JP5522909B2 - 歯科用重合性仮着材組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科医院において、齲歯治療の際、診療と診療の間に使用する仮着材に関し、さらに詳しくは、暫間修復物を支台から撤去することを前提とした暫間修復物と支台の固定を目的とする歯科用組成物に関する。
歯科の分野において、仮着材とは、歯科治療において齲歯の感染歯質を削除して窩洞形成を行った後、あるいは根管治療を行った後、永久補綴物を装着するまでの一連の治療期間、窩洞を無菌清浄に保持するため一時的に暫間修復物の支台に撤去することを前提とした固定する目的で使用する、暫間的な合着材をいう。仮着は日常の臨床で最も頻繁に行われる治療処置で、仮着期間は通常1〜数週間である。
仮着材の接着性能は、合着材とは異なり、長期間のより大きな接着強さを要求されるものではなく、正規の修復物が装着されるまでの短期間、暫間修復物を支台歯へ固定できる接着強さを有すればよい。
さらに仮着材は、暫間修復物撤去後、支台歯に残存しないことが望まれ、とくに暫間修復物の撤去後の支台歯に仮着材が残存していると、この残存仮着材が、後に合着を行う修復物と支台の接着強さに大きく影響を及ぼす因子なるとされている。
仮着材に必要な性質は、(1)短期間、暫間修復物を支台歯へ固定できる程度の接着強さを有すること、(2)除去が容易であること、(3)操作性が良いこと、(4)唾液に溶解しないこと、(5)鎮静・消毒作用があることなどである。
さらに、近年、金属アレルギーが問題となっており、金属の含まない歯科材料を必要とする患者が増大しており、金属を含む従来の仮着材として満足する材料が存在しなかった。
すなわち、従来の仮着材には、非特許文献1、非特許文献2等に記載されているように、(1)フレッチャーセメント、(2)ユージノール系、(3)非ユージノール系、(4)カルボン酸系などの種類がある。
(1)フレッチャーセメントは、酸化亜鉛とアラビアゴムとが主成分とするものであり、これらを蒸留水で泥状に錬和して用いる。
(2)ユージノール系仮着材は、酸化亜鉛とユージノールとが主成分で一般的であり、仮封材や裏層材としても多くの製品がある。
(3)非ユージノール系仮着材は、酸化亜鉛と脂肪酸誘導体あるいは芳香族誘導体が主成分でMMAレジンを軟化させるユージノールを含まない。
(4)カルボン酸系仮着材は酸化亜鉛とポリアクリル酸が主成分で、歯質(象牙質)を強化する効果のあるHY材(タンニンフッ化物合材)が配合されている。
上記のような仮着材は、酸化亜鉛と有機物とがキレート反応し硬化すると同時に、歯質のカルシウムともキレート結合することを利用して、歯質との接着性を発現させるものである。
しかし、上記のような仮着材に使用する酸化亜鉛は金属であり、金属アレルギーを誘発
する可能性が少ながらずあった。
一方、特許文献1の請求項には歯科用重合性組成物の記載があり、この歯科用重合性組成物は、口腔内の治療を要しない部分に塗布してこの部分を治療の際に保護するための歯科用重合性組成物である。従って、特許文献1に記載の歯科用重合性組成物は、口腔内治療の際に治療を要しない部分を保護するための組成物であり、補綴物などとの接着を企図されていないため、補綴材料との接着強度に関しては一切記載されていない。
従って、この特許文献1に記載の歯科用重合性組成物が、窩洞が形成された歯牙、あるいは根管治療を行っている歯牙と、この歯牙を一時的に保護する暫間修復物(テンポラリークラウンなど)との接着強度あるいは接着保持力に関しては、一切記載されておらず、その接着強度あるいは接着保持力を特許文献1から想到することはできない。
歯界展望 別冊 歯科機材・薬剤選択のすべて(医歯薬出版)1993、内山洋一、p.216〜219"補綴物の仮着材として何をしようしたらよいか" 歯科材料・機械 Vol24 No.6 p.431〜438"PEMAとユージノールを基材として新しい仮着材の開発" 特開2002−370914号公報
本発明は、前述した従来技術の問題点を解消し、金属アレルギーを起こすことなく、テンポラリークラウンなどのような暫間修復物を安定に仮接着し、しかも、この暫間修復物を撤去する際に、歯牙等に損傷を与えることなく、しかも残渣を残すことなく除去できる歯科用重合性仮着材組成物を提供することを目的としている。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、
(A)水混和性多官能性単量体、
(B)水、
(C)ラジカル重合開始剤、および、
(D)粘度調整剤を含有することを特徴としている。
本発明において、上記(C)ラジカル重合開始剤は、光重合開始剤であることが好ましく、上記(A)水混和性多官能単量体は、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートであり、かつこのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートが、エチレンオキシ繰り返し単位(−CH2CH2O−)を平均して5〜30個有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートことが好ましく、さらに、(D)粘度調整剤は、平均粒径が0.005〜0.05μmの範囲内にあるシリカおよび/または水溶性ポリマーであることが好ましい。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、
(A)水混和性多官能性単量体と、
この(A)水混和性多官能性単量体;100重量部に対して、
5〜500重量部の(B)水と、
0.01〜5重量部の(C)ラジカル重合開始剤と、
5〜500重量部の(D)粘度調整剤とを含有することが好ましく、このような歯科用重合性仮着材組成物は、JIS T 6602-1993 の4.3の規定に準拠して測定した稠度が、通常
は5〜100mmの範囲内にあるペースト状物であり、好適には、(C)ラジカル重合開始剤は、光重合開始剤であることから、通常は、本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、遮光性容器に絞り出し可能に収容されている。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物の硬化体と、テンポラリークラウンとの接着力は、通常は0.05〜3.0MPa、好ましくは0.1〜1.5MPaの範囲内にあり、歯科
用に永久補綴物を固定するために用いる歯科用の接着剤の接着強度に対して0.2〜30%、好ましくは0.5〜15%の範囲内の接着強度を有しているに過ぎず、テンポラリークラウンの脱離の際に歯牙に損傷を与えることがない。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、金属を含有していないために、暫定修復物を仮着する際に金属アレルギーを引き起こすことがない。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、硬化する前は柔らかなペースト状であり、仮着面の細部にまで侵入して仮着が必要なテンポラリークラウンあるいは支台歯の表面に余すところなく塗布することができる。こうして塗布しテンポラリークラウンあるいは支台歯を装着後、この歯科用重合性仮着材組成物を硬化させて硬化ゲルにすることにより、暫間修復物と支台とを適度の接着強度で仮着することができる。さらに、暫間修復物を撤去した後、この硬化ゲルは容易に除去することができ、このとき歯牙に損傷を与えることがない。
従って、本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、暫間修復物を撤去することを前提として固定するための仮接着材組成物として好適に使用することができる。
以下、本発明の歯科用重合性仮着材組成物について具体的に説明する。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、撤去することを前提とした固定を行う目的で暫間修復物を仮着するための、低接着性の仮接着材組成物である。
なお、この明細書において「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及び、メタアクリル酸を包含した上位概念を意味し、「(メタ)アクリレート」等についても同様である。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、
(A)水混和性多官能性単量体、
(B)水、
(C)ラジカル重合開始剤、および、
(D)粘度調整剤を含有している。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、水性ペースト状であり、たとえば遮光性のシリンジなどに充填したこの水性ペースト状物を、例えばテンポラリークラウンの内面に塗布し装着後、光照射し硬化させることにより架橋構造を形成してゲル化し、仮着することができる。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物およびその硬化体は、相当量の水を含んでいるので、組成物は、遮光性シリンジなどから押し出し可能な稠度を有しており、また、その硬化物は、ゲル状になり、高い可撓性を有している。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物を形成する(A)水混和性多官能重合性単量体は、
この水混和性多官能重合性単量体の少なくとも5重量%水溶液が均一に溶解もしくは分散する多官能性単量体であり、好ましくは20重量%以上の水溶液が均一に溶解もしくは分散する多官能性の重合性単量体である。
このような(A)水混和性重合性単量体の例としては、ペンタエチレングリコールジ(
メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、デカエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラデカエチレングリコールジ(
メタ)アクリレート、トリコサエチレンジ(メタ)アクリレートなどのポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、ポリカルボン酸およびその中和物などの親水性ポリマー乃至はオリゴマーに(メタ)アクリル基を複数導入した単量体を挙げることができる。なお、言うまでもなく、前記「ジ(メタ)アクリレート」とあるのは、官能基が両方とも同一(アクリレート同士、メタクリレ
ート同士)であっても良いし、異なって(アクリレートとメタクリレート)いても良い。
上記の(A)水混和性重合性単量体は、重合することによりポリマーネットワークを形
成し、後述の(B)水を包含してゲル状になる化合物である。
たとえ水溶性であっても水を使用せずに単官能重合性単量体を用いたのでは、上記のようなポリマーネットワークは形成されないため、ゲル状は形成されず、簡単に流動するため、本発明の用途には適していない。
本発明では、これらの(A)水混和性多官能重合性単量体のうち、エチレンオキシ繰り
返し単位(−CH2CH2O−)を平均して通常は5個以上、好ましくは5〜30個、特に好ましくは9〜30個有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートを使用する。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、上記のように(A)水混和性多官能重合性単量
体を含有するものであるが、ペーストの堅さを調整するなどの目的で上記の(A)水混和
性多官能重合性単量体以外の重合性単量体を含有していてもよい。これらの重合性単量体は、(A)水混和性多官能重合性単量体と(B)水の混合物に溶解して均一な組成物を形成できるものであれば特に限定されない。このような重合性単量体には、単官能重合性単量体と多官能重合性単量体とがある。
ここで単官能重合性単量体の例としては、
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレートなどのような(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-または3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、5-ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシへキシル(メタ)アクリレート、1,2-または1,3-ジヒドロキシプロピルモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のようなヒドロキシル基と(メタ)アクリレート基とを有する(ポリ)ヒドロキシアルキルエステル;
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートのようなポリアルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;
エチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノエチルエーテル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテル(メタ)アクリレートのような(ポリ)エチレンモノアルキルエーテル(
メタ)アクリレート;
パーフルオロオクチル(メタ)アクリレート、ヘキサフルオロブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のようなフルオロアルキルエステル;
γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリ(トリメチルメトキシ)シランなどの(メタ)アクリロキシアルキル基を有するシラン化
合物;テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレートのような複素環を有する(メタ)アクリレート;
(メタ)アクリル酸、マレイン酸およびその酸無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシメチルトリメリット酸およびその酸無水物、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシドホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルアシドホスフェート、10-(メタ)ア
クリロイルオキシデシルアシドホスフェートおよび2-メチル-2-(メタ)アクリルアミドプ
ロパンスルホン酸のようなカルボン酸基あるいはリン酸基あるいはスルホン酸基のような酸性基を有する(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。
また、本発明で使用することができる多官能重合性単量体の例としては、
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキシレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートのようなアルカンポ
リオールのポリ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートのようなポリオキシアルカンポリオール(メタ)アクリレートを挙げることができる。
さらに、下記式(1)で表される脂環族または芳香族(メタ)アクリレートを挙げることが
できる。
Figure 0005522909
ただし、上記式(1)において、2つあるR1 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、mおよびnはそれぞれ独立に0または正の数を表し、R2
Figure 0005522909
のいずれかの基を表す。
下記式(2)で表される脂肪族、脂環族または芳香族エポキシジ(メタ)アクリレートを挙
げることができる。
Figure 0005522909
ただし、上記式(2)において、2つあるR3 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、nは0または正の数を表し、複数有るR4 はそれぞれ独立に−(CH2 )2 −、−(CH2 )4 −、−(CH2 )6 −、
Figure 0005522909
のいずれかの基を表す。
さらにまた、下記式(3)で表される分子内にウレタン結合を有する多官能(メタ)アクリ
レートなどを挙げることができる。
Figure 0005522909
ただし、上記式(3)において、2つあるR5 はそれぞれ独立に水素原子またはメチル基を表し、R6 は−(CH2 )2 −、−(CH2 )4 −、−(CH2 )6 −、
Figure 0005522909
のいずれかの基を表す。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物において、上記のような単官能重合性単量体あるい
は多官能重合性単量体は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常
は200重量部以下、好ましくは50重量部以下の量で使用される。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物において(B)水は、(A)水混和性多官能重合性単量体の濃度を調整する溶媒として、また本発明の組成物が重合して形成される水含有硬化ゲルの物性を制御するための添加剤として作用する。水は溶媒としてもっとも安全性が高く、口腔内での使用に最も適している。ただし、本発明においては、この(B)水がその他の
溶媒として、エチルアルコールあるいはアセトンなどの比較的安全性の高い溶媒を含有していてもよいが、歯肉などへの刺激などを考慮すると、これら他の溶媒の使用量は、水の30重量%以下の量とすることが好ましい。
本発明で溶媒として使用される(B)水は通常の有機溶媒と比較すると比熱が大きいた
め、溶媒として使用することにより(A)水混和性多官能重合性単量体が重合するときの
発熱を押さえることができる。本発明の歯科用重合性仮着材組成物において、(B)水は
、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は5〜500重量部、
好ましくは10〜200重量部の範囲内の量で使用される。(A)水の量を上記範囲内で
調整することにより、本発明の歯科用重合性仮着材組成物の粘度を、例えばシリンジから押しだし可能であり、かつ塗布面から容易に垂れ流れることがない程度に調整することができる。さらに、本発明の歯科用重合性仮着材組成物が硬化して形成される硬化ゲル中に充分な水が含有されるので、この硬化ゲルが硬質にならず、切削加工、除去などを容易に行うことができる。
本発明では、(B)水として、脱イオン水、蒸留水等が好ましく使用可能である。
本発明で用いられる(C)ラジカル重合開始剤としては、有機過酸化物、無機過酸化物
、α-ジケトン化合物、ホスフィンオキサイド、有機アミン化合物、有機スルホン酸、有
機スルフィン酸、無機硫黄化合物、有機燐化合物およびバルビツール酸類を挙げることができる。これらは単独であるいは組み合わせて使用することができる。本発明において重合開始剤としては、口腔内で使用することから、常温化学重合タイプ、光重合タイプおよびこれらを複合したデュアル重合タイプなど反応開始形態を有する開始剤を使用することが好ましい。常温化学重合タイプあるいはデュアル重合タイプの開始剤を使用する場合には、保存中に組成物が重合しないように、通常は、組成物を2種類に分けて保存し、使用
直前に混合して使用する。
本発明において、(C)ラジカル重合開始剤として常温化学重合タイプの開始剤を使用
する場合、過酸化物(C1)を使用することができる。ここで使用される過酸化物の例としては、ジアセチルペルオキシド、ジプロピルペルオキシド、ジブチルペルオキシド、ジカプリルペルオキシド、ジラウリルペルオキシド、過酸化ベンゾイル(BPO)、p,p'-ジク
ロルベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジメトキシベンゾイルペルオキシド、p,p'-ジメチルベンゾイルペルオキシドおよびp,p'-ジニトロジベンゾイルペルオキシドなどの有機過酸
化物、ならびに、過硫酸アンモニウム、塩素酸カリウム、臭素酸カリウムおよび過リン酸カリウムなどの無機過酸化物を挙げることができる。これらの過酸化物(C1)は、(A)水混
和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は0.01〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の量で使用される。
また、(C)ラジカル重合開始剤として使用される光重合タイプの重合開始剤は、紫外光線あるいは可視光線を照射することにより光重合することができる重合開始剤である。このような光重合タイプの重合開始剤(C2)の例としては、4,4-ジクロロベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾフェノン、9,10-
アントラキノン、ジアセチル、d、l-カンファーキノン(CQ)、トリメチルベンゾイルジ
フェニルホスフィンオキサイドなどを挙げることができる。これらの光重合タイプの重合
開始剤(C2)は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は0.0
1〜5重量部、好ましくは0.05〜0.5重量部の量で使用される。
常温化学重合タイプの重合開始剤である過酸化物(C1)あるいは光重合タイプの重合開始剤(C2)を使用してラジカル重合を行う場合には、還元性化合物を併用することができる。ここで使用される還元性化合物の例としては、N,N-ジメチルアニリン、N,N-ジメチル-p-トルイジン、N,N-ジエチル-p-トルイジン、N,N-ジメタノール-p-トルイジン、N,N-ジ
メチル-p-tert-ブチルアニリン、N,N-ジメチルアニリジン、N,N-ジメチル-p-クロルアニ
リン、N,N-ジメチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N-ジエチルアミノ安息香酸およびそのアルキルエステル、N,N-ジメチルアミノベンツアルデヒドなどの芳香族アミン類;N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジエチルアミノエチル(
メタ)アクリレート、N-フェニルグリシン、N-トリルグリシン、N,N-(3-メタクリロキシ-2-ヒドロキシプロピル)フェニルグリシンなどを挙げることができる。これらのアミン化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
また、還元性化合物としては、上記のほかに、例えばベンゼンスルフィン酸、o-トルエンスルフィン酸、p-トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンベンゼンスルフィン酸などの芳香族スルフィン酸またはその塩類を挙げることができる。これらの化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。
また、還元剤として無機還元剤を使用することもできる。このような無機還元剤としては硫黄を含有する還元性無機化合物が好ましく使用できる。このような硫黄を含有する還元性無機化合物としては、水または水系溶媒などの媒体中でラジカル重合性単量体を重合する際にレドックス重合開始剤として使用される還元性無機化合物が好ましく、このような化合物の例としては、亜硫酸、メタ亜硫酸、メタ重亜硫酸、ピロ亜硫酸、チオ硫酸、1-亜-2-チオン酸、1,2-チオン酸、次亜硫酸、ヒドロ亜硫酸およびこれらの塩類を挙げるこ
とができる。
これらの還元性無機化合物の中でも、亜硫酸塩が好ましく用いられ、特に亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸水素カリウムが好ましい、これらの還元性無機化合物は単独であるいは組み合わせて使用することができる。これらの還元性化合物は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は0.01
〜5重量部、好ましくは0.1〜1重量部の量で使用される。
本発明において、(D)粘度調整剤としては、充填材(D1)、水混和性ポリマーまたはオリ
ゴマー(D2)などが使用される。ここで(D)粘度調整剤として使用される充填材(D1)には無
機質フィラー、有機質フィラーおよび有機質複合フィラーがある。本発明において、無機質フィラーの例としては、シリカ、シリカアルミナ、アルミナ、アルミナ石英、ガラス(バリウムガラスを含む)、チタニア(酸化チタン)、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、炭酸カルシウム、カオリン、クレー、雲母、硫酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、リン酸カルシウムを挙げることができる。このような無機質フィラーは、(A)水
混和性多官能重合性単量体あるいは(B)水への分散性をコントロールするためにシランカ
ップリング剤などのカップリング剤で表面処理されていてもよい。
本発明において、有機質フィラーとしては、重合体の粉砕もしくは分散重合によって得られる粉末重合体のフィラー、さらには架橋剤を含む重合性単量体を重合させた後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。このような有機質フィラーを形成するために使用される重合体としては、前述の重合性単量体の単独重合体あるいは共重合体を好ましく使用することができる。例えば、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリメタクリル酸
プロピル、ポリメタクリル酸ブチル(PBMA)、ポリ(エチレングリコールジメタクリレート)、ポリ(トリメチロールプロパントリメタクリレート)などを挙げることができる。さらに、上記以外の重合体として、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、およびこれらの共重合体などを挙げることができる。
有機質複合フィラーとしては、無機質フィラーと重合性単量体とを混合して重合した後、粉砕して得られるフィラーを挙げることができる。具体的には、例えば、無機質フィラーのうち、微粉末シリカまたは酸化ジルコニウムなどをトリメチロールプロパントリメタクリレートを主成分とする重合性単量体で重合被覆し、得られた重合体を粉砕したフィラーなどを挙げることができる。
上記充填材(D1)の粒子径が小さいほど少量の添加で粘度の調整が可能になるが、そのほかに歯科用重合性仮着材組成物の塗布感や塗布時の伸びなどの調整も可能であり、通常は5mμ〜50μm、好ましくは5mμ〜5μmの範囲内にある平均粒子径の充填材(D1)が使用される。さらに、本発明では0.005μm〜0.05μm(すなわち5nm〜50nm)の平均粒子径を有する充填材(D1)が特に好ましい。上記の充填材(D1)は、(A)水混和
性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は1〜500重量部、好ましくは5〜500重量部、特に好ましくは5〜100重量部の範囲内の量で使用される。
本発明において、粘度調整剤(D)として使用される水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2)は、水に1重量%以上溶解し、歯科用重合性仮着材組成物の粘度を調整できるもので
あれば特に制限はないが、特にポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコール、中和されたポリカルボン酸塩などの水に溶解してもほぼ中性であるポリマーが好ましく使用される。このような水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2)の重量平均分子量は、大きいほど少量の添加で粘度調整が可能であるが、その他に歯科用重合性仮着材組成物の塗布感や塗布時の延びなどの調整も可能であり、通常は数百〜数十万、好ましくは5000〜10万程度の重量平均分子量を有する(共)重合体が使用される。上記のような水混和性ポリマーまたはオリゴマー(D2) は、(A)水混和性多官能重合性単量体100重量部に対して、通常は1〜500重量部、好ましくは5〜500重量部、特に好ましくは5〜100重量部の範囲内の量で使用される。本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、上述した(A)〜(D)成分を含有するものであるが、さらに他の成分を配合することができる。本発明の歯科用重合性仮着材組成物に配合することができる他の成分の例としては、重合禁止剤(重合抑制剤と呼ぶこともある)、顔料、染料、防黴剤、抗菌剤、溶剤(例、アセトン、アルコールなど)の成分を配合することができる。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、上記(A)水混和性多官能性単量体、(B)水、(C)ラジカル重合開始剤、(D)粘度調整剤、さらに必要により還元性化合物および他の成分を任意の順序で混合することにより製造することができる。ただし、(C)ラジカル重合開始剤として、常温化学重合タイプの開始剤またはデュアル重合タイプの開始剤を使用する場合には、保存中に組成物が重合しないように、通常は、組成物を2種類に分
けて保存し、使用直前に混合して使用する。また、光重合タイプの開始剤を使用する場合には、混合中あるいは保存中に重合反応が進行しないように遮光することが望ましい。
このようにして得られた本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、粘着性の比較的粘度の高いペースト状であり、JIS T 6602-1993 の4.3に規定する方法で測定した稠度は、通常は5〜100mm、好ましくは10〜50mmである本発明の歯科用重合性仮着材組成物を上記のような稠度を有するペースト状にすることにより、テンポラリークラウンに容易に塗布することが可能であり、また、塗布したテンポラリークラウンを装着することが可能になる。さらに、このペーストをシリンジのような容器に充填して押し出すことも可能である。
本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、テンポラリークラウンに塗布した後、装着し硬化させて暫定修復物を仮着する仮着材として使用する。更に金属を含有しないため金属ア
レルギーを起こすことのないものである。
例えば本発明の歯科用重合性仮着材組成物が、ラジカル重合開始剤(C)として光重合開
始剤を含有する光重合性仮着材組成物である場合、この光重合性仮着材組成物を遮光性のシリンジなどに充填して使用することが好ましい。すなわち、この光重合性仮着材組成物を暫間固定しようとするテンポラリークラウンに押し出して必要によりへらなどで一様に塗布する。この段階では、本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、柔らかいポマードのようなペースト状であり、塗布厚、塗布部分などを自由に変えることができる。しかしながら、このペーストはある程度の粘度を有しているので、塗布面から垂れたりあるいは周囲に広がるようなことはない。次いで、テンポラリークラウンを手指圧にて装着し保持したまま可視光線照射装置などを用いて所定の光線を照射することにより硬化反応が進行し、一旦硬化反応が始めると本発明の歯科用重合性仮着材組成物は急速に反応が進行してポリマーのネットワークが形成されてゲル状になる。こうして形成された硬化ゲルは、多量の水を含有しており、塑性変形しない程度に硬質であり、充分にテンポラリークラウンと支台歯を仮着することができる。一方、この硬化ゲルは充分な水を含有することから、比較的柔らかく、脱着時無理な力をかけることなく取りはずすことが可能である。こうして本発明の歯科用重合性仮着材組成物を硬化させて暫間修復物を固定する。
このようにして本発明の歯科用重合性仮着材組成物を使用することにより、正規の修復物が装着されるまでの短期間、暫間修復物を支台歯に固定でき、暫間修復物を撤去した後に正規の修復物を固定することができる。
なお、上記説明は、ラジカル重合開始剤として光重合開始剤を用いた場合を例にして説明したが、他のラジカル重合開始剤を使用した場合にも、同様に使用することができる。
本発明の仮着材に求められるテンポラリークラウンとの接着力としては、実施例記載の支台歯との接着維持力の評価において、通常の仮着用セメント、例えば、ハイボンドテンポラリーセメント ソフト(松風製)の接着強さ(ニュートン単位)で好ましくは5〜400%、より好ましくは20〜200%、更に好ましくは50〜150%で有る。前記数値範囲の下限値を下回るとテンポラリークラウンが脱落しやすくなり、一方、上限値を上回るとテンポラリークラウンを取り外すことが難しくなり、何れも好ましくない。
また、仮着材として、求められるテンポラリークラウンとの接着力としては、実施例に具体的に示すように、歯質との接着試験において、好ましくは0.05〜3.0MPa、特に好ましくは0.1〜1.5MPaである。テンポラリークラウンとの適合性が特によいと嵌合力により脱落しにくく、接着力が0.1MPa未満であって問題とはならないこともありえるが、3.0MPa以上であるとテンポラリークラウンを取り外すことが難しくなる。また、接着力が上記範囲にあると、歯科用に永久補綴物を固定するために用いる歯科用の接着剤の接着強度に対して0.2〜30%、好ましくは0.5〜15%の範囲内の接着強度を有しているに過ぎず、テンポラリークラウンの脱離の際に歯牙に損傷を与えることがない。
本発明の仮着材が有効に適応可能な接着対象材料としては、歯科用金属、セラミックス、レジン等がある。金属の具体例としては、歯科用金合金,歯科用金銀パラジウム合金,歯科用銀合金,歯科用チタン合金,歯科用Co−Cr合金等が挙げられる。セラミックスの具体例としては、アルミナ系セラミック,ジルコニア系セラミックが挙げられる。また、レジンの具体例としては、(メタ)アクリルレート系レジンが挙げられる。
〔実施例〕
次に実施例を示してさらに本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。
ノナエチレングリコールジメタクリレート100重量部、蒸留水44重量部、カンファーキノン0.29重量部、ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル0.29重量部、表面をシランカップリング剤で疎水化処理した平均粒径7nmのアモルファスシリカ19重量部を混合して均一な透明組成物を得た。この透明組成物について、JIS T 6602-1993 の4.3の規定に準拠して測定した稠度は31mmであった。
得られた透明組成物について、以下に示すようにして、支台歯との接着維持力、歯質との接着強度を測定した。
支台歯との接着維持力の評価
支台築造用コンポジットレジン ビルドイットFR, A2 Shade(Pentron Japan製)
を用いて、上顎小臼歯の支台歯を形態した。
歯科用暫間被覆冠成形品 JMポリクラウン(モリタ)の接着面に多目的常温重合レジン ユニファストII(GC製)を被覆して、各支台歯試料に対して直接法でテンポラ
リークラウンを作成した。
各組成物をテンポラリークラウン内側に塗布し、手指圧にて装着し10秒間保持後、5分間放置した。硬化後余剰組成物を除去した。
37℃水中に24時間浸漬後、引っ張り試験をクロスヘッドスピード1mm/minで行った。
支台歯およびテンポラリークラウンは繰返し使用するため、各テンポラリーの評価後、支台歯、テンポラリークラウンともにセメント溶解液 ソノクリーン No2(デンツプライ三金製)にて溶解した。支台歯およびテンポラリークラウンを水洗、スチームクリーナーにて洗浄した。
実施例の組成物をテンポラリークラウン内側に塗布し、手指圧にて装着し保持したまま20秒光照射(頬側、舌側、咬合面)して、本発明の仮着材を硬化させた。37℃水中に24時間浸漬後、引っ張り試験をクロスヘッドスピード1mm/minで行った。
歯質との接着試験
新鮮なウシ下顎前歯を抜去し、水中で凍結して保存したものを歯質サンプルとして使用した。解凍した牛歯を象牙質が露出するように回転式研磨機ECOMET−III(BUEHLER製)で注水、指圧下で耐水エメリー紙#180で頬側面を研磨して平滑な面を得た。研削した牛歯を一度気銃にて水分を除去して直ちに露出した象牙質の接着面積を規定するための直径4.8mmの円孔のあいたセロハンテープを貼り付けた。
各組成物を規定面に広げ、アクリル棒を植立して、可視光照射器((株)モリタ製作所製、キャンデラックスLV−5型)を用いて可視光線を20秒間照射し、接着試験用サンプルとした。比較サンプルとして、白色ワセリン(和光純薬(株)製)を用いた。
接着試験用サンプルを30分間室温に放置し引っ張り試験を行い、アクリル棒と歯質との接着強さを測定した。接着強さは5個の試験片で測定した値の平均値である。
結果を表1および表2示す。
テトラデカエチレングリコールジメタクリレート100重量部、蒸留水41重量部、カンファーキノン0.31重量部、ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル0.31重量部、表面をシランカップリング剤で疎水化処理した平均粒径7nmのアモルファスシリカ21重量部を混合して均一な透明組成物を得た。この透明組成物について、実施例1と同
様に測定した稠度は30mmであった。
得られた透明組成物について、以下に示すようにして、支台歯との接着維持力、歯質との接着強度を測定した。
結果を表1および表2に示す。
トリコサエチレングリコールジメタクリレート100重量部、蒸留水31重量部、カンファーキノン0.31重量部、ジメチルアミノ安息香酸2-n-ブトキシエチル0.31重量部、表面をシランカップリング剤で疎水化処理した平均粒径7nmのアモルファスシリカ21重量部を混合して均一な透明組成物を得た。この透明組成物について、実施例1と同様にして測定した稠度は、27mmであった。
得られた透明組成物について、以下に示すようにして、支台歯との接着維持力、歯質との接着強度を測定した。
結果を表1および表2に示す。
〔比較例1〕
試験すべき組成物として、ハイボンドテンポラリーセメント ソフト(松風製)を用いて、支台歯との接着維持力と歯質との接着試験について、実施例1で示した方法で特性を
評価した。
結果を表1および表2に示す。
Figure 0005522909
Figure 0005522909
上記表1に示すように、本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、接着維持力は、暫間修
復物を短期間であれば維持できる程度の接着維持力を有しており、治療途中で暫間修復物が、脱離することはないが、暫間修復物の歯牙に対する接着強さは弱く、治療の際に容易に暫間修復物を撤去することができる。しかも、本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、相当量の水を含むために、撤去した部分に歯科用重合性仮着材組成物の硬化物は可撓性を有するゲル状の一体物として撤去され、硬化物が歯牙の表面に残らないので、歯科治療の最終段階で、永久補綴物を歯牙に接着して固定するに際して、本発明の歯科用重合性仮着材組成物の硬化物が、歯牙の表面に残留して、永久補綴物の接着に悪影響を及ぼすこともない。
さらに、本発明の歯科用重合性仮着材組成物は、上述の通り、金属を含有しない組成を有していることから、金属に対してアレルギーのある患者に適用したとしても、アレルギー反応を誘発することがなく、極めて高い安全性を有している。

Claims (7)

  1. (A)エチレンオキシ繰り返し単位(−CH 2 CH 2 O−)を平均して5〜30個有するポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレートである水混和性多官能性単量体、
    (B)水、
    (C)ラジカル重合開始剤、および、
    (D)粘度調整剤を含有し、
    分子内に酸性基またはその塩を有するラジカル重合性単量体を含有しないことを特徴とする歯科用重合性仮着材組成物。
  2. 上記(C)ラジカル重合開始剤が、光重合開始剤であることを特徴とする請求項1項記載の歯科用重合性仮着材組成物。
  3. 上記(D)粘度調整剤が、平均粒径が0.005〜0.05μmの範囲内にあるシリカおよび/または水溶性ポリマーであることを特徴とする請求項第1項記載の歯科用重合性仮着材組成物。
  4. 上記歯科用重合性仮着材組成物が、
    (A)水混和性多官能性単量体と、
    該(A)水混和性多官能性単量体;100重量部に対して、
    5〜500重量部の(B)水と、
    0.01〜5重量部の(C)ラジカル重合開始剤と、
    5〜500重量部の(D)粘度調整剤とを含有することを特徴とする請求項第1項記載の歯科用重合性仮着材組成物。
  5. 上記歯科用重合性仮着材組成物は、JIS T 6602-1993 の4.3の規定に準拠して測定した稠度が5〜100mmの範囲内にあるペースト状物であることを特徴とする請求項第1項記載の歯科用重合性仮着材組成物。
  6. 上記歯科用重合性仮着材組成物の硬化体と、テンポラリークラウンとの接着力が、0.05〜3.0MPaの範囲内にあることを特徴とする請求項第1項記載の歯科用重合性仮着材組成物。
  7. 上記歯科用重合性仮着材組成物が、遮光性容器に収容されていることを特徴とする請求項第1項〜第項のいずれかに記載の歯科用重合性仮着材組成物。
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