に使用する組成比における(A)成分と(B)成分の混合物は上記の溶解度測定法で試験した際に、水への溶解度が5重量%未満である。
【0022】
本発明の(C)成分は、ホウ素含有重合開始剤である。かかる重合開始剤としては、一般に、有機ホウ素化合物、または、これを含有してなる組成物を挙げることが出来る。有機ホウ素化合物として、例えば、トリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリ−sec−ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリオクチルホウ素、トリデシルホウ素、トリドデシルホウ素、、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素などのトリアルキルボラン類;ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素類;ブチルジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンなどのジアルキルボランなどを挙げることができる。これらの化合物は部分的に酸化されていてもよい。さらに、これらの化合物は組み合わせて使用することができる。これらの中ではトリブチルホウ素、あるいは部分酸化したトリブチルホウ素が好ましく用いられる。部分酸化したトリブチルホウ素としては、例えば、トリブチルホウ素1モルに対して酸素を0.3〜0.9モル付加させたものが好ましく用いられる。
【0023】
また、有機ホウ素化合物の他に、非プロトン性溶媒および/または有機ホウ素化合物に不活性な液状もしくは固体状の有機オリゴマーまたはポリマーを含有する組成物を成分(C)として使用することができる。
【0024】
本発明の(D)成分は、水である。本発明における水は、本来、(C)成分であるホウ素含有開始剤の分解を促進し不活性化させる性質を有する。また、過剰な水は接着性の低下、被膜硬度の低下およびそれら性質の耐久性を損なわせる可能性がある。さらに水への溶解度が5%未満の(B)成分を用いたときには、(E)成分と併用しても低温で相分離を生じたり保存安定性を損なう場合がある。したがって、本発明の組成物における水の量は、発明の効果を損なわない適切な範囲で使用する必要がある。本発明の硬化性組成物における水の量は、歯質接着力、歯質表面上の被膜の硬度およびホウ素含有重合開始剤以外の成分混合物の保存安定性に影響を与える。硬化性組成物中の水の量が多くなると、前処理しない切削した歯質に対する接着力が高くなる傾向がある。一方、水の量が少ないと、ホウ素含有重合開始剤以外の成分混合物の溶液を均一に保ち、経時的にも接着性能を安定的に発揮させることができる。したがって、本発明の硬化性組成物の水の量は上記の性能のバランスを考えて使用される。ここで使用できる水としては、例えば蒸留水、イオン交換水、精製水または生理食塩水などが挙げられる。特に蒸留水、精製水およびイオン交換水が好ましく用いられる。また、電気分解によって調製される酸化還元水、例えば強酸性水、強アルカリ水などを使用することができる。
本発明の(E)成分は水混合性有機溶媒である。かかる有機溶媒としては、水と任意の比率で混和および/または溶解しうる溶媒が好ましい。さらに、該溶媒は25℃で液体であって、常温での沸点が200℃以下、好ましくは150℃以下、最も好ましくは100℃以下の液体である。ここで使用できる有機溶媒としては、具体的には、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;テトラヒドロフラン(THF)などのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;N,N−ジメチルスルホキサイド(DMSO)などのスルホキサイド類;N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類などを挙げることができる。その他に、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの高級アルコール類を使用できる。ここでは、生体への安全性を考慮して、エタノール、プロパノールなどのアルコール、アセトン、THFおよびDMSOなどが好ましい。上記の化合物はいずれも組み合わせて使用することができる。
【0025】
本発明の(F)成分は光重合開始剤である。かかる開始剤としては、その化合物単独で、または、他の化合物との共存下で光によって励起し、本発明の硬化性組成物を硬化せしめる役割を有する。また、本発明の組成物を早期に硬化させる際には特に好ましい。すなわち、(C)成分を用いたラジカル重合速度は一般的に遅く、本発明の目的に合った硬化物の硬度を得るためには通常、数分間、速くても1分程度は要するものであるが、(F)成分の使用はそのラジカル重合速度を著しく高め、通常、10〜40秒、速い場合では数秒で足りる利点がある。例えば、(f1)α−ケトカルボニル化合物、(f2)アシルホスフィンオキシド化合物などを挙げることができる。具体的には、例えば、(f1)成分として、ベンジル、4,4’−ジクロロベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾフェノン、9,10−アントラキノン、ジアセチル、d,l−カンファーキノン(CQ)に代表されるα−ケトカルボニル化合物を挙げることができ、単独でまたは組み合わせて使用できる。また、(f2)成分として、
ベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどを挙げることができる。
(f1)成分と(f2)成分は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0026】
さらに、必要に応じ、(f3)アミン化合物を使用することができる。かかる(f3)成分としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンのいずれであってもよく、また、第一アミン、第二アミンおよび第三アミンのいずれでもよい。好ましくは、芳香族アミンであり、さらに好ましくは芳香族第三アミンを挙げることができる。例えば、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブベンゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼン類;N−フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)などを併用することができる。これらの化合物は単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0027】
また、かかる光重合開始剤の他に必要に応じて、有機過酸化物、無機過酸化物、有機スルフィン酸または/およびその塩、無機硫黄化合物およびバルビツール酸類を用いることもできる。
【0028】
本発明における(G)成分はフィラーである。かかるフィラーとしては、有機質フィラー、無機質フィラーおよび有機質複合フィラーから選択される少なくとも1種のフィラーである。ここで使用するフィラーは、主に硬化性組成物の硬化体の機械的強度を向上させることを目的として添加するものである。有機質フィラーとしては(B)成分として使用する重合性単量体に溶解しない重合体の粉砕もしくは分散重合によって得られた粉末重合体のフィラーであり、また反対に、(B)成分として使用する重合性単量体に溶解する重合性単量体に架橋剤を含ませて重合させた後粉砕して得られたフィラーを挙げることができる。ここで、使用できるフィラーの原料となる重合性単量体の種類には特に限定はないが、(B)成分で例示した重合性単量体の単独重合体もしくは共重合体からなるフィラー、もしくは、これに無機質フィラーを配合させた有機質と無機質の複合したフィラー(以下、有機質複合フィラーと略記する)を挙げることができる。例えばポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレングリコール(PEG)やポリプロピレングリコール(PPG)、ポリビニルアルコール(PVA)などを挙げることができ、これらは架橋剤によって不溶化させることもできる。
【0029】
無機質フィラーとしては、例えばシリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス(バリウムガラスを含む)、チタニア、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、リン酸カルシウムなどを挙げることができる。これらの無機フィラーはあらかじめシランカップリング剤やチタネートカップリング剤で表面処理されていてもよい。
【0030】
有機質複合フィラーとしては、前述した無機質フィラー表面を重合性単量体で重合して被覆した後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。具体的には、無機質フィラーのうち、微粉末シリカをトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPT)を主成分とする重合性単量体で重合被覆し、得られた重合体を粉砕したフィラー(TMPT・f)を挙げることができる。また、PMMAを溶解したアセトンなどの溶液にシリカや酸化ジルコニウムなどの無機フィラーを加えて分散し、溶媒を留去して乾燥した後に粉砕することによって得られるフィラーを挙げることができる。
【0031】
本発明において、(A)〜(D)成分からなる組成物100重量部において、(A)成分が3〜40重量部、さらに好ましくは5〜30重量部であり、(B)成分が5〜50重量部、さらに好ましくは10〜40重量部であり、(C)成分が5〜50重量部、さらに好ましくは10〜40重量部であり、および(D)成分が1〜70重量部、好ましくは3〜50重量部、さらに好ましくは5〜30重量部の範囲で使用される。
【0032】
本発明において、(A)〜(D)成分からなる組成物100重量部に対して、(E)成分が1〜100、好ましくは5〜90、さらに10〜80重量部、(F)成分がさらに0.001〜5重量部、好ましくは0.005〜3重量部、さらに好ましくは0.01〜2重量部で使用され、(G)成分が0.1〜25重量部、好ましくは1〜20重量部、最も好ましくは3〜15重量部である。
【0033】
本発明の組成物は必要に応じて、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤の添加は、組成物中の各成分を安定に溶解または分散させるために有効である。かかる界面活性剤としては、イオン型界面活性剤および非イオン型界面活性剤の両者を含み、37℃水中での臨界ミセル濃度(cmc)が通常0.01〜1.0重量%の値を示す化合物である。
【0034】
界面活性剤として、イオン型界面活性剤のとき、アニオン界面活性剤としては、例えばラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの脂肪族カルボン酸金属塩類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの硫酸化脂肪族カルボン酸金属塩類;ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム、セチル硫酸エステルナトリウム、ステアリル硫酸エステルナトリウム、オレイル硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステルの金属塩類;ラウリルアルコールとエチレンオキサイドの付加物を硫酸化したラウリルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの高級アルキルエーテル硫酸エステルの金属塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸の金属塩類;α−オレフィンに硫酸を反応させて合成するα−オレフィンスルホン酸の金属塩類;N−メチルタウリンとオレイン酸クロリドを反応させたイゲポンT;エアロゾルOTで代表されるスルホコハク酸ジエステル類;高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩類;ジチオリン酸エステル塩類などを挙げることができる。
【0035】
カチオン界面活性剤としては、例えばステアリルアミンなどの高級アルキルアミンとエチレンオキサイドの付加物;ソロミンA、サパミンA、アーコベルAもしくはアーコベルG、オニクサンHSBなどで代表される低級アミンからつくられるアミン類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩類;ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドなどのアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類などで代表される高級アルキルアミンからつくられる第4級アンモニウム塩類;サパミンMS、サパミンBCHなどのサパミン型第4級アンモニウム塩類およびキャタナックSN;ゼランAP、ベランPFなどのピリジニウム塩類で代表される低級アミン、ラジカル重合性を有するメタクリロイルオキシエチルトリアンモニウムクロリド(MAC)からつくられる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を挙げることができる。
【0036】
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムやステアリルアミノプロピオン酸ナトリウムなどの高級アルキルアミノプロピオン酸の金属塩類;ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタインやラウリルジヒドロキシエチルベタインなどのベタイン類などを挙げることができる。
【0037】
非イオン界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルなどで代表されるラウリルアルコールなどの高級アルコール類もしくはノニルフェノールなどのアルキルフェノール類もしくはオレイン酸などの脂肪酸類もしくはステアリルアミンなどの高級脂肪族アミン類もしくはオレイン酸アミドなどの脂肪族アミド類にエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加させたポリエチレングリコール型あるいはポリプロピレングリコール型非イオン界面活性剤;グリセリン、ペンタエリスリット、ソルビット、ソルビタン、ソルビタントリオレイン酸エステルなどの多価アルコール類ないしはモノエタノールアミンやジエタノールアミンなどのジエタノールアミン類ないしは砂糖などの糖類で代表される多価アルコール型非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
【0038】
界面活性剤については、以上に挙げた化合物以外に、例えば新・界面活性剤入門(藤本武彦著、三洋化成発行)に記載されている化合物を挙げることができる。
界面活性剤は、本発明の組成物中に、好ましくは0.01〜5重量%、より好ましくは、0.02〜3重量%、最も好ましくは0.03〜1重量%で配合される。
【0039】
本発明の組成物で歯質表面をコーティングする場合には、通常、歯質表面上に1〜500μmの厚みで適用することができる。皮膜の厚みは、使用目的や用途によって選択でき、組成物中の成分の比率を変化させることによって組成物の粘度を調製することによって、或いは、歯質表面への塗布量やエアブローなどによる吹き飛ばし方によっても調製することができる。
本発明においては、実施例に記載した方法によって測定した場合の硬化物のブリネル硬度が、好ましくは7以上、より好ましくは8以上、さらに好ましくは9以上を示す硬化性組成物が好適に使用できる。
【0040】
本発明の硬化性組成物は硬化物が歯質を保護するに必要な硬度を有している他に、水分が多く存在する歯質表面に対して、濡れ性、歯質反応性、歯質拡散性および歯質浸透性等の接着するための必要な条件を同時に持ち合わせ、生体硬組織、特に歯質に隙間なく強固に接着することができる。本発明の硬化性組成物を歯質に適用するにあたっては、安全性を考慮して湿潤状態もしくは軽くエアブローによる乾燥後にそのまま接触させることが好ましい。しかし、歯質表面の洗浄や衛生を保つために、金属塩を含んでいてもよいリン酸、硝酸、塩酸、硫酸、クエン酸、マレイン酸、エチレンジアミン四酢酸などを含む溶液またはゲル等のエッチング材ないしはコンディショナーによって塗布し、水洗するような前処理を施すことができる。また、次亜塩素酸塩または/およびそれを含む組成物で処理することができる。該前処理材を適用して水洗した歯質は、湿潤状態および/または乾燥して、本発明の歯科接着性組成物を適用することができる。
【0041】
本発明の歯科接着性組成物は、(C)成分を含む容器と、他の成分を含む容器とに分割されて保存され、使用直前に混合して使用するのが好ましい。さらに好ましい分割方法として、(C)の容器/(A)+(B)+(D)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)+(E)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)+(E)+(F)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)+(F)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)の容器/(G)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)+(G)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)+(E)の容器/(G)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)+(F)の容器/(G)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)の容器/(G)+(E)の容器、(C)の容器/(A)+(B)+(D)の容器/(G)+(F)の容器などを挙げることができ、分割して保存した各成分を使用直前に混合して使用することが好ましい。
【0042】
本発明の歯科接着性組成物には、硬化物に着色するために染料や顔料などの着色剤を含むことができる。硬化物を着色させることは、特に歯質表面に直接に適用するコーティング材として使用する際に好ましい。すなわち、ムシ歯を除去するために窩洞形成した部分に、本発明の硬化性組成物を用いて歯質表面をコーティングして被膜状の硬化物を形成した後、窩洞に仮充填するための仮封材を適用する。後日、仮封材を除去する際に仮封材や異物が残る場合があり、着色したコーティング被膜であるとそれらが肉眼的に確認が容易になるという利点がある。
【0043】
以下実施例により本発明の歯科用接着性コーティング材を具体的に説明するが、本発明はその実施例によって何ら限定されるものではない。
【0044】
(ブリネル硬度の測定)
本発明において、ブリネル硬度はミクロブリネル硬度計を用いてJIS−Z−2243に準じて測定した。但し、使用した試料は以下の手順で作製した。即ち、硬化性組成物を構成する成分のうち、(D)成分は実質上エアブローによって蒸発除去した状況で使用する。しかし、ブリネル硬度試験を実施するためには試料の厚みは実際に使用される状態に比較して著しく大きいため、(D)成分の除去は極めて困難である。今回の試験には、予め(D)成分である水性溶媒を含まない硬化性組成物を調製して硬化体試料を作製し、試験に供した。
【0045】
(歯質との接着操作1)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯を新鮮なエナメル質または象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#80まで研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して直ちに接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを張り付けた。
【0046】
本発明の組成物として、(C)成分を除く成分の混合物の入った容器と(C)成分としてキャタリスト(スーパーボンドC&Bキャタリスト、サンメディカル社)容器から成る構成品を使用直前に実施例の表に示した重量比率で混合した。スポンジ1個によって3〜5秒間素早く撹拌する。使用したスポンジを用いて面積規定した歯質に多量に塗布して30秒間静置した。軽くエアブローしながら余分な液を吹き飛ばした。光照射を行わない場合には、そのまま3分間静置して本発明の硬化性組成物を硬化させた。このときの硬化物の被膜厚さは約30μmであった。また、光照射を行う場合には余分な液を吹き飛ばした後、直ちに可視光照射器(Translux CL, Kulzer)にて20秒間光照射して硬化性組成物を硬化させた。片面に粘着材のついた内径5.1mm厚さ1mmの厚紙を置いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Epic−TMPT,サンメディカル)を充填して、厚さ50μmのポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上から可視光照射器(Translux CL, Kulzer)にて40秒間光照射してコンポジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サンメディカル)にてアクリル棒を植立して15分間静置した。
【0047】
(歯質への接着操作2)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯を新鮮なエナメル質または象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#80まで研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して直ちに、エッチング材としてEDTA3−2(歯科材料・器械、6巻、1号、23−36頁、1987年)をスポンジSにて十分量塗布してエナメル質および象牙質ともに10秒後に水洗し、エアブローによって乾燥した。エッチング材を適用した面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを張り付けた。
【0048】
本発明の組成物として、(C)成分を除く成分の混合物の入った容器と(C)成分としてキャタリスト(スーパーボンドC&Bキャタリスト、サンメディカル製)容器から成る構成品を使用直前に実施例の表に示した重量比率で混合した。スポンジ1個によって3〜5秒間素早く撹拌する。使用したスポンジを用いて面積規定した歯質に多量に塗布して30秒間静置した後軽くエアブローしながら余分な液を吹き飛ばした。光照射を行わない場合には、そのまま3分間静置して本発明の硬化性組成物を硬化させた。このときの硬化物の被膜厚さは約30μmであった。また、光照射を行う場合には余分な液を吹き飛ばした後、直ちに可視光照射器(Translux CL, Kulzer)にて20秒間光照射して硬化性組成物を硬化させた。片面に粘着材のついた内径5.1mm厚さ1mmの厚紙を置いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Epic−TMPT,サンメディカル)を充填して、厚さ50μmのポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上から可視光照射器(Translux CL, Kulzer)にて40秒間光照射してコンポジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サンメディカル)にてアクリル棒を植立して15分間静置した。
【0049】
上記の2つの接着操作を実施した後、37℃水中に24時間浸漬して取り出し、室温で30分以内に引張試験を島津オートグラフを用いてクロスヘッドスピード2mm/minで行った。
【0050】
【実施例】
表1、表2および表3に実施例を示す。実施例1〜20に記載の(A)成分および(B)成分の混合物はすべて水に対する溶解度が5重量%未満であった。実施例1〜10、14〜19において、分割して保存する方法として(C)の容器/(C)以外の成分の混合物を含む容器の2分割に、実施例11〜13および実施例20は(C)の容器/(A)+(B)+(D)+(E)+(F)の容器/その他のおよび/または(G)の成分を含む容器の3分割にした。
【0051】
実施例1〜2および7、8では、本発明の接着性組成物には光照射をせずに3分間静置後、上記の如くコンポジットレジンを充填して硬化させた。実施例3〜6は本発明の接着性組成物に光照射し、直ちに上記の如くコンポジットレジンを硬化させた。( )内は本発明の組成物中に含まれる各成分の重量部を示す。
【0052】
【表1】
Figure 0004342035
【0053】
【表2】
Figure 0004342035
【0054】
【表3】
Figure 0004342035
【0055】
E:エナメル
D:象牙質
4-META:4-メタクリロキシエチルトリメリット酸無水物
4-MET:4-メタクリロキシエチルトリメリット酸
PSMR-M:2-メタクリロキシエチルアシドホスフェート
MMA:メタクリル酸メチル
2.6E:ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物1モルと2モルのメタクリル酸の縮合物
(エチレンオキシドの付加連鎖数:m+n=2.6)
UDMA:1モルの2,2,4-(又は2,4,4-)トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネートと
2モルの2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加物
HPPM:2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート
3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
TBB:トリブチルボランの部分酸化物(スーパーボンドC&B、キャタリスト)
CQ:d,l-カンファキノン
TMDPO:2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
DMABA-BE:N,N-ジメチルアミノ安息香酸n-ブトキシエチル
DSNa:ドデシル硫酸ナトリウム
R812:シリカ、SiO2含有率99.8%、平均粒径7×10-3μm

Claims (11)

  1. (A)分子内に酸性基またはその塩を有するラジカル重合性単量体3〜40重量部、
    (B)ラジカル重合性単量体5〜50重量部、
    (C)ホウ素含有重合開始剤5〜50重量部および
    (D)水1〜70重量部
    からなりそして上記(A)と(B)成分からなる混合物の水に対する溶解度が5重量%未満であり且つ上記(A)から(D)成分の合計が100重量部である歯科接着性組成物。
  2. (A)〜(D)成分の合計100重量部に対して、さらに(E)水混合性有機溶媒1〜100重量部および/または(F)光重合開始剤を0.001〜5重量部で含有する請求項1に記載の歯科接着性組成物。
  3. (A)〜(D)成分の合計100重量部に対して、さらに(G)フィラー0.1〜25重量部で含有する請求項1または2に記載の歯科接着性組成物。
  4. (A)成分がカルボン酸または/およびその無水物、リン酸基、スルホン酸基から選択される少なくとも1種の酸性基または酸無水物を含む重合性単量体である請求項1〜3のいずれかに記載の歯科接着性組成物。
  5. (B)成分が水への溶解度が5重量%未満である請求項1〜3のいずれかに記載の歯科接着性組成物。
  6. (B)成分が下記式(1)
    Figure 0004342035
    ここで、RはHまたはCHでありそしてRはフェニル基またはナフチル基である、
    であることを特徴とする請求項1〜5に記載の歯科接着性組成物。
  7. (C)成分が、ジ−またはトリ−アルキルボランおよび/またはその部分酸化物であることを特徴とする請求項1〜6に記載の歯科接着性組成物。
  8. (E)成分が、エタノール、プロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフランおよびジメチルスルホキサイドから選択される少なくとも1種の水混合性有機溶媒である請求項2〜7のいずれかに記載の歯科接着性組成物。
  9. (F)成分が、(f1)α−ケトカルボニル化合物、(f2)アシルホスフィンオキシド化合物から選択される少なくとも1種の光増感剤である請求項2〜8のいずれかに記載の歯科接着性組成物。
  10. (F)成分が、(f3)アミン化合物をさらに含有する請求項9に記載の歯科接着性組成物。
  11. 硬化物の硬度がブリネル硬度7以上を示す請求項1〜10のいずれかに記載の歯科接着性組成物。
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