JP4912655B2 - 歯科用組成物 - Google Patents
歯科用組成物 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4912655B2 JP4912655B2 JP2005291378A JP2005291378A JP4912655B2 JP 4912655 B2 JP4912655 B2 JP 4912655B2 JP 2005291378 A JP2005291378 A JP 2005291378A JP 2005291378 A JP2005291378 A JP 2005291378A JP 4912655 B2 JP4912655 B2 JP 4912655B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- meth
- component
- weight
- parts
- dental composition
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Dental Preparations (AREA)
Description
Journal of Hard Tissue Biology;4(1):1−7
(A)分子内に少なくとも1つの酸性基と重合性基とを有する化合物、
(B)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物、
(C)ポリ((メタ)アクリレート)粒子からなる充填材、
(D)リン酸テトラカルシウム(TTCP)とリン酸二カルシウム(DCP)とを含有するカルシウム含有材、
および
(E)重合開始剤からなり、
上記(A)成分が、(A)成分と(B)成分との合計100重量部中に16〜70重量部の量で含有されており、(B)成分が(A)成分と(B)成分との合計100重量部中に84〜30重量部の量で含有されており、(C)成分が、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対し0.2〜297重量部の範囲内の量で含有されており、さらに(D)成分が、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して0.2〜297重量部の範囲内の量で含有されていることを特徴としている。
本発明の歯科用組成物は、リン酸カルシウム化合物を含有することを特徴とする重合性歯科用接着材組成物を適用することによって、すなわち、リン酸カルシウム化合物を重合性歯科用接着材組成物の充填材として使用することにより、リン酸カルシウム化合物を生体の硬組織と同じハイドロキシアパタイトに転化させて生体の部分とし、被着体である歯質、硬組織と強固な接着を得られるばかりでなく、歯科用コンポジットレジン、歯科用硬質レジン、陶材あるいは金銀パラジウム合金をはじめとする歯科用金属等の補綴物との間にも強固な接着強度を発現させて、微小漏洩を防止することができる。
(メタ)アクリル酸(以下、アクリル酸とメタアクリル酸の総称として(メタ)アクリル酸と記載する。)、マレイン酸等のα−不飽和カルボン酸;
4-ビニル安息香酸等のビニル芳香環化合物;
11-(メタ)アクリロイルオキシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸(以下、アクリロイルとメタアクリロイルの総称として(メタ)アクリロイルと記載する。)等の(メタ)アクリロイルオキシ基とカルボン酸基の間に直鎖炭化水素基が存在するカルボン酸化合物;
6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸等の(メタ)
アクリロイルオキシアルキルナフタレン(ポリ)カルボン酸;
4-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸等といった(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸;
4-[2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸等のさらに
水酸基を含有する化合物;
2,3-ビス(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレ−ト(以下、アクリレートとメタアクリレートの総称として(メタ)アクリレートと記載する。)等
のカルボキシベンゾイルオキシを有する化合物;
N,O-ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O-(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N-(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、O-(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N,O-ジ(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン等のN-および/またはO-位置換のモノまたはジ(メタ)アクリロイルオキシアミノ酸;
N-(メタ)アクリロイル-4-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-5-アミノ安息香酸、2-または3-または4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-または5-(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸等の官能性置換基を有する安息香酸の(メタ)アクリロイル化合物;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−トと無水マレイン酸または3,3',4,4'-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物または3,3',4,4'-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートと不飽和ポリカルボン酸無水物の付加反応物;
2-(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)-1,3-ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパ
ン、N-フェニルグリシンまたはN-トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレ−トとの付加物、4-[(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル
酸、3-または4-[N-メチル-N-(2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸などのポリカルボキシベンゾイルオキシと(メタ)アクリロイルオキシを有する化合物などを挙げることができる。これらのうち、11-(メタ)アクリロイルオ
キシ-1,1-ウンデカンジカルボン酸および4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリ
ット酸が好ましく用いられる。
ロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8-(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシ
ルアシドホスフェート、12-(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート等
の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシドホスフェート;
ビス[2-(メタ)アクリロイルオキシエチル]アシドホスフェート、ビス[2-または3-(メタ)アクリロイルオキシプロピル]アシドホスフェート等の2つ以上の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有するアシドホスフェート;
2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-p-メトキシフェニルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基とフェニレン基などの芳香環やさらには酸素原子などのヘテロ原子を介して有するアシドホスフェートなどを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基を、チオリン酸基に置き換えた化合物も例示することができる。これらのうち、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェートを好ましく使用することができる。
3-ブロモ-2-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート、3-メトキシ-1-スルホ-2-プロピル(メタ)アクリレート等の前記のアルキル部にハロゲンや酸素などのヘテロ原子を含む原子団を有する化合物;
1,1-ジメチル-2-スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2-メチル-2-(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸等の前記アクリレートに換えてアクリルアミドである化合物など;
さらには4-スチレンスルホン酸、4-(プロプ-1-エン-2-イル)ベンゼンスルホン酸などのビニルアリールスルホン酸などを挙げることができる。これらのうち、4-スチレンスルホン酸を好ましく使用することができる。これら化合物は単独であるいは2種以上組み合わせて使用することができる。
2-ハイドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ハイドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどのハイドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;
2-(2-メトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-(2-(2-(2-メトキシエトキシ)エトキシ)エトキシ)エチル(メタ)アクリレートなどのポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリレート類 (R1-(-O-R2-)n-O-COCH(R3)=CH2 (R1:アルキ
ル基、R2:アルキレン基、R3:水素又はメチル原子団);
アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート;
シクロブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのシクロアルキル(メタ)アクリレート類;
(テトラハイドロフラン-2-イル)(メタ)アクリレートなどのヘテロ原子を含む環状
アルキル(メタ)アクリレート類;
パーフルオロオクチル(メタ)アクリレートおよびヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のフルオロアルキルエステル;
3-(トリメトキシシリル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化合物などを挙げることができる。これらの単量体は単独であるいは2種以上併用して重合に用いられる。
また、本発明で使用する(B)成分としては、酸性基を有する上記(A)成分を室温で溶解可能な化合物であることが好ましい。
82〜50重量部の範囲内の量、特に好ましくは80〜60重量部の範囲内の量で含有される。本発明で使用される(B)成分は、本発明の歯科用組成物の有する優れた特性を発現させるための基礎となるモノマーであり、上記範囲内で使用することによって本発明の歯科用組成物の物性に関する基礎的特性が確立する。
また、本発明において、これらの充填材(C)は、単独であるいは組み合わせて、あるいは上記モノマーの共重合体を使用することができる。
が好ましく、さらに、0.01〜25μmの範囲内にあることが特に好ましい。
)2O)(以下、TTCPと表記する)とリン酸二カルシウム(CaHPO4)(以下、DCPと表記する)とを含有するカルシウム含有材である。このようにTTCPとDCPとを併用することにより、歯科用組成物を適用後、両者が口腔内の水分とともに歯牙硬組織と同様のハイドロキシアパタイトに転化し、これにより、より強固な接着を得ることができる。因みに、DCPは、別名、リン酸ジカルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸水素二カルシウム、第二リン酸カルシウム、又は、リン酸一水素カルシウムとも言うが、いずれも同一のCaHPO4である。なお、これらは、好ましくは無水物であり、組成重量
比率もそれを前提にして計算されたものではある。
応することにより、歯牙との接着を著しく低下させ、さらには組成物の硬化体の機械的物性を低下させる原因となる。
有機ホウ素化合物としては、トリエチルホウ素、トリ(n−プロピル)ホウ素、トリイソプロピルホウ素、トリ(n−ブチル)ホウ素、トリ(s−ブチル)ホウ素、トリイソブチルホウ素、トリペンチルホウ素、トリヘキシルホウ素、トリオクチルホウ素、トリデシルホウ素、トリドデシルホウ素、トリシクロペンチルホウ素、トリシクロヘキシルホウ素、ブチルジシクロヘキシルボランなどのトリアルキルホウ素;
ブトキシジブチルホウ素などのアルコキシアルキルホウ素;
ジイソアミルボラン、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンなどのジアルキルボラン;
テトラフェニルホウ素ナトリウム、テトラフェニルホウ素トリエタノールアミン塩、テトラフェニルホウ素ジメチル-p-トルイジン塩、テトラフェニルホウ素ジメチルアミノ安
息香酸エチルなどのアリールボレート化合物;
部分酸化トリブチルホウ素などの部分酸化トリアルキルホウ素などを挙げることができる。
ンゾイルパーオキサイド、p,p’−ジクロルベンゾイルパーオキサイド、p,p’−ジメトキシベンゾイルパーオキサイド、p,p’−ジメチルベンゾイルパーオキサイドおよびp,p’−ジニトロジベンゾイルパーオキサイドなどを挙げることができる。
これらは単独であるいは2種以上組み合わせで使用することができる。
光重合開始剤としては、可視光線を照射することによって重合性モノマーの重合を開始しうるものが好ましく使用され、例えばベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾイン類;
ベンジル、4,4'−ジクロロベンジル、ジアセチル、α−シクロヘキサンジオン、d,l−
カンファキノン(CQ)、カンファキノン‐10‐スルホン酸、カンファキノン‐10‐カルボン酸などのα−ジケトン類;
ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸メチル、ヒドロキシベンゾフェノンなどのジフェニルモノケトン類;
2,4‐ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントンなどのチオキサントン
類;
2,4,6‐トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドなどのアシルホスフィ
ンオキサイド類などの光増感剤を挙げることができる。
リン、N,N‐ジメチル‐p‐トルイジン、N,N‐ジエチル‐p‐トルイジン、N,N‐ジエタノ
ール‐p‐トルイジン、N,N‐ジメチル‐p‐t-ブチルアニリン、N,N‐ジメチルアニシジン、N,N‐ジメチル‐p‐クロルアニリン、N,N‐ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレー
ト、N,N‐ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N‐ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステルおよびそれらの塩、N,N‐ジエチルアミノ安息香酸およびその
アルキルエステルおよびそれらの塩、N,N‐ジメチルアミノベンズアルデヒド、N-フェニ
ルグリシンおよびその塩、N-トリルグリシンおよびその塩、N,N‐(3‐(メタ)アクリロイルオキシ‐2-ヒドロキシプロピル)フェニルグリシンおよびその塩などの有機還元性化
合物を挙げることができる。
本発明の歯科用組成物には、所望により、(F)多官能(メタ)アクリレートを使用することができる。
トリメチロールプロパンなどのブタントリオールのジ(メタ)アクリレート;
メソ−エリスリトールなどのブタンテトラオールのジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート;
ペンタントリオールのジ(メタ)アクリレート;
テトラメチロールメタンなどのペンタンテトラオールのジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート;
キシリトール及びその異性体の水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;
ヘキサントリオールのジ(メタ)アクリレート;
ヘキサンテトラオールのジ(メタ)アクリレートまたはトリ(メタ)アクリレート;
ヘキサンペンタオールの水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;
ヘキサンヘキサオールの水酸基を1〜2個有する多官能(メタ)アクリレート;
あるいは下記化学式(1)
原子を有していてもよい2価の芳香族あるいはシクロアルキル残基、好ましくは下記化学式(2)
無機充填材の例としては、ジルコニウム酸化物、ビスマス酸化物、チタン酸化物、酸化
亜鉛および酸化アルミニウム粒子などの金属酸化物粉末、炭酸カルシウム、炭酸ビスマス、リン酸ジルコニウムおよび硫酸バリウムなどの金属塩粉末、シリカガラス、アルミニウム含有ガラス、バリウム含有ガラス、ストロンチウム含有ガラスおよびジルコニウムシリケートガラスなどのガラスフィラー、銀徐放性を有するフィラー、フッ素徐放性を有するフィラーなどを挙げることができる。これら無機充填材は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
さらに無機有機複合フィラーなどを挙げることができる。無機有機複合フィラーとしてはTMPTフィラー(トリメチロールプロパンメタアクリレートとシリカフィラーを混和、重合させた後に粉砕したもの)などが使用できる。
本発明において、歯科用組成物の皮膜厚さを低減しおよび修復効果を向上させるためには、上述の通り、これら粒子の平均粒子径は、0.001〜30μmの範囲内にあること
が好ましく、さらに、0.01〜25μmの範囲内にあることが特に好ましい。
本発明の歯科用組成物において、フィラー(G)の使用量は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分および(F)成分(但し、(F)は0の場合もある)の合計100重
量%を基準に好ましくは15〜85重量%、より好ましくは20〜80重量%、更に好ましくは25〜75重量%の範囲内の量で使用される。
つ、 (y)の性質を有するC(xy)という性質を持つものであるS(xy)も含まれるとする。この場合、S(xy)の総重量W(xy)は、1/2にしたものをそれぞれS(x)の総重量W(x)、S(y)の総
重量W(y)に数え入れ、各カテゴリー毎の重量比率R(x)やR(y)を計算することとする。
即ち、
R(x)={W(x)+W(xy)/2}/{W(x)+W(y)+W(xy)}×100
R(y)={W(y)+W(xy)/2}/{W(x)+W(y)+W(xy)}×100
として、計算するものである。このような2重従属性C(xy)が有る場合以外にも3重以上の
従属性を有する場合も同様に計算(W(xyz)/3)できる。つまり、n重従属性の重量分はn
で除してそれぞれ配分する。
は、計算上、重量比率の全合計(R(x)+R(y))が1(100重量%)を超えない。また、合計(R(x)+R(y))は、100重量部を越えないように各成分の重量部は前記各数値範
囲より選択されるものである。
(A)分子内に少なくとも1つの酸性基と重合性基を有する化合物、
(B)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物、
(C)ポリ((メタ)アクリレート)粒子からなる充填材、
(D)リン酸テトラカルシウム(TTCP)とリン酸二カルシウム(DCP)とを含有するカルシウム含有材、
および
(E)重合開始剤からなり、これらの各成分の葉尾具お良は、上記(A)成分については、(A)成分と(B)成分との合計100重量部中に16〜70重量部の量で含有されており、(B)成分については(A)成分と(B)成分との合計100重量部中に84〜30重量部の量で含有されており、(C)成分については(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対し0.2〜297重量部の範囲内の量で含有されており、さらに(D)成分いついては、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して0.2〜297重量部の範囲内の量で含有されて本発明の歯科用組成物が構成されている。
(1)酸性基を含有する重合性単量体(A)、酸性基を含有しない重合性単量体(B)と重合開始剤(E)が、互いに隔離されて包装されている保存形態。
(3)酸性基を有する重合性単量体(A)、重合性単量体(B)とポリ((メタ)アクリレート)からなる充填材(C)とが、互いに隔離されて包装されている保存形態。
および、
(4)ポリ((メタ)アクリレート)からなる充填材(C)とカルシウム含有材(D)が予め混合されている保存形態。
酸性基含有重合性単量体(A)、重合性単量体(B)と重合開始剤(E)とを、共存させて保管しておくと、保存中に重合反応が進行してしまい、実用に供することが不可能となるおそれがあるので、これらは個別に包装して保存することが好ましい。また、カルシウム含有材(D)は、他の素材に比較して比重の重い粒子形状であることが多いので、これらの成分を、それより低比重の液性であることが多い酸性基含有重合性単量体(A)、重合性単量体(B)、あるいは重合開始剤(E)と共存させておくと、保管中に沈殿、分離して粒子の凝集等が発生して好ましくない。酸性基含有重合性単量体(A)、重合性単量体(B)とポリ((メタ)アクリレート)からなる充填材(C)は、重合性基を有する化合物成分が共存すると、膨潤、融着を引き起こしやすくなり、これらの流動性を実質上喪失するおそれがある。またポリ((メタ)アクリレート)からなる充填材(C)とカルシウム充填材(D)は、いずれも非液性的な乾燥した粉末乃至は粒子状形態を好適にとることができるので、予め均一に混合しておくことにより、均質な粉材として利用可能であり、実用に供する際に、念入りに混ぜる作業を省略することができるので好ましい。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例によりさらに詳述するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。
(略号の説明)
以下の実施例などで表記に略号の意味は次の通りである。
DCP:リン酸二カルシウム(CaHPO4)
MMA:メチルメタアクリレート
4−META:4−メタアクリロキシエチルトリメリット酸無水物
PMMA:ポリメチルメタアクリレート
(カルシウム含有材の調製)
TTCPおよびDCPをそれぞれ遊星ボールミルを用いて粉砕し、#280篩で分級した。分級したTTCP 36.7g(0.1mol)、DCP 13.6g(0.1mol)を再度遊星ボールミルを用いてよく混合し、カルシウム含有材を得た。得られたカルシウム充填材の平均粒径をレーザー回折・散乱式粒度分布計(LA−910、堀場製作所(株)製)で測定したところ、平均粒径1μm、最大粒径10μmであった。
(象牙質接着強度の測定)
ウシ下額前歯を注水下#180エメリーペーパーで研磨し平坦な接着用象牙質面を削りだし、水洗、乾燥した後、前記の面を粘着テープでマスキングして直径4.8mmの円形の接着面積を規定した。混合皿に所定組成のモノマー液を約0.09gとり、スーパーボンドキャタリスト(部分酸化トリブチルホウ素:(E)成分に相当、サンメディカル(株)製)約0.007g(モノマー液100部に対して7.8部)を滴下し、筆を用いてよく混合し、充分量を筆に含ませた後、下記に示す粉末を筆に付着させ、接着用筆で混合し、接着歯面に塗布、続いて、PMMA製接着ロッドを圧接して植立した。1時間経過後に接着したサンプルを37℃の蒸留水中浸漬し、24時間経過した後、クロスヘッドスピー
ド2mm/minで引張接着強さを評価した。これにより、接着材の基本特性を評価すること
ができる。
(辺縁封鎖性の評価)
ウシ下顎前歯を注水下#180エメリーペーパーで研磨し、平坦な象牙質表面を削りだし、歯科用エアタービンを用いて注水下、直径約3mm、深さ2mmの窩洞を形成した。窩洞表面を象牙質表面処理材グリーン(クエン酸と塩化第二鉄を主成分とする象牙質用の歯科用表面処理剤、サンメディカル(株)製)で10秒間処理し、水洗、乾燥させた。混合皿に所定組成からなるモノマー液((A)成分および(B)成分に相当)を約0.09gとり、スーパーボンドキャタリスト(部分酸化トリブチルホウ素:(E)成分に相当、サンメディカル(株)製)約0.007g(モノマー液100重量部に対して7.8重量部)を滴下し、後述する粉末0.08gと接着用筆で混合し、窩洞内部に充填し、充填した表面をセロハン(登録商標)で被覆した後に37℃、飽和湿度で一晩放置した。放置後、充填面を#600エメリーペーパーで注水下研磨し、平滑な表面をした後に、0.3%塩基性フクシン水溶液中に充填した歯牙を3分間浸漬した。フクシン水溶液から取り出した歯牙を蒸留水で洗浄した後に、充填面をさらに#100エメリーペーパーで注水下研磨し、研磨表面から歯質への方向にフクシンが浸入しているかをマイクロスコープにより観察した。さらに窩洞の切削方向に対し平行に充填歯牙を割断し、窩洞表面より歯質内部方向へフクシンが浸入しているかを同様にマイクロスコープを用いて観察した。ともにフクシンの浸入がないものを○、フクシンの浸入があったものを×と評価した。
〔比較例1〕
上述の象牙質接着試験および辺縁封鎖性試験において、モノマー液としてMMAを、充填材として上記カルシウム充填材3g、PMMA(スーパーボンド粉材クリア、サンメディカル(株)製)97gを遊星ボールミルを用いて混合したものを使用した。結果を表1に示す。酸性モノマーを含有していないために接着しないものと考えられた。
〔比較例2〕
上述の象牙質接着試験および辺縁封鎖性試験において、モノマー液としてMMA 95g、4−META 5gからなる混合物を使用し、充填材として上記カルシウム充填材3g、PMMA(スーパーボンド粉材クリア、サンメディカル(株)製)97gを遊星ボールミルを用いて混合したものを使用した。
Claims (8)
- (A)分子内に少なくとも1つの酸性基と重合性基を有する化合物、
(B)分子内に1つの重合性基を有し、酸性基を有しない化合物、
(C)ポリ((メタ)アクリレート)粒子からなる充填材、
(D)リン酸テトラカルシウム(TTCP)とリン酸二カルシウム(DCP)とを含有するカルシウム含有材、
および
(E)重合開始剤からなり、
上記(A)成分が、4−(メタ)アクリロキシエチルトリメリット酸および/またはその酸無水物であり、かつ、(A)成分と(B)成分との合計100重量部中に20〜40重量部の量で含有されており、(B)成分が、メチルメタクリレートであり、かつ、(A)成分と(B)成分との合計100重量部中に60〜80重量部の量で含有されており、(C)成分が、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対し0.2〜297重量部の範囲内の量で含有されており、さらに(D)成分が、(A)成分と(B)成分との合計100重量部に対して0.2〜297重量部の範囲内の量で含有されていることを特徴とする歯科用組成物。 - リン酸テトラカルシウム(TTCP)とリン酸二カルシウム(DCP)とを配合モル比(TTCP/DCP)0.33〜3.5の範囲内にあることを特徴とする請求項1に記載の歯科用組成物。
- 上記歯科用組成物が、さらに(F)多官能(メタ)アクリレート化合物を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の歯科組成物。
- 上記歯科用組成物が、さらに(G)無機フィラーあるいは無機有機複合化フィラーを含むことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
- 上記歯科用組成物が、さらに(H)色素および/または顔料を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
- 上記歯科用組成物が、さらに(I)水中においてフッ化物イオンを放出する化合物を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項5いずれか1項に記載の歯科用組成物。
- 上記重合開始剤(E)が、トリアルキルホウ素化合物であることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
- 上記重合開始剤(E)が、トリブチルホウ素および/またはその部分酸化物であることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の歯科用組成物。
Priority Applications (4)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005291378A JP4912655B2 (ja) | 2005-10-04 | 2005-10-04 | 歯科用組成物 |
KR1020087010803A KR101385759B1 (ko) | 2005-10-04 | 2006-10-04 | 치과용 조성물 |
US12/089,334 US20090258966A1 (en) | 2005-10-04 | 2006-10-04 | Dental Composition |
PCT/JP2006/319896 WO2007040253A1 (ja) | 2005-10-04 | 2006-10-04 | 歯科用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2005291378A JP4912655B2 (ja) | 2005-10-04 | 2005-10-04 | 歯科用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2007099673A JP2007099673A (ja) | 2007-04-19 |
JP4912655B2 true JP4912655B2 (ja) | 2012-04-11 |
Family
ID=38026954
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2005291378A Expired - Fee Related JP4912655B2 (ja) | 2005-10-04 | 2005-10-04 | 歯科用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4912655B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP5611644B2 (ja) * | 2010-04-08 | 2014-10-22 | サンメディカル株式会社 | 歯科用接着性組成物およびキット |
JP5730061B2 (ja) * | 2011-02-18 | 2015-06-03 | クラレノリタケデンタル株式会社 | 重合収縮力を低減した接着性の歯科用修復材料 |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US6398859B1 (en) * | 1998-12-24 | 2002-06-04 | American Dental Association Health Foundation | Resin-based pulp capping and basing cements |
-
2005
- 2005-10-04 JP JP2005291378A patent/JP4912655B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2007099673A (ja) | 2007-04-19 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
KR101385759B1 (ko) | 치과용 조성물 | |
JP5809974B2 (ja) | レドックス硬化型組成物 | |
JP4759170B2 (ja) | 歯科用組成物キット | |
JP4897124B2 (ja) | 歯科用接着材料キット | |
JP2003012433A (ja) | 歯科用セメント組成物 | |
JP3497508B2 (ja) | フッ素イオン徐放性プレフォームドグラスアイオノマーフィラーおよびこれを含有する歯科用組成物 | |
JP2008019183A (ja) | 歯科用セメント | |
JP5191486B2 (ja) | 反応硬化性接着性組成物および歯科用接着材キット | |
WO2019004391A1 (ja) | 2ペースト型歯科用硬化性組成物 | |
KR20070052750A (ko) | 레독스 경화형 비수계 경화성 조성물 | |
JP5765896B2 (ja) | 歯科用組成物 | |
JPH07316391A (ja) | 硬化性組成物 | |
JP4932210B2 (ja) | 歯科用組成物 | |
JP4912655B2 (ja) | 歯科用組成物 | |
JP4822314B2 (ja) | pH調整接着剤組成物 | |
JP2014240416A (ja) | タンパク質含有レジン系組成物の製造方法 | |
JP6198316B2 (ja) | 複合充填材及び歯科用組成物 | |
JP4969800B2 (ja) | 歯科材料、歯科用組成物、歯科用接着材、再石灰化促進材、生体用接着材および齲蝕検出材 | |
JP5611644B2 (ja) | 歯科用接着性組成物およびキット | |
JP2000026225A (ja) | 歯科用接着性組成物 | |
JP4969801B2 (ja) | 歯科材料、歯科用組成物、歯科用接着材、再石灰化促進材、生体用接着材および齲蝕検出材 | |
JP4291538B2 (ja) | 歯科用接着性組成物およびキット | |
JP7464359B2 (ja) | 歯科用硬化性組成物 | |
JP2023098835A (ja) | 酸処理充填材をベースにした良好な透明度を持つ自己接着型歯科用コンポジットセメント | |
JP2022187437A (ja) | 2ペースト型歯科用硬化性組成物 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20081001 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081106 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090130 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110927 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111128 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20111220 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120118 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4912655 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150127 Year of fee payment: 3 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |