JP4895443B2 - 歯科用硬化性組成物 - Google Patents
歯科用硬化性組成物Info
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、歯科用修復材として好適に使用できる歯科用硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、優れた操作性を有し、重合時の重合収縮が小さく、さらに硬化体の強度、表面滑沢性、耐磨耗性、及び天然歯に対する色調適合性が優れた歯科用硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科用複合修復材は、天然歯牙色に近い色調を付与できることや操作が容易なことから、治療した歯牙を修復するための材料として急速に普及し、近年においては、前歯の治療の大部分が複合修復材料によって行われているばかりでなく、高い咬合圧のかかる臼歯部等の修復にも使用されるようになってきている。
【0003】
歯科用複合修復材は、一般に重合性単量体(モノマー)、フィラー、及び重合触媒から主に構成されるが、硬化前ペーストの操作性、並びに硬化体の審美性及び機械的物性等は、使用するフィラーの種類、形状、粒子径、及び充填量等によって大きく左右される。
【0004】
例えば、従来、粒径が数μmを超える比較的大きな無機フィラーが配合された歯科用複合修復材が知られていたが、該歯科用複合修復材は、硬化体の機械的強度が高いという特徴を持つものの、研磨性や耐摩耗性が悪く、臨床的に天然歯と同様な艶のある仕上がり面を得られないといった問題があった。
【0005】
この問題点を解決するために、平均粒径が1μm以下の無機粒子、特にその形状が丸みを帯びた無機粒子及び/又はその凝集体からなる無機フィラーを用いることが提案され、表面滑沢性は大きく改善されている。しかしながら、このような微小フィラーを用いた歯科用複合修復材は、微小フィラーの比表面積が非常に大きいために硬化前ペーストの粘稠度が高くなってしまい、ペーストの粘稠度を歯科医が口腔内で使用可能なレベルに調整するためにはモノマーの配合量を多くせざるを得ず、操作性の低下や重合に伴う収縮量の増加、さらには機械的強度の低下等を招いてしまうといった問題があった。
【0006】
これらの問題を解決する方法として、例えば特開昭54−107187号に開示されているような有機無機複合フィラーを用いる方法が提案されている。この有機無機複合フィラーは、微細な無機粉体と重合性単量体とを予め混合して重合硬化させた後に、数十〜数百μm程度の粒径に粉砕して得られるものであり、該有機無機複合フィラーを使用することにより、微細フィラーを用いたときの特徴である優れた表面滑沢性や耐磨耗性を実現しながら、上記したような操作性や重合収縮の問題をある程度解決することが可能となっている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の有機無機複合フィラーを用いた歯科用複合修復材料においては、修復後の色調が天然歯の色調と必ずしも適合しているとは言えず、審美性の点で今一つ満足の行くものではなかった。
【0008】
即ち、従来の材料では、患者の歯の色調や透明性にあったものを選択したとしても、実際の修復処置を行った後には、歯の色調や質感を正確に表現できなかったり、充填物と天然歯との境界が明確になって強い違和感を有するケースが発生する場合があった。
また、上記の有機無機複合フィラーを用いた歯科用複合修復材料においても、操作性及び機械的強度の点で必ずしも十分なものではなかった。
【0009】
そこで、本発明は、操作性に優れ、重合収縮が小さく、高い曲げ強度を有し、表面滑沢性や耐磨耗性に優れ、且つ修復後において天然歯に対する色調適合性が非常に良好である歯科用複合修復材となり得る歯科用重合硬化性組成物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
一般に、歯科用複合修復材のもつ光学的特性の中で、審美性に大きな影響を与えているものの一つに光拡散性があるといわれている。この光拡散性とは、歯科用複合修復材のような半透明材料に光が入射した場合に光が材料内部の充填物によって屈折反射されて様々な向へ光が拡散される性質であり、観察される反射拡散光は半透明材料の色調やその背景色を反映した色調を有することになるため、光拡散性が高いほど修復物の背景色や修復物と天然歯との輪郭をぼかす効果が高く、天然歯との色調適合性が高くなると考えられる。なお、上記光拡散性の指標の一つとして、後述する拡散度(D)が提案されており、該拡散度が高いほど光拡散性は高いといえる。
【0011】
そこで、本発明者等は上記課題を解決するために、有機無機複合フィラーを含む硬化性組成物について、その成分の拡散度に与える影響について種々検討を行なった。その結果、有機無機複合フィラーの粒子径、及び有機無機複合フィラーと硬化後に該フィラーのマトリックスとなる部分との屈折率差が拡散度に大きな影響を与え、これらを制御することにより硬化体の拡散度を調節できるという知見を得た。そして、該知見に基づき更に検討を行なった結果、有機無機複合フィラーの平均粒子径を特定の範囲とし、更に上記屈折率差を特定値以上にした場合には、高い拡散度、更には優れた操作性及び機械的強度といった、前記の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
即ち、本発明は、有機無機複合フィラー及び重合性単量体を含有してなる歯科用硬化性組成物であって、該有機無機複合フィラーが下記(1)〜(3)に示す条件を満足することを特徴とする歯科用硬化性組成物である。
(1)重合性単量体及び平均粒径が0.05〜0.7μmである球状若しくは略球状の無機粒子及び/又は該無機粒の凝集体とを含み、上記両者の合計質量を基準として、球状若しくは略球状の無機粒子及び/又は該無機粒の凝集体の含有量が60〜90質量%である重合硬化性組成物の硬化体を粉砕して得られるものであること。
(2) 平均粒径が1〜20μmであること。
(3) その屈折率をnFとし、当該歯科用硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体中の該有機無機複合フィラーが分散するマトリックス部分の屈折率をnMとしたときに、nF−nMの絶対値が0.015〜0.03であること。
【0018】
本発明は理論に拘束されるものではないが、本発明においては、有機無機複合フィラーを使用することにより、従来の歯科用硬化性組成物と同様に重合時の重合収縮が小さくなり、硬化体の表面滑沢性や耐磨耗性が良好となるばかりでなく、該複合フィラーの平均粒径が可視光線の波長(0.4〜0.7μm)より大きいために光の屈折反射が有効に起こり、さらに該複合フィラーとマトリックスの屈折率差が大きいために硬化体中に入射した光が複合フィラーとマトリックスとの界面で屈折反射が起こし易くなることと相俟って、拡散度が大きくなり天然歯との色調適合性が向上するものと思われる。
【0019】
前記本発明の歯科用硬化性組成物において、有機無機複合フィラーが、重合性単量体及び平均粒子径が0.001〜1μmである球状若しくは略球状の無機粒子及び/又は該無機粒子の凝集体とを含む重合硬化性組成物の硬化体を粉砕して得られる有機無機―複合フィラーであるものは、特に高い表面滑沢性や耐磨耗性を有しており好ましい。さらに、上記無機粒子及び/又は該無機粒子の凝集体が、加水分解可能な有機ケイ素化合物、及び該加水分解可能な有機ケイ素化合物と結合可能な周期律表第I、II、III、及び第IV族の金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の有機化合物を反応させて得られる無機酸化物を主な構成成分とする無機粉体であるものは、目的の拡散度を得るための屈折率の調整が容易であり、更にX線造影性の付与が容易に行なえるといった特徴を有する。
【0020】
また、平均粒径1μm以下である球状若しくは略球状の無機粒子及び/又は該無機粒子の凝集体からなる無機フィラーを更に含有するものは、硬化性ペーストの充填操作性がより良好であり、硬化体の強度が更に高いという特徴を有する。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の歯科用硬化性組成物は、有機無機複合フィラー(以下、単に複合フィラーともいう。)、及び重合性単量体を含有してなる。フィラーとして有機無機複合フィラーを使用することにより重合収縮を小さくし、硬化体の表面滑沢性や耐磨耗性を良好にすることができる。ここで、複合フィラーとは、ポリマーと無機粒子との複合フィラーを意味し、例えば重合性単量体及び無機粉体とを含む重合硬化性組成物を硬化させて得た硬化体を粉砕することにより製造することができる。
【0022】
本発明の歯科用硬化性組成物で使用する複合フィラーは、平均粒径が1〜20μmであり、その屈折率が(nF)が、本発明の歯科用硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体中複合フィラーが分散するマトリックス部分の屈折率をnMとした時に、nF−nMの絶対値が0.015〜0.03となるものである。このような複合フィラーの製法については、後述する。
【0023】
本発明の歯科用硬化性組成物における複合フィラーの含有量は特に限定されないが、硬化体の天然歯との色調適合性や強度の観点から、歯科用硬化性組成物全体の質量基準で、30〜90質量%、特に40〜70重量%の範囲にあるのが好適である。
【0024】
また、本発明の歯科用硬化性組成物で使用する重合性単量体としては、歯科用複合材料として使用可能な公知の重合性単量体が何ら制限なく使用可能である。好適に使用できる重合性単量体を例示すれば、(メタ)アクリロイル基を有する重合可能なモノマーが挙げられ、このような重合性単量体の具体例としては下記A〜Dに示される各モノマーが挙げられる。
【0025】
A 単官能性ビニルモノマー
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート等のメタクリレート、およびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;あるいはアクリル酸、メタクリル酸、p−メタクリロイルオキシ安息香酸、N−2−ヒドロキシ−3−メタクリロイルオキシプロピル−N−フェニルグリシン、4−メタクリロイルオキシエチルトリメリット酸、及びその無水物、6−メタクリロイルオキシヘキサメチレンマロン酸、10−メタクリロイルオキシデカメチレンマロン酸、2−メタクリロイルオキシエチルジハイドロジェンフォスフェート、10−メタクリロイルオキシデカメチレンジハイドロジェンフォスフェート、2−ヒドロキシエチルハイドロジェンフェニルフォスフォネート等。
【0026】
B 二官能性ビニルモノマー
B−1 芳香族化合物系のもの
2,2−ビス(メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス〔4−(3−メタクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロポキシフェニル〕プロパン(以下、bis−GMAと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(以下、D−2.6Eと略記する)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン)、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシテトラエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシペンタエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジエトキシフェニル)−2(4−メタクリロイルオキシジトリエトキシフェニル)プロパン、2(4−メタクリロイルオキシジプロポキシフェニル)−2−(4−メタクリロイルオキシトリエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシプロポキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシイソプロポキシフェニル)プロパンおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ジイソシアネートメチルベンゼン、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのような芳香族基を有するジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト等。
【0027】
B−2 脂肪族化合物系のもの
エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート(以下、3Gと略記する)、ブチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、プロピレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート;2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のメタクリレートあるいはこれらのメタクリレートに対応するアクリレートのような−OH基を有するビニルモノマーと、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)のようなジイソシアネート化合物との付加から得られるジアダクト;無水アクリル酸、無水メタクリル酸、1,2−ビス(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)エチル、ジ(2−メタクリロイルオキシプロピル)フォスフェート等。
【0028】
C 三官能性ビニルモノマー
トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、トリメチロールメタントリメタクリレート等のメタクリレートおよびこれらのメタクリレートに対応するアクリレート等。
【0029】
D 四官能性ビニルモノマー
ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート及びジイソシアネートメチルベンゼン、ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、イソフォロンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、メチレンビス(4−シクロヘキシルイソシアネート)、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレン−2,4−ジイソシアネートのようなジイソシアネート化合物とグリシドールジメタクリレートとの付加から得られるジアダクト等。
【0030】
これら重合性単量体は、単独で使用しても、異なる種類のものを混合して用いてもよい。
【0031】
本発明の歯科用硬化性組成物における重合性単量体の含有量は特に限定されないが、硬化性ペーストの充填操作性及び硬化体の強度の観点から、歯科用硬化性組成物全体の質量から前記複合フィラーの質量を除いた残りの質量基準で、15〜99質量%、特に20〜60重量%の範囲にあるのが好適である。
【0032】
また、本発明の歯科用硬化性組成物には、ペーストの充填操作性や硬化体の強度の向上、並びに屈折率の調整等を図る目的で、平均粒径1μm以下の無機粒子及び/又は該無機粒子の凝集体からなる無機フィラー(以下、第三成分微細フィラーともいう。)を配合加するのが好適である。
【0033】
該第三成分微細フィラーの形状は特に限定されるものではないが、高い表面滑沢性や耐磨耗性を得るために、形状が球状または略球状の無機粒子及び/又はその凝集体を用いる事が好適である。なお、ここでいう略球状とは、走査型電子顕微鏡(以下、SEMと略す)でフィラーの写真を撮り、その単位視野内に観察される粒子が丸みを帯びており、その最大径に直交する方向の粒子径をその最大径で除した平均均斉度が0.6以上であることを意味する。
【0034】
また、第三成分微細フィラーの粒径は、高い表面滑沢性や耐摩耗性、並びに高い機械的強度を得るためには、平均粒径が0.001〜0.7μm、特に0.05〜0.7μmであることが好適である。また、凝集体を一粒子として数えた第三成分微細フィラーの全体としての平均粒子径は、平均粒径が0.001〜100μm、特に0.05〜50μmの範囲であることが好適である。なお、該無機フィラーにおいては、粒子径の大きな凝集体を含んでいても該凝集体は平均粒径1μm以下の無機粒子の凝集体であれば、粒子径の大きな独立粒子を添加した場合と異なり、重合硬化後の滑沢性及び耐摩耗性は低下しない。
【0035】
なお、これら第三成分微細フィラーにおいては、修復後の硬化体の表面滑沢性及び耐摩耗性の観点から、前記無機粒子(一次粒子)はその粒子径の変動係数が0.3以内にあるような単分散性に優れたものであるのが好ましく、更に500〜1000℃の温度で焼成する等して表面のシラノール基を減らし該無機フィラー自体の表面安定性を保持するのが好適である。これら無機フィラーは粒度分布や材質が異なるものを複数種類混合して用いることもできる。
【0036】
第三成分微細フィラーの材質は特に限定されず、非晶質シリカ、シリカジルコニア、シリカチタニア、シリカチタニア酸化バリウム、石英、アルミナ等の無機酸化物等の無機化合物が使用できる。無機フィラーの材質としては、X線造影性を有し、より耐摩耗性に優れた硬化体が得られることから、シリカとジルコニアを主な構成成分とする複合酸化物が特に好適に用いられる。
【0037】
これらの無機フィラーの製造方法は特に限定されるものではないが、形状が球状または略球状であって分布が単分散な微細粒子を工業的に製造する上で有利であり、さらには屈折率を調整したり、X線造影性を付与する事が容易である事から、いわゆるゾルゲル法によって製造するのが好適である。即ち、加水分解可能な有機ケイ素化合物、あるいはこれに更に加水分解可能な周期律表第I、II、III、及び第IV族の金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の有機化合物を加えた混合溶液を、これらの有機化合物は溶解するが反応生成物は実質的に溶解しないアルカリ性溶媒中に添加し、加水分解を行い反応生成物を析出させ、析出物を乾燥する方法が好適に採用される。
【0038】
また、この様な方法で得られた無機酸化物は、表面安定性を保持するため乾燥後500〜1000℃の温度で焼成されていてもよい。焼成に際しては、無機酸化物の一部が凝集する場合もあるため、ジェットミル、振動ボールミル等を用いることにより凝集粒子を解きほぐし、粒度を調整してから使用するのが好ましい。このような操作を行なっても凝集粒子を完全に凝集前の状態にするのは困難であり、上記のような熱処理を行なった場合には、平均粒径1μm以下の無機粒子とその凝集体とが混合したフィラーが得られる。
【0039】
該第三成分微細フィラーは、重合性単量体への分散性を改良する目的でその表面を疎水化処理してから用いることが好ましい。かかる疎水化処理は特に限定されるものではなく、公知の方法が制限なく採用される。代表的な疎水化処理方法を例示すれば、無機フィラー及び疎水化剤としてシランカップリング剤、例えばγ−メタクリロイルオキシアルキルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等の有機珪素化合物を、適当な溶媒中でボールミル等を用いて分散混合させ、エバポレーターやスプレードライで乾燥した後、50〜150℃に加熱する方法や、無機フィラー及び上記疎水化剤をアルコール等の溶剤中で数時間程度加熱還留する方法、チタネート系カップリング剤を用いる方法、粒子表面に前記重合性単量体をグラフト重合させる方法等が挙げられる。この時使用される上記疎水化剤の量に特に制限はなく、得られる複合修復材の機械的物性等を予め実験で確認したうえで最適値を決定すればよいが、好適な範囲を例示すれば、無機フィラー100重量部に対して、上記疎水化剤1〜30重量部の範囲である。
【0040】
該第三成分微細フィラーの添加量は特に限定されないが、上記目的の観点から、歯科用硬化性組成物全体の質量から前記複合フィラーの質量を除いた残りの質量基準で、1〜85質量%、特に40〜80重量%の範囲にあるのが好適である。
【0041】
本発明の歯科用硬化性組成物は、重合開始剤(重合触媒)を用いてその成分である前記重合性単量体を重合させることにより硬化される。したがって、本発明の歯科用硬化性組成物は重合開始剤を含有するのが好適である。
【0042】
重合開始剤としては、公知の重合開始剤が特に制限なく用いられる。一般に、重合開始剤は重合性単量体の重合手段によって異なる種類のものが使用される。重合手段には、紫外線、可視光線等の光エネルギーによるもの、過酸化物と促進剤との反応によるもの、加熱によるもの等があり、採用する重合手段に応じて下記に示す各種重合開始剤の中から適した重合開始剤を適宜選定すればよい。
【0043】
例えば、光エネルギーによる反応(以下、光重合という)に用いる重合開始剤としては、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインアルキルエーテル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタールなどのベンジルケタール類、ベンゾフェノン、4,4'−ジメチルベンゾフェノン、4−メタクリロキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン類、ジアセチル、2,3−ペンタジオンベンジル、カンファーキノン、9,10−フェナントラキノン、9,10−アントラキノンなどのα-ジケトン類、2,4−ジエトキシチオキサンソン、2−クロロチオキサンソン、メチルチオキサンソン等のチオキサンソン化合物、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−2,5−ジメチルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−4−プロピルフェニルホスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジクロロベンゾイル)−1−ナフチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイドなどのビスアシルホスフィンオキサイド類等が使用できる。
【0044】
なお、光重合開始剤には、しばしば還元剤が添加されるが、その例としては、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、N−メチルジエタノールアミンなどの第3級アミン類、ラウリルアルデヒド、ジメチルアミノベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどのアルデヒド類、2−メルカプトベンゾオキサゾール、1−デカンチオール、チオサルチル酸、チオ安息香酸などの含イオウ化合物などを挙げることができる。
【0045】
また、熱重合に使用できる重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、p−クロロベンゾイルパーオキサイド、tert−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、tert−ブチルパーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート等の過酸化物、アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物、トリブチルボラン、トリブチルボラン部分酸化物、テトラフェニルホウ酸ナトリウム、テトラキス(p−フロルオロフェニル)ホウ酸ナトリウム、テトラフェニルホウ酸トリエタノールアミン塩等のホウ素化合物、5−ブチルバルビツール酸、1−ベンジル−5−フェニルバルビツール酸等のバルビツール酸類、ベンゼンスルフィン酸ナトリウム、p−トルエンスルフィン酸ナトリウム等のスルフィン酸塩類等が挙げられる。
【0046】
なお、一般に歯科用硬化性組成物においては、使用時の操作の簡便さの理由から、硬化(重合)手段として光重合が採用されることが多く、本発明の歯科用硬化性組成物においても重合開始剤としては光重合開始剤を用いるのが好適である。前記した光重合開始剤の中でも特に好適な光重合開始剤を具体的に例示すると、カンファーキノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)―フェニルホスフィンオキサイド、及びビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)―2,4,4−トリメチルフェニルホスフィンオキサイドが挙げられる。これら重合開始剤は単独で用いることもあるが、2種以上を混合して使用してもよい。重合開始剤の添加量は目的に応じて選択すればよいが、重合性単量体100重量部に対して通常0.01〜30重量部の割合であり、より好ましくは0.1〜5重量部の割合で使用される。
【0047】
本発明の歯科用組成物においては、その効果を著しく阻害しない範囲で、公知の添加剤を配合することができる。かかる添加剤としては、重合禁止剤、顔料、紫外線吸収剤等が挙げられる。また、本発明の歯科用硬化性組成物においては、硬化体の更なる強度向上を図る目的で、表面滑沢性や耐摩耗性が低下しない範囲で、更に平均粒子径が1μmより大きい無機フィラーを加えてもよい。
【0048】
本発明の歯科用硬化性組成物により得られる硬化体は、拡散度(D)が0.01以上になる。ここで拡散度とは、硬化体に光を照射したときの光拡散性の指標であり、下記式のDとして定義されるものである。
【0049】
D={(I20/cos20゜)+(I70/cos70゜)}/(2×I0)
但し、上記式中のIo、I20、及びI70は、歯科用硬化性組成物を硬化させて作成した厚さ0.3mmの板状試料に、該試料の表面に対して垂直に光を照射した場合において、光の入射方向に対してそれぞれ、0゜、20゜、及び70゜の方向に透過した光強度を意味する。これら光強度(光度)の測定は、変角光度計を用いて簡単に行なうことができる。また、三角関数(cos)は光度を測定した方向の余弦を意味し、角度の単位は度(゜)である。
【0050】
上記拡散度が0.01以上となることにより、本発明の歯科用硬化性組成物を用いて、天然歯に対する色調適合性の高い修復、即ち審美性の高い修復を行なうことが可能となる。より高い色調適合性を得るためには、拡散度は0.05以上であるのが好適であり、0.08以上であるのが更に好適である。拡散度は、あまり高すぎても、歯科用修復材料として必要な透明性を十分に有することが困難となるため、0.5以下、より好適には0.3以下であるのが好ましい。
【0052】
本発明では、重合性単量体組成物(マトリックス原料組成物ともいう。)、及び平均粒径が1〜20μmである複合フィラーを混合して歯科用硬化性組成物を製造するに際し、該複合フィラーの屈折率(nF)と該モノマー組成物を硬化させて得られる硬化体の屈折率との差の絶対値が0.015〜0.03となるように調整する。
【0053】
平均粒子径が1μm未満の複合フィラーを用いた場合には、拡散度が0.01以上となる歯科用硬化性組成物を得るのが困難である。また、平均粒子径が20μmより大きい複合フィラーを用いた場合、パサツキやベタツキといった操作性の問題があるばかりでなく、機械的強度の低下が起こるため好ましくない。硬化体の機械的強度が高く、硬化性ペーストの操作性に優れ、より高い拡散度を有する歯科用修復材料を得る事が出来るといった観点から、2〜18μm、より好適には5〜15μmの平均粒子径の複合フィラーを用いるのが好ましい。
【0054】
本発明の歯科用硬化性組成物に使用する複合フィラーは、その平均粒径が1〜20μmであり、その屈折率が上記の条件を満足するものである他に、高い表面滑沢性や耐磨耗性、並びに高い機械的強度を得るために、重合性単量体(以下、複合フィラー原料モノマーともいう。)及び平均粒子径が0.05〜0.7μmである球状若しくは略球状の無機粒子及び/又は該無機粒子の凝集体からなる無機粉体(複合フィラー原料無機フィラーともいう。)とを含む重合硬化性組成物(複合フィラー原料組成物ともいう。)の硬化体を粉砕して得たものを用いる。
【0055】
このとき複合フィラー原料無機フィラーとしては、前記第三成分微細フィラーと同様のものが使用できる。即ち、一次粒子径の変動係数が0.3以内にあるような単分散性に優れたものであり、無機粉体の全体としての平均粒子径が0.001〜20μm、特に0.05〜5μmの範囲である無機フィラーが好適に使用できる。なお、上記無機粒子は、X線造影性を有し、より耐摩耗性に優れた硬化体が得られることから、シリカとジルコニアを主な構成成分とする複合酸化物であるのが好適である。
【0056】
なお、これら複合フィラー原料無機フィラーは粒度分布や材質が異なるものを複数種類混合して用いることもできる。また、該無機フィラーについても、表面を前記したような方法で疎水化処理を施すのが好適である。
【0057】
また、複合フィラー原料モノマーも特に限定されず、本発明の硬化性組成物の成分である重合性単量体として前記したものと同じ重合性単量が単独で又は複数種組合わせて使用できる。複合フィラー原料組成物における複合フィラー原料無機フィラーと複合フィラー原料モノマーとの量比は、得られる複合フィラーの強度や屈折率の観点から、複合フィラー原料無機フィラーと複合フィラー原料モノマーの合計質量を基準として複合フィラー原料無機フィラーが60〜90質量%である。また、歯科用硬化性組成物の硬化体の透明性を大きく低下させないために、複合フィラー原料無機フィラーの屈折率と複合フィラー原料モノマーの屈折率との差が0.1以下、より好ましくは0.03以下となるよう設定するのが好ましい。
【0058】
また、複合フィラー原料組成物には、上記複合フィラー原料無機フィラー及び複合フィラー原料モノマーの他に、重合禁止剤、紫外線吸収剤、顔料等が配合されていてもよい。
【0059】
複合フィラー原料組成物に光重合触媒及び/又は化学重合触媒を添加して重合硬化させた後、得られた硬化体を粉砕し、分級する等して所望の平均粒子径の複合フィラーを得ることができる。粉砕方法としては、ボールミルや振動ミル、ジェットミル等が好適に使用でき、分級は、フルイ、エアー分級機、あるいは水ひ分級等により行なうことができる。
【0060】
このようにして得られた複合フィラーは、マトリックス原料組成物と混合するに先立ち、洗浄、脱色、及び表面処理を行ってもよい。脱色は一般的には、適切な溶媒に有機無機複合フィラーを分散させ、過酸化物を溶解撹拌、場合によっては加熱することで行われ、過酸化物としては公知の過酸化物が好適に使用できる。表面処理法としては、前述の無機フィラーを表面処理する要領が同様に適用される。
【0061】
本発明において使用するマトリックス原料組成物は、本発明の歯科用硬化性組成物から複合フィラーを除いたものであり、該組成物の硬化体は、本発明の歯科用硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体において、複合フィラーが分散するマトリックス部分となるものである。したがって、該マトリックス原料組成物の硬化体の屈折率は上記マトリックス部分の屈折率(nM)と同義である。
【0062】
マトリックス原料組成物で使用する重合性単量体としては、本発明の歯科用硬化性組成物で使用する重合性単量体として前記したものが使用できる。該マトリックス原料組成物は複合フィラー原料モノマーと同じものであってもよいが、その硬化体の屈折率と該複合フィラー原料モノマーの硬化体の屈折率との差の絶対値が0.005〜0.05、更に好適には0.01〜0.03である異種のものを用いた場合には、拡散度(D)を前記値に調整し易く、本発明の効果が特に良好に発揮されるため好ましい。
【0063】
また、マトリックス原料組成物には、前記第三成分微細フィラーを前記したような量添加するのが好適である。さらに、マトリックス原料組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲内であれば、重合禁止剤、顔料、紫外線吸収剤、平均粒子径が1μmより大きい無機フィラー等を添加してもよい。
【0064】
本発明の歯科用硬化性組成物においては、0.01以上の高い拡散度を得るために、重合性単量体組成物、及び平均粒径が1〜20μmである複合フィラーを混合するに際し、前記複合フィラーの屈折率(nF)と該モノマー組成物を硬化させて得られる硬化体の屈折率(即ち、nM)との差(nF−nM)の絶対値(以下、Δnと略記する。)が0.015〜0.03となるように調整することが重要である。なお、有機無機複合フィラーを含有する歯科用複合修復材の光学的特性の挙動は、単に無機フィラー等を用いた系のものとは大きく異なり、こうした高い拡散度を得るためのΔnの値は、該有機無機複合フィラーを用いる場合に独自に定まる値である。
【0065】
ここで、Δnを0.015〜0.03に調製するためには、マトリックスモノマー組成物の組成或いはフィラー複合フィラー原料組成物、又はその両方を変えることにより行なうことができる。一般に、マトリックスモノマー組成物硬化体の屈折率(nM)は、その重合性単量体を単独重合させた時に得られる重合体の屈折率が高い重合単量体の含有量を多くすること、或いは必要に応じて添加する第三成分微細フィラーにおいて、屈折率が高い成分(ジルコニウム、バリウム、アルミニウム等の金属酸化物)を多く含む第三成分微細フィラーを添加することにより高くすることが出来、逆に重合性単量体を単独重合させた時に得られる重合体の屈折率が低い重合単量体の含有量を多くすること、或いは屈折率の低い第三成分微細フィラーの添加量を多くすることにより低くすることができる。また、複合フィラーの屈折率(nF)についても複合フィラー原料モノマー組成、複合フィラー原料モノマーと複合フィラー原料無機フィラーの量比を変えることにより同様に制御できる他、複合フィラー原料無機フィラーの組成を変えることによっても制御可能である。
【0066】
本発明の歯科用硬化性組成物においては、上記Δnの調整に際し、硬化体の光学的な質感をより天然歯質に近づけ、より審美的な修復を可能とするためには、硬化体の透明性(コントラスト比:C=Yb/Yw)について配慮して両者の屈折率を決定することが好ましい。
【0067】
ここでコントラスト比とは、厚さ1mmの歯科用修復物硬化体の裏側にそれぞれ標準黒色板(もしくは暗箱)と標準白色板を置いた場合の、三刺激値の一つであるY値(YbとYw)の比で示され、透明性の指標にもなっている。コントラスト比は各成分の屈折率、配合量及びフィラーの粒径に大きく影響されるため、一概に規定することはできないが、一般のコンポジットレジンの場合には、重合性単量体の硬化体と、フィラーの屈折率の差が大きいほど不透明に、屈折率の差が小さいほど透明になることが知られている。好適に使用される歯科用修復材料のコントラスト比(C=Yb/Yw)は、0.35〜0.70、より好ましくは0.5〜0.65である。このようなコントラスト比を実現するために、Δnは0.01、特に0.015以上であることに加えて、0.1以下、より好ましくは0.04以下、更には0.03以下とするのが好適である。
【0068】
さらに、本発明の歯科用硬化性組成物においては、硬化前の透明性と硬化後の透明性の差が小さくなるように調整するのが好ましい。これは、臨床における充填時の歯科用修復物と天然歯との色合わせを容易にするためであり、重合硬化の前後で透明性の変化を小さくするためである。硬化前後の透明性の変化については、フィラーの粒径や各成分の配合量に大きく影響されるため、一概に規定することはできないが、一般に硬化前のマトリックス原料組成物自体の屈折率と複合フィラーの屈折率(nF)との差の絶対値(Δn’)とΔnの差の絶対値が小さくなるように調節するのが好ましい。複合フィラーを用いる本発明にあっては、無機フィラーと比較して上記屈折率の調整が容易に達成できるため、特に好ましい。
【0069】
このように屈折率差(Δn)が調整された複合フィラー及びマトリックスモノマー組成物をそれぞれ所定量取って十分に混練し、さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去することによって本発明の歯科用硬化性組成物を得ることができる。
【0070】
本発明の歯科用硬化性組成物の用途は特に限定されないが、具体例としては歯科充填用コンポジットレジンが挙げられる。その一般的な使用方法としては、修復すべき歯の窩洞を適切な前処理材や接着材で処理した後に歯科充填用コンポジットレジンを直接充填し、歯牙の形に形成した後に専用の光照射器にて強力な光を照射して重合硬化させる方法等が挙げられる。
【0071】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、実施例および比較例で用いた無機フィラー、重合性単量体、及び重合開始剤は以下の通りである。
【0072】
〔無機フィラー〕
球状シリカ-ジルコニア;屈折率1.520、平均粒径;0.2μm、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(以下F−1と略す。)
球状シリカ−ジルコニア;屈折率1.545、平均粒径0.2μm、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(以下F−2と略す。)
球状シリカ-チタニア;屈折率1.510、平均粒径;0.2μm、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(以下F−3と略す。)
球状シリカ−酸化バリウム;屈折率1.550、平均粒径;0.2μm、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(以下F−4と略す。)
不定形シリカ-ジルコニア;屈折率1.530、平均粒径;3.0μm、γ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン表面処理物(以下F−5と略す。)
〔重合性単量体〕
2,2−ビス[(3−メタクロイルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン(以下bis−GMAと略す。)/トリエチレングリコールジメタクリレート(以下3Gと略す。)(重量比60/40);硬化体の屈折率1.546(以下M−1と略す。)
1,6−ビス(メタクリルエチルオキシカルボニルアミノ)トリメチルオキサン(以下UDMAと略す。)/3G(重量比70/30);硬化体の屈折率1.510(以下M−2と略す。)
2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシポリエトキシフェニル)プロパン(以下D−2.6Eと略す。)/3G(重量比70/30);硬化体の屈折率1.550(以下M−3と略す。)。
【0073】
bis−GMA/3G(重量比40/60);硬化体の屈折率1.534(以下M−4と略す。)
〔重合開始剤〕
アゾビスイソブチロニトリル(以下AIBNと略す。)
カンファーキノン(以下CQと略す。)
N,N−ジメチル-p-トルイジン(以下DMPTと略す。)
また、以下の実施例、比較例に示した、屈折率、硬化体の拡散度、硬化体の曲げ強度の測定、硬化体の表面滑沢性、及び硬化性ペーストの操作性の評価は以下の方法に従った。
【0074】
(1) 屈折率
25℃における屈折率nD 25を、アッベ屈折計(アタゴ社製)を用いて測定した。各無機フィラーの屈折率は液浸法によって測定した。すなわち、無機フィラーをエタノール中に分散させ、このスラリーに対し1−ブロモナフタリンを徐々に滴下し、無機フィラーと液体の境界が目視で確認できなくなったところの分散液の屈折率を無機フィラーの屈折率とした。また、複合フィラーの屈折率は、無機フィラーと重合性単量体の硬化体の屈折率から、加成性が成り立つとして計算により算出した。
【0075】
(2) 拡散度
直径30mm×厚さ0.3mmの型枠に硬化性ペーストを充填し、十分に光重合を行って硬化させた後に型枠から取り出し、37℃水中に24時間浸漬した。この試料片について、ゴニオフォトメーター(村上色彩技術研究所、GP-2000)を用いて、透過光の光度分布を測定した。拡散度Dは以下の式に従って計算した。
【0076】
D={(I20/cos20°)+(I70/co70°)}/(2×I0)
ここで、Iは試料を透過した光の光度を表し、Io、I20、I70は光の入射方向に対してそれぞれ、0度、20度、70度方向の光の強さを表す。三角関数は光度を測定した方向の余弦を示し、角度の単位は度である。
【0077】
(3) 表面滑沢性
幅2×高さ4×長さ20mmの角柱状の型枠に硬化性ペーストを充填し、十分に光重合を行って硬化させた後に型枠から取り出し、37℃水中に24時間浸漬した。この試料片表面を耐水研磨紙1500番で研磨後、Sof-lex Superfine(3M社製)にて一分間仕上げ研磨し、表面の光沢度を目視により判定した。滑沢性に優れるものについては○、特に滑沢性に優れるものについては◎、滑沢性に劣るものについては×の判定とした。
(4) 曲げ強度
2×2×25mmの角柱状の型枠に硬化性ペーストを充填し、十分に光重合を行って硬化させた後に型枠から取り出し、37℃水中に24時間浸漬した。この試料片を試験機(島津製作所製、オートグラフ5000D)に装着し、支点間距離20mm、クロスヘッドスピード0.5mm/分で3点曲げ破壊強度を測定した。
【0078】
(5) 操作性
硬化性ペーストの性状について、充填操作のしやすさの観点から以下の基準に基づいて評価を行った。すなわち、べたつきやぱさつきが少なく、充填操作がしやすいものについては○、特に充填操作性に優れるものについては◎、べたつきやぱさつきが強く充填操作が困難なものについては×の判定とした。
【0079】
実施例1
乳鉢中で、予め重合開始剤としてAIBNを重量比で0.5%溶解してある重合性単量体M−1を無機フィラーF−1 300重量部に対して100重量部添加混合し、ペースト化した。これを、95℃、窒素雰囲気下で1時間加熱重合した。重合硬化体を振動ボールミルを用いて粉砕し、さらにγ-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン0.02重量%によって、エタノール中、90℃で5時間還留することで表面処理を行った。これを複合フィラー(屈折率1.527、平均粒径;12μm)とする。
【0080】
重合性単量体M−1に対して、重合開始剤CQを重量比で0.5%、DMPTを1.5%加えて混合し、均一な重合性単量体組成物を調製して、これをマトリックスとした。次に、フィラーとして上記有機無機複合フィラーをメノウ乳鉢に入れ、上記重合性単量体組成物を徐々に加えていき、暗所にて十分に混練し均一な硬化性ペーストとした。さらにこのペーストを減圧下脱泡して気泡を除去した後、上記の方法に基づいて各物性を評価した。組成を表1に示した。
【0081】
【表1】
【0082】
また、結果を表2に示した。
【0083】
【表2】
【0084】
実施例2〜6
実施例1と同様な方法で、表1に示す組成に従って有機複合フィラー及び硬化性ペーストを調整し、各物性を評価した。
【0085】
実施例1〜6の組成全てにおいて、高い拡散度及び高い表面滑沢性が達成された。
【0086】
実施例7
実施例1と同じ重合性単量体組成物で、フィラー組成を(A)有機無機複合フィラー(60重量部)と(B)無機フィラーF−2(40重量部)の混合物に変えて硬化性ペーストを調整し、実施例1と同様な方法で各物性を評価した。組成を表1に示した。また、結果を表2に示した。
【0087】
実施例7〜16
実施例5と同様な方法で、表1に示す組成に従って有機複合フィラー及び硬化性ペーストを調整し、各物性を評価した。
【0088】
実施例7〜16は本発明に必須の平均粒径1〜20μmの有機無機複合フィラーと、平均粒径1μm以下の無機フィラーを組合せた例であるが、全ての組成で、高い拡散度と高い表面滑沢性が達成されており、さらに曲げ強度とペースト操作性が向上した。
【0089】
比較例1
実施例5の組成物から有機無機複合フィラーを除いて硬化性ペーストを調整し、実施例1と同様な方法で各物性を評価した。組成を表1に示した。また、結果を表2に示した。
【0090】
比較例1は必須成分である有機複合フィラーが配合されておらず、実施例よりも拡散度が大きく低下した。また、フィラー充填率及び曲げ強度が低く、硬化性ペーストの操作性もべたつきの大きなものとなった。
【0091】
比較例2、3
実施例1に示した有機無機複合フィラーと同じ組成及び製法で、振動ボールミルによる粉砕時間を変えることによって、平均粒径のより小さな有機無機複合フィラー(屈折率1.527、平均粒径;0.8μm)、と平均粒径のより大きな有機無機複合フィラー(屈折率1.524、平均粒径;45μm)を調整した。実施例5と同じマトリックス組成で、有機無機複合フィラーを上記のものに変えて硬化性ペーストを調整し、実施例1と同様な方法で各物性を評価した。組成を表1に示した。また、結果を表2に示した。
【0092】
比較例2で用いられている有機無機複合フィラーの平均粒径は本発明の範囲よりも小さいものであり、実施例と比較して拡散度が大幅に低下した。更に、フィラー充填率及び曲げ強度が低く、硬化性ペーストの操作性もべたつきが大きいものとなった。
【0093】
また、比較例3で用いられている有機無機複合フィラーの平均粒径は本発明の範囲よりも大きく、曲げ強度が低く、硬化性ペーストの操作性もぱさつきやべたつきが大きいものとなった。
【0094】
比較例4
有機無機複合フィラーの原料である無機フィラーF−1をF−2に変え、それ以外は実施例1と同じ製法及び組成で有機無機複合フィラー(屈折率1.545、平均粒径;12μm)を調整した。実施例1と同じマトリックス組成で、有機無機複合フィラーを上記のものに変えて硬化性ペーストを調整し、実施例1と同様な方法で各物性を評価した。組成を表1に示した。また、結果を表2に示した。
【0095】
比較例4は用いられる有機無機複合フィラーと硬化後のマトリックスとの屈折率差が0.01以下と小さい例であり、実施例と比較して著しく拡散度が低下した。
【0096】
比較例5
実施例1の組成において、有機無機複合フィラーを無機フィラーF−5に変えて硬化性ペーストを調整し、実施例1と同様な方法で各物性を評価した。組成を表1に示した。また、結果を表2に示した。
【0097】
比較例5は用いたフィラーが無機単独の大きい粒子のため実施例と比較して表面滑沢性が大きく劣っていた。
Claims (2)
- 有機無機複合フィラー及び重合性単量体を含有してなる歯科用硬化性組成物であって、該有機無機複合フィラーが下記(1)〜(3)に示す条件を満足することを特徴とする歯科用硬化性組成物。
(1)重合性単量体及び平均粒径が0.05〜0.7μmである球状若しくは略球状の無機粒子及び/又は該無機粒の凝集体とを含み、上記両者の合計質量を基準として、球状若しくは略球状の無機粒子及び/又は該無機粒の凝集体の含有量が60〜90質量%である重合硬化性組成物の硬化体を粉砕して得られるものであること。
(2) 平均粒径が1〜20μmであること。
(3) その屈折率をnFとし、当該歯科用硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体中の該有機無機複合フィラーが分散するマトリックス部分の屈折率をnMとしたときに、nF−nMの絶対値が0.015〜0.03であること。 - 有機無機複合フィラーに含まれる無機粒子及び/又は該無機粒子の凝集体が、加水分解可能な有機ケイ素化合物、及び該加水分解可能な有機ケイ素化合物と結合可能な周期律表第I、II、III、及び第IV族の金属よりなる群から選ばれる少なくとも1種の金属の有機化合物を反応させて得られる無機酸化物を主な構成成分とすることを特徴とする請求項1に記載の歯科用硬化性組成物。
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