JP4926440B2 - 歯科用グラスアイオノマーセメント液 - Google Patents

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本発明は、フルオロアルミノシリケートガラスを主成分とする歯科用グラスアイオノマーセメント粉と混合して用いる歯科用グラスアイオノマーセメント液に関するものである。
歯科用グラスアイオノマーセメントはフルオロアルミノシリケートガラスとα−β不飽和カルボン酸重合体とを水の存在下で反応させ硬化させて使用される歯科用セメントであり、生体に対する親和性が極めて良好であることや、硬化体が半透明であり審美性に優れていることや、エナメル質や象牙質などの歯質に対して優れた接着力を有していることや、更にはグラスアイオノマーセメント用ガラス粉末であるフルオロアルミノシリケートガラス粉末中に含まれるフッ素による抗う蝕作用があることなどの種々の優れた特徴を有しているため広く用いられている。
このような種々の優れた特徴を有している歯科用グラスアイオノマーセメントは、う蝕窩洞の充填、クラウン,インレー,ブリッジや矯正用バンドの合着、窩洞の裏装、根管充填用のシーラー、支台築造や予防填塞など歯科分野で幅広い用途に用いられている。歯科用グラスアイオノマーセメントの形態としては、フルオロアルミノシリケートガラス粉末とα−β不飽和カルボン酸重合体水溶液とを使用直前に混合練和して治療部位に適用後硬化させて使用するものが一般的であるが、硬化体の物理的強度、特に曲げ強度の改善を目的として、重合性モノマーを配合したレジン強化型歯科用グラスアイオノマーセメントも開発されている。
これらの歯科用グラスアイオノマーセメントは、硬化体に応力が加えられた場合、硬化体内部の微小な空洞,欠陥や硬化体表面の傷などから亀裂により破壊されてしまうことがあった。これは、Si−O又は、Al−Oという強固な共有結合によって構成され均質な三次元的網目構造を持つガラス部分と比較すると、α−β不飽和カルボン酸重合体と水とガラス表面部とが反応して構成されたマトリックス部分が脆いため、硬化体の一部分に発生した微小な亀裂に応力が集中すると亀裂が強度の高いガラス部分を回避して強度の低いマトリックス部分に急速に拡大して硬化体が破壊されるからであると考えられている。従って、歯科用グラスアイオノマーセメントの硬化体において優れた物理的強度を得るためには、ガラスの含有量を多くしてマトリックス部分を少なくすること、言い換えればガラス成分の充填量を多くすることで破壊進展距離を増やし応力を分散させることが効果的であると考えられる。しかしながら、ガラスの充填量を増やすと、粉と液とを混合して練和する際に、非常に練和が難しくなること、更には練和物の流動性が悪くなり、操作性に関して問題がある。
そこで、操作性を損なわず物理的強度を向上させる提案として、α第3リン酸カルシウムと、第4リン酸カルシウムと、第2リン酸カルシウムとの配合量を最適化した粉と水とを練和する形態の高強度リン酸カルシウムセメントがある(例えば、特許文献1参照。)しかし、リン酸カルシウム系セメントはその物理的強度が元々全般的に低いため、歯科材料として充分な強度を有していない。
また、高強度の繊維状細片やCPSAガラス(CaO-P2O5-SiO2-Al2O3)繊維微粉末を配合することで物理的強度を向上させた歯科用セメントも開示されている(例えば、特許文献2及び3参照。)しかし、このような繊維状のフィラーを使用した場合、強度の向上に方向性ができてしまうことがあり、たとえ曲げ強度の向上が認められても、圧縮強度にはほとんど効果が得られない問題があった。また、繊維状のフィラーを配合すると粉と液とが混和しずらくなり、また摩耗などにより繊維端が硬化体表面から露出すると硬化体の表面滑沢性が低下するという実用上の問題もあった。
特開平06-172007号公報 特開昭59-161307号公報 特開2000-119119号公報
本発明は、従来のグラスアイオノマーセメントと同様の操作性を持ちながら、硬化後のセメント混合物の物理的強度、特に圧縮強度が高い歯科用グラスアイオノマーセメントを得ることができる歯科用グラスアイオノマーセメント液を提供することを課題とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、それぞれ所定量のα−β不飽和カルボン酸重合体と水とから成る溶液中に、酸基を持たない重合性モノマーを所定量配合させると共に、平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカがSiO濃度1〜50重量%に水に対して単分散状態となっているシリカ水性ゾルをコロイダルシリカ量として所定量配合させることによって、前記課題を解決できることを究明して本発明を完成した。
即ち本発明は、10〜40重量%のα−β不飽和カルボン酸重合体と15〜50重量%の酸基を持たない重合性モノマーと、コロイダルシリカ量として0.1〜10重量%の、平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカがSiO濃度1〜50重量%に水に対して単分散状態となっているシリカ水性ゾルと、残部である10〜50重量%の水とから成る歯科用グラスアイオノマーセメント液である
また、この酸基を持たない重合性モノマーが配合された歯科用グラスアイオノマーセメント液にさらに光重合触媒が配合されていると、光重合触媒が配合されていないフルオロアルミノシリケートガラスを主成分とする歯科用グラスアイオノマーセメント粉と混合したときでも、歯科用グラスアイオノマーセメントの硬化体へ物理的強度、特に曲げ強度の改善を目的として重合性モノマーを添加したレジン強化型歯科用グラスアイオノマーセメントの物理的強度、特に圧縮強度を高めることができて好ましいのである。
そしてこのような歯科用グラスアイオノマーセメント液において、α−β不飽和カルボン酸重合体としては、アクリル酸,メタクリル酸,2−クロロアクリル酸,3−クロロアクリル酸,アコニット酸,メサコン酸,マレイン酸,イタコン酸,フマール酸,グルタコン酸,シトラコン酸の中から選ばれた1種以上を含む共重合体又は単独重合体であって、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含まない重量平均分子量5,000〜40,000の重合体であるものが好ましいのである。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液は、歯科用グラスアイオノマーセメント粉の主成分であるフルオロアルミノシリケートガラスと混合されて用いられるので、その粉末中に含まれるフッ素による抗う蝕作用があることなどの種々の優れた特徴を有している歯科用グラスアイオノマーセメントの特性をそのまま有しながら、フルオロアルミノシリケートガラスと混合した後の硬化体である歯科用グラスアイオノマーセメントの内部の微小な空洞や欠陥や硬化体表面の傷などを単分散状態のコロイダルシリカが埋めて硬化体の圧縮強度を向上させることができる。そしてこのような歯科用グラスアイオノマーセメント液は、フルオロアルミノシリケートガラスを主成分とし重合触媒が配合されている歯科用グラスアイオノマーセメント粉と混合したときに、歯科用グラスアイオノマーセメントの硬化体へ物理的強度、特に曲げ強度の改善を目的として重合性モノマーを添加したレジン強化型歯科用グラスアイオノマーセメントの物理的強度、特に圧縮強度を高めることができる。
発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液は、
10〜40重量%のα−β不飽和カルボン酸重合体と
15〜50重量%の酸基を持たない重合性モノマーと、
コロイダルシリカ量として0.1〜10重量%の、平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカがSiO濃度1〜50重量%に水に対して単分散状態となっているシリカ水性ゾルと、
残部である10〜50重量%の水とから成ることを特徴とする(請求項)。
更に、光重合触媒を配合することも可能である(請求項)。
α−β不飽和カルボン酸重合体は、α−β不飽和モノカルボン酸又はα−β不飽和ジカルボン酸の重合体であり、アクリル酸,メタクリル酸,2−クロロアクリル酸,3−クロロアクリル酸,アコニット酸,メサコン酸,マレイン酸,イタコン酸,フマール酸,グルタコン酸,シトラコン酸の中から選ばれた1種以上を含む共重合体又は単独重合体であって、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含まない重量平均分子量5,000〜40,000の重合体であるものが好ましい。重量平均分子量が5,000未満の場合は硬化体の強度が低くなり易く、また歯質への接着力も低下する傾向があり、40,000を超える場合には、練和時の粘度が高過ぎて練和が難しくなる傾向がある。
このα−β不飽和カルボン酸重合体の配合量は、10〜40重量%である。これは、10重量%未満であると、歯科用グラスアイオノマーセメントとしての特徴である歯質接着性が低下し易く、40重量%を超えると硬化体の溶解度が増加し易く、耐久性が劣る傾向があるからである。
平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカがSiO濃度1〜50重量%に水に対して単分散状態となっているシリカ水性ゾルとしては、例えば特開平4−97929号「セメント混和用微粒子シリカ水性分散体」に開示されており、この特許出願人である日産化学工業株式会社から「スノーテック」という名称で上市されているシリカ水性ゾルを使用することができる。このシリカ水性ゾルのコロイダルシリカの平均粒子径が1nm未満又は100nmを超えると、硬化体の圧縮強度を高める作用が減少するので好ましくなく、より最適なコロイダルシリカの平均粒子径の範囲は5〜25nmである。
この平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカがSiO濃度1〜50重量%に水に対して単分散状態となっているシリカ水性ゾルの配合量は、コロイダルシリカ量として0.1〜10重量%である。これは0.1重量%未満又は10重量%を超えて配合すると、硬化体の圧縮強度を高める作用が減少するからである。
水は、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液において必要不可欠な成分である。その理由は、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液を歯科用グラスアイオノマーセメント粉の主成分であるフルオロアルミノシリケートガラスと混合して硬化させる反応は、フルオロアルミノシリケートガラスとα−β不飽和カルボン酸重合体との中和反応が水の存在下で進行するからである。また、歯科用グラスアイオノマーセメントは、水の存在下で歯の表面と接着する性質を持ち、本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液中に水が存在していることが必要であるが、この水は水単体として配合しても、シリカ水性ゾル中の水を使用してもい。この水の歯科用グラスアイオノマーセメント液への配合量は、10〜50重量%であることが必要である。
歯科用グラスアイオノマーセメント液に配合される酸基を持たない重合性モノマーとしては、CH=CR−COO−基(R:H又はCH)を少なくとも1個含有する重合可能な不飽和有機化合物が挙げられ、アクリル酸又はメタアクリル酸のエステルのようなアクリロイド基又はメタアクリロイド基を有する重合可能な不飽和有機化合物を指す。
この酸基を持たない重合性モノマーとしては、従来から歯科用レジン材料で用いられている物質が使用可能であり、例えば、ヒドロキシメタクリレート、グリシジルメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、1,6ヘキサンジオールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、2−ヒドロキシ,1−アクリロキシ,3−メタクリロキシプロパン、ヘキサメチレンジカルバメート,ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリエチルヘキサメチレンジカルバメートなどが好ましく用いられ、これらは2種以上を一緒に用いてもよい。
この酸基を持たない重合性モノマーの配合量は、15〜50重量%である。これは15重量%未満であると歯科用グラスアイオノマーセメントの初期硬化性及び物理的性質が劣ることがあり。50重量%を超えると歯科用グラスアイオノマーセメントの特徴である歯質接着性が劣る傾向があるからである。
歯科用グラスアイオノマーセメント液に光重合触媒を配合する場合は、0.05〜5重量%である。光重合触媒を使用する理由は、う蝕窩洞の充填に使用する場合など、フルオロアルミノシリケートガラスとα−β不飽和カルボン酸とを混合した歯科用グラスアイオノマーセメント組成物に充分な光照射を行える症例においては、可視光線により酸基を持たない重合性モノマーを重合させることによりフルオロアルミノシリケートガラスとα−β不飽和カルボン酸重合体との中和反応が終了する間の術者が望むタイミングで歯科用グラスアイオノマーセメント組成物の硬化を開始させることが可能になるからである。この場合、一般的に光重合触媒としては増感剤と還元剤との組合せが用いられる。
増感剤としては、波長390nm〜830nmの可視光線の作用により重合性モノマーを重合させることのできるものが用いられる。例えば、カンファーキノン、ベンジル、ジアセチル、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール、ベンジルジ(2−メトキシエチル)ケタール、4,4’−ジメチルベンジル−ジメチルケタール、アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン。1−ヒドロキシアントラキノン、1−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、1−ブロモアントラキノン、チオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−ニトロチオキサントン、2−メチルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2−クロロ−7−トリフルオロメチルチオキサントン、チオキサントン−10,10−ジオキシド、チオキサントン−10−オキサイド、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、イソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾフェノン、ビス(4−ジメチルアミノフェニル)ケトン、4,4’−ビスジえチルアミノベンゾフェノン、(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ジフェニルフォスフィンオキサイドなどのアシルホスフィンオキサイド、アジド基を含む化合物などがあり、単独もしくは混合しても使用できる。
還元剤としては、3級アミンなどが一般に使用される。3級アミンとしては、N,N−ジメチル−p−トルイジン,N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、トリエタノールアミン,4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルが好ましい。また他の還元剤として、スルフィン酸ソーダ誘導体、有機金属化合物などが挙げられ、単独もしくは混合しても使用できる。
さらに本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液には、操作性に影響を及ぼさない範囲で充填材や増粘剤を配合することも可能である。
以下に実施例により本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれ等実施例に限定されるものではない。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液に配合するα−β不飽和カルボン酸重合体として、以下のカルボン酸重合体を準備した。
<カルボン酸重合体1>
重量平均分子量が18,000のアクリル酸マレイン酸共重合体。
<カルボン酸重合体2>
重量平均分子量が16,000のポリマレイン酸と重量平均分子量が30,000のポリアクリル酸とを重量比で5:1の割合で混合したカルボン酸重合体。
<カルボン酸重合体3>
重量平均分子量が16,000のポリマレイン酸と重量平均分子量が24,000のポリアクリル酸とを重量比で5:1の割合で混合したカルボン酸重合体。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液に配合するシリカ水性ゾルとして、以下のゾルを準備した。
<ゾル1>
平均粒子径が8〜11nmのコロイダルシリカがSiO濃度20重量%に水に対して単分散状態となっているゾル(商品名:スノーテックOS、日産化学社製)。
<ゾル2>
平均粒子径が10〜20nmのコロイダルシリカがSiO濃度20重量%に水に対して単分散状態となっているゾル(商品名:スノーテックO、日産化学社製)。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液に配合する酸基を持たない重合性モノマーとして、以下のモノマー液を準備した。
<モノマー液1>
ヒドロキシエチレウメタクリレートと、2−ヒドロキシ,1−アクリロキシ,3−メタクリロキシプロパンと、ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリエチルヘキサメチレンジカルバメートと、グリシジルメタクリレートとを15:4:4:4の重量比で混合したモノマー液。
<モノマー液2>
ヒドロキシエチレウメタクリレートと、2−ヒドロキシ,1−アクリロキシ,3−メタクリロキシプロパンと、ジ−2−メタクリロキシエチル−2,2,4−トリエチルヘキサメチレンジカルバメートと、1,6ヘキサンジオールメタクリレートとを10:3:3:4の重量比で混合したモノマー液。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液に配合する光重合触媒として、以下の重合触媒を準備した。
<触媒1>
カンファーキノン。
<触媒2>
N,N−ジメチル−p−トルイジン。
本発明に係る歯科用グラスアイオノマーセメント液と混合する歯科用グラスアイオノマーセメント粉として、以下のガラス粉末を準備した。
<ガラスA>
酸化アルミニウム:22g,無水硅酸:43g,フッ化カルシウム:12g,リン酸カルシウム:15g及び炭酸ストロンチウム:8gを充分混合し、1,200℃の高温電気炉中で5時間保持し含量を溶融後冷却し、ボールミルを用いて10時間粉砕し、200メッシュ(ASTM)篩を通過させたガラス粉末。
<ガラスB>
酸化アルミニウム:22g,無水硅酸:41g,フッ化カルシウム:10g,リン酸カルシウム:13g及びリン酸アルミニウム:13gを充分混合し、1,100℃の高温電気炉中で5時間保持し含量を溶融後冷却し、ボールミルを用いて10時間粉砕し、200メッシュ(ASTM)篩を通過させたガラス粉末とした。このガラス粉末100gに対してビニルトリエトキシシラン10%濃度のエチルアルコール溶液20gを加え乳鉢中で充分混合した後、蒸気乾燥器を用いて110℃で2時間乾燥させたシラン処理フルオロアルミノシリケートガラス粉末。
<ガラスC>
ガラス粉末Aに、p−トルエンスルホニルクロライドを5重量部混合したガラス粉末。
上記各成分を表1に示す割合(重量%)で配合した液及び粉を、表1に示す重量粉液比で混合した後内径4mm,長さ6mmの空洞の作られた金属型内に填入し、セロファンを介してガラス板にて圧接し円柱型の硬化体を得た。得られた硬化体を37℃の蒸留水に24時間浸漬し、万能試験機(商品名:オートグラフ,島津製作所社製)を使用してクロスヘッドスピード1mm/min.にて圧縮強度試験を行った。結果を表1に示す。
その結果、液と粉の混合比が1:2である実施例1,混合比が等しいがα−β不飽和カルボン酸重合体の割合が多く酸基を持たない重合性モノマー及びシリカ水性ゾルを含まない比較例1または混合比が等しいがシリカ水性ゾルを含まない比較例3と比べて圧縮強度が向上しており、同様に混合比が1:3である実施例3、混合比が等しいが酸基を持たない重合性モノマー及びシリカ水性ゾルを含まない比較例2または混合比が等しいがシリカ水性ゾルを含まない比較例4と比較して圧縮強度が向上していることが確認できる。
Figure 0004926440

Claims (3)

  1. 10〜40重量%のα−β不飽和カルボン酸重合体と、
    15〜50重量%の酸基を持たない重合性モノマーと、
    コロイダルシリカ量として0.1〜10重量%の、平均粒子径が1〜100nmのコロイダルシリカがSiO 濃度1〜50重量%に水に対して単分散状態となっているシリカ水性ゾルと、
    残部である10〜50重量%の水とから成る
    歯科用グラスアイオノマーセメント液。
  2. 更に、光重合触媒を0.05〜5重量%配合した請求項1に記載の歯科用グラスアイオノアノマーセメント液。
  3. α−β不飽和カルボン酸重合体が、アクリル酸,メタクリル酸,2−クロロアクリル酸,3−クロロアクリル酸,アコニット酸,メサコン酸,マレイン酸,イタコン酸,フマール酸,グルタコン酸,シトラコン酸の中から選ばれた1種以上を含む共重合体又は単独重合体であって、重合可能なエチレン性不飽和二重結合を含まない重量平均分子量5,000〜40,000の重合体である請求項1又は2に記載の歯科用グラスアイオノアノマーセメント液。
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