JP3335143B2 - 歯科用治具および歯科用キット - Google Patents

歯科用治具および歯科用キット

Info

Publication number
JP3335143B2
JP3335143B2 JP21826599A JP21826599A JP3335143B2 JP 3335143 B2 JP3335143 B2 JP 3335143B2 JP 21826599 A JP21826599 A JP 21826599A JP 21826599 A JP21826599 A JP 21826599A JP 3335143 B2 JP3335143 B2 JP 3335143B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
meth
acrylate
component
group
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP21826599A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2000143428A (ja
Inventor
隆司 山本
正三 荒田
維平 曽
晴美 田中
剛志 馬場
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sun Medical Co Ltd
Original Assignee
Sun Medical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sun Medical Co Ltd filed Critical Sun Medical Co Ltd
Priority to JP21826599A priority Critical patent/JP3335143B2/ja
Publication of JP2000143428A publication Critical patent/JP2000143428A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3335143B2 publication Critical patent/JP3335143B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Dental Preparations (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は歯科用治具および歯
科用キットに関する。さらに詳しくは、プライマー組成
物や接着性組成物を歯牙に適用する際に利便な歯科用治
具およびそれを含有する歯科用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】歯質に対する接着材料は、歯質と修復材
料とを隙間なく強力に接着すること、かつ口腔内での作
業であるため可能な限り、簡単で短時間の作業で終了で
きることが望ましい。歯質にレジン修復材料を強固に接
着させるための歯質表面処理方法として、次の三通りが
主に採用されている。すなわち、第一にリン酸やクエン
酸などの水溶液をエナメル質および象牙質の表面に同時
に塗布することで脱灰して、その後水洗・乾燥するトー
タルエッチング法、第二にトータルエッチング法を行っ
た後の象牙質表面に更にプライマーを塗布して乾燥させ
るトータルエッチング−デンチンプライマー法、および
第三に、エナメル質のみにエッチングした後、残した象
牙質にはプライマーを適用するエナメルエッチング−デ
ンチンプライマー法である。
【0003】第一のトータルエッチング法は、エッチン
グ剤の塗布・水洗・乾燥のステップを踏むが大きな手間
はかからないため接着方法としては有効である。しかし
ながら、象牙細管を大きく開口させるために、その後の
接着材を塗布する際には患者に強い痛みを与える場合が
ある。また、象牙質への接着性がエナメル質に対しての
それよりも低い場合が多く、そのために象牙質と接着材
の界面に隙間を発生させ、二次カリエスまたは歯髄炎を
誘発させていた。第二の方法は、第一の方法の欠点を補
うために象牙質に対して更にプライマーを塗布して乾燥
させる方法である。これによってある程度の改善がなさ
れたものの、接着操作が増えるので患者に痛みをより多
く与えるばかりか、治療に手間がかかるようになった。
第三の方法は、患者に与える痛みを低減させる目的で、
エッチングをエナメル質にのみ行うことで象牙細管を開
口させずにプライマーを適用する方法である。この方法
における目的はほぼ達成されたが、塗り分け困難な小さ
く複雑な窩洞のエナメル質部分にのみエッチング剤を塗
布しなければならないこと、治療に手間がかかることな
どの問題解決には至らなかった。これは、エナメル質と
象牙質を同時に処理できて高い接着力を与えるプライマ
ーがないために発生した問題である。
【0004】一方、歯質に修復材料を強力に接着させる
ためには、歯質組織内に接着材料を十分に浸透させて確
実に硬化させることが重要であるとされている。歯質内
に接着材料成分を拡散させるために種々の拡散促進モノ
マーが提案され、これを含有した歯質接着性組成物が提
案されている。また、接着材料が浸透しやすくするため
の歯質表面処理として、エッチングなどの適用方法やプ
ライマーなどの組成物が提案されている。これらの接着
材料およびプライマー組成物は、歯質組織内に十分に浸
透しやすいように比較的粘度が低く設定されているのが
現状である。
【0005】また、接着界面を隙間なく封鎖するため
に、接着材料と比較して粘度の高い充填材(低粘性充填
材または低粘度レジンと呼ぶ)が提案されている(特開
昭63−162705号公報参照)。低粘度充填材は、
粘度が高くベタツキがあるため、接着界面への封鎖性を
向上させるためには有効である反面、歯質への浸透性が
低くなるため歯質との接着性が極めて乏しく、そのた
め、プライマーや接着材料と併用して使用されている。
【0006】従来の技術では、歯質に修復材料を隙間な
く強力に接着させるためには、エッチングおよび/もし
くはプライマー処理を行った歯面に接着材料を塗布して
硬化させ、さらに低粘度充填材で歯質表面を覆ってか
ら、コンポジットレジンなどの修復用充填材を填入する
ことが接着技術としては最も好ましいと考えられてい
た。しかしその反面、歯科治療に要する時間が非常に長
くなって患者に大変な苦痛を強いること、また、歯科医
師にとっても手間のかかる作業であることから、好まし
い治療方法とは言い難い。
【0007】接着性能については、これまで多くの接着
材および接着方法の提案がなされ、改善がなされてき
た。しかし、これらの提案における実験的な接着性能は
きわめて優れているにもかかわらず、実際の臨床的な評
価では性能が十分に発揮されずに満足されていない。こ
れは実験的な接着性能試験で行う接着面と実際の口腔内
における接着面の相違によるものと推測でき、特に接着
面の乾燥状態の違いが指摘されている。
【0008】従って、従来技術では、歯質に修復材料を
隙間なく強力に接着させるにあたり、医師や患者に大変
な苦痛や労力を長時間強いることとなり、さらに、接着
材料には、十分な乾燥状態を保つことができない口腔内
では、十分な接着性能を発揮できないなどの深刻な問題
を抱えている。
【0009】さらに使用する歯科用治具に着目すると、
従来はプライマーや修復用硬化性組成物を歯牙に適用す
る際に、その都度プライマーや硬化性組成物のための重
合開始剤を適量取り出したのち混合して歯牙へ適用する
のが通常の操作として確立されていた。そのため、プラ
イマーや硬化性組成物を歯牙に速やかに塗布することが
妨げられさらに重合開始剤の適量取り出しと混合という
手間のかかる操作を行う必要があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、歯科
用治具およびそれを含有する歯科用キットを提供するこ
とにある。本発明の他の目的は、歯牙に対して簡便な接
着操作で表面処理ができる歯質表面処理剤であるプライ
マー組成物あるいは歯牙、特に象牙質に対して簡便な接
着操作で、しかも湿潤した条件においても隙間なく接着
できる硬化性組成物を、煩雑な操作を必要とせずに、歯
牙に速やかに適用できる歯科用治具およびそれを含む歯
科用キットを提供することにある。
【0011】本発明のさらに他の目的および利点は以下
の説明から明らかになろう。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明の上記目的および
利点は、本発明によれば、第1に、硬化性組成物または
プライマー組成物を歯面に塗布する際に使用する治具で
あって、混合すると該組成物の保存安定性を損なう、該
組成物のための重合開始剤の1部または全部があらかじ
め適量該組成物から分割して該治具中に含有され保存さ
れており、分割した組成物と使用前に混合して使用され
歯科用治具によって達成される。また、本発明によれ
ば、本発明の上記目的および利点は、第2に、本発明の
歯科用治具を含有する歯科用キットによって達成され
る。以下に、本発明の歯科用治具の使用が好適なプライ
マー組成物および硬化性組成物、先ず、硬化性組成物に
ついて説明する。
【0013】本発明で好適に使用される硬化性組成物
は、第1に、(A1)(a)分子内に酸性基を有する重
合性単量体、(b)分子内に水酸基を有する重合性単量
体 および(c)重合開始剤からなりそしてこれらの
(a)、(b)および(c)成分の合計重量を基準にし
て、(a)成分が1〜50重量%、(b)成分が1〜9
8.99重量%および(c)成分が0.01〜50重量%
を占め、そして(B)37.5℃における粘度が100
〜30,000cPの範囲にある、ことを特徴とする硬
化性組成物である。
【0014】上記硬化性組成物は、水分が多く存在する
歯質の表面に対して、濡れ性、歯質反応性、歯質浸透性
を同時に合わせ持ち、生体硬組織に隙間なく、しかも簡
単に接着できる。
【0015】上記硬化性組成物を、歯質、特に象牙質に
使用する場合には、歯髄への安全性を考慮して、湿潤し
た歯質に対してそのまま接触させるのが好ましい。ま
た、状況に合わせて歯質表面を金属塩を含んでいてもよ
いリン酸水溶液、クエン酸水溶液またはEDTA水溶液
などのエッチング剤によって、あらかじめ歯牙の表面を
処理してから使用することもできる。
【0016】上記硬化性組成物における分子内に酸性基
を含有する重合性単量体(a)は、重合性基として、例
えば(メタ)アクリロイル基、スチリル基、ビニル基、
アリル基などを有するラジカル重合可能な不飽和基を挙
げることができる。重合性単量体(a)は1分子内に上
記の重合性基から選択される基を少なくとも1個含有し
ていればよい(以下に記述する重合性単量体における重
合性基は、すべてこれと同様に解釈されるべきであ
る)。
【0017】上記硬化性組成物において、上記のとお
り、(a)成分は分子内に酸性基を含有する重合性単量
体である。かかる重合性単量体における酸性基として
は、例えばカルボン酸基、リン酸基、チオリン酸基、ス
ルホン酸基およびスルフィン酸基などを挙げることがで
きる。(a)成分としてはこれらの酸性基のうちの少な
くとも1種を含んでいるのが好ましい。
【0018】(a)成分として使用できる重合性単量体
のうち、1分子中に少なくとも1個のカルボキシル基を
有する重合性単量体としては、モノカルボン酸、ジカル
ボン酸、トリカルボン酸およびテトラカルボン酸または
これらの誘導体を挙げることができ、例えば(メタ)ア
クリル酸、マレイン酸、p−ビニル安息香酸、11−
(メタ)アクリロイルオキシ−1,1−ウンデカンジカ
ルボン酸(メタクリレートの場合:MAC−10)、
1,4−ジ(メタ)アクリロイルオキシエチルピロメリ
ット酸、6−(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタ
レン−1,2,6−トリカルボン酸、4−(メタ)アクリ
ロイルオキシメチルトリメリット酸およびその無水物、
4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸
(メタクリレートの場合:4−MET)およびその無水
物(メタクリレートの場合:4−META)、4−(メ
タ)アクリロイルオキシブチルトリメリット酸およびそ
の無水物、4−[2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリ
ロイルオキシ]ブチルトリメリット酸およびその無水
物、2,3−ビス(3,4−ジカルボキシベンゾイルオキ
シ)プロピル(メタ)アクリレート、N,O−ジ(メ
タ)アクリロイルオキシチロシン、O−(メタ)アクリ
ロイルオキシチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキ
シチロシン、N−(メタ)アクリロイルオキシフェニル
アラニン、N−(メタ)アクリロイルp−アミノ安息香
酸、N−(メタ)アクリロイルO−アミノ安息香酸、N
−(メタ)アクリロイル5−アミノサリチル酸(メタク
リレートの場合:5−MASA)、N−(メタ)アクリ
ロイル4−アミノサリチル酸、2または3または4−
(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、2−ヒドロキシ
エチル(メタ)アクリレートとピロメリット酸二無水物
の付加生成物(メタクリレートの場合:PMDM)、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートと無水マレイ
ン酸または3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカル
ボン酸二無水物(メタクリレートの場合:BTDA)ま
たは3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無
水物の付加反応物、2−(3,4−ジカルボキシベンゾ
イルオキシ)1,3−ジ(メタ)アクリロイルオキシプ
ロパン、N−フェニルグリシンまたはN−トリルグリシ
ンとグリシジル(メタ)アクリレートとの付加物、4−
[(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシ
プロピル)アミノ]フタル酸、3または4−[N−メチ
ルN−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオ
キシプロピル)アミノ]フタル酸などを挙げることがで
きる。このうち、MAC−10、4−MET、4−ME
TAおよび5−MASAが好ましく用いられる。これら
のカルボキシル基を含有する重合性単量体は単独でまた
は組み合わせて使用できる。
【0019】(a)成分として使用できる重合性単量体
のうち、1分子中に少なくとも1個のリン酸基を有する
重合性単量体としては、例えば2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルアシドホスフェート、2および3−(メ
タ)アクリロイルオキシプロピルアシドホスフェート、
4−(メタ)アクリロイルオキシブチルアシドホスフェ
ート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシルアシド
ホスフェート、8−(メタ)アクリロイルオキシオクチ
ルアシドホスフェート、10−(メタ)アクリロイルオ
キシデシルアシドホスフェート、12−(メタ)アクリ
ロイルオキシドデシルアシドホスフェート、ビス{2−
(メタ)アクリロイルオキシエチル}アシドホスフェー
ト、ビス{2または3−(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピル}アシドホスフェート、2−(メタ)アクリロイ
ルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルp−メトキシフェニルア
シドホスフェートなどを挙げることができる。これらの
化合物におけるリン酸基は、チオリン酸基に置き換える
ことができる。このうち、2−(メタ)アクリロイルオ
キシエチルフェニルアシドホスフェート、10−(メ
タ)アクリロイルオキシデシルアシドホスフェートが好
ましく用いられる。これらのリン酸基を有する重合性単
量体は単独でまたは組み合わせて使用できる。
【0020】(a)成分として使用できる重合性単量体
のうち、1分子中に少なくとも1個のスルホン酸基を有
する重合性単量体としては、例えば2−スルホエチル
(メタ)アクリレート、2または1−スルホ−1または
2−プロピル(メタ)アクリレート、1または3−スル
ホ−2−ブチル(メタ)アクリレート、3−ブロモ−2
−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレート、3−メ
トキシ−1−スルホ−2−プロピル(メタ)アクリレー
ト、1,1−ジメチル−2−スルホエチル(メタ)アク
リルアミドなどを挙げることができる。このうち、2−
メチル−2−(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン
酸が好ましく用いられる。これらのスルホン酸基を有す
る重合性単量体は単独でまたは組み合わせて使用でき
る。上記の(a)成分はすべて単独でまたは組み合わせ
て使用することができる。
【0021】上記硬化性組成物において、(b)成分は
分子内に水酸基を含有する重合性単量体である。さら
に、これらの水酸基含有する重合性単量体は、さらに分
子内にカルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、水酸
基、アミノ基、グリシジル基などの官能基を併せて含有
することもできる。
【0022】(b)成分として使用できる重合性単量体
としては、例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量
体では、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、
2または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−
ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロ
キシヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシ
デシル(メタ)アクリレ−ト、1,2−または1,3−お
よび2,3−ジヒドロキシプロパン(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、
トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポ
リエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプ
ロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水
酸基含有の(メタ)アクリレート類;メチロール(メ
タ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイル−2,
3−ジヒドロキシプロピルアミン、N−(メタ)アクリ
ロイル−1,3−ジヒドロキシプロピルアミンなどの水
酸基含有の(メタ)アクリルアミド類;2−ヒドロキシ
−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(メタ
クリレートの場合HPPM)、2−ヒドロキシ−3−ナ
フトキシプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレー
トの場合HNPM)、1モルのビスフェノールAと2モ
ルのグリシジル(メタ)アクリレート(メタクリレート
のの場合GMA)の付加反応生成物(メタクリレートの
場合Bis−GMA)などのGMAと脂肪族もしくは芳
香族ポリオール(フェノールを含む)との付加生成物な
どを挙げることができる。これらの重合性単量体は単独
でもしくは組み合わせて使用できる。
【0023】このうち、(b)成分としては、水への溶
解度が0.5g/100cc以上を示すものを使用する
ことが特に好ましい。これは、水分を多く含む接着界面
に対しても硬化性組成物を容易に歯質組織内に浸透させ
る役割を果たすと推察される。 本明細書において溶解
度は次のように定義される。すなわち、1分子中に少な
くとも1個の水酸基を有する単官能(メタ)アクリレー
ト系単量体の水への溶解度は、100重量部の水に0.
5重量部の上記の(メタ)アクリレート系単量体を加
え、25℃の水中で10分間振とうした。その後、25
℃で10分間静置して、視覚にて溶液が相分離している
場合あるいは溶液が濁っている場合には溶解度を0.5
g/100cc未満とし、透明に溶解している場合は溶
解度を0.5g/100cc以上とした。
【0024】水への溶解度が0.5g/100cc以上
を示す(b)成分としては、例えば2−ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、2−または3−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル
(メタ)アクリレート、5−ヒドロキシペンチル(メ
タ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)ア
クリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレ
ート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、テトラプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレ
ート、1,3−または2,3−ジヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、N−(メタ)アクリロイル−2,3
−ジヒドロキシルプロピルアミン、N−(メタ)アクリ
ロイル−1,3−ジヒドロキシルプロピルアミンなどを
挙げることがきる。これらの単量体は単独でまたは組み
合わせて使用できる。これらの重合性単量体のうち、2
−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(メタクリレ
ートの場合HEMA)が特に好ましく、(a)から
(c)成分の合計100重量部のうち、(b)成分の少
なくとも一部として40〜98.99重量部の範囲で含
有することが好ましい。
【0025】上記硬化性組成物において、(c)成分は
重合開始剤である。かかる重合開始剤としては、有機過
酸化物、無機過酸化物、アルキルボラン、アルキルボラ
ンの部分酸化物、α−ジケトン化合物、有機アミン化合
物、有機スルフィン酸、有機スルフィン酸塩、無機硫黄
化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。
これらは1種または2種以上用いることができる。これ
らの重合開始剤は、便宜上、常温化学重合タイプ、光重
合タイプ、またはこれらの複合したデュアルタイプなど
が挙げられる。常温化学重合タイプで使用される過酸化
物(重合開始剤)としては、例えばジアセチルペルオキ
シド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシ
ド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシ
ド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BP
O)、p,p'−ジクロルベンゾイルペルオキシド、p,
p'−ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p'−ジ
メチルベンゾイルペルオキシド、p,p'−ジニトロジベ
ンゾイルペルオキシドなどの有機過酸化物および過硫酸
アンモニウム、過硫酸カリウム、塩素酸カリウム、臭素
酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物
を挙げることができる。これらのうちでは、BPOが好
ましい。
【0026】また、光重合タイプで使用される重合開始
剤としては、紫外光線もしくは可視光線を照射すること
によって光重合することができる重合開始剤である。か
かる光重合の際に使用できる重合開始剤に特に制限はな
いが、例えばベンジル、4,4'−ジクロロベンジル、ベ
ンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチ
ルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾ
フェノン、9,10−アントラキノン、ジアセチル、d,
l−カンファーキノン(CQ)の如きジケトン化合物な
どの紫外線または可視光線増感剤が挙げられる。
【0027】常温化学重合もしくは光重合タイプによっ
て重合を行う際には、還元性化合物を併用することがで
きる。ここで、有機還元性化合物としては、例えばN,
N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルp−トルイジ
ン(DMPT)、N,N−ジエチルp−トルイジン、
N,N−ジエタノールp−トルイジン(DEPT)、
N,N−ジメチルp−tert−ブチルアニリン、N,N
−ジメチルアニシジン、N,N−ジメチルp−クロルア
ニリン、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリ
レート、N,N−ジメチルアミノ安息香酸およびそのア
ルキルエステル、N,N−ジエチルアミノ安息香酸(D
EABA)およびそのアルキルエステル、N,N−ジメ
チルアミノベンツアルデヒド(DMABAd)などの芳
香族アミン類;N−フェニルグリシン(NPG)、N−
トリルグリシン(NTG)、N,N−(3−メタクリロ
イルオキシ−2−ヒドロキシプロピル)フェニルグリシ
ン(NPG−GMA)などを併用することができる。こ
れらの中では、DMPT、DEPT、DEABA、DM
ABAd、NPG、NTGが好ましく使用できる。
【0028】特に、上記硬化性組成物を確実に硬化さ
せ、さらに歯質に対する接着性を向上させるためには、
下記の一般式(I)
【0029】
【化1】
【0030】ここで、R1およびR2は互いに独立に水素
原子であるかあるいは官能基もしくは置換基を有してい
てもよいアルキル基でありそしてR3は水素原子または
金属原子である、または、下記一般式(II)
【0031】
【化2】
【0032】ここで、R4およびR5は互いに独立に水素
原子またはアルキル基でありそしてR 6は水素原子であ
るかあるいは官能基もしくは置換基を有していてもよい
アルキル基またはアルコキシル基である、
【0033】で表わされるアミン化合物の少なくとも一
種を含有させることが好ましい。
【0034】一般式(I)に含まれるアミン化合物とし
て、例えば既に記載したNPG、NTGおよびNPG−
GMAなどを挙げることができる。このうちNPGが特
に好ましく用いられる。一般式(II)に含まれるアミ
ン化合物としては、既に記載したN,N−ジメチルアミ
ノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N−ジエ
チルアミノ安息香酸(DEABA)およびそのアルキル
エステルの他、N,N−ジプロピルアミノ安息香酸およ
びそのアルキルエステル、N,−イソプロピルアミノ安
息香酸およびそのアルキルエステル、N,−イソプロピ
ル−N−メチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエス
テルなどで代表される脂肪族アルキルアミノ安息香酸お
よびそのアルキルエステル類;DMABAd、N,N−
ジエチルアミノベンツアルデヒド、N,N−ジプロピル
アミノベンツアルデヒド、N,−イソプロピル−N−メ
チルアミノベンツアルデヒドなどで代表される脂肪族ア
ルキルアミノベンツアルデヒド類;N,N−ジメチルア
ミノアセチルベンゼン、N,N−ジエチルアミノアセチ
ルベンゼン、N,N−ジプロピルアミノアセチルベンゼ
ン、N,−イソプロピルアミノアセチルベンゼン、N,−
イソプロピル−N−メチルアミノアセチルベンゼンなど
で代表される脂肪族アルキルアミノアセチルベンゼンお
よび脂肪族アルキルアミノアシルベンゼン類などを挙げ
ることができる。これらのアミン化合物は単独であるい
は組み合わせて使用できる。
【0035】また、還元性化合物としては、その他、例
えばベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン
酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフ
ィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼ
ンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタ
リンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸またはその
塩類を併用することもできる。
【0036】無機還元性化合物としては、硫黄を含有す
る還元性無機化合物が好ましく使用できる。かかる化合
物としては、水または水系溶媒などの媒体中でラジカル
重合性単量体を重合させる際に使用できるレドックス重
合開始剤としての使用される還元性無機化合物が好まし
く、例えば亜硫酸、重亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫
酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1亜2チオン酸、1,2チ
オン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩が挙
げられる。このうち亜硫酸塩が好ましく用いられ、特に
亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリ
ウム、亜硫酸水素カリウムが好ましい。これらの還元性
無機化合物は単独でもしくは組み合わせて使用できる。
【0037】上記硬化性組成物は、上記(a)、(b)
および(c)の各成分について、これら(a)、(b)
および(c)成分の合計100重量部当り、(a)成分
を1〜50重量部、(b)成分を1〜98.99重量部
および(c)成分を0.01〜50重量部の範囲で含有
するのが好ましい。さらに好ましくは(a)成分が1〜
30重量部、(b)成分が3〜90重量部および(c)
成分が0.1〜20重量部の範囲で使用される。
【0038】上記硬化性組成物は、上記(a)、(b)
および(c)各成分の他に、さらに、(d)上記
(a)、(b)成分と共重合可能な他の重合性単量体
および(e)有機質フィラー、無機質フィラーおよび有
機質複合フィラーよりなる群から選ばれる少なくとも1
種のフィラー、の少なくとも1種を含有することができ
る。
【0039】以下、上記(d)、(e)成分の両方を含
まないものを第1の硬化性組成物といい、(d)成分の
みを含有する硬化性組成物を第2の硬化性組成物とい
う。(d)成分は(a)および(b)成分の少なくとも
いずれか一方と共重合可能な重合性単量体である。かか
る重合性単量体は、例えば(メタ)アクリロイル基、ス
チリル基、ビニル基、アリル基などを有するラジカル重
合可能な不飽和基を有する単量体を挙げることができ
る。1分子内にこれらの重合性基から選択される基が少
なくとも1個含有していればよい。さらに、これらの重
合性単量体は、分子内にカルボキシル基、リン酸基、ス
ルホン酸基、水酸基、アミノ基、グリシジル基などの官
能基を含有することができる。
【0040】(d)成分として使用できる重合性単量体
としては、例えば(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)
アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メ
タ)アクリル酸ブチル、ネオペンチルグリコールジ(メ
タ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂肪族エ
ステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ト
リエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタ
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート類;プロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレング
リコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレングリコ
ールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート類;上記のポリエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート類のどちらか一方
の(メタ)アクリロイル基がメチル基およびエチル基な
どに置換されたモノ(メタ)アクリレート類;2−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートまたは
2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート
または1,3,5−トリメチルヘキサメチレンジイソシア
ネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートの
付加物などのウレタン結合を有する(メタ)アクリレー
ト類;ビスフェノールAにオキシエチレンを付加させた
生成物にさらに(メタ)アクリル酸を縮合させた2,2
−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエトキシ
フェニル)プロパン類;スチレン、4−メチルスチレ
ン、4−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼンなど
のスチレン誘導体類;酢酸ビニルなどを挙げることがで
きる。これらの重合性単量体は単独で、もしくは組み合
わせて使用できる。
【0041】上記(d)成分として、上記に挙げた種々
の重合性単量体はそれぞれ単独でまたは組み合わせて使
用することができる。
【0042】第2の硬化性組成物において、これらの
(a)、(b)および(c)成分の合計重量を基準にし
て、(a)成分が1〜50重量%、(b)成分が1〜9
8.99重量%および(c)成分が0.01〜50重量%
を占め、また(d)成分は(a)、(b)、(c)およ
び(d)成分の合計重量を基準にして3〜50重量%含
有される。
【0043】第1および第2の硬化性組成物は、37.
5℃における粘度が100〜30,000cPの範囲内
にあることが必要である。37.5℃における粘度は、
好ましくは100〜20,000cPであり、より好ま
しくは100〜8,000cPである。この粘度範囲の
組成物を使用することによって、特に、歯質との接着界
面に隙間なく優れた封鎖性および接着性を発揮する。上
記硬化性組成物の粘度は、E型粘度計を用いて37.5
℃で測定したものである。
【0044】上記(d)、(e)成分のうち、(e)成
分のみを含有する硬化性組成物を第3の硬化性組成物と
いう。
【0045】第3の硬化性組成物のうち、(e)成分
は、有機質フィラー、無機質フィラーおよび有機質複合
フィラーから選択される少なくとも1種のフィラーであ
る。有機質フィラーとしては、重合体の粉砕もしくは分
散重合によって得られた粉末重合体のフィラーや架橋剤
を含む重合性単量体を重合させた後粉砕して得られたフ
ィラーを挙げることができる。ここで、使用できるフィ
ラーの原料となる重合性体としては特に限定はないが、
(b)成分もしくは(d)成分で例示した重合性単量体
の単独重合体もしくは共重合体を好ましいものとして挙
げることができる。例えばポリメタクリル酸メチル(P
MMA)、ポリメタクリル酸エチル、ポリメタクリル酸
プロピル、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリ
酢酸ビニル(PVAc)、ポリエチレングリコール(P
EG)やポリプロピレングリコール(PPG)、ポリビ
ニルアルコール(PVA)などを挙げることができる。
【0046】無機質フィラーとしては、例えばシリカ、
シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス(バ
リウムガラスを含む)、チタニア、ジルコニア、炭酸カ
ルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウ
ム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、酸化チタン、リン
酸カルシウムなどを挙げることができる。
【0047】有機質複合フィラーとしては、前述した無
機質フィラー表面を重合性単量体で重合して被覆した
後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。
具体的には、無機質フィラーのうちの微粉末シリカまた
は酸化ジルコニウムなどをトリメチロールプロパントリ
(メタ)アクリレート(TMPT)を主成分とする重合
性単量体で重合被覆し、得られた重合体を粉砕したフィ
ラー(TMPT・f)を挙げることができる。
【0048】硬化性組成物をレジンセメントとして使用
する場合、(e)成分として特に好ましいものは、平均
粒径0.05〜10μmの酸化ジルコニウムフィラー4
0〜80重量部、平均粒径1〜10μmの球形シリカフ
ィラー10〜30重量部および平均粒径1〜30μmの
有機複合フィラー10〜30重量部の範囲で含有するフ
ィラーである。さらに、ここで使用する酸化ジルコニウ
ムは(b)成分に溶解しうる重合体、例えばPMMAや
ポリ酢酸ビニル(PVAc)などで被覆された平均粒径
5〜30μm、特に1〜30μmのフィラーであること
が好ましい。
【0049】第3の硬化性組成物において、(a)、
(b)および(c)成分の合計重量を基準にして、
(a)成分が1〜50重量%、(b)成分が1〜98.
99重量%および(c)成分が0.01〜50重量%を
占め、また(e)成分は(a)、(b)、(c)および
(e)成分の合計重量を基準にして15〜85重量%含
有される。
【0050】さらに、硬化性組成物は、上記(d)およ
び(e)成分の両方を含有することができる。(d)お
よび(e)成分の両方を含有する硬化性組成物を第4の
硬化性組成物という。
【0051】第4の硬化性組成物において、(d)およ
び(e)成分については、それぞれ第2および第3の硬
化性組成物に相当する説明がそのまま適用されると理解
されるべきである。
【0052】第4の硬化性組成物において、(a)、
(b)および(c)成分の合計重量を基準にして、
(a)成分が1〜50重量%、(b)成分が1〜98.
99重量%および(c)成分が0.01〜50重量%を
占め、(d)成分は(a)、(b)、(c)および
(d)成分の合計重量を基準にして3〜50重量%を占
め、また(e)成分は(a)、(b)、(c)、(d)
および(e)成分の合計重量を基準にして15〜85重
量%を占める。
【0053】第3および第4の硬化性組成物は、(e)
成分を使用することによって容易に粘度を変化させるこ
とができ、37.5℃における粘度を100〜30,00
0cPの範囲内に調整することができる。しかし、第1
もしくは第2の硬化性組成物とは取り扱い上異なる性質
となる場合があるため、第3および第4の硬化性組成物
に関しては、粘度による特定よりも(e)成分の重量範
囲による特定の方が好ましい。
【0054】第1から第4の硬化性組成物は、上記
(a)から(e)成分を予め混合して歯質に適用するこ
とができる。これらの成分の混合物が長期にわたり形態
や性能が変化し、本来の効果を損なう恐れがある場合に
は、各成分を単独であるいは任意の組み合せで分割して
保存し使用前に混合して硬化性組成物とすることができ
る。
【0055】硬化性組成物の保存の方法としては、例え
ばa/b(/d/e)成分の混合物とC成分の2つに分
割する場合、a/b(/d/e)成分の混合物とb(/
d/e)/c成分の混合物に分割する場合が挙げられ、
これらの混合物は別々の容器に入れられキットに収容さ
れて製品として提供できる。また、(c)成分が、例え
ばBPOないしはCQとアミンからなる2成分の場合に
はa/b/c(BPOないしはCQ)(/d/e)成分
の混合物とB(/d/e)/c{アミン、例えばN,N
−ジメチルp−トルイジン(DMPTと略記)}成分の
混合物などを挙げることができる。また、(c)成分の
一部ないしは全部を、あらかじめ、硬化性組成物を歯面
に塗布する際に使用する治具に含有させて、使用直前に
(a)、(b)、(d)および(e)成分と治具とを接
触させて硬化性組成物をその場で調製し、そのまま歯面
に塗布することもできる。歯面に塗布する治具として
は、筆、繊維球または布、スポンジ球またはスポンジ片
などが好ましいものとして挙げることができるが、これ
に限定されるものではない。
【0056】すなわち、本発明によれば、上記硬化性組
成物のいずれかを歯面に塗布する際に使用する治具に予
め(c)成分の1部または全部を含有せしめ、次いで
(a)、(b)、場合により(d)、および場合により
(c)成分の1部を該治具と接触せしめて該治具上で該
硬化性組成物を調製し、調製後速やかに歯面に塗布する
ことができる。
【0057】これによって、例えば硬化性組成物を二つ
の容器に分割して使用直前に混合して用いる方法に比較
して、手間が省け、また、容器から直接に硬化性組成物
を必要量だけスポンジなどの治具に接触させることによ
って、混合容器などを用いずに経済的に使用することが
できる。上記硬化性組成物を歯質表面に適用させたの
ち、その上に歯科用修復レジンを適用することによっ
て、歯の修復が有利に行なわれる。
【0058】さらに、本発明で好適に使用されるプライ
マー組成物は、第2に、(a)分子内に酸性基を有する
重合性単量体 および(f)有機溶媒および水含有有機
溶媒よりなる群から選ばれる溶媒からなるプライマー組
成物である。
【0059】上記プライマー組成物または歯質表面処理
剤は、エナメル質および象牙質の表面を同時に処理で
き、かつ歯質に接着材を適用するに好適である。
【0060】上記歯質表面処理剤において、(a)成分
は分子内に酸性基を含有する重合性単量体である。かか
る単量体の重合性基としては、例えば(メタ)アクリロ
イル基、スチリル基、ビニル基、アリル基などを有する
ラジカル重合可能な不飽和基を挙げることができる。1
分子内にこれらの重合性基から選択される基が少なくと
も1個含有していればよい(以下に記述する重合性単量
体における重合性基は、すべてこれと同様に解釈される
べきである)。更に、これらの酸性基を含有する重合性
単量体は、分子内にカルボキシル基、リン酸基、スルホ
ン酸基、水酸基、アミノ基、グリシジル基などの官能基
を併せて含有することもできる。
【0061】かかる(a)成分の重合性単量体として
は、前記硬化性組成物について(a)成分として例示し
たものと同じものを例示できる。
【0062】上記歯質表面処理剤のうち、(f)成分は
有機溶媒もしくは水含有有機溶媒である。かかる有機溶
媒としては(a)もしくは後述する(g)成分を均一に
溶解させるか、もしくは分散させるものを挙げることが
でき、さらに、水と混合できるものが特に好ましく用い
られる。例えばメタノール、エタノール(EtOH)、
プロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエ
チルケトンなどのケトン類;テトラヒドロフラン(TH
F)などのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド
などのアミド類などを挙げることができる。歯髄への毒
性や刺激性を考慮して、これらの有機溶媒のうち、エタ
ノールやアセトンを用いることが特に好ましい。
【0063】また、(f)成分は、上記のとおり、水を
含有することができる。ここで使用できる水としては、
例えば蒸留水、イオン交換水または生理食塩水などが挙
げられ、特に蒸留水およびイオン交換水が好ましく用い
られる。従って、(f)成分の有機溶媒は水との混合物
として使用できる。この場合、水とエタノールの混合溶
液もしくは水とアセトンの混合溶液が特に好ましく用い
られる。
【0064】上記歯質表面処理剤は、上記(a)および
(f)成分の合計100重量部としたとき、(a)成分
を0.1〜30重量部および(f)成分を70〜99.9
重量部の範囲で含有することができる。さらに好ましく
は、(a)成分が1〜20重量部および(f)成分が8
0〜99重量部の範囲で使用される。
【0065】上記歯質表面処理剤は、上記(a)および
(f)成分の他に、さらに(g)上記(a)成分と共重
合可能な重合性単量体 および(c)重合開始剤よりな
る群から選ばれる少なくともいずれか一方を含有するこ
とができる。
【0066】上記(g)成分は、(a)成分と共重合可
能な重合性単量体である。かかる重合性単量体として特
に制限はないが、例えば(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピ
ル、(メタ)アクリル酸ブチル、ネオペンチルグリコー
ルジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパント
リ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の脂
肪族エステル類;エチレングリコールジ(メタ)アクリ
レート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレー
ト、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ペンタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノ
ナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラ
デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの
ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート類;プ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピ
レングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナプロピレン
グリコールジ(メタ)アクリレートなどのポリプロピレ
ングリコールジ(メタ)アクリレート類;上記のポリエ
チレングリコールジ(メタ)アクリレートおよびポリプ
ロピレングリコールジ(メタ)アクリレート類のどちら
か一方の(メタ)アクリロイル基がメチル基およびエチ
ル基などに置換されたモノ(メタ)アクリレート類;2
−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートま
たは2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネ
ートまたは1,3,5−トリメチルヘキサメチレンジイソ
シアネートと2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
トの付加物などのウレタン結合を有する(メタ)アクリ
レート類;ビスフェノールAにオキシエチレンを付加さ
せた生成物にさらに(メタ)アクリル酸を縮合させた
2,2−ビス(4−(メタ)アクリロイルオキシポリエ
トキシフェニル)プロパン類;スチレン、4−メチルス
チレン、4−クロルメチルスチレン、ジビニルベンゼン
などのスチレン誘導体類;酢酸ビニルなどを挙げること
ができる。これらの重合性単量体は単独でもしくは組み
合わせて使用できる。
【0067】同様に、(g)成分として使用できる重合
性単量体として、分子内に水酸基を含有する重合性単量
体を挙げることができる。これらの重合性単量体として
は、例えば(メタ)アクリロイル基を有する単量体とし
ては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2
または3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5−ヒド
ロキシペンチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシ
ヘキシル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシ
ル(メタ)アクリレ−ト、1,2−または1,3−および
2,3−ジヒドロキシプロパン(メタ)アクリレート、
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタ
エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエ
チレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピ
レングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの水酸基
含有の(メタ)アクリレート類;メチロール(メタ)ア
クリルアミド、N−(メタ)アクリロイル−2,3−ジ
ヒドロキシプロピルアミン、N−(メタ)アクリロイル
−1,3−ジヒドロキシプロピルアミンなどの水酸基含
有の(メタ)アクリルアミド類;2−ヒドロキシ−3−
フェノキシプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレ
ートの場合HPPM)、2−ヒドロキシ−3−ナフトキ
シプロピル(メタ)アクリレート(メタクリレートの場
合HNPM)、1モルのビスフェノールAと2モルのグ
リシジル(メタ)アクリレート(メタクリレートのの場
合GMA)の付加反応生成物(メタクリレートの場合B
is−GMA)などのGMAと脂肪族もしくは芳香族ポ
リオール(フェノールを含む)との付加生成物などを挙
げることができる。これらの重合性単量体は単独でもし
くは組み合わせて使用できる。
【0068】また、上記(c)成分の重合開始剤につい
ては、前記硬化性組成物について記述した前記重合開始
剤についての説明がそのまま適用されると理解されるべ
きである。
【0069】上記歯質表面処理剤において、(a)、
(f)、(g)および(c)成分の合計重量を基準にし
て、(a)成分が0.1〜30重量%、(f)成分が7
0〜99.9重量%、(g)成分が0〜30重量%およ
び(c)成分が0〜20重量%であるのが好ましい。さ
らに好ましくは、(a)成分が0.1〜20重量%、
(f)成分が50〜97.95重量%、(c)成分が0.
05〜15重量%および(g)成分が1〜15重量%の
範囲で使用される。
【0070】上記歯質表面処理剤は、上記(a)、
(f)、(g)および(c)成分を予め混合して歯質に
適用することができる。これらの成分の混合物が長期に
わたり形態や性能が変化して本来の効果を損なう恐れが
ある場合には、各成分を単独であるいは任意の組合せで
分割して保存し使用前に混合して硬化性組成物とするこ
とができる。
【0071】歯質表面処理剤の保存の方法として、例え
ばa/f/g成分の混合物とC成分の2つに分割する場
合、a/f/g成分の混合物とf/c成分の混合物に分
割する場合などがある。分割の方法はこれらの組み合わ
せに限定されるものではない。これらの混合物や成分を
別々の容器に入れ、キットとして収容し製品として提供
できる。上記歯質表面処理剤を歯質表面に適用した後、
その上に歯科用修復レジンおよび/または歯質接着性硬
化性組成物を適用することにより、歯の修復を有利に行
なうことができる。
【0072】上記歯質表面処理剤と前記硬化性組成物と
の組合せでは、歯面に上記歯質表面処理剤を先ず施し、
次いで前記硬化性組成物を適用する歯面の処理方法が実
施できる。かかる処理方法として、具体的に特に好まし
い方法は次の2つの方法である。
【0073】第1の好ましい態様は、(a')4−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸またはそ
の無水物およびN−(メタ)アクリロイルアミノサリチ
ル酸よりなる群から選択される少なくとも1種 1〜3
0重量%、(f')水含有エタノールおよび水含有アセ
トンよりなる群から選択される少なくとも1種 30〜
90重量%、(g')オキシアルキレン基を有する(メ
タ)アクリレート 1〜20重量%および(c')芳香
族スルフィン酸塩 1〜20重量%からなるプライマー
組成物を歯面に施し、次いで(a')4−(メタ)アク
リロイルオキシエチルトリメリット酸またはその無水物
およびN−(メタ)アクリロイルアミノサリチル酸より
なる群から選択される少なくとも1種 1〜30重量
%、(b')2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グ
リセロール(メタ)アクリレート、エリスリトール(メ
タ)アクリレートおよびビスフェノール類のポリエポキ
シ化合物のポリ(メタ)アクリレートよりなる群から選
択される少なくとも1種 30〜90重量%、(c')
可視光増感剤であるd,l−カンファーキノンと、還元
剤であるN−フェニルグリシン、N,N−ジアルキルア
ミノ安息香酸および芳香族スルフィン酸塩よりなる群か
ら選択される少なくとも1種との組合せ 0.1〜5重
量%、および(d')分子内にオキシアルキレン基を有
する(メタ)アクリレート 3〜20重量%、からな
り、かつ37.5℃における粘度が100〜30,000
cP、好ましくは100〜20,000cP、さらに好
ましくは100〜8,000cPの範囲内にある可視光
硬化性組成物を適用することを特徴とする歯面の処理方
法である。
【0074】第2の好ましい態様は、(a')4−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸またはそ
の無水物およびN−(メタ)アクリロイルアミノサリチ
ル酸よりなる群から選択される少なくとも1種 1〜3
0重量%、(f')水含有エタノールおよび水含有アセ
トンよりなる群から選択される少なくとも1種 30〜
90重量% および(g')オキシアルキレン基を有す
る(メタ)アクリレート 1〜20重量%からなるプラ
イマー組成物を歯面に施し、次いで(a')4−(メ
タ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸またはそ
の無水物およびN−(メタ)アクリロイルアミノサリチ
ル酸よりなる群から選択される少なくとも1種 1〜3
0重量%、(b')2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、グリセロール(メタ)アクリレート、エリスリトー
ル(メタ)アクリレートおよびビスフェノール類のポリ
エポキシ化合物のポリ(メタ)アクリレートよりなる群
から選択される少なくとも1種 10〜60重量%、
(c')d,l−カンファーキノン、有機過酸化物および
無機酸化物よりなる群から選択される少なくとも1種
と、還元剤であるN−フェニルグリシン、N,N−ジメ
チル−p−トルイジン、N,N−ジエタノール−p−ト
ルイジン、N,N−アルキルアミノ安息香酸および芳香
族スルフィン酸塩よりなる群から選択される少なくとも
1種 0.1〜10重量%、(d')分子内にオキシアル
キレン基を有する(メタ)アクリレート 10〜60重
量% および(e')平均粒径0.05〜10μmの酸化
ジルコニウムフィラー 40〜80重量%、平均粒径1
〜10μmの球状シリカフィラー 10〜30重量%お
よび平均粒径1〜30μmの有機質複合フィラー 10
〜30重量%のいずれかを含有するフィラーからなり、
かつ37.5℃における粘度が100〜30,000cP
の範囲にある常温硬化性組成物を適用する歯面の処理方
法である。
【0075】以下実施例により本発明をさらに詳述す
る。接着力の評価は、前記硬化性組成物をコンポジット
レジン用のボンディング材として、またはレジンセメン
トとして調製し、以下の方法で行った。
【0076】新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結
し保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍し
た牛歯をエナメル質および象牙質が露出するように回転
式研磨機ECOMET-III(BUEHLER製)で注水、指圧下で
耐水エメリー紙#600番まで研削し、平滑な面を得
た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して、直ち
に接着面積を規定するための直径5.1mmの円孔のあ
いたセロハンテープを張り付け、再度水中に浸漬した。
水中に最低1分間浸漬した牛歯を取り出し、接着面を綿
球で軽く水分をぬぐい取った。この表面にはまだ水分が
かなり残っており、湿潤表面として接着試験に使用し
た。
【0077】コンポジットレジン用ボンディング材と
しての応用 硬化性組成物をスポンジ(スーパーボンドC&B付属
品、サンメディカル製)にて塗布して、気銃にて軽くエ
アーを約5秒間吹きかけた。可視光照射器(Translux C
L, Kulzer)にて20秒間光照射して硬化性組成物を硬
化させた。片面に粘着材のついた内径5.1mmの厚紙
を置いて固定し、この穴にコンポジットレジン(Silux
Plus, 3M)を充填して、厚さ50μmのポリエステルフ
ィルムで覆った。このフィルムの上から可視光照射器
(Translux CL, Kulzer)にて40秒間光照射してコン
ポジットレジンを硬化させた後、フィルムを剥がし、メ
タファースト(サンメディカル)にてアクリル棒を植立
して15分間静置した。
【0078】レジンセメントとしての応用 前記第3の硬化性組成物において、液成分と粉成分に分
けて保存して両者を使用直前にダッペングラス中で混和
するか、または練和紙上で十分に練和して接着規定面に
塗布してアクリル棒を植立させ、15分間静置した。
【0079】上記のまたはの方法によって作製した
サンプルを37℃の水中に24時間浸漬した後、引っ張
り接着試験(クロスヘッドスピード2mm/min)を
行った。
【0080】歯質とコンポジットレジンとの界面の隙間
(ギャップ)の測定は、以下の方法で行った。ただし、
レジンセメントの場合は測定しなかった。
【0081】歯質と修復物との封鎖性を確認するため、
解凍した牛歯をエナメル質および象牙質が露出するよう
に回転式研磨機ECOMET-III(BUEHLER製)を用いて注
水、指圧下で耐水エメリー紙#600まで研削し平滑な
面を得た。φ3×3mmの窩洞を注水下でダイヤモンド
ポイントを用いて形成した。硬化性組成物をスポンジを
用いて窩洞内の表面に塗布して軽くエアブローして窩洞
上部から可視光照射器(Translux CL, Kulzer)にて2
0秒間光照射して硬化させた。さらにコンポジットレジ
ンを充填して同様に40秒間光照射して硬化させた。表
面を#600まで注水下で研磨して平滑にした後、塩基
性フクシン水溶液中に1分間浸漬して水洗した。気銃に
て乾燥した状態での隙間(ギャップ)を光学顕微鏡にて
観測し、さらにギャップの生じた部分に認められる着色
を目視にて確認し、隙間の有無を判定した。
【0082】硬化性組成物の粘度は1.0ccの硬化性
組成物を使用し、37.5℃においてE型粘度計(東京
計器)を用いて測定した。
【0083】
【実施例】実施例1 コンポジットレジン用のボンディング材としての硬化性
組成物は、以下のように調製した。58.5重量部の2
−ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、35
重量部のVR90(昭和高分子)、6.5重量部の4−
METおよび0.5重量部のd,l−カンファーキノン
(CQ)からなる溶液を調製し、遮光された滴下ボトル
に入れた。粘度は180cPであった。別にスーパーボ
ンドDライナープラス付属のスポンジチップS(φ2×
3mm)0.3重量部と0.5重量部のN−フェニルグリ
シン(NPG)をポリ袋に入れてよく振とうし、スポン
ジチップにNPGを含有させた。ダッペンディッシュ中
に滴下ボトルから溶液を1滴とり、NPGを含有させた
スポンジチップ1個に溶液を染み込ませてそのまま歯質
表面に塗布した。接着試験を行った結果、象牙質に対す
る接着強さは76±38kgf/cm2であり、ギャッ
プの形成は認められなかった。
【0084】モノマー成分と重合開始剤成分であるNP
Gを上記のように分割することによって、硬化性組成物
は長期にわたって形態変化せずに保存可能であった。し
かも、分割保存し使用直前に混合してから塗布してきた
従来の方法と比較して接着操作が簡単で作業時間が短か
った。
【0085】
【発明の効果】本発明において、歯科用治具に硬化性組
成物の構成成分の一部である重合開始剤を予め含有させ
ておくことによって、保存安定性や操作性などを損なわ
ずに必要量だけ、速やかに硬化性組成物を歯牙に適用で
きる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 馬場 剛志 滋賀県守山市古高町571−2 サンメデ ィカル株式会社内 審査官 鶴見 秀紀 (56)参考文献 特開 平5−170618(JP,A) 特開 平6−9327(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) A61K 6/00

Claims (11)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 硬化性組成物またはプライマー組成物を
    歯面に塗布する際に使用する治具であって、混合すると
    該組成物の保存安定性を損なう、該組成物のための重合
    開始剤の1部または全部があらかじめ適量該組成物から
    分割して該治具中に含有され保存されており、分割した
    組成物と使用前に混合して使用される歯科用治具。
  2. 【請求項2】 筆、繊維球、布、スポンジ球、スポンジ
    片から選ばれる少なくとも一つの形態にある請求項1の
    歯科用治具。
  3. 【請求項3】 重合開始剤が常温化学重合開始剤からな
    るかまたはそれと還元性化合物との組合せからなる請求
    項1の歯科用治具。
  4. 【請求項4】 常温化学重合開始剤が有機過酸化物また
    は無機過酸化物である請求項1の歯科用治具。
  5. 【請求項5】 重合開始剤が光重合開始剤からなるかま
    たはそれと還元性化合物との組合せからなる請求項1の
    歯科用治具。
  6. 【請求項6】 光重合開始剤がジケトン化合物である請
    求項5に記載の歯科用治具。
  7. 【請求項7】 重合開始剤が常温化学重合開始剤と光重
    合開始剤の複合したデュアルタイプからなるかあるいは
    それと還元性化合物の組合せからなる請求項1の歯科用
    治具。
  8. 【請求項8】 還元性化合物がN−フェニルグリシン、
    N−トリルグリシンまたはN−(3−メタクロイルオキ
    シプロピル)フェニルグリシンである請求項3、5また
    は7に記載の歯科用治具。
  9. 【請求項9】 還元性化合物が芳香族アミン類である請
    求項3、5または7に記載の歯科用治具。
  10. 【請求項10】 還元性化合物が芳香族スルフィン酸ま
    たはその塩である請求項3、5または7に記載の歯科用
    治具。
  11. 【請求項11】 請求項1〜7のいずれかに記載の歯科
    用治具を有する歯科用キット。
JP21826599A 1994-08-01 1999-08-02 歯科用治具および歯科用キット Expired - Lifetime JP3335143B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21826599A JP3335143B2 (ja) 1994-08-01 1999-08-02 歯科用治具および歯科用キット

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP21826599A JP3335143B2 (ja) 1994-08-01 1999-08-02 歯科用治具および歯科用キット

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP17991194A Division JP3495099B2 (ja) 1993-08-02 1994-08-01 硬化性接着材組成物および接着材キット

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2000143428A JP2000143428A (ja) 2000-05-23
JP3335143B2 true JP3335143B2 (ja) 2002-10-15

Family

ID=16717172

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP21826599A Expired - Lifetime JP3335143B2 (ja) 1994-08-01 1999-08-02 歯科用治具および歯科用キット

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3335143B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005087179A1 (ja) * 2004-03-11 2005-09-22 Sun Medical Co., Ltd. 歯科用歯面コーティングキット

Also Published As

Publication number Publication date
JP2000143428A (ja) 2000-05-23

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5530038A (en) Primer composition and curable composition
JP3495099B2 (ja) 硬化性接着材組成物および接着材キット
US6288138B1 (en) Dental adhesive kit
KR100520268B1 (ko) 치과용 결합 조성물
JP2001026511A (ja) 接着材組成物
US20090258966A1 (en) Dental Composition
JP3468833B2 (ja) 歯科用硬化性組成物の製品キット
JP5191486B2 (ja) 反応硬化性接着性組成物および歯科用接着材キット
JPH07316391A (ja) 硬化性組成物
JP5898218B2 (ja) 歯科用組成物
JP5325633B2 (ja) 2液型の歯科用接着剤
JPH069327A (ja) 歯質の接着性組成物および接着方法
JP4342035B2 (ja) 歯科接着性組成物
US20070259988A1 (en) Biomedical bond enhancer
JP3419835B2 (ja) 生体硬組織に隙間なく接着できる硬化性組成物の製品キット
JP5271764B2 (ja) 歯科用充填キット
JP4427133B2 (ja) 歯科接着性組成物
JP3335143B2 (ja) 歯科用治具および歯科用キット
JP3526589B2 (ja) 歯質に接着性を有する表面被覆材
JP5611644B2 (ja) 歯科用接着性組成物およびキット
JPWO2008053979A1 (ja) 歯科用セルフエッチングプライマー組成物
JP4932210B2 (ja) 歯科用組成物
JP3449844B2 (ja) デュアルキュア型歯科用接着剤システム
JP3860072B2 (ja) 生体硬組織に隙間なく接着できる硬化性組成物
JP2000186010A (ja) 歯科用接着材セット

Legal Events

Date Code Title Description
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20020701

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080802

Year of fee payment: 6

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090802

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090802

Year of fee payment: 7

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110802

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110802

Year of fee payment: 9

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120802

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120802

Year of fee payment: 10

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130802

Year of fee payment: 11

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term