JP4280343B2 - 歯科用接着剤のキット - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科用接着剤およびそのためのキットに関する。さらに詳しくは、生体に関わる温度領域や湿度・湿潤領域において硬化性に優れ、硬化物の耐水性、強度、接着性能、色調並びに保存安定性に優れた歯科用接着剤(接着性組成物)およびそのためのキットに関する。さらに詳細には、歯質に対して使用できるばかりでなく、歯科用の金属、セラミックスおよび歯科用レジン例えばコンポジットレジン、硬質レジン、床用レジン、セメントなどに適用できるコーティング材、ボンディング材、プライマー、前処理剤などに使用できる硬化性の接着性組成物、特にこれら用途のうちでは接着剤用途、コーティング材用途に優れた性能を有する接着性の硬化性組成物およびそのための歯科用接着剤キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、歯科用の接着剤、コンポジットレジン、硬質レジン、床用レジン、セメント、コーティング材などに使用される硬化性組成物としては、主にスチレン誘導体や(メタ)アクリル酸誘導体などに代表されるビニルモノマーなどのラジカル重合性単量体と、これを重合硬化させるための重合開始剤(触媒、硬化剤という場合がある)からなる硬化性組成物が多数提案されている。
【0003】
生体、特に歯科用の硬化性組成物に要求される性能は、生体が触れ得る温度領域や湿度・湿潤領域における硬化速度が比較的大きく制御可能なこと、硬化物の耐水性、強度および接着性能が高く、色調が容易に制御できることに加えて、これらの性能を発揮させる状態を長期間にわたって安定に維持したままで保管できる性能(保存安定性)が優れていることである。また、接着剤として適用する場合には、被着体としては、歯質はもとより、金属、セラミックス、硬化前あるいは硬化後のレジン(樹脂とも呼ぶことがある)、コンポジットレジン、レジンセメントなど多種にわたるので、これらの被着体に対応できる性能が要求される。
【0004】
ラジカル重合性単量体と光重合開始剤からなる硬化性組成物を使用して、前述の性能向上を達成しようとする次のような提案がある。特公昭53−33687号公報、特公昭54−10986号公報には、α−ジケトンなどのカルボニル化合物とアミン類からなる組成物が提案されているが、硬化物の色調が変化したり、耐水性、強度および接着性能不十分であった。また、特開昭56−120610号公報には酸性基を有するビニルモノマーとα−ジケトンおよび芳香族スルフィン酸塩類とからなる光硬化性組成物が提案されており、色調の安定性は優れているが強度や接着耐久性に問題があった。特公昭61−3684号公報にはカルボン酸無水物を含むモノマーと有機過酸化物、アミンおよび芳香族スルフィン酸塩を用いた組成物が提案されているが接着強度が十分ではなかった。また特開昭60−44508号公報および特開昭60−123515号公報および特公平7−2613号公報においてはカルボン酸含有モノマーと芳香族スルフィン酸塩を含有し、目的に応じてさらにアミンまたはα−ジケトン、ジアルデヒドを含有させた組成物が提案されている。これらについても十分な接着強度が得られていない。その後、特公平6−62688号公報では、カルボン酸含有モノマー、α−ジケトン、アミンおよび芳香族スルフィン酸(塩)からなる組成物が提案され、色調の安定性が著しく改善され、さらに接着性や耐久性の改善がなされた。
【0005】
上記の一連の提案は、すべて歯質表面を酸性化合物を含有するエッチング組成物で予め表面処理することが前提となっている。このエッチング処理は歯質の研削の際に表面上に残存する削りクズ層(スメア層)を除去し、接着強度を向上させる目的があった。さらに近年ではエッチング処理後にあるいはスメア層が残存したままモノマーを含むプライマー組成物で表面処理して硬化性組成物を適用する方法も提案されている。このようなエッチングやプライマーなどの硬化性組成物を適用する前に施すことにより接着強度を向上させる提案は、逆に施術者の手間が多く複雑となり治療時間も長くなり、患者に対する負担も大きくなった。
【0006】
歯質に強固に長期にわたって接着させるには、健全歯質にまで接着剤成分を拡散させて拡散した部分までも確実に硬化することが必要であるとの考えが一般的となっている。しかし、従来実施されているエッチング材組成物やプライマー組成物を使用した後に硬化性組成物を適用する接着剤組成物またはそのような方法を取り入れた接着剤には種々の問題が懸念されている。例えば、歯質エッチング材と硬化性組成物からなる接着方法は、ウ蝕を切削・除去した際に生成するスメア層(切削クズ)を除去するためのエッチングによって健全歯質までも侵襲され、接着部位の劣化を招く場合があった。
一方、歯質に対する接着材料は、歯質と修復材料とを隙間なく強力に接着すること、かつ口腔内での作業であるため可能な限り、簡単で短時間の作業で終了できることが望ましい。
【0007】
歯質にレジン修復材料を強固に接着させるための歯質表面処理方法として、次の三通りが主に採用されている。すなわち、第一にリン酸やクエン酸などの歯質脱灰性のある溶液をエナメル質および/または象牙質の表面に塗布して、その後水洗いして洗い流すエッチング法、第二にエッチング法を行った後の歯質表面に更にプライマーを塗布して乾燥させるエッチングプライマー法、および第三にエッチングせずに歯質に脱灰機能を有するプライマーを適用するセルフエッチングプライマー法である。これらの歯質処理方法は欠損した歯質を補うための材料と歯質を接着させるための接着材料、すなわちボンディング材やレジンセメントを適用する際の前処理であり、ここで使用する前処理組成物のみでは歯質と欠損を補う材料とを強固に接着できないものである。
【0008】
特公昭63−25562号公報には、酸性基を有するビニルモノマー、α−ジケトン、芳香族スルフィン酸塩またはチオ尿素類からなることを特徴とする歯科用材料が開示されている。
特開平10−245525号公報には、特定のリン酸基含有重合性単量体と多価カルボン酸基含有重合性単量体と重合開始剤を含有する、歯質に対して一切の前処理のいらない接着性組成物が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、歯牙への接着性能および耐久性が十分な歯科用接着剤(接着性組成物)およびそのためのキットを提供することにある。
本発明の他の目的は、特に歯質に対して使用する場合に、硬化性組成物を使用する前に、エッチング処理やプライマー処理などの前処理を必ずしも行う必要のない、特にウ蝕を切削除去した歯質(スメア層を有する健全歯質)に直接適用できる接着性組成物の歯科用接着剤およびそのためのキットを提供することにある。
【0010】
さらに詳細には、歯質に直接接触することによってスメア層の一部または全部を脱灰して、接着強度を発揮するに十分な接着剤成分を歯の基質まで拡散させるとともに歯質表面上に必要な厚みの被膜を形成させうる歯科用接着性組成物(以下、「セルフエッチングボンディング材組成物」と呼ぶことがある)を提供することにある。また、該組成物は前処理を施さない歯質に最も好適に使用でき、状況に応じてエッチングおよび/またはプライマーを施した歯質に対しても使用することができる。
本発明のさらに他の目的は、本発明の接着性組成物を長期間安定に保存できるキットを提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第1に、(A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、(B)酸性基を有さない水不溶性または水難溶性ラジカル重合性単量体、(C)光増感剤(C1)および/または過酸化物(C2)、(D)水溶性有機溶剤並びに(E)水を含有しそして上記(A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、各成分の含有量が(A)成分は1〜70重量部、(B)成分は27.8〜200重量部、(C)成分は0.01〜10重量部、(D)成分が10〜70重量部および(E)成分が1〜60重量部であることを特徴とする歯科用接着剤およびそのためのキットであり、キットにあっては、(A)および/または(C)成分がアプリケータに含有されそしてアプリケータに含有されていない他の成分は一つ以上の容器に入れられており、使用直前にアプリケータ中の(A)および/または(C)成分と接触、混合されることを特徴とする歯科用接着剤のキット、
によって達成される。
【0012】
本発明の上記目的および利点は、第2に、(B)酸性基を有さない水不溶性または水難溶性ラジカル重合性単量体をさらに含有する歯科用接着剤およびそのためのキットによって達成される。
【0013】
本発明における歯科用接着剤は、上記の(A)〜(E)成分の他に、任意成分として、
(F)アミン化合物、
(G)シランカップリング剤、および
(H)1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有することができる。
【0014】
歯質組織、特に象牙質には多量の水分が存在する。この組織に接着剤を適用して十分な接着性能を引き出すには、接着剤成分が十分に組織内に拡散し硬化することが必要といわれ、良好な接着性能を有する接着剤を使用した場合には歯質との接着界面付近には歯質組織と接着剤成分が混在した樹脂含浸層が形成されることが明らかになっている。一般に、歯質組織内に接着剤成分が拡散するためには、歯質組織内の水分と混合しやすい重合性単量体や重合開始剤を使用することが好ましいと言われる。この方法は短期的には良好な接着強度が得られるものの長期的な接着耐久性が悪く、その原因は、水に溶解しやすい成分を使用することによる耐水性の低下があると推察される。一方、特公平6−62688号公報の提案のように、エタノールなどの水に可溶な揮発性有機溶媒を使用する組成物があるものの接着性能は十分といえない。これは歯質組織内の水分を該提案の組成物にうまく置換できていないためと考えられる。
【0015】
本発明者は接着性の改善を目的に検討を行い、水の存在によって酸性基含有の重合性単量体に由来するプロトンの解離を促してpHを低下させ、同時に水に不溶な重合性単量体を水と任意の比率で混合できる有機溶媒に溶解し、さらに重合性単量体が適用する前までには相分離しない範囲の水を含有させることによって本発明に到達したものである。本発明の成分およびその組成から以下の接着メカニズムが推察される。即ち、表面に本発明の組成物を接触させた場合、まず、pHの低い本組成物によって歯質表面に存在するスメア層中のハイドロキシアパタイトを溶解し、健全歯質内に本組成物成分の拡散を促進させ、第2に、同時に組成物中に含まれる有機溶媒が歯質中の水と混和し、歯質組織内部の水分と本発明の組成物と速やかに接着界面付近で混合する。第3に、有機溶媒が徐々に蒸発すると同時に水分も一部蒸発し、接着界面から少しずつ水分が除去され、歯質組織の細部にまでラジカル重合性単量体が徐々に侵入して吸着する。この初期3つの段階では、分子内に酸性基または/およびカルボン酸無水物を有するラジカル重合性単量体が優先的に吸着されると推察される。続いて、有機溶媒および水分の蒸発速度を比較すると、有機溶媒の方が速いので、組成物中に占める有機溶媒の比率がある値を超えると水と混合しない重合性単量体が組成物中で極小さな油滴として形成されるので、組成物が不透明の液状になる。この時、分子内に酸性基または/およびカルボン酸無水物を有するラジカル重合性単量体は界面活性剤の役割を果たすと推察されミクロ的な相分離状態と考えられる。さらに溶媒の蒸発が進むと、歯質表面に油滴が徐々に吸着して水を接着界面から排除するようにラジカル重合性単量体の歯質組織への吸着が進行し、湿潤していた歯質表面を耐水性のあるラジカル重合性単量体と重合開始剤を含む組成物に置き換わる。このとき圧搾空気や温風を適用部位に施こすことによって、接着に不要な水分および有機溶媒を蒸発させる。ここで有機溶媒は表面上に接着剤成分を接着強度を発揮させるに必要な厚みで残す重要な役割を果たす。その後、可視光線などを照射することによって硬化後にコンポジットレジン等の修復物を適用させて治療を終了させる。このように、接着界面付近の水分を、有機溶媒を含む本発明の組成物によって徐々に組織外部へ排除しながら歯質組織内に硬化性組成物を深く浸透させ、かつ有効な被膜厚さを確保することによって湿潤条件でも強力な接着強さが得られ、水に不溶または難水性の硬化物を形成できるので優れた耐水性が得られるものと考えられる。
【0016】
本発明において(A)成分は、1分子内に酸性基または酸性塩基を有するラジカル重合性単量体である。酸性基としては、例えばカルボン酸基、カルボン酸無水物基、リン酸基およびスルホン酸基等を挙げることができる。
【0017】
例えば1分子中にカルボン酸基またはその無水物基を有する単官能重合性単量体としては、モノカルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカルボン酸およびポリカルボン酸またはその無水物を挙げることができる。ここで、使用できる化合物としては、特公平6−62688号公報に記載されているカルボン酸または/およびその無水物(a2)を挙げることができる。特に、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、p−ビニル安息香酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)、1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸、4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート、2または3または4−(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N−(メタ)アクリロイルp−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイルO−アミノ安息香酸、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチルN−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸、(メタ)アクリロイルオキシサリチル酸を挙げることができる。このうち、11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)および4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)またはその無水物(4−META)が好ましく用いられる。(A)成分として使用できる多官能重合性単量体で、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有する重合性単量体としては、ジカルボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸またはこれらの誘導体を挙げることができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物(PMDM)、2モルの2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと1モルの無水マレイン酸または3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)または3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物などを反応させた付加反応物、2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパンなどを挙げることができる。
【0018】
1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有する重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2および3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート、ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェート、ビス{2または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル}アシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルp−メトキシフェニルアシドホスフェートなどを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き換えることができる。チオリン酸基を有する重合性単量体としては、特開昭54−21438号、特開昭59−140276号および特開昭59−142268号に記載されているものを使用することができる。具体的には下記の化合物を挙げることができ、[ ]で示した互変異性体であってもよい。
【0019】
【化1】
【0020】
このうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好ましく用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単量体は単独または組み合わせて使用できる
【0021】
1分子中にスルホン酸基を有する重合性単量体である。かかる重合性単量体としては、例えば2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2または1−スルホ−1または2−プロピル(メタ)アクリレート、1または3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート、3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアミド、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸などを挙げることができる。このうち、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸が好ましく用いられる。
【0022】
(A)成分は酸性基の一部または全部を1価または多価の金属塩やアンモニウム塩などの塩に変えて使用することもできる。この場合、通常、他の酸性化合物と併用して接触した際に(A)成分が酸として働くようにすることが好ましい。上記の(A)成分はすべて単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明の(B)成分は、水に不溶性または難溶性の(A)成分以外の酸性基を有しないラジカル重合性単量体である。かかる重合性単量体は、蒸留水中に5重量%になるように加え、37℃で10分間振とうして肉眼的に観察して相分離が見られる(溶解していない)ものとして特定される。すなわち、一般的には37℃における溶解度が5重量%以下のものである。具体的には、例えばスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物類:酢酸ビニルなどのビニルエステル類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;(メタ)アクリル酸フェニルなどの芳香族エステル類;2−ヒドロキシ−3−フェノキプロピル(メタ)アクリレート、1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジルメタクリレートの付加物(Bis−GMA)、1モルのビスフェノールAグリシジルエーテルの付加重合物と2モルの(メタ)アクリル酸の縮合物(VR90)ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物1モルと2モルの(メタ)アクリル酸の縮合物(エチレンオキシドの付加連鎖数m+n≧2;m+n=2.6は2.6Eと略記)などの芳香族系(メタ)アクリレート類;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1モルの2,2,4−(または2,4,4−)トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと2モルの2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの付加物(UDMA)で代表されるウレタン結合含有(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサメチレンジメタクリレート(1,6−HX)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)クリレート類(連鎖数n=6未満);プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類(連鎖数n=12以下)などの重合性単量体を挙げることができる。
【0024】
本発明の(C)成分は、光増感剤(C1)そして/または過酸化物(C2)である。かかる光増感剤としては、その化合物単独で、または、他の化合物との共存下で光によって励起し、本発明の硬化性組成物を硬化せしめる役割を有する。例えば、(c11)α−ケトカルボニル化合物、(c12)アシルホスフィンオキシド化合物などを挙げることができる。具体的には、例えば、(c11)成分として、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケトカルボン酸エステルなどを例示することができる。さらに具体的には、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサジオン、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,4’−ジエトキシベンジル、4,4’−オキシベンジル、4,4’−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、カンファーキノンスルホン酸、カンファーキノンカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジオンなどのα−ジケトン;メチルグリオキザール、フェニルグリオキザールなどのα−ケトアルデヒド;ピルビン酸、ベンゾイルギ酸、フェニルピルビン酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピルビン酸ブチルなどを例示することができる。これらのα−ケトカルボニル化合物のうちでは安定性などの面からα−ジケトンを使用することが好ましい。α−ジケトンのうちではジアセチル、ベンジル、カンファーキノン好ましい。
【0025】
(c12)成分としてベンゾイルジメトキシホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホスフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシドなどを挙げることができる。
(C1)成分と(C2)成分は、単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0026】
使用される過酸化物(C2)(重合開始剤)としては、例えばジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p’−ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,p’−ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物および過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。これらのうちでは、BPOが好ましい。
【0027】
本発明の(D)成分は、水溶解性有機溶媒であり、前述の如く各成分を均一に溶解または分散させること、歯質内にある水分と本発明の成分を置換すること、並びに歯質表面上に接着に必要な厚みの被膜を形成しやすくする役割を有する。ここで使用する溶媒は、(A)および/または(B)成分を溶解でき、かつ、(F)成分の水と(A)および/または(B)成分をある期間均一にまたは安定して分散または溶解しうる性質を有することが好ましい。ここで使用できる有機溶媒としては、37℃で30重量%以上の水を溶解できる有機溶媒が好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に好ましくは水と任意の比率で混和および/または溶解しうる溶媒である。具体的には、メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類;N,N-ジメチルスルホキサイド(DMSO)などのスルホキサイド類;N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類などを挙げることができる。その他、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセロールなどの高級アルコール類も使用できる。ここでは、生体への安全性を考慮して、アルコール、アセトン、THFおよびDMSOなどが特に好ましい。
【0028】
本発明の(E)成分は水である。(E)成分は本発明の組成物のpHを低下させる役割があり、この効果によって研削歯質に適用した場合には比較的短時間でスメア層中のハイドロキシアパタイトを溶解するために本発明の成分を歯質内に拡散しうる。また別の効果として(E)成分を速やかに組成物中に溶解させる利点がある。ここで使用できる水としては、例えば蒸留水、イオン交換水、精製水または生理食塩水などが挙げられる。特に蒸留水、精製水およびイオン交換水が好ましく用いられる。また、電気分解によって調製される酸化還元水、例えば強酸性水、強アルカリ水などを使用することができる。
【0029】
本発明の(F)成分は、アミン化合物である。(F)成分としては、脂肪族アミン、脂環族アミン、芳香族アミンのいずれであってもよい。また、第一アミン、第二アミンおよび第三アミンのいずれでもよい。好ましくは、芳香族アミンであり、さらに好ましくは芳香族第三アミンを挙げることができる。アミン化合物としては、例えば、トリエチルアミンノアセチルベンゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼン類;N−フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−GMA)などを併用することができる。これらの化合物は単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0030】
本発明の(G)成分は、シランカップリング剤である。かかるシランカップリング剤としては、分子内にアルコキシシリル基を有する重合性単量体を好ましいものとして挙げることができる。アルコキシシリル基を有する重合性単量体としては、例えば、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキシ)シラン、アリルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−スチリルエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプロピル)アンモニウムクロライド、3−(N−スチリルメチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン塩酸塩、トリメトキシシリルプロピルアリルアミンなどを挙げることができる。この中では、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランおよび2−スチリルエチルトリメトキシシランが好ましく使用される。
上記の重合性単量体はそれぞれ単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0031】
本発明の(G)成分は、(A)〜(H)の成分と任意の組合せ使用できる。また、特開昭55−110171号に記載された組成物と組合せて使用できる。
(G)成分は、特にハイドロキシアパタイト、リン酸カルシウム、シリカ、リン酸ジルコニウム、ジルコニア、アルミナなどの成分を含有するセラミックスおよび/または歯科用ポーセレンに適用する際に特に効果的である。また、上記に示すようなセラミックスに適用する際には、本発明の組成物中に含有させてもよいが、別法として(G)成分を含む他の処理材組成物を予め適用し、その後に、本発明の組成物から(G)成分を除いた組成物を適用することが好ましい。
【0032】
本発明の(H)成分は、1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン誘導体である。1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン誘導体としては特に、6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオンを挙げることができる。この化合物の詳細は、特開昭64−83254号公報に記載されている。(H)成分は、特に金、白金、銀、パラジウムなどの貴金属またはこれらの金属の1種以上を含有する合金に対して適用する際に特に効果的である。また、上記に示すような貴金属または貴金属合金に適用する際には、本発明の組成物中に含有させてもよいが、上記(H)成分を含む他の処理材組成物を予め適用し、その後に、本発明の組成物から(H)成分を除いた組成物を適用することが好ましい。
【0033】
本発明の(H)成分は、(A)〜(G)成分と任意の組合せで使用できる。また、特開昭64−83254号に記載された組成物と組合せて使用できる。
必要に応じてチオウラシル系誘導体を使用することができる。例えば6−メタクリロイルオキシヘキシル2−チオウラシル−5−カルボキシレートなどを挙げることができる。
【0034】
本発明の組成物は、(A)および(C)〜(E)成分の合計を100重量部としたとき、(A)成分は1〜70重量部の範囲、好ましくは3〜50重量部の範囲、さらに好ましくは5〜40重量部の範囲であり、(C)成分は0.01〜10重量部の範囲、好ましくは0.03〜5重量部の範囲、さらに好ましくは0.05〜3重量部の範囲であり、(D)成分は10〜70重量部の範囲、好ましくは15〜60重量部の範囲、さらに好ましくは20〜50重量部の範囲であり、(E)成分は1〜60重量部の範囲、好ましくは3〜50重量部の範囲、さらに好ましくは5〜40重量部の範囲である。さらに(A)および(C)〜(E)の合計を100重量部としたとき、さらに加える成分として(B)成分は27.8〜200重量部の範囲、好ましくは27.8〜150重量部の範囲、さらに好ましくは27.8〜130重量部の範囲であり、(F)成分は0.01〜20重量部の範囲、好ましくは0.03〜15重量部の範囲、さらに好ましくは0.05〜10重量部の範囲であり、(G)成分は0.01〜60重量部の範囲、好ましくは0.05〜50重量部の範囲、さらに好ましくは1〜40重量部の範囲であり、(H)成分は0.001〜60重量部、好ましくは0.005〜50重量部の範囲、さらに好ましくは0.01〜30重量部の範囲であるのが好ましい。
【0035】
本発明において、上記の(A)〜(H)成分以外に本発明の効果を損なわない範囲内で、重合禁止剤(重合抑制剤と呼ぶことがある)、重合促進剤、顔料、ポリマー、フィラー、防カビ剤、抗菌剤などの成分を含有することができる。また、重合性単量体として水への溶解度が5重量%以上である化合物、たとえば、分子内に水酸基やオキシエチレン鎖などの親水性の官能基や連鎖を有する化合物を配合することもできるが、この場合は、要求にあわせて本発明の混合物を均一に溶解もしくは分散させるのに有効である利点を有するものの、硬化物の耐水性を損なう場合があるので、その配合量は少なくすることが好ましく、具体的には(A)または(A)と(B)成分の混合物100重量部に対して、30重量部以下が好ましく、通常15重量部以下、好ましくは10重量部以下で使用することができる。
【0036】
本発明の組成物は必要に応じて、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤の添加は、接着性の改善にも有効であるが、組成物中の各成分を安定に溶解または分散させるために特に有効である。かかる界面活性剤としては、イオン型界面活性剤および非イオン型界面活性剤の両者を含み、37℃水中での臨界ミセル濃度(cmc)が通常0.01〜1.0重量%の値を示す化合物である。
【0037】
界面活性剤として、イオン型界面活性剤のとき、アニオン界面活性剤としては、例えばラウリル酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの脂肪族カルボン酸金属塩類;ジオクチルスルホコハク酸ナトリウムなどの硫酸化脂肪族カルボン酸金属塩類;ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸エステルナトリウム、セチル硫酸エステルナトリウム、ステアリル硫酸エステルナトリウム、オレイル硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステルの金属塩類;ラウリルアルコールとエチレンオキサイドの付加物を硫酸化したラウリルエーテル硫酸エステルナトリウムなどの高級アルキルエーテル硫酸エステルの金属塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルベンゼンスルホン酸の金属塩類;α−オレフィンに硫酸を反応させて合成するα−オレフィンスルホン酸の金属塩類;N−メチルタウリンとオレイン酸クロリドを反応させたイゲポンT;エアロゾルOTで代表されるスルホコハク酸ジエステル類;高級アルコールエチレンオキサイド付加物のリン酸エステル塩類;ジチオリン酸エステル塩類などを挙げることができる。
【0038】
カチオン界面活性剤としては、例えばステアリルアミンなどの高級アルキルアミンとエチレンオキサイドの付加物;ソロミンA、サパミンA、アーコベルAもしくはアーコベルG、オニクサンHSBなどで代表される低級アミンからつくられるアミン類;ラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチルアンモニウム塩類;ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリドなどのアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩類などで代表される高級アルキルアミンからつくられる第4級アンモニウム塩類;サパミンMS、サパミンBCHなどのサパミン型第4級アンモニウム塩類およびキャタナックSN;ゼランAP、ベランPFなどのピリジニウム塩類で代表される低級アミン、ラジカル重合性を有するメタクリロイルオキシエチルトリアンモニウムクロリド(MAC)からつくられる第4級アンモニウム塩型カチオン界面活性剤を挙げることができる。
【0039】
両性界面活性剤としては、例えばラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムやステアリルアミノプロピオン酸ナトリウムなどの高級アルキルアミノプロピオン酸の金属塩類;ラウリルジメチルベタイン、ステアリルジメチルベタインやラウリルジヒドロキシエチルベタインなどのベタイン類などを挙げることができる。
【0040】
非イオン界面活性剤としては、例えばポリエチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエーテル、ポリエチレンソルビタンモノラウリン酸エステルなどで代表されるラウリルアルコールなどの高級アルコール類もしくはノニルフェノールなどのアルキルフェノール類もしくはオレイン酸などの脂肪酸類もしくはステアリルアミンなどの高級脂肪族アミン類もしくはオレイン酸アミドなどの脂肪族アミド類にエチレンオキシドやプロピレンオキシドを付加させたポリエチレングリコール型あるいはポリプロピレングリコール型非イオン界面活性剤;グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビット、ソルビタン、ソルビタントリオレイン酸エステルなどの多価アルコール類ないしはモノエタノールアミンやジエタノールアミンなどのジエタノールアミン類ないしは砂糖などの糖類で代表される多価アルコール型非イオン界面活性剤などを挙げることができる。
【0041】
界面活性剤については、以上に挙げた化合物以外に、例えば新・界面活性剤入門(藤本武彦著、三洋化成発行)に記載されている化合物を挙げることができる。
本発明の組成物で歯質表面に対して接着に有効な被膜厚さとして通常、歯質表面上に1〜500μm好ましくは3〜100μm、更に好ましくは5〜70μmの厚みで適用することができる。被膜の厚みは、使用目的や用途によって選択でき、組成物中の成分の比率を変化させることによって組成物の粘度を調製することによって、或いは、歯質表面への塗布量、塗布する回数やエアブローなどによる吹き飛ばし方によっても調製することができる。
更に抗菌効果および/または殺菌効果を期待して、歯面に抗菌剤または殺菌剤を適用した後、本発明の組成物を適用することができる。抗菌剤、殺菌剤として例えば、過酸化水素水、アルコールを含有する組成物および次亜塩素酸ナトリウムやクロルヘキシンジグルコネートなどを含有する組成物を挙げることができる。
【0042】
本発明の組成物を室温で1年以上の長期にわたり保存するためには、以下の3項目を満たすような組み合わせのキットにすることが好ましい。
▲1▼(A)成分と(G)成分は混合しない
▲2▼(C2)成分と(F)成分は混合しない
使用目的によって保存期間の要求が異なるので、目的によって上記の項目に留意して組み合わせればよく、この組み合わせによって本発明が制限を受けるものではない。本発明において最も好ましい構成として、(B)〜(D)および(E)からなる組成物((B)を除いても可)と(A)を含むスポンジ、(B)〜(E)および(F)からなる組成物((B)を除いても可)と(A)を含むスポンジ、(A),(B),(D)および(E)からなる組成物((B)を除いても可)と(C)を含むスポンジ、(A)〜(D)および(E)からなる組成物((B)を除いても可)と(F)を含むスポンジまたは(A)〜(D),(E)および(F)または/および(H)からなる組成物((B)を除いても可)を含むスポンジなどを挙げることができる。
【0043】
1本のボトル中に入れられる成分としては例えば(A)〜(D)の混合物((B)を除いても可)、(A)〜(D)および(E)の混合物((B)を除いても可)、(A)、(B)、(C1)、(D)、(E)、(F)の混合物、(A)〜(D)((B)を除いても可)、(E)、(F)、(H)の混合物を挙げることができる。
スポンジまたは綿球等のアプリケータに含ませる成分としては、粉末または顆粒状の(A)および/または(C)成分と(D)および/または(E)成分の混合物を挙げることができる。
【0044】
ここで(D)および/または(E)成分の混合物は均一溶液または分散液が好ましい。各アプリケータは、好ましくはこの均一溶液を飽和量で含有している。
この飽和量は、滴下式ボトル中の他の成分の混合物の好ましくは1滴に対応した量となっている。従って、アプリケータが上記均一溶液中に浸漬された状態で容器に入れられていてもよい。この手法は、アプリケータに含有されない他の成分の混合物の保存安定性(成分の変質、混合物の分離の防止)や歯科治療時の操作性を良好にし、また構成成分の選択の自由度が大きくなるので、キットの製造プロセスが簡略化されるなどの特徴がある。特に(E)成分を他の成分の混合物と分離し、アプリケータに含有させることにより保存安定性が向上する。
【0045】
本発明の組成物を適用するにあたって、必要に応じて被着体例えば歯質、セラミックス、金属、レジン等の表面に予めエッチング剤やプライマー組成物を施してもよい。ここでエッチング剤としては、塩酸、クエン酸、リン酸、しゅう酸、EDTAおよびこれらに金属イオンを含む組成物を挙げることができる。また、プライマーとしては水酸基および/または酸性基を含有する重合性単量体を含む組成物を挙げることができる。
【0046】
【実施例】
本発明の効果をより高めるため、歯質に対して本発明の組成物を適用する場合には、塗布後5秒以上、好ましくは10秒以上、更に好ましくは30秒以上静置する。これは本発明の組成物が歯質表面のスメア層および/または歯の基質の一部または全部を溶解し拡散するために必要な時間と推察される。しかし、その静置時間が長いほど本発明の効果を高めるが、口腔内での使用を考慮すると、せいぜい1分間程度にとどめるのが好ましい。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】
(水への溶解度試験)
本発明の(B)成分に相当する水に不溶性または難溶性のラジカル重合性単量体を、蒸留水中に5%になるように加え、37℃の温度下にて10分間振とうした後に4時間静置し、相分離の有無を肉眼で観察した。相分離のあるものを溶解度5%以下、均一に乳化している場合を含めて溶解しているものは溶解度5%以上とした。このようにして、(B)成分が37℃における溶解度が5重量%以下であるラジカル重合性単量体であるか否かを定義した。
【0048】
(歯質との接着試験1:エッチング無)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#80で研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して直ちに接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを張り付けた。
【0049】
本発明の硬化性組成物を2滴(0.05g)ダッペンディッシュに取り、素早くキャタスポンジ1個によって3〜5秒間撹拌する。使用したスポンジを用いて面積規定した歯質に多量(約0.015g)に塗布して30秒間静置した。軽くエアブローしながら余分な液を吹き飛ばした後、可視光照射器(Translux CL,Kulzer)にて20秒間光照射して本発明の硬化性組成物を硬化させた。片面に粘着材のついた内径5.1mm円孔を持つ厚さ1mmの厚紙を規定面がみえるように置いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Epic−TMPT,サンメディカル)を充填して、厚さ50μmのポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上から可視光照射器(Translux CL,Kulzer)にて40秒間光照射してコンポジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サンメディカル)にてアクリル棒を植立して15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試験をクロスヘッドスピード2mm/minで行った。
【0050】
(歯質への接着試験2:エッチング材有)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#80まで研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して直ちに、エッチング材をスポンジS(キャタスポンジではない)にて十分量塗布して所定時間後に水洗し、エアブローによって乾燥した。エッチング材を適用した面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを張り付けた。
【0051】
本発明の硬化性組成物を2滴(0.05g)ダッペンディッシュに取り、素早くキャタスポンジ1個(0.015g)によって3〜5秒間撹拌する。使用したスポンジを用いて面積規定した歯質に多量に塗布して30秒間静置した。軽くエアブローしながら余分な液を吹き飛ばした後、可視光照射器(TransluxCL,Kulzer)にて20秒間光照射して本発明の硬化性組成物を硬化させた。片面に粘着材のついた内径5.1mm厚さ1mmの厚紙を規定面がみえるように置いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Epic−TMPT,サンメディカル)を充填して、厚さ50μmのポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上から可視光照射器(Translux CL,Kulzer)にて40秒間光照射してコンポジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サンメディカル)にてアクリル棒を植立して15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試験(クロスヘッドスピード2mm/min)で行った。
【0052】
(ポーセレンへの接着試験)
歯科用ポーセレン(スーパーポーセレンAAA、E3(ノリタケ製);15×15×10)の一面を回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#2000まで研磨して平面な面を得た。研磨面をリン酸液(高粘度レッド(サンメディカル))0.3gを塗布して30秒間静置後、十分に水洗いしエアブローによって乾燥した。リン酸液を適用した面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを張り付けた。
【0053】
本発明の硬化性組成物としてボトル1,ボトル2,およびキャタスポンジを調製し、使用した。ボトル2は(A)成分である4−MET(2.5重量部)、(I)成分であるγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(γ−METS;2.5重量部)を溶解後(B)成分であるMMA95重量部を混合溶解したものであり、これを混合溶解後10分以内に約0.015gスポイトでとり出して面積規定した表面に塗布し、10秒後にエアブローして乾燥させた。さらにボトル1およびキャタスポンジの混合液を約0.015g塗布して30秒後エアブローによって表面の液が動かなくなるまで揮発させた。その後可視光照射器(Translux Ch)にて20秒間光照射して本発明の接着性組成物を硬化させた。片面に接着剤のついた内径5.1mm厚さ1mmの厚紙を規定面がみえるように置いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Epic−TMPT、サンメディカル)を充填して、厚さ50μmのポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上から可視光照射器(Translux CL、 Kulzer)にて40秒か光照射してコンポジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サンメディカル(株)の商品名)にてアクリル棒を稙立して15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試験クロスヘッドスピード2mm/minで行った。
【0054】
(歯科用貴金属(金銀パラニウム)への接着試験)
歯科用貴金属(金銀ハラジウム合金;プライムキャスト(石福金属製)10×10×3mm)の面を回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#600まで研磨して平面な面を得た。研磨面をアルミナサンドブラスト(Sahara(JELENKO);50μmアルミニウムオキシド)で5kg/cm2にて約10秒間処理して水中超音波洗浄後エアブローによって乾燥した。処理面に接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを張り付けた。
【0055】
本発明の硬化性組成物としてボトル1,ボトル3およびキャタスポンジを調製し、使用した。ボトル3は(D)成分であるアセトン(99.5重量部)および(I)成分である6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン(VTD、0.5重量部)を溶解したものであり、これを約0.015gスポイトでとり出して面積規定した方面に塗布し、10秒後にエアブローして乾燥させた。さらにボトル1およびキャタスポンジの混合液を約0.015g塗布して30秒後エアブローによって表面の液が動かなくなるまで揮発させた。その後可視光照射器(Translux Ch)にて20秒間光照射して本発明の接着性組成物を硬化させた。片面に接着剤のついた内径5.1mm厚さ1mmの厚紙を規定面がみえるように置いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Epic−TMPT、サンメディカル)を充填して、厚さ50μmのポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上から可視光照射器(Translux CL、 Kulzer)にて40秒か光照射してコンポジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サンメディカル)にてアクリル棒を稙立して15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試験クロスヘッドスピード2mm/minで行った。
【0056】
実施例1
歯質への接着試験1および2に準じて実施した。30gのMMA、30gの2.6E、0.1gのd,l−カンファキノン(CQ)、30gのアセトンおよび10gの蒸留水を混合して溶解した。この液体を滴下式ボトル(ボトル1)に入れた。別にスーパーボンドC&Bに付属のスポンジS(発泡ウレタン寸法 Φ3×3mm:8.3mg)に14mgの4−METを含有させたスポンジを調製した。溶液2滴(0.05g)とキャタスポンジ1個をダッペンディッシュ中で5秒間激しく撹拌して、そのままスポンジにて本発明の組成物を歯面に適用した。歯科用ポーセレンおよび貴金属に対しては、各接着試験の方法に記載した方法によって被着体に適用した。
【0057】
実施例2
30gの4−MET、30gのMMA、30gの2.6E、30gのアセトンおよび10gの蒸留水を混合して溶解し、この液体を滴下ボトル(ボトル1)に入れた。
別にスーパーボンドC&Bに付属のスポンジS(同上)に0.5mgのCQを含有させたスポンジを調製した。
溶液2滴(0.05g)と吸着スポンジ1個をタッペンディッシュ中で5秒間激しく攪拌して、そのままスポンジにて本発明の組成物を歯面に適用した。ポーセレン、貴金属に対して各試験の方法に準じて行った。
【0058】
実施例3
実施例2においてCQの代わりにTMDPOを用いて同様に試験した。
実施例4
表2に記載のとおり実施例2においてスポンジに含む成分としてCQの代わりにTBAS10mgを用い且つボトル1にCQおよびDMABAEをさらに加えて同様に試験した。
実施例5
30gの4−META、60gのBis−GMA、0.1gのCQ、30gのアセトン、10gの蒸留水および0.1gのBEDBを混合して溶解し、この液体を滴下式ボトル(ボトル1)に入れた。
別に前述のスポンジSに0.5mgのVTDを含有させたスポンジを調製した。貴金属への接着試験に準じて実施するか、接着面積を規定した面に、使用直前にボトル1の溶液2滴に吸着スポンジ1個を接触させた液体を直接塗布し、硬化させた。
ここで、表1〜表2に記載した略号は以下の化合物を示唆する。
【0059】
実施例6
10gの4−MET、7gのMMA、10gのUDMA、41gのアセトン、3.5gのHEMA、6.5gの蒸留水および0.5gのDMABAEを溶解し、ボトルに入れた(ボトル1)。
別に実施例3で調製したスポンジ1個に対してボトル1から2滴(0.05g)を接触させて、歯質に適用した。
【0060】
4−META:4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物
4−MET:4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸
MMA:メタクリル酸メチル
2.6E:ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物1モルと2モルのメタクリル酸の縮合物(エチレンオキシドの付加連鎖数m+n≧2.6)
CQ:d,l−カンファキノン
BEDB:N,N−ジメチル安息香酸n−ブトキシエチル
DMABAE:N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル
Bis−GMA:1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジルメタクリレートの付加物
【0061】
UDMA:1モルの2,2,4−(または2,4,4−)トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートと2モルの2−ヒドロキシエチルメタクリレートの付加物
TBAS:2−メチル−2−アクリルアミドプロパンスルホン酸
5−MASA:5−メタクリロイルアミノサリチル酸
4−MSA:4−メタクリロイルオキシサリチル酸
5−MSA:5−メタクリロイルオキシサリチル酸
HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート
p−TSNa:p−トルエンスルフィン酸ナトリウム
p−TSLi:p−トルエンスルフィン酸リチウム
BSNa:ベンゼンスルフィン酸ナトリウム
γ−METS:γ―メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン
VTD:6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,5,−トリアジン−2,4−ジチオン
CB−1:メタクリロイルオキシハイドロジエンフタレート(新中村化学(株)商品名)
ETOH:エタノール
TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド
【0062】
10−3:表面処理材グリーン(サンメディカル)
EDTA:0.3MEDTA2・Na−0.2MEDTA・Fe・Na(pH7.4)
リン酸:高粘度レッド(サンメディカル)
ADゲル:ADゲル(クラレ)
CHCG:2%クロルヘキシジングルコネート水溶液
BPO:過酸化ベンゾイル
NPG・Na:N−フェニルグリシンナトリウム
BA:バルビツール酸
BANa:バルビタールナトリウム
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】
本発明の接着硬化性組成物およびそれを含むキットを用いることによって、特に歯質に対して前処理なしでも強固に接着し、それによって歯質の侵襲と作業の手間を大幅に改善できる。
Claims (26)
- (A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、(B)酸性基を有さない水不溶性または水難溶性ラジカル重合性単量体、(C)光増感剤(C1)および/または過酸化物(C2)、(D)水溶性有機溶剤並びに(E)水を含有しそして上記(A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、各成分の含有量が(A)成分は1〜70重量部、(B)成分は27.8〜200重量部、(C)成分は0.01〜10重量部、(D)成分が10〜70重量部および(E)成分が1〜60重量部であることを特徴とする歯科用接着剤。
- さらに(F)アミン化合物を含有する請求項1に記載の歯科用接着剤。
- さらに(G)シランカップリング剤を含有する請求項1〜2のいずれかに記載の歯科用接着剤。
- さらに(H)1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン誘導体を含有する請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用接着剤。
- (A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体の酸性基が(A1−1)カルボキシル基またはカルボン酸無水物基、(A1−2)燐酸基および(A1−3)スルホン酸基よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項1〜4のいずれかに記載の歯科用接着剤。
- 光増感剤(C1)が(C11)α−ケトカルボニル化合物または(C12)アシルホスフィンオキシド化合物である請求項1〜5のいずれかに記載の歯科用接着剤。
- (A)および(C)〜(E)成分の合計を100重量部としたとき、(A)成分は3〜50重量部の範囲、(C)成分は0.03〜5重量部の範囲、(D)成分は15〜60重量部の範囲、および(E)成分は3〜50重量部の範囲で用いられる請求項1記載の歯科用接着剤。
- (A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、(F)成分が0.01〜20重量部で用いられる請求項2記載の歯科用接着剤。
- (A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、(G)成分が0.01〜60重量部で用いられる請求項3記載の歯科用接着剤。
- (A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、(H)成分が0.001〜60重量部で用いられる請求項4記載の歯科用接着剤。
- (A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、(B)酸性基を有さない水不溶性または水難溶性ラジカル重合性単量体、(C)光増感剤(C1)および/または過酸化物(C2)、(D)水溶性有機溶剤並びに(E)水からなりそして上記(A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、各成分の含有量が(A)成分は1〜70重量部、(B)成分は27.8〜200重量部、(C)成分は0.01〜10重量部、(D)成分が10〜70重量部および(E)成分が1〜60重量部である歯科用接着剤のキットであり、(A)および/または(C)成分がアプリケータに含有されそしてアプリケータに含有されていない他の成分は一つ以上の容器に入れられており、使用直前にアプリケータ中の(A)および/または(C)成分と接触、混合されることを特徴とする歯科用接着剤のキット。
- アプリケータがさらに(D)および/または(E)を含有する請求項10または11記載の歯科用接着剤のキット。
- さらに(F)アミン化合物を含有する請求項10〜12のいずれかに記載の歯科用接着剤のキット。
- アプリケータがさらに(F)成分または(F)成分と(C1)成分を含有する請求項10または11記載の歯科用接着剤のキット。
- アプリケータが含有成分の均一溶液を含有する状態かあるいは過剰の均一溶液中にある状態で一つの容器に入れられている請求項12記載の歯科用接着剤のキット。
- さらに(G)シランカップリング剤を含有する請求項10〜15のいずれかに記載の歯科用接着剤のキット。
- さらに(H)1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン誘導体を含有する請求項10〜16のいずれかに記載の歯科用接着剤のキット。
- (A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体の酸性基が(A1−1)カルボキシル基またはカルボン酸無水物基、(A1−2)燐酸基および(A1−3)スルホン酸基よりなる群から選択される少なくとも1種である請求項10〜17のいずれかに記載の歯科用接着剤のキット。
- 光増感剤(C1)が(C11)α−ケトカルボニル化合物または(C12)アシルホスフィンオキシド化合物である請求項10〜18のいずれかに記載の歯科用接着剤のキット。
- アプリケータに含有されない他の成分が一つの容器に入れられている請求項10〜19のいずれかに記載の歯科用接着剤のキット。
- アプリケータがスポンジ、綿、筆およびブラシよりなる群から選ばれる請求項10〜20のいずれかに記載の歯科用接着剤のキット。
- (A)および(C)〜(E)成分の合計を100重量部としたとき、(A)成分は3〜50重量部の範囲、(C)成分は0.03〜5重量部の範囲、(D)成分は15〜60重量部の範囲、および(E)成分は3〜50重量部の範囲で用いられる請求項10記載の歯科用接着剤のキット。
- (A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、(F)成分が0.01〜20重量部で用いられる請求項13記載の歯科用接着剤のキット。
- (A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、(G)成分が0.01〜60重量部で用いられる請求項16記載の歯科用接着剤のキット。
- (A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、(H)成分が0.001〜60重量部で用いられる請求項17記載の歯科用接着剤のキット。
- (A)分子内に酸性基を有するラジカル重合性単量体、(B)酸性基を有さない水不溶性または水難溶性ラジカル重合性単量体、(C)光増感剤(C1)および/または過酸化物(C2)、(D)水溶性有機溶剤並びに(E)水からなりそして上記(A)および(C)〜(E)成分の合計100重量部としたとき、各成分の含有量が(A)成分は1〜70重量部、(B)成分は27.8〜200重量部、(C)成分は0.01〜10重量部、(D)成分が10〜70重量部および(E)成分が1〜60重量部である歯科用接着剤の調製法であって、(A)および/または(C)成分がアプリケータに含有されそしてアプリケータに含有されていない他の成分の混合物を使用直前に、アプリケータ中の(A)および/または(C)成分と接触、混合されることを特徴とする歯科用接着剤の調製法。
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