JP3495099B2 - 硬化性接着材組成物および接着材キット - Google Patents

硬化性接着材組成物および接着材キット

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JP3495099B2
JP3495099B2 JP17991194A JP17991194A JP3495099B2 JP 3495099 B2 JP3495099 B2 JP 3495099B2 JP 17991194 A JP17991194 A JP 17991194A JP 17991194 A JP17991194 A JP 17991194A JP 3495099 B2 JP3495099 B2 JP 3495099B2
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正三 荒田
維平 曽
晴美 田中
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、歯牙に対して簡単な操
作で接着できる硬化性接着材組成物および接着材キット
に関する。さらに詳しくは、歯牙などの表面コーティン
グ材の修復もしくはPMMA系レジン、レジンセメン
ト、コンポジットレジンなどの歯科用修復レジンの修復
に有利に用いられる硬化性接着材組成物およびそれをプ
ライマー組成物と共に含有する接着材キットに関する。
【0002】
【従来の技術】歯質に対する接着材料は、歯質と修復材
料とを隙間なく強力に接着すること、かつ口腔内での作
業であるため可能な限り、簡単で短時間の作業で終了で
きることが望ましい。歯質にレジン修復材料を強固に接
着させるための歯質表面処理方法として、次の三通りが
主に採用されている。すなわち、第一にリン酸やクエン
酸などの水溶液をエナメル質および象牙質の表面に同時
に塗布することで脱灰して、その後水洗・乾燥するトー
タルエッチング法、第二にトータルエッチング法を行っ
た後の象牙質表面に更にプライマーを塗布して乾燥させ
るトータルエッチング−デンチンプライマー法、および
第三に、エナメル質のみにエッチングした後、残した象
牙質にはプライマーを適用するエナメルエッチング−デ
ンチンプライマー法である。
【0003】第一のトータルエッチング法は、エッチン
グ剤の塗布・水洗・乾燥のステップを踏むが大きな手間
はかからないため接着方法としては有効である。しかし
ながら、象牙細管を大きく開口させるために、その後の
接着材を塗布する際には患者に強い痛みを与える場合が
ある。また、象牙質への接着性がエナメル質に対しての
それよりも低い場合が多く、そのために象牙質と接着材
の界面に隙間を発生させ、二次カリエスまたは歯髄炎を
誘発させていた。第二の方法は、第一の方法の欠点を補
うために象牙質に対して更にプライマーを塗布して乾燥
させる方法である。これによってある程度の改善がなさ
れたものの、接着操作が増えるので患者に痛みをより多
く与えるばかりか、治療に手間がかかるようになった。
第三の方法は、患者に与える痛みを低減させる目的で、
エッチングをエナメル質にのみ行うことで象牙細管を開
口させずにプライマーを適用する方法である。この方法
における目的はほぼ達成されたが、塗り分け困難な小さ
く複雑な窩洞のエナメル質部分にのみエッチング剤を塗
布しなければならないこと、治療に手間がかかることな
どの問題解決には至らなかった。これは、エナメル質と
象牙質を同時に処理できて高い接着力を与えるプライマ
ーがないために発生した問題である。
【0004】一方、歯質に修復材料を強力に接着させる
ためには、歯質組織内に接着材料を十分に浸透させて確
実に硬化させることが重要であるとされている。歯質内
に接着材料成分を拡散させるために種々の拡散促進モノ
マーが提案され、これを含有した歯質接着性組成物が提
案されている。また、接着材料が浸透しやすくするため
の歯質表面処理として、エッチングなどの適用方法やプ
ライマーなどの組成物が提案されている。これらの接着
材料およびプライマー組成物は、歯質組織内に十分に浸
透しやすいように比較的粘度が低く設定されているのが
現状である。
【0005】また、接着界面を隙間なく封鎖するため
に、接着材料と比較して粘度の高い充填材(低粘性充填
材または低粘度レジンと呼ぶ)が提案されている(特開
昭63−162705号公報参照)。低粘度充填材は、
粘度が高くベタツキがあるため、接着界面への封鎖性を
向上させるためには有効である反面、歯質への浸透性が
低くなるため歯質との接着性が極めて乏しく、そのた
め、プライマーや接着材料と併用して使用されている。
【0006】従来の技術では、歯質に修復材料を隙間な
く強力に接着させるためには、エッチングおよび/もし
くはプライマー処理を行った歯面に接着材料を塗布して
硬化させ、さらに低粘度充填材で歯質表面を覆ってか
ら、コンポジットレジンなどの修復用充填材を填入する
ことが接着技術としては最も好ましいと考えられてい
た。しかしその反面、歯科治療に要する時間が非常に長
くなって患者に大変な苦痛を強いること、また、歯科医
師にとっても手間のかかる作業であることから、好まし
い治療方法とは言い難い。
【0007】接着性能については、これまで多くの接着
材および接着方法の提案がなされ、改善がなされてき
た。しかし、これらの提案における実験的な接着性能は
きわめて優れているにもかかわらず、実際の臨床的な評
価では性能が十分に発揮されずに満足されていない。こ
れは実験的な接着性能試験で行う接着面と実際の口腔内
における接着面の相違によるものと推測でき、特に接着
面の乾燥状態の違いが指摘されている。
【0008】従って、従来技術では、歯質に修復材料を
隙間なく強力に接着させるにあたり、医師や患者に大変
な苦痛や労力を長時間強いることとなり、さらに、接着
材料には、十分な乾燥状態を保つことができない口腔内
では、十分な接着性能を発揮できないなどの深刻な問題
を抱えている。
【0009】
【発明が解決すべき課題】本発明の目的は、歯牙、特に
象牙質に対して簡便な接着操作で、しかも湿潤した条件
においても隙間なく接着できる硬化性接着材組成物を提
供することにある。
【0010】 本発明の他の目的は、酸エッチングやプ
ライマー処理を行わずとも象牙質に対して接着性を有
し、同時に接着材自体が高い粘性とベタツキを有するた
め接着界面に隙間を生じさせない利点を有する、簡単な
操作で隙間なく接着できる硬化性接着材組成物を提供す
ることにある。
【0011】 本発明のさらに他の目的は、歯牙に対し
て簡便な接着操作で表面処理ができる歯質表面処理剤で
あるプライマー組成物であって、エナメル質と象牙質を
同時に表面処理することができ、しかも水洗などの操作
を行う必要もなく、従って歯科医師の治療にかかってい
た手間を少なくでき、そして患者への痛みをなくするこ
とができるプライマー組成物と本発明の上記硬化性接着
組成物との組合せからなる歯科用接着材キットを提供
することにある。
【0012】
【0013】本発明のさらに他の目的および利点は以下
の説明から明らかになろう。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的および
利点は、以下に詳述する本発明の硬化性接着材組成物お
よび歯科用接着材キットによって達成される。先ず、硬
化性接着材組成物について説明する。
【0015】 本発明で提供される硬化性接着材組成物
は、第1に、 (A1)(a)分子内に酸性基を有する重合性単量体、 (b)分子内に水酸基を有する重合性単量体 および (c)下記式(I)
【化学式1】 ここで、R1およびR2は互いに独立に水素原子であるか
あるいは官能基もしくは置換基を有していてもよいアル
キル基でありそしてR3は水素原子または金属原子であ
る、で表されるアミン化合物を含有する重合開始剤から
なりそしてこれらの(a)、(b)および(c)成分の
合計重量を基準にして、(a)成分が1〜50重量%、
(b)成分が1〜98.99%および(c)成分が0.0
1〜50重量%を占め、そして (B)37.5℃における粘度が100〜30,000c
Pの範囲内にある、ことを特徴とする、水不含の硬化性
接着材組成物(以下、単に「硬化性組成物」ということ
がある)である。
【0016】本発明の硬化性組成物は、水分が多く存在
する歯質の表面に対して、濡れ性、歯質反応性、歯質浸
透性を同時に合わせ持ち、生体硬組織に隙間なく、しか
も簡単に接着できる。
【0017】本発明の硬化性組成物を、歯質、特に象牙
質に使用する場合には、歯髄への安全性を考慮して、湿
潤した歯質に対してそのまま接触させるのが好ましい。
また、状況に合わせて歯質表面を金属塩を含んでいても
よいリン酸水溶液、クエン酸水溶液またはEDTA水溶
液などのエッチング剤によって、あらかじめ歯牙の表面
を処理してから使用することもできる。
【0018】本発明の硬化性組成物における分子内に酸
性基を含有する重合性単量体(a)は、重合性基とし
て、例えば(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニ
ル基、アリル基などを有するラジカル重合可能な不飽和
基を挙げることができる。重合性単量体(a)は1分子
内に上記の重合性基から選択される基を少なくとも1個
含有していればよい(以下に記述する重合性単量体にお
ける重合性基は、すべてこれと同様に解釈されるべきで
ある)。
【0019】本発明の硬化性組成物において、上記のと
おり、(a)成分は分子内に酸性基を含有する重合性単
量体である。かかる重合性単量体における酸性基として
は、例えばカルボン酸基、リン酸基、チオリン酸基、ス
ルホン酸基およびスルフィン酸基などを挙げることがで
きる。(a)成分としてはこれらの酸性基のうちの少な
くとも1種を含んでいるのが好ましい。
【0020】(a)成分として使用できる重合性単量体
のうち、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を
有する重合性単量体としては、モノカルボン酸、ジカル
ボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸または
これらの誘導体を挙げることができ、例えば(メタ)ア
クリル酸、マレイン酸、p−ビニル安息香酸、11−
(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカ
ルボン酸(メタクリレートの場合:MAC−10)、
1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリ
ット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタ
レン−1,2,6−トリカルボン酸、4−(メタ)アクリ
ロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、
4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸
(メタクリレートの場合:4−MET)およびその無水
物(メタクリレートの場合:4−META)、4−(メ
タ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびそ
の無水物、4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリ
ロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水
物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキ
シ)プロピル(メタ)アクリレート、N,O−ジ(メ
タ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリ
ロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキ
シチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニル
アラニン、N−(メタ)アクリロイルp−アミノ安息香
酸、N−(メタ)アクリロイルO−アミノ安息香酸、N
−(メタ)アクリロイル5−アミノサリチル酸(メタク
リレートの場合:5−MASA)、N−(メタ)アクリ
ロイル4−アミノサリチル酸、2または3または4−
(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物
の付加生成物(メタクリレートの場合:PMDM)、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水マレイ
ン酸または3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物(メタクリレートの場合:BTDA)ま
たは3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物の付加反応物、2−(3,4−ジカルボキシベンゾ
イルオキシ)1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプ
ロパン、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシ
ンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物、4−
[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチ
ルN−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピル)アミノ]フタル酸などを挙げることがで
きる。このうち、MAC−10、4−MET、4−ME
TAおよび5−MASAが好ましく用いられる。これら
のカルボキシル基を含有する重合性単量体は単独でまた
は組み合わせて使用できる。
【0021】(a)成分として使用できる重合性単量体
のうち、1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有する
重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルアシドホスフェート、2および3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、
4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェ
ート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシド
ホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチ
ルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオ
キシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリ
ロイルオキシドデシルアシドホスフェート、ビス{2−
(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェー
ト、ビス{2または3−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピル}アシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルp−メトキシフェニルア
シドホスフェートなどを挙げることができる。これらの
化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き換える
ことができる。このうち、2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルフェニルアシドホスフェート、10−(メ
タ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好
ましく用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単
量体は単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0022】(a)成分として使用できる重合性単量体
のうち、1分子中に少なくとも1個のスルホン酸基を有
する重合性単量体としては、例えば2−スルホエチル
(メタ)アクリレート、2または1−スルホ−1または
2−プロピル(メタ)アクリレート、1または3−スル
ホ−2−ブチル(メタ)アクリレート、3−ブロモ−2
−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メ
トキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレー
ト、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アク
リルアミドなどを挙げることができる。このうち、2−
メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン
酸が好ましく用いられる。これらのスルホン酸基を有す
る重合性単量体は単独でまたは組み合わせて使用でき
る。上記の(a)成分はすべて単独でまたは組み合わせ
て使用することができる。
【0023】本発明の硬化性組成物において、(b)成
分は分子内に水酸基を含有する重合性単量体である。さ
らに、これらの水酸基含有する重合性単量体は、さらに
分子内にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水
酸基、アミノ基、グリシジル基などの官能基を併せて含
有することもできる。
【0024】(b)成分として使用できる重合性単量体
としては、例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量
体では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−
ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロ
キシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシ
デシル(メタ)アクリレ−ト、1,2−または1,3−お
よび2,3−ジヒドロキシプロパン(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水
酸基含有の(メタ)アクリレート類;メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイル−2,
3−ジヒドロキシプロピルアミン、N−(メタ)アクリ
ロイル−1,3−ジヒドロキシプロピルアミンなどの水
酸基含有の(メタ)アクリルアミド類;2−ヒドロキシ
−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(メタ
クリレートの場合HPPM)、2−ヒドロキシ−3−ナ
フトキシプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレー
トの場合HNPM)、1モルのビスフェノールAと2モ
ルのグリシジル(メタ)アクリレート(メタクリレート
のの場合GMA)の付加反応生成物(メタクリレートの
場合Bis−GMA)などのGMAと脂肪族もしくは芳
香族ポリオール(フェノールを含む)との付加生成物な
どを挙げることができる。これらの重合性単量体は単独
でもしくは組み合わせて使用できる。
【0025】このうち、(b)成分としては、水への溶
解度が0.5g/100cc以上を示すものを使用する
ことが特に好ましい。これは、水分を多く含む接着界面
に対しても硬化性組成物を容易に歯質組織内に浸透させ
る役割を果たすと推察される。本発明において溶解度は
次のように定義される。すなわち、1分子中に少なくと
も1個の水酸基を有する単官能(メタ)アクリレート系
単量体の水への溶解度は、100重量部の水に0.5重
量部の上記の(メタ)アクリレート系単量体を加え、2
5℃の水中で10分間振とうした。その後、25℃で1
0分間静置して、視覚にて溶液が相分離している場合あ
るいは溶液が濁っている場合には溶解度を0.5g/1
00cc未満とし、透明に溶解している場合は溶解度を
0.5g/100cc以上とした。
【0026】水への溶解度が0.5g/100cc以上
を示す(b)成分としては、例えば2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メ
タ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)ア
クリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、1,3−または2,3−ジヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイル−2,3
−ジヒドロキシルプロピルアミン、N−(メタ)アクリ
ロイル−1,3−ジヒドロキシルプロピルアミンなどを
挙げることがきる。これらの単量体は単独でまたは組み
合わせて使用できる。これらの重合性単量体のうち、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(メタクリレ
ートの場合HEMA)が特に好ましく、(a)から
(c)成分の合計100重量部のうち、(b)成分の少
なくとも一部として40〜98.99重量部の範囲で含
有することが好ましい。
【0027】本発明の硬化性組成物において、(c)成
分は、下記式(I)
【化3】ここで、R 1 およびR 2 は互いに独立に水素原子
であるかあるいは官能基もしくは置換基を有していても
よいアルキル基でありそしてR 3 は水素原子または金属
原子である、で表されるアミン化合物を含有する重合開
始剤である。かかる重合開始剤は、上記アミン化合物の
他に、有機過酸化物、無機過酸化物、アルキルボラン、
アルキルボランの部分酸化物、α−ジケトン化合物、有
機アミン化合物、有機スルフィン酸、有機スルフィン酸
塩、無機硫黄化合物およびバルビツール酸類よりなる群
から選ばれる1種または2種を、さらに含有することが
できる。これらの重合開始剤は、便宜上、常温化学重合
タイプ、光重合タイプ、またはこれらの複合したデュア
ルタイプなどが挙げられる。常温化学重合タイプで使用
される過酸化物(重合開始剤)としては、例えばジアセ
チルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチル
ペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペ
ルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイ
ル(BPO)、p,p’−ジクロルベンゾイルペルオキ
シド、p,p’−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、
p,p’−ジメチルベンゾイルペルオキシド、p,p’−
ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物
および過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カ
リウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの
無機過酸化物を挙げることができる。これらのうちで
は、BPOが好ましい。
【0028】また、光重合タイプで使用される重合開始
剤としては、紫外光線もしくは可視光線を照射すること
によって光重合することができる重合開始剤である。か
かる光重合の際に使用できる重合開始剤に特に制限はな
いが、例えばベンジル、4,4'−ジクロロベンジル、ベ
ンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチ
ルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾ
フェノン、9,10−アントラキノン、ジアセチル、d,
l−カンファーキノン(CQ)の如きジケトン化合物な
どの紫外線または可視光線増感剤が挙げられる。
【0029】常温化学重合もしくは光重合タイプによっ
て重合を行う際には、還元性化合物を併用することがで
きる。ここで、有機還元性化合物としては、例えばN,
N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルp−トルイジ
ン(DMPT)、N,N−ジエチルp−トルイジン、
N,N−ジエタノールp−トルイジン(DEPT)、
N,N−ジメチルp−tert−ブチルアニリン、N,N
−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチルp−クロルア
ニリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのア
ルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(D
EABA)およびそのアルキルエステル、N,N−ジメ
チルアミノベンツアルデヒド(DMABAd)などの芳
香族アミン類;N−フェニルグリシン(NPG)、N−
トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロ
イルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシ
ン(NPG−GMA)などを併用することができる。こ
れらの中では、DMPT、DEPT、DEABA、DM
ABAd、NPG、NTGが好ましく使用できる。
【0030】
【0031】
【0032】
【0033】
【0034】
【0035】
【0036】一般式(I)に含まれるアミン化合物とし
て、例えば既に記載したNPG、NTGおよびNPG−
GMAなどを挙げることができる。このうちNPGが特
に好ましく用いられる。これらのアミン化合物は単独で
あるいは組み合わせて使用できる。
【0037】また、還元性化合物としては、その他、例
えばベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン
酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフ
ィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼ
ンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタ
リンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸またはその
塩類を併用することもできる。
【0038】無機還元性化合物としては、硫黄を含有す
る還元性無機化合物が好ましく使用できる。かかる化合
物としては、水または水系溶媒などの媒体中でラジカル
重合性単量体を重合させる際に使用できるレドックス重
合開始剤としての使用される還元性無機化合物が好まし
く、例えば亜硫酸、重亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫
酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1亜2チオン酸、1,2チ
オン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩が挙
げられる。このうち亜硫酸塩が好ましく用いられ、特に
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリ
ウム、亜硫酸水素カリウムが好ましい。これらの還元性
無機化合物は単独でもしくは組み合わせて使用できる。
【0039】本発明の硬化性組成物は、上記(a)、
(b)および(c)の各成分について、これら(a)、
(b)および(c)成分の合計100重量部当り、
(a)成分を1〜50重量部、(b)成分を1〜98.
99重量部および(c)成分を0.01〜50重量部の
範囲で含有するのが好ましい。さらに好ましくは(a)
成分が1〜30重量部、(b)成分が3〜90重量部お
よび(c)成分が0.1〜20重量部の範囲で使用され
る。
【0040】本発明の硬化性組成物は、上記(a)、
(b)および(c)各成分の他に、さらに、(d)上記
(a)、(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体
および(e)有機質フィラー、無機質フィラーおよび有
機質複合フィラーよりなる群から選ばれる少なくとも1
種のフィラー、の少なくとも1種を含有することができ
る。
【0041】以下、上記(d)、(e)成分の両方を含
まないものを本発明の第1の硬化性組成物といい、
(d)成分のみを含有する本発明の硬化性組成物を本発
明の第2の硬化性組成物という。(d)成分は(a)お
よび(b)成分の少なくともいずれか一方と共重合可能
な重合性単量体である。かかる重合性単量体は、例えば
(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基、アリ
ル基などを有するラジカル重合可能な不飽和基を有する
単量体を挙げることができる。1分子内にこれらの重合
性基から選択される基が少なくとも1個含有していれば
よい。さらに、これらの重合性単量体は、分子内にカル
ボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水酸基、アミノ
基、グリシジル基などの官能基を含有することができ
る。
【0042】(d)成分として使用できる重合性単量体
としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エ
ステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート類;プロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート類;上記のポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート類のどちらか一方
の(メタ)アクリロイル基がメチル基およびエチル基な
どに置換されたモノ(メタ)アクリレート類;2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは
2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
または1,3,5−トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの
付加物などのウレタン結合を有する(メタ)アクリレー
ト類;ビスフェノールAにオキシエチレンを付加させた
生成物にさらに(メタ)アクリル酸を縮合させた2,2
−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ
フェニル)プロパン類;スチレン、4−メチルスチレ
ン、4−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼンなど
のスチレン誘導体類;酢酸ビニルなどを挙げることがで
きる。これらの重合性単量体は単独で、もしくは組み合
わせて使用できる。
【0043】上記(d)成分として、上記に挙げた種々
の重合性単量体はそれぞれ単独でまたは組み合わせて使
用することができる。
【0044】本発明の第2の硬化性組成物において、こ
れらの(a)、(b)および(c)成分の合計重量を基
準にして、(a)成分が1〜50重量%、(b)成分が
1〜98.99重量%および(c)成分が0.01〜50
重量%を占め、また(d)成分は(a)、(b)、
(c)および(d)成分の合計重量を基準にして3〜5
0重量%含有される。
【0045】本発明の第1および第2の硬化性組成物
は、37.5℃における粘度が100〜30,000cP
の範囲内にあることが必要である。37.5℃における
粘度は、好ましくは100〜20,000cPであり、
より好ましくは100〜8,000cPである。この粘
度範囲の組成物を使用することによって、特に、歯質と
の接着界面に隙間なく優れた封鎖性および接着性を発揮
する。本発明における硬化性組成物の粘度は、E型粘度
計を用いて37.5℃で測定したものである。
【0046】上記(d)、(e)成分のうち、(e)成
分のみを含有する本発明の硬化性組成物を本発明の第3
の硬化性組成物という。
【0047】本発明の第3の硬化性組成物のうち、
(e)成分は、有機質フィラー、無機質フィラーおよび
有機質複合フィラーから選択される少なくとも1種のフ
ィラーである。有機質フィラーとしては、重合体の粉砕
もしくは分散重合によって得られた粉末重合体のフィラ
ーや架橋剤を含む重合性単量体を重合させた後粉砕して
得られたフィラーを挙げることができる。ここで、使用
できるフィラーの原料となる重合性体としては特に限定
はないが、(b)成分もしくは(d)成分で例示した重
合性単量体の単独重合体もしくは共重合体を好ましいも
のとして挙げることができる。例えばポリメタクリル酸
メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸エチル、ポリメ
タクリル酸プロピル、ポリメタクリル酸ブチル(PBM
A)、ポリ酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレングリ
コール(PEG)やポリプロピレングリコール(PP
G)、ポリビニルアルコール(PVA)などを挙げるこ
とができる。
【0048】無機質フィラーとしては、例えばシリカ、
シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス(バ
リウムガラスを含む)、チタニア、ジルコニア、炭酸カ
ルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウ
ム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、リン
酸カルシウムなどを挙げることができる。
【0049】有機質複合フィラーとしては、前述した無
機質フィラー表面を重合性単量体で重合して被覆した
後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。
具体的には、無機質フィラーのうちの微粉末シリカまた
は酸化ジルコニウムなどをトリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート(TMPT)を主成分とする重合
性単量体で重合被覆し、得られた重合体を粉砕したフィ
ラー(TMPT・f)を挙げることができる。
【0050】本発明の硬化性組成物をレジンセメントと
して使用する場合、(e)成分として特に好ましいもの
は、平均粒径0.05〜10μmの酸化ジルコニウムフ
ィラー40〜80重量部、平均粒径1〜10μmの球形
シリカフィラー10〜30重量部および平均粒径1〜3
0μmの有機複合フィラー10〜30重量部の範囲で含
有するフィラーである。さらに、ここで使用する酸化ジ
ルコニウムは(b)成分に溶解しうる重合体、例えばP
MMAやポリ酢酸ビニル(PVAc)などで被覆された
平均粒径5〜30μm、特に1〜30μmのフィラーで
あることが好ましい。
【0051】本発明の第3の硬化性組成物において、
(a)、(b)および(c)成分の合計重量を基準にし
て、(a)成分が1〜50重量%、(b)成分が1〜9
8.99重量%および(c)成分が0.01〜50重量%
を占め、また(e)成分は(a)、(b)、(c)およ
び(e)成分の合計重量を基準にして15〜85重量%
含有される。
【0052】さらに、本発明の硬化性組成物は、上記
(d)および(e)成分の両方を含有することができ
る。(d)および(e)成分の両方を含有する本発明の
硬化性組成物を本発明の第4の硬化性組成物という。
【0053】本発明の第4の硬化性組成物において、
(d)および(e)成分については、それぞれ第2およ
び第3の硬化性組成物に相当する説明がそのまま適用さ
れると理解されるべきである。
【0054】本発明の第4の硬化性組成物において、
(a)、(b)および(c)成分の合計重量を基準にし
て、(a)成分が1〜50重量%、(b)成分が1〜9
8.99重量%および(c)成分が0.01〜50重量%
を占め、(d)成分は(a)、(b)、(c)および
(d)成分の合計重量を基準にして3〜50重量%を占
め、また(e)成分は(a)、(b)、(c)、(d)
および(e)成分の合計重量を基準にして15〜85重
量%を占める。
【0055】本発明の第3および第4の硬化性組成物
は、(e)成分を使用することによって容易に粘度を変
化させることができ、37.5℃における粘度を100
〜30,000cPの範囲内に調整することができる。
しかし、第1もしくは第2の硬化性組成物とは取り扱い
上異なる性質となる場合があるため、第3および第4の
硬化性組成物に関しては、粘度による特定よりも(e)
成分の重量範囲による特定の方が好ましい。
【0056】本発明の第1から第4の硬化性組成物は、
上記(a)から(e)成分を予め混合して歯質に適用す
ることができる。これらの成分の混合物が長期にわたり
形態や性能が変化し、本発明の効果を損なう恐れがある
場合には、各成分を単独であるいは任意の組み合せで分
割して保存し使用前に混合して硬化性組成物とすること
ができる。
【0057】硬化性組成物の保存の方法としては、例え
ばa/b(/d/e)成分の混合物とC成分の2つに分
割する場合、a/b(/d/e)成分の混合物とb(/
d/e)/c成分の混合物に分割する場合が挙げられ、
これらの混合物は別々の容器に入れられキットに収容さ
れて製品として提供できる。また、(c)成分が、例え
ばBPOないしはCQとアミンからなる2成分の場合に
はa/b/c(BPOないしはCQ)(/d/e)成分
の混合物とB(/d/e)/c{アミン、例えばN,N
−ジメチルp−トルイジン(DMPTと略記)}成分の
混合物などを挙げることができる。また、(c)成分の
一部ないしは全部を、あらかじめ、硬化性組成物を歯面
に塗布する際に使用する治具に含有させて、使用直前に
(a)、(b)、(d)および(e)成分と治具とを接
触させて硬化性組成物をその場で調製し、そのまま歯面
に塗布することもできる。歯面に塗布する治具として
は、筆、繊維球または布、スポンジ球またはスポンジ片
などが好ましいものとして挙げることができるが、これ
に限定されるものではない。
【0058】すなわち、本発明によれば、本発明の硬化
性組成物のいずれかを歯面に塗布する際に使用する治具
に予め(c)成分の1部または全部を含有せしめ、次い
で(a)、(b)、場合により(d)、および場合によ
り(c)成分の1部を該治具と接触せしめて該治具上で
該硬化性組成物を調製し、調製後速やかに歯面に塗布す
ることを特徴とする硬化性組成物の塗布方法が同様に提
供される。
【0059】この方法によって、例えば硬化性組成物を
二つの容器に分割して使用直前に混合して用いる方法に
比較して、手間が省け、また、容器から直接に硬化性組
成物を必要量だけスポンジなどの治具に接触させること
によって、混合容器などを用いずに経済的に使用するこ
とができる。本発明の硬化性組成物を歯質表面に適用さ
せたのち、その上に歯科用修復レジンを適用することに
よって、歯の修復が有利に行なわれる。
【0060】さらに、本発明によれば、本発明の上記目
的を達成するために、第2に、 (a)分子内に酸性基を有する重合性単量体 および (f)有機溶媒および水含有有機溶媒よりなる群から選
ばれる溶媒からなるプライマー組成物および本発明の硬
化性組成物からなる歯科用接着材キットが提供される。
【0061】本発明のプライマー組成物または歯質表面
処理剤は、エナメル質および象牙質の表面を同時に処理
でき、かつ歯質に接着材を適用するに好適である。
【0062】本発明における歯質表面処理剤において、
(a)成分は分子内に酸性基を含有する重合性単量体で
ある。かかる単量体の重合性基としては、例えば(メ
タ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基、アリル基
などを有するラジカル重合可能な不飽和基を挙げること
ができる。1分子内にこれらの重合性基から選択される
基が少なくとも1個含有していればよい(以下に記述す
る重合性単量体における重合性基は、すべてこれと同様
に解釈されるべきである)。更に、これらの酸性基を含
有する重合性単量体は、分子内にカルボキシル基、リン
酸基、スルホン酸基、水酸基、アミノ基、グリシジル基
などの官能基を併せて含有することもできる。
【0063】かかる(a)成分の重合性単量体として
は、本発明の硬化性組成物について(a)成分として例
示したものと同じものを例示できる。
【0064】本発明の歯質表面処理剤のうち、(f)成
分は有機溶媒もしくは水含有有機溶媒である。かかる有
機溶媒としては(a)もしくは後述する(g)成分を均
一に溶解させるか、もしくは分散させるものを挙げるこ
とができ、さらに、水と混合できるものが特に好ましく
用いられる。例えばメタノール、エタノール(EtO
H)、プロパノールなどのアルコール類;アセトン、メ
チルエチルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン
(THF)などのエーテル類;N,N−ジメチルホルム
アミドなどのアミド類などを挙げることができる。歯髄
への毒性や刺激性を考慮して、これらの有機溶媒のう
ち、エタノールやアセトンを用いることが特に好まし
い。
【0065】また、(f)成分は、上記のとおり、水を
含有することができる。ここで使用できる水としては、
例えば蒸留水、イオン交換水または生理食塩水などが挙
げられ、特に蒸留水およびイオン交換水が好ましく用い
られる。従って、(f)成分の有機溶媒は水との混合物
として使用できる。この場合、水とエタノールの混合溶
液もしくは水とアセトンの混合溶液が特に好ましく用い
られる。
【0066】本発明の歯質表面処理剤は、上記(a)お
よび(f)成分の合計100重量部としたとき、(a)
成分を0.1〜30重量部および(f)成分を70〜9
9.9重量部の範囲で含有することができる。さらに好
ましくは、(a)成分が1〜20重量部および(f)成
分が80〜99重量部の範囲で使用される。
【0067】本発明の歯質表面処理剤は、上記(a)お
よび(f)成分の他に、さらに(g)上記(a)成分と
共重合可能な重合性単量体 および(c)重合開始剤よ
りなる群から選ばれる少なくともいずれか一方を含有す
ることができる。
【0068】上記(g)成分は、(a)成分と共重合可
能な重合性単量体である。かかる重合性単量体として特
に制限はないが、例えば(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂
肪族エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノ
ナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ
デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート類;上記のポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類のどちら
か一方の(メタ)アクリロイル基がメチル基およびエチ
ル基などに置換されたモノ(メタ)アクリレート類;2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートま
たは2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ
ートまたは1,3,5−トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トの付加物などのウレタン結合を有する(メタ)アクリ
レート類;ビスフェノールAにオキシエチレンを付加さ
せた生成物にさらに(メタ)アクリル酸を縮合させた
2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエ
トキシフェニル)プロパン類;スチレン、4−メチルス
チレン、4−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン
などのスチレン誘導体類;酢酸ビニルなどを挙げること
ができる。これらの重合性単量体は単独でもしくは組み
合わせて使用できる。
【0069】同様に、(g)成分として使用できる重合
性単量体として、分子内に水酸基を含有する重合性単量
体を挙げることができる。これらの重合性単量体として
は、例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量体とし
ては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒド
ロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシ
ヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシ
ル(メタ)アクリレ−ト、1,2−または1,3−および
2,3−ジヒドロキシプロパン(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基
含有の(メタ)アクリレート類;メチロール(メタ)ア
クリルアミド、N−(メタ)アクリロイル−2,3−ジ
ヒドロキシプロピルアミン、N−(メタ)アクリロイル
−1,3−ジヒドロキシプロピルアミンなどの水酸基含
有の(メタ)アクリルアミド類;2−ヒドロキシ−3−
フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレ
ートの場合HPPM)、2−ヒドロキシ−3−ナフトキ
シプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレートの場
合HNPM)、1モルのビスフェノールAと2モルのグ
リシジル(メタ)アクリレート(メタクリレートのの場
合GMA)の付加反応生成物(メタクリレートの場合B
is−GMA)などのGMAと脂肪族もしくは芳香族ポ
リオール(フェノールを含む)との付加生成物などを挙
げることができる。これらの重合性単量体は単独でもし
くは組み合わせて使用できる。
【0070】また、上記(c)成分の重合開始剤につい
ては、本発明の硬化性組成物について記述した前記重合
開始剤についての説明がそのまま適用されると理解され
るべきである。
【0071】本発明の歯質表面処理剤において、
(a)、(f)、(g)および(c)成分の合計重量を
基準にして、(a)成分が0.1〜30重量%、(f)
成分が70〜99.9重量%、(g)成分が0〜30重
量%および(c)成分が0〜20重量%であるのが好ま
しい。さらに好ましくは、(a)成分が0.1〜20重
量%、(f)成分が50〜97.95重量%、(c)成
分が0.05〜15重量%および(g)成分が1〜15
重量%の範囲で使用される。
【0072】本発明の歯質表面処理剤は、上記(a)、
(f)、(g)および(c)成分を予め混合して歯質に
適用することができる。これらの成分の混合物が長期に
わたり形態や性能が変化して本発明の効果を損なう恐れ
がある場合には、各成分を単独であるいは任意の組合せ
で分割して保存し使用前に混合して硬化性組成物とする
ことができる。
【0073】歯質表面処理剤の保存の方法として、例え
ばa/f/g成分の混合物とC成分の2つに分割する場
合、a/f/g成分の混合物とf/c成分の混合物に分
割する場合などがある。分割の方法はこれらの組み合わ
せに限定されるものではない。これらの混合物や成分を
別々の容器に入れ、キットとして収容し製品として提供
できる。本発明の歯質表面処理剤を歯質表面に適用した
後、その上に歯科用修復レジンおよび/または歯質接着
性硬化性組成物を適用することにより、歯の修復を有利
に行なうことができる。
【0074】本発明の歯質表面処理剤と前記本発明の硬
化性組成物との組合せでは、歯面に本発明の歯質表面処
理剤を先ず施し、次いで本発明の硬化性組成物を適用す
る歯面の処理方法が提供される。かかる処理方法に用い
られる、具体的に特に好ましい本発明の歯科用接着材キ
ットは次の2つである。
【0075】第1の好ましい態様は、 (a’)4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメ
リット酸またはその無水物およびN−(メタ)アクリロ
イルアミノサリチル酸よりなる群から選択される少なく
とも1種1〜30重量%、 (f’)水含有エタノールおよび水含有アセトンよりな
る群から選択される少なくとも1種30〜90重量%、 (g’)オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレ
ート1〜20重量%および (c’)芳香族スルフィン酸塩1〜20重量%からなる
プライマー組成物と、 (a’)4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメ
リット酸またはその無水物およびN−(メタ)アクリロ
イルアミノサリチル酸よりなる群から選択される少なく
とも1種1〜30重量%、 (b’)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセ
ロール(メタ)アクリレート、エリスリトール(メタ)
アクリレートおよびビスフェノール類のポリエポキシ化
合物のポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選択さ
れる少なくとも1種30〜90重量%、 (c’)可視光増感剤であるd,l−カンファーキノン
と、還元剤であるN−フェニルグリシン、N,N−ジア
ルキルアミノ安息香酸および芳香族スルフィン酸塩より
なる群から選択される少なくとも1種との組合せ0.1
〜5重量%、および(d’)分子内にオキシアルキレン
基を有する(メタ)アクリレート3〜20重量%、から
なり、かつ37.5℃における粘度が100〜30,00
0cP、好ましくは100〜20,000cP、さらに
好ましくは100〜8,000cPの範囲内にある可視
光硬化性組成物とからなる歯科用接着材キットである。
【0076】第2の好ましい態様は、 (a’)4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメ
リット酸またはその無水物およびN−(メタ)アクリロ
イルアミノサリチル酸よりなる群から選択される少なく
とも1種1〜30重量%、 (f’)水含有エタノールおよび水含有アセトンよりな
る群から選択される少なくとも1種30〜90重量%お
よび (g’)オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレ
ート1〜20重量%からなるプライマー組成物と、 (a’)4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメ
リット酸またはその無水物およびN−(メタ)アクリロ
イルアミノサリチル酸よりなる群から選択される少なく
とも1種1〜30重量%、 (b’)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセ
ロール(メタ)アクリレート、エリスリトール(メタ)
アクリレートおよびビスフェノール類のポリエポキシ化
合物のポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選択さ
れる少なくとも1種10〜60重量%、 (c’)d,l−カンファーキノン、有機過酸化物およ
び無機酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種
と、還元剤であるN−フェニルグリシン、N,N−ジメ
チル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−ト
ルイジン、N,N−アルキルアミノ安息香酸および芳香
族スルフィン酸塩よりなる群から選択される少なくとも
1種0.1〜10重量%、 (d’)分子内にオキシアルキレン基を有する(メタ)
アクリレート10〜60重量%および (e’)平均粒径0.05〜10μmの酸化ジルコニウ
ムフィラー40〜80重量%、平均粒径1〜10μmの
球状シリカフィラー10〜30重量%および平均粒径1
〜30μmの有機質複合フィラー10〜30重量%のい
ずれかを含有するフィラーからなり、かつ37.5℃に
おける粘度が100〜30,000cPの範囲にある常
温硬化性組成物とからなる歯科用接着材キットである。
【0077】以下実施例により本発明をさらに詳述す
る。接着力の評価は、本発明の硬化性組成物をコンポジ
ットレジン用のボンディング材として、またはレジンセ
メントとして調製し、以下の方法で行った。
【0078】新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結
し保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍し
た牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転
式研磨機ECOMET-III(BUEHLER製)で注水、指圧下で
耐水エメリー紙#600番まで研削し、平滑な面を得
た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して、直ち
に接着面積を規定するための直径5.1mmの円孔のあ
いたセロハンテープを張り付け、再度水中に浸漬した。
水中に最低1分間浸漬した牛歯を取り出し、接着面を綿
球で軽く水分をぬぐい取った。この表面にはまだ水分が
かなり残っており、湿潤表面として接着試験に使用し
た。
【0079】 コンポジットレジン用ボンディング材としての応用 本発明の硬化性組成物をスポンジ(スーパーボンドC&
B付属品、サンメディカル製)にて塗布して、気銃にて
軽くエアーを約5秒間吹きかけた。可視光照射器(Tran
slux CL, Kulzer)にて20秒間光照射して本発明の硬
化性組成物を硬化させた。片面に粘着材のついた内径
5.1mmの厚紙を置いて固定し、この穴にコンポジッ
トレジン(Silux Plus, 3M)を充填して、厚さ50μm
のポリエステルフィルムで覆った。このフィルムの上か
ら可視光照射器(Translux CL, Kulzer)にて40秒間
光照射してコンポジットレジンを硬化させた後、フィル
ムを剥がし、メタファースト(サンメディカル)にてア
クリル棒を植立して15分間静置した。
【0080】レジンセメントとしての応用 本発明の第3の硬化性組成物において、液成分と粉成分
に分けて保存して両者を使用直前にダッペングラス中で
混和するか、または練和紙上で十分に練和して接着規定
面に塗布してアクリル棒を植立させ、15分間静置し
た。
【0081】上記のまたはの方法によって作製した
サンプルを37℃の水中に24時間浸漬した後、引っ張
り接着試験(クロスヘッドスピード2mm/min)を
行った。
【0082】歯質とコンポジットレジンとの界面の隙間
(ギャップ)の測定は、以下の方法で行った。ただし、
レジンセメントの場合は測定しなかった。
【0083】歯質と修復物との封鎖性を確認するため、
解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するよう
に回転式研磨機ECOMET-III(BUEHLER製)を用いて注
水、指圧下で耐水エメリー紙#600まで研削し平滑な
面を得た。φ3×3mmの窩洞を注水下でダイヤモンド
ポイントを用いて形成した。本発明の硬化性組成物をス
ポンジを用いて窩洞内の表面に塗布して軽くエアブロー
して窩洞上部から可視光照射器(Translux CL, Kulze
r)にて20秒間光照射して硬化させた。さらにコンポ
ジットレジンを充填して同様に40秒間光照射して硬化
させた。表面を#600まで注水下で研磨して平滑にし
た後、塩基性フクシン水溶液中に1分間浸漬して水洗し
た。気銃にて乾燥した状態での隙間(ギャップ)を光学
顕微鏡にて観測し、さらにギャップの生じた部分に認め
られる着色を目視にて確認し、隙間の有無を判定した。
【0084】硬化性組成物の粘度は1.0ccの硬化性
組成物を使用し、37.5℃においてE型粘度計(東京
計器)を用いて測定した。
【0085】
【実施例】
【0086】実施例1 コンポジットレジン用のボンディング材としての本発明
の硬化性組成物は、以下のように調製した。58.5重
量部の2−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEM
A)、35重量部のVR90(昭和高分子)、6.5重
量部の4−METおよび0.5重量部のd,l−カンファ
ーキノン(CQ)からなる溶液を調製し、遮光された滴
下ボトルに入れた。別にスーパーボンドDライナープラ
ス付属のスポンジチップS(φ2×3mm)0.3重量
部と0.5重量部のN−フェニルグリシン(NPG)を
ポリ袋に入れてよく振とうし、スポンジチップにNPG
を含有させた。ダッペンディッシュ中に滴下ボトルから
溶液を1滴とり、NPGを含有させたスポンジチップ1
個に溶液を染み込ませてそのまま歯質表面に塗布した。
接着試験を行った結果、象牙質に対する接着強さは76
±38kgf/cm2であり、ギャップの形成は認めら
れなかった。
【0087】モノマー成分と重合開始剤成分であるNP
Gを上記のように分割することによって、本発明の硬化
性組成物は長期にわたって形態変化せずに保存可能であ
った。しかも、分割保存し使用直前に混合してから塗布
してきた従来の方法と比較して接着操作が簡単で作業時
間が短かった。
【0088】実施例2 コンポジットレジン用ボンディング材としての本発明の
硬化性組成物として、45.5重量部のHEMA、35
重量部のVR90、6.5重量部のトリエチレングリコ
ールジメタクリレート(3G)、6.5重量部の2,2−
ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニ
ル)プロパン(2.6E、新中村化学)、6.5重量部の
4−MET、0.5重量部のCQおよび0.5重量部のN
PGを混合して溶解した。調製直後に使用して接着試験
を行った結果、象牙質に対する接着強さは99±49k
gf/cm2であり、ギャップの形成は認められなかっ
た。NPGを溶解した溶液は調製後約1日でゲル化して
使用不能となった。
【0089】実施例3 コンポジットレジン用ボンディング材としての本発明の
硬化性組成物として、52.5重量部のHEMA、12.
5重量部のVR90、7.5重量部の3G、7.5重量部
の2.6E、7.5重量部の4−MET、12.5重量部
のポリ酢酸ビニル(PVAc)、0.5重量部のCQお
よび0.5重量部のNPGを混合して溶解した。調製直
後に使用して接着試験を行った結果、象牙質に対する接
着強さは77±18kgf/cm2であり、ギャップの
形成は認められなかった。
【0090】実施例4 本発明の硬化性組成物として、実施例2における4−M
ETを4−METAに変更したものを使用した(粘度:
280cP)。その結果、象牙質に対する接着強さが7
8±18kgf/cm2であり、ギャップの形成は認め
られなかった。
【0091】実施例5 レジンセメントとしての本発明の硬化性組成物は、液成
分:60重量部のHEMA、30重量部の2−ヒドロキ
シ−3−フェノキシプロピルメタクリレート(HPP
M)、4重量部の4−MET、5重量部のN−メタクリ
ロイル5−アミノサリチル酸(5−MASA)および1
重量部の過酸化ベンゾイル(BPO)、粉成分:10重
量%のPMMAで被覆した酸化ジルコニウムフィラー
(ZrO2、平均粒径2μm)を60重量部、平均粒径
5μmの球形シリカフィラー(SiO 2)を20重量
部、平均粒径0.04μmのシリカフィラーをトリメチ
ロールプロパントリメタクリレート(TMPT)で予め
重合被覆して粉砕した平均粒径20μmの有機複合フィ
ラー(TMPT・f)を20重量部および2重量部のN
PGからなるものを使用した。練和紙上で0.09重量
部の液成分と0.13重量部の粉成分を混ぜ合わせて練
和した。練和開始から1分間経過したものを接着試験に
使用した。その結果、象牙質に対する接着強さは57±
22kgf/cm2であった。
【0092】実施例6 実施例5において、液成分のHPPMの代わりにTMP
Tを使用した他は、実施例5と同様に行った。その結
果、象牙質に対する接着強さは42±20kgf/cm
2であった。
【0093】実施例7 実施例5において、液成分のHPPMの代わりに2,2,
4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート1モル
とHEMA2モルの付加反応物(UDMA)を使用した
他は、実施例5と同様に行った。その結果、象牙質に対
する接着強さは69±25kgf/cm2であった。
【0094】実施例8 実施例5において、液成分のHPPMの代わりにVR9
0を使用した他は、実施例5と同様に行った。その結
果、象牙質に対する接着強さは40±8kgf/cm2
であった。
【0095】実施例9 実施例5において、液成分のHPPMの代わりに3Gを
使用し、粉剤中のNPGを1重量部に変更した他は、実
施例5と同様に行った。その結果、象牙質に対する接着
強さは50±9kgf/cm2であった。
【0096】実施例10 3重量%の塩化第二鉄を含む10重量%クエン酸水溶液
でエッチングして水洗後、綿球にて水分を除去した象牙
質表面に、実施例9で調製した硬化性組成物を使用して
同様に行った。その結果、象牙質に対する接着強さは1
07±15kgf/cm2と著しく高い値であった。
【0097】
【表1】
【0098】本発明のプライマーを面積規定した表面に
スポンジ(スーパーボンドC&B付属品、サンメディカ
ル製)にて塗布して30秒間静置した。気銃にてエアー
を約5秒間吹きかけ、余分の液を除去して処理表面を作
製した。この処理表面に接着材として、実施例2または
実施例9に記載の硬化性組成物を用いて接着した。実施
例2に記載の硬化性組成物はにコンポジットレジン用ボ
ンディング材として、また実施例9はレジンセメントと
して使用して接着試験を行った。
【0099】象牙細管の開口状態の観察は次の手順で行
った。すなわち、接着力の評価方法において、本発明の
歯質表面処理剤を研削した象牙質表面に塗布した後エア
ーを吹きかけ余分の液を除去した際の象牙質表面を光学
顕微鏡で観察し、象牙細管の開口状態を観察した。
【0100】実施例11 歯質表面処理剤として、20重量部の4−METおよび
80重量部のエタノール(EtOH)溶液を使用し、実
施例2に記載の硬化性組成物を使用してエナメル質およ
び象牙質に対する接着強さを測定した。その結果、接着
強さはエナメル質で65±8kgf/cm2、象牙質で
73±15kgf/cm2であった。象牙質への処理後
の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、細管の開口は
認められなかった。また、ギャップの形成は認められな
BR>かった。
【0101】実施例12 歯質表面処理剤として、20重量部の4−MET、蒸留
水(H2O)20重量部および80重量部のEtOHの
溶液を使用し、実施例2に記載の硬化性組成物を使用し
てエナメル質および象牙質に対する接着強さを測定し
た。その結果、接着強さはエナメル質で96±20kg
f/cm2、象牙質で101±20kgf/cm2であっ
た。象牙質への処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観
察では、細管の開口は認められなかった。また、ギャッ
プの形成は認められなかった。
【0102】実施例13 歯質表面処理剤として、15重量部の4−MET、5重
量部のN−メタクリロイル−5−アミノサリチル酸(5
−MASA)、20重量部のH2Oおよび80重量部の
EtOHの溶液を使用し、実施例2に記載の硬化性組成
物を使用してエナメル質および象牙質に対する接着強さ
を測定した。その結果、エナメル質で64±24kgf
/cm2、象牙質で90±28kgf/cm2の接着強さ
であった。象牙質への処理後の光学顕微鏡による象牙細
管の観察では、細管の開口は認められなかった。また、
ギャップの形成は認められなかった。
【0103】実施例14 歯質表面処理剤として、20重量部の4−META、4
2.5重量部のH2Oおよび37.5重量部のEtOHの
溶液を使用し、実施例2に記載の硬化性組成物を使用し
てエナメル質および象牙質に対する接着強さを測定し
た。その結果、接着強さはエナメル質で93±18kg
f/cm2、象牙質で111±23kgf/cm2であっ
た。象牙質への処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観
察では、細管の開口は認められなかった。また、ギャッ
プの形成は認められなかった。
【0104】実施例15 歯質表面処理剤として、10重量部の4−MET、40
重量部のEtOH、45重量部のH2O、5重量部のノ
ナエチレングリコールジメタクリレート(9G)からな
る溶液を使用し、実施例2に記載の硬化性組成物を使用
してエナメル質および象牙質に対する接着強さを測定し
た。その結果、接着強さはエナメル質で70±12kg
f/cm2、象牙質で83±7kgf/cm2であった。
象牙質への処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観察で
は、細管の開口は認められなかった。また、ギャップの
形成は認められなかった。
【0105】実施例16 歯質表面処理剤として、10重量部の4−MET、40
重量部のEtOH、45重量部のH2O、5重量部のポ
リエチレングリコールジメタクリレート(23G)から
なる溶液を使用し、実施例9に記載の硬化性組成物を使
用してエナメル質および象牙質に対する接着強さを測定
した。その結果、接着強さはエナメル質で102±18
kgf/cm2、象牙質で109±33kgf/cm2
あった。象牙質への処理後の光学顕微鏡による象牙細管
の観察では、細管の開口は認められなかった。
【0106】実施例17 歯質表面処理剤として、10重量部の4−META、5
重量部の5−MASA、40重量部のEtOH、40重
量部のH2O、5重量部の23Gからなる溶液を使用
し、実施例9に記載の硬化性組成物を使用してエナメル
質および象牙質に対する接着強さを測定した。その結
果、接着強さはエナメル質で108±32kgf/cm
2、象牙質で110±37kgf/cm2であった。象牙
質への処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、
細管の開口は認められなかった。
【0107】実施例18 歯質表面処理剤として、20重量部の4−MET、20
重量部のEtOH、70重量部のH2Oおよび0.05重
量部のCQからなる溶液を使用し、実施例2に記載の硬
化性組成物を使用してエナメル質および象牙質に対する
接着強さを測定した。その結果、接着強さはエナメル質
で51±26kgf/cm2、象牙質で62±18kg
f/cm2であった。象牙質への処理後の光学顕微鏡に
よる象牙細管の観察では、細管の開口は認められなかっ
た。また、ギャップの形成は認められなかった。
【0108】実施例19 歯質表面処理剤として、5重量部の4−MET、45重
量部のEtOH、48重量部のH2O、2重量部の3
G、0.05重量部のCQおよび0.1重量部のN,N−
ジエチルアミン安息香酸(DEABA)からなる溶液を
使用し、実施例2に記載の硬化性組成物を使用してエナ
メル質および象牙質に対する接着強さを測定した。その
結果、接着強さはエナメル質で44±14kgf/cm
2、象牙質で51±14kgf/cm2であった。象牙質
への処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、細
管の開口は認められなかった。また、ギャップの形成は
認められなかった。
【0109】実施例20 歯質表面処理剤として、10重量部の4−MET、40
重量部のEtOH、45重量部のH2O、5重量部の9
Gおよび0.05重量部のCQからなる溶液を使用し、
実施例2に記載の硬化性組成物を使用してエナメル質お
よび象牙質に対する接着強さを測定した。その結果、接
着強さはエナメル質で93±8kgf/cm2、象牙質
で113±13kgf/cm2であった。象牙質への処
理後の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、細管の開
口は認められなかった。また、ギャップの形成は認めら
れなかった。
【0110】実施例21 歯質表面処理剤として、10重量部の4−MET、40
重量部のEtOH、45重量部のH2O、5重量部の9
G、0.05重量部のCQおよび5重量部のNPGから
なる溶液を使用し、実施例2に記載の硬化性組成物を使
用してエナメル質および象牙質に対する接着強さを測定
した。その結果、接着強さはエナメル質で70±10k
gf/cm2、象牙質で87±21kgf/cm2であっ
た。象牙質への処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観
察では、細管の開口は認められなかった。また、ギャッ
プの形成は認められなかった。
【0111】実施例22 歯質表面処理剤として、10重量部の4−META、4
0重量部のEtOH、48重量部のH2O、5重量部の
9Gおよび0.05重量部のCQからなる溶液を使用
し、実施例2に記載の硬化性組成物を使用してエナメル
質および象牙質に対する接着強さを測定した。その結
果、接着強さはエナメル質で89±15kgf/c
2、象牙質で99±11kgf/cm2であった。象牙
質への処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、
細管の開口は認められなかった。また、ギャップの形成
は認められなかった。
【0112】実施例23 歯質表面処理剤として、20重量部の4−MET、65
重量部のEtOHおよび15重量部のH2Oからなる溶
液と、85重量部H2O、10重量部のEtOHおよび
5重量部のベンゼンスルフィン酸ナトリウム(BSN
a)からなる溶液を使用直前に等量で混合して使用し、
実施例9に記載の硬化性組成物を使用してエナメル質お
よび象牙質に対する接着強さを測定した。その結果、接
着強さはエナメル質で118±38kgf/cm2、象
牙質で115±19kgf/cm2であった。象牙質へ
の処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、細管
の開口は認められなかった。
【0113】実施例24 歯質表面処理剤として、20重量部の4−META、6
0重量部のEtOH、15重量部のH2Oおよび5重量
部の23Gからなる溶液と、5重量部のp−トルエンス
ルフィン酸ナトリウム(pTSNa)、10重量部のE
tOH、80重量部のH2Oおよび5重量部の23Gか
らなる溶液を使用直前に等量で混合して使用し、実施例
2に記載の硬化性組成物を使用してエナメル質および象
牙質に対する接着強さを測定した。その結果、接着強さ
はエナメル質で129±27kgf/cm2、象牙質で
128±16kgf/cm2であった。象牙質への処理
後の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、細管の開口
は認められなかった。また、ギャップの形成は認められ
なかった。
【0114】
【表2】
【0115】比較例1 コンポジットレジン用ボンディング材としての実施例1
において、HEMAとVR90を使用せずに、メタクリ
ル酸メチル(MMA)とUDMAを使用した。その結
果、試験サンプルを水中に浸漬している間に剥離してい
た。
【0116】比較例2 コンポジットレジン用ボンディング材としての実施例3
において、HEMAとVR90を使用せずに、MMAと
UDMAを使用した(粘度:230cP)。その結果、
試験サンプルを水中に浸漬している間に剥離していた。
【0117】比較例3 コンポジットレジン用ボンディング材としての実施例3
において、重合開始剤(C)成分としてCQとNPGを
使用しない溶液(粘度:230cP)を使用した。その
結果、試験サンプルを水中に浸漬している間に剥離して
いた。
【0118】比較例4 コンポジットレジン用ボンディング材としての実施例3
において、分子内に酸性基を含有する重合性単量体
(A)成分を使用しない溶液(粘度:230cP)を使
用した。その結果、ギャップの形成は認められなかった
が、象牙質に対する接着強さは23±13kgf/cm
2と著しく低かった。
【0119】比較例5 レジンセメントとしての実施例5において、分子内に酸
性基を含有する重合性単量体(B)成分としてHEMA
およびHPPMを使用せずに、代わりにUDMAを使用
した。その結果、試験サンプルを水中に浸漬している間
に剥離していた。
【0120】比較例6 レジンセメントとしての実施例6において、重合開始剤
(c)成分を使用しないで接着試験を行った。その結
果、硬化性組成物が硬化せずに試験サンプルを水中に浸
漬している間に剥離していた。
【0121】比較例7 レジンセメントとしての実施例9において、分子内に酸
性基を含有する重合性単量体(A)成分を使用しないで
接着試験を行った。その結果、象牙質に対する接着強さ
は38±21kgf/cm2と低かった。
【0122】
【表3】
【0123】比較例8 歯質表面処理剤として、実施例11で示した組成のうち
から分子内に酸性基を含有する重合性単量体としての4
−METを使用しないで実施例11と同様に接着試験を
行った結果、エナメル質では接着サンプルは水中浸漬中
に剥離しており、象牙質では20±8gf/cm2と実
施例11と比較して大きく低下し、ギャップの形成が認
められた。
【0124】比較例9 歯質表面処理剤として、実施例11で示した組成のうち
から有機溶媒としてのEtOHを使用しない場合は4−
METが固体であるので溶液はできず、接着試験ができ
なかった。
【0125】比較例10 歯質表面処理剤として、実施例15で示した組成のうち
から有機溶媒としてのEtOHを使用しないで溶液を調
製したが、4−METが溶解しなかったので、接着試験
ができなかった。
【0126】比較例11 歯質表面処理剤のかわりに、市販のトータルエッチング
剤を使用して水洗せずにエアーにて乾燥させ、実施例1
1に従って接着試験を行った。トータルエッチング剤と
して、スーパーボンドC&B(サンメディカル製)付属
の歯質表面処理剤(グリーン)を使用した結果、象牙質
への処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、細
管はほとんど全て開口していた。また、エナメル質およ
び象牙質ともに試験サンプルの水中脱落であり、全く接
着していなかった。
【0127】比較例12 歯質表面処理剤のかわりに、市販のスーパーボンドDラ
イナープラス(サンメディカル製)付属のプライマーを
使用し、実施例11に従って接着試験を行った。その結
果、エナメル質に対しては48±21kgf/cm2
象牙質に対しては53±19gf/cm2と低かった。
処理後の光学顕微鏡による象牙細管の観察では、細管の
開口は認められなかった。また、ギャップの形成は認め
られなかった。
【0128】比較例13 歯質表面処理剤として、実施例18で示した組成のうち
から分子内に酸性基を含有する重合性単量体としての4
−METを使用しないで実施例18と同様に接着試験を
行った結果、エナメル質では接着サンプルは水中浸漬中
に剥離しており、象牙質では18±10gf/cm2
実施例18と比較して大きく低下した。
【0129】比較例14 歯質表面処理剤として、実施例18で示した組成のうち
から有機溶媒としてのEtOHを使用しないで溶液の剥
離を試みたが、液が相分離を起こして調製できなかっ
た。
【0130】比較例15 歯質表面処理剤として、実施例20で示した組成のうち
から重合開始剤としてのCQを使用しないで実施例20
と同様の接着試験を行った結果、エナメル質で70±1
2gf/cm2、象牙質では83±7gf/cm2であり
実施例20と比較して低下した。
【0131】比較例16 歯質表面処理剤として、実施例16で示した組成のうち
から分子内に酸性基を含有する重合性単量体としての4
−METを使用しないで実施例16と同様に接着試験を
行った結果、エナメル質では接着サンプルは水中浸漬中
に剥離しており、象牙質では52±13gf/cm2
実施例16と比較して大きく低下した。
【0132】
【表4】
【0133】
【発明の効果】本発明の硬化性組成物は、エッチングや
プライマー処理を行わずとも研削した象牙質に対して良
好な接着強さを発揮し、さらに隙間のない接着ができる
ことから、歯髄に対する刺激が極めて少なく、しかも簡
便な操作で短時間に接着歯科治療ができる。さらに本発
明の硬化性組成物は、湿潤状態の象牙質に対しても高い
接着強さを示すことから、実際の臨床的な使用にあたっ
ても安定した性能を発揮する。本発明において、使用す
る治具や容器などに硬化性組成物の構成成分の一部を予
め含有させておくことによって、保存安定性や操作性な
どを損なわずに必要量だけ硬化性組成物を使用できる操
作方法を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 晴美 滋賀県守山市古高町571−2 サンメデ ィカル株式会社内 (72)発明者 馬場 剛志 滋賀県守山市古高町571−2 サンメデ ィカル株式会社内 (56)参考文献 特開 平4−8368(JP,A) 特開 平4−300810(JP,A) 特開 平5−97621(JP,A) 特開 平2−245080(JP,A) 特開 平6−40836(JP,A) 特開 平2−295909(JP,A) 特開 平5−105610(JP,A)

Claims (21)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A1)(a)分子内に酸性基を有する
    重合性単量体、 (b)分子内に水酸基を有する重合性単量体 および (c)下記式(I) 【化1】 ここで、R1およびR2は互いに独立に水素原子であるか
    あるいは官能基もしくは置換基を有していてもよいアル
    キル基でありそしてR3は水素原子または金属原子であ
    る、で表されるアミン化合物を含有する重合開始剤から
    なりそしてこれらの(a)、(b)および(c)成分の
    合計重量を基準にして、(a)成分が1〜50重量%、
    (b)成分が1〜98.99%および(c)成分が0.0
    1〜50重量%を占め、そして (B)37.5℃における粘度が100〜30,000c
    Pの範囲内にある、ことを特徴とする、水不含の硬化性
    接着材組成物。
  2. 【請求項2】 (d)前記(a)成分および(b)成分
    と共重合可能な他の重合性単量体をさらに含有しそして
    この(d)成分は(a)、(b)、(c)および(d)
    成分の合計重量を基準にして3〜50重量%含有される
    請求項1の硬化性接着材組成物。
  3. 【請求項3】 (e)フィラーをさらに含有しそしてこ
    の(e)成分は(a)、(b)、(c)および(e)成
    分の合計重量を基準にして15〜85重量%含有される
    請求項1の硬化性接着材組成物。
  4. 【請求項4】 (e)フィラーをさらに含有しそしてこ
    の(e)成分は(a)、(b)、(c)、(d)および
    (e)成分の合計重量を基準にして15〜85重量%含
    有される請求項2記載の硬化性接着材組成物。
  5. 【請求項5】 上記(a)成分がカルボン酸基、リン酸
    基、チオリン酸基、スルホン酸基およびスルフィン酸基
    よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸性基を分子
    内に含有する請求項1の硬化性接着材組成物。
  6. 【請求項6】 上記(b)成分が少なくとも0.5g/
    100ccの水への溶解度を有する請求項1の硬化性
    着材組成物。
  7. 【請求項7】 上記アミン化合物がN−フェニルグリシ
    ン、N−トリルグリシンまたはN−(3−メタクロイル
    オキシプロピル)フェニルグリシンである請求項1の硬
    化性接着材組成物。
  8. 【請求項8】 上記(c)成分が、上記式(I)で表さ
    れる化合物の他に、さらに有機過酸化物、無機過酸化
    物、アルキルボラン、アルキルボランの部分酸化物、α
    −ジケトン化合物、有機アミン化合物、有機スルフィン
    酸、有機スルフィン酸塩、無機硫黄化合物およびバルビ
    ツール酸類よりなる群から選ばれる1種または2種以上
    を含有する請求項1の硬化性接着材組成物。
  9. 【請求項9】 上記(c)成分が、上記式(I)で表さ
    れる化合物の他にさらに有機過酸化物または無機過酸化
    物を含有する請求項1の硬化性接着材組成物。
  10. 【請求項10】 上記(c)成分が上記式(I)で表さ
    れる化合物の他に、さらにアルキルボランまたはアルキ
    ルボランの部分酸化物を含有する請求項1の硬化性接着
    組成物。
  11. 【請求項11】 上記(c)成分が上記式(I)で表さ
    れる化合物の他に、さらに光重合開始剤を含有する請求
    項1の硬化性接着材組成物。
  12. 【請求項12】 37.5℃における粘度が100〜8,
    000cPの範囲にある請求項1の硬化性接着材組成
    物。
  13. 【請求項13】 上記(e)成分が平均粒径0.05〜
    10μmの酸化ジルコニウムフィラーでありそしてこれ
    を40〜80重量%で含有するか、上記(c)成分が平
    均粒径1〜10μmの球状シリカフィラーでありそして
    これを10〜30重量%で含有するかあるいは上記
    (e)成分が平均粒径1〜30μmの有機質複合フィラ
    ーでありそしてこれを10〜30重量%で含有する請求
    項3または4の硬化性接着材組成物。
  14. 【請求項14】 (a)分子内に酸性基を有する重合性
    単量体および(f)有機溶媒または水含有有機溶媒より
    なるプライマー組成物と、請求項1〜4いずれかの硬化
    接着材組成物とからなる歯科用接着材キット。
  15. 【請求項15】 プライマー組成物が、(a)成分と
    (f)成分の合計重量を基準として(a)成分が0.1
    ないし30重量%でありそして(f)成分が70〜9
    9.9重量%である請求項14の歯科用接着材キット。
  16. 【請求項16】 (a)分子内に酸性基を有する重合性
    単量体、(f)有機溶媒または水含有有機溶媒および
    (c)重合開始剤よりなるプライマー組成物と、請求項
    1〜4いずれかに記載の硬化性接着材組成物とからなる
    歯科用接着材キット。
  17. 【請求項17】 プライマー組成物が(a)、(f)お
    よび(c)成分の合計重量を基準にして、(a)成分が
    0.1〜20重量%、(f)成分が50〜97.95重量
    %および(c)成分が0.05〜15重量%である請求
    項16の歯科用接着材キット。
  18. 【請求項18】 (a)分子内に酸性基を有する重合性
    単量体、(g)上記(a)成分と共重合可能な重合性単
    量体、(f)有機溶媒または水含有有機溶媒および
    (c)重合開始剤よりなるプライマー組成物と、請求項
    1〜4いずれかの硬化性接着材組成物とからなる歯科用
    接着材キット。
  19. 【請求項19】 プライマー組成物が(a)、(f)、
    (g)および(c)成分の合計重量を基準にして、
    (a)成分が0.1〜20重量%、(f)成分が50〜
    97.95重量%、(g)成分が1〜15重量%および
    (c)成分が0.05〜15重量%である請求項18の
    歯科用接着材キット。
  20. 【請求項20】 (a’)4−(メタ)アクリロイルオ
    キシエチルトリメリット酸またはその無水物およびN−
    (メタ)アクリロイルアミノサリチル酸よりなる群から
    選択される少なくとも1種 1〜30重量%、 (f’)水含有エタノールおよび水含有アセトンよりな
    る群から選択される少なくとも1種 30〜90重量
    %、 (g’)オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレ
    ート1〜20重量%および(c’)芳香族スルフィン酸
    塩 1〜20重量%からなるプライマー組成物と (a’)4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメ
    リット酸またはその無水物およびN−(メタ)アクリロ
    イルアミノサリチル酸よりなる群から選択される少なく
    とも1種 1〜30重量%、 (b’)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
    2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセ
    ロール(メタ)アクリレート、エリスリトール(メタ)
    アクリレートおよびビスフェノール類のポリエポキシ化
    合物のポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種 30〜90重量%、 (c’)可視光増感剤であるd,l−カンファーキノン
    と、還元剤であるN−フェニルグリシン、N,N−ジア
    ルキルアミノ安息香酸および芳香族スルフィン酸塩より
    なる群から選択される少なくとも1種との組合せ 0.
    1〜5重量%、および (d’)分子内にオキシアルキレン基を有する(メタ)
    アクリレート 3〜20重量%からなり、かつ37.5
    ℃における粘度が100〜30,000cPの範囲内に
    ある可視光硬化性組成物とからなる歯科用接着材キッ
    ト。
  21. 【請求項21】 (a’)4−(メタ)アクリロイルオ
    キシエチルトリメリット酸またはその無水物およびN−
    (メタ)アクリロイルアミノサリチル酸よりなる群から
    選択される少なくとも1種 1〜30重量%、 (f’)水含有エタノールおよび水含有アセトンよりな
    る群から選択される少なくとも1種 30〜90重量%
    および (g’)オキシアルキレン基を有する(メタ)アクリレ
    ート 1〜20重量%からなるプライマー組成物と (a’)4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメ
    リット酸またはその無水物およびN−(メタ)アクリロ
    イルアミノサリチル酸よりなる群から選択される少なく
    とも1種 1〜30重量%、 (b’)2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
    2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセ
    ロール(メタ)アクリレート、エリスリトール(メタ)
    アクリレートおよびビスフェノール類のポリエポキシ化
    合物のポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選択さ
    れる少なくとも1種 10〜60重量%、 (c’)d,l−カンファーキノン、有機過酸化物およ
    び無機酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種
    と、還元剤であるN−フェニルグリシン、N,N−ジメ
    チル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−ト
    ルイジン、N,N−アルキルアミノ安息香酸および芳香
    族スルフィン酸塩よりなる群から選択される少なくとも
    1種 0.1〜10重量%、(d’)分子内にオキシア
    ルキレン基を有する(メタ)アクリレート 10〜60
    重量%および (e’)平均粒径0.05〜10μmの酸化ジルコニウ
    ムフィラー 40〜80重量%、平均粒径1〜10μm
    の球状シリカフィラー 10〜30重量%および平均粒
    径1〜30μmの有機質複合フィラー 10〜30重量
    %のいずれかを含有するフィラーからなり、かつ37.
    5℃における粘度が100〜30,000cPの範囲に
    ある常温硬化性組成物とからなる歯科用接着材キット。
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