JP4486263B2 - 歯科用複合充填材および重合性組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な、特に修復材、補綴物およびシーラント等の歯科材料に好適な機械的強度に優れた重合組成物から製造された黄色度が小さい新規歯科用複合充填材およびこれを配合した歯科用重合性組成物に関する。さらに詳しくは、分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート単量体とポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物および重合開始剤から成る重合性組成物、およびこの重合性組成物に無機充填材を配合した後、重合させ粉砕した歯科用複合充填材に関する。また、この複合充填材を重合性単量体に配合した、その硬化物が曲げ強度、圧縮強度、耐衝撃性等の機械的強度に優れ、さらに耐水性、硬化物表面の光沢性および色調も良好な歯科用重合性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、歯科治療において歯牙欠損の修復などの補綴分野やクラウン、人工歯などの歯冠分野などにおいて、アクリル系の歯科用組成物が機械的強度や審美性の向上、修復操作が簡便である等の理由から金属材料や無機セメントに変わる材料として多用されている。アクリル系歯科用組成物は、一般にはアクリル系単量体に無機充填材および重合開始剤等を配合したペ−ストや、アクリル系単量体と重合促進剤、無機充填材と重合開始剤とに分割したものを使用直前に混練する粉/液タイプ等がある。当初、粒子径が1〜100μmのガラスフィラーを充填材として配合した歯科用組成物が用いられた。しかしながら、機械的強度は優れているものの、粒子径が大きいため研磨性が悪く、光沢感のある表面が得られ難いと云う欠点や、さらには口腔内で硬化物表面の樹脂部分が選択的に磨耗しガラスフィラーが突出してヤスリ状になるため、健全な対合歯を磨耗させる原因となる等の問題点が指摘されていた。
【0003】
そこで、上記の問題点を解決するため、粒子径が0.1〜1μmの範囲にあり、粒度分布が揃った真球状の無機充填材を使用する方法(特開昭62−89701号公報、特公昭62−86003号公報、特公平1−57082号公報および米国特許第4764497号明細書参照)が提案された。この無機充填材は、真球体でしかも粒度が揃っていることから、重合性単量体に高配合でき、機械的強度や表面の光沢性も優れる等の利点がある。しかしながら、これらの性能を発揮するためには、無機充填材をγ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の表面処理剤で処理し、重合性単量体との親和性を向上させる必要がある。ところが、その際に生成するシロキサン結合が加水分解を受け易く耐水性に劣るため機械的強度の低下を招いたり、また真球状の無機充填材を配合しているためレジンへの投錨効果が不定形型の無機充填材よりも劣り、レジンから真球状の無機充填材が脱落し易いと云う問題があった。
【0004】
また、無機充填材として粒子径が0.1μm以下の微粒子無機充填材を使用する方法も提案されている。この無機充填材を使用すると、表面の光沢性が良く、対合歯を磨耗させない等の利点があるが、無機充填材の表面積が大きいため、高配合しようとすると、ペ−スト粘度が上昇し、他方、配合量を低下させるとペ−ストがべたついてスパチュラへ付着したりしてペ−ストの操作性が悪化し、実用化するには問題があった。
【0005】
そこで、0.1μm以下の無機充填材を重合性単量体で被覆し重合した充填材(以下複合充填材と云う)を使用する技術(特開昭56−20066号公報参照)によって上記の問題点を解決しようとする試みがなされた。この方法によって作製された複合充填材は、(メタ)アクリレート系単量体中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する多官能(メタ)アクリレートを使用しているため、エチレン性不飽和基が全て完全に重合することなく、その一部が残存する。従って、得られた複合充填材表面に残存するエチレン性不飽和基とマトリックスを構成する重合性単量体とが化学的に結合するため、得られた硬化物の機械的強度が向上することが記載されている。しかしながら、用途によっては、架橋密度が高すぎるため、複合充填材およびこれを配合して得られた硬化物が脆いと云う欠点も指摘されている。これらの脆さを改善するため、分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有するアクリル系単量体にヒドロキシアルキル(メタ)アクリレ−トとジイソシアネ−トの2:1付加物、またはポリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−トの混合物と無機充填粉末を混練した後、重合させ粉砕した複合充填材(特開昭58−178790号公報参照)が開示されている。
【0006】
特開昭58−178790号公報に記載の複合充填材は、特開昭56−20066号公報に記載のものより脆さは改善されているが、その後の検討で複合充填材の製造時に使用した重合開始剤が残存したり、また、粉砕し粉末にする際に過酸化物が生成したりするため、重合性単量体に配合してペ−スト化した歯科用重合性組成物の保存安定性が劣る欠点があることが分かった。複合充填材中の過酸化物を失活させ、歯科用重合性組成物の保存安定性を向上させるためには、後述する熱処理が操作の簡便さ、大量処理が可能である等の理由で有用である。しかしながらウレタン結合やポリエチレングリコ−ルに含まれるエ−テル結合を有する複合充填材は、熱処理すると黄変化し、そのためこれを配合した歯科用重合性組成物の色調が悪化する。
【0007】
また、ウレタン結合を有する重合性単量体から構成される歯科用組成物(特開昭57−85355号公報および特開平5−262615号公報参照)、ポリエチレン性不飽和カルバモイルイソシアヌレート系単量体から構成される歯科用組成物並びに複合充填材、およびこの複合充填材を配合した歯科用組成物(特開平7−80736号公報および特開平5−246819号公報参照)は、機械的強度には優れているものの、光、熱等による着色および劣化や複合充填材の製造工程中(粉砕時)の着色、さらには耐水性等の同様の問題を残している。これに対して、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート系単量体から構成される歯科用組成物(特開昭57−35505号公報および特開昭63−183904号公報参照)は、着色等の問題は無いが硬化物の硬くて脆い性質から、歯科用修復物として利用した場合、機械的強度が良好であるとは言い難い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、かかる問題を解決する方法について鋭意検討を重ねた結果、分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート単量体にポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物を配合することにより得られる重合性組成物または本重合性組成物に無機充填材を配合した後、重合させ粉砕した複合充填材およびこの複合充填材を配合した歯科用重合性組成物が機械的強度だけでなく耐水性にも優れ、色調も良好であることを見い出した。
【0009】
本発明の目的は、機械的強度、特に曲げ強度、圧縮強度、耐衝撃性に優れ、且つ耐水性および色調も良好な歯科用に特に好適な重合性組成物の重合硬化物であり、熱処理しても色調の変化が殆どなく、歯科用重合性組成物に好適に用いられる黄色度が小さい新規な歯科用複合充填材を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、機械的強度、特に曲げ強度、圧縮強度、耐衝撃性および耐磨耗性に優れ、且つ耐水性および色調も良好な前記複合充填材を配合した歯科用重合性組成物を提供することにある。
本発明のさらに他の目的および利点は、以下の説明から明らかになろう。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第一に、(A)分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート単量体100重量部、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有するポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物5〜900重量部および(C)重合開始剤0.01〜5重量部を含有する重合性組成物の重合硬化物を粉砕して得られた歯科用複合充填材により達成される。
【0011】
本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第二に、(A)分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート単量体100重量部、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有するポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物5〜900重量部、(C)重合開始剤0.01〜5重量部および(D)無機充填材10〜900重量部を含有する重合性組成物を重合して得られた硬化物の粉砕物である複合充填材により達成される。
【0012】
また、本発明によれば、本発明の上記目的および利点は、第三に、(E)重合性単量体、(C)重合開始剤および本発明の複合充填材からなる歯科用重合性組成物、またはこの組成物にさらに(D)無機充填材を配合した歯科用重合性組成物により達成される。
以下本発明についてさらに詳細に説明する。
【0013】
(A)分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート単量体として、下記式[I]で示される単量体および下記式[II]で示される単量体が挙げられる。これらの単量体は単独であるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
【0014】
【化12】
【0015】
式中、R1、R2およびR3はそれぞれ独立して
【0016】
【化13】
【0017】
(m=1〜10、n=0〜2、R5はHもしくはCH3)で示される基でありそしてR4はH、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基である。
あるいは式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して
【0018】
【化14】
【0019】
(m=1〜10、n=0〜2、R5はHもしくはCH3)で示される基である。
【0020】
上記式[I]で表わされる化合物としては、例えば、トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールブタントリ(メタ)アクリレート、トリ(メチレンオキシル)メチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリ(エチレンオキシル)メチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリ(プロピレンオキシル)メチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリ(ジエチレンオキシル)メチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリ(ジプロピレンオキシル)メチロールメタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
また、下記式[II]
【0021】
【化15】
【0022】
式中、R6、R7、R8、R9、R10およびR11はそれぞれ独立して
【0023】
【化16】
【0024】
(p=1〜10、q=0〜2、R12はHもしくはCH3)で示される基である。あるいは、式中、R6、R7、R10およびR11はそれぞれ独立して
【0025】
【化17】
【0026】
(p=1〜10、q=0〜2、R12はHもしくはCH3)で示される基でありそしてR8およびR9はそれぞれ独立してH、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のヒドロキシアルキル基である。
【0027】
式[II]で示される単量体として例えば、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でもジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレートがさらに好ましい。
【0028】
本発明で用いられる(B)成分である分子中にエチレン性不飽和基を有するポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物としては、下記式[III]で表わされる化合物、下記式[IV]で表される化合物および下記式[V]で表わされる化合物が挙げられる。これらは単独であるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
【0029】
【化18】
【0030】
式中、r、r’、tおよびt’は1〜10、sおよびuは0〜7且つs+u≧1、R13、R18はそれぞれ独立してHもしくはCH3であり、R14、R15、R16およびR17はそれぞれ独立してHまたは炭素数1〜5のアルキル基である。
式[III]で示される化合物のうち、r=t=5およびs+u=2であるかもしくはr=t=5およびs+u=4であるポリエステルジ(メタ)アクリレートを用いることが好ましく、r=t=5、r’=t’=1およびs+u=2であるかもしくはr=t=5、r’=t’=1およびs+u=4であり且つR14、R15、R16、R17がCH3で示されるポリエステルジ(メタ)アクリレート(下記式[III]’で表わされる化合物)がさらに好ましい。
【0031】
【化19】
【0032】
具体的には、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン反応物のジ(メタ)アクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HX−220、HX−620等)を挙げることができる。
【0033】
【化20】
【0034】
式中、vは1〜10、wは0〜7、xは1〜10、R19およびR20はそれぞれ独立してHもしくはCH3で示される基を示す。
【0035】
【化21】
【0036】
式中、A0は、
【0037】
【化22】
【0038】
で示される基であり、bは2〜6、cは1〜15、dは1〜10、eは1〜5、R21およびR22はそれぞれ独立してHもしくは炭素数1〜5のアルキル基で示される基を示す。また、式中、B0は、
【0039】
【化23】
【0040】
で示される基で、aは1〜3の整数である。
式[V]で示される化合物のうち、A0が−(CH2)b−、B0が−CH2CH2−で示されるポリエステルジ(メタ)アクリレート(下記式[V]’で表される化合物)を用いることが更に好ましい。具体的には、式[V]’においてb=6、a=1〜2、R21およびR22がCH3で表される化合物であるポリエステルジメタクリレート(新中村化学(株)製、PE−450)を挙げることができる。
【0041】
【化24】
【0042】
ここで、上記(B)成分であるポリエステルジ(メタ)アクリレートとは一分子中に複数個のエステル結合および(メタ)アクリロイル基を有するもので、上記式[III]、[IV]および[V]で表わされるものに限られず、一般に、多塩基酸無水物と水酸基を持つ(メタ)アクリレートとの反応、または多塩基酸、多価アルコールおよび(メタ)アクリル酸との脱水反応によって得られる全てのものを指す。ただし、窒素原子、硫黄原子および芳香環を有さない公知のポリエステルジ(メタ)アクリレートが好ましく使用される。窒素原子、硫黄原子あるいは芳香環を有さないポリエステルジ(メタ)アクリレートは硬化物が熱処理により黄変し難いという特徴を有する。
【0043】
(A)成分で表される化合物と、(B)成分で表される化合物の好ましい組合せ同士を使用する利点は次のとおりである。(A)成分で表される化合物を単独で使用する場合、架橋密度が高く剛直性の高い硬化物となるが、重合収縮に伴う重合歪みが大きいため脆い性質が出てしまう。一方、(B)成分で表される化合物を単独で使用する場合、柔軟性の高い硬化物となるが表面硬度が不十分となる。これに(A)成分で表される化合物と、(B)成分で表される化合物の好ましい組合せにより、単独使用時における両方の利点のみを発揮させることができる。なお、本発明の目的および効果を損なわない範囲で従来公知の重合性単量体を、(A)成分で表される化合物と(B)成分で表される化合物の組合せにさらに配合することができる。
(B)成分の配合量は、本発明の重合性組成物および複合充填材において(A)100重量部に対し5〜900重量部、好ましくは30〜600重量部、さらに好ましくは50〜400重量部である。
【0044】
本発明に使用される(C)成分である重合開始剤としては、熱または光重合開始剤等公知の重合開始剤が用いられる。熱重合開始剤としては有機過酸化物、ジアゾ系化合物等が好ましく使用できる。重合を短時間で効率よく行いたい場合には、80℃での分解半減期が10時間以下である化合物が好ましい。そのような化合物は、有機過酸化物では、例えばアセチルパーオキサイド、イソブチルパーオキサイド、デカノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、スクシン酸パーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類;ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ジアリルパーオキシジカーボネート等のパーオキシジカーボネート類;tert−ブチルパーオキシイソブチレート、tert−ブチルネオデカネート、クメンパーオキシネオデカネート等のパーオキシエステル類;アセチルシクロヘキシルスルホニルパーオキシド等の過酸化スルホネート類が挙げられる。またジアゾ系化合物としては、例えば2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメトキシバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−シクロプロピルプロピオニトリル)等を挙げることができる。特にベンゾイルパーオキサイド、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルがより好ましい。また、レドックス開始剤としてアミン等の還元剤を併用することもできる。
また、光重合開始剤としては、光増感剤単独または光増感剤および光重合促進剤の組み合わせが使用できる。
【0045】
光増感剤としては、例えばベンジル、α−ジケトン化合物、カンファーキノン、α−ナフチル、p,p’−ジメトキシベンジル、ペンタジオン、1,4−フェナントレンキノン、ナフトキノン、ジフェニルトリメチルベンゾイルフォスフィンオキシド等が挙げられる。これらの化合物は可視光あるいは紫外光照射で励起され重合を開始する公知の化合物類である。これらは1種類または2種類以上を一緒に使用できる。特に、カンファーキノンが好ましく使用される。
【0046】
光重合促進剤としては、例えばアシルホスフィンオキサイドまたはその誘導体、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジエチルアニリン、N,N−ジベンジルアニリン、N,N−ジメチル−p−トルイジン、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸メチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸メチル、p−N,N−ジメチルアミノベンズアルデヒド、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル、p−N,N−ジエチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル、p−N,N−ジメチルアミノベンゾニトリル、p−N,N−ジエチルアミノベンゾニトリル、p−N,N−ジヒドロキシエチルアニリン、p−ジメチルアミノフェネチルアルコール、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、N−エチルエタノールアミン等の第三級アミン類、前記第三級アミンとクエン酸、リンゴ酸、2−ヒドロキシプロパン酸との組み合わせ、5−ブチルアミノバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゾイルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物を挙げることができる。これらは1種類もしくは2種類以上を一緒に用いてもよい。特に、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンもしくは重合性基を有する脂肪族第三級アミンアシルホスフィンオキシドまたはその誘導体が好ましく用いられる。硬化を速やかに終了させるには、光増感剤と光重合促進剤との組み合わせが好ましく、カンファーキノンとp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル等の芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンのエステル化合物、またはアシルホスフィンオキシドの組み合わせが好ましく用いられる。重合促進剤は、好ましくは重合開始剤100重量部に対して1〜100重量部の範囲で使用される。
本発明の重合性組成物、複合充填材作製用組成物に対する(C)成分の配合量は、(A)成分100重量部に対し通常0.01〜5重量部である。
【0047】
本発明に使用される(D)成分である無機充填材は、形状としては、球状体であっても不定形体であってもよく、粒子径と共に適宜選択される。無機充填材は、種類としても公知のものが使用できる。例えば、周期律第I、II、III、IV族、遷移金属およびそれらの酸化物、水酸化物、塩化物、硫酸塩、亜硫酸塩、炭酸塩、燐酸塩、珪酸塩、およびこれらの混合物、複合塩等が挙げられる。より詳しくは、二酸化珪素、ストロンチュウムガラス、ランタンガラス、バリュウムガラス等のガラス粉末、石英粉末、硫酸バリウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、バリウム塩、ガラスビーズ、ガラス繊維、フッ化バリウム、鉛塩、タルクを含有するガラスフィラー、コロイダルシリカ、シリカゲル、ジルコニウム酸化物、スズ酸化物、炭素繊維、その他のセラミックス粉末等である。無機充填材はそのまま使用しても差し支えないが、(A)分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート単量体、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有するポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物と(D)無機充填材との間に親和性を高めて無機充填材の配合量を向上させたり、性能の良い複合充填材を作製するために無機充填材を疎水化するのが好ましい。疎水化のための表面処理剤としては、公知のものが使用でき、例えば、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシランシリルイソシアネ−ト、ビニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジオクチルジクロロシラン等のジアルキルジクロロシラン、ヘキサメチレンジシラザン等のシランカップリング剤、または相当するジルコニウムカップリング剤、チタニウムカップリング剤等を挙げることができる。表面処理方法としては、ボ−ルミル、V−ブレンダ−、ヘンシェルミキサ−等で表面処理剤単独、表面処理剤をエタノ−ル水溶液等の有機溶剤と水とが均一に混合した有機溶剤含有の水溶液で希釈したものを無機充填材に添加して混合した後、50℃〜150℃で数分間〜数時間熱処理する方法(乾式法)、無機充填材をエタノ−ル等の有機溶剤、またはエタノール水溶液等の有機溶剤と水とが均一に混合した溶液、もしくは水に加えてスラリ−状にし、上記の表面処理剤を加えて室温〜還流温度で数分間〜数時間処理し溶媒をデカンテーションやエバポレーション等公知の方法で除去した後、50℃〜150℃で数時間熱処理する方法(湿式、スラリ−法)、高温の無機充填材に表面処理剤をそのまま、または上記の水溶液を直接噴霧する方法(スプレ−法)を挙げることができ、各シラン処理剤や無機充填材の性状を加味した方法で適宜処理すればよい。また、上記(A)、(B)に表面処理剤を添加し、無機充填材を配合する方法(インテグラルブレンド法)も利用できる。もちろん、市販品が既に表面処理されている無機充填材はそのまま使用しても良いし、上記の方法等でさらに表面処理を追加してもよい。なお、上述のエタノール水溶液は中性であっても酸性であってもよい。無機充填材に対する表面処理剤の量は、無機充填材100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜15重量部であり、0.1〜10重量部が特に好ましい。
【0048】
また、無機充填材の平均粒子径は硬化表面の光沢性、透明性を付与するためには、好ましくは0.001〜5μmの範囲であり、より好ましくは0.005〜3μmであり、さらに好ましくは0.01〜1μmであり、特に好ましくは0.01〜0.1μmである。上記の利点を発揮させるための無機充填材として、R972、R972V、R972CF、RX200、RY200、R202、R805、R976、R812、R812S等の疎水性アエロジル(日本アエロジル(株))やOX−50または50等の親水性アエロジルと呼ばれているシリカを挙げることができる。これらは高純度の二酸化珪素エアロゾルの疎水化品が市販されているため敢えて表面処理する必要がなく、さらに、平均粒子径が0.05μm以下と可視光線の波長よりも粒子が小さいために、これを配合した硬化物は可視光線が乱反射し難く、透明性の良い複合充填材が作製できることから好ましく使用できる。これらの中でもR972、R812、R812S、R805が好適である。
【0049】
(D)成分である無機充填材の配合量は、無機充填材の形状、粒子径、混合物の粘度等を考慮して選択されるが、本発明の重合性組成物および複合充填材において(A)成分100重量部に対し、好ましくは10〜900重量部、より好ましくは10〜600重量部、さらに好ましくは10〜400重量部の範囲である。
本発明の複合充填材は、前記(A)、(B)、(C)および(D)成分の混合物を公知の重合法(溶液重合、塊状重合、乳化重合、光重合等)により重合させた後、粉砕して作製することができる。重合は後述する加圧下での塊状重合が、重合操作が簡便であるため好ましく利用できる。
【0050】
重合法の好ましい一例を示すと、予め、添加する(D)成分である無機充填材の5〜30重量%を(A)成分と(B)成分の混合物に添加してステンレス製のヘラ等でかき混ぜてやや固めのペ−ストにする。これを2本ロ−ルやバンバリ−ミキサ−、ボ−ルミル、高粘度用混練機等を用いて残りの無機充填材を徐々に添加し、混練する。添加終了後、熱重合開始剤を添加して再度均一に混練しペースト化する(以下前駆体と云う)。金型に前駆体を入れ加熱圧縮成型機にて0.1〜20MPaの圧力下、60〜200℃、好ましくは100〜150℃で、数分間〜数時間、好ましくは5分間〜1時間、熱硬化することで硬化物が得られる。
【0051】
得られた硬化物の粉砕は、予め0.5mm程度の大きさに粗粉砕した後、ボールミル、ロ−ラ−ミル、摩砕ミルおよびジェットミル等の乾式粉砕機、またはコロイドミル等の湿式粉砕機を用いて行われる。湿式粉砕では溶媒を除去、乾燥する必要があるので、乾式粉砕の方が好ましい。粒子形状は球状体であっても不定形体であってもよく、所望の粒子径になるまで実施される。また、粉砕後、篩いやエアジェット分級機で所望の粒子径や粒径分布を有する粉体として得ることもできる。
【0052】
本発明における複合充填材の平均粒子径は、通常1〜100μm、好ましくは1〜70μm、さらに好ましくは3〜40μmの範囲である。
複合充填材の各成分の配合量は(A)成分100重量部に対し(B)成分5〜900重量部、(C)成分0.01〜5重量部、(D)成分である無機充填材は、10〜900重量部、好ましくは20〜600重量部、さらに好ましくは30〜400重量部の範囲である。
【0053】
上記の複合充填材を配合した歯科用重合性組成物の保存安定性を向上させるには、配合する複合充填材の粉砕時に生起する過酸化物を失活させることが好ましい。その方法としては、粉砕後、複合充填材を熱処理する方法が好ましく利用できる。熱処理条件としては、窒素気流下もしくは雰囲気中で減圧下、加熱温度80〜180℃、好ましくは100〜150℃で数時間行われる。また、湿式粉砕時に使用する溶媒中にNa2SO3等の還元剤を存在させて粉砕を行うことで過酸化物を失活させたり、複合充填材を粉砕中もしくは粉砕後にアミンやスチーム等で後処理して失活させてもよい。簡便さや大量に処理できることから熱処理法が特に好ましく用いられる。本発明の複合充填材は熱処理前後の色調変化が少なく、歯科用重合性組成物に好適に配合して使用される。本用途には黄色度が15以下、好ましくは10以下のものが好適である。
【0054】
複合充填材の作製に使用される(A)成分および(B)成分の混合物自体が熱重合するものであれば、重合開始剤を含まない前駆体をそのまま上記の方法で加熱重合して複合充填材を作製してもよい。また、複合充填材は前記の表面処理剤や処理方法で疎水化処理して使用しても差し支えない。表面処理剤の好ましい処理量としては、複合充填材100重量部に対して表面処理剤が0.1〜20重量部、さらに好ましくは0.1〜15重量部であり、特に好ましくは0.1〜10重量部である。
【0055】
本発明の歯科用重合性組成物は、(E)重合性単量体、(C)重合開始剤および上記の複合充填材を含むことを特徴とする。また、これらの配合量は、使用目的等に応じて適宜選択される。また、(C)成分が光重合開始剤であれば(C)および(E)成分、および複合充填材を混合したペーストタイプや、(C)がベンゾイルパ−オキサイド/N,N−−ジメチルp−トルイジン等のレドックス開始剤であれば、(E)およびN,N−−ジメチルp−トルイジン等の重合促進剤の混合物、ベンゾイルパ−オキサイド等の過酸化物と複合充填材の混合物の粉/液タイプ等歯科用途一般に用いられている形態で提供される。各成分の配合割合は(E)重合性単量体100重量部に対し、(C)重合開始剤0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部、複合充填材40〜600重量部、好ましくは100〜400重量部を配合する。また、ペーストの操作性や硬化物の硬度を向上させたい場合には、(E)重合性単量体、(C)重合開始剤、上記の複合充填材、さらに前記の(D)無機充填材を含む組成物を使用するとよい。各成分は用途によって適宜選択された形で提供される。ペーストの場合は、(E)成分、(C)成分、複合充填材、および(D)成分は同時に混合され、上記のような粉/液の場合には(D)成分は複合充填材と混合され、粉/ペーストの場合には(D)成分は(E)成分または複合充填材と混合されるなど歯科用途一般に用いられる形態で提供される。各成分の配合量は(E)重合性単量体100重量部に対し、(C)重合開始剤0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部、本発明の複合充填材10〜600重量部、好ましくは50〜400重量部、(D)無機充填材5〜400重量部、好ましくは10〜300重量部を配合する。(D)の中では前記のアエロジルが好ましく使用される。
【0056】
(E)重合性単量体としては、従来公知のものであれば、その種類は特に限定されるものではなく種々の単量体が用いられる。好ましくは下記に示す重合可能な単官能性、二官能性および多官能性(メタ)アクリル酸エステル類、もしくは前記の複合充填材作製時に使用するポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物も同様に使用することができ、使用目的に応じて適宜選択される。その一例を示すと、
【0057】
(I)単官能重合性単量体
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、イソペンチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシテトラエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロキシエチルハイドロゲンフタレート、β−(メタ)アクリロキシエチルハイドロゲンサクシネート、ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレン(メタ)アクリレート、N−(2−ヒドロキシ−3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル)−N−フェニルグリシン、N−(メタ)アクリロイルグリシン、4−(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメリット酸無水物等の(メタ)アクリル酸エステル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、(メタ)アクリルアルデヒドエチルアセタール等のビニルエーテル類;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のアルケニルベンゼン類;アクリロニトリル、メタアクリロニトリル等のシアン化ビニル類;(メタ)アクリルアルデヒド、3−シアノ(メタ)アクリルアルデヒド等の(メタ)アクリルアルデヒド類;(メタ)アクリルアミド、N−スクシン(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド類;(メタ)アクリル酸、ビニル酢酸、クロトン酸等の(メタ)アクリル酸類もしくはそれらの金属塩類;アシッドホスホエチル(メタ)アクリレート、アシッドホスホプロピル(メタ)アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニル燐酸等の燐酸エステル基を含有する重合性単量体もしくはそれらの金属塩類;アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、tert−ブチルアクリルアミドスルホン酸等のスルホン酸基を含有する重合性単量体もしくはそれらの金属塩類であり、特にメチルメタクリレート、エチルメタクリレートがより好ましい。
【0058】
(II)二官能重合性単量体
下記式(VI)
【0059】
【化25】
【0060】
ここで、yは3〜20の整数で、R23およびR24はそれぞれ独立してHもしくはメチル基を表す基で示される単量体。例えば、プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デカンジオール、エイコサンジオール等のジ(メタ)アクリレート類;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニル単量体とヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフオロンジイソシアネート、メチルビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加物から誘導されるウレタン系重合性単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニル単量体とジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族含有ジイソシアネート化合物との付加物から誘導される芳香族環とウレタン結合を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体;2,2−ビス((メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−(メタ)アクリロキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロキシエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2−(4−(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−(メタ)アクリロキシジプロポキシフェニル)−2(4−(メタ)アクリロキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシイソプロポキシフェニル)プロパン等の芳香族環とエーテル結合を有する(メタ)アクリレート系重合性単量体が挙げられ、特にトリエチレングリコールジメタクリレート、ジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタンを用いることがより好ましい。
【0061】
(III)三官能重合性単量体
トリメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0062】
(IV)四官能重合性単量体
ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、またジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフオロンジイソシアネト、メチルビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物とグリシドールジ(メタ)アクリレートのような水酸基を有するビニルモノマーから誘導されるウレタン系重合性単量体が挙げられる。
【0063】
(v)五官能以上重合性単量体
ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレートのようなエチレン性不飽和基を5個以上有する重合性単量体、特公平7−80736号報に記載されているエチレン性不飽和基を6個有するポリエチレン性不飽和カルバモイルイソシアヌレ−ト、エチレン性不飽和基を7個以上有する重合性単量体等が挙げられる。
二官能以上の重合性単量体には、例えばトリエチレングリコールアクリレートメタクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレートジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートジメタクリレートのようにメタクリレート基とアクリレート基を一分子中に併せ持つ化合物も含まれる。
【0064】
前記(E)重合性単量体としては、必要に応じて単独あるいは二種以上を混合して使用してもよい。重合性および重合体強度の点で、二官能以上の重合性単量体を混合したものを重合性単量体として使用することが好ましい。
(C)重合開始剤としては、前記に記載したものが制限なく使用でき、用途によって適宜選択すればよい。なかでも、光重合開始剤は、修復物を作製するまでは流動性があるため自由に形態が整えられ、作製後、光照射すると速やかに硬化するので多用されている。光重合開始剤としてはカンファ−キノンに代表されるα−ジケトン化合物に重合促進剤としてアシルホスフィンオキシドおよびその誘導体、もしくはp−N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチル、N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート等の芳香族に直接窒素原子が結合した第三級芳香族アミンや重合性基を有する脂肪族第三級アミンが好ましく用いられる。もちろん、光重合開始剤、重合促進剤はそれぞれ2種類以上を同時に混合して使用してもよい。
【0065】
本発明の歯科用重合性組成物に保存安定性を付与するために、ハイドロキノン、ジブチルハイドロキノン等のハイドロキノン化合物類;ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール等のフェノール類を重合禁止剤として一種以上配合することが好ましい。特にハイドロキノンモノメチルエーテルおよび2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾールの組み合わせが好ましく使用される。配合量は、通常は(E)重合性単量体100重量部に対し、0.001〜2重量部配合することが好ましく、さらに好ましくは0.02〜1重量部である。なお、本発明の歯科用重合性組成物には、必要に応じてチタンホワイト、チタンイエロ−等の顔料、紫外線吸収剤、X線造影剤、染料等を配合しても何ら差し支えない。
【0066】
本発明の重合性組成物は複合充填材の原料組成物として有用であるばかりでなく、コンポジットレジン、接着剤、プライマー、歯面コート材等の歯科用修復材や義歯床等の歯科補綴物用材料としての歯科材料にも好適である。
本発明の複合充填材は、歯科用に限定されず工業用途として、例えば樹脂、ゴム、塗料等に配合して使用してもよい。
【0067】
【実施例】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例中の物性評価は下記の方法により実施した。
【0068】
物性試験方法
(i)圧縮強度
重合性組成物をモリタ社製可視光照射器(α−LIght)を用いて3分間光照射することによって得られた直径3mm、厚さ3mmの円筒形硬化物を、水中(37℃)に24時間浸漬後、島津製作所製オートグラフ(AGS−2000G)を用いて、室温にてcross head speed 2.0mm/minで測定した。
【0069】
(ii)曲げ強度および曲げ破壊エネルギー
(i)と同様の方法によって得られた3mm×3mm×30mmの四角柱状硬化物を耐水研磨紙600番で研磨し、水中(37℃)に24時間浸漬後、島津製作所製オートグラフ(AGS−2000G)を用い、支点間距離20mm、cross head speed 2.0mm/minで室温にて3点曲げ強度試験法により測定した。
【0070】
(iii)衝撃強度
(i)と同様の方法によって得られた縦80mm、横10mm、厚さ3mmの直方体型硬化物(ノッチ無し)を、シャルピー衝撃試験機を用いたフラットワイズ法にて測定した。
【0071】
(iv)耐磨耗性
Kulzer社製可視光照射器(Dentacolor)を用いて90秒間光照射することによって得られた直径1.5mm、厚さ1mmの円筒形硬化物を耐水研磨紙2000番で研磨した後、ポリメチルメタクリレート懸濁液中にて、平坦なポリアセタール製スタイラスが試験片に対して回転および一定垂直荷重が加わる三体磨耗試験法により、20万回衝突繰り返し後の試験片の最大粗さ(μm)を小坂研究所製三次元表面粗さ測定機(SE−30K)を使用し評価した。
【0072】
(v)吸水量
(i)と同様の方法によって得られた直径15mm、厚さ0.5mmの円板状硬化物を耐水研磨紙220番で研磨し恒量を求めた。次に水中(37℃)に一週間浸漬し吸水飽和させた後、秤量し恒量を求めた。吸水量は以下の式に従って算出した。
Wsp=(m2−m1)/v
Wsp:吸水量(μg/mm3)
m1:水に浸す前の試験片の重量(μg)
m2:7日間水に浸した試験片の重量(μg)
v:試験片の体積(mm3)
【0073】
(vi)複合充填材の粉体粒子径
粉砕後に篩(280メッシュ)を通過させた複合充填材の粉体粒子径を、堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置(LA−910)を用いて、5重量%ヘキサメタリン酸水溶液/水=5mL/295mL中で10mgの複合充填材を10分間超音波処理した後、粉体の平均粒子径を測定した。なお、実施例中に示した平均粒子径の値は特別な記載がない限り、LA−910で測定した値である。
【0074】
(vii)複合充填材の黄色度
篩(280メッシュ)を通過させた複合充填材を窒素気流中140℃の温度下で8時間、70cmHgに減圧し熱処理した複合充填材の熱処理前後の色調変化をMINOLTA製分光測色計(CM−3500d)を用いて背景色黒での黄色度(YI)を求めることにより評価した。
黄色度(YI)=100(1.28X−1.06Z)/Y
(X、Y、Z:三刺激値)
【0075】
複合充填材の作製方法
上記式[I]で示される(メタ)アクリレート単量体としてトリメチロールプロパントリメタクリレート(TMPT:新中村化学社製)、もしくは上記式[II]で示される(メタ)アクリレート単量体としてジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート(D−TMP)と、上記式[III]で示されるポリエステルアクリレート化合物としてHX−220、HX−620(日本化薬社製)、もしくは上記式[V]で示されるポリエステルジメタクリレート化合物としてPE−450(新中村化学社製)とをそれぞれ混合した。この混合物に平均粒子径16nmの疎水性微粒子シリカ(R972:日本アエロジル社製)を加えてロールを用いて混練した。この後、ベンゾイルパーオキサイドを添加し、再度混練した。得られたペーストをロールから外し、金型温度120℃の加熱圧縮成型機にて5〜10MPaの圧力下で10分間加熱重合した。この硬化物をITOH製遊星ボールミルLA−PO1(材質:アルミナ)にて30分〜1時間乾式粉砕し、複合充填材を作製した。
【0076】
重合性組成物の硬化物の物性
実施例1
ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート(D−TMP)およびHX−220を33/67重量%比で混合した単量体混合物100重量部に対し、カンファーキノンを0.3重量部、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2−n−ブトキシエチルを0.3重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.06重量部、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾ−ルを0.084重量部配合し、重合性組成物とした。この重合性組成物をα−Lightを用いて両面5分間光照射することによって得られた硬化物の物性試験を行った結果を表1に示す。
【0077】
比較例1
TMPT/UDMA=90/10重量%比で混合した単量体混合物を用いた以外は実施例1と同様に配合した重合性組成物の硬化物の物性試験を行った。結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【0079】
歯科用重合性組成物の硬化物の物性
実施例2
前記の方法により、重合性単量体としてTMPTおよびHX−220をTMPT/HX−220=27.8g/22.2gの混合物50gに、R972を40g、ベンゾイルパーオキサイドを0.25g添加して混練した。このペーストを、加熱重合し得られた硬化物を粉砕したのち、280メッシュ篩を通過させた平均粒子径31μmの複合充填材TMPT/HX−220フィラー(以下TH2−Aフィラーと云う)を得た。
【0080】
次にジ(メタクリロキシエチル)トリメチルヘキサメチレンジウレタン(UDMA)およびトリエチレングリコールジメタクリレート(NKエステル3 G:新中村化学社製)を75/25重量%比で混合した重合性単量体100重量部に対し、カンファーキノンを0.3重量部、p−N,N−ジメチルアミノ安息香酸2,N−ブトキシエチルを0.3重量部、ハイドロキノンモノメチルエーテルを0.06重量部、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾ−ルを0.084重量部を配合した光重合組成物6.0gに、上記TH2−Aフィラー6.3gおよびR972:2.70gを配合し、歯科用光重合性組成物とした。これを各物性試験用のテフロン型に入れて試験用硬化物を作製した後、各物性を測定した。結果を表2に示す。
【0081】
実施例3
TMPTおよびHX−220をTMPT/HX−220=19.2g/30.8gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径33μmの複合充填材TMPT/HX−220フィラー(以下TH2−Bフィラー)を得た。このTH2−Bフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0082】
実施例4
TMPTおよびHX−220をTMPT/HX−220=11.9g/38.1gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径36μmの複合充填材TMPT/HX−220フィラー(以下TH2−Cフィラーと云う)を得た。このTH2−Cフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、試験用硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0083】
実施例5
TMPTおよびHX−620をTMPT/HX−620=28.5g/21.5gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径30μmの複合充填材TMPT/HX−620フィラー(以下TH6−Aフィラーと云う)を得た。このTH6−Aフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、試験用硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0084】
実施例6
TMPTおよびHX−620をTMPT/HX−620=23.4g/26.6gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径32μmの複合充填材TMPT/HX−620フィラー(以下TH6−Bフィラーと云う)を得た。このTH6−Bフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0085】
実施例7
D−TMPおよびHX−220をD−TMP/HX−220=33.0g/17.0gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径36μmの複合充填材D−TMP/HX−220フィラー(以下DH2−Aフィラーと云う)を得た。このDH2−Aフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0086】
実施例8
D−TMPおよびHX−220をD−TMP/HX−220=24.6g/25.4gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径33μmの複合充填材D−TMP/HX−220フィラー(以下DH2−Bフィラーと云う)を得た。このDH2−Aフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、試験用硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0087】
実施例9
D−TMPおよびHX−220をD−TMP/HX−220=16.3g/33.7gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径34μmの複合充填材D−TMP/HX−220フィラー(以下DH2−Cフィラーと云う)を得た。このDH2−Cフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、試験用硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0088】
実施例10
D−TMPおよびHX−220をD−TMP/HX−220=12.2g/37.8gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径37μmの複合充填材D−TMP/HX−220フィラー(以下DH2−Dフィラーと云う)を得た。このDH2−Dフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0089】
実施例11
D−TMPおよびHX−220をD−TMP/HX−220=9.7g/40.3gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径30μmの複合充填材D−TMP/HX−220フィラー(以下DH2−Eフィラーと云う)を得た。このDH2−Eフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0090】
実施例12
D−TMPおよびHX−220をD−TMP/HX−220=8.1g/41.9gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径35μmの複合充填材D−TMP/HX−220フィラー(以下DH2−Fフィラーと云う)を得た。このDH2−Fフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0091】
実施例13
D−TMPおよびHX−620をD−TMP/HX−620=36.6g/13.4gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径26μmの複合充填材D−TMP/HX−620フィラー(以下DH6−Aフィラーと云う)を得た。このDH6−Aフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0092】
実施例14
D−TMPおよびHX−620をD−TMP/HX−620=33.5g/16.5gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径26μmの複合充填材D−TMP/HX−620フィラー(以下DH6−Bフィラーと云う)を得た。このDH6−Bフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0093】
実施例15
D−TMPおよびHX−620をD−TMP/HX−620=28.8g/21.2gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径29μmの複合充填材D−TMP/HX−620フィラー(以下DH6−Cフィラーと云う)を得た。このDH6−Cフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0094】
実施例16
D−TMPおよびHX−620をD−TMP/HX−620=20.2g/29.8gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径35μmの複合充填材D−TMP/HX−620フィラー(以下DH6−Dフィラーと云う)を得た。このDH6−Dフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0095】
実施例17
D−TMPおよびHX−620をD−TMP/HX−620=12.7g/37.3gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径25μmの複合充填材D−TMP/HX−620フィラー(以下DH6−Fフィラーと云う)を得た。このDH6−Fフィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0096】
実施例18
D−TMPおよびPE−450をD−TMP/PE−450=9.3g/40.7gにて混合したものから、実施例2と同様の方法で平均粒子径31μmの複合充填材D−TMP/PE−450フィラーを得た。このD−TMP/PE−450フィラーを含有させた歯科用光重合性組成物を実施例2と同様の組成で調製し、硬化物の物性試験を行った。結果を表2に示す。
【0097】
比較例2
比較のために本発明による実施例の複合充填材にかわり、TMPTおよびUDMAを45g/5gにて混合し、実施例3と同様の方法で作製したものを平均粒子径29μmの複合充填材TMPT/UDMAフィラーとした。このTMPT/UDMAフィラー6.30gとR972:2.70gを実施例2の光重合組成物6.0gに配合し歯科用光重合性組成物とした。この組成物の硬化物の物性評価を実施例2と同様に行った。結果を表2に示す。
【0098】
比較例3
比較例2と同様の方法で、6官能のポリエチレン性不飽和カルバモイルイソシアヌレ−ト(U−6H:新中村化学社製)および3Gを35g/15gで混合したものを使用して平均粒子径26μmの複合充填材U−6H/3Gフィラーを作製した。このU−6H/3Gフィラー6.30gとR972:2.70gを実施例2の光重合組成物6.0gに配合し歯科用光重合性組成物とし、上記と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0099】
比較例4
比較例2と同様の方法で、ヘキサ(メタクリロキシエチレンジオキシ)シクロトリホスファゼン(PPZ:共栄社化学社製)および3Gを35g/15gで混合したものを使用し平均粒子径22μmの複合充填材PPZ/3Gフィラーを作製した。このPPZ/3Gフィラー6.30gとR972:2.70gを実施例2の光重合組成物6.0gに配合し歯科用光重合性組成物とし、上記と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0100】
比較例5
比較例2と同様の方法で、ウレタンテトラアクリレートであるU−4HA(新中村化学社製)および3Gを35g/15gで混合したものを使用し平均粒子径27μmの複合充填材U−4HA/3Gフィラーを作製した。このU−4HA/3Gフィラー6.30gとR972:2.70gを実施例2の光重合組成物6.0gに配合し歯科用光重合性組成物とし、上記と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0101】
比較例6
比較例2と同様の方法で、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタン(UA−306H:共栄社化学社製)および3Gを35g/15gで混合したものを使用して平均粒子径26μmの複合充填材UA−306H/3Gフィラーを作製した。このU−6H/3Gフィラー6.30gとR972:2.70gを実施例2の光重合組成物6.0gに配合し歯科用光重合性組成物とし、上記と同様の試験を行った。結果を表2に示す。
【0102】
【表2】
【0103】
【発明の効果】
本発明の重合性組成物および本発明の複合充填材を配合した歯科用重合性組成物は、機械的強度に優れ、色調の良好な硬化物が得られる。これにより、コンポジットレジン等の歯冠修復材料ばかりでなく、硬質レジン、コンポジットインレー等の歯科用修復物として用いた場合にも優れた効果を発揮することが可能である。
Claims (13)
- (A)分子中に3個以上のエチレン性不飽和基を有する(メタ)アクリレート単量体100重量部、(B)分子中にエチレン性不飽和基を有するポリエステルジ(メタ)アクリレート化合物5〜900重量部、および(C)重合開始剤0.01〜5重量部を含有する重合性組成物の重合硬化物を粉砕して得られた歯科用複合充填材。
- 重合性組成物が(D)無機充填材10〜900重量部をさらに含有する請求項1に記載の歯科用複合充填材。
- 前記(A)成分が下記式[I]で表わされる化合物および下記式[II]で表わされる化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1または2に記載の歯科用複合充填材。
あるいは式中、R1、R2、R3およびR4はそれぞれ独立して
あるいは、式中、R6、R7、R10およびR11はそれぞれ独立して
- 黄色度が15以下である請求項2記載の歯科用複合充填材。
- 前記(A)成分100重量部に対する配合量が、(B)成分5〜900重量部、(C)成分重合開始剤0.01〜5重量部および(D)成分10〜900重量部である請求項2に記載の歯科用複合充填材。
- 平均粒子径が1〜100μmである請求項1〜8のいずれかに記載の歯科用複合充填材。
- (E)重合性単量体、(C)重合開始剤および請求項1〜9のいずれかに記載の歯科用複合充填材を含む歯科用重合性組成物。
- (E)重合性単量体100重量部、(C)重合開始剤0.01〜10重量部、および請求項1〜9のいずれかに記載された歯科用複合充填材40〜600重量部を含む請求項10に記載の歯科用重合性組成物。
- (E)重合性単量体、(C)重合開始剤請求項1〜9のいずれかに記載された歯科用複合充填材、および(D)無機充填材を含む歯科用重合性組成物。
- (E)重合性単量体100重量部、(C)重合開始剤0.01〜10重量部、請求項1〜9のいずれかに記載された歯科用複合充填材40〜500重量部および(D)無機充填材5〜300重量部を含む請求項12に記載の歯科用重合性組成物。
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