JP4741781B2 - 光硬化性歯科用修復材料及びその製造方法 - Google Patents
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Description
本発明は、コンポジットレジン、硬質レジン、インレー、アンレー、クラウン等に使用される光硬化性歯科用修復材料に関する。
背景技術
光硬化性歯科用修復材料とは、重合性単量体、光重合開始剤、及びフィラーを主成分とする光硬化性の複合材料であり、天然歯牙色と同等の色調を付与できることや操作が容易なことから、治療した歯牙を修復するための材料として多用され、近年は、高い咬合圧がかかる臼歯部等の修復にも使用されるようになっている。
しかしながら、当該修復材料は天然歯牙と比較して機械的強度が低く、例えば、インレー、アンレー、クラウン等の歯冠用材料を上記光硬化性歯科用修復材料で作製して歯牙の修復を行った場合、咬合圧が高い場合には、これら歯冠材料の破折が起こることがあった。
すなわち、高い咬合圧がかかる臼歯部等の修復においては、修復後の色調変化が少なく、表面滑沢性に優れると言った審美性に係わる物性が優れていることはもちろんのこと、高い咬合圧に耐え得るような機械的強度が要求されている。
従来、審美性及び強度の点で優れる光硬化性歯科用修復材料として、比較的大きな平均粒子径を有する無機の球状フィラーと微粉状無機フィラーの混合物を高充填で配合した光硬化性歯科用修復材料が知られている。例えば、特開2000−26226号公報には、無機フィラーと重合性単量体とを含み、更に光重合開始剤としてビスアシルホスフィンオキサイドを含む光硬化性歯科用複合修復材料が開示されている。また、無機フィラーとして、平均粒子径が0.1μmを超え1μm以下の範囲にある略球状無機粒子40〜99重量%と平均粒子径が0.1μm以下である無機微粒子60〜1重量%との混合物を用いることが記載され、更に該光硬化性歯科用複合修復材料は、環境光に対する安定性が高く操作性が良好で、しかも機械的強度、表面滑沢性、対合歯非摩損性に優れることが記載されている(以下、該修復材料を単に「従来修復材I」ともいう)。
確かに、上記従来修復材Iは、審美性、強度とも優れており、例えば前歯部の修復等においては充分な物性を有していると言える。しかしながら、該従来修復材Iの硬化体の曲げ強度は200MPa以上と高い値を示すが、修復材料の破折に関する重要な物性値である破壊靱性値(KIC)は2.3MPa・m1/2程度であり、高い咬合圧がかかる臼歯部等の修復に使用する場合には、必ずしも満足のいくものではなかった。
ところで、臼歯部の修復においては、前歯部に比べて見えにくいことから、多少審美性を犠牲にしても強度や破壊靭性を優先させた修復材を使用したり、表面に露出する部分については審美性に優れる従来修復材Iのような材料を用い、内部については審美性より機械的強度を優先させた光硬化性歯科用複合修復材料を使用するということも考えられる。
そして、このような、審美性より機械的強度を優先させた光硬化性歯科用複合修復材料としては、フィラーとして特定の粒子径を有する不定形無機粒子と、比較的大きな平均粒子径を有する無機の球状フィラーと微粉状無機フィラーの混合物を使用し、該フィラーを高充填で配合したものが知られている。具体的には、特開2000−53519号公報には、光重合開始剤としてビスアシルホスフィンオキサイドを含む光硬化性歯科用修復材料において、無機フィラーとして、平均粒子径1〜9μmでかつ粒子径10μm以上の粒子含量が3重量%以下の不定形無機粒子(a)と、平均粒子径が0.1μmを越え5μm以下である略球状無機粒子(b)と、平均粒子径が0.01〜0.1μmである微細無機粒子(c)とを、下記条件:
ma/(mb+mc)=0.2〜3
mb/(mb+mc)=0.5〜0.99
及び
mc/(mb+mc)=0.01〜0.5
(但し、ma〜mcは、それぞれ、前記無機粒子(a)〜(c)の質量を示す)
を満足するように配合された混合フィラーを用いることが記載されている。
かかる先行技術に開示されている光硬化性歯科用修復材料(以下、単に「従来修復材II」ともいう)から形成される硬化体は、臼歯部の修復材としては実用的に使用できる表面滑沢性を有しており、その曲げ強度及び破壊靱性値は、例えば、それぞれ278MPa、及び3.2MPa・mm1/2と高いばかりでなく、前記従来修復材Iと同様に環境光に対する安定性が高く操作性が良好であるという特徴を有している。
しかしながら、上記従来修復材IIの表面滑沢性は従来修復材Iの審美性のレベルには達していない。このため、例えば前歯部の修復に際して審美性を良くしようとして(操作の煩雑化を伴う方法であるが)、表面に露出する部分については従来修復材Iを用い、内部については審美性より機械的強度を優先させた従来修復材IIを用いて、クラウン等の歯冠を作製した場合には、歯科の臨床においては従来修復材IIの表面全てを従来修復材Iで被覆できないケースや、微調整のための研削等によって下地が露出してしまうケースがあり、そのような場合には従来修復材Iと従来修復材IIの表面滑沢性の差が明瞭に現われてしまうという問題があることがわかった。
発明の開示
そこで、本発明は、前記従来修復材IIの優れた諸特性、特にその良好な破壊靭性や操作性を保持したまま、表面滑沢性を改良することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決すべく、光硬化性歯科用修復材料の機械的特性と表面滑沢性(審美性)について種々検討を行なった。その結果、一般に、前記混合フィラーのような組成のフィラーを含み、カンファーキノン等の歯科用材料に通常用いられている光重合触媒を用いた光硬化性組成物においては、該混合フィラー中の不定形無機粒子の平均粒径を小さくすると強度や破壊靭性値が低下するのに対し、アシルフォスフィンオキサイドを光重合触媒として用いた場合には、平均粒径の小さい不定形無機粒子を用いることにより、このような物性の低下が殆ど起こらず、表面滑沢性が向上することを見出し、本発明を提案するに至った。
即ち、本発明によれば、(i)重合性単量体100重量部、(ii)アシルフォスフィンオキサイドから成る光重合開始剤0.01〜5重量部、及び(iii)無機フィラー200〜1900重量部を含んでなる光硬化性歯科用修復材料において、
前記無機フィラー(iii)は、
(A)平均粒子径が0.1μmを超え1μm未満の不定形無機粒子、
(B)平均一次粒子径が0.1μmを超え5μm以下である球状無機粒子、及び
(C)平均一次粒子径が0.1μm以下である微細無機粒子、
が、下記質量比▲1▼〜▲3▼:
▲1▼ mA/(mB+mC)=0.2〜3
▲2▼ mB/(mB+mC)=0.5〜0.99
▲3▼ mC/(mB+mC)=0.01〜0.5
(但し、mA、mB及びmCは、それぞれ、無機粒子(A)〜(C)の質量を示す)
を満足するように配合された混合フィラーから成ることを特徴とする光硬化性歯科用修復材料が提供される。
本発明によれば、また、(A)平均粒子径が0.1μmを超え1μm未満の不定形無機粒子と、(B)平均一次粒子径が0.1μmを超え5μm以下である球状無機粒子と、(C)平均一次粒子径が0.1μm以下である微細無機粒子とを、下記質量比▲1▼〜▲3▼:
▲1▼ mA/(mB+mC)=0.2〜3
▲2▼ mB/(mB+mC)=0.5〜0.99
▲3▼ mC/(mB+mC)=0.01〜0.5
(但し、mA、mB及びmCは、それぞれ、無機粒子(A)〜(C)の質量を示す)
を満足するように混合して無機フィラーを調製し、
重合性単量体100重量部と、アシルフォスフィンオキサイドから成る光重合開始剤0.01〜5重量部と、前記無機フィラー200〜1900重量部とを混合することを特徴とする光硬化性歯科用修復材料の製造方法が提供される。
発明を実施するための最良の形態
本発明の光硬化性歯科用修復材料は、(i)重合性単量体、(ii)特定の光重合開始剤、及び(III)特定の無機フィラー(混合フィラー)を含んで成る。
(i)重合性単量体:
成分(i)の重合性単量体としては、一般的な光硬化性歯科用修復材料で使用可能な従来公知の重合性単量体が何ら制限無く使用できる。好適に使用できる重合性単量体としてはアクリロイル基及び/またはメタクリロイル基を有する(メタ)アクリレート系モノマーが挙げられ、この様な重合性単量体の具体例としては下記〔i−1〕〜〔i−4〕に示される各モノマーが挙げられる。
〔i−1〕 単官能性ビニルモノマー
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;
アクリル酸、メタクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、及びその無水物、6−メタクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイドロジェンフォスフェート、2−ヒドロキシエチルハイドロジェンフェニルフォスフォネート等。
〔i−2〕 二官能性ビニルモノマー
(a)芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパン、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;
−OH基を有するビニルモノマー(例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレート、あるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレート)と、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との2:1の付加反応から得られるジアダクト類。
(b)脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;
−OH基を有するビニルモノマー(例えば2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレート)と、ジイソシアネート化合物(例えばヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)等)との2:1の付加反応から得られるジアダクト;
無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エタン、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
〔i−3〕 三官能性ビニルモノマー
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
〔i−4〕 四官能性ビニルモノマー
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート;
ジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物と、グリシドールジメタクリレート又はグリシドールアクリレートとの1:2の付加反応から得られるジアダクト類。
上述した各種の重合性単量体は単独で用いることもできるし、2種類以上を混合して使用することもできる。本発明においては、芳香族化合物系の二官能性ビニルモノマーと脂肪族化合物系の二官能性ビニルモノマーとを、90:10〜40:60の重量比で混合した重合性単量体が好適に使用される。
(ii)光重合開始剤
本発明の光硬化性歯科用修復材料においては、成分(ii)の光重合開始剤として、アシルホスフィンオキサイドが使用される。当該アシルホスフィンオキサイドは光照射により分解して重合開始剤として作用するものであれば特に限定されるものではないが、下記一般式(I)で表されるモノアシルホスフィンオキサイド或いは下記一般式(II)で表されるビスアシルホスフィンオキサイドが使用される。
(式中、R1,R2,R3,R4及びR5は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基及び置換もしくは非置換アリール基からなる群より選択された何れかの基であり、R6及びR7は、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アルケニル基及び置換もしくは非置換アリール基からなる群より選択された何れかの基である。なお、R1乃至R7において、アリール基等の基に導入されていてもよい置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、及びアルコキシ基からなる群より選ばれる少なくとも1種の基であることが好ましく、特に該置換基がアルキル基又はアルコキシ基である場合には、その炭素数は何れについても1〜3であるのが好適である。)
本発明によれば、光重合開始剤として、上記一般式(I)で表されるモノアシルフォスフィンオキサイド或いは一般式(II)で表されるビスアシルフォスフィンオキサイドを使用することにより、修復材料から形成される硬化体の破壊靭性値を高くし、さらに環境光安定性を高くし、更には、修復材料の操作性を良好にすることができる。しかも重要なことは、このようなアシルフォスフィンオキサイドを用いることにより、後述する混合フィラー中の不定形無機粒子として、平均粒径の小さいものを使用した場合にも、強度や破壊靭性値等の機械的特性が低下せず、この結果、表面滑沢性を向上させることが可能となるのである。
前記一般式(1)及び(2)において、R1〜R5におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子の各ハロゲン原子が何れも好適である。
また、R1〜R5におけるアルキル基は特に限定されないが、一般的には炭素数1〜18の直鎖状または分岐状のものが好適である。特に好適なアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−オクチル基等が挙げられる。
R1〜R5におけるアルコキシ基、アルキルチオ基は特に限定されないが、一般的には炭素数1〜18の直鎖状あるいは分岐状のアルキル基を含む基が好適である。特に好適なアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−ブトキシ基等が挙げられ、特に好適なアルキルチオ基としては、メチルチオ基、エチルチオ基、n−プロピルチオ基等が挙げられる。
R1〜R5及びR6、R7におけるおけるアリール基は、非置換体でもよいし、先に述べたように、ハロゲン原子、アルキル基及びアルコキシ基から成る群より選択された少なくとも1種の基で置換されていてもよい。特に好適なアリール基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、メトキシフェニル基、ジクロロフェニル基等が挙げられる。
R6及びR7におけるアルキル基及びアルケニル基も、非置換体でもよいし、先に例示した基で置換されていてもよく、その炭素数も特に限定されないが、一般的には炭素数1〜18の直鎖状あるいは分岐状のものが好適である。R6及びR7において好適なアルキル基としては、R1〜R5において例示したものと同様な基が挙げられる。また、好適なアルケニル基としては、アリル基、3−ブテニル基、3−オクタデニル基が挙げられる。
本発明において、特に好適に使用される前記一般式(I)で示されるモノアシルフォスフィンオキサイドとしては、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、
2,6−ジメトキシベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、
2,6−ジクロロベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、
2,3,5,6−テトラメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)フォスフィンオキサイド、
2,4,6−トリメチルベンゾイルジ−(2,6−ジメチルフェニル)フォスフィンオキサイド、
2,6−ジメチル−3−フェニルプロピオニオルジフェニルフォスフィンオキサイド、
等を例示することができる。
また、特に好適に使用される前記一般式(II)で示されるビスアシルフォスフィンオキサイドとしては、
ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、
ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、
ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルフォスフィンオキサイド、
ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルフォスフィンオキサイド、
ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、
ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、
ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルフォスフィンオキサイド、
ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、
ビス−(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−2,4,6−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、
等が挙げられる。
上述した一般式(I)で示されるモノアシルフォスフィンオキサイド及び一般式(II)で示されるビスアシルフォスフィンオキサイドは、それぞれ、1種単独で使用することもできるし、2種以上を混合して用いても差し支えない。
本発明において、光重合開始剤として使用される上記のアシルホスフィンオキサイドは、前述した重合性単量体(i)100重量部に対して、0.01〜5重量部、より好ましくは0.1〜5重量部の量で使用される。この添加量が0.01重量部未満の場合には、重合が十分に進行せず、5重量部よりも多い場合には、硬化体の諸物性、特に耐光性の低下や着色が大きくなるため好ましくない。
また、本発明においては、一般式(I)或いは(II)で表されるアシルホスフィンオキサイドが上記範囲の量で使用される限りにおいて、他の重合開始剤を併用する事ができる。このような他の重合開始剤としては、公知の熱重合開始剤又は他の光重合開始剤が何等制限なく使用できるが、好適に使用できるものとしては次のようなものが挙げられる。
即ち、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物;5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類;ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類;等が挙げられる。
また、紫外線または可視光線重合開始剤として、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類;ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類;ベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4−メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類;ジアセチル、2,3−ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントラキノン、9,10−アントラキノンなどのα−ジケトン類;2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン誘導体;等が挙げられる。
これらの他の重合開始剤は、それぞれ単独で併用されるだけでなく、必要に応じて複数の種類を組み合わせて併用することもできる。また好適な添加量は、重合性単量体100重量部当り0.01〜5重量部、特に0.1〜5重量部である。
(iii)無機フィラー(混合フィラー):
本発明の光硬化性歯科用修復材料では、成分(iii)の無機フィラーとして、前記不定形無機粒子(A)、前記球状無機粒子(B)、および微細無機粒子(C)が特定の配合割合で配合された混合フィラーを使用することが重要である。このような混合フィラーを使用することにより、例えば前述した従来修復材IIと同等の優れた機械的特性を維持しつつ更に表面滑沢性を向上させることができる。
尚、本発明において、球状粒子とは、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと略す)でフィラーの写真を撮った場合に、その単位視野内に観察される粒子が丸みをおびており、更にその最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した平均均斉度が0.6以上である(即ち、真球状を含む)ことを意味する。
不定形無機粒子(A);
本発明において使用される不定形無機粒子(A)は、平均粒子径が0.1μmを超え且つ1μm未満、好ましくは0.5μm以上で1μm未満のものである。平均粒子径が1μm以上の不定形無機粒子を用いた場合には、歯科用修復材料の硬化体の表面滑沢性が低下する。また、平均粒子径が0.1μm以下の不定形無機粒子を用いた場合には、硬化体の機械的特性、例えば強度や破壊靭性値等が低下する。
なお、不定形無機粒子の平均粒子径とは、レーザー回折−散乱法で測定した粒度分布から算出される平均体積粒子径(D50)を意味する。(通常、粒子径1μm以上の粒子についてはレーザー回折法で測定され、1μm以下は散乱法で測定される。
この不定形無機粒子(A)は、上記条件を満足するものであればその材質(成分)は特に限定されず、公知の無機物が特に制限なく使用される。具体的には、ホウケイ酸ガラス、ソーダガラス、重金属(例えばバリウム、ストロンチウム、ジルコニウム)を含むガラス、アルミノシリケート、フルオロアルミノシリケート、ガラスセラミックス、シリカや、シリカ・ジルコニア、シリカ・チタニア、シリカ・アルミナ等の複合無機酸化物等が好適である。
なお、不定形無機粒子(A)は、平均粒子径が上記範囲にある限り必ずしも単一の無機物からなるものである必要はなく、各々の平均粒子径や材質(成分)が異なる2種あるいはそれ以上の混合粒子であってもよい。但し、本発明において、2種以上の不定形無機粒子から成る混合粒子を用いる場合には、その混合粒子について、平均粒子径が前述した範囲に設定されていることが必要である。
また、上述した不定形無機粒子(A)に含まれる粒子の最小粒子径は0.1μm以上、特に0.15μm以上であることが好ましい。即ち、これよりも粒径の小さな粒子は、後述する微細無機粒子(C)として挙動するおそれがあるからである。
球状無機粒子(B);
本発明において用いる球状無機粒子(B)は、先に述べた平均均斉度が0.6以上、特に0.8以上の丸みを帯びた粒子であり、その平均一次粒子径は0.1μmを越え5μm以下の範囲にある。即ち、この粒子形状が球状でない場合(平均均斉度が0.6未満の場合)或いは平均一次粒子径が上記範囲よりも大きいときには、修復材料の硬化体の光沢性(審美性)が劣るものとなる。また、平均一次粒子径が0.1μm以下の場合には、当該無機粒子は、後述する微細無機粒子(C)に相当するものとなってしまい、球状無機粒子(B)が使用されないことになり、やはり硬化体の光沢性が劣るものとなり、さらには無機フィラー充填率を高くすることが困難となり、結果として機械的強度の低下や熱膨張率の増大を招いてしまう。特に該硬化体の表面滑沢性や耐摩耗性の観点から、平均一次粒子径は、0.1μmより大きく且つ1μm以下であることが好ましい。
尚、この球状粒子の平均一次粒子径とは、SEM写真により観察される単一粒子(独立粒子)或いは凝集粒子を構成する一次粒子の平均直径(算術平均値)を意味する。
本発明において、かかる球状無機粒子(B)は、個々の粒子が独立して存在する形で他の無機粒子(A),(B)と混合することもできるし、また、個々の独立した粒子が一次粒子として凝集した凝集体が存在する状態で使用することもできる。(凝集体とは、一次粒子形状が保持される程度に一次粒子同士が互いに結合したものであり、一次粒子同士が二次的な力によって凝結し或いは一次粒子の表面の極一部が互いに融着することなどによって形成され、一次粒子の形状が認識できない程度に一次粒子同士が融着してしまったものは含まない。)
即ち、一次粒子の形状が保持されているため、このような凝集体を含有する形で球状無機粒子(B)を用いた場合にも、一次粒子の形状(球状)に由来する効果が損なわれることがない。また、凝集体を含む球状無機粒子(B)を他の無機粒子と混合し或いはフィラー以外の成分と混練した時に、この凝集体は、5μm以下のサイズに或いは一次粒子の状態にほぐれ得るため、このような凝集体を含まない形で球状無機粒子(B)を用いた場合と同等の効果を発現させることができる。
したがって、上述した球状無機粒子(B)は、一次粒子の形状が球状であり且つ平均一次粒子径が前述した範囲内にある限り、凝集体を含めた形で測定される平均粒子径(前述したレーザー回折−散乱法で測定される)が、0.1〜50μm、特に0.1〜20μmの範囲にあることが好適である。この平均粒子径が上記範囲よりも大きいと、凝集体をほぐすことが困難となるため、例えば前述した不定形無機粒子(A)との均一な混練が困難となり、修復材料の硬化体の機械的強度が低下するおそれがある。さらに、硬化体の光沢度が低いものとなるおそれがある。また、その一次粒子の粒度分布においては、粒子径の変動係数が0.3以下であることが好適である。当該一次粒子の変動係数は前述したSEM観察により得られる画像から計算できる。このような単分散性に優れた球状無機粒子(B)の使用により、光硬化性歯科用修復材料の操作性をより高めることができる。
更に、容易に凝集体を5μm以下にほぐせることから、用いる球状無機粒子(B)の凝集体の最大径は、100μm以下であることが好ましく、20μm以下であることがより好ましい。凝集体の最大径は、後述する実施例に示されている通り、用いる無機粒子を20重量%含む水混合液を1時間超音波分散させて粒度分布を測定することにより求めることができる。
球状無機粒子(B)の材質は特に限定されないが、非晶質シリカ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、石英、アルミナ等の無機酸化物であるのが一般的である。これら無機酸化物は、高温で焼成する際に緻密なものを得やすくする等の目的で周期律表第I族の金属の酸化物を少量添加し、複合酸化物の形で球状無機粒子(B)として用いることもできる。本発明においては、X線造影性を有し、より耐摩耗性に優れた硬化体が得られることから、シリカとジルコニアとを主な構成成分とする複合酸化物が、球状無機粒子(B)として特に好適に用いられる。
また、球状無機粒子(B)は、その形状や平均一次粒子径が前述した条件を満足する限り、必ずしも単一の成分である必要はなく、例えば特公平3−10603号に示されるように、平均粒子径や材質が異なる粒子を混合したものであってよい。
上述した無機酸化物或いは複合酸化物から成る球状無機粒子(B)の製造方法は特に限定されないが、工業的には金属アルコキシドの加水分解によって製造するのが一般的である。このような方法によれば溶液中で平均均斉度が0.6以上の球状無機粒子の単分散粒子を製造することができる。また、球状無機粒子(B)の表面安定性を保持するためには表面のシラノール基を減ずるのが好ましく、そのためには、500〜1000℃の温度で焼成する手段がしばしば好適に採用される。このような処理を行なう場合、乾燥時及び焼成時に、粒子が凝集するので、ジェットミル、振動ボールミル、ナノマイザー等を用いることにより凝集粒子を解きほぐし、凝集体を含む形での平均粒径及び凝集体最大径が前述した範囲となるように粒度を調整してから使用するのが好ましい。
また、上述した球状無機粒子(B)において、その最小粒子径は、0.1μm以上、特に0.15μm以上であることが好ましい。即ち、これよりも小径の粒子は、後述する微細無機粒子(C)として挙動するおそれがあるからである。
(C)微細無機粒子;
本発明で使用される微細無機粒子(C)は、0.1μm以下、好ましくは0.01〜0.1μm、より好ましくは0.05〜0.09μmの平均一次粒子径を有するものである。この微細無機粒子(C)は、前述した不定形無機粒子(A)と球状無機粒子(B)との隙間を埋めるものであり、かかる微細無機粒子(C)の使用により、光硬化性歯科用修復材料中へのフィラーを細密に充填することが可能となり、これにより、高い機械的強度と低い熱膨張係数を有する修復材料の硬化体を得ることが容易となる。例えば、その平均一次粒子径が上記範囲よりも大きいと(このような場合には、当該無機粒子は、その形状と粒子径に応じて、不定形無機粒子(A)または球状無機粒子(B)に相当するか、或いは何れにも相当しない場合がある)、フィラーの細密充填が困難となり、硬化体の機械的特性や表面滑沢性が不満足なものとなり、また、該無機粒子が不定形である場合には、審美性(光沢度)も低下する傾向がある。
この微細無機粒子(C)は、平均一次粒子径が上記範囲にある限り、その形状は特に制限されず、球状、針状、板状、不定形状等任意の形状を取り得る。しかしながら、硬化体の強度や表面滑沢性(光沢度)の点からは、平均均斉度が0.6以上の球状の粒子を用いるのが好適である。
また、この微細無機粒子(C)も、前述した球状無機粒子(B)と同様、凝集体を含む形で使用に供することができるが、不定形無機粒子(A)と球状無機粒子(B)との空隙を埋めることによってフィラーの細密充填性を高めるためには、凝集体を含む形で測定される平均粒子径が0.01〜50μm、特に0.01〜20μmであるのが好適である。また、容易に凝集体をほぐせるために、前述した方法で測定される凝集体最大径が100μm以下、特に20μm以下であることが好ましい。
当該微細無機粒子(C)の平均一次粒子径、凝集体最大径及び凝集体を含む平均粒子径は、各々、以下の方法で測定できる。
即ち、平均一次粒子径は、SEM観察により個々の粒子についての粒子径を測定し、その平均値を求めることにより得られる。また、微細無機粒子(C)が不定形粒子であり、SEM観察によりその平均径を求めることが困難な場合には、先ずSEM観察により最も大きな径を有する一次粒子の径を求める。次いで、該最大一次粒子径の2〜5倍程度の通過径を有するフィルター(通常、1μm程度)により凝集粒子を濾別し、該フィルターを通過した粒子を光散乱法(レーザー散乱法、動的光散乱法、白色光偏向法等)により測定することにより平均一次粒子径を求めることもできる。
凝集体最大径は、前述したレーザー回折・散乱法により測定することができる。また、凝集体を含む平均粒子径は、0.1μmを下回る粒子径でも測定可能なレーザー回折・散乱法の測定装置(例えば、ベックマンコールター社製、LS230など)を用いて測定することができる。
このような微細無機粒子(C)の材質は特に制限されないが、前述した球状無機粒子(B)と同様の材質のもの、例えば、超微粉末シリカ、超微粉末アルミナ、超微粉末ジルコニア、超微粉末チタニア、非晶質シリカ、シリカ−ジルコニア、シリカ−チタニア、シリカ−チタニア−酸化バリウム、石英、アルミナ等の無機酸化物が好適に使用される。さらに、高温での焼成によって容易に緻密な粒子が形成されることから、上記無機酸化物に周期律表第I族の金属の酸化物を少量添加した複合酸化物を用いることもできる。
上述した微細無機粒子(C)は、平均一次粒子径が前述した範囲にある限りにおいて、必ずしも単一の成分からなるものである必要はなく、例えば平均一次粒子径や材質の異なる複数の粒子の混合物であってもよい。
また、前述した方法により測定される微細無機粒子(C)の粒度分布(体積頻度)曲線においては、凝集していない独立した粒子、及び凝集粒子径0.2μm以下の凝集粒子(以下、微細凝集粒子と呼ぶ)の分布を示すピーク(通常、これらは分離不可能な一体のピークとして観測される)が、不定形無機粒子(A)や球状無機粒子(B)の粒度分布のピークと実質上重なっていないことが望ましい。凝集していない独立した粒子の最大径(SEMにより観測できる)は、0.15μm以下であることが好ましく、0.1μm以下であることがより好ましい。また、前記微細無機粒子(C)の独立粒子及び微細凝集粒子の分布を示すピークが、不定形無機粒子(A)や球状無機粒子(B)と重なっていたしても、重なっている部分のピーク面積は、10体積%以下であるのがよい。即ち、このような粒径の微細無機粒子(C)が多く存在すると、後述する無機粒子(A)〜(C)の質量比の調整による各種特性の調整が困難となるおそれを生じるからである。混合フィラー(iii)の調製;
本発明において用いる成分(iii)の混合フィラーは、上述した不定形無機粒子(A)、球状無機粒子(B)及び微細無機粒子(C)を、下記▲1▼〜▲3▼の質量比を満足するように混合することによって得られる。
▲1▼ mA/(mB+mC)=0.2〜3
▲2▼ mB/(mB+mC)=0.5〜0.99
▲3▼ mC/(mB+mC)=0.01〜0.5
(但し、mA、mB及びmCは、それぞれ、無機粒子(A)〜(C)の質量を示す)
即ち、混合フィラー(iii)中の不定形無機粒子(A)の量が上記範囲よりも少ない場合には、高い破壊靭性値を有する硬化体を得る事が困難となり、上記範囲よりも多い場合には、修復材料の硬化体の光沢度(審美性)が低下する。
また、混合フィラー中の球状無機粒子(B)の量が上記範囲より多い場合には(即ち、微細無機粒子(C)が少ない場合)には、修復材料の硬化体の機械的強度が低下し、一方、少ない場合(微細無機粒子(C)が多い場合)には、硬化体の機械的強度が低下するのみならず、光沢度(審美性)も低いものとなる。
更に、混合フィラー中の不定形無機粒子(A)または微細無機粒子(C)の量が上記範囲よりも多い場合には、重合性単量体に対するフィラー充填率を高いものとすることが困難となり、機械的強度が低下するのみならず、ペースト操作性も劣るものとなる。
本発明において、機械的強度、破壊靭性値、及びペーストの操作性の観点から、各無機粒子(A)〜(C)は、以下の▲1▼’〜▲3▼’の質量比を満足するように配合されることが最も好適である。
▲1▼’ mA/(mB+mC)=0.4〜2.3
▲2▼’ mB/(mB+mC)=0.6〜0.9
▲3▼’ mC/(mB+mC)=0.1〜0.4
上述した無機粒子(A)〜(C)の混合は、特に微細無機粒子(C)が凝集し易いという性質を有しており、しかも、不定形無機粒子(A)と球状無機粒子(B)との空隙を埋めるために使用されるものであることから、予め、球状無機粒子(B)と微細無機粒子(C)とを混合し、次いで不定形無機粒子(A)を混合するという手順により行なうことが好ましい。
また、このようにして得られる成分(iii)の混合フィラーは、成分(i)の重合性単量体への分散性を改良する目的でその表面を疎水化することが好ましい。かかる疎水化表面処理は特に限定されるものではなく、公知の方法が制限なく採用される。代表的な表面処理方法を例示すれば、疎水化剤としてシランカップリング剤やチタネート系カップリング剤を用いる方法、粒子表面に前記重合性単量体をグラフト重合させる方法がある。この様な表面処理は、各無機粒子(A)〜(C)を混合した後に行ってもよく、各無機粒子(A)〜(C)について予め行っておくこともできる。
本発明においては、特に不定形無機粒子(A)については、下記一般式(III):
(式中、R8は水素原子またはメチル基であり、
R9はアルコキシ基、塩素原子またはイソシアネート基であり、
R10は炭素数1〜6のアルキル基であり、
mは2〜3の整数であり、
nは8〜20の整数である、)
で表されるシランカップリング剤で表面処理することが好適である。このようなシランカップリング剤で不定形無機粒子(A)を表面処理することにより、該無機粒子(A)と重合性単量体との親和性が著しく向上し、混合フィラーの高充填が可能となり、これにより硬化体の熱膨張係数が低減し、また耐摩耗性が向上し、口腔内での修復物の耐久性の向上等の点で極めて有利である。
かかる一般式(III)で表されるシランカップリング剤としては、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルメチルジメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリクロルシラン、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン等を挙げることができる。このようなシランカップリング剤は、単独で用いることもできるし、また、2種以上を混合して使用することもできる。更に、その効果が損なわれない範囲で、他の表面処理剤、例えばγ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランやヘキサメチルジシラザン等と併用することもできる。
また、微細無機粒子(C)については、下記一般式(IV):
(式中、R11は水素原子またはメチル基であり、
R12はアルコキシ基、塩素原子またはイソシアネート基であり、
R13は炭素数1〜6のアルキル基であり、
mは2〜3の整数であり、
nは2〜3の整数である、)
で表されるシランカップリング剤で表面処理することが好適である。
かかるシランカップリング剤は、アルキレン基が短い(n=2〜3)点を除けば、前述した一般式(III)で表されるシランカップリング剤と同じ構造を有している。即ち、一般式(III)のように、アルキレン基が長い(n=8〜20)シランカップリング剤により表面処理された微細無機粒子(C)を用いると、修復材ペーストがチキソトロピィー性を有するものとなり、ペースト操作中にその粘度が変化したり、糸引きを起こしたりするなど、ペースト操作性が損なわれ、型取り等の作業が困難となるおそれがあるが、一般式(IV)で表されるアルキレン基の短い(n=2〜3)シランカップリング剤を用いることにより、このような不都合を有効に防止することができる。
かかる一般式(IV)で表されるシランカップリング剤の代表例としては、γ−メタクリロイロキシプロピルトリメトキシシランを挙げることができる。
球状無機粒子(B)についての表面処理は、前記一般式(III)及び一般式(IV)のシランカップリング剤の何れを用いても行なうことができる。球状無機粒子(B)のみを単独で表面処理する場合には、前記一般式(III)のシランカップリング剤を用いることが好ましい。しかし、後述するように、球状無機粒子(B)は、球状無機粒子(C)と混合した後に表面処理することが好ましく、この場合には、一般式(IV)のシランカップリング剤で表面処理することが好ましい。
上述したシランカップリング剤を用いての無機粒子(A)〜(C)の表面処理方法は、特に制限されず、従来公知の方法を採用することができる。例えば、表面処理すべき無機粒子及びシランカップリング剤を、適当な溶媒中でボールミル等を用いて分散混合させ、エバポレーターや噴霧乾燥機で乾燥した後、50〜150℃に加熱することによって表面処理を行なうことができる。また、表面処理すべき無機粒子及びシランカップリング剤をアルコール等の溶剤中で攪拌下に加熱することによって表面処理を行なうことができる。更に、微細無機粒子(C)は凝集力が強く、単独で表面処理した場合には十分に疎水化されない傾向があるため、球状無機粒子(B)の全部または一部と微細無機粒子(C)とを混合し、混合粒子を上記した方法でシランカップリング剤で表面処理することが好ましい。シランカップリング剤での表面処理に先立ち、球状無機粒子(B)と微細無機粒子(C)とを混合することにより、該微細無機粒子(C)の凝集がよりほぐれ、表面処理の効果をより高くすることが可能となる。なお、この場合には、前記一般式(IV)のシランカップリング剤を使用することがより好ましい。
上述した一般式(III)或いは(IV)のシランカップリング剤を用いての表面処理において、シランカップリング剤の量は特に制限されないが、ペースト操作性及び硬化体物性の観点から、表面処理すべき無機粒子100重量部当たり1〜10重量部の範囲とするのが好適である。
以上のようにして、不定形無機粒子(A)、球状無機粒子(B)及び微細無機粒子(C)を混合して得られる成分(iii)の混合フィラーにおいては、修復材料の操作性を高め且つ高強度の硬化体を得るため、更には得られる硬化体の審美性(光沢度)を高いものとするという観点から、成分(i)の重合性単量体に対する分散性が高いことが好ましい。このために、この混合フィラーは、重合性単量体(i)及びその他の成分と混合して修復材料ペーストとした状態で、球状無機粒子(B)及び微細無機粒子(C)の凝集体が、各々、その最大径が20μm以下、好ましくは10μm以下となり、且つ該凝集体の合計量が、混合フィラーの全量当たり20体積%以下となるように粒度調整されていることが好ましい。また、この混合フィラーの粒度分布(体積頻度)曲線は、ペーストにした状態で、粒径が0.1μm以下の位置に少なくとも1つのピーク(微細無機粒子(C)のピーク)を有し、更に粒径が0.1μmよりも高く且つ1μm以下の位置に少なくとも1つのピーク(不定形無機粒子(A)及び球状無機粒子のピーク)を有すると共に、粒径が5μm超える位置にはピーク(凝集体に由来するピーク)を有していないことが最も好適である。
ペーストとした状態における混合フィラー(iii)の粒度分布は、該ペーストをエタノール等の重合性単量体(i)を溶解できる溶媒にて溶解・希釈し、該希釈液を用いて粒度分布を測定することにより求めることができる。この場合、粒径に応じて異なる装置を使用せずともよいように、0.1μmを下回る粒子から10μmを超える粒子まで同時に測定できる装置(例えば、ベックマンコールター社製、LS230等)を使用して測定することが好ましい。
また、混合フィラー(iii)の重合性単量体(i)に対する分散性は、特開平8−12305号公報に記載されているように、該フィラー中における、細孔径0.08μm以上の強凝集細孔の容積で評価することが出来る。
ここで、細孔径及び強凝集細孔の容積は水銀圧入法で測定でき、細孔径は加圧時の細孔容積測定で求められた細孔分布から決定され、各径の強凝集細孔の容積は減圧時に測定された細孔容積曲線に基づき、減圧時に測定される細孔径と加圧時に測定される細孔径のシフトを考慮して求められる値である。
即ち、上記のような方法で測定される細孔径0.08μm以上の強凝集細孔の容積が小さいほど、混合フィラー(iii)の重合性単量体(i)に対する分散性は高くなる。本発明で用いる混合フィラー(iii)の強凝集細孔の容積は0.1cc/g−フィラー以下であることが好ましい。このような範囲に強凝集細孔の容積が調整された混合フィラー(iii)を用いることにより、特に機械的強度の高い硬化体を形成し得る光硬化性歯科用修復材料を得ることができる。
尚、上述したような粒度分布を有し、また上記範囲に強凝集細孔の容積が調整された混合フィラー(iii)は、例えば、各無機粒子(A)〜(C)(特に、凝集し易い無機粒子(B)及び(C))を、予め、純水等の媒体中で超高圧衝撃型乳化分散機ナノマイザーを用いて10〜100MPaのような高い処理圧で分散させておくことによって得ることが出来る。通常、処理圧が低いほど分散に長時間を要するため、50〜70MPaの処理圧とすることが好ましい。
本発明の光硬化性歯科用修復材料において、上記のようにして調製された混合フィラー(iii)は、成分(i)の重合性単量体100重量部当たり、200〜1900重量部、好ましくは300〜900重量部の量で配合される。混合フィラー(iii)の配合量が200重量部未満の場合は、高い機械的強度を有する硬化体を得る事が困難となる。また、該配合量が1900重量部を越える場合は、重合性単量体(i)中に混合フィラー(iii)を均一に分散させることが困難となり、光硬化性歯科用修復材料ペーストの操作性が低いものとなる。
他の配合成分:
本発明の光硬化性歯科用修復材では、上述した(i)〜(iii)の成分に加えて、アミン化合物を配合することができ、このようなアミン化合物の配合により、該修復材料の硬化体の強度を更に高くし、また硬化させた際の表面未重合量を低減させることができる。
このようなアミン化合物としては、例えば、n−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、アニリン等の1級のアミン;N−メチルアニリン、N−メチル−p−トルイジン、ジブチルアミン、ジフェニルアミン等の2級アミン;トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N’−ジメチルアニリン、N,N’−ジベンジルアニリン、N,N’−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の脂肪族系3級アミン;p−ジメチルアミノ安息香酸、p−ジメチルアミノ安息香酸アミル、p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N,N’−ジメチルアンスラニックアシッドメチルエステル、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、N,N’−ジ(β−ヒドロキシエチル)−p−トルイジン、N,N’−ジメチル−p−トルイジン、N,N’−ジエチル−p−トルイジン等の芳香族系3級アミン類が挙げられる。これらの中でも、芳香族系3級アミンの使用が最も好適である。
当該アミン化合物は1種あるいは2種以上を混合して用いてもよく、その配合量は、成分(i)の重合性単量体100重量部当たり0.01〜5重量部、特に0.1〜5重量部の範囲が好適である。
また、本発明の光硬化性歯科用修復材料には、その効果を阻害しない範囲で、公知の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、重合禁止剤、酸化防止剤、顔料、紫外線吸収剤等が挙げられる。
光硬化性歯科用修復材の調製、成形及び硬化
本発明の光硬化性歯科用修復材は、一般に、前記各必須成分(i)〜(iii)及び必要に応じて各任意成分を所定量とり、これらを混合して真空脱泡し、一旦ペースト状の光硬化性歯科用修復材料とした後、歯牙の形態に成形した後、硬化させて使用される。
その一般的な成形、硬化方法としては、(1)修復すべき歯の窩洞に直接充填し、歯牙の形に形成した後に専用の光照射器にて強力な光を照射して重合硬化させる方法、(2)口腔外で支台模型上、または金属フレーム上に築盛し、歯牙の形に形成して重合硬化させてから歯科用接着剤等を用いて口腔内に装着して歯の修復を行う方法等が挙げられる。
硬化のための光源としては、光重合開始剤であるアシルホスフィンオキサイド(ii)の光分解に有効な波長、即ち250〜500nmの範囲の波長光を放射するものが適当である。好適に用いられる光源用のランプとしては、高圧水銀灯、低圧水銀灯、メタルハライドランプ、高化学蛍光管、キセノンランプ、ハロゲンランプを挙げることができる。照射時間はランプの輝度および照射距離に依存するが、この種の作業の常識となっている照射時間(1秒〜10分)で充分であるようにランプの輝度と照射距離を設定すればよい。
光照射により硬化した硬化体は、そのままでも修復材料として使用可能であるが、加熱を行うと更に機械的強度が増大し、特に歯冠材料として好ましいものとなる。効果的な加熱温度は80〜120℃であって、1分以上の加熱時間を行うのが好適である。加熱の時期は光照射により硬化が起きた時点以降であれば、築盛されたペーストが流れて歯冠の形態が崩れることもない。
実 施 例
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
なお、以下の実施例および比較例で用いた重合性単量体(i)、光重合開始剤(ii)、アミン化合物は以下の通りである。
重合性単量体(i)
D−2.6E:
ビスメタクリロイルエトキシフェニルプロパン
3G:
トリエチレングリコールジメタクリレート
UDMA:
1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)−2,2−4−トリメチルヘキサン
光重合開始剤(ii)
BAPO:
ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド
TPO:
2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド
CQ:
カンファーキノン(注;本発明におけるアシルフォスフィンオキサイドではない)
アミン化合物
DMBE:
p−ジメチルアミノ安息香酸エチル
また、実施例及び比較例において、混合フィラー(iii)の調製に用いた不定形無機粒子(A)、球状無機粒子(B)及び微細無機粒子(C)は、以下の通りである。
不定形無機粒子(A)
A−1:不定形シリカ−ジルコニア
(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物)
平均粒子径;0.8μm
A−2:不定形シリカ−ジルコニア
(10−メタクリロキシデシルトリメトキシシラン表面処理物)
平均粒子径;0.8μm
A’−1:不定形シリカ−ジルコニア
(γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物)
平均粒子径;3.4μm
(注;本発明の範囲外である)
球状無機粒子(B)
B−1:球状シリカ−ジルコニア
平均一次粒子径;0.52μm
粒子径の変動係数;0.14
最大凝集粒径;5.2μm
B−2:球状シリカ
平均一次粒子径;0.62μm
粒子径の変動係数;0.06
最大凝集粒径;12μm
B−3:球状シリカ−チタニア
(10−メタクリロキシデシルトリメトキシシラン表面処理物)
平均一次粒子径;0.3μm
粒子の変動係数;0.09
最大凝集粒径;6μm
微細無機粒子(C)
C−1:球状シリカ−チタニア
平均一次粒子径;0.08μm
最大凝集粒径;18μm
C−2:球状シリカ−ジルコニア
平均一次粒子径;0.06μm
最大凝集粒径;18μm
C−3:不定形シリカ
(レオロシールQS102、トクヤマ社製)
平均一次粒子径;0.015μm
なお、不定形無機粒子(A)の平均粒子径は、20重量%の水分散液を20分間超音波分散させ、レーザー回折・散乱法による粒度分布測定装置(マルバーン社製、マスターサイザー)による測定結果である。
また、球状無機粒子(B)及び微細無機粒子(C)として用いた各種の無機粒子において、平均一次粒子径は、SEM観察により無作為に抽出した40個の独立した粒子(或いは凝集体を構成している一次粒子)の平均直径であり、最大凝集粒径は、無機粒子の20重量%水分散液を1時間超音波分散させたときの、レーザー回折・散乱法による粒度分布計(マルバーン社製、マスターサイザー)による粒度測定における最大粒子径である。
また、球状無機粒子(B)として用いた上記B−1、B−2およびB−3の各無機粒子は、何れもSEM観察でその一次粒子が丸みをおびており、最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した平均均斉度が0.90〜0.99であることを確認した。
また、以下の実施例、比較例に示した混合フィラー(iii)の強凝集細孔容積、光硬化性歯科用修復材料の調製、該修復材料の環境光安定性、ペースト操作性及びその硬化体の機械的特性(曲げ強度、破壊靭性値)、表面滑沢性(光沢度)、熱膨張係数、表面未重合量の測定は以下の方法に従った。
(1)強凝集細孔容積
充分に乾燥させたフィラー約0.2gを計り採り、水銀圧入法細孔分布測定装置(カルロエルバ製、ポロシメーター2000)にて、加圧時及び減圧時の細孔径および細孔分布を測定した。この結果から、特開平8−12305号公報に記載の方法に従って細孔径および細孔分布を測定し、0.08μm以上の細孔径を有する強凝集細孔の容積(以下、単に凝集細孔容積という。)を求めた。
(2)光硬化性歯科用修復材料の調製
重合性単量体(i)に対し所定量の光重合開始剤(ii)を加え、暗所下にて均一に溶解して得た重合性単量体溶液と所定量の混合フィラー(iii)とをメノウ乳鉢に入れ、暗所にて十分に混練して真空脱泡してペースト状の均一な硬化性組成物とした。
(3)環境光安定性
ペースト状の硬化性組成物試料表面が10,000ルックスになるように光源と試料との距離を設定した。光源には、15W蛍光灯(松下電器製、商品名パルック)を用い、試料表面の照度は、照度計(東京硝子器械製、デジタルルックスメーターFLX−1330)を用いて測定した。
作製したペースト状の硬化性組成物を白色練和紙に米粒大に数個採り、試料とした。これらの試料に上記蛍光灯の光を照射しながら、10秒ごとに試料を押しつぶし、試料内部が硬化し始めた時点を操作余裕時間とし、環境光安定性の指標とした。
(4)ペースト操作性
前記方法で調製したペースト状の光硬化性修復材料を歯科用充填器で適量採取し、支台歯を型取った石膏模型に築盛し、歯牙修復物を作製した。このときのペースト操作性を以下に示す3段階で評価した。
評価基準
A:ペースト粘度が適当であり、またペーストの糸引きもなく、築盛及び形態修正が容易である。
B:ペーストの粘度がやや高い、またはやや低く、築盛はできるが、形態修正が行ないづらい。
C:ペーストが築盛できない。
(5)硬化体の機械的強度の測定
上記で調製された光硬化性歯科用修復材料を可視光線照射器(モリタ製、αライト)を用いて、5分間光照射した後、更に加熱重合器(トクヤマ製、TP−1000)にて100℃15分間重合させた。その後37℃水中に24時間浸漬した後に試料片として使用した。
(5−1)曲げ強度
2×2×25mmの角柱状の試料片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG−5000D)にて、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。
(5−2)破壊靭性値
幅2×高さ4×長さ20mmの角柱状の試料片を作製し、その高さ方向にカッターで約2mmの亀裂を入れ、片側切り欠き入り3点曲げ試料片を作製する。この試料片を試験機(島津製作所製、オートグラフAG−5000D)に装着し、支点間距離16mm、クロスヘッドスピード1mm/分で3点曲げ試験を行い、その破壊強度から破壊靭性値を算出した。
(6)光沢度
幅20mm×長さ35mm×厚さ1mmの試験片の表面を、耐水研磨紙1500番で研磨し、更に、SOF−LEXSUPERFINE(3M社製)にて研磨し、可変角度光沢計(東京電色社製、TC−108D)にて、測定角度45°で光沢度を測定した。
光沢度は表面滑沢性の指標であり、該値が100である場合に全反射を示し、この値に近いほど表面滑沢性が良好であることを意味する。
(7)熱膨張係数
幅2mm、厚さ2mm、長さ10mmの試験片を作製し、熱機械分析装置(理学電機製、TMA120C)を用いて、温度範囲=−20〜100℃、昇温速度=5℃/mm、負荷=2.0gの条件で試験片の寸法変化を測定し、0〜60℃までの熱膨張係数を算出した。
(8)表面未重合量の測定
直径7mm、高さ1.5mmの孔を有するポリアセタール製の型に、修復材料のペーストを充填し、可視光線照射器(トクヤマ製パワーライト)を用いて1分間光照射した。
照射終了後、型から硬化体を取り出し、その重量を秤量した。その後、硬化体をエタノール中に浸漬して超音波洗浄を行ない、乾燥後、再び秤量を行なって重量減少率を求めた。
この重量減少率が体積減少率と同等であると見なし、硬化体厚み(1.5mm)に重量減少率を乗じて表面未重合層の厚さを求め、これを表面未重合量とした。
試験は3個の試験片について行ない、その平均値を求めた。
実施例1
球状無機粒子B−1(60g)と微細無機粒子C−1(40g)とを純水中に導入し、超高圧衝撃型乳化分散機(特殊機化工業製、ナノマイザーNM−LA31)にて処理圧力60MPaで粒子を分散させた。γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いて表面処理を行った後に溶媒を留去し乾燥して混合粒子を得た。
不定形無機粒子A−1の粒度分布曲線を図1に示し、また、上記で調製された球状無機粒子B−1と微細無機粒子C−1との混合粒子についても、粒度分布曲線を図2に示した。これらの粒度分布は、ベックマンコールター社製LS230を用いて測定しており、1μmを超える部分についてはレーザー回折法、1μm以下の部分については光散乱法により測定された結果である。
上記の混合粒子と不定形無機粒子A−1とを、下記の質量比:
mA−1/(mB−1+mC−1)=1.0
(mA−1は、A−1の質量、mB−1は、B−1の質量、mC−1は、C−1の質量である)
となるように乳鉢にとり、混合分散させて混合フィラーを得た。
この混合フィラーの細孔分布を測定した結果、0.08μm以上の細孔径を有する強凝集細孔の容積は0.04cc/gであった。
重合性単量体(i)として、D−2.6E(70重量部)、3G(15重量部)およびUDMA(15重量部)を用い、これに重合開始剤(ii)としてBAPO(0.5重量部)を加え、暗所下にて溶解し均一溶液を得た。この溶液(単量体含量100重量部)に、上記で調製された混合フィラー(400重量部)を加え、ペースト状の均一な硬化性組成物(光硬化性歯科用修復材料)を得た。
この硬化性組成物をエタノールで希釈し、混合フィラーの粒度分布を前記ベックマンコールタ社製LS230を用い、レーザー回折・光散乱法により測定し、その結果を図3に示した。図2と図3の比較から、混合フィラー中の凝集体はさらにほぐされ、5μmを超える位置にはピークが存在しておらず、また約1〜3μmの部分に存在している凝集体ピークから、凝集体の合計量は20体積%以下であることが判る。
この組成物について環境光安定性、ペースト操作性、及び硬化体の曲げ強度、破壊靱性値、光沢度、熱膨張係数を測定した。
その結果、環境光安定性が60秒、曲げ強度が246MPa、破壊靱性値が3.5MPa・m1/2、光沢度が80、熱膨張係数が31.1ppm/℃であった。また、ペースト操作性の評価はAであった。
実施例2〜16
重合性単量体(i)としては、実施例1と全く同じものを使用し、且つ表1に示す様に硬化性組成物の組成を変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物のペーストを調製し、同様の測定を行った。その結果を、実施例1の結果と併せて表2に示す。
尚、実施例4,5,6,9及び16では、重合性単量体(i)、光重合開始剤(ii)及び混合フィラー(iii)に加えてアミン化合物が配合されている。
表1において、混合フィラー(iii)の調製に用いた不定形無機粒子(A)、球状無機粒子(B)及び微細無機粒子(C)の各配合割合は、それぞれ、下記式で示している。
不定形無機粒子(A):RA=mA/(mB+mC)
球状無機粒子(B):RB=mB/(mB+mC)
微細無機粒子(C):RC=mC/(mB+mC)
実施例17
球状無機粒子B−1(40g)と微細無機粒子C−1(60g)とを純水中に導入し、超高圧衝撃型乳化分散機にて処理圧力60MPaで粒子を分散させた。γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いて表面処理を行った後に溶媒を留去し乾燥して表面処理混合粒子を得た。
この表面混合粒子を40重量部、不定形無機粒子A−2を40重量部、及び球状無機粒子B−3を20重量部乳鉢に採り、混合分散させて混合フィラー(iii)を調製した。
この混合フィラーを用い、表1に示す配合組成にしたがって実施例1と同様にしてペースト状の均一な硬化性組成物(光硬化性歯科用修復材料)を調製した。
この硬化性組成物について、実施例1と同様の測定を行ない、その結果を表2に示した。
実施例18
球状無機粒子B−1と微細無機粒子C−1との混合及び分散を、超高圧衝撃型乳化分散機を用いる代わりに、容量2リットルのボールミルを用いて2時間行なった以外は、実施例1と同様にしてペースト状の均一な硬化性組成物(光硬化性歯科用修復材料)を調製し、且つ実施例1と同様の測定を行なった。その結果を表2に示す。
表2の実験結果から明らかなように、いずれの実施例においても、210MPa以上の高い曲げ強度、3.0MPa・m1/2以上の高い破壊靱性値、80前後の良好な光沢を示している。
さらに、不定形無機粒子(A)の表面処理剤として、10−メタクリロキシデシルトリメトキシシランを用いている実施例14〜17においては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いている実施例1又は2よりも高い無機フィラー充填率で、当該実施例とほぼ同等のペースト粘度の光硬化性組成物とすることができた。これにより、操作性を低下させることなく、得られた硬化体の熱膨張係数を約21ppm/℃と、より歯の熱膨張係数(10〜15ppm/℃)に近いものとすることができた。
また混合フィラーの強凝集細孔容積が0.1以下である実施例1又は2と、同じく0.1を超える実施例18との比較から明らかなように、当該混合フィラーの強凝集細孔容積が0.1以下の方がフィラーを高充填した上でなお良好なペースト操作性を得ることが可能であった。
比較例1〜14
表1に示す様に硬化性組成物の組成を変更した以外は、実施例1と同様にして硬化性組成物のペーストを調製し、同様の測定を行った。その結果を表2に示す。
なお、球状無機粒子(B)と微細無機粒子(C)は、実施例1と同様に超高圧衝撃型乳化分散機にて処理圧力60MPaで粒子を分散させた後、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランを用いて表面処理を行ったものを用いている。また、比較例5及び9〜12の硬化性組成物では、混合フィラーを、組成物がペースト状を維持する最大量を充填している。
比較例1及び2は、混合フィラー(iii)の成分として不定形無機粒子(A)を使用しておらず、比較例3及び4は、不定形無機粒子(A)の配合量が少ないが(その質量比が0.2未満)、これらの場合には各実施例と比較して、破壊靱性値が極めて低かった。
比較例5は、不定形無機粒子Aの配合量が多いが(その質量比が3より高い)、この場合には光沢度が劣り、歯科用修復材料としての審美性に欠けるものであった。さらに不定形無機粒子(A)の配合割合が本発明の範囲外であるため、混合フィラー充填量は348重量部が限界であった。
比較例6及び7は、不定形無機粒子(A)として、平均粒子径が3.4μmと本発明の範囲外である無機粒子A’−1を用いているため、光沢度が著しく劣っていた。
比較例8は、微細無機粒子(C)の配合割合が本発明の範囲を超えており、破壊靱性値、曲げ強度共に低かった。
比較例9は、球状無機粒子(B)が配合されておらず、破壊靱性値、曲げ強度共に低く、また光沢度も悪かった。
さらに比較例8、9においては、各実施例に比較して同量のフィラー充填率でもペースト粘度が高く、フィラー充填率を高くすることが困難であった。
比較例10では、微細無機粒子(C)が配合されておらず、比較例11では、微細無機粒子(C)の配合割合が本発明の範囲をしたまわっている。これらの場合には破壊靱性値が極めて低く、また、曲げ強度及び光沢度も低めであった。
比較例12および13は、光重合開始剤として、アシルホスフィンオキサイドが使用されていないため、これらの場合には破壊靱性値が極めて低かった。
実施例19〜25
表3に記載の実施例Noの硬化性組成物を用い、表面未重合量を測定した。結果を合せて表3に示す。
表3に明らかなように、アミン化合物を配合した組成物を用いた実施例20,21,23及び25では、アミン化合物を配合していない場合である他の実施例に比較して、表面未重合量が少なかった。
【図面の簡単な説明】
図1は、実施例1で用いた不定形無機粒子A−1の粒度分布曲線を示す。
図2は、実施例1で調製された球状無機粒子B−1と微細無機粒子C−1との混合粒子の粒度分布曲線を示す。
図3は、実施例1で調製された光硬化性歯科用修復材料(硬化性組成物のペースト)をエタノールで希釈して測定した混合フィラーの粒度分布曲線を示す。
Claims (11)
- (i)重合性単量体100重量部、(ii)アシルフォスフィンオキサイドから成る光重合開始剤0.01〜5重量部、及び(iii)無機フィラー200〜1900重量部を含んでなる光硬化性歯科用修復材料において、
前記無機フィラー(iii)は、
(A)平均粒子径が0.1μmを超え1μm未満の不定形無機粒子、
(B)平均一次粒子径が0.1μmを超え5μm以下である球状無機粒子、及び
(C)平均一次粒子径が0.1μm以下である微細無機粒子、
が、下記質量比▲1▼〜▲3▼:
▲1▼ mA/(mB+mC)=0.2〜3
▲2▼ mB/(mB+mC)=0.5〜0.99
▲3▼ mC/(mB+mC)=0.01〜0.5
(但し、mA、mB及びmCは、それぞれ、無機粒子(A)〜(C)の質量を示す)
を満足するように配合された混合フィラーから成ることを特徴とする光硬化性歯科用修復材料。 - 前記混合フィラー(iii)は、無機粒子(A)〜(C)を、下記質量比▲1▼’〜▲3▼’:
▲1▼’ mA/(mB+mC)=0.4〜2.3
▲2▼’ mB/(mB+mC)=0.6〜0.9
▲3▼’ mC/(mB+mC)=0.1〜0.4
を満足するように配合されたものである請求の範囲1記載の光硬化性歯科用修復材料。 - 前記混合フィラー(iii)において、球状無機粒子(B)の一次粒子の凝集体の最大径及び微細無機粒子(C)の一次粒子の凝集体の最大径が、それぞれ、20μm以下であり、且つこれら凝集体の合計量が混合フィラー(iii)の全量当たり20体積%以下である請求の範囲1記載の光硬化性歯科用修復材料。
- 前記球状無機粒子(B)の平均一次粒子径は、1μm以下である請求の範囲1記載の光硬化性歯科用修復材料。
- 前記微細無機粒子(C)の平均一次粒子径は、0.05〜0.09μmである請求の範囲1に記載の光硬化性歯科用修復材料。
- 前記混合フィラー(iii)は、細孔径0.08μm以上の強凝集細孔の容積が0.1cc/g以下である請求の範囲1記載の光硬化性歯科用修復材料。
- 前記混合フィラー(iii)は、体積頻度分布による粒度分布測定で、粒径0.1μm以下の位置と粒径0.1μmを超えて1μm以下の位置とにそれぞれ少なくとも1つの分布ピークを有しており、且つ粒径5μmを超える位置には、分布のピークを有していない請求の範囲1記載の光硬化性歯科用修復材料。
- 前記不定形無機粒子(A)は、下記一般式(III):
(式中、R8は水素原子またはメチル基であり、R9はアルコキシ基、塩素原子またはイソシアネート基であり、R10は炭素数1〜6のアルキル基であり、mは2〜3の整数であり、nは8〜20の整数である、)
で表されるシランカップリング剤により表面処理されており、前記微細無機粒子(C)は、下記一般式(IV):
(式中、R11は水素原子またはメチル基であり、R12はアルコキシ基、塩素原子またはイソシアネート基であり、R13は炭素数1〜6のアルキル基であり、mは2〜3の整数であり、nは2〜3の整数である、)
で表されるシランカップリング剤により表面処理されている請求の範囲1に記載の光硬化性歯科用修復材料。 - 前記重合性単量体(i)100重量部当たり、0.01〜5重量部のアミン化合物を含有している請求の範囲1に記載の光硬化性歯科用修復材料。
- (A)平均粒子径が0.1μmを超え1μm未満の不定形無機粒子と、(B)平均一次粒子径が0.1μmを超え5μm以下である球状無機粒子と、(C)平均一次粒子径が0.1μm以下である微細無機粒子とを、下記質量比▲1▼〜▲3▼:
▲1▼ mA/(mB+mC)=0.2〜3
▲2▼ mB/(mB+mC)=0.5〜0.99
▲3▼ mC/(mB+mC)=0.01〜0.5
(但し、mA、mB及びmCは、それぞれ、無機粒子(A)〜(C)の質量を示す)
を満足するように混合して無機フィラーを調製し、
重合性単量体100重量部と、アシルフォスフィンオキサイドから成る光重合開始剤0.01〜5重量部と、前記無機フィラー200〜1900重量部とを混合することを特徴とする光硬化性歯科用修復材料の製造方法。
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