JP2019137804A - 硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】下地の色調を活かして違和感のない白色にすることができる硬化性組成物、更には、天然歯の色調を生かした白色にし、且つエナメル質と比較して違和感のない白色にすることができる硬化性組成物や該組成物を用いた歯科用コーティング材料を提供すること。【解決手段】本発明は、 重合性単量体成分(A)、重合開始剤(B)、並びに、平均一次粒子径が100nm以上230nm未満の範囲内にある球状フィラー(C1)、平均一次粒子径が230nm以上270nm未満の球状フィラー(C2)、平均一次粒子径が270nm以上350nm以下の球状フィラー(C3)、のうち、少なくとも2種の球状フィラーを含む硬化性組成物であって、厚さ0.5mmの硬化体の白色度が35以上であり、かつ、コントラスト比が0.25以下であることを特徴とする硬化性組成物である。【選択図】なし

Description

本発明は、硬化性組成物に関する。詳しくは、染料や顔料を使用することなく、高い白色度と透明性を有するため、下地の色調を生かした白さを表現することができる硬化組成物に関する。本発明は、特に、天然歯と比べて違和感がない白い歯とすることができる、歯科用コーティング材料として有用な硬化性組成物に関する。
従来、歯科用材料,記録材料,建築材料等の種々の分野において、重合性単量体と、無機又は有機のフィラーとを含む硬化性組成物が使用されている。特に歯科用材料の分野において、硬化性組成物は、歯牙の修復等をするための材料等として、様々な用途で用いられている。
近年、日本人の歯に対する審美的な要求が高まってきている。従来から用いられている天然歯質表面の色調改善方法としては、過酸化水素などの薬剤を使用する方法、ラミネートベニアと呼ばれる補綴物を装着する方法等がある。これらの方法は、短時間で色調改善できない場合が多く、また症例によっては色調改善そのものができないこともある。
その中で、最近、歯の表面に液やペーストを塗るだけで簡単に歯を白くすることができる歯のマニキュアが注目を集めている。
現在、歯のマニキュアとしては、例えば、濡れ性や表面硬化性、破折やチッピングを生じにくい材料(特許文献1)や必要に応じて容易に外すことができる材料(特許文献2)が提案されている。
特開2004−196735号公報 特開2004−315460号公報
しかしながら、歯を白くするために用いられる歯のマニキュアは、天然歯の色調を覆い隠し、マニキュア材料の色調へと変更するための材料であるため、天然歯の色調を活かした白色にすることはできない。また、人の歯牙には、個人差及び部位差があり、天然歯は、多様な色調を含むものであるが、従来のマニュキュアは、すべての歯を均一に白くするものであった。さらに、どのような色調の天然歯に塗った場合でも同等に白くするために多くの顔料を添加しており、透明性が低いものである。そのため、透明性の高く、自然な色調の天然歯のエナメル質と比較すると違和感の強い白さとなってしまう。
したがって、本発明の目的は、下地の色調を活かして違和感のない白色にすることができる硬化性組成物、更には、天然歯の色調を生かした白色にし、且つエナメル質と比較して違和感のない白色にすることができる歯科用硬化性組成物や該組成物を用いた歯科用コーティング材料を提供することにある。
上記の課題に鑑み、本発明者らは鋭意研究を続けてきた。その結果、特定の粒子径を有する球状フィラーを少なくとも2種類含有し、さらに該硬化性組成物の硬化体の白色度及び透明性を特定することにより、上記の課題が解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、 重合性単量体成分(A)、
重合開始剤(B)、
並びに、
平均一次粒子径が100nm以上230nm未満の範囲内にある球状フィラー(C1)、平均一次粒子径が230nm以上270nm未満の球状フィラー(C2)、平均一次粒子径が270nm以上350nm以下の球状フィラー(C3)、のうち、少なくとも2種の球状フィラーを含む硬化性組成物であって、
厚さ0.5mmの硬化体の白色度が35以上であり、かつ、コントラスト比が0.25以下であることを特徴とする硬化性組成物である。
上記硬化性組成物は、前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、球状フィラー(C3)として、構成する個々の粒子の数のうち90%以上が平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在し、かつ
前記重合性単量体成分(A)、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)は、下記式(1)、(2)及び(3)
nP<nFC1 (1)
(上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC1は、球状フィラー(C1)の25℃における屈折率を表す。)
nP<nFC2 (2)
(上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC2は、球状フィラー(C2)の25℃における屈折率を表す。)
nP<nFC3 (3)
(上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC3は、球状フィラー(C3)の25℃における屈折率を表す。)
で示される条件を満足することを各々選択することにより得られることが好ましい。
よりエナメル質と比較して違和感のない白色にするために、前記重合性単量体(A)100質量部に対し、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)は合計で100質量部〜1500質量部となることが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の3種すべてを含むことが好ましい。
本発明の好ましい例では、前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の質量比が、前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の質量の総和を100としたとき、10〜60/10〜60/10〜60の範囲にある。
本発明の別の好ましい例では、前記重合性単量体(A)100質量部に対し、前記球状フィラー(C1)を少なくとも20質量部以上含み、前記球状フィラー(C2)を少なくとも20質量部以上含み、且つ前記球状フィラー(C3)を少なくとも20質量部以上含む。
本発明の別の好ましい例では、前記重合性単量体成分(A)として複数種の(メタ)アクリル化合物を含み、該重合性単量体成分(A)の屈折率(25℃)が1.38〜1.55の範囲にある。
本発明の別の好ましい例では、前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)が球形のシリカ・チタン族酸化物系複合酸化物粒子であり、その屈折率(25℃)が1.45〜1.58の範囲にある。
本発明の硬化性組成物は歯科用コーティング材料に用いられることが好ましい。
本発明による硬化性組成物は、白色で高い透明性を有するために、下地を生かして色調を白くすることが可能である。より具体的には、天然歯の色調を活かして色調を白色にし、且つエナメル質と比較して違和感のない白色にすることが可能である。また、干渉光を利用しているので退色及び変色がなく、白色且つ高い透明性を継続して維持することが可能である。
本発明の硬化性組成物は、重合性単量体成分(A)、重合開始剤(B)、並びに、平均一次粒子径が100nm以上230nm未満の範囲内にある球状フィラー(C1)、平均一次粒子径が230nm以上270nm未満の範囲内にある球状フィラー(C2)、平均一次粒子径が270nm以上350nm以下の範囲内にある球状フィラー(C3)、のうち、少なくとも2種の球状フィラーを含む。
本発明の硬化性組成物は、厚さ0.5mmの硬化体の白色度が35以上であり、かつ、コントラスト比が0.25以下である。
白色度Wは、色差計(たとえば、東京電色製、「TC−1800MKII」等)を用い、黒背景(マンセル表色系による明度が1の下地)下及び白背景(マンセル表色系による明度が9.5の下地)下の各々において、分光反射率を測定し、測定値に基づき下記式により算出する。
W=100−{(100−L+(a+(b1/2
(W白色度、L:背景色黒におけるL値、a:背景色黒におけるa値、b:背景色黒におけるb値)
W値は大きければ大きいほど白色である。厚さ0.5mmの硬化体の白色度は、35以上であり、38以上であることがより好ましい。白色度を35以上とすることで、天然歯の色調を十分に白くすることができる。W値の上限値は特に制限されず、後述のコントラスト比との兼ね合いから、例えば、50以下となることが好ましい。
また、コントラスト比Tは、同様に、色差計(たとえば、東京電色製、「TC−1800MKII」等)を用い、黒背景(マンセル表色系による明度が1の下地)下、及び、白背景(マンセル表色系による明度が9.5の下地)下の各々において、分光反射率を測定し、背景色黒におけるY値を、背景色白におけるY値を除することにより算出する。
T=Yb/Yw
(Tコントラスト比、Yb背景色黒におけるY値、Yw背景色白におけるY値)
Tが小さいほど透明となる。コントラスト比は、0.25以下であり、0.20以下であることがより好ましい。コントラスト比を0.25以下とすることで、下地の天然歯の色調を適度に生かし、かつ、エナメル質との違和感を感じさせないという効果が得られる。コントラスト比の下限値は特に制限されず、前述の白色度との兼ね合いから、例えば、0.1以上であることが好ましい。
こうした白色度とコントラスト比を発現する特異な硬化性組成物は、以下に説明する、特定の平均一次粒子径を有する球状フィラーを用いることにより得られる。
本発明の効果を発現させる上では、球状フィラー(C1)の平均一次粒子径が100nm以上230nm未満の範囲内にあること、球状フィラー(C2)平均一次粒子径が230nm以上270nm未満の範囲内にあること、及び、球状フィラー(C3)平均一次粒子径が270nm以上350nm以下の範囲内にあること、並びに、これらのうち、少なくとも2種の球状フィラーを含むことが重要である。
一般に、母材に分散された特定の粒径を有する微粒子による散乱によって、構造色が発現することが知られている。干渉,回折,屈折,散乱等(以下、単に「干渉,散乱等」という)により発現する構造色を呈する着色光は、ブラッグ条件に則って回折・干渉が起こって特定波長の光が強調されたり、特定波長の光以外の光が散乱されて特定波長の光のみが反射されたりすることにより発現するものであり、特定の平均粒子径を有する球状フィラーを配合すると、その平均粒子径に従って硬化性組成物の硬化体には着色光が発現する。
本発明の硬化性組成物にかかる、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、及び球状フィラー(C3)の粒径と光の干渉現象との関係は、ブラッグ回折条件に従うと考えられる。平均一次粒子径が100nm以上230nm未満の範囲内にある球状フィラーから発せられる着色光は青色系、平均一次粒子径が230nm以上270nm未満の範囲内にある球状フィラーから発せられる着色光は緑色系、平均一次粒子径が270nm以上350nm以下の範囲内にある球状フィラーから発せられる着色光は赤色系である。一般に知られているように、光の3原色である赤・緑・青を混合すると白色光が得られる。本発明の硬化性組成物は、上記平均一次粒子径の球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、及び球状フィラー(C3)の中から少なくとも2つ以上を選択し、それらを組み合わせて白色とすることで、高い白色度と低いコントラスト比を両立することができ、高い白色度と低いコントラスト比とすることによって、天然歯の色調を活かし、エナメル質と比較して違和感のない白色にすることが可能である歯科用コーティング材料に適した硬化性組成物を得ることができる。
球状フィラーは、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、及び球状フィラー(C3)の中から、少なくとも2種類以上を選択し、それらの選択した球状フィラーを組み合わせて本発明で特定する白色度が得られるのであれば、どのような組み合わせを選択してもかまわない。2種類を混合する場合は、例えば、
・緑系の着色光を発する球状フィラー(平均一次粒子径が230nm以上270nm未満の範囲内にある球状フィラー)と赤系の中でも赤紫(マゼンタ)付近の着色光を発する球状フィラー(平均一次粒子径が300nm以上350nm未満の範囲内にある球状フィラー)の組み合わせ
や、
・青系の着色光を発する球状フィラー(平均一次粒子径が100nm以上230nm未満の範囲内にある球状フィラー)と、緑系の中でも黄色付近の着色光を発する球状フィラー(平均一次粒子径が230nm以上260nm未満の範囲内にある球状フィラー)の組み合わせ
が挙げられる。また、3種類を混合する場合は、赤色系と緑色系と青色系の着色光の球状フィラーを混合することが好ましく、この場合、特に、高い白色度且つ低いコントラスト比となり好ましい。
本発明の光の干渉現象を利用した硬化性組成物は白色で低いコントラスト比を有するため、様々な色調の天然歯に対して天然歯の色調を活かしながら白色にすることができる。また、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、球状フィラー(C3)の配合比を調整することで、着色光の調整が可能となる。具体的には、例えば、A系(赤茶色)の色調の天然歯の場合には、A系の歯面の色調と青色系の着色光を発現する球状フィラー(C1)が多く含まれるコーティング材由来の着色光を合わせることにより、より白色でかつ透明な色調の天然歯に、B系(赤黄色)の色調の天然歯の場合には、B系の歯面の色調と青色系の着色光を発現する球状フィラー(C1)及び赤色系の着色光を発現するフィラー(C3)が多く含まれるコーティング材由来の着色光を合わせることにより、より白色でかつ透明な色調の天然歯に、C系(灰色)の色調の天然歯の場合には、C系の歯面の色調と緑色系の着色光を発現する球状フィラー(C2)及び赤色系の着色光を発現するフィラー(C3)が多く含まれるコーティング材由来の着色光を合わせることにより、より白色でかつ透明な色調の天然歯に、D系(赤灰色)の色調の天然歯の場合にはD系の歯面の色調と緑色系の着色光を発現する球状フィラー(C2)が多く含まれるコーティング材由来の着色光を合わせることにより、より白色でかつ透明な色調の天然歯に変更することができる。一方、通常のコーティング材料では顔料等の着色物質を配合することにより特定の色調の材料を調製するが、この際、着色物質の添加により透明性が低下する。従来の白色のコーティング材も同じく透明性は低下する。従って、天然歯に塗った場合に下地の天然歯の色調に関わらず、同一の白色度の色調への変更はできるものの、天然歯の色調を活かし、エナメル質と比較して違和感のない白色にすることは困難である。
本発明の硬化性組成物は、干渉現象によって球状フィラー(C1)の平均一次粒子径、球状フィラー(C2)の平均一次粒子径、及び球状フィラー(C3)の平均一次粒子径に応じた着色光が発生することを特徴としているが、該着色光が発生するか否かは、色差計を用いて黒背景下の条件で分光反射率特性を測定することにより確認される。黒背景下で上述した条件を満たす場合、特定の可視スペクトル(380−780nm)の光が、その着色光に応じて特有の反射スペクトルが明瞭に確認される。これは、黒背景下において、外光(例えばC光源、D65光源)が吸収或いは遮光されて干渉による着色光が強調されるためであると考えられる。
以下、本発明の硬化性組成物の各成分について説明する。
<重合性単量体成分(A)>
重合性単量体成分としては、公知のものが特に制限なく使用できる。歯科用途として見た場合、重合速度の観点から、ラジカル重合性、或いはカチオン重合性の単量体が好ましい。特に好ましいラジカル重合性単量体としては(メタ)アクリル化合物である以下に例示する(メタ)アクリレート類が挙げられ、また特に好ましいカチオン重合性単量体としては、エポキシ類、オキセタン類が挙げられる。
本発明の硬化性組成物を歯科コーティング材料として用いる場合、塗布時の作業性や塗膜の膜厚を最適化する観点から、重合性単量体としては、粘度が30Pa・s以下の範囲内にある単量体が好ましい。
一般に、好適に使用されるものを例示すれば、下記(イ)〜(ハ)に示されるものが挙げられる。
(イ)二官能重合性単量体
(i)芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、
2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、
2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン
及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、
4,4‘−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
(ii)脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、
ジエチレングリコールジメタクリレート、
トリエチレングリコールジメタクリレート、
テトラエチレングリコールジメタクリレート、
ネオペンチルグリコールジメタクリレート、
1,3−ブタンジオールジメタクリレート、
1,4−ブタンジオールジメタクリレート、
1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、
およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;
2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、
3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、
トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、
ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、
メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加体から得られるジアダクト、例えば、1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン;
1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル等。
(ロ)三官能重合性単量体
トリメチロールプロパントリメタクリレート、
トリメチロールエタントリメタクリレート、
ペンタエリスリトールトリメタクリレート、
トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
(ハ)四官能重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、
ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、
ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、
イソフォロンジイソシアネート、
ヘキサメチレンジイソシアネート、
トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、
メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、
4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、
トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクト等。
これら多官能の(メタ)アクリレート系重合性単量体は、必要に応じて複数の種類のものを併用しても良い。
さらに、必要に応じて、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等の単官能の(メタ)アクリレート系単量体や、上記(メタ)アクリレート系単量体以外の重合性単量体を用いても良い。
本発明において、重合性単量体成分(A)としては、硬化体の物性(機械的特性や歯質に対する接着性)調整のため、一般に、複数種の重合性単量体が使用されるが、この際、成分(A)の重合体の25℃における屈折率が1.38〜1.55の範囲となるように、重合性単量体の種類及び量を設定することが望ましい。即ち、屈折率を1.38〜1.55の範囲に設定することにより、重合性単量体成分(A)から得られる重合体の屈折率nPを、おおよそ1.40〜1.57の範囲に設定でき、後述の屈折率の条件(X1)を満足するようにすることが容易である。なお、重合性単量体成分(A)として重合性単量体を複数種類用いる場合があるが、この場合の重合性単量体成分(A)の重合体の屈折率は、複数種の重合性単量体を混合した混合物の重合体の屈折率が上記範囲に入っていれば良く、個々の重合性単量体の重合体の屈折率は必ずしも上記範囲に入っていなくてもよい。
なお、重合性単量体や重合性単量体の重合体の屈折率は、25℃にてアッベ屈折率計を用いて求めることができる。
<重合開始剤(B)>
本発明で用いる重合開始剤は、本組成を重合硬化させる目的で配合させるが、公知の如何なる重合開始剤が特に制限されることなく用いられる。
中でも、口腔内で硬化させる場合が多い歯科のコーティング用途では光重合開始剤、又は化学重合開始剤組成が好ましく、混合操作の必要が無く短時間で硬化することができる点から、光重合開始剤(組成)が好ましい。
光重合に用いる重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、ベンゾフェノン、4,4‘−ジメチルベンゾフェノン、4−メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ジアセチル、2,3−ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントラキノン、9,10−アントラキノンなどのα-ジケトン類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのビスアシルホスフィンオキサイド類等が使用できる。
なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などの含イオウ化合物などを挙げることができる。
更に、上記光重合開始剤、還元性化合物に加えて光酸発生剤を加えて用いる例がしばしば見られる。このような光酸発生剤としては、ジアリールヨードニウム塩系化合物、スルホニウム塩系化合物、スルホン酸エステル化合物、及びハロメチル置換−S−トリアジン誘導体、ピリジニウム塩系化合物等が挙げられる。
これら重合開始剤は単独で用いることもあるが、2種以上を混合して使用してもよい。
合開始剤の配合量は目的に応じて有効量を選択すればよいが、重合性単量体100重量部に対して通常0.01〜10重量部の割合であり、より好ましくは0.1〜5重量部の割合で使用される。
<球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、球状フィラー(C3)>
硬化性組成物には、無機粉体や有機粉体などの種々の充填材が含有されているが、本発明の硬化性組成物には、干渉による着色光を発現させる目的で、平均一次粒子径が100nm以上230nm未満の範囲内である球状フィラー(C1)、平均一次粒子径が230nm以上270nm未満の範囲である球状フィラー(C2)、平均一次粒子径が270nm以上350nm以下の範囲内である球状フィラー(C3)のうち少なくとも2種が配合される。本発明の硬化性組成物において特徴的なことは、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、球状フィラー(C3)が球状である点である。また、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、球状フィラー(C3)を構成するそれぞれの個々の粒子の数のうち90%以上が平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在することが好ましい。干渉による着色光は、構成する粒子が規則的に集積された時に生じる。従って、本発明を構成する、球状であり且つ粒子径分布が狭い球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、球状フィラー(C3)は、干渉による着色光が生じる。一方、粉砕等によって製造される不定形粒子の場合、粒子径分布が広く、形状も不均一であるため、規則的に集積されないため、着色光は生じない。
該球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、及び、球状フィラー(C3)はそれぞれを構成する個々の粒子の90%(個数)以上が平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在することが好ましい。つまり、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)は、それぞれ独立した複数の一次粒子から構成されており、該複数の一次粒子の平均粒子径の前後の5%の範囲に、全体の一次粒子の数のうち90%の数の一次粒子が存在していることが好ましい。この割合は、91%以上が好ましく、93%以上がより好ましい。
光の回折・干渉による着色光の発現は、ブラッグ条件に則って回折・干渉が起こり、特定波長の光が強調されることによるものであり、上記粒子径を有する粒子を配合すると、その粒子径に従ってその硬化性組成物の硬化体には、着色光が発現するようになる。また、本発明においては平均一次粒子径の異なる球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、及び、球状フィラー(C3)のうち少なくとも2種類が使用され、それぞれの粒子径に依存する光の回折・干渉による着色光が発現し、それぞれの着色光が混合されて硬化体としての白色が発現する。
本発明の効果を発現させる上では球状フィラー(C1)の平均一次粒子径が100nm以上230nm未満であること、球状フィラー(C2)平均一次粒子径が230nm以上270nm未満であること、球状フィラー(C3)平均一次粒子径が270nm以上350nm以下であることが重要である。平均一次粒子径が、100nm以上230nm未満の球状フィラー(C1)を用いた場合の着色光は青色系、平均一次粒子径が、230nm以上270nm未満の球状フィラー(C2)を用いた場合の着色光は緑色系、平均一次粒子径が、270nm以上350nm以下の球状フィラー(C3)を用いた場合の着色光は赤色系であり、本成分を少なくとも2種類以上配合し、組み合わせることでお互いの着色光を打ち消すことなく白色で高い透明性を有する硬化体を得ることが可能である。
このように、赤色系と緑色系と青色系の着色光が発現し、それらを混合することによって、白色にすることにより、白色度が高く、かつ高い透明性(すなわち低いコントラスト比)となり、シェードガイド「VITAPAN Classical」におけるA系(赤茶色)の歯にコートするとA系の歯面の色調を活かしコーティング材由来の着色光と合わせることで白色かつ透明な色調に、B系(赤黄色)の歯にコートするとB系の歯面の色調を活かしコーティング材由来の着色光と合わせることで白色かつ透明な色調に、C系(灰色)の歯にコートするとC系の歯面の色調を活かしコーティング材由来の着色光と合わせることで白色かつ透明な色調に、D系(赤灰色)の歯にコートするとD系の歯面の色調を活かしコーティング材由来の着色光と合わせることで白色かつ透明な色調に色調を変えることが可能であり、さら本発明の硬化性組成物の硬化体は透明性が高いため、エナメル質と比較して違和感なく白色に変更する材料として有用である。
本発明において、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡により粉体の写真を撮影し、その写真の単位視野内に観察される粒子の30個以上を選択し、それぞれの一次粒子径(最大径)を求めた平均値をいう。
ここで、球状フィラーの球状とは、略球状であればよく、必ずしも完全な真球である必要はない。一般には、走査型電子顕微鏡で粒子の写真を撮り、その単位視野内にあるそれぞれの粒子(30個以上)について、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した平均均斉度が0.6以上、より好ましくは0.8以上のものであればよい。
他方、粒子の粒子径分布は、走査型電子顕微鏡により粉体の写真を撮影し、その写真の単位視野内に観察される粒子の30個以上を選択し、下記算出式より求めた値をいう。
Figure 2019137804
前記重合性単量体成分(A)、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)は、下記式(1)、(2)及び(3)で示される条件(X1)を満足するように選択することが好ましい。干渉による着色光は、下記式(1)、(2)及び(3)で示される条件(X1)を満たす場合によく発現する。
nP<nFC1 (1)
(上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC1は、球状フィラー(C1)の25℃における屈折率を表す。)
nP<nFC2 (2)
(上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC2は、球状フィラー(C2)の25℃における屈折率を表す。)
nP<nFC3 (3)
(上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC3は、球状フィラー(C3)の25℃における屈折率を表す。)
すなわち、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の屈折率(nFC1、nFC2、nFC3)は、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の屈折率nPより高い状態にあるということである。構造色を良好に発現させるという観点から、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の屈折率(nFC1、nFC2、nFC3)と重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の屈折率nPとの屈折率差は、それぞれ0.001以上であるのが好ましく、0.002以上であるのがより好ましく、0.005以上であるのが最も好ましい。球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の屈折率と、重合性単量体成分(A)の硬化体の屈折率との屈折率差は、0.1以下が好ましく、より好ましくは0.05以下であって、硬化体のコントラスト比を低くすることができ、透明性をできるだけ損なわないものを選定して用いるのが好ましい。球状フィラー(C1)、(C2)、及び(C3)の屈折率nFC1、nFC2及びnFC3が、重合性単量体成分(A)の重合体の屈折率nPより高い場合、硬化性組成物の硬化体において短波長の光が干渉されにくく、ブラッグ回折条件に従った干渉光が強く発現する。逆の場合、短波長の光が干渉されやすくなり、得られる着色光は短波長化し青みを帯びた着色光となり、白色で低いコントラスト比を有するペーストは得られない場合がある。
球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)は、一般の硬化性組成物に使用されるものが制限なく使用できる。また、本発明の硬化性組成物を歯科用途で用いる場合、歯科用硬化性組成物の同成分として使用されるようなものが制限なく使用できる。具体的には、非晶質シリカ、シリカ・チタン族酸化物系複合酸化物粒子(シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニアなど)、石英、アルミナ、バリウムガラス、ジルコニア、チタニア、ランタノイド、コロイダルシリカ等の無機粉体が挙げられる。さらに、有機粉体や有機無機複合粉体も使用できる。
このうちフィラーの屈折率を調整が容易であることから、シリカ・チタン族酸化物系複合酸化物粒子が好ましい。
本発明においてシリカ・チタン族酸化物系複合酸化物粒子とは、シリカとチタン族(周期律表第IV族元素)酸化物との複合酸化物であり、シリカ・チタニア、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア・ジルコニア等が挙げられる。このうちフィラーの屈折率の調整が可能である他、高いX線不透過性も付与できることから、シリカ・ジルコニアが好ましい。その複合比は特に制限されないが、十分なX線不透過性を付与することと、屈折率を後述する好適な範囲にする観点から、シリカの含有量が70〜95モル%であり、チタン族酸化物の含有量が5〜30モル%であるものが好ましい。シリカ・ジルコニアの場合、このように各複合比を変化させることにより、その屈折率を自在に変化させることができる。
なお、これらシリカ・チタン族酸化物系複合酸化物粒子には、少量であれば、シリカ及びチタン族酸化物以外の金属酸化物の複合も許容される。具体的には、酸化ナトリウム、酸化リチウム等のアルカリ金属酸化物を10モル%以内で含有させても良い。
こうしたシリカ・チタン族酸化物系複合酸化物粒子の製造方法は特に限定されないが、本願発明の特定の球状フィラーを得るためには、例えば、加水分解可能な有機ケイ素化合物と加水分解可能な有機チタン族金属化合物とを含んだ混合溶液を、アルカリ性溶媒中に添加し、加水分解を行って反応生成物を析出させる、いわゆるゾルゲル法が好適に採用される。
これらのシリカ・チタン族酸化物系複合酸化物粒子は、シランカップリング剤により表面処理されてもよい。シランカップリング剤による表面処理により、重合性単量体成分(A)の硬化体部分との界面強度に優れたものになる。代表的なシランカップリング剤としては、例えばγ−メタクリロイルオキシアルキルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等の有機ケイ素化合物が挙げられる。これらシランカップリング剤の表面処理量に特に制限はなく、得られる複合修復材料の機械的物性等を予め実験で確認したうえで最適値を決定すればよいが、好適な範囲を例示すれば、粒子100重量部に対して0.1〜15重量部の範囲である。
球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、球状フィラー(C3)は重合性単量体(A)等と混合し、重合させて製造される有機無機複合フィラーとして配合してもよい。このとき、球状フィラー(C1)と球状フィラー(C2)と球状フィラー(C3)とは、別々の有機無機複合フィラーとして配合してもよく、球状フィラー(C1)及び/又は球状フィラー(C2)及び/又は球状フィラー(C3)とを混合して製造した有機無機複合フィラーとして配合してもよい。球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の3種の球状フィラーのうち1つ又は2つが有機無機複合フィラーとして配合されて、残りの1つ又は2つが無機フィラーとして配合されてもよい。
有機無機複合フィラーは、球状フィラー(C1)及び/又は球状フィラー(C2)及び/又は球状フィラー(C3)、重合性単量体、及び重合開始剤の各成分の所定量を混合し、加熱あるいは光照射等の方法で重合させた後、粉砕する、有機無機複合フィラーの一般的製造方法や、国際公開第2011/115007号パンフレットや国際公開第2013/039169号パンフレット記載の、球状無機フィラー(b2)が凝集してなる無機凝集粒子を、重合性単量体、重合開始剤及び有機溶媒を含む重合性単量体溶媒に浸漬した後、有機溶媒を除去し、重合性単量体を加熱あるいは光照射等の方法で重合硬化させる、無機一次粒子が凝集した無機凝集粒子の各無機一次粒子の表面を覆うと共に、各無機一次粒子を相互に結合する有機樹脂相を有し、各無機一次粒子の表面を覆う有機樹脂相の間に凝集間隙が形成されている有機無機複合フィラーの製造方法に従って製造すれば良い。配合する有機無機複合フィラーは有機無機複合フィラーを構成する有機樹脂マトリックスの屈折率nDが球状フィラー(C1)の屈折率、球状フィラー(C2)の屈折率及び球状フィラー(C3)の屈折率よりも低く、下記を満足することが好ましい。
nD<nFC1 (4)
(上記式中、nDは、有機無機複合フィラーを構成する有機樹脂マトリックスの25℃における屈折率を表し、nFC1は、球状フィラー(C1)の25℃における屈折率を表す。)
nD<nFC2 (5)
(上記式中、nDは、有機無機複合フィラーを構成する有機樹脂マトリックスの25℃における屈折率を表し、nFC2は、球状フィラー(C2)の25℃における屈折率を表す。)
nD<nFC3 (6)
(上記式中、nDは、有機無機複合フィラーを構成する有機樹脂マトリックスの25℃における屈折率を表し、nFC3は、球状フィラー(C3)の25℃における屈折率を表す。)
すなわち、球状フィラー(C1)の屈折率、球状フィラー(C2)の屈折率、球状フィラー(C3)の屈折率は、有機無機複合フィラーを構成する有機樹脂マトリックスの屈折率よりも高い状態にあるということである。本発明の硬化性組成物は、ブラッグ回折条件に従った干渉光が強く発現するため、球状フィラー(C1)の屈折率、球状フィラー(C2)の屈折率、球状フィラー(C3)の屈折率と、有機無機複合フィラーを構成する有機樹脂マトリックスの屈折率との屈折率差は、0.001以上とすることが好ましく、0.002以上とすることがより好ましい。また、本発明の硬化性組成物の硬化体が適度な透明性を有する場合に、天然歯と違和感のない自然な白色を表現できることから、球状フィラー(C1)の屈折率、球状フィラー(C2)の屈折率、球状フィラー(C3)の屈折率と、有機無機複合フィラーを構成する有機樹脂マトリックスの屈折率との屈折率差は、好ましくは0.1以下、より好ましくは0.05以下とし、透明性をできるだけ損なわないようにするのがよい。更に、球状フィラー由来の干渉光の発現させるため、及び透明性をできるだけ損なわないようにすると言う観点から、有機無機複合フィラーを構成する有機樹脂マトリックスの屈折率nDと、重合性単量体(A)の重合体の屈折率との差が0.005以下であるのが好ましい。
本発明における球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の合計の配合量は、重合性単量体成分(A)100質量部に対して、100〜1500質量部であることが好ましく、100〜800質量部であることが更に好ましい。配合量を100質量部以上とすることで、構造色を良好に発現させることができ、配合量を1500質量部以下とすることで、良好な透明性及び、組成物塗布時の作業性を保つことができる。
また、本発明の硬化性組成物を、歯科用コーティング材料として用いる場合、塗布時の作業性や塗膜の膜厚を最適化する観点から、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の合計の配合量は、重合性単量体成分(A)100質量部に対して、100〜350質量部であることが好ましい。球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)は、それぞれを20質量部以上配合すると、干渉による着色光が良好に発現するようになり、好ましい。
上記配合とすることで、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)として、重合性単量体成分(A)の硬化体との屈折率差が前記0.1を上回るものを用いる場合においても、硬化体のコントラスト比が低下し、白色で高い透明性を有する硬化体が得られる。
また、A系の歯にコートする場合には歯面の橙みが強いため、赤み及び黄色みが少ないペーストをコーティングすることにより赤・青・緑が均等に混合し、より高い白色度となる。即ち、A系の歯にコートする場合には赤色の構造色を発現する球状フィラー(C3)及び緑色の構造色を発現する球状フィラー(C2)の配合量が少ない場合により白色度が高い色調となる。B系の歯にコートする場合には歯面の黄色みが強いため、緑色の構造色を発現する球状フィラー(C2)の配合量が少ない場合により白色度が高い色調となる。C系の歯にコートする場合には歯面の青みが強いため、青色の構造色を発現する球状フィラー(C1)の配合量が少ない場合により白色度が高い色調となる。D系の歯にコートする場合には歯面の紫みが強いため、赤色の構造色を発現する球状フィラー(C3)及び青色の構造色を発現する球状フィラー(C1)の配合量が少ない場合により白色度が高い色調となる。
白色度と透明性が前記した要件を満たせば、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の質量比は、特に限定されず、また、前記したように、下地の天然歯の色調によっても、最適値が異なる場合もあるが、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の質量比は、前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の質量の総和を100としたとき、10〜60/10〜60/10〜60であることが好ましい。
球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の内、屈折率の調整が容易なシリカ・チタン族酸化物系複合酸化物の屈折率は、シリカ分の含有量に応じて1.45〜1.58程度の範囲となる。即ち、重合性単量体成分(A)の屈折率を前述した範囲(1.48〜1.55)の範囲に設定しておくことにより、前述した条件(X1)を満足するように、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)を容易に選択することができるわけである。即ち、適当な量のシリカ分を含むシリカ・チタン族酸化物系複合酸化物(例えばシリカ・チタニア或いはシリカ・ジルコニアなど)を使用すればよい。
また、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)の屈折率差が小さい事が重要であり、好ましくは球状フィラー間の屈折率差が0.01以下であることが好ましい。屈折率差が0.01を超えると、強く発色する構造色と弱く発色する構造色が存在してしまい、白色とならない虞があるためである。
<その他の添加剤>
本発明の硬化性組成物には、その効果を阻害しない範囲で、上記重合性単量体(A)、開始剤(B)、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、球状フィラー(C3)成分の他、公知の他の添加剤を配合することができる。具体的には、重合禁止剤、紫外線吸収剤、溶剤等が挙げられる。また、粘度調整等を目的として、光の波長より十分に小さく色調や透明性に影響を与え難い粒径のフィラーを配合することができる。
本願発明では前述したとおり、顔料などの着色物質を用いずに、特定の粒子径及び粒度分布を有する球状フィラーを2種類以上配合することにより白色とするため、どのような色調の天然歯に対しても単一のペースト(歯科用硬化性組成物)で天然歯の色調を活かし、且つエナメル質と比較して違和感のない白色にすることが可能になる。したがって、透明性が低下する顔料は配合しない態様が好ましい。ただし、本願発明においては、顔料の配合自体を否定するものではなく、球状フィラーの干渉による着色光の妨げにならない程度の顔料は配合しても構わない。具体的には、重合性単量体100質量部に対して0.04質量部程度以下の顔料であれば配合しても構わない。
本発明の硬化性組成物は上記のような歯科用硬化性組成物、特に光硬化型のコーティング材料として好適に使用されるが、それに限定されるものではなく、その他の用途にも好適に使用される。その他の用途としては、光硬化性コンポジットレジンに代表される歯科用充填修復材料、歯科用セメント、支台築造用修復材料、歯科CAD/CAM用レジンブロック等が挙げられる。歯科用コーティング材料として使用する場合の使用方法としては、歯質表面にボンディング材を塗布後、小筆などを用いてコーティング材料を塗布し、光照射器にて光照射し重合硬化させる方法が挙げられる。
以下、実施例によって本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
本発明における各種物性測定方法は、それぞれ以下のとおりである。
(1)球状フィラーの平均一次粒子径
走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL−30S」)で粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子の数(30個以上)及び一次粒子径(最大径)を測定し、測定値に基づき下記式により平均一次粒子径を算出した。
Figure 2019137804
(2)球状フィラーの平均粒子径粒子の存在割合
(1)で得られた平均一次粒子径から前後5%を超えた粒子数を計測し、写真の単位視野内に観察される粒子の数(30個以上)で除し、得られた値を1から引いて100倍して、平均一次粒子径の前後5%の範囲に存在する粒子の割合を算出し、平均粒子径粒子の存在割合とした。
(3)均斉度
走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL−30S」)で粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内にあるそれぞれの粒子(30個以上)について、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した値の平均を均斉度とした。
(4)屈折率の測定
<重合性単量体成分(A)の屈折率>
用いた重合性単量体(或いは重合性単量体の混合物)の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて25℃の恒温室にて測定した。
<重合性単量体成分(A)の重合体の屈折率nP>
用いた重合性単量体(或いは重合性単量体の混合物)の重合体の屈折率は、窩洞内での重合条件とほぼ同じ条件で重合した重合体を、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて25℃の恒温室にて測定した。
即ち、CQ 0.2質量%、DMBE 0.3質量%、HQME 0.15質量%を混合した均一な重合性単量体(或いは重合性単量体の混合物)を、φ7mm×0.5mmの孔を有する型に入れ、両面にポリエステルフィルムを圧接した。その後、光量500mW/cm2のハロゲン型歯科用光照射器(Demetron LC、サイブロン社製)を用いて30秒間光照射し硬化させた後、型から取り出して、重合性単量体の重合体を作製した。アッベ屈折率計(アタゴ社製)に重合体をセットする際に、重合体と測定面を密着させる目的で、試料を溶解せず、かつ試料よりも屈折率の高い溶媒(ブロモナフタレン)を試料に滴下し測定した。
<球状フィラー、不定形フィラーの屈折率>
用いた球状フィラー及び不定形フィラーの屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて液浸法によって測定した。
即ち、25℃の恒温室において、100mlサンプルビン中、球状フィラー若しくはその表面処理物1gを無水トルエン50ml中に分散させる。この分散液をスターラーで攪拌しながら1−ブロモトルエンを少しずつ滴下し、分散液が最も透明になった時点の分散液の屈折率を測定し、得られた値を球状フィラー及び不定形フィラーの屈折率とした。
(5)目視による着色光の評価
実施例及び比較例で調製された歯科用硬化性組成物のペーストを7mmφ×1mmの孔を有する型にいれ、両面はポリエステルフィルムで圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト)で両面を30秒ずつ光照射し硬化させた後、型から取り出して、10mm角程度の黒いテープ(カーボンテープ)の粘着面に載せ、目視にて着色光の色調を確認した。
(6)白色度及びコントラスト比の評価
実施例及び比較例で調製された歯科用硬化性組成物のペーストを7mmφ×0.5mmの孔を有する型にいれ、両面にポリエステルフィルムを圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト)で両面を30秒ずつ光照射し硬化させた後、型から取り出して、色差計(東京電色製、「TC−1800MKII」)を用いて、背景色黒、背景色白で分光反射率を測定した。測定値に基づき下記式により白色度Wを算出した。また、背景色黒におけるY値を背景色白におけるY値で割ったものをコントラスト比(Yb/Yw)とした。W値が大きいほど白色であり、Yb/Ywが小さいほど透明となる。
W=100−{(100−L+(a+(b1/2
(W白色度、L:背景色黒におけるL値、a:背景色黒におけるa値、b:背景色黒におけるb値)
(7)コーティング後の色調の評価
右上1番を再現した模型歯を用いて、ボンディング材を塗布後、硬化性ペーストを塗布し硬化、研磨し、色調を目視にて確認した。なお、塗膜の厚みは0.3mmであり、模型歯としては、「VITAPAN Classical」におけるA系(赤茶色)の範疇の中にあって、高色相且つ高彩度の高色度模型歯(A3相当)、シェードガイド「VITAPAN Classical」におけるB系(赤黄色)の範疇の中にあって、高色相且つ高彩度の高色度模型歯(B3相当)、シェードガイド「VITAPAN Classical」におけるC系(灰色)の範疇の中にあって、高色相且つ高彩度の高色度模型歯(C3相当)及び、シェードガイド「VITAPAN Classical」におけるD系(赤灰色)の範疇の中にあって、高色相且つ高彩度の高色度模型歯(D3相当)を用いた。
◎:コーティング後に天然歯と全く違和感なく白色となっている。
○:コーティング後に天然歯と違和感なく白色となっている。
△:コーティング後に天然歯との違和感が僅かにある。
×:コーティング後に天然歯との違和感がある。
実施例及び比較例で用いた重合性単量体、重合開始剤等は以下のとおりである。
[重合性単量体]
・1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン(以下、「UDMA」と略す。)
・トリエチレングリコールジメタクリレート(以下、「3G」と略す。)
・2,2−ビス[(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン(以下、「bis−GMA」と略す。)
[重合開始剤]
・カンファーキノン(以下、「CQ」と略す。)
・N,N−ジメチルp−安息香酸エチル(以下、「DMBE」と略す。)
[重合禁止剤]
・ヒドロキノンモノメチルエーテル(以下、「HQME」と略す。)
[着色剤]
・二酸化チタン(白顔料)
表1に示すような重合性単量体を混合し、マトリックスM1、M2を調製した。
Figure 2019137804
[球状フィラー]
球状フィラーの調製は、特開昭58−110414号公報、特開昭58−156524号公報等に記載の方法で、加水分解可能な有機ケイ素化合物(テトラエチルシリケートなど)と加水分解可能な有機チタン族金属化合物(テトラブチルジルコネートやテトラブチルチタネートなど)とを含んだ混合溶液を、アンモニア水を導入したアンモニア性アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなど)溶液中に添加し、加水分解を行って反応生成物を析出させる、いわゆるゾルゲル法を用いて調製した。
[不定形フィラー]
不定形無機フィラーの調製は、特開平2−132102号公報、特開平3−197311号公報等に記載の方法で、アルコキシシラン化合物を有機溶剤に溶解し、これに水を添加して部分加水分解した後、更に複合化する他の金属のアルコキサイド及びアルカリ金属化合物を添加して加水分解してゲル状物を生成させ、次いで該ゲル状物を乾燥後、必要に応じて粉砕し、焼成して調製した。
実施例及び比較例で用いた球状フィラー及び不定形フィラーを表2に示す。
Figure 2019137804
実施例1〜13
マトリックスM1またはマトリックスM2 100gに対して、CQを0.3質量%、DMBEを1.0質量%、HQMEを0.15質量%加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、乳鉢に表3に示した各球状フィラーを計りとり、上記重合性単量体組成物を赤色光下にて徐々に加えていき、暗所にて十分に混練し均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去し歯科用硬化性組成物を製造した。得られた歯科用硬化性組成物について、上記の方法に基づいて各物性を評価した。組成及び結果を表3、4に示した。
比較例1〜9
マトリックスM1 100gに対して、CQを0.3質量%、DMBEを1.0質量%、HQMEを0.15質量%加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、乳鉢に表3に示した各フィラーを計りとり、上記重合性単量体組成物を赤色光下にて徐々に加えていき、暗所にて十分に混練し均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去し歯科用硬化性組成物を製造した。得られた歯科用硬化性組成物について、上記の方法に基づいて各物性を評価した。組成及び結果を表3、4に示した。
比較例10
マトリックスM1 100gに対して、CQを0.3質量%、DMBEを1.0質量%、HQMEを0.15質量%加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、乳鉢に表3に示した球状フィラーを計りとり、上記重合性単量体組成物を赤色光下にて徐々に加えていき、さらに二酸化チタン(白顔料)を0.050g加えて暗所にて十分に混練し均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去し歯科用硬化性組成物を製造した。得られた歯科用硬化性組成物について、上記の方法に基づいて各物性を評価した。組成及び結果を表3、4に示した。
Figure 2019137804
Figure 2019137804
実施例1〜13の結果から理解されるように、本発明で規定する条件を満たしていると、歯科用硬化性組成物は黒背景下で光の干渉により高い白色度と低いコントラスト比を示し、且つ歯面にコーティングした際に透明であるので天然歯の色調を生かすことができ、かつ白色度が上がるので、天然歯と違和感がないことが分かる。
比較例1〜10の結果から理解されるように、本発明で規定するフィラーの条件を満足していないと、厚さ0.5mmの硬化体のコントラスト比が本発明で規定する条件を満たしている歯科用硬化性組成物と同等であっても硬化体が高い白色度とならず、またコートした際においても天然歯と比較し違和感がある(比較例1〜6:各粒径に依存する構造色を発現、比較例9:球状フィラーの平均粒径の存在量が87%のため粒径に依存する構造色を弱く発現)、非常にコントラスト比が低くかつ白色度が低いためコートした際に天然歯と比較し違和感がある(比較例7:粒径に依存する構造色がなく無色透明、比較例8:フィラーの形状が不定形のため構造色が発現せず無色透明)ことが分かる。比較例10の結果から理解されるように、白顔料を添加して色調を調整(実施例1と同等の白色度)した歯科用硬化性組成物は、コントラスト比が高く不透明であり、コートした際に天然歯と比較し違和感がある。

Claims (9)

  1. 重合性単量体成分(A)、
    重合開始剤(B)、
    並びに、
    平均一次粒子径が100nm以上230nm未満の範囲内にある球状フィラー(C1)、平均一次粒子径が230nm以上270nm未満の範囲内にある球状フィラー(C2)、平均一次粒子径が270nm以上350nm以下の範囲内にある球状フィラー(C3)、のうち、少なくとも2種の球状フィラーを含む硬化性組成物であって、
    厚さ0.5mmの硬化体の白色度が35以上であり、かつ、コントラスト比が0.25以下であることを特徴とする硬化性組成物。
  2. 前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)、及び球状フィラー(C3)を構成する個々の粒子の数のうち90%以上が平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在し、かつ
    前記重合性単量体成分(A)、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)は、下記式(1)、(2)及び(3)
    nP<nFC1 (1)
    (上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC1は、球状フィラー(C1)の25℃における屈折率を表す。)
    nP<nFC2 (2)
    (上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC2は、球状フィラー(C2)の25℃における屈折率を表す。)
    nP<nFC3 (3)
    (上記式中、nPは、重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率を表し、nFC3は、球状フィラー(C3)の25℃における屈折率を表す。)
    で示される条件(X1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記重合性単量体(A)100質量部に対し、球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)を合計で100質量部〜1500質量部含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の3種すべてを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の質量比が、前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び、球状フィラー(C3)の質量の総和を100としたとき、10〜60/10〜60/10〜60であることを特徴とする請求項4に記載の硬化性組成物。
  6. 前記重合性単量体(A)100質量部に対し、前記球状フィラー(C1)を少なくとも20質量部以上含み、前記球状フィラー(C2)を少なくとも20質量部以上含み、且つ前記球状フィラー(C3)を少なくとも20質量部以上含むことを特徴とする請求項4〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
  7. 前記重合性単量体成分(A)として複数種の(メタ)アクリル化合物を含み、該重合性単量体成分(A)の屈折率(25℃)が1.38〜1.55の範囲にある請求項1〜6のいずれかに記載の硬化性組成物。
  8. 前記球状フィラー(C1)、球状フィラー(C2)及び球状フィラー(C3)が球形のシリカ・チタン族酸化物系複合酸化物粒子であり、その屈折率(25℃)が1.45〜1.58の範囲にある請求項1〜7のいずれかに記載の硬化性組成物。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物からなる歯科用コーティング材料。
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