JP2000178111A - 歯科用接着剤のキット - Google Patents

歯科用接着剤のキット

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JP2000178111A
JP2000178111A JP10359430A JP35943098A JP2000178111A JP 2000178111 A JP2000178111 A JP 2000178111A JP 10359430 A JP10359430 A JP 10359430A JP 35943098 A JP35943098 A JP 35943098A JP 2000178111 A JP2000178111 A JP 2000178111A
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正三 荒田
Hideyuki Ueki
秀幸 上木
Harumi Tanaka
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Tamotsu Tomikawa
保 冨川
Haruka Ootsuki
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Abstract

(57)【要約】 歯科用接着性組成物とそれを含むキットに関する。 【課題】 歯科用接着剤として広範囲の被着体に適用で
き、特に歯質に対して使用する場合には、歯質への侵襲
が少なく、作業に手間がかからない接着性組成物を提供
する。 【解決手段】 分子内に酸性基を有するラジカル重合性
単量体、水に不溶性または難溶性のラジカル重合性単量
体、光増感剤、水溶解性有機溶媒またはバルビツール酸
誘導体、水、アミン化合物、シランカップリング剤およ
び1,3,5−トリアジン2,4−ジオチン誘導体からな
る歯科用接着性組成物並びにそのためのキット。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、歯科用接着剤のた
めのキットに関する。さらに詳しくは、生体に関わる温
度領域や湿度・湿潤領域において硬化性に優れ、硬化物
の耐水性、強度、接着性能、色調並びに保存安定性に優
れた歯科用接着剤(接着性組成物)のためのキットに関
する。さらに詳細には、歯質に対して使用できるばかり
でなく、歯科用の金属、セラミックスおよび歯科用レジ
ン例えばコンポジットレジン、硬質レジン、床用レジ
ン、セメントなどに適用できるコーティング材、ボンデ
ィング材、プライマー、前処理剤などに使用できる硬化
性の接着性組成物、特にこれら用途のうちでは接着剤用
途、コーティング材用途に優れた性能を有する接着性の
硬化性組成物のための歯科用接着剤キットに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、歯科用の接着剤、コンポジットレ
ジン、硬質レジン、床用レジン、セメント、コーティン
グ材などに使用される硬化性組成物としては、主にスチ
レン誘導体や(メタ)アクリル酸誘導体などに代表され
るビニルモノマーなどのラジカル重合性単量体と、これ
を重合硬化させるための重合開始剤(触媒、硬化剤とい
う場合がある)からなる硬化性組成物が多数提案されて
いる。
【0003】生体、特に歯科用の硬化性組成物に要求さ
れる性能は、生体が触れ得る温度領域や湿度・湿潤領域
における硬化速度が比較的大きく制御可能なこと、硬化
物の耐水性、強度および接着性能が高く、色調が容易に
制御できることに加えて、これらの性能を発揮させる状
態を長期間にわたって安定に維持したままで保管できる
性能(保存安定性)が優れていることである。また、接
着剤として適用する場合には、被着体としては、歯質は
もとより、金属、セラミックス、硬化前あるいは硬化後
のレジン(樹脂とも呼ぶことがある)、コンポジットレ
ジン、レジンセメントなど多種にわたるので、これらの
被着体に対応できる性能が要求される。
【0004】ラジカル重合性単量体と光重合開始剤から
なる硬化性組成物を使用して、前述の性能向上を達成し
ようとする次のような提案がある。特公昭53−336
87号公報、特公昭54−10986号公報には、α−
ジケトンなどのカルボニル化合物とアミン類からなる組
成物が提案されているが、硬化物の色調が変化したり、
耐水性、強度および接着性能不十分であった。また、特
開昭56−120610号公報には酸性基を有するビニ
ルモノマーとα−ジケトンおよび芳香族スルフィン酸塩
類とからなる光硬化性組成物が提案されており、色調の
安定性は優れているが強度や接着耐久性に問題があっ
た。特公昭61−3684号公報にはカルボン酸無水物
を含むモノマーと有機過酸化物、アミンおよび芳香族ス
ルフィン酸塩を用いた組成物が提案されているが接着強
度が十分ではなかった。また特開昭60−44508号
公報および特開昭60−123515号公報および特公
平7−2613号公報においてはカルボン酸含有モノマ
ーと芳香族スルフィン酸塩を含有し、目的に応じてさら
にアミンまたはα−ジケトン、ジアルデヒドを含有させ
た組成物が提案されている。これらについても十分な接
着強度が得られていない。その後、特公平6−6268
8号公報では、カルボン酸含有モノマー、α−ジケト
ン、アミンおよび芳香族スルフィン酸(塩)からなる組
成物が提案され、色調の安定性が著しく改善され、さら
に接着性や耐久性の改善がなされた。
【0005】上記の一連の提案は、すべて歯質表面を酸
性化合物を含有するエッチング組成物で予め表面処理す
ることが前提となっている。このエッチング処理は歯質
の研削の際に表面上に残存する削りクズ層(スメア層)
を除去し、接着強度を向上させる目的があった。さらに
近年ではエッチング処理後にあるいはスメア層が残存し
たままモノマーを含むプライマー組成物で表面処理して
硬化性組成物を適用する方法も提案されている。このよ
うなエッチングやプライマーなどの硬化性組成物を適用
する前に施すことにより接着強度を向上させる提案は、
逆に施術者の手間が多く複雑となり治療時間も長くな
り、患者に対する負担も大きくなった。
【0006】歯質に強固に長期にわたって接着させるに
は、健全歯質にまで接着剤成分を拡散させて拡散した部
分までも確実に硬化することが必要であるとの考えが一
般的となっている。しかし、従来実施されているエッチ
ング材組成物やプライマー組成物を使用した後に硬化性
組成物を適用する接着剤組成物またはそのような方法を
取り入れた接着剤には種々の問題が懸念されている。例
えば、歯質エッチング材と硬化性組成物からなる接着方
法は、ウ蝕を切削・除去した際に生成するスメア層(切
削クズ)を除去するためのエッチングによって健全歯質
までも侵襲され、接着部位の劣化を招く場合があった。
一方、歯質に対する接着材料は、歯質と修復材料とを隙
間なく強力に接着すること、かつ口腔内での作業である
ため可能な限り、簡単で短時間の作業で終了できること
が望ましい。
【0007】歯質にレジン修復材料を強固に接着させる
ための歯質表面処理方法として、次の三通りが主に採用
されている。すなわち、第一にリン酸やクエン酸などの
歯質脱灰性のある溶液をエナメル質および/または象牙
質の表面に塗布して、その後水洗いして洗い流すエッチ
ング法、第二にエッチング法を行った後の歯質表面に更
にプライマーを塗布して乾燥させるエッチングプライマ
ー法、および第三にエッチングせずに歯質に脱灰機能を
有するプライマーを適用するセルフエッチングプライマ
ー法である。これらの歯質処理方法は欠損した歯質を補
うための材料と歯質を接着させるための接着材料、すな
わちボンディング材やレジンセメントを適用する際の前
処理であり、ここで使用する前処理組成物のみでは歯質
と欠損を補う材料とを強固に接着できないものである。
【0008】特公昭63−25562号公報には、酸性
基を有するビニルモノマー、α−ジケトン、芳香族スル
フィン酸塩またはチオ尿素類からなることを特徴とする
歯科用材料が開示されている。特開平10−24552
5号公報には、特定のリン酸基含有重合性単量体と多価
カルボン酸基含有重合性単量体と重合開始剤を含有す
る、歯質に対して一切の前処理のいらない接着性組成物
が開示されている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、歯牙
への接着性能および耐久性が十分な歯科用接着剤(接着
性組成物)のためのキットを提供することにある。本発
明の他の目的は、特に歯質に対して使用する場合に、硬
化性組成物を使用する前に、エッチング処理やプライマ
ー処理などの前処理を必ずしも行う必要のない、特にウ
蝕を切削除去した歯質(スメア層を有する健全歯質)に
直接適用できる接着性組成物の歯科用接着剤のためのキ
ットを提供することにある。
【0010】さらに詳細には、歯質に直接接触すること
によってスメア層の一部または全部を脱灰して、接着強
度を発揮するに十分な接着剤成分を歯の基質まで拡散さ
せるとともに歯質表面上に必要な厚みの被膜を形成させ
うる歯科用接着性組成物(以下、「セルフエッチングボ
ンディング材組成物」と呼ぶことがある)を提供するこ
とにある。また、該組成物は前処理を施さない歯質に最
も好適に使用でき、状況に応じてエッチングおよび/ま
たはプライマーを施した歯質に対しても使用することが
できる。本発明のさらに他の目的は、本発明の接着性組
成物を長期間安定に保存できるキットを提供することに
ある。本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説
明から明らかになろう。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、第1に、(A)分子内に酸性
基を有するラジカル重合性単量体、(C)光増感剤(C
1)および/または過酸化物(C2)、(D)水溶性有
機溶剤並びに(E)水からなる歯科用接着剤のキットで
あり、(A)および/または(C)成分がアプリケータ
に含有されそしてアプリケータに含有されていない他の
成分は一つ以上の容器に入れられており、使用直前にア
プリケータ中の(A)および/または(C)成分と接
触、混合されることを特徴とする歯科用接着剤のキッ
ト、によって達成される。
【0012】本発明の上記目的および利点は、第2に、
(B)酸性基を有さない水不溶性または水難溶性ラジカ
ル重合性単量体をさらに含有する歯科用接着剤のキット
によって達成される。
【0013】本発明における歯科用接着剤は、上記の
(A)〜(E)成分の他に、任意成分として、(F)ア
ミン化合物、(G)シランカップリング剤、および
(H)1,3,5−トリアジン−2,4−ジチオン誘導体
よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有
することができる。
【0014】歯質組織、特に象牙質には多量の水分が存
在する。この組織に接着剤を適用して十分な接着性能を
引き出すには、接着剤成分が十分に組織内に拡散し硬化
することが必要といわれ、良好な接着性能を有する接着
剤を使用した場合には歯質との接着界面付近には歯質組
織と接着剤成分が混在した樹脂含浸層が形成されること
が明らかになっている。一般に、歯質組織内に接着剤成
分が拡散するためには、歯質組織内の水分と混合しやす
い重合性単量体や重合開始剤を使用することが好ましい
と言われる。この方法は短期的には良好な接着強度が得
られるものの長期的な接着耐久性が悪く、その原因は、
水に溶解しやすい成分を使用することによる耐水性の低
下があると推察される。一方、特公平6−62688号
公報の提案のように、エタノールなどの水に可溶な揮発
性有機溶媒を使用する組成物があるものの接着性能は十
分といえない。これは歯質組織内の水分を該提案の組成
物にうまく置換できていないためと考えられる。
【0015】本発明者は接着性の改善を目的に検討を行
い、水の存在によって酸性基含有の重合性単量体に由来
するプロトンの解離を促してpHを低下させ、同時に水
に不溶な重合性単量体を水と任意の比率で混合できる有
機溶媒に溶解し、さらに重合性単量体が適用する前まで
には相分離しない範囲の水を含有させることによって本
発明に到達したものである。本発明の成分およびその組
成から以下の接着メカニズムが推察される。即ち、表面
に本発明の組成物を接触させた場合、まず、pHの低い
本組成物によって歯質表面に存在するスメア層中のハイ
ドロキシアパタイトを溶解し、健全歯質内に本組成物成
分の拡散を促進させ、第2に、同時に組成物中に含まれ
る有機溶媒が歯質中の水と混和し、歯質組織内部の水分
と本発明の組成物と速やかに接着界面付近で混合する。
第3に、有機溶媒が徐々に蒸発すると同時に水分も一部
蒸発し、接着界面から少しずつ水分が除去され、歯質組
織の細部にまでラジカル重合性単量体が徐々に侵入して
吸着する。この初期3つの段階では、分子内に酸性基ま
たは/およびカルボン酸無水物を有するラジカル重合性
単量体が優先的に吸着されると推察される。続いて、有
機溶媒および水分の蒸発速度を比較すると、有機溶媒の
方が速いので、組成物中に占める有機溶媒の比率がある
値を超えると水と混合しない重合性単量体が組成物中で
極小さな油滴として形成されるので、組成物が不透明の
液状になる。この時、分子内に酸性基または/およびカ
ルボン酸無水物を有するラジカル重合性単量体は界面活
性剤の役割を果たすと推察されミクロ的な相分離状態と
考えられる。さらに溶媒の蒸発が進むと、歯質表面に油
滴が徐々に吸着して水を接着界面から排除するようにラ
ジカル重合性単量体の歯質組織への吸着が進行し、湿潤
していた歯質表面を耐水性のあるラジカル重合性単量体
と重合開始剤を含む組成物に置き換わる。このとき圧搾
空気や温風を適用部位に施こすことによって、接着に不
要な水分および有機溶媒を蒸発させる。ここで有機溶媒
は表面上に接着剤成分を接着強度を発揮させるに必要な
厚みで残す重要な役割を果たす。その後、可視光線など
を照射することによって硬化後にコンポジットレジン等
の修復物を適用させて治療を終了させる。このように、
接着界面付近の水分を、有機溶媒を含む本発明の組成物
によって徐々に組織外部へ排除しながら歯質組織内に硬
化性組成物を深く浸透させ、かつ有効な被膜厚さを確保
することによって湿潤条件でも強力な接着強さが得ら
れ、水に不溶または難水性の硬化物を形成できるので優
れた耐水性が得られるものと考えられる。
【0016】本発明において(A)成分は、1分子内に
酸性基または酸性塩基を有するラジカル重合性単量体で
ある。酸性基としては、例えばカルボン酸基、カルボン
酸無水物基、リン酸基およびスルホン酸基等を挙げるこ
とができる。
【0017】例えば1分子中にカルボン酸基またはその
無水物基を有する単官能重合性単量体としては、モノカ
ルボン酸、ジカルボン酸、トリカルボン酸、テトラカル
ボン酸およびポリカルボン酸またはその無水物を挙げる
ことができる。ここで、使用できる化合物としては、特
公平6−62688号公報に記載されているカルボン酸
または/およびその無水物(a2)を挙げることができ
る。特に、例えば(メタ)アクリル酸、マレイン酸、p
−ビニル安息香酸、11−(メタ)アクリロイルオキシ
−1,1−ウンデカンジカルボン酸(MAC−10)、
1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリ
ット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタ
レン−1,2,6−トリカルボン酸、4−(メタ)アクリ
ロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、
4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸
およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシブ
チルトリメリット酸およびその無水物、4−[2−ヒド
ロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリ
メリット酸およびその無水物、2,3−ビス(3,4−ジ
カルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリ
レート、2または3または4−(メタ)アクリロイルオ
キシ安息香酸、N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシ
チロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、
N−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メ
タ)アクリロイルオキシフェニルアラニン、N−(メ
タ)アクリロイルp−アミノ安息香酸、N−(メタ)ア
クリロイルO−アミノ安息香酸、N−フェニルグリシン
またはN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリ
レートとの付加物、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、
3または4−[N−メチルN−(2−ヒドロキシ−3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル
酸、(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸、(メタ)
アクリロイルオキシサリチル酸を挙げることができる。
このうち、11−メタクリロイルオキシ−1,1−ウン
デカンジカルボン酸(MAC−10)および4−メタク
リロイルオキシエチルトリメリット酸(4−MET)ま
たはその無水物(4−META)が好ましく用いられ
る。(A)成分として使用できる多官能重合性単量体
で、1分子中に少なくとも2個のカルボキシル基を有す
る重合性単量体としては、ジカルボン酸、トリカルボン
酸およびテトラカルボン酸またはこれらの誘導体を挙げ
ることができる。例えば、2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成
物(PMDM)、2モルの2−ヒドロキシエチル(メ
タ)アクリレートと1モルの無水マレイン酸または3,
3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水
物(BTDA)または3,3’,4,4’−ビフェニルテ
トラカルボン酸二無水物などを反応させた付加反応物、
2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)1,3−
ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパンなどを挙げるこ
とができる。
【0018】1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有
する重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリ
ロイルオキシエチルアシドホスフェート、2および3−
(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェー
ト、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホス
フェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルア
シドホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオ
クチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイ
ルオキシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)ア
クリロイルオキシドデシルアシドホスフェート、ビス
{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホス
フェート、ビス{2または3−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピル}アシドホスフェート、2−(メタ)アク
リロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルp−メトキシフェ
ニルアシドホスフェートなどを挙げることができる。こ
れらの化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き
換えることができる。チオリン酸基を有する重合性単量
体としては、特開昭54−21438号、特開昭59−
140276号および特開昭59−142268号に記
載されているものを使用することができる。具体的には
下記の化合物を挙げることができ、[ ]で示した互変
異性体であってもよい。
【0019】
【化1】
【0020】このうち、2−(メタ)アクリロイルオキ
シエチルフェニルアシドホスフェート、10−(メタ)
アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好まし
く用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単量体
は単独または組み合わせて使用できる
【0021】1分子中にスルホン酸基を有する重合性単
量体である。かかる重合性単量体としては、例えば2−
スルホエチル(メタ)アクリレート、2または1−スル
ホ−1または2−プロピル(メタ)アクリレート、1ま
たは3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート、3
−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレ
ート、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メ
タ)アクリレート、1,1−ジメチル−2−スルホエチ
ル(メタ)アクリルアミド、2−メチル−2−(メタ)
アクリルアミドプロパンスルホン酸などを挙げることが
できる。このうち、2−メチル−2−(メタ)アクリル
アミドプロパンスルホン酸が好ましく用いられる。
【0022】(A)成分は酸性基の一部または全部を1
価または多価の金属塩やアンモニウム塩などの塩に変え
て使用することもできる。この場合、通常、他の酸性化
合物と併用して接触した際に(A)成分が酸として働く
ようにすることが好ましい。上記の(A)成分はすべて
単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0023】本発明の(B)成分は、水に不溶性または
難溶性の(A)成分以外の酸性基を有しないラジカル重
合性単量体である。かかる重合性単量体は、蒸留水中に
5重量%になるように加え、37℃で10分間振とうし
て肉眼的に観察して相分離が見られる(溶解していな
い)ものとして特定される。すなわち、一般的には37
℃における溶解度が5重量%以下のものである。具体的
には、例えばスチレン、ジビニルベンゼンなどの芳香族
ビニル化合物類:酢酸ビニルなどのビニルエステル類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリ
ル酸ヘキシル、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;
(メタ)アクリル酸フェニルなどの芳香族エステル類;
2−ヒドロキシ−3−フェノキプロピル(メタ)アクリ
レート、1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジ
ルメタクリレートの付加物(Bis−GMA)、1モル
のビスフェノールAグリシジルエーテルの付加重合物と
2モルの(メタ)アクリル酸の縮合物(VR90)ビス
フェノールAのエチレンオキシド付加物1モルと2モル
の(メタ)アクリル酸の縮合物(エチレンオキシドの付
加連鎖数m+n≧2;m+n=2.6は2.6Eと略記)
などの芳香族系(メタ)アクリレート類;2−(メタ)
アクリロイルオキシエチルイソシアネート、1モルの
2,2,4−(または2,4,4−)トリメチル−1,6−
ヘキサメチレンジイソシアネートと2モルの2−ヒドロ
キシエチル(メタ)アクリレートの付加物(UDMA)
で代表されるウレタン結合含有(メタ)アクリレート;
1,6−ヘキサメチレンジメタクリレート(1,6−H
X)、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート
などの(メタ)アクリル酸の脂肪族エステル類;エチレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコー
ルジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコー
ルジ(メタ)クリレート類(連鎖数n=6未満);プロ
ピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレート類(連鎖数n=12
以下)などの重合性単量体を挙げることができる。
【0024】本発明の(C)成分は、光増感剤(C1)
そして/または過酸化物(C2)である。かかる光増感
剤としては、その化合物単独で、または、他の化合物と
の共存下で光によって励起し、本発明の硬化性組成物を
硬化せしめる役割を有する。例えば、(c11)α−ケ
トカルボニル化合物、(c12)アシルホスフィンオキ
シド化合物などを挙げることができる。具体的には、例
えば、(c11)成分として、α−ジケトン、α−ケト
アルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケトカルボン酸
エステルなどを例示することができる。さらに具体的に
は、ジアセチル、2,3−ペンタジオン、2,3−ヘキサ
ジオン、ベンジル、4,4’−ジメトキシベンジル、4,
4’−ジエトキシベンジル、4,4’−オキシベンジ
ル、4,4’−ジクロルベンジル、4−ニトロベンジ
ル、α−ナフチル、β−ナフチル、カンファーキノン、
カンファーキノンスルホン酸、カンファーキノンカルボ
ン酸、1,2−シクロヘキサンジオンなどのα−ジケト
ン;メチルグリオキザール、フェニルグリオキザールな
どのα−ケトアルデヒド;ピルビン酸、ベンゾイルギ
酸、フェニルピルビン酸、ピルビン酸メチル、ベンゾイ
ルギ酸エチル、フェニルピルビン酸メチル、フェニルピ
ルビン酸ブチルなどを例示することができる。これらの
α−ケトカルボニル化合物のうちでは安定性などの面か
らα−ジケトンを使用することが好ましい。α−ジケト
ンのうちではジアセチル、ベンジル、カンファーキノン
好ましい。
【0025】(c12)成分としてベンゾイルジメトキ
シホスフィンオキシド、ベンゾイルエトキシフェニルホ
スフィンオキシド、ベンゾイルジフェニルホスフィンオ
キシド、2−メチルベンゾイルジフェニルホスフィンオ
キシド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホ
スフィンオキシドなどを挙げることができる。(C1)
成分と(C2)成分は、単独でまたは組み合わせて使用
できる。
【0026】使用される過酸化物(C2)(重合開始
剤)としては、例えばジアセチルペルオキシド、ジプロ
ピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリル
ペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾ
イル(BPO)、p,p’−ジクロルベンゾイルペルオ
キシド、p,p’−ジメトキシベンゾイルペルオキシ
ド、p,p’−ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,
p’−ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過
酸化物および過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩
素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウム
などの無機過酸化物を挙げることができる。これらのう
ちでは、BPOが好ましい。
【0027】本発明の(D)成分は、水溶解性有機溶媒
であり、前述の如く各成分を均一に溶解または分散させ
ること、歯質内にある水分と本発明の成分を置換するこ
と、並びに歯質表面上に接着に必要な厚みの被膜を形成
しやすくする役割を有する。ここで使用する溶媒は、
(A)および/または(B)成分を溶解でき、かつ、
(F)成分の水と(A)および/または(B)成分をあ
る期間均一にまたは安定して分散または溶解しうる性質
を有することが好ましい。ここで使用できる有機溶媒と
しては、37℃で30重量%以上の水を溶解できる有機
溶媒が好ましく、より好ましくは50重量%以上、特に
好ましくは水と任意の比率で混和および/または溶解し
うる溶媒である。具体的には、メタノール、エタノー
ル、プロパノールなどのアルコール類;ジメトキシエタ
ン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン
(THF)、ジオキサンなどのエーテル類;アセトン、
メチルエチルケトンなどのケトン類;N,N-ジメチルス
ルホキサイド(DMSO)などのスルホキサイド類;
N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)などのアミド類
などを挙げることができる。その他、エチレングリコー
ル、プロピレングリコール、グリセロールなどの高級ア
ルコール類も使用できる。ここでは、生体への安全性を
考慮して、アルコール、アセトン、THFおよびDMS
Oなどが特に好ましい。
【0028】本発明の(E)成分は水である。(E)成
分は本発明の組成物のpHを低下させる役割があり、こ
の効果によって研削歯質に適用した場合には比較的短時
間でスメア層中のハイドロキシアパタイトを溶解するた
めに本発明の成分を歯質内に拡散しうる。また別の効果
として(E)成分を速やかに組成物中に溶解させる利点
がある。ここで使用できる水としては、例えば蒸留水、
イオン交換水、精製水または生理食塩水などが挙げられ
る。特に蒸留水、精製水およびイオン交換水が好ましく
用いられる。また、電気分解によって調製される酸化還
元水、例えば強酸性水、強アルカリ水などを使用するこ
とができる。
【0029】本発明の(F)成分は、アミン化合物であ
る。(F)成分としては、脂肪族アミン、脂環族アミ
ン、芳香族アミンのいずれであってもよい。また、第一
アミン、第二アミンおよび第三アミンのいずれでもよ
い。好ましくは、芳香族アミンであり、さらに好ましく
は芳香族第三アミンを挙げることができる。アミン化合
物としては、例えば、トリエチルアミンノアセチルベン
ゼンなどで代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベ
ンゼンおよび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼン類;
N−フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン
(NTG)、N,N−(3−メタクリロイルオキシ−2
−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシン(NPG−G
MA)などを併用することができる。これらの化合物は
単独で、または組み合わせて使用することができる。
【0030】本発明の(G)成分は、シランカップリン
グ剤である。かかるシランカップリング剤としては、分
子内にアルコキシシリル基を有する重合性単量体を好ま
しいものとして挙げることができる。アルコキシシリル
基を有する重合性単量体としては、例えば、ビニルトリ
エトキシシラン、ビニル−トリス(2−メトキシエトキ
シ)シラン、アリルトリエトキシシラン、γ−(メタ)
アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、2−
スチリルエチルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロ
イルオキシエチルジメチル(3−トリメトキシシリルプ
ロピル)アンモニウムクロライド、3−(N−スチリル
メチル−2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキ
シシラン塩酸塩、トリメトキシシリルプロピルアリルア
ミンなどを挙げることができる。この中では、γ−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランお
よび2−スチリルエチルトリメトキシシランが好ましく
使用される。上記の重合性単量体はそれぞれ単独で、ま
たは組み合わせて使用することができる。
【0031】本発明の(G)成分は、(A)〜(H)の
成分と任意の組合せ使用できる。また、特開昭55−1
10171号に記載された組成物と組合せて使用でき
る。(G)成分は、特にハイドロキシアパタイト、リン
酸カルシウム、シリカ、リン酸ジルコニウム、ジルコニ
ア、アルミナなどの成分を含有するセラミックスおよび
/または歯科用ポーセレンに適用する際に特に効果的で
ある。また、上記に示すようなセラミックスに適用する
際には、本発明の組成物中に含有させてもよいが、別法
として(G)成分を含む他の処理材組成物を予め適用
し、その後に、本発明の組成物から(G)成分を除いた
組成物を適用することが好ましい。
【0032】本発明の(H)成分は、1,3,5−トリア
ジン−2,4−ジチオン誘導体である。1,3,5−トリ
アジン−2,4−ジチオン誘導体としては特に、6−
(4−ビニルベンジル−n−プロピル)アミノ−1,3,
5−トリアジン−2,4−ジチオンを挙げることができ
る。この化合物の詳細は、特開昭64−83254号公
報に記載されている。(H)成分は、特に金、白金、
銀、パラジウムなどの貴金属またはこれらの金属の1種
以上を含有する合金に対して適用する際に特に効果的で
ある。また、上記に示すような貴金属または貴金属合金
に適用する際には、本発明の組成物中に含有させてもよ
いが、上記(H)成分を含む他の処理材組成物を予め適
用し、その後に、本発明の組成物から(H)成分を除い
た組成物を適用することが好ましい。
【0033】本発明の(H)成分は、(A)〜(G)成
分と任意の組合せで使用できる。また、特開昭64−8
3254号に記載された組成物と組合せて使用できる。
必要に応じてチオウラシル系誘導体を使用することがで
きる。例えば6−メタクリロイルオキシヘキシル2−チ
オウラシル−5−カルボキシレートなどを挙げることが
できる。
【0034】本発明の組成物は、(A)および(C)〜
(E)成分の合計を100重量部としたとき、通常、
(A)成分は1〜70重量部の範囲、好ましくは3〜5
0重量部の範囲、さらに好ましくは5〜40重量部の範
囲であり、(C)成分は0.01〜10重量部の範囲、
好ましくは0.03〜5重量部の範囲、さらに好ましく
は0.05〜3重量部の範囲であり、(D)成分は10
〜70重量部の範囲、好ましくは15〜60重量部の範
囲、さらに好ましくは20〜50重量部の範囲であり、
(E)成分は1〜60重量部の範囲、好ましくは3〜5
0重量部の範囲、さらに好ましくは5〜40重量部の範
囲である。さらに(A)および(C)〜(E)の合計を
100重量部としたとき、さらに加える成分として
(B)成分は1〜200重量部の範囲、好ましくは5〜
150重量部の範囲、さらに好ましくは10〜130重
量部の範囲であり、(F)成分は0.01〜20重量部
の範囲、好ましくは0.03〜15重量部の範囲、さら
に好ましくは0.05〜10重量部の範囲であり、
(G)成分は0.01〜60重量部の範囲、好ましくは
0.05〜50重量部の範囲、さらに好ましくは1〜4
0重量部の範囲であり、(H)成分は0.001〜60
重量部、好ましくは0.005〜50重量部の範囲、さ
らに好ましくは0.01〜30重量部の範囲であるのが
好ましい。
【0035】本発明において、上記の(A)〜(H)成
分以外に本発明の効果を損なわない範囲内で、重合禁止
剤(重合抑制剤と呼ぶことがある)、重合促進剤、顔
料、ポリマー、フィラー、防カビ剤、抗菌剤などの成分
を含有することができる。また、重合性単量体として水
への溶解度が5重量%以上である化合物、たとえば、分
子内に水酸基やオキシエチレン鎖などの親水性の官能基
や連鎖を有する化合物を配合することもできるが、この
場合は、要求にあわせて本発明の混合物を均一に溶解も
しくは分散させるのに有効である利点を有するものの、
硬化物の耐水性を損なう場合があるので、その配合量は
少なくすることが好ましく、具体的には(A)または
(A)と(B)成分の混合物100重量部に対して、3
0重量部以下が好ましく、通常15重量部以下、好まし
くは10重量部以下で使用することができる。
【0036】本発明の組成物は必要に応じて、界面活性
剤を含有することができる。界面活性剤の添加は、接着
性の改善にも有効であるが、組成物中の各成分を安定に
溶解または分散させるために特に有効である。かかる界
面活性剤としては、イオン型界面活性剤および非イオン
型界面活性剤の両者を含み、37℃水中での臨界ミセル
濃度(cmc)が通常0.01〜1.0重量%の値を示す
化合物である。
【0037】界面活性剤として、イオン型界面活性剤の
とき、アニオン界面活性剤としては、例えばラウリル酸
ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、オレイン酸ナト
リウムなどの脂肪族カルボン酸金属塩類;ジオクチルス
ルホコハク酸ナトリウムなどの硫酸化脂肪族カルボン酸
金属塩類;ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸エス
テルナトリウム、セチル硫酸エステルナトリウム、ステ
アリル硫酸エステルナトリウム、オレイル硫酸エステル
ナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステルの金属塩
類;ラウリルアルコールとエチレンオキサイドの付加物
を硫酸化したラウリルエーテル硫酸エステルナトリウム
などの高級アルキルエーテル硫酸エステルの金属塩類;
ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキル
ベンゼンスルホン酸の金属塩類;α−オレフィンに硫酸
を反応させて合成するα−オレフィンスルホン酸の金属
塩類;N−メチルタウリンとオレイン酸クロリドを反応
させたイゲポンT;エアロゾルOTで代表されるスルホ
コハク酸ジエステル類;高級アルコールエチレンオキサ
イド付加物のリン酸エステル塩類;ジチオリン酸エステ
ル塩類などを挙げることができる。
【0038】カチオン界面活性剤としては、例えばステ
アリルアミンなどの高級アルキルアミンとエチレンオキ
サイドの付加物;ソロミンA、サパミンA、アーコベル
AもしくはアーコベルG、オニクサンHSBなどで代表
される低級アミンからつくられるアミン類;ラウリルト
リメチルアンモニウムクロリドなどのアルキルトリメチ
ルアンモニウム塩類;ラウリルジメチルベンジルアンモ
ニウムクロリドなどのアルキルジメチルベンジルアンモ
ニウム塩類などで代表される高級アルキルアミンからつ
くられる第4級アンモニウム塩類;サパミンMS、サパ
ミンBCHなどのサパミン型第4級アンモニウム塩類お
よびキャタナックSN;ゼランAP、ベランPFなどの
ピリジニウム塩類で代表される低級アミン、ラジカル重
合性を有するメタクリロイルオキシエチルトリアンモニ
ウムクロリド(MAC)からつくられる第4級アンモニ
ウム塩型カチオン界面活性剤を挙げることができる。
【0039】両性界面活性剤としては、例えばラウリル
アミノプロピオン酸ナトリウムやステアリルアミノプロ
ピオン酸ナトリウムなどの高級アルキルアミノプロピオ
ン酸の金属塩類;ラウリルジメチルベタイン、ステアリ
ルジメチルベタインやラウリルジヒドロキシエチルベタ
インなどのベタイン類などを挙げることができる。
【0040】非イオン界面活性剤としては、例えばポリ
エチレングリコールモノ−p−イソオクチルフェニルエ
ーテル、ポリエチレンソルビタンモノラウリン酸エステ
ルなどで代表されるラウリルアルコールなどの高級アル
コール類もしくはノニルフェノールなどのアルキルフェ
ノール類もしくはオレイン酸などの脂肪酸類もしくはス
テアリルアミンなどの高級脂肪族アミン類もしくはオレ
イン酸アミドなどの脂肪族アミド類にエチレンオキシド
やプロピレンオキシドを付加させたポリエチレングリコ
ール型あるいはポリプロピレングリコール型非イオン界
面活性剤;グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビ
ット、ソルビタン、ソルビタントリオレイン酸エステル
などの多価アルコール類ないしはモノエタノールアミン
やジエタノールアミンなどのジエタノールアミン類ない
しは砂糖などの糖類で代表される多価アルコール型非イ
オン界面活性剤などを挙げることができる。
【0041】界面活性剤については、以上に挙げた化合
物以外に、例えば新・界面活性剤入門(藤本武彦著、三
洋化成発行)に記載されている化合物を挙げることがで
きる。本発明の組成物で歯質表面に対して接着に有効な
被膜厚さとして通常、歯質表面上に1〜500μm好ま
しくは3〜100μm、更に好ましくは5〜70μmの
厚みで適用することができる。被膜の厚みは、使用目的
や用途によって選択でき、組成物中の成分の比率を変化
させることによって組成物の粘度を調製することによっ
て、或いは、歯質表面への塗布量、塗布する回数やエア
ブローなどによる吹き飛ばし方によっても調製すること
ができる。更に抗菌効果および/または殺菌効果を期待
して、歯面に抗菌剤または殺菌剤を適用した後、本発明
の組成物を適用することができる。抗菌剤、殺菌剤とし
て例えば、過酸化水素水、アルコールを含有する組成物
および次亜塩素酸ナトリウムやクロルヘキシンジグルコ
ネートなどを含有する組成物を挙げることができる。
【0042】本発明の組成物を室温で1年以上の長期に
わたり保存するためには、以下の3項目を満たすような
組み合わせのキットにすることが好ましい。 (A)成分と(G)成分は混合しない (C2)成分と(F)成分は混合しない 使用目的によって保存期間の要求が異なるので、目的に
よって上記の項目に留意して組み合わせればよく、この
組み合わせによって本発明が制限を受けるものではな
い。本発明において最も好ましい構成として、(B)〜
(D)および(E)からなる組成物((B)を除いても
可)と(A)を含むスポンジ、(B)〜(E)および
(F)からなる組成物((B)を除いても可)と(A)
を含むスポンジ、(A),(B),(D)および(E)
からなる組成物((B)を除いても可)と(C)を含む
スポンジ、(A)〜(D)および(E)からなる組成物
((B)を除いても可)と(F)を含むスポンジまたは
(A)〜(D),(E)および(F)または/および
(H)からなる組成物((B)を除いても可)を含むス
ポンジなどを挙げることができる。
【0043】1本のボトル中に入れられる成分としては
例えば(A)〜(D)の混合物((B)を除いても
可)、(A)〜(D)および(E)の混合物((B)を
除いても可)、(A)、(B)、(C1)、(D)、
(E)、(F)の混合物、(A)〜(D)((B)を除
いても可)、(E)、(F)、(H)の混合物を挙げる
ことができる。スポンジまたは綿球等のアプリケータに
含ませる成分としては、粉末または顆粒状の(A)およ
び/または(C)成分と(D)および/または(E)成
分の混合物を挙げることができる。
【0044】ここで(D)および/または(E)成分の
混合物は均一溶液または分散液が好ましい。各アプリケ
ータは、好ましくはこの均一溶液を飽和量で含有してい
る。この飽和量は、滴下式ボトル中の他の成分の混合物
の好ましくは1滴に対応した量となっている。従って、
アプリケータが上記均一溶液中に浸漬された状態で容器
に入れられていてもよい。この手法は、アプリケータに
含有されない他の成分の混合物の保存安定性(成分の変
質、混合物の分離の防止)や歯科治療時の操作性を良好
にし、また構成成分の選択の自由度が大きくなるので、
キットの製造プロセスが簡略化されるなどの特徴があ
る。特に(E)成分を他の成分の混合物と分離し、アプ
リケータに含有させることにより保存安定性が向上す
る。
【0045】本発明の組成物を適用するにあたって、必
要に応じて被着体例えば歯質、セラミックス、金属、レ
ジン等の表面に予めエッチング剤やプライマー組成物を
施してもよい。ここでエッチング剤としては、塩酸、ク
エン酸、リン酸、しゅう酸、EDTAおよびこれらに金
属イオンを含む組成物を挙げることができる。また、プ
ライマーとしては水酸基および/または酸性基を含有す
る重合性単量体を含む組成物を挙げることができる。
【0046】
【実施例】本発明の効果をより高めるため、歯質に対し
て本発明の組成物を適用する場合には、塗布後5秒以
上、好ましくは10秒以上、更に好ましくは30秒以上
静置する。これは本発明の組成物が歯質表面のスメア層
および/または歯の基質の一部または全部を溶解し拡散
するために必要な時間と推察される。しかし、その静置
時間が長いほど本発明の効果を高めるが、口腔内での使
用を考慮すると、せいぜい1分間程度にとどめるのが好
ましい。以下、本発明を実施例により説明するが、本発
明がこれら実施例に限定されるものではない。
【0047】(水への溶解度試験)本発明の(B)成分
に相当する水に不溶性または難溶性のラジカル重合性単
量体を、蒸留水中に5%になるように加え、37℃の温
度下にて10分間振とうした後に4時間静置し、相分離
の有無を肉眼で観察した。相分離のあるものを溶解度5
%以下、均一に乳化している場合を含めて溶解している
ものは溶解度5%以上とした。このようにして、(B)
成分が37℃における溶解度が5重量%以下であるラジ
カル重合性単量体であるか否かを定義した。
【0048】(歯質との接着試験1:エッチング無)新
鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存したも
のを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエナ
メル質および象牙質が露出するように回転式研磨機EC
OMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で
耐水エメリー紙#80で研磨して平滑な面を得た。研削
した牛歯を一度気銃にて水分を除去して直ちに接着面積
を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハ
ンテープを張り付けた。
【0049】本発明の硬化性組成物を2滴(0.05
g)ダッペンディッシュに取り、素早くキャタスポンジ
1個によって3〜5秒間撹拌する。使用したスポンジを
用いて面積規定した歯質に多量(約0.015g)に塗
布して30秒間静置した。軽くエアブローしながら余分
な液を吹き飛ばした後、可視光照射器(Translu
x CL,Kulzer)にて20秒間光照射して本発
明の硬化性組成物を硬化させた。片面に粘着材のついた
内径5.1mm円孔を持つ厚さ1mmの厚紙を規定面が
みえるように置いて固定し、この穴にコンポジットレジ
ン(Epic−TMPT,サンメディカル)を充填し
て、厚さ50μmのポリエステルフィルムで覆った。こ
のフィルムの上から可視光照射器(Translux
CL,Kulzer)にて40秒間光照射してコンポジ
ットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタフ
ァースト(サンメディカル)にてアクリル棒を植立して
15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試
験をクロスヘッドスピード2mm/minで行った。
【0050】(歯質への接着試験2:エッチング材有)
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存した
ものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯をエ
ナメル質および象牙質が露出するように回転式研磨機E
COMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下
で耐水エメリー紙#80まで研磨して平滑な面を得た。
研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して直ちに、エ
ッチング材をスポンジS(キャタスポンジではない)に
て十分量塗布して所定時間後に水洗し、エアブローによ
って乾燥した。エッチング材を適用した面に接着面積を
規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハン
テープを張り付けた。
【0051】本発明の硬化性組成物を2滴(0.05
g)ダッペンディッシュに取り、素早くキャタスポンジ
1個(0.015g)によって3〜5秒間撹拌する。使
用したスポンジを用いて面積規定した歯質に多量に塗布
して30秒間静置した。軽くエアブローしながら余分な
液を吹き飛ばした後、可視光照射器(Translux
CL,Kulzer)にて20秒間光照射して本発明の
硬化性組成物を硬化させた。片面に粘着材のついた内径
5.1mm厚さ1mmの厚紙を規定面がみえるように置
いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Epic−
TMPT,サンメディカル)を充填して、厚さ50μm
のポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上か
ら可視光照射器(Translux CL,Kulze
r)にて40秒間光照射してコンポジットレジンを硬化
させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サンメ
ディカル)にてアクリル棒を植立して15分間静置し
た。37℃水中に一日浸漬後、引張り試験(クロスヘッ
ドスピード2mm/min)で行った。
【0052】(ポーセレンへの接着試験)歯科用ポーセ
レン(スーパーポーセレンAAA、E3(ノリタケ
製);15×15×10)の一面を回転式研磨機ECO
MET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐
水エメリー紙#2000まで研磨して平面な面を得た。
研磨面をリン酸液(高粘度レッド(サンメディカル))
0.3gを塗布して30秒間静置後、十分に水洗いしエ
アブローによって乾燥した。リン酸液を適用した面に接
着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいた
セロハンテープを張り付けた。
【0053】本発明の硬化性組成物としてボトル1,ボ
トル2,およびキャタスポンジを調製し、使用した。ボ
トル2は(A)成分である4−MET(2.5重量
部)、(I)成分であるγ−メタクリロイルオキシプロ
ピルトリメトキシシラン(γ−METS;2.5重量
部)を溶解後(B)成分であるMMA95重量部を混合
溶解したものであり、これを混合溶解後10分以内に約
0.015gスポイトでとり出して面積規定した表面に
塗布し、10秒後にエアブローして乾燥させた。さらに
ボトル1およびキャタスポンジの混合液を約0.015
g塗布して30秒後エアブローによって表面の液が動か
なくなるまで揮発させた。その後可視光照射器(Tra
nslux Ch)にて20秒間光照射して本発明の接
着性組成物を硬化させた。片面に接着剤のついた内径
5.1mm厚さ1mmの厚紙を規定面がみえるように置
いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Epic−
TMPT、サンメディカル)を充填して、厚さ50μm
のポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上か
ら可視光照射器(Translux CL、 Kulz
er)にて40秒か光照射してコンポジットレジンを硬
化させた後、フィルムを剥がし、メタファースト(サン
メディカル(株)の商品名)にてアクリル棒を稙立して
15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試
験クロスヘッドスピード2mm/minで行った。
【0054】(歯科用貴金属(金銀パラニウム)への接
着試験)歯科用貴金属(金銀ハラジウム合金;プライム
キャスト(石福金属製)10×10×3mm)の面を回
転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で
注水、指圧下で耐水エメリー紙#600まで研磨して平
面な面を得た。研磨面をアルミナサンドブラスト(Sa
hara(JELENKO);50μmアルミニウムオ
キシド)で5kg/cm2にて約10秒間処理して水中
超音波洗浄後エアブローによって乾燥した。処理面に接
着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいた
セロハンテープを張り付けた。
【0055】本発明の硬化性組成物としてボトル1,ボ
トル3およびキャタスポンジを調製し、使用した。ボト
ル3は(D)成分であるアセトン(99.5重量部)お
よび(I)成分である6−(4−ビニルベンジル−n−
プロピル)アミノ−1,3,5−トリアジン−2,4−ジ
チオン(VTD、0.5重量部)を溶解したものであ
り、これを約0.015gスポイトでとり出して面積規
定した方面に塗布し、10秒後にエアブローして乾燥さ
せた。さらにボトル1およびキャタスポンジの混合液を
約0.015g塗布して30秒後エアブローによって表
面の液が動かなくなるまで揮発させた。その後可視光照
射器(Translux Ch)にて20秒間光照射し
て本発明の接着性組成物を硬化させた。片面に接着剤の
ついた内径5.1mm厚さ1mmの厚紙を規定面がみえ
るように置いて固定し、この穴にコンポジットレジン
(Epic−TMPT、サンメディカル)を充填して、
厚さ50μmのポリエステルフィルムで覆った。このフ
ィルムの上から可視光照射器(Translux C
L、 Kulzer)にて40秒か光照射してコンポジ
ットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メタフ
ァースト(サンメディカル)にてアクリル棒を稙立して
15分間静置した。37℃水中に一日浸漬後、引張り試
験クロスヘッドスピード2mm/minで行った。
【0056】実施例1 歯質への接着試験1および2に準じて実施した。30g
のMMA、30gの2.6E、0.1gのd,l−カンフ
ァキノン(CQ)、30gのアセトンおよび10gの蒸
留水を混合して溶解した。この液体を滴下式ボトル(ボ
トル1)に入れた。別にスーパーボンドC&Bに付属の
スポンジS(発泡ウレタン寸法 Φ3×3mm:8.3
mg)に14mgの4−METを含有させたスポンジを
調製した。溶液2滴(0.05g)とキャタスポンジ1
個をダッペンディッシュ中で5秒間激しく撹拌して、そ
のままスポンジにて本発明の組成物を歯面に適用した。
歯科用ポーセレンおよび貴金属に対しては、各接着試験
の方法に記載した方法によって被着体に適用した。
【0057】実施例2 30gの4−MET、30gのMMA、30gの2.6
E、30gのアセトンおよび10gの蒸留水を混合して
溶解し、この液体を滴下ボトル(ボトル1)に入れた。
別にスーパーボンドC&Bに付属のスポンジS(同上)
に0.5mgのCQを含有させたスポンジを調製した。
溶液2滴(0.05g)と吸着スポンジ1個をタッペン
ディッシュ中で5秒間激しく攪拌して、そのままスポン
ジにて本発明の組成物を歯面に適用した。ポーセレン、
貴金属に対して各試験の方法に準じて行った。
【0058】実施例3 実施例2においてCQの代わりにTMDPOを用いて同
様に試験した。 実施例4 実施例2においてCQの代わりにTBAS10mgを用
いて同様に試験した。 実施例5 30gの4−META、60gのBis−GMA、0.
1gのCQ、30gのアセトン、10gの蒸留水および
0.1gのBEDBを混合して溶解し、この液体を滴下
式ボトル(ボトル1)に入れた。別に前述のスポンジS
に0.5mgのVTDを含有させたスポンジを調製し
た。貴金属への接着試験に準じて実施するか、接着面積
を規定した面に、使用直前にボトル1の溶液2滴に吸着
スポンジ1個を接触させた液体を直接塗布し、硬化させ
た。ここで、表1〜表2に記載した略号は以下の化合物
を示唆する。
【0059】実施例6 10gの4−MET、7gのMMA、10gのUDM
A、41gのアセトン、3.5gのHEMA、6.5gの
蒸留水および0.5gのDMABAEを溶解し、ボトル
に入れた(ボトル1)。別に実施例3で調製したスポン
ジ1個に対してボトル1から2滴(0.05g)を接触
させて、歯質に適用した。
【0060】4−META:4−メタクリロイルオキシ
エチルトリメリット酸無水物 4−MET:4−メタクリロイルオキシエチルトリメリ
ット酸 MMA:メタクリル酸メチル 2.6E:ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物
1モルと2モルのメタクリル酸の縮合物(エチレンオキ
シドの付加連鎖数m+n≧2.6) CQ:d,l−カンファキノン BEDB:N,N−ジメチル安息香酸n−ブトキシエチ
ル DMABAE:N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル Bis−GMA:1モルのビスフェノールAと2モルの
グリシジルメタクリレートの付加物
【0061】UDMA:1モルの2,2,4−(または
2,4,4−)トリメチル−1,6−ヘキサメチレンジイ
ソシアネートと2モルの2−ヒドロキシエチルメタクリ
レートの付加物 TBAS:2−メチル−2−アクリルアミドプロパンス
ルホン酸 5−MASA:5−メタクリロイルアミノサリチル酸 4−MSA:4−メタクリロイルオキシサリチル酸 5−MSA:5−メタクリロイルオキシサリチル酸 HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート p−TSNa:p−トルエンスルフィン酸ナトリウム p−TSLi:p−トルエンスルフィン酸リチウム BSNa:ベンゼンスルフィン酸ナトリウム γ−METS:γ―メタクリロイルオキシプロピルトリ
メトキシシラン VTD:6−(4−ビニルベンジル−n−プロピル)ア
ミノ−1,3,5,−トリアジン−2,4−ジチオン CB−1:メタクリロイルオキシハイドロジエンフタレ
ート(新中村化学(株)商品名) ETOH:エタノール TMDPO:2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニ
ルホスフィンオキシド
【0062】10−3:表面処理材グリーン(サンメデ
ィカル) EDTA:0.3MEDTA2・Na−0.2MEDTA
・Fe・Na(pH7.4) リン酸:高粘度レッド(サンメディカル) ADゲル:ADゲル(クラレ) CHCG:2%クロルヘキシジングルコネート水溶液 BPO:過酸化ベンゾイル NPG・Na:N−フェニルグリシンナトリウム BA:バルビツール酸 BANa:バルビタールナトリウム
【0063】
【表1】
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】本発明の接着硬化性組成物およびそれを
含むキットを用いることによって、特に歯質に対して前
処理なしでも強固に接着し、それによって歯質の侵襲と
作業の手間を大幅に改善できる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上木 秀幸 滋賀県守山市古高町571−2 サンメディ カル株式会社内 (72)発明者 田中 晴美 滋賀県守山市古高町571−2 サンメディ カル株式会社内 (72)発明者 冨川 保 滋賀県守山市古高町571−2 サンメディ カル株式会社内 (72)発明者 大槻 晴夏 滋賀県守山市古高町571−2 サンメディ カル株式会社内 Fターム(参考) 4C089 AA10 AA11 AA12 BC02 BC06 BC08 BC10 BC11 BC13 BD07 BD09 BD10 BD11 CA01 CA10

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)分子内に酸性基を有するラジカル重
    合性単量体、(C)光増感剤(C1)および/または過
    酸化物(C2)、(D)水溶性有機溶剤並びに(E)水
    からなる歯科用接着剤のキットであり、(A)および/
    または(C)成分がアプリケータに含有されそしてアプ
    リケータに含有されていない他の成分は一つ以上の容器
    に入れられており、使用直前にアプリケータ中の(A)
    および/または(C)成分と接触、混合されることを特
    徴とする歯科用接着剤のキット。
  2. 【請求項2】 さらに(B)酸性基を有さない水不溶性
    または水難溶性ラジカル重合性単量体を含有する請求項
    1記載の歯科用接着剤のキット。
  3. 【請求項3】 アプリケータがさらに(D)および/ま
    たは(E)を含有する請求項1または2記載の歯科用接
    着剤のキット。
  4. 【請求項4】 さらに(F)アミン化合物を含有する請
    求項1〜3のいずれかに記載の歯科用接着剤のキット。
  5. 【請求項5】 アプリケータがさらに(F)成分または
    (F)成分と(C1)成分を含有する請求項1または2
    記載の歯科用接着剤のキット。
  6. 【請求項6】 アプリケータが含有成分の均一溶液を含
    有する状態かあるいは過剰の均一溶液中にある状態で一
    つの容器に入れられている請求項3記載の歯科用接着剤
    のキット。
  7. 【請求項7】 さらに(G)シランカップリング剤を含
    有する請求項1〜6のいずれかに記載の歯科用接着剤の
    キット。
  8. 【請求項8】 さらに(H)1,3,5−トリアジン−
    2,4−ジチオン誘導体を含有する請求項1〜7のいず
    れかに記載の歯科用接着剤のキット。
  9. 【請求項9】 (A)分子内に酸性基を有するラジカル
    重合性単量体の酸性基が(A1−1)カルボキシル基ま
    たはカルボン酸無水物基、(A1−2)燐酸基および
    (A1−3)スルホン酸基よりなる群から選択される少
    なくとも1種である請求項1〜8のいずれかに記載の歯
    科用接着剤のキット。
  10. 【請求項10】 光増感剤(C1)が(C11)α−ケ
    トカルボニル化合物または(C12)アシルホスフィン
    オキシド化合物である請求項1〜9のいずれかに記載の
    歯科用接着剤のキット。
  11. 【請求項11】 アプリケータに含有されない他の成分
    が一つの容器に入れられている請求項1〜10のいずれ
    かに記載の歯科用接着剤のキット。
  12. 【請求項12】 アプリケータがスポンジ、綿、筆およ
    びブラシよりなる群から選ばれる請求項1〜11のいず
    れかに記載の歯科用接着剤のキット。
  13. 【請求項13】 (A)および(C)〜(E)成分の合
    計を100重量部としたとき、(A)成分は1〜70重
    量部の範囲、(C)成分は0.01〜10重量部の範
    囲、(D)成分は10〜70重量部の範囲、および
    (E)成分は1〜60重量部の範囲で用いられる請求項
    1記載の歯科用接着剤のキット。
  14. 【請求項14】 (A)および(C)〜(E)成分の合
    計100重量部としたとき、(B)成分が1〜200重
    量部で用いられる請求項2記載の歯科用接着剤のキッ
    ト。
  15. 【請求項15】 (A)および(C)〜(E)成分の合
    計100重量部としたとき、(F)成分が0.01〜2
    0重量部で用いられる請求項4記載の歯科用接着剤のキ
    ット。
  16. 【請求項16】 (A)および(C)〜(E)成分の合
    計100重量部としたとき、(G)成分が0.01〜6
    0重量部で用いられる請求項7記載の歯科用接着剤のキ
    ット。
  17. 【請求項17】 (A)および(C)〜(E)成分の合
    計100重量部としたとき、(H)成分が0.001〜
    60重量部で用いられる請求項8記載の歯科用接着剤の
    キット。
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