JP5063349B2 - 歯科用硬化性組成物および該歯科用硬化性組成物用キット - Google Patents
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Description
第1の方法は、クラウン、インレー等の補綴物を合着セメントと呼ばれる材料を用いた修復処置方法であり、第2の方法はコンポジットレジン等の充填材料を接着性レジンにより修復する方法である。
(A)分子内に酸性基を有する化合物、
(B)重合性単量体、
(C)有機アミン化合物
および
(D)含硫黄還元化合物を含有し、
該歯科用硬化性組成物中における
(A)成分の含有量が0.01〜80重量部、
(B)成分の含有量が21〜99.8重量部、
(C)成分の含有量が0.01〜30重量部、
(D)成分の含有量が0〜30重量部
の量で含有されていることを特徴とする歯科用硬化性組成物(ただし、上記(A)〜(D)成分の合計を100重量部とする。また上記(A)〜(D)の複数に該当する化合物が存在する場合にはその化合物の重量部を該当する成分の数で割った重量部を該当する成分ごとの含有量とする)。
本発明の歯科用硬化性組成物は、(A)分子内に酸性基を有する化合物、(B)重合性単量体、および(C)有機アミン化合物を含有する組成物であり、通常は(D)含硫黄還元性化合物を含有するものであり、この歯科用硬化性組成物中には、過酸化物系重合開始剤が実質上含有されていない。本発明において、過酸化物系重合開始剤が実質的に含有されないとは、過酸化物系開始剤が全く含有されていないことを意味することは勿論、本発明の歯科用硬化性組成物の合計量を100重量部としたときに、過酸化物系重合開始剤が0.01重量部以下、さらには0.001重量部以下の量で混入した歯科用硬化性組成物に関しても、実質上含有されないものとする。従来、この種の実用的な歯科用硬化性組成物においては、組成物を硬化させるために、過酸化物系重合開始剤は必須成分であると考えられてきたが、本発明の組成により、過酸化物系重合開始剤を必須成分として実質上含有しない歯科用硬化性組成物を実現することができる。さらに、本発明の歯科用硬化性組成物は、過酸化物系の重合開始剤を含有しないだけでなく、その硬化時間を、30秒〜120分の範囲内に調整することができ、特にシーラー用途においては極めて使い易い適正な時間範囲に調整することが可能となった。
本発明において、(A)分子内に酸性基を有する化合物は、酸性基を有する化合物であり、さらに見かけ上は酸性基でなくとも、常温付近の水性溶媒系において、容易に酸性基を有する化合物に変化する化合物(例えば酸無水物など)であってもよい。
本発明で(A)分子内に酸性基を有する化合物として使用する(A0)分子内に酸性基を有するが重合性は有していない化合物としては、例えば、無機酸および重合性基を有しない有機酸を挙げることができる。
また本発明で(A0)として使用することができる重合性基を有しない有機酸有機酸としては、例えば蟻酸、酢酸、プロピオン酸等の一塩基酸;シュウ酸、コハク酸、アジピン酸等の二塩基酸;乳酸、グリコール酸、酒石酸、リンゴ酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルコン酸、グリセリン酸等のヒドロキシカルボン酸;グルタミン酸、アスパラギン酸等の酸性アミノ酸、ピルビン酸、アセト酢酸、レブリン酸等のケト酸、安息香酸、サリチル酸等の芳香族カルボン酸、エチレンジアミンテトラ酢酸等のポリカルボン酸類;その他イソクエン酸、マロン酸、グルタル酸、グルクロン酸、コウジ酸、フィチン酸、アコニット酸、グリセロリン酸等が挙げられる。上記の(A0)成分は、単独であるいは組み合わせて使用することができる。また、本発明ではこれらの酸無水物も単独であるいは組み合わせて利用可能である。
本発明において使用される(B)重合性単量体は、1分子内に上記の重合性基から選択される基を少なくとも1個含有していればよい。
本発明において(B)重合性単量体としては、(B0)分子内に酸性基を有しない重合性単量体、あるいは、(AB)分子内に酸性基を有する重合性単量体等を使用することができる。
(B0)分子内に酸性基を有しない重合性単量体には、(i)単官能重合性単量体、(ii)二官能重合性単量体、(iii)多官能重合性単量体などがある。これらの内で、(i)単官能重合性単量体としては、例えば、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート等の直鎖状または分枝状アルキル(メタ)アクリレート;
グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の酸素原子等を含む複素環(メタ)アクリレート;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のさらに塩素等のハロゲンを有するヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
メチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート等の直鎖状または分枝状のポリもしくはモノアルキレングリコールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等のようなトリメチロールアルカントリ(メタ)アクリレートやトリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートの(メタ)アクリレートエステル等の三官能重合性単量体;
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート(O(-CH2-C(-CH2O-CO-CR=CH2)2CH2CH3)2、R:H or CH3)等のようなポリメチロールアルカンやそのエーテルのテトラ(メタ)アクリレート等の四官能重合性単量体;
ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート等のようなポリメチロールアルカンやそのエーテルのポリ(メタ)アクリレート等の五官能以上の重合性単量体が挙げられる。
これらの重合性単量体の中で上記(B)成分として、特に分子内に水酸基を含有する重合性単量体もしくはトリアジン環を含有する重合性単量体(イソシアヌレート(メタ)アクリレートエステル等)が好ましく用いられ、これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。
例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量体では、
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレ−ト、1,2−または1,3−および2,3−ジヒドロキシプロパン(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等の水酸基含有の(メタ)アクリレート類;
メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイル−2,3−ジヒドロキシプロピルアミン、N−(メタ)アクリロイル−1,3−ジヒドロキシプロピルアミン等の水酸基含有の(メタ)アクリルアミド類;
2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレートの場合HPPM)、2−ヒドロキシ−3−ナフトキシプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレートの場合HNPM)、1モルのビスフェノールAと2モルのグリシジル(メタ)アクリレート(メタクリレートの場合GMA)の付加反応生成物(メタクリレートの場合Bis−GMA)等のGMAと脂肪族もしくは芳香族ポリオール(フェノールを含む)との付加生成物等を挙げることができる。これらの重合性単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
(メタ)アクリル酸、フマル酸、マレイン酸等のビニル基にカルボキシル基が直接結合した化合物、
p−ビニル安息香酸等のビニル基に芳香環が直接結合した化合物、
11−(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカルボン酸(メタクリレートの場合:MAC−10)等の(メタ)アクリロイルオキシ基を有する化合物、
1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン−1,2,6−トリカルボン酸等の(メタ)アクリロイルオキシアルキル基を有する芳香環カルボン酸化合物、
4−(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸(メタクリレートの場合:4−MET)およびその無水物(メタクリレートの場合:4−META)、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびその無水物、4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水物等の(ヒドロキシ)(メタ)アクリロイルオキシアルキルトリメリット酸化合物およびその無水物、
2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のカルボキシベンゾイルオキシを有する化合物、
N,O−ジ(メタ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニルアラニン等のN−,and/or,O−(メタ)アクリロイルオキシアミノ酸、
N−(メタ)アクリロイル−p−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイルO−アミノ安息香酸、N−(メタ)アクリロイル-5−アミノサリチル酸(メタクリレートの場合:5−MASA)、N−(メタ)アクリロイル-4−アミノサリチル酸等の(メタ)アクリロイルアミノ安息香酸類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物の付加生成物(メタクリレートの場合:PMDM)、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水マレイン酸または3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(メタクリレートの場合:BTDA)または3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の付加反応物、2−(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキシ)-1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプロパン、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物等の付加体、4−[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチル-N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)アミノ]フタル酸等のアルコール性水酸基を有する化合物;などを挙げることができる。このうち、MAC−10、4−MET、4−METAおよび5−MASAが好ましく用いられる。これらのカルボキシル基を含有する重合性単量体は単独で、もしくは組み合わせて使用することができる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸およびメタクリル酸の両者を意味し、「(メタ)アクリレート」等についても同様である。
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2および3−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシドホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリロイルオキシドデシルアシドホスフェート等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアシドホスフェート化合物、
ビス{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェート、ビス{2または3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル}アシドホスフェート等のビス{(メタ)アクリロイルオキシアルキル}アシドホスフェート、
2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−p−メトキシフェニルアシドホスフェート等の芳香環に0個以上の置換基を有する(メタ)アクリロイルオキシアルキルフェニルアシドホスフェート;などを挙げることができる。これらの化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き換えることができる。このうち、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好ましく用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
(AB)成分として使用できる重合性単量体のうち、1分子中に少なくとも1個のピロリン酸基を有する重合性単量体としては、例えば、
ピロリン酸ジ{2−(メタ)アクリロイルオキシエチル}、ピロリン酸ジ{4−(メタ)アクリロイルオキシブチル}、ピロリン酸ジ{6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル}、ピロリン酸ジ{8−(メタ)アクリロイルオキシオクチル}、ピロリン酸ジ{10−(メタ)アクリロイルオキシデシル}等のピロリン酸ジ{(メタ)アクリロイルオキシアルキル}化合物などを挙げることができる。
(AB)成分として使用できる重合性単量体のうち、1分子中に少なくとも1個のスルホン酸基を有する重合性単量体としては、例えば、
2−スルホエチル(メタ)アクリレート、2または1−スルホ−1または2−プロピル(メタ)アクリレート、1または3−スルホ−2−ブチル(メタ)アクリレート等のスルホアルキル(メタ)アクリレート化合物、
3−ブロモ−2−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート等のヘテロ原子などを含む更なる置換基を有するスルホアルキル(メタ)アクリレート化合物、
1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アクリルアミド等の置換基を有するスルホアルキル(メタ)アクリルアミド;などを挙げることができる。このうち、2−メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸が好ましく用いられる。これらのスルホン酸基を有する重合性単量体は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
なお、(A0)分子内に酸性基を有するが、重合性は有していない化合物であれ、(AB)分子内に酸性基と重合性基とを有する重合性単量体であれ、(A)分子内に酸性基を有する化合物としては、(C)有機アミン化合物よりも酸の強度が強い、つまり酸解離定数が大きいことが好ましい。
N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン(DMPT)、N,N−ジエチル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−トルイジン(DEPT)、N,N−ジメチル−p−tert−ブチルアニリン、N,N−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチル−p−クロルアニリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキルエステル、N,N−ジメチルアミノベンツアルデヒド(DMABAd)等の芳香族アミン類;
N−フェニルグリシン(NPG)、N−トリルグリシン(NTG)、N−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)−N−フェニルグリシン(NPG−GMA)等を挙げることができる。
上記式(I)に含まれる有機アミン化合物として、例えば既に記載したNPG、NTGおよびNPG−GMA等を挙げることができる。これらのうちではNPGが好ましく用いられるが、その塩(アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩)類の方が室温保管中に変色を起こしにくく色調安定性に優れるため、N−フェニルグリシンカリウムおよびN−フェニルグリシンナトリウムが特に好ましく用いられる。
なお、上記の(A)成分〜(D)成分等において、1つの材料にして、2種類以上の成分に該当する材料もあり得る。
本発明の第2の歯科用硬化性組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分に加えて、さらに(E)水系溶媒を含有する。ここで使用される(E)水系媒体としては、水単独、もしくは水および水と混合し得る有機溶媒とを混合した溶媒である。ここで使用できる水としては、例えば蒸留水、イオン交換水を挙げることができる、また、水系溶媒として生理食塩水を使用することもできる。このうち、蒸留水、イオン交換水が好ましく用いられる。さらに上記の水に混合し得る有機溶媒として、例えばメタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、テトラヒドロフラン等のエーテル類、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類等を挙げることができる。歯髄への為害性や刺激性を考慮して、これらの有機溶剤のうち、エタノールやアセトンを用いることが特に好ましい。
本発明の第3の歯科用硬化性組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、および(F)充填材、さらに必要により配合される(E)成分を含有する。ここで(F)充填材の配合量は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、および(F)成分さらに必要により配合される(E)成分の合計100重量部中に、5〜70重量部、好ましくは25〜70重量部の範囲で用いることが望ましい。
本発明の第4の歯科用硬化性組成物は、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分、および(G)光重合開始剤(ただし、上記式(I)で表される光重合開始材を除く)、さらに必要により(E)成分、(F)成分を配合してなる。本発明の第4の組成物に配合される(G)成分は上記式(I)で表される光重合開始材以外の光重合開始剤であり、本発明で使用することができる(G)光重合開始剤としては、例えばα−ケトカルボニル化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物等を挙げることができる。具体的には、α−ケトカルボニル化合物としては、例えば、α−ジケトン、α−ケトアルデヒド、α−ケトカルボン酸、α−ケトカルボン酸エステル等を挙げることができる。
本発明の歯科用硬化性組成物は、(F)成分を使用することによって容易に粘度を変化させることができ、(A)成分から(F)成分を予め混合して歯面に適用することができる。
本発明の歯科用硬化性組成物は、長期にわたる保存によって形態や性能が変化し、本発明の硬化を損なう虞がある。このため各成分を単独であるいは任意の組合せで分割して保存した歯科用硬化性組成物用キットを用いて、使用前に各成分を混合して歯科用硬化性組成物とすることができる。当然、これらの分割して保存される組成物を必要とされる種類全てをそれぞれ全量(或いは1ド―ズずつ)にて混合すれば、各成分は、前記重量部の組成比率となるものである。本発明の歯科用硬化性組成物用のキットとしては、少なくとも(A)分子内に酸性基を有する化合物と(C)有機アミン化合物および/または(D)含硫黄還元化合物とは、互いに隔離されて、それぞれ容器A、容器Cに納められていることが好ましい。(C)有機アミン化合物および(D)含硫黄還元化合物は、いずれも、塩基にて塩を形成している方が安定性がよいが、(A)分子内に酸性基を有する化合物と共存すると、塩基がプロトンに置換されて酸に戻り、不安定となる恐れがあるから、互いに隔離されていることが好ましい。なお、この場合は勿論、(AB)分子内に酸性基を有する重合性単量体も、(A)分子内に酸性基を有する化合物と同様である。
また、該容器Aおよび/または該容器Cに微量の(G)光重合開始剤が有されることも好ましい。(G)光重合開始剤は溶解性が悪いことが多いので、液状組成物に予め混合されている方が好ましい。
なお、該容器Aおよび/又は該容器Cに(B0)分子内に酸性基を有しない重合性単量体を有することが好ましい。酸性でないので、C)有機アミン化合物および/または(D)含硫黄還元化合物と共存しても問題ない。
(bA a/Ba)+(bC c/Bc)=1
[Ba :21/80〜99.8/0.01(好ましくは33/70〜95/3.05更に好ましくは45/60〜90/5.1)
Bc :21/30〜99.8/0.01(好ましくは33/20〜95/0.01更に好ましくは45/15〜90/0.03)
bA a:容器Aに収納されている組成物中の((B)重合性単量体/(A)分子内に酸性基を有する化合物)の重量比
bC c:容器Cに収納されている組成物中の((B)重合性単量体/(C)有機アミン化合物)の重量比]
なぜならば、以下の理由による。
容器Aの組成物中には(A)分子内に酸性基を有する化合物がPA a重量%、(B)重合性単量体がPA b重量%、容器Cの組成物中に(C)有機アミン化合物がPC c重量%、(B)重合性単量体がPC b重量%、含まれている場合、適切な重量比率にて混合するために、両組成物をそれぞれ、WA,WCの重量にて分取した際に、両者を混ぜた混合物においては、発明の効果が好適に発現され得るために、(A)分子内に酸性基を有する化合物、(B)重合性単量体、(C)有機アミン化合物が適切な組成比にて含まれるべきであり、当該組成比としては、
(B)重合性単量体/(A)分子内に酸性基を有する化合物=21/(80−0.01)=21/79.99〜99.8/0.01(好ましくは33/(70−0.01−0.02)=33/69.97〜95/3.05更に好ましくは45/(60−0.03−0.02)=45/59.95〜90/5.1)=Ba、
(B)重合性単量体/(C)有機アミン化合物=21/30〜99.8/0.01(好ましくは33/20〜95/0.01更に好ましくは45/15〜90/0.03)=Bcとすると、
Ba=(PA b*WA+ PC b*WC)/(PA a*WA)=PA b/PA a+(PC b*WC)/(PA a*WA) (1)
Bc=(PA b*WA+ PC b*WC)/(PC c*WC)=(PA b*WA)/(PC c*WC)+PC b/PC c (2)
が、共に満足されるべきである。
(1)、(2)を変形すると、
Ba−PA b/PA a=(PC b*WC)/(PA a*WA)
=(PC b/PA a)*(WC/WA) (1')
Bc−PC b/PC c=(PA b* WA)/(PC c*WC)
=(PA b/PC c)*( WA/WC) (2')
(1')*(2')とすると、
{Ba−PA b/PA a}*{Bc−PC b/PC c}=(PC b/PA a)*(PA b/PC c)
=(PA b/PA a)*(PC b/PC c) (3)
(PA b/PA a)、(PC b/PC c)は、それぞれ、容器Aの組成物中の((B)重合性単量体/(A)分子内に酸性基を有する化合物)の重量比、容器Cの組成物中の((B)重合性単量体/(C)有機アミン化合物)の重量比であるから、それぞれbA a、bC cとすると(3)は、
(Ba−bA a)*(Bc−bC c)=bA a*bC c (3')
更に式を単純化するために変形して、
Ba*Bc−Ba*bC c−Bc*bA a+bA a*bC c=bA a*bC c
Ba*Bc=Ba*bC c+Bc*bA a
(bA a/Ba)+(bC c/Bc)=1 (3'')
となる。
なお、ここで、Baは、発明の効果が好適に発現され得る混練物における組成比であり、bA aは、容器Cの組成物中での組成比であるので、両者が一致しないことはあり得る。
BcとbC cに付いても同様であり、両者が一致しないことはあり得る。
該容器Aには、上記(B0)成分と(AB)成分を有し、必要に応じて、(E)成分と(G)成分を有する液状組成物が収納され、該容器Cには、上記(C)成分と(D)成分を有する粉末組成物が収納されているおり、必要に応じて(F)成分が、容器Aおよび/またはBに有される。例えば(A)成分/(B)成分/(E)成分もしくは(A)成分/(B)成分/(E)成分/(G)成分の混合物と、(C)成分/(D)成分/(F)成分の混合物との液材/粉材の二つの形態に分割する場合が挙げられる。この場合では、(B)成分は液体であることが多く、かかる液状組成物に不溶性の固体である(F)成分が含有されると、長期保存の際に分離する恐れがあるので、粉材側のみに含有させたものである。もっとも、液状組成物に(F)成分を全量含有させておいて分離しても、一旦、ダッペンデッシュ等にあけて混和させてから、(F)成分を含まない粉材を混和させるような組み合わせも好ましい。なぜならば、前記の通り、分離したものを混和する分には、重合反応は進まないので、時間をかけても別段問題はない。むしろ、重量部の大きい(F)成分が、粉材に含まれない方が、重合開始作用を有する(C)成分等を含む組成物を素早く液状組成物と混和させられ、可使時間を短くしないで済むという利点がある。
あるいは、該容器Aには、上記(AB)成分を有し、必要に応じて、(E)成分と(G)成分を有する液状組成物が収納され、該容器Cには、上記(B0)成分と(C)成分と(D)成分を有する液状組成物が収納されているおり、必要に応じて(F)成分が、容器Aおよび/またはCに有される
もちろん、これらに限定されるものではない。これらの混合物は別々の容器に入れられキットに収容されて製品として提供できる。
また、(C)成分単独、(D)成分単独、および(C)成分/(D)成分の一部ないしは全部を、予め歯科用硬化性組成物を歯面に塗布する際に使用する治具に含有させて、使用直前に(A)成分、(B)成分、(E)成分および(F)成分と治具とを接触させて歯科用硬化性組成物をその場で調製し、そのまま歯面に塗布することもできる。歯面に塗布する治具としては特に制限はないが、主に筆、繊維球または布、スポンジ球、スポンジ片、練和紙または混合皿を挙げることができ、これらの治具を単独でまたは組み合わせて使用することができる。また、使用する治具に(C)成分単独、(D)成分単独および(C)成分/(D)成分を含有させる際に、必要に応じてそれらの成分を治具に吸着もしくは固着させるための吸着剤や包埋剤を使用することができる。
〔実施例〕
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明の範囲がこれら実施例に限定されると解釈されるべきではない。
(硬化時間および重合温度測定方法)
本発明の組成物をアルミパン内に0.1g充填し、予め37℃で一定にした示差走査熱量計DSC22(セイコーインスツルメンツ株式会社製)にセットした。重合を始めてから最大発熱時までの時間を硬化時間、その時のピーク温度を重合温度と定義して記録した。
(微小引張り接着試験)
試験直前に解凍した牛歯歯根部を用いて、φ4mmの円柱窩洞を形成し根管拡大を行った。拡大した根管内の水分を気銃にて除去した後、歯面処理を行わずに本発明の組成物を充填した。相対湿度95%、37℃の恒温槽内に24時間静置後、根管方向に対して平行に、組成物が充填された円柱窩洞の中心部を通る平面にて半分に割断した。一辺10mmのアクリル製立方体をスーパーボンドC&B(サンメディカル(株)製)を用いて割断面に接着させ20分経過後に低速回転ダイヤモンドカッターISOMET(BUEHLER社製)にて1mm程度の厚さになるように根管方向に対して垂直な断面に割断した。さらに接着面積が1mm2になるようにダンベル形状(最細部:歯部−充填組成物の界面)にトリミングした後、小型卓上試験機EZ−TEST((株)島津製作所製)にてクロスヘッドスピード1mm/minにて微小引張り接着強さ試験を行った。
(シール性試験)
試験直前に解凍した牛歯歯根部を用いて、φ4mmの円柱窩洞を形成し根管拡大を行った。拡大した根管内の水分を気銃にて除去した後、歯面処理を行わずに本発明の組成物を充填した。相対湿度95%、37℃の恒温槽内に24時間静置後、低速回転ダイヤモンドカッターISOMETにて根管方向に対して垂直に5〜8mmの厚さになるように割断した。割断したサンプルを5%メチレンブルー水溶液に1時間浸漬後、根管方向に対して平行に、組成物が充填された円柱窩洞の中心部を通る平面にて半分に割断した。充填された組成物はレジン除去機を用いて取り除き、歯質界面における色素の進入度合いを判定した。また、相対湿度95%、37℃の恒温槽内に24時間静置(37℃×1day)後に、5℃〜55℃における5000回のサーマルサイクル試験(TC5000)を行い、熱履歴を加えた場合におけるシール性の評価も同時に行った。
◎:0、○:〜0.20、△:0.21〜0.50、×:0.51〜0.80、××:0.81〜1.0
(0は、色素進入が全く認められなかったことを示す)
(光重合率の算出)
FT−IR(フーリエ変換赤外分光光度計)にて光照射前後の本発明の組成物を全反射法(ATR法)にて測定した。1640cm-1付近のC=Cと1710cm-1付近のC=Oのピーク高さ比から重合率(%)を算出した。以下にその算出方法を示す。
重合率(%)=(1−Ra/Rb)×100
Ra:光照射後のピーク高さ比(C=C/C=O)
Rb:光照射前のピーク高さ比(C=C/C=O)
なお、以下に示す実施例および比較例において記載した略号の意味は次の通りである。
4−META・・4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物(AB成分)
PM・・2−メタクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート(AB成分)
P−2M・・ビス(2−メタクリロイルオキシエチル)アシッドホスフェート(AB成分)
HEMA・・2−ヒドロキシエチルメタクリレート(B0成分)
VR90・・ビスフェノールAジグリシジルエステルジアクリレート(B0成分)
2.6E・・2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(B0成分)
3G・・トリエチレングリコールジメタクリレート(B0成分)
A−9300・・エトキシ化イソシアヌル酸トリアクリレート(B0成分)
UDMA・・ウレタンジメタクリレート(B0成分)
A−DPH・・ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(B0成分)
NPG・・N−フェニルグリシン(C成分であり、かつA成分である((CA)成分)
NPG−Na・・N−フェニルグリシンナトリウム(C成分)
NPG−K・・N−フェニルグリシンカリウム(C成分)
p−TSNa・・p−トルエンスルフィン酸ナトリウム(D成分)
DTMPO・・2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド(G成分)
CQ・・カンファーキノン(G成分)
DEPT・・ジエタノールp-トルイジン
BPO・・過酸化ベンゾイル(有機過酸化物)
は認められず非常に良好であった。
〔比較例1〕
実施例1において、NPG−Naおよびp−TSNaを使用せずにジエタノールp−トルイジン(DEPT)、過酸化ベンゾイル(BPO)を使用した。その結果、硬化時間は3.8分で重合温度は41.8℃であった。微小引張り接着強さは、試験体作製段階中に接着界面からの剥離が生起したため試験できなかった。また、シール性は37℃×1dayおよびTC5000試験後において共に色素進入が認められた。
〔比較例2〕
実施例5において、NPG−Naおよびp−TSNaを使用せずにジエタノールp−トルイジン(DEPT)、BPOを使用した。その結果、硬化時間は4.3分で重合温度は42.2℃であった。微小引張り接着強さは、試験体作製段階中に接着界面からの剥離が生起したため試験できなかった。また、シール性は37℃×1dayおよびTC5000試験後において共に色素進入が認められた。
〔比較例3〕
実施例15において、NPG−K使用せずにジエタノール−p−トルイジン(DEPT)を使用した。また、0.3重量部のBPOを添加し、平均粒径5μmの球形シリカを5.7重量部とした。その結果、硬化時間は3.2分で重合温度は42.6℃であった。微小引張り接着強さは、37℃の恒温槽内に24時間静置保管中に脱落した。また、シール性は37℃×1dayおよびTC5000試験後において共に色素進入が認められた。
〔比較例4〕
実施例16において、NPG−Na使用せずに4.2重量部のジエタノール−p−トルイジン(DEPT)を使用した。また、1.0重量部のBPOを添加し、酸化ジルコニウムを50.4重量部とし、平均粒径5μmの球形シリカを6.0重量部とした。その結果、硬化時間は2.6分で重合温度は42.8℃であった。微小引張り接着強さは、37℃の恒温槽内に24時間静置保管中に脱落した。また、シール性は37℃×1dayおよびTC5000試験後において共に色素進入が認められた。
〔比較例5〕
実施例18において、NPG−Kおよびp−TSNaを使用せずに6.8重量部のジエタノールp−トルイジン(DEPT)、0.5重量部の過酸化ベンゾイル(BPO)を使用した。その結果、硬化時間は2.8分で重合温度は43.7℃であった。微小引張り接着強さは、試験体作製段階中に接着界面からの剥離が生起したため試験できなかった。また、シール性は37℃×1dayおよびTC5000試験後において共に色素進入が認められた。
〔比較例6〕
実施例19において、NPG−Naおよびp−TSNaを使用せずに5.0重量部のジエタノールp−トルイジン(DEPT)、0.5重量部のBPOを使用した。その結果、硬化時間は4.3分で重合温度は43.4℃であった。微小引張り接着強さは、試験体作製段階中に接着界面からの剥離が生起したため試験できなかった。また、シール性は37℃×1dayおよびTC5000試験後において共に色素進入が認められた。
〔比較例7〕
実施例23において、NPG−Naおよびp−TSNaを使用せずに4.0重量部のジエタノール−p−トルイジン(DEPT)を使用した。また、0.5重量部のBPOを添加した。その結果、硬化時間は2.8分で重合温度は42.1℃であった。微小引張り接着強さは、37℃の恒温槽内に24時間静置保管中に脱落した。また、シール性は37℃×1dayおよびTC5000試験後において共に色素進入が認められた。
〔比較例8〕
実施例24において、NPG−K使用せずに3.6重量部のジエタノール−p−トルイジン(DEPT)を使用した。また、3.0重量部のBPOを添加した(全量103重量部)。その結果、硬化時間は1.8分で重合温度は42.9℃であった。微小引張り接着強さは、試験体作製段階中に接着界面からの剥離が生起したため試験できなかった。また、シール性は37℃×1dayおよびTC5000試験後において共に色素進入が認められた。
[比較例9]
実施例33において、NPGを使用せずにDEPTを用いて同様の試験を行った。その結果、光照射前後の各ピーク(C=CおよびC=O)のピーク高さに全く変化が認められず、光重合率は0%であった。
試験結果を表6に示す。
Claims (32)
- 硬化時間が30秒〜120分の歯科用硬化性組成物であり、該歯科用硬化性組成物が、
(A)分子内に酸性基を有する化合物、
(B)重合性単量体、
(C)有機アミン化合物、
(D)含硫黄還元性化合物
および
(G)光重合開始剤(ただし、下記式(I)で表わされる光重合開始剤を除く)
を含有し、
該歯科用硬化性組成物中における
(A)成分の含有量が3.05〜70重量部、
(B)成分の含有量が33〜95重量部、
(C)成分の含有量が0.01〜20重量部、
(D)成分の含有量が0.02〜20重量部
の量で含有され、
成分(G)と(C)との比率(G/C)が0.05以下であることを特徴とする歯科用硬化性組成物(ただし、上記(A)〜(D)成分の合計を100重量部とする。また上記(A)〜(D)の複数に該当する化合物が存在する場合にはその化合物の重量部を該当する成分の数で割った重量部を該当する成分ごとの含有量とする)。
- 上記(A)分子内に酸性基を有する化合物として、(A0)分子内に酸性基を有する非重合性単量体を含有し、(A0)成分の含有量が0.01〜30重量部(ただし、(A)〜(D)成分の合計を100重量部とする。)であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(B)重合性単量体として、(B0)分子内に酸性基を有しない重合性単量体を含有し、(B0)成分の含有量が30〜95重量部(ただし、(A)〜(D)成分の合計を100重量部とする。)であることを特徴とする請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(A)分子内に酸性基を有する化合物、および、(B)重合性単量体として、(AB)分子内に酸性基を有する重合性単量体を含有し、(AB)成分の含有量が1〜50重量部(ただし、(A)〜(D)成分の合計を100重量部とする。)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(AB)分子内に酸性基を有する重合性単量体が、カルボン酸基、リン酸基、チオリン酸基、スルホン酸基、ピロリン酸基およびスルフィン酸基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸性基を分子内に有する化合物であることを特徴とする請求項4に記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(B)重合性単量体が、分子内に少なくとも1個の水酸基を有する重合性単量体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(B)重合性単量体が、トリアジン環を有する重合性単量体であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(C)有機アミン化合物成分が、上記式(I)で表される光重合開始剤であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(D)含硫黄還元性化合物が、有機スルフィン酸、有機スルフィン酸塩、有機スルホン酸、および、有機スルホン酸塩よりなる群から選ばれる有機系含硫黄化合物、および/または無機系含硫黄化合物を含有することを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記歯科用硬化性組成物が、さらに、(E)水系溶媒を含有することを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(E)成分の含有量が0.1〜70重量部(ただし、組成物全体を100重量部とする。)であることを特徴とする請求項11記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(E)成分の含有量が、0.1〜9.9重量部(ただし、組成物全体を100重量部とする。)であることを特徴とする請求項11記載の歯科用硬化性組成物。
- さらに、(F)無機充填材、有機充填材および有機質複合充填材から選択される少なくとも1種の充填材を含有することを特徴とする請求項1〜13のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(F)成分の含有量が、5〜70重量部(ただし、組成物全体を100重量部とする。)であることを特徴とする請求項14に記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(F)成分の含有量が、11〜70重量部(ただし、組成物全体を100重量部とする。)であることを特徴とする請求項14に記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(G)成分の含有量が、0.0001〜5重量部(ただし、組成物全体を100重量部とする。)であることを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記歯科用組硬化性成物が可視光により重合硬化することを特徴とする請求項1〜17のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 上記(G)成分と(C)成分との比率(G/C)が0.000033以上0.0005未満であることを特徴とする請求項1〜18のいずれか1項に記載の歯科用硬化性組成物。
- 重合する際の重合温度が60℃以下であることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 請求項1〜20のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物よりなる根管充填用シーラーセメント。
- 請求項1〜20のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物を得るための歯科用硬化性組成物用キット。
- (A)分子内に酸性基を有する化合物が容器Aに収容されており、(C)有機アミン化合物が容器Cに収納されていることを特徴とする、請求項22に記載の歯科用硬化性組成物用キット。
- (A)分子内に酸性基を有する化合物が容器Aに収容されており、(D)含硫黄還元性化合物が容器Cに収納されていることを特徴とする請求項22または23に記載の歯科用硬化性組成物用キット。
- 前記容器Aおよび/または容器Cに(G)光重合開始剤が収納されていることを特徴とする請求項23または24に記載の歯科用硬化性組成物用キット。
- 前記容器Aおよび/または容器Cに(B0)分子内に酸性基を有しない重合性単量体が納められていることを特徴とする請求項23〜25のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物用キット。
- 前記容器AおよびCに収納されているキットであって、歯科用硬化性組成物について、以下の関係式が満たされていることを特徴とする請求項23〜26のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物用キット。
(bA a/Ba)+(bC c/Bc)=1
[Ba :21/79.99〜99.8/0.01
Bc :21/30〜99.8/0.01
bA a:容器Aに収納されている組成物中の((B)重合性単量体/(A)分子内に酸性基を有する化合物)の重量比
bC c:容器Cに収納されている組成物中の((B)重合性単量体/(C)有機アミン化合物)の重量比] - 前記容器Aには、上記(B0)成分と(AB)成分が収容されており、前記容器Cには、(C)成分と(D)成分を含有する粉末組成物が収納されていることを特徴とする請求項23〜27のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物用キット。
- 前記容器Aには、上記(AB)成分を収容し、前記容器Cには、上記(B0)成分と(C)成分と(D)成分を含有する粉末組成物が収納されていることを特徴とする23〜28のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物用キット。
- 上記歯科用硬化性組成物を構成する成分のうち、上記(C)成分および/または上記(D)成分の一部もしくは全部が、使用する治具に含有されていることを特徴とする請求項23〜29のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物用キット。
- 前記歯科用硬化性組成物が歯科用根管充填材であることを特徴とする請求項22〜30のいずれかに記載の歯科用硬化性組成物用キット。
- 硬化時間が30秒〜120分の歯科用硬化性組成物であり、該歯科用硬化性組成物が、
(A)分子内に酸性基を有する化合物、
(B)重合性単量体、
(C)有機アミン化合物、
(E)水系溶媒、
(F)充填材
および
(G)光重合開始剤(ただし、下記式(I)で表わされる光重合開始剤を除く)
を含有し、
(D)含硫黄還元性化合物を含有しない
該歯科用硬化性組成物中における
(A)成分の含有量が0.01〜80重量部、
(B)成分の含有量が21〜99.8重量部、
(C)成分の含有量が0.01〜30重量部、
の量で含有され(ただし、上記(A)〜(C)成分の合計を100重量部とする。また上記(A)〜(C)の複数に該当する化合物が存在する場合にはその化合物の重量部を該当する成分の数で割った重量部を該当する成分ごとの含有量とする)、
(E)成分の含有量が0.1〜70重量部の量で含有され(ただし、組成物全体を100重量部とする。)、
(F)成分の含有量が5〜70重量部の量で含有され(ただし、組成物全体を100重量部とする。)、
成分(G)と(C)との比率(G/C)が0.05以下であることを特徴とする歯科用硬化性組成物。
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