JP7075635B2 - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents
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重合性単量体成分(A)としては、公知のものが特に制限なく使用できる。歯科用途として見た場合、重合速度の観点から、ラジカル重合性、或いはカチオン重合性の単量体が好ましい。特に好ましいラジカル重合性単量体としては(メタ)アクリル化合物である以下に例示する(メタ)アクリレート類が挙げられ、また特に好ましいカチオン重合性単量体としては、エポキシ類、オキセタン類が挙げられる。 一般に、好適に使用される(メタ)アクリル化合物として、(メタ)アクリレート類を例示すれば、下記(イ)~(ニ)に示されるものが挙げられる。
(イ-i)酸性基や水酸基を有さないもの
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、n-ステアリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシートリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、トリフルオロエチル(メタ)アクリレートなど。
(メタ)アクリル酸、N-(メタ)アクリロイルグリシン、N-(メタ)アクリロイルアスパラギン酸、N-(メタ)アクリロイル-5-アミノサリチル酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンマレート、6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸、O-(メタ)アクリロイルチロシン、N-(メタ)アクリロイルチロシン、N-(メタ)アクリロイルフェニルアラニン、N-(メタ)アクリロイル-p-アミノ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-o-アミノ安息香酸、p-ビニル安息香酸、2-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、3-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、4-(メタ)アクリロイルオキシ安息香酸、N-(メタ)アクリロイル-5-アミノサリチル酸、N-(メタ)アクリロイル-4-アミノサリチル酸等及びこれらの化合物のカルボキシル基を酸無水物基化した化合物、11-(メタ)アクリロイルオキシウンデカン-1,1-ジカルボン酸、10-(メタ)アクリロイルオキシデカン-1,1-ジカルボン酸、12-(メタ)アクリロイルオキシドデカン-1,1-ジカルボン酸、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキサン-1,1-ジカルボン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-3’-メタクリロイルオキシ-2’-(3,4-ジカルボキシベンゾイルオキシ)プロピルサクシネート、4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテートアンハイドライド、4-(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)トリメリテート、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリテート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、4-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルトリメリテート、4-(メタ)アクリロイルオキシデシルトリメリテート、4-(メタ)アクリロイルオキシブチルトリメリテート、6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,2,6-トリカルボン酸無水物、6-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-2,3,6-トリカルボン酸無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルカルボニルプロピオノイル-1,8-ナフタル酸無水物、4-(メタ)アクリロイルオキシエチルナフタレン-1,8-トリカルボン酸無水物、9-(メタ)アクリロイルオキシノナン-1,1-ジカルボン酸、13-(メタ)アクリロイルオキシトリデカン-1,1-ジカルボン酸、11-(メタ)アクリルアミドウンデカン-1,1-ジカルボン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンフォスフェート、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルジハイドロジェンフォスフェート、6-(メタ)アクリロイルオキシヘキシルジハイドロジェンフォスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ブロモエチルハイドロジェンフォスフェート、2-(メタ)アクリルアミドエチルジハイドロジェンフォスフェート、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、10-スルホデシル(メタ)アクリレート、3-(メタ)アクリロキシプロピル-3-ホスホノプロピオネート、3-(メタ)アクリロキシプロピルホスホノアセテート、4-(メタ)アクリロキシブチル-3-ホスホノプロピオネート、4-(メタ)アクリロキシブチルホスホノアセテート、5-(メタ)アクリロキシペンチル-3-ホスホノプロピオネート、5-(メタ)アクリロキシペンチルホスホノアセテート、6-(メタ)アクリロキシヘキシル-3-ホスホノプロピオネート、6-(メタ)アクリロキシヘキシルホスホノアセテート、10-(メタ)アクリロキシデシル-3-ホスホノプロピオネート、10-(メタ)アクリロキシデシルホスホノアセテート、2-(メタ)アクリロキシエチル-フェニルホスホネート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスホン酸、10-(メタ)アクリロイルオキシデシルホスホン酸、N-(メタ)アクリロイル-ω-アミノプロピルホスホン酸、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルハイドロジェンホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル2’-ブロモエチルハイドロジェンホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルホスホネートなど。
2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、プロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、エリスリトールモノ(メタ)アクリレート、N-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N、N-(ジヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミドなど。
(ロ-i)芳香族化合物系のもの
2,2-ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス[(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4-メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)-2(4-メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4-メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)-2-(4-メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらメタクリレートに対応するアクリレートのような-OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4‘-ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト;ジ(メタクリルロキシエチル)ジフェニルメタンジウレタン等。
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,3-ブタンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン等の、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような-OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加体から得られるジアダクト;1,2-ビス(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)エチル等。
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート及びこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート;ジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン-2,4-ジイソシアネート等のジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加体から得られるジアダクト等。
歯科用硬化性組成物には、無機粉体、有機粉体等の種々の充填材が含有されているが、本発明の歯科用硬化性組成物には、干渉による着色光を発現させる目的で、平均一次粒子径が100nm以上1000nm以下の範囲内にある無機球状フィラー(B)が配合される。無機球状フィラー(B)が球状であり、且つ、無機球状フィラー(B)を構成する個々の粒子の数のうち90%以上が平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在するような狭い粒子径分布を有することにより、粒子が短距離規則性を有するように分散して、平均一次粒子径に応じた特定波長の干渉光を発生することが可能となる。ここで、無機球状フィラー(B)の平均一次粒子径は、走査型電子顕微鏡により粉体の写真を撮影し、その写真の単位視野内に観察される粒子の30個以上を選択し、それぞれの一次粒子径(最大径)を求めた平均値をいう。球状とは、略球状であればよく、必ずしも完全な真球である必要はない。走査型電子顕微鏡で粒子の写真を撮り、その単位視野内にあるそれぞれの粒子(30個以上)について最大径を測定し、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した平均均斉度が0.6以上、より好ましくは0.8以上のものであればよい。
本発明の歯科用硬化性組成物には硬化体に適切な不透明性を付与することを目的として平均粒子径が100nm~1000nmの範囲である不定形無機フィラー(C)が配合される。ここで、不定形とは、SEM等で観察される一次粒子の形状が、不規則な多数の角及び面を有している事を意味し、不定形無機フィラー(C)とは、通常は破砕や粉砕によって得られる粒子からなるフィラーを意味する。また、不定形フィラー(C)の平均粒子径は、レーザー散乱法(例えば、測定装置としてベックマン・コールター社製LS230を用い、分散媒としてエタノールを使用)にて測定された、50%粒子径(D50)を意味する。具体的には、まず、分散媒としてエタノール5ml中に測定試料を0.01~1g加えた後、試料を懸濁した液を超音波分散器で約1~5分間分散処理し、0.04~2000μmの範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。そして、得られた粒度分布を基にして分割された粒度範囲に対して体積をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積50%となる粒径を平均粒子径(D50)とする。
重合開始剤(D)は前記重合性単量体(A)を重合させる機能を有するものであれば特に限定されないが、口腔内で硬化させる場合が多い歯科の直接充填修復用途で使用される光重合開始剤又は化学重合開始剤を使用することが好ましく、混合操作の必要が無く簡便な点から、光重合開始剤(組成)を使用することが更に好ましい。
本発明の歯科用複合修復材料には、その効果を阻害しない範囲で、上記(A)~(D)成分の他、公知の他の添加剤を配合することができる。具体的には、重合禁止剤、紫外線吸収剤等が挙げられる。また、粘度調整等を目的として、光の波長より十分に小さく色調や透明性に影響を与え難い粒径のフィラーを配合することができる。
(1)無機球状フィラーの平均粒子径
走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL-30S」)で粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内に観察される粒子の数(30個以上)及び一次粒子径(最大径)を測定し、測定値に基づき下記式により平均粒子径を算出した。
先ず、前記した写真の単位視野内に観察される個々の粒子(30個以上)について、その一次粒子径を測定すると共に、一次粒子径が前記(1)で求めた平均一次粒子径の95%未満となる粒子の数と、一次粒子径が前記平均一次粒子径の105%を越える粒子の数を計測し、その合計個数を求めた。次いで、写真の単位視野内に観察される全粒子数(30個以上)から前記合計個数を差し引くことにより個数基準粒度分布において前記平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する粒子数を求め、最後に当該粒子数の全粒子数に占める割合(%)を求め、平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する粒子の割合(%)とした。
走査型電子顕微鏡(フィリップス社製、「XL-30S」)で粉体の写真を撮り、その写真の単位視野内にある個々の粒子(30個以上)について、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した値の平均を均斉度とした。
<重合性単量体成分(A)の屈折率>
用いた重合性単量体(或いは重合性単量体の混合物)の屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて25℃の恒温室にて測定した。
<重合性単量体成分(A)の重合体の屈折率nP>
用いた重合性単量体成分(重合性単量体或いは重合性単量体の混合物)を、窩洞内での重合条件とほぼ同じ条件で重合して得た重合体試料について、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて25℃の恒温室にて測定して屈折率nPを決定した。
即ち、重合性単量体成分(A)に当該成分の質量を基準としてCQ 0.3質量%、DMBE 1.0質量%、HQME 0.15質量%を混合して得た均一な組成物を、φ7mm×0.5mmの孔を有する型に入れ、両面にポリエステルフィルムを圧接した。その後、光量500mW/cm2のハロゲン型歯科用光照射器(Demetron LC、サイブロン社製)を用いて30秒間光照射し硬化させた後、型から取り出して、重合体試料を作製した。なお、屈折率測定に際しては、試料を装置にセットする時に、重合体と測定面を密着させる目的でブロモナフタレン(試料を溶解せず、かつ試料よりも屈折率の高い溶媒)を試料に滴下した。
<無機球状フィラーの屈折率をnFB及び不定形無機フィラーの屈折率>
用いた無機球状フィラー及び不定形無機フィラーの屈折率は、アッベ屈折率計(アタゴ社製)を用いて液浸法によって測定した。
即ち、25℃の恒温室において、100mlサンプルビン中、無機球状フィラー若しくはその表面処理物1gを無水トルエン50ml中に分散させる。この分散液をスターラーで攪拌しながら1-ブロモトルエンを少しずつ滴下し、分散液が最も透明になった時点の分散液の屈折率を測定し、得られた値を無機球状フィラー及び不定形無機フィラーの屈折率とした。
実施例及び比較例で調製された硬化性組成物のペーストを7mmφ×1mmの貫通した孔を有する型にいれ、両面にポリエステルフィルムを圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト)で両面を30秒ずつ光照射し硬化させた後、型から取り出して、色差計(東京電色製、「TC-1800MKII」)を用いて、上記硬化体の三刺激値のY値(背景色黒及び白)を測定した。得られた背景色黒のY値(Yb)及び背景色白のY値(Yw)に基づいてコントラスト比(Yb/Yw)を計算した。
実施例及び比較例で調製された歯科用硬化性組成物のペーストを7mmφ×1mmの孔を有する型にいれ、両面はポリエステルフィルムで圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト)で両面を30秒ずつ光照射し硬化させた後、型から取り出して、10mm角程度の黒いテープ(カーボンテープ)の粘着面に載せ、目視にて着色光の色調を確認した。
実施例及び比較例で調製された硬化性組成物のペーストを7mmφ×1mmの貫通した孔を有する型にいれ、両面にポリエステルフィルムを圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト)で両面を30秒ずつ光照射し硬化させた後、型から取り出して、色差計(東京電色製、「TC-1800MKII」)を用いて、黒背景下で分光反射率を測定し、黄~赤色域(600-750nm)の反射率の最大値:SR1及び青色域(400-500nm)の反射率の最大値:SR2を求め、SR1をSR2で除することで分光反射率比を算出した。
実施例及び比較例で調製された硬化性組成物のペーストを7mmφ×1mmの貫通した孔を有する型にいれ、両面にポリエステルフィルムを圧接した。可視光線照射器(トクヤマ製、パワーライト)で両面を30秒ずつ光照射し硬化させた後、型から取り出して、色差計(東京電色製、「TC-1800MKII」)を用いて、白背景下で分光反射率を測定した。
歯科用硬化性組成物のペーストについて、充填器を用いてステンレス製型枠に充填し、ポリプロピレンで圧接した状態で、可視光線照射器パワーライト(トクヤマ社製)を用いて一方の面から30秒×3回、全体に光が当たるように場所を変えてポリプロピレンに密着させて光照射を行なった。次いで、反対の面からも同様にポリプロピレンに密着させて30秒×3回光照射を行い、硬化体を得た。#1500の耐水研磨紙にて、硬化体を2×2×25mmの角柱状に整え、試料片とした。得られた試験片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定し、荷重-たわみ曲線を得、以下に示す式により、曲げ強度:σB(Pa)及び曲げ弾性率:EB(Pa)を求めた。なお、試験片5個について評価し、その平均値を曲げ強さとした。
P:試験片破折時の荷重(N)
S:支点間距離(m)
W:試験片の幅(m)
B:試験片の厚さ(m)
F/Y:荷重-たわみ曲線の直線部分の勾配(N/m)。
右上1番のIV級窩洞(幅3mm、高さ3mm)を再現した歯牙修復用模型歯を用いて、欠損部に硬化性ペーストを充填し硬化、研磨し、色調適合性を目視にて確認した。なお、歯牙修復用模型歯としては、シェードガイド「VITAPAN Classical」におけるA系(赤茶色)の範疇の中にあって、高色相且つ高彩度の高色度模型歯(A4相当)と低色相且つ低彩度の低色度模型歯(A1相当)及び、シェードガイド「VITAPAN Classical」におけるB系(赤黄色)の範疇の中にあって、高色相且つ高彩度の高色度模型歯(B4相当)と低色相且つ低彩度の低色度模型歯(B1相当)を用いた。
◎:修復物の色調が歯牙修復用模型歯と良く適合している。
○:修復物の色調が歯牙修復用模型歯と類似している。
△:修復物の色調が歯牙修復用模型歯と類似しているが適合性は良好でない。
×:修復物の色調が歯牙修復用模型歯と適合していない。
[重合性単量体]
・UDMA:1,6-ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルヘキサン
・3G:トリエチレングリコールジメタクリレート
・bis-GMA:2,2-ビス[(3-メタクリロイルオキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン
[重合開始剤]
・CQ:カンファーキノン
・DMBE:N,N-ジメチルp-安息香酸エチル。
[重合禁止剤]
・HQME:ヒドロキノンモノメチルエーテル。
無機球状フィラーの調製は、特開昭58-110414号公報、特開昭58-156524号公報等に記載の方法で、加水分解可能な有機ケイ素化合物(テトラエチルシリケートなど)と加水分解可能な有機チタン族金属化合物(テトラブチルジルコネートやテトラブチルチタネートなど)とを含んだ混合溶液を、アンモニア水を導入したアンモニア性アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、イソブチルアルコールなど)溶液中に添加し、加水分解を行って反応生成物を析出させる、いわゆるゾルゲル法を用いて調製した。
不定形シリカ-ジルコニアの調製は、特開平2-132102号公報、特開平3-197311号公報等に記載の方法で、アルコキシシラン化合物を有機溶剤に溶解し、これに水を添加して部分加水分解した後、更に複合化する他の金属のアルコキサイド及びアルカリ金属化合物を添加して加水分解してゲル状物を生成させ、次いで該ゲル状物を乾燥後、必要に応じて粉砕し、焼成して調製した。不定形バリウムガラスは市販のバリウムガラス(GM8235、ショット社製)を必要に応じて粉砕し、分級して調製した。不定形フッ化イッテルビウムは市販の三フッ化イッテルビウム(トライバッハ社製)を必要に応じて粉砕し、分級して調製した。
実施例及び比較例で用いた無機球状フィラーを表2に、不定形無機フィラーを表3に示す。
100gの重合性単量体M1又はM2に対して、0.3質量%のCQ、1.0質量%のDMBE、0.15質量%のHQMEを加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、乳鉢に表2および表3に示した各フィラーを計りとり、上記重合性単量体組成物を赤色光下にて徐々に加えていき、暗所にて十分に混練して均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去し歯科用硬化性組成物を製造した。得られた歯科用硬化性組成物について、上記の方法に基づいて各物性を評価した。組成及び結果を表4及び表5に示す。表4中の括弧内の数値は、各成分の配合量(単位:質量部)を表す。
100gの重合性単量体M1に対して、0.3質量%のCQ、1.0質量%のDMBE、0.15質量%のHQMEを加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、乳鉢に表4に示した各フィラーを計りとり、上記重合性単量体組成物を赤色光下にて徐々に加えていき、暗所にて十分に混練して均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去し歯科用硬化性組成物を製造した。得られた歯科用硬化性組成物について、上記の方法に基づいて各物性を評価した。組成及び結果を表4及び表5に示す。
100gの重合性単量体M2に対して、0.3質量%のCQ、1.0質量%のDMBE、0.15質量%のHQMEを加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製した。次に、乳鉢に表4に示した無機球状フィラーを計りとり、上記重合性単量体組成物を赤色光下にて徐々に加えていき、さらに二酸化チタン(白顔料)を0.070g、ピグメントイエロー(黄顔料)を0.002g、ピグメントレッド(赤顔料)を0.0006g、ピグメントブルー(青顔料)を0.0002g加えて暗所にて十分に混練して均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去し歯科用複合修復材料を製造した。目視評価で高色度模型歯のA系統に適合する色調(A4相当)であった。続いて、上記の方法に基づいて各物性を評価した。組成及び結果を表4及び表5に示す。
Claims (6)
- 重合性単量体成分(A)、平均一次粒子径が100nm以上1000nm以下の範囲内にあり、個数基準粒度分布において全粒子数の90%以上が前記平均一次粒子径の前後の5%の範囲に存在する無機球状フィラー(B)、平均粒子径が100nm以上1000nm以下の範囲内にある不定形無機フィラー(C)及び重合開始剤(D)を含んでなり、
前記無機球状フィラー(B)の25℃における屈折率:nFBは、前記重合性単量体成分(A)を重合して得られる重合体の25℃における屈折率:nPよりも大きく、
厚さ1mmの硬化体について、背景を黒色及び白色とした色差計による三刺激値測定で決定されるY刺激値を夫々Y b (黒色背景)及びY w (白色背景)としたときの両者の比:Y b /Y w で定義されるコントラスト比が0.3~0.7である硬化体を与える、ことを特徴とする歯科用硬化性組成物。 - 厚さ1mmの硬化体について色差計を用いて測定した、黒背景下での分光反射率曲線において、600nm以上750nm以下の波長領域内における分光反射率の最大値:SR1を、400nm以上500nm以下の波長領域内における分光反射率の最大値:SR2で除した値として定義される分光反射率比:SR1/SR2が0.8以上2.0以下の範囲である硬化体を与えることを特徴とする請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
- 前記重合性単量体(A)100質量部に対する前記無機球状フィラー(B)と前記不定形無機フィラー(C)との合計配合量が100質量部以上1500質量部以下であり、当該合計配合量に占める前記不定形無機フィラー(C)の配合量の割合が5%以上50%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の歯科用硬化性組成物。
- 前記無機球状フィラー(B)の平均一次粒子径が230nm以上350nm以下であることを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の歯科用硬化性組成物。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の歯科用硬化性組成物からなるIII級窩洞及び/又はIV級窩洞修復用の歯科用充填修復材料。
- 請求項1乃至4の何れかに記載の歯科用硬化性組成物の硬化体からなるIII級窩洞及び/又はIV級窩洞修復用歯科材料。
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