JP2016065011A - 歯科用セメント組成物 - Google Patents

歯科用セメント組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP2016065011A
JP2016065011A JP2014194392A JP2014194392A JP2016065011A JP 2016065011 A JP2016065011 A JP 2016065011A JP 2014194392 A JP2014194392 A JP 2014194392A JP 2014194392 A JP2014194392 A JP 2014194392A JP 2016065011 A JP2016065011 A JP 2016065011A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dental
powder
weight
cement
cement composition
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2014194392A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6368206B2 (ja
Inventor
喬大 加藤
Takahiro Kato
喬大 加藤
照男 安楽
Teruo Anraku
照男 安楽
一彦 遠藤
Kazuhiko Endo
一彦 遠藤
さや夏 榊原
Sayaka Sakakibara
さや夏 榊原
洋和 戸島
Hirokazu Toshima
洋和 戸島
齊藤 正人
Masato Saito
正人 齊藤
尚史 根津
Takashi Nezu
尚史 根津
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Yamamoto Precious Metal Co Ltd
Original Assignee
Yamamoto Precious Metal Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Yamamoto Precious Metal Co Ltd filed Critical Yamamoto Precious Metal Co Ltd
Priority to JP2014194392A priority Critical patent/JP6368206B2/ja
Publication of JP2016065011A publication Critical patent/JP2016065011A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6368206B2 publication Critical patent/JP6368206B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Dental Preparations (AREA)

Abstract

【課題】本発明は、従来の歯科用ポルトランドセメントに比べて、硬化時間が早く、操作性、及び圧縮強度に優れた歯科用セメント組成物を提供する。
【解決手段】ポルトランドセメント粉末及び無機微粉末を含有する歯科用セメント組成物であって、
該歯科用セメント組成物中に、ポルトランドセメント粉末を60〜90重量%、及び無機微粉末を10〜40重量%含有し、並びに
該無機微粉末の平均粒子径が0.3〜2μmである、組成物。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用セメント組成物に関する。具体的に、本発明は、歯の根管充填、覆髄等の用途に使用できる新規な歯科用セメント組成物に関する。
歯科用セメントは、う蝕窩洞への充填、クラウン、インレー等の接着などに広く使用されており、中でも、根管の穿孔部のように血液が浸み出すような水分の多い環境でも硬化するMTA(Mineral Trioxide Aggregate)と呼ばれる歯科用ポルトランドセメント(一般的にMTAセメントと総称されている)が開発されている(特許文献1及び特許文献2)。
このMTAセメントは、良好な封鎖性、生体適合性、石灰化促進作用、及び強アルカリ性による抗菌性を有していることに加えて、封鎖性が高いにも関わらず歯質からの除去が容易な適度な強度を有している。したがって、MTAセメントを用いることによって、以前は神経を除去する必要があった症例でも、神経を温存することが可能であり、直接覆髄を含む様々な症例で使用されている(非特許文献1)。
しかしながら、MTAセメントは、使用する際に、MTAセメントの粉剤と蒸留水とを練和して調製する必要があり、その調製したペーストは、粉液比を調整しても、適度な粘性の状態にならないことから、根管等にペーストを充填しにくいという欠点があった。
また、MTAセメントは、練和後の硬化時間が長く、十分な強度が得られるまでに数時間必要であることから、MTAセメント上にコンポジットレジン等をすぐに充填出来ないという問題もあった。
そして、MTAセメントには、X線造影剤として酸化ビスマスが含まれており、MTAセメント自体は生体安全性に問題がないことが知られているが(非特許文献2)、酸化ビスマスは、長期的な暴露により、神経系、骨関節、及び腎臓の障害を引き起こすことが知られている。
これまでに、歯科用ポルトランドセメントの操作性を改善するため、ポルトランドセメント粉末を主成分とする第一成分と、平均粒径10〜200nmの無機微粒子を0.5〜30重量%含む水を主成分とする第二成分とから構成される歯科用セメント組成物(特許文献3)が開示されているが、歯科用ポルトランドセメントと混和するために、無機微粒子を含む水を別途準備する必要があり、操作が煩雑であった。
また、歯科用ポルトランドセメント粉末に、分子内に少なくとも1つの重合性基を有する化合物、フィラー及び重合開始剤を混合することで操作性と物性を向上させ、さらに歯質接着性に優れた歯科用硬化性組成物(特許文献4)が開示されているが、該歯科用硬化性組成物中にポリマー成分が含まれるため、硬化して得られた硬化物が、生体親和性、抗菌性等に影響を及ぼす可能性があった。
米国特許第5415547号公報 米国特許第7892342号公報 特開2013−53075号公報 特開2012−20983号公報 歯界展望,2011, Vol. 118, No. 6,pages 1132-1133 International Endodontic Journal, 2010, Vol. 43, Issue 10, pages 843-848
本発明は、新規な歯科用セメント組成物を提供することを目的とする。具体的には、従来の歯科用ポルトランドセメントに比べて、硬化時間が早く、操作性及び圧縮強度に優れた歯科用セメント組成物を提供することを目的とする。
本発明者等は、上記課題に鑑みて、鋭意研究を行った。その結果、組成物中に、ポルトランドセメント粉末を60〜90重量%、及び平均粒子径が0.3〜2μmである無機微粉末を10〜40重量%含有する歯科用セメント組成物を見出した。かかる知見に基づき更に研究を行うことにより、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、以下の歯科用セメント組成物を提供する。
項1.
ポルトランドセメント粉末及び無機微粉末を含有する歯科用セメント組成物であって、
該歯科用セメント組成物中に、ポルトランドセメント粉末を60〜90重量%、及び無機微粉末を10〜40重量%含有し、並びに
該無機微粉末の平均粒子径が0.3〜2μmである、組成物。
項2.
無機微粉末が、シリカ微粉末及び/又はジルコニア微粉末である、項1に記載の歯科用セメント組成物。
項3.
歯科用セメント組成物中に、ジルコニア微粉末を20〜40重量%含有する項2に記載の歯科用セメント組成物。
本発明によれば、硬化時間が早く、操作性に優れ、かつ圧縮強度が高い歯科用セメント組成物を得ることができる。
また、本発明の歯科用セメント組成物は、無機微粒子としてジルコニア微粉末を用いることでX線造影性を付与できることから、酸化ビスマスを含有しなくてもよく、生体安全性に優れている。
実施例12、比較例1及び比較例4の歯科用セメント組成物をX線造影した写真である。
本発明の歯科用セメント組成物について、以下詳細に説明する。本明細書中において、「含有」なる表現については、「含む」、「実質的にからなる」及び「からなる」という概念を含む。
1.本発明の歯科用セメント組成物
本発明の歯科用セメント組成物は、歯科用セメント組成物中に、ポルトランドセメント粉末(A成分)を60〜90重量%、及び無機微粉末(B成分)を10〜40重量%含有し、並びに該無機微粉末(B成分)の平均粒子径が0.3〜2μmである、組成物である。
これらの中でも、上記A成分を60〜80重量%、及びB成分を20〜40重量%含有する組成物が好ましく、上記A成分を65〜75重量%、及びB成分を25〜35重量%含有する組成物がより好ましい。
また、ポルトランドセメント粉末(A成分)と平均粒子径が0.3〜2μmである無機微粉末(B成分)とを、配合割合(重量比)で表すこともできる。この場合、本発明の歯科用セメント組成物は、A成分:B成分の重量比が60:40〜90:10の範囲である組成物であり、A成分:B成分の重量比が60:40〜80:20の範囲である組成物が好ましく、A成分:B成分の重量比が65:35〜75:25の範囲である組成物がより好ましい。
さらに、ポルトランドセメント粉末(A成分)に対する平均粒子径が0.3〜2μmである無機微粉末(B成分)の割合を、式:(B成分/A成分)×100で表すこともできる。この場合、該(B成分/A成分)×100としては、10〜70の範囲であればよく、11〜67の範囲が好ましく、25〜67の範囲がより好ましく、33〜53の範囲が特に好ましい。
1−1.ポルトランドセメント粉末(A成分)
ポルトランドセメント粉末としては、例えば、JISに規定されている普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、超早強ポルトランドセメント、白色ポルトランドセメント、耐硫酸塩ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、低熱ポルトランドセメント等の粉末が挙げられる。
これらのうち、特に、白色ポルトランドセメントを用いることが歯質と色調が近い白い色調であるという観点から好ましい。
上記ポルトランドセメント粉末は、別名クリンカーとも呼ばれる、ケイ酸三カルシウム(エーライト、3CaO・SiO)、ケイ酸二カルシウム(ビーライト、2CaO・SiO)、カルシウムアルミネート(アルミネート、3CaO・Al)、及びカルシウムアルミノフェライト(フェライト、4CaO・AlO3・Fe)を主成分とするセメントである。クリンカーの主要成分は、酸化カルシウム(CaO)、二酸化ケイ素(SiO)、酸化アルミニウム(Al)、及び酸化鉄(Fe)である。これらの各々の成分の割合により、セメントの硬化速度や硬化体強度を調整できる。
上記ポルトランドセメント粉末に含まれる成分の割合としては、一般に、以下の割合が挙げられる。
酸化カルシウム(CaO):55〜85重量%
二酸化ケイ素(SiO):10〜40重量%
酸化アルミニウム(Al):0〜15重量%
酸化鉄(Fe):0〜10重量%
これらの中でも、特に硬化性の観点から、以下の成分であることが好ましい。
酸化カルシウム(CaO):60〜66重量%
二酸化ケイ素(SiO):20〜26重量%、
酸化アルミニウム(Al):3〜9重量%、
酸化鉄(Fe):2〜5重量%
ポルトランドセメント粉末は、1種又は2種以上混合して使用することができる。
ポルトランドセメント粉末の配合量としては、本発明の歯科用セメント組成物中60〜90重量%含まれていることが好ましく、60〜80重量%含まれていることがより好ましく、65〜75重量%含まれていることが特に好ましい。
ポルトランドセメント粉末が60重量%未満であると、セメント硬化体の強度がポルトランドセメントよりも低下する傾向がある。
ポルトランドセメント粉末が90重量%以上であると流動性が低すぎるため、練和や充填操作が困難となる。
ポルトランドセメント粉末の平均粒径としては、100μm以下であるものが適当であり、1μm〜50μmの範囲が好ましく、5μm〜25μmの範囲がより好ましい。
なお、ここでいう平均粒径とは、レーザー回折・散乱法により計測される粒度分布における累積体積50%時の粒径、すなわちD50(メジアン径)をいう。
ポルトランドセメント粉末としては、粉末、粒状等が挙げられる。
1−2.無機微粉末(B成分)
無機微粉末は、平均粒径が約0.3〜約2μmであることが好ましく、中でも、約0.3〜約1μmであることがより好ましく、約0.3〜約0.5μmであることが特に好ましい。
無機微粉末の平均粒径が0.3μm未満ではペーストの粘性が高くなる傾向がある。
無機微粉末の平均粒径が2μm以上ではベアリング効果が小さくなり、流動性が低下する傾向がある。
なお、ここでいう平均粒径とは、レーザー回折・散乱法により計測される粒度分布における累積体積50%時の粒径、すなわちD50(メジアン径)をいう。
無機微粉末(無機フィラーともいう)の種類としては、特に制限はなく、公知のものが使用できる。例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、ジルコニア(二酸化ジルコニウム)、アルミナ(酸化アルミニウム)、チタニア(二酸化チタン)、酸化亜鉛等の金属酸化物;シリカ−ジルコニア、シリカ−アルミナ、シリカ−チタニア等の複合酸化物;石英ガラス、バリウムガラス、アルミノシリケートガラス、ランタンガラス、バリウムガラス、ストロンチウムガラス、ソーダガラス、リチウムボロシリケートガラス、亜鉛ガラス、フルオロアルミナムボロシリケートガラス、ホウ珪酸ガラス等のガラス類;ヒドロキシアパタイト、フッ化カルシウム、フッ化イットリウム、リン酸カルシウムなどが挙げられる。これら以外にも、珪藻土、粘土鉱物(モンモリロナイトなど)、活性白土、合成ゼオライト、カオリン、クレー、雲母、マイカ等のシリカを基材とする鉱物、及びこれらの複合体も挙げることができる。無機微粉末としては、これらの中でも、特にシリカ微粉末及びジルコニア微粉末が好ましい。
上記無機微粉末としては、例えば、アルコキシシラン等によって表面を修飾されたものを使用してもよい。
無機微粉末は、1種又は2種以上混合して使用することができる。
無機微粉末の配合量としては、本発明の歯科用セメント組成物中、10〜40重量%含まれていることが好ましく、20〜40重量%含まれていることがより好ましく、25〜35重量%含まれていることが特に好ましい。
無機微粉末を10〜40重量%配合することにより、練和後の硬化時間が改善され、さらにセメント硬化体の強度も増加する。
無機微粉末の配合量が、10重量%未満ではペーストの流動性が不十分となり、40重量%を超えるとセメント硬化体の強度が大きく低下する傾向がある。
また、必要以上に無機微粉末を添加することは、ポルトランドセメントの特性である抗菌性や封鎖性に影響を及ぼす可能性がある。
また、本発明の歯科用セメント組成物は、該組成物中に、無機微粉末として、ジルコニア微粉末が20重量%以上含有していることがX線造影性の観点で好ましい。中でも、歯科用セメント組成物中のジルコニア微粉末の含有量としては、20〜40重量%が好ましく、25〜35重量%がより好ましい。
無機微粉末の形状は、球状、破砕状が挙げられる。中でも、ベアリング効果が発揮される球状が好ましい。
1−3.その他の成分
本発明の歯科用セメント組成物は、さらに、X線造影材を配合してもよい。
X線造影材としては、タングステン酸カルシウム、硫酸バリウム、酸化セリウム、酸化スズ、ケイ酸ジルコニウム、酸化ランタン、酸化亜鉛、酸化イッテルビウム、フッ化イッテルビウム等の各粉末;バリウム、タンタル、ランタン、ストロンチウム等のX線不透過性の成分が挙げられる。X線造影材は、1種又は2種以上混合して使用することができる。なお、生体安全性が確保できる範囲で、酸化ビスマス、次炭酸ビスマス、硫酸ビスマス等の公知のX線造影材を使用してもよい。
X線造影材の配合量としては、本発明の効果を損なわない量であればよく、例えば、歯科用セメント組成物中に、10重量%未満であれば含有していてもよい。例えば、5重量%〜10重量%含有することで、十分なX線造影性を付与することが出来る。
さらに本発明の歯科用セメント組成物は、物性や操作性に影響を及ぼさない範囲で、その他の充填材、着色剤、安定剤等の添加剤を配合することができる。
該添加剤の配合量としては、歯科用セメント組成物中に、10重量%未満であれば含有していてもよく、好ましくは0重量%〜5重量%であり、より好ましくは0重量%〜3重量%である。
2.本発明の歯科用セメント組成物の製造方法
上記本発明の歯科用セメント組成物の製造方法としては、特に制限はなく、例えば、ポルトランドセメント粉末(A成分)と平均粒径が0.3〜2μmである無機微粉末(B成分)とを一括で混合する方法;
A成分に、B成分を、何回かに分けて添加し、混合する方法;
B成分に、A成分を、何回かに分けて添加し、混合する方法等が挙げられる。
本発明の歯科用セメント組成物を混合する方法としては、特に制限はなく、例えば、少量であれば、メノウ乳鉢とメノウ棒とで均一に混合する方法が挙げられ、また、大量であれば、セメント組成物を製造する際に通常使用されるオムニミキサー、アイリッヒミキサー、万能ミキサー、ライカイ機等を使用して混合する方法などが挙げられる。
混合時間としては、特に制限なく、均一に混合できる時間であればよい。
本発明により得られる歯科用セメント組成物は、所定量の水とを混練して、ペーストを得ることができる。
該ペーストの稠度は、通常、260〜600mmの範囲であり、好ましくは270〜600mmの範囲であり、より好ましくは300〜500mmの範囲である。
本発明により得られる歯科用セメント組成物は、所定量の水との配合物を硬化させて、硬化物(硬化体)を得ることができる。
上記水の量としては、ペースト又は硬化物が得られる量であれば特に制限なく、例えば、本発明の歯科用セメント組成物100重量部に対して、水を20〜50重量部の範囲で添加することができ、さらに25〜45重量部の範囲で添加することが好ましく、25〜40重量部の範囲で添加することがより好ましい。上記硬化物を得るための硬化時間としては、180分以内であることが好ましい。該硬化物の圧縮強度は、30MPa以上であることが好ましい。
本発明の歯科用セメント組成物のうち、ジルコニア微粉末を含む場合は、特にX線造影性を有する。例えば、本発明の歯科用セメント組成物中にジルコニア微粉末を20〜40重量%含有する場合、該歯科用セメント組成物から得られた硬化物のX線造影性は、X線検査時の視認性の観点から硬化物1mmでアルミニウム3mm相当以上が好ましい。
なお、上記の稠度、硬化時間、圧縮強度及びX線造影性の測定方法は後述する。
3.用途
本発明の歯科用セメント組成物は、根管充填材、シーラー、覆髄材、裏装材、断髄材、う蝕窩洞の充填等に使用できる。
以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
原料
下記実施例及び比較例で用いたポルトランドセメント粉末、無機微粉末及び市販のポルトランドセメント粉末は、以下のとおりである。
[ポルトランドセメント粉末]
平均粒径約14.2μmの白色ポルトランドセメント粉末(商品名 ホワイトセメント:太平洋セメント社製)
[シリカ微粉末]
平均粒径約0.1μmの球状シリカ微粉末(商品名 1-FX:龍森社製)
平均粒径約0.3μmの球状シリカ微粉末(商品名 SO−E1:アドマテックス社製)
平均粒径約0.5μmの球状シリカ微粉末(商品名 SO−E2:アドマテックス社製)
平均粒径約1μmの球状シリカ微粉末(商品名 SO−E3:アドマテックス社製)
平均粒径約2μmの球状シリカ微粉末(商品名 SO−E5:アドマテックス社製)
平均粒径約3μmの球状シリカ微粉末(商品名 TSS−4:龍森社製)
[ジルコニア微粉末]
平均粒径約0.5μmの丸みを帯びた破砕状ジルコニア微粉末(商品名 HT:日本電工社製)
[市販の歯科用ポルトランドセメント粉末]
歯科用ポルトランドセメント粉末(商品名 プロルートMTA:デンツプライ三金社製)
歯科用セメント組成物の物性評価
下記の実施例及び比較例で得られた歯科用セメント組成物について、稠度、硬化時間、圧縮強度、及びX線造影性は、以下の測定方法で測定した。
[稠度]
一般的に、ペースト状材料の操作性評価として稠度の測定が有効とされている。粘性の高いセメントの稠度を評価するために、セメント泥に一定の荷重下でバイブレータによる振動を与え、広がったセメント泥の面積を求める試験方法を採用した。具体的には、金属スパチュラを用いて表1及び2に記載した実施例及び比較例の歯科用セメント組成物と蒸留水とを練和し、練和泥を内径6.3 mm、高さ2.3 mmの型に填入後、練和開始2分以内にバイブレータ上に設置したガラス板上で型から取り外した。その後、333gのガラス板で静かに挟み、2分15秒から2分30秒までの15秒間バイブレータによる一定の振動を与え、広がったセメント泥の面積を求めた。広がったペースト直径を4箇所測定し、その平均の半分を半径として、面積を算出する。
算出した表面積から、操作性を以下の判断基準で判定した。
判定
×:面積が260mm未満の場合、流動性が悪く、填入しにくい
○:面積が260〜600mmの場合、流動性が好適で、填入しやすい
×:面積が600mm以上の場合、流動性が高すぎて、ペーストが扱いにくい
[硬化時間]
硬化時間の測定は、「JIS T6609-1;2005 歯科用ウォーターベースセメント−第1部:粉液型酸-塩基性セメント、JIS T6610;2005 歯科用酸化亜鉛ユージノールセメント及び酸化亜鉛非ユージノールセメント」を参考に行った。
表2に記載した実施例及び比較例の歯科用セメント組成物を、金属スパチュラを用いて練和し、内径10mm、及び高さ2.5mmの型に填入し、練和開始より120秒後から15秒間隔で、質量400g、及び末端径1.0mmのビカー針を練和物の水平面に静かにおろし、針の痕跡が残らなくなった時間を完全硬化時間とした。なお、硬化時間が長いとされている市販されている歯科用ポルトランドセメント粉末の完全硬化時間が360分であるためその2分の1の180分を基準として下記の判定を行った。
判定
○:歯科用セメント組成物の完全硬化時間が180分未満を合格
×:歯科用セメント組成物の完全硬化時間が180分以上を不合格
[圧縮強度]
圧縮強度の測定は、「JIS T6610;2005 歯科用酸化亜鉛ユージノールセメント及び酸化亜鉛非ユージノールセメント」を参考に行った。表2に記載した実施例及び比較例の歯科用セメント組成物を、プラスチックスパチュラを用いて30秒間練和し、練和物を内径6mm、高さ12mmの金属型に填入し、円柱型の硬化体を得た。練和終了から120秒後に37℃、相対湿度100%の恒温恒湿器中に1時間静置した。その後、得られた試験片を37℃の蒸留水中に24時間浸漬し、万能試験機(製品名:オートグラフ、島津製作所社製)にて、クロスヘッドスピード1.0mm/分にて圧縮試験を行った。なお、市販されている歯科用ポルトランドセメント粉末の圧縮強度が24MPaであったが、この値は十分な強度ではないため、市販品よりも25%高い30MPaを基準として判定した。
判定
○:試験片の圧縮強度が30MPa以上は合格
×:試験片の圧縮強度が30MPa未満は不合格
[X線造影性]
X線造影性の測定は「JIS T6522;2005 歯科用根管充てん(填)シーラー」を参考に行った。
練和物を内径10mm、高さ1mmの型に満たし、この試験片と、長さ50mm、幅20mmで厚さが0.5mm間隔の階段状(0.5〜9.0mm)のアルミニウムステップウェッジを並べてX線装置内に置く。管電圧65kVでX線を照射し、試験片の画像を撮影する。得られた試験片画像の光学濃度(明るさ)をアルミニウムステップウェッジの光学濃度と比較して、試験片の光学濃度をアルミニウムの厚さで表し、以下の厚さで合格及び不合格を判定した。そして、図1にX線造影性評価のために撮影した写真を示した。
判定
○:試験片の光学濃度が3mmのアルミニウムより大きいときは合格
×:試験片の光学濃度が3mm未満のときは不合格
実施例1
実施例1は、メノウ乳鉢中に、ポルトランドセメント粉末7gと平均粒径0.3μmのシリカ微粉末3gとを加えて、メノウ乳棒で10分間混合し、本発明の歯科用ポルトランド組成物を得た。
実施例2〜4及び比較例1〜3
下記表1に記載の配合割合にする以外は、実施例1と同様の方法で、歯科用セメント組成物を製造した。
試験例1
実施例1〜4及び比較例1〜3で得られた歯科用ポルトランド組成物1gに対して、蒸留水を0.35g加えて練和し、得られたペーストの稠度を上述の方法で測定した。その結果及び判定を表1に示した。
表1の評価結果から、ポルトランドセメント粉末に添加する無機微粒子は、平均粒径が約0.3〜2μmの場合に、稠度が高く、比較例1に比べて、流動性が向上することが分かった。また、平均粒径が0.3μmよりも小さい場合と2μmよりも大きい場合は、稠度が低く、比較例1と流動性がほとんど変わらなかった。
実施例5〜14及び比較例4〜6
表1の結果から、無機微粉末は平均粒径約0.5μmのシリカ微粉末を用いた場合に一番良い効果が得られたため、無機微粉末は、平均粒径0.5μmに固定して、以下実施例5〜14並びに比較例5及び6を行った。
具体的には、下記表2に記載の配合割合にする以外は、実施例2と同様の方法で、歯科用セメント組成物を製造した。
比較例4
比較例4は、市販の歯科用ポルトランドセメント粉末を用いた。
試験例2
実施例5〜14及び比較例4〜6で得られた歯科用ポルトランド組成物1gに対して、蒸留水を0.35g加えて練和し、得られたペーストの稠度、硬化時間、圧縮強度及びX線造影性を上述の方法で測定した。その結果及び判定を表2に示した。
表2の結果から、ポルトランドセメント粉末(A成分)と平均粒径約0.5μmの無機微粒子(B成分)との配合割合(重量比)が、90:10〜60:40の範囲である本発明歯科用セメント組成物は、稠度、硬化時間、及び圧縮強度のいずれにおいても優れた結果が示された。一方、A成分とB成分の配合割合(重量比)が上記の範囲外である組成物は、稠度、及び圧縮強度の全てにおいて、良い結果が得られるものではなかった。また、本発明の実施例の歯科用セメント組成物は、市販の歯科用ポルトランドセメントと比較して、適度な稠度で、硬化時間が短縮化され、圧縮強度も高い組成物であった。
本発明の歯科用セメント組成物中に、ジルコニア微粉末が20〜40重量%含まれている本発明の歯科用セメント組成物の場合は、十分なX線造影性が付与されていることがわかった。

Claims (3)

  1. ポルトランドセメント粉末及び無機微粉末を含有する歯科用セメント組成物であって、
    該歯科用セメント組成物中に、ポルトランドセメント粉末を60〜90重量%、及び無機微粉末を10〜40重量%含有し、並びに
    該無機微粉末の平均粒子径が0.3〜2μmである、組成物。
  2. 無機微粉末が、シリカ微粉末及び/又はジルコニア微粉末である、請求項1に記載の歯科用セメント組成物。
  3. 歯科用セメント組成物中に、ジルコニア微粉末を20〜40重量%含有する、請求項2に記載の歯科用セメント組成物。
JP2014194392A 2014-09-24 2014-09-24 歯科用セメント組成物 Active JP6368206B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014194392A JP6368206B2 (ja) 2014-09-24 2014-09-24 歯科用セメント組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2014194392A JP6368206B2 (ja) 2014-09-24 2014-09-24 歯科用セメント組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016065011A true JP2016065011A (ja) 2016-04-28
JP6368206B2 JP6368206B2 (ja) 2018-08-01

Family

ID=55803950

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2014194392A Active JP6368206B2 (ja) 2014-09-24 2014-09-24 歯科用セメント組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6368206B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6368406B1 (ja) * 2017-07-07 2018-08-01 太平洋セメント株式会社 歯科用ポルトランドセメント粉末
JP2019127452A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 太平洋セメント株式会社 歯科用ポルトランドセメント粉末
JP2020120793A (ja) * 2019-01-29 2020-08-13 太平洋セメント株式会社 骨又は歯の修復用セメント組成物
JP2021502421A (ja) * 2017-11-09 2021-01-28 マルチ コンパニー リミテッド 医療用充填材組成物

Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007314484A (ja) * 2006-05-29 2007-12-06 Tokuyama Corp 歯科用有機無機複合フィラー、該フィラーを用いた歯科用修復材組成物及びそれらの製造方法
US20100291512A1 (en) * 2009-05-15 2010-11-18 Jun Sang YOO Root canal filler composed of mineral trioxide aggregate and method of manufacturing the same
JP2012020983A (ja) * 2010-07-16 2012-02-02 Sun Medical Co Ltd 歯科用組成物
JP2013053075A (ja) * 2011-09-01 2013-03-21 Gc Corp 歯科用セメント組成物

Patent Citations (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007314484A (ja) * 2006-05-29 2007-12-06 Tokuyama Corp 歯科用有機無機複合フィラー、該フィラーを用いた歯科用修復材組成物及びそれらの製造方法
US20100291512A1 (en) * 2009-05-15 2010-11-18 Jun Sang YOO Root canal filler composed of mineral trioxide aggregate and method of manufacturing the same
JP2012020983A (ja) * 2010-07-16 2012-02-02 Sun Medical Co Ltd 歯科用組成物
JP2013053075A (ja) * 2011-09-01 2013-03-21 Gc Corp 歯科用セメント組成物

Non-Patent Citations (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
北海道医療大学歯学雑誌, 2014.06, VOL.33, NO.1, P.40, JPN6017045888, ISSN: 0003692973 *
小児歯科学雑誌, 2014.04, VOL.52, NO.2, P.262, JPN6017045887, ISSN: 0003692974 *

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6368406B1 (ja) * 2017-07-07 2018-08-01 太平洋セメント株式会社 歯科用ポルトランドセメント粉末
JP2019014680A (ja) * 2017-07-07 2019-01-31 太平洋セメント株式会社 歯科用ポルトランドセメント粉末
JP2021502421A (ja) * 2017-11-09 2021-01-28 マルチ コンパニー リミテッド 医療用充填材組成物
JP2019127452A (ja) * 2018-01-24 2019-08-01 太平洋セメント株式会社 歯科用ポルトランドセメント粉末
JP7051461B2 (ja) 2018-01-24 2022-04-11 太平洋セメント株式会社 歯科用ポルトランドセメント粉末
JP2020120793A (ja) * 2019-01-29 2020-08-13 太平洋セメント株式会社 骨又は歯の修復用セメント組成物
JP7186628B2 (ja) 2019-01-29 2022-12-09 太平洋セメント株式会社 骨又は歯の修復用セメント組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP6368206B2 (ja) 2018-08-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Jefferies Bioactive and biomimetic restorative materials: a comprehensive review. Part I
JP6368206B2 (ja) 歯科用セメント組成物
Tsujimoto et al. Timing for composite resin placement on mineral trioxide aggregate
JP2013053075A (ja) 歯科用セメント組成物
JP2010064989A (ja) ペースト系歯科用セメント
JP6744399B2 (ja) 歯科用セメント
WO2014050924A1 (ja) 歯科用硬化性組成物及びその製造方法
KR101929652B1 (ko) 경화성 조성물
JP6731686B2 (ja) 歯科用粉末
JP2017145196A (ja) 根管充填用シーラー組成物
JP2012020983A (ja) 歯科用組成物
JP6152412B2 (ja) ジルコニア粉末を含む歯科用充填組成物
JP2023159376A (ja) 除去性のよい歯科合着用グラスアイオノマーセメント組成物
US10292791B2 (en) Cement systems, hardened cements and implants
US20210338536A1 (en) Root canal filler composition and method for preparing same
US10799429B2 (en) Kit of parts for producing a paste type glass ionomer cement, process of production and use thereof
JP2013040137A (ja) 歯科用グラスアイオノマーセメント
JP4926440B2 (ja) 歯科用グラスアイオノマーセメント液
KR20230156684A (ko) 치과용 조성물
CA3147165A1 (en) Dental hydraulic cement comprising ultrafine calcium silicate particles having fast hardening and suitable mechanical properties
JP2022057914A (ja) 歯科用組成物
JPH01111762A (ja) 硬化性組成物
WO2015152129A1 (ja) 歯科用硬化性組成物及びその製造方法
US11759406B2 (en) Medical cement composition
JP7042638B2 (ja) 歯科用グラスアイオノマーセメント組成物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20170220

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20171205

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20180123

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20180123

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20180202

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20180125

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20180402

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20180703

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20180706

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6368206

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350