JP2007314484A - 歯科用有機無機複合フィラー、該フィラーを用いた歯科用修復材組成物及びそれらの製造方法 - Google Patents

歯科用有機無機複合フィラー、該フィラーを用いた歯科用修復材組成物及びそれらの製造方法 Download PDF

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潤一郎 山川
Seiji Kaneyasu
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Abstract

【課題】 従来の複合フィラーを用いた歯科用修復材には硬化後に黄ばみが残り、また重合加熱中に発生する残留有機溶媒による気泡が透明度を下げるという問題の解決。
【解決手段】 酸水溶液中で加水分解したシランカップリング剤で無機粒子を表面処理し:重合性単量体混合物と、該無機粒子と、重合開始剤とを有機溶媒を使用せずに混合し、重合硬化し:得られた重合硬化体を粉砕する有機無機複合フィラーする有機無機複合フィラーの製造、及び重合性単量体、上記有機無機複合フィラー、無機粒子および光重合開始剤を均一に混合しペースト化する歯科用修復材組成物の製造。
【選択図】なし

Description

本発明は、歯科用コンポジットレジン用に好適な歯科用有機無機複合フィラー(以下「複合フィラー」ともいう。)、該複合フィラーを用いた歯科用修復材組成物及びそれらの製造方法に関する。
歯科用修復材は、修復時の操作が容易であり、また天然歯牙色に近似した色調への調整が容易なことから、歯牙治療の修復材料として急速に普及し、近年は、前歯の治療の大部分に使用されているばかりでなく、高い咬合圧のかかる臼歯部等の修復にも使用されている。
歯科用修復材は、重合性単量体(モノマー)、フィラー、及び重合触媒を主成分とし、これらを混合し、歯牙の欠損部に塗布、充填し、重合させて欠損部を補填するものであり、その物性、特に重合硬化前の歯科用修復材ペーストの操作性や、重合後の硬化体の機械的物性や、白色度、光沢などの審美性は、使用するフィラーの種類、形状、粒子径、充填量等によって大きく左右されることが知られている。
例えば、フィラーとして数μmを超える比較的大粒径の破砕無機粒子を配合した歯科用修復材は、無機粒子の充填率を容易に上げることができ、低重合収縮かつ低熱膨張率であり、さらに硬化体の機械的強度が高いという特徴があるが、研磨性や耐摩耗性に劣り、かつ天然歯と同様な艶のある仕上がり面が容易に得られなかった。
一方、平均粒径が1μm以下の小粒径の無機粒子、特にその形状が丸みを帯びた無機粒子の使用が提案され、表面滑沢性は大きく改善することができるが、このような小粒径無機粒子を用いた歯科用修復材は、硬化前ペーストの粘稠度が高くなるため、歯科医が口腔内で使用可能なレベルまで該ペーストの粘稠度を低下させるためには、モノマーや溶媒の配合量を多くせざるを得ず、その結果、重合収縮率の増加、熱膨張率の増加、さらには機械的強度の低下を招いていた。
その解決方法の1つとして、有機無機複合フィラー(以下、単に「複合フイラー」と略する)と、平均粒径が1μm以下の無機粒子とを併用する方法が開発された(例えば特許文献1,特許文献2参照。)。かかる複合フィラーとは、微細な無機粒子と重合性単量体とを予め混合して重合硬化させた後に、数十〜数百μm程度の粒径に粉砕して得たものである。この複合フィラーにおいて、無機粒子の重合性単量体との親和性を高めるためには、該無機粒子の表面をシランカップリング剤により表面処理するのが有効である。このシランカップリング剤による表面処理は、シランカップリング剤の有機溶液を無機粒子に接触させ加熱下で反応させることにより行われる。この時、シランカップリング剤の無機粒子への反応性を高めるに、加水分解助剤としてアミンを存在させるのが好適とされている(例えば、非特許文献1、特許文献3参照)。
以上のようにして製造した複合フィラーを使用することにより、上述したような無機粒子のみを添加したときと比べて歯科用修復材中のフィラーの充填率をかなり高めることができる。そして重合収縮率や熱膨張率を低く保ったままで、表面滑沢性や耐磨耗性を改良することができた。
しかしながら、かかる複合フィラーを用いた歯科用修復材には、硬化後にも黄ばみなどの着色が残るという問題があった。
また、この複合フィラーを製造する際に、使用する無機粒子は上記の如くにシランカップリング剤で表面処理をしているにも関わらず、重合性単量体との親和性が今一歩十分でなく、該無機粒子のペーストへの充填性の面でもさらに改善することが望ましかった。そのため、この問題を解決する一手段として、前記複合フィラーの製造工程で塩化メチレン、メタノールなどの有機溶媒を分散媒として使用し、無機粒子を強制的にマトリックス中に分散させる方法が通常取られていた(例えば、特許文献4、非特許文献2)が、かかる有機溶媒の使用には環境上の問題があった。また、重合性単量体と無機粒子を混合して得たペーストに含有される有機溶媒は、重合硬化前に減圧脱気する必要があるが、若干量はペースト中に残留することが避けられず、これらは重合硬化中に気泡を発生させ、複合フィラーやこれを含む歯科用修復材の透明度を下げるという問題も引き起こしていた。
特開昭54−107187 特開2002−255722 特開昭63−159214 特開昭59−101409 G.M.ブラウアー他著、ジャーナルオブデンタルリサーチ、61巻、 1982年 細田裕康編、光重合型コンポジットレジンの基礎と臨床、1986年 21〜37ページ
そこで本発明は、無機粒子の充填率を保ちつつ、透明性が良い複合フィラー及びその製造方法、及びペーストの操作性に優れ、硬化時の重合収縮が小さく、硬化後の黄ばみがなく、光沢と美感に優れ、しかも硬化体の表面滑沢性や耐摩耗性が良好な該複合フィラーを使用した歯科用修復材組成物及びその製造方法を提供することを目的とする。本願は、複合フイラーを製造するのに使用する無機粒子として、従来使用していたアミンの代わりに酸水溶液を使用してシランカップリング剤の表面処理をしたものを用いると、硬化後の歯科用修復材組成物の黄ばみを抑えることができるという知見、且つこのような方法で製造した複合フィラーは、重合性単量体との親和性に優れ、均一に混練し易く、そのため、分散媒として有機溶媒を使用しなくても高い充填率のものまでペースト化することができるという知見に基いている。
即ち、本発明は、重合性単量体の重合体100重量部、および酸水溶液中で加水分解したシランカップリング剤で表面処理した粒径が0.001〜1μmの無機粒子150〜600重量部を主成分とする歯科用有機無機複合フィラーである。
また、本発明は、酸水溶液中で加水分解したシランカップリング剤で無機粒子を表面処理し:
重合性単量体100重量部と、該無機粒子150〜600重量部と、重合開始剤とを有機溶媒を使用せずに混合し、重合硬化し:
得られた重合硬化体を粉砕する:
以上の工程からなる歯科用有機無機複合フィラーの製造方法を提供する。
さらに、本発明は、酸水溶液中で加水分解したシランカップリング剤で無機粒子を表面処理し:
重合性単量体混合物100重量部と、該無機粒子150〜600重量部と、重合開始剤とを有機溶媒を使用せずに混合し、重合硬化し:
得られた重合硬化体を粉砕して有機無機複合フィラーとし:
重合性単量体100重量部、該有機無機複合フィラー100〜400重量部、無機粒子0〜400重量部および光重合開始剤を均一に混合しペースト化する、
以上の工程からなる歯科用修復材組成物の製造方法も提供する。
本発明の歯科用有機無機複合フィラーを用いた歯科用修復材には、硬化後にも黄ばみなどの着色が生じることがほとんどない。また、この複合フィラーは、無機粒子を高充填したものまで、優れた透明性を有しており、これを用いた歯科用修復材は、光沢や美観に優れるものになる。
本発明の複合フィラーの製造に使用する無機粒子は、特に限定されず、従来の歯科用修復材組成物に使用されている非晶質シリカ、シリカジルコニア、シリカチタニア、シリカチタニア酸化バリウム、石英、アルミナ等の無機酸化物、その他無機化合物の粉末を使用することができる。これら無機化合物としては、高温で焼成する際に緻密なものを得易くする等の目的から、少量の周期律表第I族金属の酸化物を添加した複合酸化物も使用することができる。無機粒子の材質としては、X線造影性を有し、より耐摩耗性に優れた硬化体が得られることから、シリカとジルコニアを主な構成成分とする複合酸化物が特に好適に用いられる。
上記無機粒子の平均粒径は、0.001〜1μmであることが好ましい。さらに好適には0.01〜0.7μm、特に0.05〜0.5μmである。上記無機粒子の平均粒径が0.001μm未満では粘度が高くなり、取扱が困難となる。また、上記無機粒子の平均粒径が1μmを越える場合には、重合硬化後の滑沢性を得ることが困難である。なお、この無機粒子の平均粒径は、走査型電子顕微鏡により粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子の数および粒子径を求め、その平均体積径から求めた値をいう。
本発明の複合フィラーの製造に使用する無機粒子の形状は、得られる硬化体の表面滑沢性や耐磨耗性の点から、球状または略球状が好適である。なお、ここでいう略球状とは、走査型電子顕微鏡(SEM)でフィラーの写真を撮り、その単位視野内に観察される粒子が丸みを帯びており、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した平均均斉度が0.6以上であることを意味する。これら無機粒子は粒度分布や材質が異なるものを複数種類混合して使用してもよい。
これら無機粒子の製造方法は特に限定されないが、例えば、加水分解可能な有機ケイ素化合物を含んだ溶液、あるいは更に周期律表第I、II、III、及び第IV族の金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属を含む加水分解可能な有機化合物を含んだ混合溶液を、これら原料は溶解するが反応生成物は実質的に溶解しないアルカリ性溶媒中に添加し、加水分解を行って反応生成物を析出させる、所謂ゾルゲル法が好適に採用される。
なお、このような方法で製造された無機粒子は、その表面安定性を保持するために乾燥後500〜1000℃の温度で焼成するのが好ましい。また焼成時に粒子が凝集するので、ジェットミル、振動ボールミル等を用いて凝集粒子を解きほぐし、粒度を調整してから使用するのが好ましい。このような操作を行なっても凝集粒子を完全に凝集前の状態にするのは困難であり、上記のような熱処理を行なった場合には、平均粒径0.001〜1μmの無機粒子とその凝集体とが混合したフィラーが得られる場合があるが、大粒子径の独立粒子を添加した場合と異なり、多少の凝集体が含まれていても重合硬化後の滑沢性や耐摩耗性に悪影響がなければ差し支えない。
上記無機粒子の表面処理をするのに使用するシランカップリング剤は、一般式[I]
−Si−R (3−n) [I]
{式中、Rは有機基であり、Rは炭素数1〜6のアルコキシ基、イソシアナート基、又は塩素原子であり、Rは炭素数1〜6の炭化水素基であり、nは1〜3の整数である。}
で表されるシラン化合物である。
本発明で用いるシランカップリング剤としては従来の公知のものが制限なく使用される。好適なシランカップリング剤を例示すれば、ビニルトリエトキシシラン、ビニル−トリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)−エチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピル−トリメトキシシラン、γ−ウレイドプロピル−トリエトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリ(トリメチルシロキシ)シラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン等が挙げられる。
好適に使用される他の表面処理剤の具体的な例としては、グリシジルトリメトキシシランなどを挙げることができる。これらシランカップリング剤は、単独で用いてもよいが、2種以上を混合して使用してもよい。また、上記シランカップリング剤は、本発明の効果が損なわれない範囲で、シランカップリング剤以外の公知の表面処理剤と併用して使用する事もできる。これらシランカップリング剤の添加量は、無機粒子の表面を被覆するために必要な量あれば良い。一般にシランカップリング剤は、無機粒子100重量部に対して0.1〜30重量部の範囲で使用される。
前記シランカップリング剤による前記無機粒子の表面処理は、水溶媒中で酸触媒を用いて実施する。このように酸触媒によりシランカップリング剤を表面処理して得た無機粒子を用いた複合フィラーは、重合性単量体と混合しても、その硬化体に黄ばみを生じさせることがほとんどない。また、この無機粒子は、重合性単量体との親和性が良く、分散媒として有機溶媒を使用しなくても、高い充填率のものまで両者を均一に混合し易い。したがって、上記有機溶媒の留去時の気泡の発生の問題も解消し、透明性の良い複合フィラーを得ることができる。
ここで、触媒に使用する酸は、有機酸でも無機酸でもよい。無機酸としては、硫酸、塩酸、硝酸、スルホン酸などを挙げることができる。有機酸としては、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、クエン酸、酒石酸などを挙げることができる。好ましい酸は、酢酸、クエン酸などである。
酸の添加量は、水溶液の初期pHが3〜6.5になるように添加する。例えば酢酸の場合、水100gに対し、0.000001g〜1.0gの範囲である。特に0.0001g〜0.5gの範囲が好ましい。0.000001g以下では加水分解が進行しない。1.0gを越えるとシランカップリング剤間の縮合反応が起こりやすくなり均一に粒子表面に反応させにくい。
水溶媒を使用すること、酸触媒を使用することを除いては、表面処理の方法及び条件にさらなる限定はなく、シランカップリング剤で各種粉体の表面処理をする時に一般に採用される公知の方法及び条件が使用可能である。例えば、無機粒子を水中でボールミル等を用いて分散混合させたものに、酸でシランカップリング剤を加水分解した水溶液を添加し、噴霧乾燥機等で乾燥することで得ることができる。この加水分解は、一般に室温前後の温度で、例えば、10〜60℃の範囲で行えばよく、シランカップリング剤は、水100重量部に対して1〜10重量部の割合で混合し、溶液のpHが3〜6.5になるように酸の添加量を調整すればよい。無機粒子を水中に分散させる方法も特に限定されない。分散液から無機粒子を分離する方法としては、公知の方法が制限なく使用できるが、製造効率とできた無機粒子の操作性のよさから、噴霧乾燥を行うことが好適である。噴霧乾燥は、150°〜300℃で乾燥することができれば、一般的な公知の方法が採用される。噴霧する方式には、細孔を持ったノズルから噴霧する方法、または高速回転体に上記混合物を滴下して噴霧するアトマイザー方式が採用される。噴霧乾燥で得られた無機粒子をそのまま複合材料の無機フィラーとして用いてもよいが、噴霧乾燥で得られた無機粒子の表面の残留物を十分に除くために、更に80℃〜150℃の範囲で、真空乾燥を施した方がよい。
本発明の複合フィラーの製造に使用する重合性単量体に特に限定はないが、例えば下記A〜Dに示される各モノマーが挙げられる。
A 単官能性ビニルモノマー
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;あるいはアクリル酸、メタクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、及びその無水物、6−メタクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイドロジェンフォスフェート、2−ヒドロキシエチルハイドロジェンフェニルフォスフォネート等。
B 二官能性ビニルモノマー
B−1 芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
B−2 脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト;無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
C 三官能性ビニルモノマー
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
D 四官能性ビニルモノマー
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加から得られるジアダクト等。
これら重合性単量体は、単独で使用しても、異なる種類のものを混合して用いてもよい。なお重合性単量体は、歯科用修復材組成物の硬化体の透明性を大きく低下させないために、無機粒子の屈折率と重合後の重合性単量体の屈折率との差が0.1以下となるよう適宜選択するのが好ましい。
複合フィラーの製造における無機粒子と重合性単量体との量比に特に限定はないが、得られる複合フィラーの強度などから適宜決定され、重合性単量体100重量部に対し、無機粒子150〜600重量部である。シランカップリング剤の表面処理に酸触媒を使用することにより、得られる無機粒子と重合性単量体との親和性を向上させる本発明の効果を顕著に発揮させる観点からは、無機粒子を多く配合させた場合が好ましく、無機粒子と重合性単量体との好適な量比は、重合性単量体100重量部に対し200〜500重量部である。
無機粒子と重合性単量体の混合物は、重合開始剤を用いて重合させるが、重合方法には、紫外線、可視光線等の光エネルギーによる反応(以下、光重合という)、過酸化物と促進剤との化学反応によるもの、加熱によるもの等があり、採用する重合方法に応じて下記に示す各種重合開始剤を適宜選択して使用する。ここで、着色の少ない触媒系を選択することが望ましい。
例えば、光重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、ベンゾフェノン、4,4'−ジメチルベンゾフェノン、4−メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ジアセチル、2,3−ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントラキノン、9,10−アントラキノンなどのα-ジケトン類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのビスアシルホスフィンオキサイド類等を使用することができる。
なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などの含イオウ化合物などを挙げることができる。
また、熱重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。これらの中でも、アゾビスイソブチロニトリルは有機無機複合フィラーそのものが着色しにくいため好適である。
これら重合開始剤は単独で使用しても、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の添加量は重合性単量体/無機粒子の比などに応じて適宜選択されるが、通常、重合性単量体100重量部に対して0.01〜30重量部の割合であり、より好ましくは0.1〜5重量部の割合で使用される。
また本発明の効果を阻害しない範囲で、重合前に、顔料、紫外線吸収剤等の公知の添加剤を配合することができる。
前記したように本発明で使用するシランカップリング剤で表面処理した無機粒子は、重合性単量体との親和性が良いため、上述の各成分は有機溶媒を分散媒として使用せずに混合してペースト化する。それにより、ペースト化の後において、有機溶媒を留去する必要がなくなるため、得られる複合フィラーは透明性に優れたものになり好ましい。このようにして得た重合性組成物を重合して得られる硬化体を、例えば、振動ボールミル、ビーズミル、ジェットミル等を用いて粉砕し、更に必要に応じて、フルイ、エアー分級機、あるいは水ひ分級等による分級工程を行うことによって目的の粒度分布の複合フィラーが得られる。この複合フィラーの平均粒径に特に限定はないが、べたつきやぱさつきが少なく充填操作性が良好な硬化性ペーストが得られ易いことから1〜100μm、さらに好適には5〜50μmである。
このようにして得た複合フィラーは、前記したように重合性単量体の硬化体に黄ばみを生じさせ難く、そのままでも歯科用修復材のフィラー成分として十分に使用可能である。歯科用修復材組成物の審美性をさらに優れたものにする等の理由で、使用に先立って、洗浄、脱色を行っても良い。脱色は一般的には、適切な溶媒に複合フィラーを分散させ、過酸化物を溶解撹拌、場合によっては加熱することで行われ、かかる過酸化物としては公知のものを使用することができる。
次に本発明の歯科用修復材組成物(以下「修復材組成物」ともいう。)及びその製造方法について詳細に説明する。本発明の修復材組成物は、複合フィラー、無機粒子、重合性単量体、重合開始剤を主成分としている。ここに複合フィラーは上記したものを使用する。
複合フィラーは上記製造方法で製造したものをそのまま使用することもできるが、マトリックスとのなじみをよくして硬化後の歯科用修復材組成物の強度を高め、洗浄による脱色のため、シランカップリング剤処理をすることが望ましい。表面処理方法は、前記した無機粒子のシランカップリング剤処理について記載した方法のどれを採用してもよいが、ここでの表面処理は硬化後の歯科用修復材組成物の諸物性への影響が限られることから、さらに広範囲の処理方法、処理溶媒などを採用することができる。例えば複合フィラーの表面は疎水性ポリマーの占める面積が大きいので、分散を容易にするため、水の代わりにエタノールなどの水溶性有機溶媒を好適に使用することができる。但し黄ばみなどの着色を防止するため、アミン系触媒の使用は好ましくない。
本発明の修復材組成物における複合フィラーの含有量は特に限定されないが、硬化前ペーストの操作性や硬化体の強度の観点から、重合性単量体100重量部に対し、150〜600重量部、特に200〜500重量部が好適である。
また本発明の修復材組成物に無機粒子を加えてもよい。かかる無機粒子は前記した種類のものを使用することができる。ここに無機粒子はシランカップリング剤で表面処理されたものを使用することができる。かかるシランカップリング剤の種類、表面処理条件は複合フィラー製造時と同一でも異なっていてもよい。
いずれの場合にも、ここに使用する無機粒子の平均粒径は0.1〜1μmのものであることが好ましい。0.1μm未満の場合、ペーストの粘度が高くなりがちである。1μmを越えると表面滑沢性、対摩耗性が低下する傾向にある。またさらに、硬化体の強度向上を図る目的で、表面滑沢性や耐摩耗性が低下しない範囲で、平均粒子径が1μmより大きい無機粒子及び/又は平均粒径が0.1μmより小さい無機粒子を加えてもよい。本発明の修復材組成物における無機粒子の含有量は特に限定されないが、硬化前ペーストの操作性や硬化体の強度の観点から、重合性単量体100重量部に対し、0〜400重量部、特に100〜350重量部が好適である。該無機粒子は、粒度分布や材質が異なるものを複数種類混合して用いることもできる。
また重合性単量体、重合開始剤も前記したものを適宜使用することができ、複合フィラー製造時に使用した重合性単量体、重合開始剤と同一種類、同一組成のものを使用しても、異なる種類、異なる組成のものを使用してもよい。なお本発明の修復材組成物において、使用時の操作の簡便さのため、光重合の使用が好ましく、前記した光重合開始剤を使用することができるが、特に好適なものは、カンファーキノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)―2,4,4−トリメチルフェニルホスフィンオキサイドなどである。これら重合開始剤は単独で用いても、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の添加量は目的に応じて適宜選択すればよいが、重合性単量体100重量部に対して通常0.01〜30重量部であり、より好ましくは0.1〜5重量部である。
本発明の修復材組成物における重合性単量体の含有量は特に限定されないが、硬化性ペーストの充填操作性及び硬化体強度の観点から、修復材組成物全体基準で、11〜40重量%、特に15〜30重量%である。11重量%未満ではペースト化が困難になり、操作性が悪くなる。また40重量%を越えると修復材組成物の粘度が低くなりすぎる。
本発明の修復材組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに、顔料、紫外線吸収剤等、公知の添加剤を配合することができる。本発明の硬化性組成物は、前記各必須成分及び必要に応じて各任意成分を十分に均一に混練しペースト化し、さらに減圧下脱泡することによって得ることができる。
本発明の修復材組成物の用途は特に限定されないが、具体例としては歯科充填用コンポジットレジンが挙げられる。その一般的な使用方法としては、修復すべき歯の窩洞を適切な前処理剤や接着剤で処理した後に歯科充填用コンポジットレジンを直接充填した後に専用の光照射器にて強力な光を照射して重合硬化させる方法等が挙げられる。
本発明により得られる歯科用修復材は黄ばみが少なく、また透明度が高いため、ブリーチングしたような白色度の高い歯に対しても色調適合性が高く、また歯の透明感をより自然に再現することができる。
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた表面処理剤、重合性単量体、及び重合開始剤は以下の通りである。
表面処理剤:
MPS:γ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシラン
重合性単量体:
GMA: 2,2-ビス(4-(3-メタクリロイルオキシ)-2-ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパン
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート
重合開始剤
AIBN:アゾビスイソブチロニトリル
CQ:カンファーキノン
DMBE:ジメチル安息香酸エチルエステル
また、試験方法は以下のとおりである。
(1)硬化体色調の評価:
歯科用硬化性組成物のペーストを7mmφ×2mmの孔を有する型にいれ、両面はポリエステルフィルムで圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト)で両面を30秒ずつ光照射し硬化させた後、型から取り出して、色差計(東京電色製、TC−1800MKII)を用いて、背景色白で測定を行い、下記式に基づいて黄色度(YI)を求めた。
黄色度(YI)=100×(1.28X−1.06Z)/Y
(X,Y,Z:三刺激値)
(2)透明性の評価:
歯科用硬化性組成物のペーストを7mmφ×1mmの孔を有する型に入れ、両面はポリエステルフィルムで圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト)で両面を30秒間光照射し、硬化させた後型から取り出して、色差計(東京電色製、TC−1800MKII)にて三刺激値のY値を背景色黒及び白で測定した。下記式に基づいてコントラスト比を計算し、透明性の指標とした。
コントラスト比=背景色黒の場合のY値/背景色白の場合のY値
(3)重合収縮:比重法によって算出した。
球状シリカジルコニア(平均粒径0.2μm、屈折率1.53)100重量部を150重量部の水に入れ、湿式分散機SCミルを用いて無機粒子を分散させた分散液を得た。別の容器に70重量部の水を入れ、さらに3重量部のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと0.003重量部の酢酸を加え、2時間攪拌し、pH4の均一な溶液を得た。この溶液を上記分散液に添加し、均一に混合した。その後、軽く混合しながら溶液を噴霧乾燥機へ送液し、空気の温度を200℃とし噴霧乾燥した。その後、噴霧乾燥した無機粒子を90℃、12時間真空乾燥した。得られた白色粉体をF−1とした。
重合性単量体としてGMA30重量部、TEGDMA70重量部に、0.5重量%の重合開始剤AIBNを溶解させて重合性単量体組成物を得た。これに300重量部の無機フィラーF−1を混合し、乳鉢でよく練和する事でペースト状とした。このペーストを95℃窒素加圧下で一時間加熱することによって重合硬化させ、更にこの硬化体を振動ボールミルにて粉砕し、平均粒径30μmの有機無機複合フィラーC−1を得た。
60重量部のGMAと40重量部のTEGDMAに、0.5重量%のCQと0.5重量%のDMBEを加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製して、これをマトリックスとした。
実施例1で得た複合フィラーC−1を、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.02重量%を溶解させたエタノール中にて、90℃で5時間加熱攪拌することで表面処理を行った。ろ過で回収しエタノール洗浄、50℃で15時間真空乾燥を行った。
250重量部の上記表面処理した複合フィラーC−1と250重量部の球状シリカジルコニア(平均粒径0.2μm、屈折率1.54)のMPS表面処理物を、メノウ乳鉢に入れ、そこに上記重合性単量体組成物を徐々に加え、暗所にて十分に混練し均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡した。この硬化性ペーストの硬化体の、黄色度はYI=9、重合収縮率は1.8%、コントラスト比は0.32であった。
球状シリカジルコニア(平均粒径0.4μm、屈折率1.52)70重量部、球状シリカチタニア(平均粒径0.08μm、屈折率1.52)30重量部を150重量部の水に入れ、超高圧衝撃型乳化分散機ナノマイザーを用いて処理圧力60MPaで無機粒子を分散させた分散液を得た。別の容器に70重量部の水を入れ、さらに3重量部のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと0.003重量部の酢酸を加え、2時間攪拌し、pH4の均一な溶液を得た。この溶液を上記分散液に添加し、均一に混合した。その後、軽く混合しながら溶液を噴霧乾燥機へ送液し、200℃の空気中で噴霧乾燥した。噴霧乾燥後、90℃、12時間で真空乾燥し、得られた白色粉体を無機フィラーF−2とした。
30重量部のGMA30重量部と70重量部のTEGDMAの混合物に、0.5重量%のAIBNを溶解し、それに450重量部の無機フィラーF−2を混合し、攪拌混練機プラネタリーミキサーでよく練和する事でペースト状とした。このペーストを95℃窒素加圧下で一時間加熱することによって重合硬化させ、この硬化体を振動ボールミルにて粉砕し、平均粒径30μmの有機無機複合フィラーC−2を得た。
実施例3で得た複合フィラーC−2を、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.02重量%を溶解したエタノール中にて、90℃で5時間加熱攪拌することで表面処理を行い、ろ過で回収し、エタノール洗浄し、50℃で15時間真空乾燥した
GMA60重量部とTEGDMA40重量部に、CQ0.5重量%とDMBE0.5重量%を混合し、均一な重合性単量体組成物とし、これをマトリックスとした。
次に、250重量部の上記表面処理した複合フィラーC−2と、170重量部の球状シリカジルコニア(平均粒径0.4μm、屈折率1.52)表面処理物と、80重量部の球状シリカチタニア(平均粒径0.08μm、屈折率1.52)表面処理物とをプラネタリーに入れ、そこに上記重合性単量体組成物を徐々に加え、暗所にて十分に混練し均一な硬化性ペーストとし、このペーストを減圧下脱泡した。この硬化性ペーストの硬化体の、黄色度はYI=8、重合収縮率は1.6%、コントラスト比は0.39であった。
100重量部の球状シリカジルコニア(平均粒径0.2μm、屈折率1.53)を、150重量部の水に入れ、湿式分散機SCミルを用いて分散させ、分散液を得た。別容器に70重量部の水と、3重量部のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと、0.004重量部のクエン酸とを入れ、2時間攪拌し、pH4の均一な溶液を得た。この溶液を上記分散液に添加し、均一に混合し、軽く撹拌しながらこの溶液を噴霧乾燥機へ送液し、200℃の空気中で噴霧乾燥した。さらに90℃で12時間真空乾燥した。得られた白色粉体をF−3とした。
30重量部のGMAと70重量部のTEGDMAに、0.5重量%の重合開始剤AIBNを加え、溶解し、これに300重量部の前記表面処理した無機フィラーF−3を混合し、乳鉢でよく練和する事でペースト状とした。このペーストを95℃窒素加圧下で一時間加熱することによって重合硬化させ、更にこの硬化体を振動ボールミルにて粉砕し、平均粒径30μmの有機無機複合フィラーC−3を得た。
実施例5で得た複合フィラーC−3を、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.02重量%を溶解させたエタノール中にて、90℃で5時間加熱攪拌することで表面処理を行い、ろ過回収し、エタノール洗浄後、50℃で15時間真空乾燥した。
GMA60重量部及びTEGDMA40重量部に、CQ0.5重量%及びDMBE0.5重量%を加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製して、これをマトリックスとした。
250重量部の上記表面処理した有機無機複合フィラーC−3と、250重量部の球状シリカジルコニア(0.2μm、屈折率1.54)表面処理物をメノウ乳鉢に入れ、上記重合性単量体組成物を徐々に加えていき、暗所にて十分に混練し均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡した。この硬化性ペーストの硬化体の、黄色度はYI=11、重合収縮率は1.8%、コントラスト比は0.33であった。
比較例1
100重量部の球状シリカジルコニア(平均粒径0.2μm)を150重量部の塩化メチレンに湿式分散機アトライタを用いて分散させ、分散液を得た。別容器に70重量部の塩化メチレンを入れ、さらに3重量部のγ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシランと0.003重量部のプロピルアミンを加え、2時間攪拌した。この溶液を上記分散液に添加し、均一に混合した。その後、軽く撹拌しながら溶液をエバポレーターへ送液し、塩化メチレンを減圧留去した。さらに、この無機粒子を90℃で12時間真空乾燥させた。得られた粉体をF−4とした。
重合性単量体としてGMA40重量部、TEGDMA60重量部の混合物に、0.5重量%の重合開始剤AIBNを溶解させて得た組成物に、無機フィラーF−4を300重量部混合し、メタノールを加えながら乳鉢でよく練和してペースト状とした。乾燥後、このペーストを95℃窒素加圧下で一時間加熱することによって重合硬化させ、更にこの硬化体を振動ボールミルにて粉砕し、複合フィラーC−4を得た。
この複合フィラーC−4を、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.02重量%を溶解させたエタノール中で、90℃で5時間加熱攪拌して表面処理を行い、ろ過で回収し、エタノール洗浄後、50℃で15時間、真空乾燥を行った。
GMA60重量部とTEGDMA40重量部に、重合開始剤CQ0.5重量%とDMBE0.5重量%を加えて均一に混合し、重合性単量体組成物とした。
250重量部の上記表面処理した有機無機複合フィラーC−4と、250重量部の球状シリカジルコニア(0.2μm、屈折率1.54)表面処理物とを、メノウ乳鉢に入れ、そこに上記重合性単量体組成物を徐々に加え、暗所にて十分に混練し均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡した。この硬化性ペーストの硬化体の、黄色度はYI=22、重合収縮率は1.9%、コントラスト比は0.35であった。この硬化体は黄ばみが強く見られた。
比較例2
60重量部のGMA60重量部と40重量部のTEGDMAの混合物に、0.5重量%のCQと0.5重量%のDMBEを加えて均一に混合し、重合性単量体組成物を調製した。250重量部の無機フィラーF−1をメノウ乳鉢に入れ、そこに上記重合性単量体組成物を徐々に加え、暗所にて十分に混練し、均一な硬化性ペーストを得た。さらにこのペーストを減圧下脱泡した。この硬化性ペーストの硬化体の、黄色度はYI=10、重合収縮率は2.9%、コントラスト比は0.25であった。この歯科用修復材は、黄ばみは見られないものの、重合収縮が大きかった。

Claims (7)

  1. 重合性単量体の重合体100重量部、および酸水溶液中で加水分解したシランカップリング剤で表面処理した粒径が0.001〜1μmの無機粒子150〜600重量部を主成分とする歯科用有機無機複合フィラー 。
  2. 酸が有機酸である請求項1に記載の歯科用有機無機複合フィラー。
  3. 有機酸が酢酸およびクエン酸から選択される1種または2種の酸である請求項2に記載の歯科用有機無機複合フィラー。
  4. 無機粒子が、pH3〜6.5の酸水溶液中で加水分解したシランカップリング剤で処理した無機粒子である請求項1から3までのいずれか1項に記載の歯科用有機無機複合フィラー。
  5. 酸水溶液中で加水分解したシランカップリング剤で無機粒子を表面処理し:
    重合性単量体100重量部と、該無機粒子150〜600重量部と、重合開始剤とを有機溶媒を使用せずに混合し、重合硬化し:
    得られた重合硬化体を粉砕する:
    以上の工程からなる歯科用有機無機複合フィラーの製造方法。
  6. 酸水溶液中で加水分解したシランカップリング剤で無機粒子を表面処理し:
    重合性単量体混合物100重量部と、該無機粒子150〜600重量部と、重合開始剤とを有機溶媒を使用せずに混合し、重合硬化し:
    得られた重合硬化体を粉砕して有機無機複合フィラーとし:
    重合性単量体100重量部、該有機無機複合フィラー100〜400重量部、無機粒子0〜400重量部および光重合開始剤を均一に混合しペースト化する、
    以上の工程からなる歯科用修復材組成物の製造方法。
  7. 請求項6の方法により製造された歯科用修復材組成物。
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