JP4291538B2 - 歯科用接着性組成物およびキット - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科用接着材ならびに歯科用コーティング材として好適に使用される歯科用接着性組成物ならびにそのキットに関する。さらに詳しくは、生体に関わる温度領域や湿度・湿潤領域において薄く塗り広げたとしても硬化性に優れ、硬化物の耐水性、強度、硬度、接着性能、色調並びに保存安定性に優れた歯科用接着性組成物ならびにそのキットに関する。被着体として、エナメル質・象牙質ならびにセメント質などの歯質硬組織、歯科用金属、ポーセレンなどのセラミックス、コンポジットレジン・硬質レジン・義歯床用レジン・レジンセメントなどの歯科用レジンを対象として、薄くて硬い被膜を形成させることができるコーティング材および/または強固に接着するボンディング材として使用できる硬化性の接着性組成物ならびに歯科用接着材または歯科用コーティング材キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科用の接着材、コンポジットレジン、硬質レジン、義歯床用レジン、セメント、コーティング材などに使用される硬化性組成物としては、主にスチレン誘導体や(メタ)アクリル酸誘導体などに代表されるビニルモノマーなどのラジカル重合性単量体と、これを重合硬化させるための重合開始剤(触媒、硬化剤という場合がある)からなる硬化性組成物が多数提案されている。
【0003】
生体、特に歯科用の硬化性組成物に要求される性能は、生体が触れ得る温度領域や湿度・湿潤領域における硬化速度が比較的大きく制御可能なこと、硬化物の耐水性、強度、硬度および接着性能が高く、色調が容易に制御できることに加えて、これらの性能を発揮させる状態を長期間にわたって包装容器内で安定に推持したままで保管できる性能(保存安定性)が優れていることである。また、接着材として適用する場合には、被着体としては、歯質はもとより、金属、セラミックス、硬化前あるいは硬化後のレジン(樹脂とも呼ぶことがある)、コンボジットレジン、レジンセメントなど多種にわたるので、これらの被着体に対応できる性能が要求される。また、コーティング材においては、上記の性能に加えて薄い被膜の形成が必要となる場合がある。薄い被膜を形成させて、かつ、高い接着性能を発揮させながら硬化物の機械的な強度を向上させることは、酸素による重合阻害を受けやすく重合が十分進行しないラジカル重合性組成物においては非常に困難であった。
【0004】
ラジカル重合性単量体と光重合開始剤からなる硬化性組成物を使用して、前述の性能向上を達成しようとして次のような提案がなされている。特公昭53−33687号公報および特公昭54−10986号公報には、α−ジケトンなどのカルボニル化合物とアミン類からなる組成物が提案されている。この組成物は、硬化物の色調が変化したり、耐水性、強度および接着性能不十分であった。また、特開昭56−120610号公報には酸性基を有するビニルモノマーとα−ジケトンおよび芳香族スルフィン酸塩類とからなる光硬化性組成物が提案されている。この組成物は、色調の安定性は優れているが強度や接着耐久性に問題があった。特公昭61−3684号公報にはカルボン酸無水物を含むモノマーと有機過酸化物、アミンおよび芳香族スルフィン酸塩を用いた組成物が提案されている。この組成物は、接着強度が十分ではなかった。また、特開昭60−44508号公報、特開昭60−123515号公報および特公平7−2613号公報には、カルボン酸含有モノマーと芳香族スルフィン酸塩を含有し、目的に応じてさらにアミンまたはα−ジケトン、ジアルデヒドを含有させた組成物が提案されている。これら組成物についても十分な接着強度が得られていない。その後、特公平6−62688号公報では、カルボン酸含有モノマー、α−ジケトン、アミンおよび芳香族スルフィン酸(塩)からなる組成物が提案され、色調の安定性が著しく改善され、さらに接着性や耐久性の改善がなされた。
【0005】
上記一連の提案はすべて、歯質表面を、酸性化合物を含有するエッチング組成物で予め表面処理することが前提となっている。このエッチング処理は歯質の研削の際に表面上に残存する削りクズ層(スメア層)を除去し、接着強度を向上させる目的で行われた。さらに近年ではエッチング処理後にあるいはスメア層が残存したままで、モノマーを含むプライマー組成物で表面処理して硬化性組成物を適用する方法も提案されている。エッチングやプライマーなどの硬化性組成物を適用する前に施すことにより接着強度を向上させるこのような提案は、逆に施術者の手間が多く複雑となり治療時間も長くなり、患者に対する負担も大きくなった。
【0006】
歯質に強固に長期にわたって接着させるには、健全歯質にまで接着材成分を拡散させて、その拡散した部分までも確実に硬化することが必要であるとの考えが一般的となっている。しかし、従来実施されているエッチング材組成物やプライマー組成物を使用した後に硬化性組成物を適用する接着性組成物またはそのような方法を取り入れた接着材には種々の問題が懸念されている。例えば、歯質エッチング材と硬化性組成物からなる接着方法は、ウ蝕を切削・除去した際に生成するスメア層(切削クズ)を除去するためのエッチングによって、残しておきたい健全歯質までも侵襲され、接着部位の劣化を招く場合があった。
【0007】
一方、歯質に対する接着材料は、歯質と修復材料とを隙間なく強力に接着すること、かつ口腔内での作業であるため可能な限り、簡単で短時間の作業で終了できることが望ましい。
【0008】
歯質にレジン修復材料を強固に接着させるための歯質表面処理方法として、次の三つの方法が主に採用されている。すなわち、第一に、リン酸やクエン酸などの歯質脱灰性のある溶液をエナメル貰および/または象牙質の表面に塗布して、その後水洗いして洗い流すエッチング法、第二に、エッチング法を行った後の歯質表面にさらにプライマーを塗布して乾燥させるエッチングプライマー法、および第三にエッチングせずに歯質に脱灰機能を有するプライマーを適用するセルフエッチングプライマー法である。これらの歯質処理方法は欠損した歯質を補うための材料と歯質を接着させるための接着材料、すなわちボンディング材やレジンセメントを適用する際の前処理であり、ここで使用する前処理組成物のみでは歯質と欠損を補う材料とを強固に接着できない。
【0009】
特公昭63−25562号公報には、酸性基を有するビニルモノマー、α−ジケトン、芳香族スルフィン酸塩またはチオ尿素類からなる歯科用材料が開示されている。特開平10−245525号公報には、特定のリン酸基含有重合性単量体と多価カルボン酸基含有重合性単量体と重合開始剤を含有する組成物が開示されている。さらに、特開平11−240815号公報には有機溶媒を併用する組成物が提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、歯牙への接着性能および耐久性が十分な歯科用接着材(接着性組成物)ならびに歯科用コーティング材として好適に用いられる組成物ならびにキットを提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、特に歯質に対して使用する場合に、硬化性組成物を使用する前に、エッチング処理やプライマー処理などの前処理を必ずしも行う必要がなく、歯質に直接適用できる歯科用接着材ないしはコーティング材として好適に用いられる組成物ならびにキットを提供することにある。
【0012】
本発明のさらに他の目的は、歯質に直接接触させることによって研削屑であるスメア層の一部または全部を脱灰し且つ接着強度を発揮するに十分な接着材成分を歯の基質内に拡散させるとともに歯質表面上に必要な厚みの被膜を形成させうる歯科用接着性組成物(以下、「セルフエッチングボンディング材組成物」と呼ぶことがある)を提供することにある。
【0013】
本発明のさらに他の目的は、接着操作が非常に単純化および簡素化して歯科医や患者の負担を大幅に少なくすることのできる歯科用接着性組成物を提供することにある。
【0014】
本発明のさらに他の目的は、たとえばコンポジットレジンなどの歯質と接着性のない材料を接着させるためのボンディング材として、また、レジンセメントの歯質接着性能の向上を目的に使用するボンディング材として使用することができ、さらに、種々の被着体、すなわち歯質、金属、セラミックス、レジンなどの表面を保護するためのコーティング材として使用することができ、特に、歯髄(神経と呼ぶことがある)に大きく影響を与える象牙質が露出した部分へのコーティング剤として使用したときには、磨耗や機械的刺激の保護ばかりでなく、知覚過敏の抑制、ウ蝕感染の予防、術後疼痛の発生抑制などに有効となる歯科用接着性組成物を提供することにある。
【0015】
本発明のさらに他の目的は、歯科用コーティング材として使用したとき、非常に簡便で短時間に操作が可能であり、歯質と強固に接着した硬くて薄い被膜を形成することができる利点を有するので、単にコンポジットレジンやレジンセメントなどの他の材料と歯質を接着させる接着材としての機能ばかりでなく、接着材自体が硬くて強い特性を有し、かつ、その特性は非常に薄い被膜でも発揮することができる歯科用接着性組成物を提供することにある。
【0016】
本発明のさらに他の目的は、被着体には種々の物質があるので、状況に応じて別な組成物であるエッチングおよび/またはプライマーを施しても、使用することができる歯科用接着性組成物を提供することにある。
【0017】
本発明のさらに他の目的は、本発明の接着性組成物を長期間安定に保存できるキットを提供することにある。
【0018】
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0019】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、(A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、(B)重合開始剤、(C)還元剤、(D)水および(E)酸性基を有さずトリアジン環を含有する多官能ラジカル重合性単量体からなり、(A)〜(D)成分の合計100重量部あたり、(A)成分は3〜80重量部の範囲、(B)成分は0.01〜30重量部の範囲、(C)成分は0.01〜20重量部の範囲、(D)成分は20〜80重量部の範囲および(E)成分は30〜200重量部の範囲にありそして(F)沸点100℃未満の水溶性有機溶媒を含有しないかあるいはさらに含有し、該水溶性有機溶媒を含有しないときには、歯質表面に適用する際乳濁状態にあり、該水溶性有機溶媒を含有するときには、歯質表面に適用した際に該水溶性有機溶媒の揮発により歯質表面上で相分離することを特徴とする歯科用接着性組成物によって達成される。また、(A)〜(F)成分の混合物は37℃で相分離することが好ましい。
【0020】
さらに、(A)〜(E)成分に加えて、(F)沸点100℃未満の水溶性有機溶媒を含有して、好ましくは室温で均一溶液の状態にあることである。
【0021】
(F)成分により本発明の組成物を均一な透明溶液にすることができ、また、(F)成分を沸点100℃未満にすることによって包装容器から本発明の組成物を採取する際に、常に一定の組成比率で取り出すことができ、さらに本発明の組成物を塗布した際に比較的短時間内に揮発でき且つ相分離を起こす組成に戻すことができる利点を有する。
【0022】
本発明の上記目的および利点は、第2に、(A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、(B)重合開始剤、(C)還元剤、(D)水および(E)酸性基を有さずトリアジン環を含有する多官能ラジカル重合性単量体からなり、(A)〜(D)成分の合計100重量部あたり、(A)成分は3〜80重量部の範囲、(B)成分は0.01〜30重量部の範囲、(C)成分は0.01〜20重量部の範囲、(D)成分は20〜80重量部の範囲および(E)成分は30〜200重量部の範囲にありそして(F)沸点100℃未満の水溶性有機溶媒を含有しないかあるいはさらに含有し、該水溶性有機溶媒を含有しないときには、歯質表面に適用する際乳濁状態にあり、該水溶性有機溶媒を含有するときには、歯質表面に適用した際に該水溶性有機溶媒の揮発により歯質表面上で相分離することを特徴とする歯科用接着性組成物のキットによって達成される。コーティング材などの硬さが要求される場合には、硬化物のビッカース表面硬度は高いほうが好ましく、接着性とのバランスから通常、象牙質上10ミクロンの塗膜で15〜100が好ましく、20〜80がより好ましく、25〜80であることがさらに好ましい。
【0023】
本発明の(A)成分は酸性基を有するラジカル重合性単量体である。
【0024】
酸性基としては、例えばカルボン酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基およびスルホン酸基等を挙げることができる。
【0025】
例えば1分子中にカルボン酸基またはその無水物基を有する単官能重合性単量体としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸およびポリカルボン酸またはその無水物を挙げることができる。ここで、使用できる化合物としては、特公平6−62688号公報に記載されているカルボン酸または/およびその無水物を挙げることができる。特に、例えば(メタ)アクリル酸、β−(メタ)アクリロキシエチルハイドロジェンフタレート、マレイン酸、p−ビニル安息香酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2または3または4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイルp−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイルO−アミノ安息香酸、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチルN−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸、(メタ)アクリロイルオキシサリチル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物(PMDM)、2モルの2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと1モルの無水マレイン酸または3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などを反応させた付加反応物、2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパンなどを挙げることができる。このうち、11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)および4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)またはその無水物(4−META)が好ましく用いられる。
【0026】
1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有する重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2および3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート、ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェート、ビス{2または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル}アシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルp−メトキシフェニルアシドホスフェートなどを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き換えることができる。チオリン酸基を有する重合性単量体としては、特開昭54−21438号公報、特開昭59−140276号公報および特開昭59−142268号公報に記載されているものを使用することができる。具体的には下記の化合物を挙げることができ、[ ]で示した互変異性体であってもよい。
【0027】
【化1】
Figure 0004291538
【0028】
このうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好ましく用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単量体は単独または組み合わせて使用できる1分子中にスルホン酸基を有する重合性単量体である。かかる重合性単量体としては、例えば2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2または1−スルホ−1または2−プロピル(メタ)アクリレート、1または3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート、3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸などを挙げることができる。このうち、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸が好ましく用いられる。
【0029】
(A)成分は酸性基の一部または全部を1価または多価の金属塩やアンモニウム塩などの塩に変えて使用することもできる。この場合、通常、他の酸性化合物と併用して接触した際に(A)成分が酸として働くようにすることが好ましい。
【0030】
上記の(A)成分はすべて単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0031】
(A)成分のうちでは、水への溶解度が5%未満であるラジカル重合性単量体が好ましく使用できる。
【0032】
本発明の(B)成分は重合開始剤である。かかる重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤として公知の光重合開始剤(B1)および/または過酸化物(B2)を挙げることができる。
【0033】
かかる光重合開始剤(B1)は、その化合物単独で、または、他の化合物との共存下で光によって励起し、本発明の硬化性組成物を硬化せしめる役割を有する。例えば、(B11)α−ケトカルボニル化合物、(B12)アシルホスフィンオキシド化合物などを挙げることができる。
【0034】
本発明の(B11)成分であるα−ケトカルボニル化合物としては、たとえば、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケトカルボン酸エステルなどを例示することができる。さらに具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2.3−ヘキサジオン、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジエトキシべンジル、4,4’−オキシベンジル、4,4’−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸、カンファーキノンカルボン酸、1,2−シクロへキサンジオンなどのα−ジケトン;メチルグリオキザール、フェニルグリオキザールなどのα−ケトアルデヒド:ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、ピルビン酸メチル、べンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチル、フエニルピルビン酸ブチルなどを例示することができる。これらのα−ケトカルボニル化合物のうちでは安定性などの面からα−ジケトンを使用することが好ましい。α−ジケトンのうちではジアセチル、ベンジル、カンフアーキノン(CQ)が好ましい。
【0035】
本発明の(B12)成分であるアシルホスフィンオキシド化合物として、たとえば、ベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどを挙げることができる。(B11)と(B12)成分は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0036】
本発明の過酸化物(B2)としては、有機過酸化物や無機過酸化物を挙げることができる。例えば、ジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p’−ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメチルベンソイルペルオキシド、p,p’−ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物;過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。
【0037】
ラジカル重合開始剤として、さらに、有機ホウ素化合物、または、これを含有してなる組成物を挙げることが出来る。有機ホウ素化合物として、例えば、トリエチルホウ素、トリプロピルホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリブチルホウ素、トリ−sec−ブチルホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリオクチルホウ素、トリデシルホウ素、トリドデシルホウ素、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素などのトリアルキルホウ素類;ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素類;ブチルジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボラン、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナンなどのジアルキルボランなどを挙げることができ、上記の化合物の一部が部分的に酸化されていてもよい。さらに、これらの化合物は組み合わせて使用することができる。これらの中ではトリブチルホウ素、あるいは部分酸化したトリブチルホウ素が好ましく用いられる。部分酸化したトリブチルホウ素は、例えば、トリブチルホウ素1モルに対してO2を0.3〜0.9モル付加させたものが好ましく用いられる。
【0038】
また、有機ホウ素化合物の他に、非プロトン性溶媒および/または有機ホウ素化合物に不活性な液状もしくは固体状の有機オリゴマーまたはポリマーを含有する組成物を使用することができる。
【0039】
本発明の(C)成分は還元剤である。本発明の(C)成分としては、例えばアミン化合物が挙げられる。(C)成分としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンのいずれであってもよい。また、第一アミン、第二アミンおよび第三アミンのいずれでもよい。好ましくは、芳香族アミンであり、さらに好ましくは芳香族第三アミンを挙げることができる。他の(C)成分としては、例えば、トリエチルアミノアセチルベンゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼン類;N−フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)およびこれらの塩などの芳香族置換グリシンを併用することができる。これらの化合物は単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0040】
本発明の(C)成分としては、さらに、有機スルフィン酸および/またはその塩、またはバルビツール酸またはその誘導体等の芳香族有機酸またはその塩である。有機スルフィン酸またはその塩としては、スルフィン酸またはスルフィン酸の通常のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩、アンモニウム塩が使用される。芳香族スルフィン酸塩を使用すると硬化物の色調が優れるので好ましい。アルカリ金属塩としては、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩などを例示することができる。アルカリ土類金属塩としてはマグネシウム塩、カルシウム塩、ストロンチウム塩、バリウム塩などを例示することができる。アミン塩としてはメチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、アニリン、トルイジン、フェニレンジアミン、キシリレンジアミンなどの第一アミンの塩;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン、ピペリジン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、ジフェニルアミン、N−メチルトルイジンなどの第二アミン塩;トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジ(β−ヒドロキシエチル)アニリン、N,N−ジエチルアミン、N,N−ジメチルトルイジン、N,N−ジエチルトルイジン、N,N−(β−ヒドロキシエチル)トルイジンなどの第三アミンの塩を例示することができる。アンモニウム化合物の塩としてはアンモニウム塩、テトラメチルアンモニウム塩、テトラエチルアンモニウム塩、テトラプロピルアンモニウム塩、トリメチルベンジルアンモニウム塩などを例示することができる。
【0041】
該有機スルフィン酸としては具体的には、エタンスルフィン酸、プロパンスルフィン酸、ヘキサンスルフィン酸、オクタンスルフィン酸、デカンスルフィン酸、ドデカンスルフィン酸などのアルカンスルフィン酸、シクロヘキサンスルフィン酸、シクロオクタンスルフィン酸などの脂環族スルフィン酸;ベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸を例示することができる。
【0042】
該有機スルフィン酸塩としては具体的にはベンゼンスルフィン酸リチウム、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、ベンゼンスルフィン酸カリウム、ベンゼンスルフィン酸マグネシウム、ベンゼンスルフィン酸カルシウム、ベンゼンスルフィン酸ストロンチウム、ベンゼンスルフィン酸バリウム、ベンゼンスルフィン酸ブチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アニリン塩、ベンゼンスルフィン酸トルイジン塩、ベンゼンスルフィン酸フェニレンジアミン塩、ベンゼンスルフィン酸ジエチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸ジフェニルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸トリエチルアミン塩、ベンゼンスルフィン酸アンモニウム塩、ベンゼンスルフィン酸テトラメチルアンモニウム、ベンゼンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウムを挙げることができる。さらに、o−トルエンスルフィン酸リチウム、o−トルエンスルフィン酸ナトリウム、o−トルエンスルフィン酸カリウム、o−トルエンスルフィン酸カルシウム、o−トルエンスルフィン酸シクロヘキシルアミン塩、o−トルエンスルフィン酸アニリン塩、o−トルエンスルフィ酸アンモニウム塩、o−トルエンスルフィン酸テトラエチルアンモニウム、p−トルエンスルフィン酸リチウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸カリウム、p−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸バリウム、p−トルエンスルフィン酸エチルアミン塩、p−トルエンスルフィン酸トルイジン塩、p−トルエンスルフィン酸N−メチルアニリン塩、p−トルエンスルフィン酸ピリジン塩、p−トルエンスルフィン酸アンモニウム塩、p−トルエンスルフィン酸テトラメチルアンモニウム、β−ナフタリンスルフィン酸ナトリウム、β−ナフタリンスルフィン酸ストロンチウム、β−ナフタリンスルフィン酸トリエチルアミン、β−ナフタリンスルフィン酸N−メチルトルイジン、β−ナフタリンスルフィン酸アンモニウム、β−ナフタリンスルフィン酸トリメチルベンジルアンモニウムなどを例示することができる。
【0043】
(C)成分のバルビツール酸誘導体が、1,3,5-トリメチルバルビツール酸、1,3,5-トリエチルバルビツール酸、1,3−ジメチル−5−エチルバルビツール酸、1,5−ジメチルバルビツール酸、1−メチル−5−エチルバルビツール酸、1−メチル−5−プロピルバルビツール酸、5−エチルバルビツール酸、5−プロピルバルビツール酸、5−ブチルバルビツール酸、5−メチル−1−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸、1−シクロヘキシル−5−エチルバルビツール酸またはこれらのアルカリ金属塩などであり、その濃度が歯科用接着剤全体に対して0.1〜10%であることが好ましい。
【0044】
(C)成分は、本発明の組成物を長期にわたって安定に保存するために、それ単独で、または中性からアルカリ性を示す条件下で溶解または分散させることが好ましい。(C)成分は、使用する際の操作を簡便にするために本発明の組成物が使用する際に接触させるスポンジ球、スポンジ片などのスポンジや綿球、筆、ブラシ、ダッペンディッシュ、練和紙およびスパチュラなどのアプリケータに予め含有または付着させておくかまたは吸着させ、必然的に組成物と容易に混合できるようにしておくことができる。またこのようなアプリケータは、ディスポーザブルとして使用できるので歯科治療には感染対策として有効である。
【0045】
これらのうち、N−フェニルグリシン(NPG)およびその塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)が好ましい。
【0046】
還元剤を2種以上併用する場合は、通常同量で使用するが、必要に応じてその配合比を変えてもよい。例えば、還元剤を2種使用する場合は、一方の量の1/10〜10倍程度変えることができる。
【0047】
本発明の(D)成分は水である。(D)成分は本発明の組成物のpHを低下させる役割があり、この効果によって研削歯質に適用した場合には比較的短時間でスメア層中のハイドロキシアパタイトを溶解するために本発明の成分を歯質内に拡散しうる。また別の効果として(D)成分を速やかに組成物中に溶解させる利点がある。ここで使用できる水としては、例えば蒸留水、イオン交換水、精製水または生理食塩水などが挙げられる。特に蒸留水、精製水およびイオン交換水が好ましく用いられる。また、電気分解によって調製される酸化還元水、例えば強酸性水、強アルカリ水などを使用することができる。
【0048】
本発明の(E)成分は酸性基を有さない多官能ラジカル重合性単量体である。(E)成分は本発明の組成物を硬化させた場合、主に表面硬度を増す役割を有する。(E)成分は、(A)成分以外の酸性基を有せずトリアジン環を含有するラジカル重合性単量体である。かかる重合性単量体としては、特に、蒸留水中に5重量%になるように加え、37℃で10分間振とうして肉眼的に観察して相分離が見られる(溶解していない)ものが好ましい。すなわち、一般的には37℃における溶解度が5重量%以下のものである。具体的には、例え
【0049】
【化2】
Figure 0004291538
(トリス(2−カルボキシエチル)イソシアヌレートのヒドロキシエチルアクリレートエステル)
【0052】
【化5】
Figure 0004291538
(トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートのアクリレートエステル、NKエステル A−9300、CAS No.40220−08−4)、どの重合性単量体を挙げることができる。
【0053】
(E)成分以外の他の多官能ラジカル重合性単量体としては、例えばジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物類、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジルメタクリレートの付加物(Bis−GMA)、1モルのビスフェノールAグリシジルエーテルの付加重合物と2モルの(メタ)アクリル酸の縮合物(VR90)ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物1モルと2モルの(メタ)アクリル酸の縮合物(エチレンオキシドの付加連鎖数m+n≧2;m+n=2.6は2.6Eと略記)などの芳香族系(メタ)アクリレート類;1モルの2,2,4−(または2,4,4−)トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと2モルの2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加物(UDMA)で代表されるウレタン結合含有(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサメチレンジメタクリレート(1,6−HX)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)クリレート類(連鎖数n=6未満);プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類(連鎖数n=12以下);1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレート/メタクリレート、トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアネート、ジ(メタ)アクリル化イソシアネート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートおよびジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、
【化3】
Figure 0004291538
(ヒドロキシエチルメタクリレートとジアリリデンペンタエリスリトールの付加物)
【化4】
Figure 0004291538
(トリメチロールプロパンジメタクリレートとジアリリデンペンタエリスリトールの付加物)、
ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエステルポリウレタン(メタ)アクリレートを挙げることができる。これらのうち、ウレタン結合を有する化合物、芳香族環を有する化合物が好ましく使用される。
【0054】
(E)成分のうちでは、水への溶解度が5%未満であるラジカル重合性単量体が好ましく使用できる。
【0055】
本発明の(F)成分は、有機溶媒であり、前述の如く各成分を均一に溶解または分散させ、本発明の組成物の取扱を向上させるためのものである。(F)成分は、通常、被着体たとえば歯質に塗布した際に短時間に揮発して残った成分が相分離を生じるように溶解または分散するに必要な量だけに止めることが好ましい。ここで使用する溶媒は、(A)および/または(B)成分を溶解でき、かつ、(D)成分の水と(A)および/または(B)成分をある期間均一にまたは安定して分散または溶解しうる性質を有することが好ましい。ここで使用できる有機溶媒としては、37℃で30重量%以上の水を溶解できる有機溶媒が好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは水と任意の比率で混和および/または溶解しうる溶媒である。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;N,N-ジメチルスルホキサイド(DMSO)などのスルホキサイド類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類などを挙げることができる。その他、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの高級アルコール類も使用できる。ここでは、生体への安全性を考慮して、アルコール、アセトン、THFおよびDMSOなどが特に好ましい。
【0056】
本発明の組成物は、(A)〜(D)成分の合計100重量部としたとき、通常、(A)成分は3〜80重量部の範囲、好ましくは5〜70重量部の範囲、さらに好ましくは10〜65重量部の範囲であり、(B)成分は0.01〜30重量部の範囲、好ましくは0.05〜20重量部の範囲、さらに好ましくは0.1〜10重量部の範囲であり、(C)成分は0.01〜20重量部の範囲、好ましくは0.05〜15重量部の範囲、さらに好ましくは0.1〜10重量部の範囲であり、(D)成分は20〜80重量部の範囲、好ましくは20〜70重量部の範囲、さらに好ましくは20〜60重量部の範囲で使用できる。
【0057】
(A)〜(D)成分の合計100重量部としたときに、さらに加える成分として(E)成分は30〜200重量部の範囲であり、好ましくは30〜150重量部の範囲、さらに好ましくは30〜100重量部の範囲で使用できる。また、水への溶解度が5%以上の(E)成分を使用する場合は、(A)〜(D)成分の合計100重量部としたときに、さらに加える成分として通常、0.1〜10重量部の範囲、好ましくは0.1〜5重量部の範囲、さらに好ましくは0.1〜3重量部の範囲で使用できる。
【0058】
(A)〜(D)成分の合計100重量部としたときに、さらに加える成分として(F)成分は50〜300重量部の範囲であり、好ましくは70〜250重量部の範囲、さらに好ましくは80〜200重量部の範囲で使用できる。
【0059】
本発明において、上記の(A)〜(F)成分以外に、単官能ラジカル重合性単量体を使用することができる。具体的には、スチレン、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシルなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族アルキルエステル類;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシ−3−(β−ナフトキシ)プロピルなどの(メタ)アクリル酸の芳香族エステル類などを挙げることができる。
【0060】
さらに、シランカップリング剤、貴金属表面用に適用するに好適なイオウ化合物を含有させることができる。
【0061】
本発明に使用できるシランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を有する重合性単量体を好ましいものとして挙げることができる。アルコキシシリル基を有する重合性単量体としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、トリメトキシシリルプロピルアリルアミンなどを挙げることができる。この中では、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよび2−スチリルエチルトリメトキシシランが好ましく使用される。
【0062】
上記の重合性単量体はそれぞれ単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0063】
さらに、本発明の効果を損なわない範囲で、フッ化ナトリウムなどのフッ素含有化合物、フッ素放出性フィラー、重合禁止剤、顔料、色素、ポリマー、フィラー、防カビ剤、抗菌剤、界面活性剤などを含有させることができ、通常、これらは本発明の組成物100重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の範囲で使用される。
【0064】
本発明の接着性組成物が接着困難といわれる歯質組織に有効であるのは、以下の接着メカニズムを有するためと予測している。すなわち、歯質組織、特に象牙質には多量の水分が存在する。この組織に接着材を適用して十分な接着性能を引き出すには、接着材成分が十分に組織内に拡徹し硬化することが必要であるといわれ、良好な接着性能を有する接着材を使用した場合には歯質との接着界面付近には歯質組織と接着材成分が混在した樹脂含浸層が形成されることが明らかになっている。一般に、歯質組織内に接着材成分が拡散するためには、歯質組織内の水分と混合しやすい重合性単量体や重合開始剤を使用することが好ましいと言われる。この方法は短期的には良好な接着強度が得られるものの長期的な接着耐久性が悪い。その原因は、水に溶解しやすい成分を使用することによる耐水性の低下があると推察される。一方、特公平6−62688号公報の提案のように、エタノールなどの水に可溶な揮発性有機溶媒を使用する組成物があるものの接着性能は十分といえない。これは歯質組織内の水分を該提案の組成物にうまく置換できていないためと考えられる。また、特開平11−240815号公報のように有機溶媒を併用する組成物は、たとえば、生活歯髄を有する歯質象牙質に適用した場合に、一過性の痛みを感じさせることがある。また、義歯や義歯床などの硬化した樹脂に適用した場合に、選択した有機溶媒の種類によって樹脂に亀裂を発生させる場合があるので、使用用途が限定されることがある。
【0065】
本発明者は上記の改善を目的に検討を行い、酸性基を有する重合性単量体(A)、重合開始剤(B)および還元剤(C)と歯質内に取り込まれ易い水(D)を一時的に乳濁させて、水と油を乳濁させたような状態で歯質表面に接触させる方法を見出した。
【0066】
本発明の成分およびその組成を歯質に適用した場合、以下の接着メカニズムが推察される。即ち、通常室温で相分離した本発明の組成物は適用前によく振って乳濁させる。乳濁の程度は、被着体の性質にもよるが、通常、均一になるまで行うことが好ましい。乳濁液を歯質表面に接触させると、まず、pHの低い本発明の組成物によって歯質表面のハイドロキシアパタイトを溶解しながら、健全歯質内に本組成物成分が拡散し歯質組織と吸着する。一般に、1分子内に親水性基と疎水性基をバランスよく有する重合性単量体は、歯質組織内に拡散しやすいといわれているので、分子内に酸性基または/およびカルボン酸無水物を有するラジカル重合性単量体が優先的に拡散し吸着されると推察される。歯質組織内部に存在する水分と本発明の組成物と速やかに接着界面付近で混合し、さらに本発明の組成物が歯質内に拡散し歯質組織と吸着する過程で、同時に、水に溶解しなかった成分と水とが徐々に分離する。歯質組織と重合性単量体が吸着すると水は徐々に表面へと追いやられ、重合性単量体である油膜上に水滴状態となる。このとき圧搾空気や温風を適用部位に施こすことによって、接着に不要な水分や歯質成分の溶解残渣を接着面から除外することが出来る。その後、可視光線などの照射や温風などによってラジカル重合が接着に必要なだけ進行させる。コーティング材として使用する場合には、表層に残る少量の未重合の重合性単量体をエタノールを含む綿球などで除去すると終了するが、必要に応じてコンポジットレジン等の修復物を適用させて治療を終了させることができる。このように、接着界面付近の水分を、有機溶媒を含む本発明の組成物によって徐々に組織外部へ排除しながら歯質組織内に硬化性組成物を深く浸透させ、かつ有効な被膜博さを確保することによって湿潤条件でも強力な接着強さが得られ、水に不溶または難水性の硬化物を形成できるので優れた耐水性が得られるものと考えられる。
【0067】
本発明の別な特長として、薄い塗膜状態で硬化させても表面硬度が高いことである。本発明の歯科用接着性組成物は通常1〜30ミクロン好ましくは1〜10ミクロンの硬化膜厚で使用される。一般にラジカル重合性組成物は、硬化時に酸素による重合阻害を受けやすいので薄い塗膜状態で硬化させると重合が不十分となり表面硬度は低くなる。さらに、酸性基を有する重合性単量体および水を含有するような接着性組成物であると重合性が低下して硬化物の表面硬度が低下することが多い。しかしながら、本発明の接着性組成物では接着性能と表面硬度を併せ持つという、予測外の新たな特性が見出された。なかでも還元剤(C)を水溶性化合物、たとえば、スルフィン酸塩やN−芳香族基置換グリシン塩などを使用することによってこの特性が現れやすく、特に、スルフィン酸塩とN−芳香族基置換グリシン塩を同時に使用するとき顕著になることがわかった。
【0068】
さらに、生活歯髄を有する歯質象牙質に適用した場合に発生することがある一過性の痛みが、有機溶媒を使用しない本発明の組成物を適用することによって著しく軽減するという、予想外の効果が認められた。この効能から、有機溶媒含有の接着材を有髄象牙質に適用した場合に発生した一過性の痛みの原因を予測すると、有機溶媒の揮発に基づく局部的な温度低下によるものと予測できる。したがって、有機溶媒を使用しない本発明の組成物においては揮発性有機溶媒を含まないために局部的な温度低下が発生せず、結果的に痛みが抑制されたものと推察する。また、歯質のみならず被着体として義歯や義歯床などの硬化した樹脂にも適用でき、これまで有機溶媒を含む接着材を適用した場合に生じていた樹脂の急激な亀裂発生を抑制する効果がある。
【0069】
本発明の接着性組成物のうち、溶媒(F)成分と、重合開始剤(B)の全部あるいは一部を除いた混合物を、密閉した同一包装容器内で30〜40℃の恒温水槽内にて24時間強く攪拌して各成分を十分に混合する。その後、一度、組成物を室温(23℃)にした後、再度、約15秒間激しく振とうした場合、通常、完全に溶解せずに乳濁して分散するか、あるいは、5分以内に相分離を起こす特長を有する。また、(F)成分を含む場合には、(F)成分を室温付近で蒸発させた残留組成物を約15秒間激しく振とうした場合、通常、完全に溶解せずに乳濁して分散するか、あるいは、5分以内に相分離を起こす特徴を有する。
【0070】
【実施例】
本究明の効果をより高めるため、歯質に対して本発明の組成物を適用する場合には、塗布後5秒以上、好ましくは10秒以上、さらに好ましくは30秒以上静置する。これは本発明の組成物が歯質表面のスメア層および/または歯の基質の一部または全部を溶解し拡散するために必要な時間と推察される。しかし、その静置時間が長いほど本発明の効果を高めるが、口腔内での使用を考慮すると、せいぜい1分間程度にとどめるのが好ましい。また、金属化合物を含んでも良いリン酸やクエン酸などの無機酸ならびに有機酸によって、予め表面処理した歯質に適用することもできる。以下、本発明を実施例により説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
【0071】
(相分離試験)
本発明の(A)〜(D)成分からなる組成物を密閉した同一包装容器内で30〜40℃の恒温水槽内にて24時間強く攪拌して各成分を十分に混合する。その後、組成物を室温(23℃)にした後、再度、約15秒間激しく振とうして、透明均一溶液でない場合、すなわち、完全に溶解せずに乳濁して分散するとき、あるいは、5分以内に一部でも油滴あるいは固形状のものがあるときは「相分離」と定義した。なお、重合開始剤(B)の種類によって本試験時間内に硬化が生じる組成物は、(B)成分を除いて同様の試験を行うことができる。
【0072】
また、(F)成分を含む場合には、(F)成分を室温付近で蒸発させた残留組成物を約15秒間激しく振とうして、透明均一溶液でない場合、すなわち、完全に溶解せずに乳濁して分散するか、あるいは、5分以内に一部でも油滴あるいは固形状のものがあるときは「相分離」と定義した。
【0073】
(重合性単量体の水への溶解度試験)
本発明の(A)または(E)成分に相当するラジカル重合性単量体を、蒸留水中に5%になるように加え、37℃の温度下にて10分間振とうした後に4時間静置し、相分離の有無を肉眼で観察した。相分離のあるものを溶解度5%未満、均一に乳化している場合を含めて溶解しているものは溶解度5%以上とした。このようにして、(A)あるいは(E)成分が37℃における溶解度が5%未満であるラジカル重合性単量体であるか否かを判断した。
【0074】
(B)または/および(C)成分を含有するスポンジの作成法の例1:
例えば、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム(p−TSNa:鹿1級、関東化学)を含有するスポンジを調製する場合:p−TSNa 0.05gを乳鉢にて10分間すりつぶして粉にして、20ccガラス瓶に入れ、さらにスーパーボンドC&Bに付属のスポンジS(発泡ポリウレタン寸法¢3×3mm:1個の重量8.3mg)を0.05〜0.1g入れる。3分間瓶を激しく振ってスポンジとp−TSNaを均一に接触させる。粉とスポンジを分けて取り出し、スポンジをキャタスポンジと称して、そのまま使用した。スポンジ1個あたりに含有されるp−TSNaは、平均0.4mgであった。
【0075】
過酸化ベンゾイル(BPO)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(BSNa)、p−トルエンスルフィン酸リチウム(p−TSLi)、N−フェニルグリシン(NPG)、N−フエニルグリシンのナトリウム(NPG・Na)、パルビツール酸およびバルビタールナトリウムを含むキャタスポンジならびにこれらの混合物を含有するキャタスポンジについても同じ方法で調製した。
【0076】
(B)または/および(C)成分を含有するスポンジの作成法の例2:
例えば、p−TSNaとNPG・Naを含有するスポンジを調製する場合:0.02gのp−TSNaと 0.02gのNPG・Naに0.96gのイオン交換水を加えて水溶液を調製する。この水溶液にスーパーボンドC&Bに付属のスポンジSを0.11g(13個分)加えて3分間瓶を激しく振ってスポンジ内に溶液を含ませる。水溶液を含んだスポンジをステンレスメッシュ上に移して広げ、55℃雰囲気下でメッシュを動かしながら乾燥する。乾燥後のスポンジをキャタスボンジと称して、そのまま使用した。スポンジ1個あたりに含有されるp−TSNaおよびNPG・Naは、それぞれ平均0.1mgで、合計0.2mgであった。
【0077】
過酸化ベンゾイル(BPO)、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム(BSNa)、p−トルエンスルフィン酸リチウム(p−TSLi)、N−フェニルグリシン(NPG)、N−フエニルグリシンナトリウム(NPG・Na)、バルビツール酸およびバルビタールナトリウムを含むキャタスボンジならびにこれらの混合物を含有するキャタスポンジについても同じ方法で調製した。なお、水に溶解しない化合物についてはエタノールまたはアセトンを用いた。
【0078】
(B)または/および(C)成分を含有させるスポンジの作成法の例3:
p−トルエンスルフィン酸ナトリウム・4水和物(和光純薬)0.4g、蒸留水16gを溶解して、そのうち3gを10ccガラス瓶に入れて、さらにスーパーポンドC&Bに付席のスポンジS(発泡ウレタン寸法¢3×3mm;一個の重量8.3mg)を0.05〜0.1g入れて十分に液を含浸させる。これをキャタスポンジと称して、そのまま使用時には液を含浸させたスポンジ1個分として本発明の組成物を調製した。スポンジ1個当たりに含有される液は約16mgであった。
【0079】
(歯質の表面処理:なし)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で冷凍して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#180で研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して直ちに接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを貼り付けた。
【0080】
(歯質の表面処理:エッチング処理)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙♯180まで研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銑にて水分を除去して直ちに、エッチング材として表面処理材レッド(65%リン酸液;サンメディカル製)あるいは表面処理材グリーン(10%クエン酸と3%塩化第二鉄の混合水溶液;サンメディカル製)をスポンジS(キャタスボンジではない)にて十分量塗布して5秒間後に水洗し、エアブローによって乾操した。エッチング材を適用した面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを貼り付けた。
【0081】
(歯質の表面処理:次亜塩素酸ナトリウム処理)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙♯180まで研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銑にて水分を除去して接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを貼り付けた。面積規定した部分に10%次亜塩素酸ナトリウム水溶液を塗布して30秒間静置後十分に水洗した。象牙質表面の余剰の水分を脱脂綿などで軽くぬぐい、表面が乾かないように保った。
【0082】
(本発明の組成物の歯質への適用1)
本発明の硬化性組成物を使用直前によく振とうして乳濁させ、直ちに2滴(0.1g)ダッペンディッシュに採取した。30秒以内にスーパーボンドC&Bに付属のスポンジSを用いて面積規定した歯質表面に多量(約0.015g)に塗布して20秒間静置した後、軽くエアブローしながら余分な液を吹き飛ばした。ダッペンディッシュ中に残った液を同じスポンジで十分に攪拌して数度繰り返して塗布し表面に被膜の形成を肉眼で確認した後、可視光照射器(TransluxCL、Kulzer製)にて10秒間光照射して本発明の硬化性組成物を硬化させた。
【0083】
(本発明の組成物の歯質への適用2)
本発明の硬化性組成物うち(C)成分を除く乳濁液2滴(0.1g)タッペンディッシュに取り、素早くキャタスボンジ(上述のいずれかの方法で調製したもの)1個によって3−5秒間攪拌して全成分をダッペンディッシュ内で混合乳濁させた。キャタスポンジをそのまま用いて面積規定した歯質に多量に塗布して20秒間静置した後、軽くエアブローしながら余分な液を吹き飛ばした。ダッペンディッシュ中に残った液を同じスポンジで十分に攪拌して数度繰り返して塗布し表面に被膜の形成を肉眼で確認した後、可視光照射器(TransluxCL、Kulzer製)にて10秒間光照射して本発明の硬化性組成物を硬化させた。
【0084】
(接着試験方法)
本発明の組成物を上記の方法で歯質に適用したのち(適用1または適用2)、直ちに片面に粘着材のついた内径5.1mm円孔を持つ厚さ1mmの原紙を規定面がみえるようにおいて固定し、この穴にコンボジットレジン(メタフィルC、サンメディカル製)を充填して、厚さ50mmのポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上から可視光照射器(TransluxCL、Kulzer製)にて20秒間光照射してコンボジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サンメディカル製)にてアクリル棒を植立して15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試験をクロスヘッドスピード2mm/minで行った。
【0085】
(ビッカース硬度試験法) JIS Z−2251に準拠
本発明の組成物を表面処理なしのウシ象牙質に上記の方法で適用したのち、直ちに、最表層の未重合部分をエタノールの含む綿球によって除去する。このときの被膜厚さは約10μmである。この表面の硬さをビッカース硬度計(島津製作所 HMV−2000)にて、50gで約12秒間荷重をかけて測定して、ビッカース硬度(HV)を算出した。
【0086】
(被膜厚さ試験)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で冷凍して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#180で研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去した。研削面の半面にセロハンテープを貼り、本発明の接着性組成物をもう半面の象牙質表面に20秒間塗布し、エアブローで薄く均一にした。可視光照射器(TransluxCL、Kulzer製)にて10秒間光照射して、エタノールを含む綿球にて表面の未硬化組成物を拭い取った。セロハンテープを取り除き、アクリル板と粘度にて研削面を上にして牛歯を水平に固定して、被膜測定器DIGIMATIC INDICATOR(MITUTOYO製)にセットし、セロハンテープで覆っていた表面(研削面)と本発明の組成物を適用した表面との差を計測して被膜厚さを算出した。
【0087】
(ポーセレンヘの接着試験)
歯科用ポーセレン(スーパーボーセレンAAA、E3(ノリタケ製);15×15×10)の一面を回転式研点機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#2000まで研磨して平面な面を得た。研磨面をリン酸液(高粘度レッド(サンメディカル))0.3gを塗布して30秒間静置後、十分に水洗いしエアブローによって乾燥した。リン酸液を適用した面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを貼り付けた。
【0088】
4−MET(2.5重量部)とシランカップリング剤としてのγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(γ−METS;2.5重量部)とメタクリル酸メチル(MMA)95重量部からなる溶液を使用直前に調製して0.015gスポイトでとり出して面積規定した表面に塗布し、10秒後にエアブローして乾燥した。この表面に対して、本発明の組成物を適用して、前述の接着試験方法に則って接着強度を算出した。
【0089】
(歯科用貴金属(金銀パラニウム)への接着試験)
歯科用貴金属(金銀パラジウム合金:プライムキャスト(石福金属製)10×10×3mm)の面を回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#600まで研磨して平面な面を得た。研磨面をアルミナサンドプラスト(Sahara(JELENKO);50μmアルミニウムオキシド)で5kg/cm2にて約10秒間処埋して水中超音波洗浄後エアブローによって乾燥した。処理面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを張り付けた。
【0090】
6−(4−ピニルペンジルーn一プロピル)アミノー1,3.5−トリアジンー2.4−ジチオン(VTD.0.5重量郡)とアセトン(99.5重量部)からなる溶液を約0.015gスポイトでとり出して面積規定した表面に塗布し、10秒後にエアブローして乾燥した。この表面に対して、本発明の組成物を適用して、前述の接着試験方法に則って接着強度を算出した。
【0100】
実施例
予め(C)成分であるNPG・Naおよびp−TSNaをそれぞれ0.4重量部含有するキャタスポンジをスポンジ作成法の例1に則って作製した。また、3重量部の2−メチル−2−アクリルアミドスルホン酸(TBAS)、0.1重量部のカンファーキノン、0.1重量部のDTMPO、17重量部の蒸留水、15重量部のエトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(A−9300)および12重量部のMMAをガラス瓶にいれて混合し、遮光しながら25℃で30分間激しく振とうして均一乳濁液にした。この溶液は密閉状態で室温において30分程度で肉眼的に相分離が確認できた。
【0101】
予め作製したキャタスポンジと使用直前によく振とうして乳濁させた液2滴(約0.1g)を適用して、ウシエナメル質、歯質の表面処理なし、歯質への適用2によって接着試験を行ったところ、接着強さは5MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。表面硬度は20HVであった。
【0102】
実施例
予め(C)成分であるNPG・Naを0.8重量部含有するキャタスポンジをスポンジ作成法の例1に則って作製した。また、13重量部の4−META、0.2重量部のカンファーキノン、20重量部の蒸留水、15重量部のA−9300をガラス瓶にいれて混合し、遮光しながら25℃で30分間激しく振とうして均一乳濁液にした。この溶液は密閉状態で室温において30分程度で肉眼的に相分離が確認できた。
【0103】
予め作製したキャタスポンジと使用直前によく振とうして乳濁させた液2滴(約0.1g)を適用して、ウシ象牙質、歯質の表面処理なし、歯質への適用2によって接着試験を行ったところ、接着強さは6MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。表面硬度は30HVであった。
【0104】
実施例
予め(C)成分であるNPG・Naおよびp−TSNaをそれぞれ0.7重量部含有するキャタスポンジをスポンジ作成法の例1に則って作製した。また、13重量部の4−META、0.3重量部のカンファーキノン、0.3重量部のDTMPO、13重量部の蒸留水、15重量部のA−9300および12重量部のMMAをガラス瓶にいれて混合し、遮光しながら25℃で30分間激しく振とうして均一乳濁液にした。この溶液は密閉状態で室温において30分程度で肉眼的に相分離が確認できた。
【0105】
予め作製したキャタスポンジと使用直前によく振とうして乳濁させた液2滴(約0.1g)を適用して、ウシ象牙質、歯質の表面処理なし、歯質への適用2によって接着試験を行ったところ、接着強さは7MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。表面硬度は40HVであった。
【0106】
実施例
予め(C)成分であるNPG・Naおよびp−TSNaをそれぞれ0.3重量部含有するキャタスポンジをスポンジ作成法の例2に則って作製した。また、22重量部の4−MET、0.2重量部のカンファーキノン、0.2重量部のDTMPO、15重量部の蒸留水、15重量部のA−9300および12重量部のMMAをガラス瓶にいれて混合し、遮光しながら25℃で30分間激しく振とうして均一乳濁液にした。この溶液は密閉状態で室温において30分程度で肉眼的に相分離が確認できた。
【0107】
予め作製したキャタスポンジと使用直前によく振とうして乳濁させた液2滴(約0.1g)を適用して、ウシ象牙質、歯質の表面処理なし、歯質への適用2によって接着試験を行ったところ、接着強さは7MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。表面硬度は40HVであった。
【0114】
実施例
予め(C)成分であるNPG・Naおよびp−TSNaをそれぞれ0.7重量部含有するキャタスポンジをスポンジ作成法の例1に則って作製した。また、22重量部の4−META、0.3重量部のカンファーキノン、0.3重量部のDTMPO、13重量部の蒸留水、15重量部のA−9300、12重量部のMMAおよび36重量部のアセトンをガラス瓶にいれて混合し、遮光しながら25℃で30分間激しく振とうして均一溶液にした。この溶液は密閉状態で室温において数ヶ月静置しても相分離や粘度上昇は確認できなかった。
【0115】
予め作製したキャタスポンジと溶液2滴(約0.1g)を適用して、ウシ象牙質、歯質の表面処理なし、歯質への適用2によって接着試験を行ったところ、接着強さは7MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。表面硬度は40HVであった。
【0116】
実施例
予め(C)成分であるNPG・Naおよびp−TSNaをそれぞれ0.7重量部含有するキャタスポンジをスポンジ作成法の例1に則って作製した。また、22重量部の4−META、0.3重量部のカンファーキノン、0.3重量部のDTMPO、13重量部の蒸留水、15重量部のA−9300、12重量部のMMA、1重量部のHEMAおよび35重量部のアセトンをガラス瓶にいれて混合し、遮光しながら25℃で30分間激しく振とうして均一溶液にした。この溶液は密閉状態で室温において数ヶ月静置しても相分離や粘度上昇は確認できなかった。
【0117】
予め作製したキャタスポンジと溶液2滴(約0.1g)を適用して、ウシエナメル質、歯質の表面処理なし、歯質への適用2によって接着試験を行ったところ、接着強さは7MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。表面硬度は40HVであった。
【0118】
実施例
予め(C)成分であるNPG・Naおよびp−TSNaをそれぞれ0.7重量部含有するキャタスポンジをスポンジ作成法の例1に則って作製した。また、22重量部の4−META、0.3重量部のカンファーキノン、0.3重量部のDTMPO、10重量部の蒸留水、15重量部のA−9300、10重量部のMMA、1重量部のHEMAおよび40重量部のエタノールをガラス瓶にいれて混合し、遮光しながら25℃で30分間激しく振とうして均一溶液にした。この溶液は密閉状態で室温において数ヶ月静置しても相分離や粘度上昇は確認できなかった。
【0119】
予め作製したキャタスポンジと溶液2滴(約0.1g)を適用して、ウシ象牙質、歯質の表面処理なし、歯質への適用2によって接着試験を行ったところ、接着強さは7MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。表面硬度は35HVであった。
【0120】
実施例
予め(C)成分であるNPG・Naおよびp−TSNaをそれぞれ0.4重量部含有するキャタスポンジをスポンジ作成法の例1に則って作製した。また、13重量部の4−META、0.3重量部のカンファーキノン、0.3重量部のDTMPO、17重量部の蒸留水、15重量部のA−9300、12重量部のMMA、2.5重量部のHEMAおよび40重量部のアセトンをガラス瓶にいれて混合し、遮光しながら25℃で30分間激しく振とうして均一溶液にした。この溶液は密閉状態で室温において数ヶ月静置しても相分離や粘度上昇は確認できなかった。
【0121】
予め作製したキャタスポンジと溶液2滴(約0.1g)を適用して、ウシ象牙質、歯質の表面処理なし、歯質への適用2によって接着試験を行ったところ、接着強さは8MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。表面硬度は40HVであった。
【0122】
実施例
ウシ象牙質、歯質の表面処理を表面処理材レッド(65%リン酸)を用いたエッチングありで行った他は実施例と同じように接着試験を行ったところ、接着強さは10MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。
【0123】
実施例10
歯質の表面処理を表面処理材グリーンを用いたエッチングありで行った他は実施例と同じように接着試験を行ったところ、接着強さは10MPaであり、破壊状態は歯質との界面剥離を一部に含み、本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。
【0124】
実施例11
歯質の表面処理として次亜塩素酸ナトリウムを用いて行い、湿潤状態を保ったままの象牙質に対して行った他は実施例と同じように接着試験を行ったところ、接着強さは7MPaであり、破壊状態は本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊を一部に含む歯質との界面剥離であった。
【0125】
実施例12
被着体としてポーセレンを用い、ポーセレンへの接着試験の方法に準じて実施例と同じ組成物を使用して接着試験を行ったところ、接着強さは11MPaであり、破壊状態はポーセレンの凝集破壊であった。
【0126】
実施例13
被着体として歯科用貴金属を用い、歯科用貴金属への接着試験の方法に準じて実施例と同じ組成物を使用して接着試験を行ったところ、接着強さは10MPaであり、破壊状態は組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。
【0127】
実施例14
被着体として歯科用床用レジン(メタファスト:サンメディカル製)を用いて10×10×3mmの硬化物を作製した。接着試験の方法に準じて実施例と同じ組成物を使用して接着試験を行ったところ、接着強さは10MPaであり、破壊状態は本発明の組成物硬化物およびコンポジットレジンの凝集破壊であった。
【0128】
実施例15
被着体としてコンポジットレジン(メタフィルC:サンメディカル製)を用いて10×103mmの硬化物を作製した。ポーセレンへの接着試験の方法に準じて実施例と同じ組成物を使用して接着試験を行ったところ、接着強さは12MPaであり、破壊状態は予め硬化させたコンポジットレジンの凝集破壊であった。
【0129】
【発明の効果】
本発明の歯科用接着性組成物は、たとえばコンポジットレジンなどの歯質と接着性のない材料を接着させるためのボンディング材として、また、レジンセメントの歯質接着性能の向上を目的に使用するボンディング材として使用することができ、さらに、種々の被着体、すなわち歯質、金属、セラミックス、レジンなどの表面を保護するためのコーティング材として使用することができ、特に、歯髄(神経と呼ぶことがある)に大きく影響を与える象牙質が露出した部分へのコーティング剤として使用したときには、磨耗や機械的刺激の保護ばかりでなく、知覚過敏の抑制、ウ蝕感染の予防、術後疼痛の発生抑制などに有効である。本発明の歯科用コーティング材は、非常に簡便で短時間に操作が可能であり、歯質と強固に接着した硬くて薄い被膜を形成することができる利点を有するので、単にコンポジットレジンやレジンセメントなどの他の材料と歯質を接着させる接着材としての機能ばかりでなく、接着材自体が硬くて強い特性を有し、かつ、その特性は非常に薄い被膜でも発揮することができる。

Claims (11)

  1. (A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、(B)重合開始剤、(C)還元剤、(D)水および(E)酸性基を有さずトリアジン環を含有する多官能ラジカル重合性単量体からなり、(A)〜(D)成分の合計100重量部あたり、(A)成分は3〜80重量部の範囲、(B)成分は0.01〜30重量部の範囲、(C)成分は0.01〜20重量部の範囲、(D)成分は20〜80重量部の範囲および(E)成分は30〜200重量部の範囲にありそして(F)沸点100℃未満の水溶性有機溶媒を含有しないかあるいはさらに含有し、該水溶性有機溶媒を含有しないときには、歯質表面に適用する際乳濁状態にあり、該水溶性有機溶媒を含有するときには、歯質表面に適用した際に該水溶性有機溶媒の揮発により歯質表面上で相分離することを特徴とする歯科用接着性組成物。
  2. 硬化物のビッカース硬度が15〜100である請求項1記載の歯科用接着性組成物。
  3. (F)沸点100℃未満の水溶性有機溶媒を、(A)〜(D)成分の合計100重量部あたり、50〜300重量部でさらに含有する請求項1または請求項2記載の歯科用接着性組成物。
  4. 構成成分の混合物は37℃において相分離する請求項1または請求項2記載の歯科用接着性組成物。
  5. 硬化物のビッカース硬度が20〜80である請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用接着性組成物。
  6. 重合開始剤(B)が、(B1)光重合開始剤および/または(B2)過酸化物であって、該光重合開始剤(B1)が(B11)α−ケトカルボニル化合物および/または(B12)アシルホスフィンオキシド化合物である請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用接着性組成物。
  7. 還元剤(C)が、(C1)スルフィン酸塩、(C2)N−芳香族基置換グリシンまたはその塩、および(C3)バルビツール酸またはその塩よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用接着性組成物。
  8. 還元剤(C)が、 還元剤(C1)の少なくとも1種および還元剤(C2)の少なくとも1種からなる請求項7に記載の歯科用接着性組成物。
  9. 還元剤(C1)の少なくとも1種および還元剤(C2)の少なくとも1種を含有したアプリケータ、並びに残りの成分が入っている一つ以上の容器の組合せからなる請求項7または8に記載の歯科用接着性組成物のキット。
  10. 歯科用接着性組成物が歯科用接着材である請求項9記載のキット。
  11. 歯科用接着性組成物が歯科用コーティング材である請求項9記載のキット。
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