JP6979403B2 - グラスアイオノマーセメントを製造するための部品のキット、その製造方法及び使用 - Google Patents

グラスアイオノマーセメントを製造するための部品のキット、その製造方法及び使用 Download PDF

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Description

本発明は、グラスアイオノマー組成物を製造するための部品のキットに関し、セメントは、粉末部品及び液体部品を混合することにより得られる。グラスアイオノマー組成物は、歯科用合着セメント、歯科用充填材、歯科用コアビルドアップ材、歯科用裏張り若しくは歯科用根管充填材として、又はそれらを製造するために特に有用である。
グラスアイオノマーセメントは、30年を超えて、歯科修復治療のために使用されてきた。
典型的には、グラスアイオノマーセメントは、粉末部品を液体部品と混合することにより反応する。
粉末成分は、典型的には、必須の又は重要な成分として、酸反応性充填剤(たとえばフルオロアルミノシリケートガラス)を含む。
液体成分は、典型的には、必須の成分として、水、ポリカルボン酸、及び凝結特性を調整するための錯化剤又はキレート剤(たとえば酒石酸)を含む。
グラスアイオノマーセメントの主な利点は、歯牙構造との自己接着、フッ化物放出及び1つの部品で置かれる能力(バルクフィル)だと言われている。
一部の施術者により報告された欠点の一つは、樹脂系複合充填材について報告されている物理的−機械的特性と比較したときの、グラスアイオノマーセメントの脆性及び相対的に低い物理的−機械的特性である。
とりわけグラスアイオノマーセメントの曲げ強度を改善する様々なアプローチがなされてきた。
たとえば、酸反応性充填剤と比較してポリカルボン酸の総含有量を増加させることにより、曲げ強度を改善できることが報告されている。
しかしながら、液体部品中に含有されるポリカルボン酸の量を増加させることにより、液体部品の粘性が高くなりすぎ、粉末成分及び液体成分を適切に混合することがほぼ不可能になる。
この問題を克服するため、ポリカルボン酸の一部を乾燥形態で粉末成分中に入れることが提案された。
しかしながら、これを行うことにより、製品の貯蔵安定性に悪影響があることがあると認められた。時間経過とともに、空気中に存在する湿気が粉末成分中に移り始め、これが、少なくとも部分的にグラスアイオノマー反応を開始させる。
周囲の湿気に対する粉末部品の感受性を克服するため、粉末成分の少なくとも一部をカプセル化することが検討された。
しかしながら、粒子のカプセル化は容易でないことが多く、カプセル化粉末の反応性全体に影響を及ぼしうる。
一部の施術者により報告された別の欠点の一つは、粉末及び液体組成物を均質に混合することの困難さである。
特定の物理的機械的特性(たとえば曲げ強度及び/又は圧縮強度)を達成するため、グラスアイオノマーセメントは、典型的には、特定の含有量の充填剤を有することを必要とする。
しかしながら、粉末部品中の充填剤の量を増加させると、グラスアイオノマー組成物の調製中、粉末及び液体部品が混合された場合に困難をもたらすことが多い。
組成物の粘性がより高くなるほど、典型的には混合中により多大な困難が生じる。
したがって、混合について言えば、粘性の低い組成物が望ましい。
しかしながら、粘性の低い組成物は、硬化後に所望の物理的機械的特性を示さないことが多い。
米国特許第4,376,835号(Schmittら)は、フルオロケイ酸カルシウムアルミニウムガラス粉末を記載しており、粉末粒子表面のカルシウムは枯渇している。ガラス粉末は、フルオロケイ酸カルシウムアルミニウム粉末粒子を、カルシウム塩を形成する酸を用いて表面処理し、カルシウム塩を処理粒子から洗い落とし、洗浄した粒子を乾燥させることにより調製できる。ガラス粉末から形成されたセメントは、感水性期間を短縮しながら、十分な処理時間を可能にする。
米国特許第6,719,834号(Braunら)は、a)少なくとも1種の金属陽イオン放出性化合物及びb)固体状態へと変換可能な1種以上の多価電解質という、少なくとも2つの反応パートナーを含有する多価電解質セメントに関し、多価電解質のうちの少なくとも1種が、少なくとも部分的に水溶性であり、反応パートナー(a)及び/又は(b)のうちの少なくとも一部が、有機表面コーティング剤でコーティングされる。多価電解質セメントは、貯蔵安定的であり、容易に混合できる。
特開2002−275017号公報は、歯科用グラスアイオノマーセメントを調製するための材料を記載している。粉末状材料は、10〜50重量%のフルオロアルミノシリケートガラス粉末、10重量%以下の特定の酸化物から選択される粉末を含み、残りは粉末状不活性充填剤である。フルオロアルミノシリケートガラス粉末の含有量を低減させた(10〜50重量%)ため、グラスアイオノマーセメントは、一時的接着及び一時的封止使用に優れると言われ、それはすなわち、その機械的特性が低減したということである。70MPa未満の範囲の圧縮強度値が報告されている。
米国特許第5,520,922号(Gasserら)は、(A)(a)フルオロケイ酸アルミニウムガラス、(b)特定のポリマーポリ酸、(c)水を含有する、25〜80重量%のグラスアイオノマーセメント並びに(B)25〜75重量%の、重金属元素のフッ化物及び/又は酸化物を含む、歯根管のための充填材に関する。
露国特許出願公開第2010/108567号(A)は、粉末及び液体を含有するグラスアイオノマーセメントを記載しており、0.015%〜0.025%のシリコンナノ粒子が粉末に添加された。得られたセメントが、より良好な接着性を提供し、強度及び口腔液安定性を改善したことが述べられている。
米国特許出願公開第2005/0252413号(A1)(Kangasら)は、ナノサイズ粒子が充填された硬化性歯科用又は歯列矯正用組成物に関する。より詳細には、アイオノマー及びナノ充填剤を含有する樹脂変性アイオノマー組成物が記載されている。
米国特許出願公開第2005/0256223号(A1)(Kolbら)は、ジルコニアナノ粒子が充填された硬化性歯科用又は歯列矯正用組成物を記載している。より詳細には、アイオノマー及びナノジルコニア充填剤を含有する樹脂変性アイオノマー組成物が記載されている。
国際公開第2015/088956号(A1)(3M IPC)は、グラスアイオノマーセメントを調製するための部品のキットに関し、キットは部品A及び部品Bを含み、部品Aは、粉末であり、3.5〜10μmの範囲の平均粒径を有する特定の量の酸反応性無機充填剤、1.0〜3.5μmの範囲の平均粒径を有する特定の量の非酸反応性充填剤を含み、部品Aは、ポリ酸を1重量%を超える量では含まず、部品Bは、液体であり、特定の量のポリ酸、水及び錯化剤を含む。
Int.J.of Nanotechnology,Vo.1,Nos.1/2,2014,page 144では、歯科用複合材料に関して、凝集を阻害して表面をマトリックス樹脂に適したものとする非常に好ましい表面修飾とともに、非常に小さい、たとえば100nm未満の単分散粒子を利用することにより、増粘効果を回避できることが記載されている。表面修飾は、典型的には、水の存在下で水分中又は溶液中にあるMPTMSを用いて実施される。
したがって、とりわけ現代の歯科材料に関して満たされるべき要件に関しては、依然として改善の余地がある。
容易に混合できる(手作業で又は電気駆動混合デバイスを使用してのいずれかで)グラスアイオノマー組成物(glass ionomer composition、GI)を提供することが、本発明の一目的である。
得られたグラスアイオノマー組成物が、混合及び硬化後に適切な物理的機械的特性(たとえば、曲げ強度及び/又は圧縮強度)を示せば、それもまた望ましいと考えられる。
この目的は、部品のキット並びに本明細書に記載の部品のキットの粉末及び液体部品を混合するときに得られた組成物により達成できる。
一実施形態では、本発明は、歯科使用のためのグラスアイオノマー組成物を調製するための部品のキットであって、
部品のキットは、粉末部品P及び液体部品Lを含み、
粉末部品Pは、
酸反応性無機充填剤
を含み、
液体部品Lは、
水、
錯化剤、
ポリ酸
を含み、
粉末部品P若しくは液体部品Lのいずれか又は粉末部品P及び液体部品Lは、シリカ又はアルミナをベースとする非凝集ナノサイズ粒子を含み、
粉末部品P及び液体部品Lの成分を組み合わせることにより得られた硬化前の組成物は、以下の量の成分、
非凝集ナノサイズ粒子:0.1〜15重量%、
50〜75重量%の量の酸反応性充填剤、
ポリ酸:7〜20重量%、
錯化剤:0.5〜3重量%、
水:5〜18重量%
を含み、
重量%は、組成物全体の重量に対するものである、部品のキットを特徴とする。
本発明はまた、本明細書に記載の部品のキットの粉末部品P及び液体部品L中に含有される成分を組み合わせることにより得られる又は得られた組成物に関する。
本発明の更なる一態様は、コンパートメントA及びコンパートメントBを含むデリバリーシステムであって、コンパートメントAは粉末部品Pを含有し、コンパートメントBは液体部品Lを含有し、デリバリーシステムは歯科用カプセルの形状を有する、デリバリーシステムに関する。
本発明の一層更なる一態様は、本明細書に記載の粉末部品P及び液体部品Lの成分を混合することにより得られる組成物の粘度を低減するための非凝集ナノ粒子の使用に関する。
別段の定義のない限り、本明細書では、以下の用語は、以下に記載の意味を有する。
「歯科用組成物」又は「歯科使用のための組成物」又は「歯科分野において使用される組成物」は、歯科分野において使用でき、使用される、任意の組成物である。この点において、組成物は、患者の健康に害があるべきではなく、したがって、組成物の外に移りうる有害成分及び毒性成分を含まない。歯科用組成物は、典型的には、硬化性組成物であり、これは、約15〜50℃又は約20〜40℃の温度範囲を含む周囲条件下において、約30分又は20分又は10分の時間枠内で硬化できる。より高い温度は推奨されない。なぜなら、患者に痛みを引き起こす可能性があり、患者の健康に害がありうるからである。歯科用組成物は、典型的に、同程度の小容量、すなわち、約0.1〜約100mL、又は約0.5〜約50mL、又は約1〜約30mLの範囲の容量で、施術者に提供される。したがって、有用なパッケージングデバイスの貯蔵容量は、これらの範囲内である。
「ラジカル重合性成分」は、たとえば加熱して重合若しくは化学的架橋を引き起こすことにより、又は、たとえば放射線誘導重合若しくは架橋により、又は、たとえばレドックス開始剤を使用して、又は、任意の他のラジカル形成プロセスにより硬化又は固化できる、任意の成分である。ラジカル重合性成分は、1つのみ、2つ、3つ以上のラジカル重合性基を含有していてもよい。ラジカル重合性基の典型的な例としては、不飽和炭素基、たとえば(メチル)アクリレート基中に存在するビニル基が挙げられる。
本明細書に記載のセメント組成物は、組成物全体に対して、約0.5又は1重量%を超える量のラジカル重合性成分を含有しない。本明細書に記載のセメント組成物は、(メタ)アクリレート基を有するラジカル重合性成分を本質的に含まない。
「モノマー」は、オリゴマー又はポリマーと重合させることにより分子量を増加させることのできる、ラジカル重合性不飽和基((メタ)アクリレート基を含む)を有する化学式により特徴づけられうる任意の化学物質である。モノマーの分子量は、通常、与えられた化学式に基づいて単純に算出できる。
本明細書で使用する「(メタ)アクリル」は、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を指す短縮語である。たとえば、「(メタ)アクリルオキシ」基は、アクリルオキシ基(すなわち、CH=CH−C(O)−O−)及び/又はメタクリルオキシ基(すなわち、CH=C(CH)−C(O)−O−)のいずれかを指す短縮語である。
「開始剤」は、ラジカル重合性成分又はモノマーの硬化プロセスを、たとえばレドックス/自己硬化化学反応により、又は放射線誘導反応により、又は熱誘導反応により開始(start or initiate)可能な物質である。
「粉末」は、振盪したり傾けたりしたときに自由に流動できる、多数の微細粒子から構成される、乾燥したバルク固体を意味する。
「粒子」は、幾何学的に決定できる形状を有する固体である物質を意味する。粒子は、典型的には、たとえば粒径(grain size or diameter)に関して解析できる。
粉末の平均粒径は、粒径分布の積算曲線から得られ、特定の粉末混合物の測定粒径の算術平均と定義される。それぞれの測定は、市販の粒度計(たとえばCILAS Laser Diffraction Particle Size Analysis Instrument)を使用して実行できる。
粒径測定に関して「d50/μm」という用語は、解析される体積中50%の粒子が、xμm未満の粒径を有することを意味する。たとえば、100μm(d50)未満の粒径値は、解析される体積中50%の粒子が100μm未満の粒径を有することを意味する。
「ナノサイズ粒子」は、5〜500nm又は5〜300nm又は5〜200nmの範囲の平均粒径を有する粒子を意味する。球状粒子について、「粒径」とは粒子の直径を指す。非球状粒子については、「粒径」は、いわゆる「等価球径」を指し、これは、等しい体積の球体の直径である。
「一次粒径」という用語は、会合していない単一の粒子の粒径を指す。典型的には、本明細書に記載の技術を使用して一次粒径を測定するため、X線回折(X−ray Diffraction、XRD)が使用される。
「会合した」という用語は、凝集及び/又は粒塊した2つ以上の一次粒子の集合を指す。同様に、「会合していない」という用語は、凝集及び/又は粒塊していないか又は実質的にしていない2つ以上の一次粒子を指す。
「凝集」という用語は、2つ以上の一次粒子の強い会合を指す。たとえば、一次粒子は、互いと化学的に結合されうる。凝集体をより小さい粒子(たとえば一次粒子)に分割することは、一般に達成が困難である。
凝集した充填剤は、たとえばDegussa、Cabot Corp又はWackerからAerosil(商標)、CAB−O−SIL(商標)及びHDKの製品名で市販されている(たとえば、ヒュームドシリカ又は焼成シリカ)。
「非凝集充填剤」は、充填剤粒子が個別の会合しない(すなわち、非粒塊及び非凝集で)段階で存在することを意味する。それが望ましい場合には、TEM顕微鏡法によりこれを証明できる。しかしながら、不可避の微少量の粒塊又は凝集粒子(たとえば、非凝集充填剤の量に対して約1%まで)が、依然として存在しうる。
非凝集ナノサイズシリカが、たとえば、Nalco Chemical Co.(Naperville,Ill.)からNALCO COLLOIDAL SILICAS、たとえばNALCO製品#1040、1042、1050、1060、2327及び2329の製品名で市販されている。非凝集充填剤は、たとえば、米国特許第7,393,882号(3M)において使用及び記載されている。この参照の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
「粒塊」という用語は、2つ以上の一次粒子の弱い会合を指す。たとえば、一次粒子は、電荷又は極性によりまとまって保持されていてもよい。粒塊をより小さい粒子(たとえば、一次粒子)に分割することは、凝集体をより小さい粒子に分割することほど困難ではない。
「ペースト」は、液体中に分散した固体の、軟らかく粘性の塊を意味する。「粘性の」は、約3Pa・s(23℃において)を超える粘度を意味する。
「溶媒」は、周囲条件(たとえば23℃)で、成分が少なくとも部分的に分散又は溶解可能な任意の液体を意味する。溶媒は、典型的には、約10Pa・s未満、又は約8Pa・s未満、又は約6Pa・s未満の粘度を有する。
「グラスアイオノマーセメント(glass ionomer cement)」又は「GIC」は、水の存在下で酸反応性ガラスとポリ酸との間の反応により硬化(curing or hardening)するセメントを意味する。
「樹脂変性グラスアイオノマーセメント(resin modified glass ionomer cement)」又は「RM−GIC」は、ラジカル重合性成分、開始剤系及び典型的には2−ヒドロキシル−エチル−メタクリレート(2−hydroxyl−ethyl−methacrylate、HEMA)を更に含有するGICを意味する。
本明細書に記載の部品のキットは、グラスアイオノマーセメントに関するが、樹脂変性グラスアイオノマーセメントに関するものではない。
「酸反応性充填剤」は、酸性成分の存在下で化学的に反応する充填剤を意味する。
「非酸反応性充填剤」は、(ポリ)酸と混合した場合に、6分以内に化学反応を一切示さないか、又は、低減した(すなわち、時間的に遅れた)反応のみを示す充填剤を意味する。
酸反応性充填剤を非酸反応性充填剤から区別するため、以下の試験を実施できるか、又は実施すべきである。すなわち、
組成物は、部品A及び部品Bを3対1の質量比で混合することにより調製される。
部品Aは、100重量%の解析される充填剤を含有する。
部品Bは、43.6重量%のポリ(アクリル酸コマレイン酸)(Mw:約18,000+/−3,000)、47.2重量%の水、9.1重量%の酒石酸、0.1重量%の安息香酸を含有する。
上述の組成物の調製後6分以内に、以下の条件、すなわち、8mmプレートを使用、0.75mmのギャップ、28℃、1.25Hzの周波数、1.75%の変形率を適用してレオメーターを使用し、振動測定を実施することにより決定される剪断応力が、50,000Pa未満である場合、充填剤は非酸反応性と特徴づけられる。
「陽イオン低減アルミノシリケートガラス」は、ガラス粒子の表面領域中の陽イオンの含有量がガラス粒子の内側領域に比べて低いガラスを意味する。
これらのガラスは、ポリアクリル酸水溶液との接触の際に、典型的な酸反応性充填剤と比べて、はるかにゆっくりと反応する。非酸反応性充填剤の例としては、石英ガラスが挙げられる。更なる例を、本明細書において下に示す。
陽イオン低減は、ガラス粒子の表面処理により達成できる。好適な表面処理としては、酸洗浄(たとえば、リン酸又は塩酸を用いた処理)、ホスフェートを用いた処理又はキレート剤、たとえば酒石酸を用いた処理が挙げられるが、これらに限定されない。
「ポリ酸」又は「ポリアルケン酸」は、複数の酸性繰り返し単位(たとえば10個を超える、又は20個を超える、又は50個を超える)を有するポリマーを意味する。すなわち、酸性繰り返し単位は、ポリマーの主鎖に結合しているか又はそれから突き出ている。
「錯化剤」又は「キレート剤」は、部分を含み、金属イオン、たとえばカルシウム又はマグネシウムとともに錯体を形成できる低分子の試剤、たとえば酒石酸を意味する。「錯化剤」及び「キレート剤」という用語は、互換的である。
「貯蔵安定的な組成物」は、使用の際、顕著な性能上の問題(たとえば曲げ強度又は圧縮強度の低下、及び/又は、所望の期間で硬化しない(たとえば6分を超える硬化時間))を示すことなしに、適切な期間(たとえば、周囲条件下で少なくとも約12ヶ月)貯蔵できる組成物である。貯蔵安定性を決定するのに好適な試験は、下の実施例のセクションにおいて示す。
「硬化性」(”hardenable”or“curable”)が意味するのは、たとえば追加の硬化系、たとえば化学的架橋、放射線誘導重合又は架橋の必要なしに、グラスアイオノマーセメント反応を実施することにより、組成物を硬化又は固化できることである。
組成物が特定の成分を「本質的又は実質的に含まない」のは、組成物がこの成分を本質的な特徴として含有しない場合である。したがって、この成分が、それだけであれ、他の成分若しくは他の成分の要素と組み合わせてであれ、組成物に意図的に添加されることはない。
特定の成分を本質的に含まない組成物がこの成分を含有するのは、通常は、組成物又は材料の全体に対して、約1重量%未満又は約0.5重量%未満又は約0.1重量%未満又は約0.01重量%未満の量である。組成物は、この成分を一切含有しなくてもよい。しかしながら、少量のこの成分の存在が、たとえば使用される原料中に含有される不純物により、不可避であることもある。
「周囲条件」は、本発明の組成物が、貯蔵及び取扱い中に通常さらされる条件を意味する。周囲条件は、たとえば、約900〜約1100mbarの圧力、約−10〜約60℃の温度及び約10〜約100%の相対湿度であってもよい。実験室では、周囲条件は、約23℃及び約1013mbarに調整される。歯科及び歯列矯正分野では、周囲条件は、合理的には、約950〜約1050mbarの圧力、約15〜約40℃の温度、及び約20〜約80%の相対湿度と理解される。
本明細書で使用される「a」、「an」、「the」、「少なくとも1種の」、及び「1種以上の」は、互換的に使用される。「含む(comprises)」又は「含有する(contains)」という用語及びそれらのバリエーションは、これらの用語が本明細書及び特許請求の範囲で記載される場合、限定的な意味を有しない。「含む(comprising)」という用語は、更に限定的な表現である「から本質的になる」及び「からなる」をも含む。
更に本明細書では、端点による数値範囲の記載は、その範囲内に含まれるすべての数を含む(たとえば、1〜5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、5等を含む)。
用語に「(s)」を付加することは、その用語が単数形及び複数形を含むべきことを意味する。たとえば、「添加剤(additive(s))」という用語は、1種の添加剤及び複数(たとえば2種、3種、4種等)の添加剤を意味する。
特に指示のない限り、本明細書及び特許請求の範囲で使用される要素の量、物理的特性の測定値、たとえば下に記載するもの等を表すすべての数は、すべての例で「約」という用語により修飾されていると理解されるべきである。
本明細書に記載の部品のキットは、粉末部品P及び液体部品Lを含む。それら2つの部品中に含有される成分を混合する際、ペーストの形態の組成物が得られる。その組成物は、いわゆるグラスアイオノマー反応により硬化する。
上述の通り、グラスアイオノマー組成物を調製する手作業での混合手順は、多くの場合、きわめて手間がかかる。
これはとりわけ、歯科修復用途における使用のためのグラスアイオノマー組成物について言える。なぜなら、所望の物理的機械的特性を達成するためには、固体成分(たとえば、アイオノマーガラス)の含有量が高くなければならないからである。結果として、得られたペーストは通常、高粘度を有し、これは、最終段階の手作業での混合手順を困難なものとする。
本明細書に記載の部品のキットを使用することにより、全体の充填剤含有量が高いにも関わらず、粉末部品P及び液体部品Lを混合するときに得られるペースト状組成物の粘度は相当程度低いことが見出された。粉末部品P又は液体部品Lのいずれか、特に液体部品Lに、ナノサイズ粒子を添加することにより、得られるペーストの粘度を低めることができた。
そうすることで、得られる組成物は、より最適化された粒径分布を含有し、充填剤の高い含有量を低粘度で可能にする。
これは、粉末部品P及び液体部品Lを手作業で混合することにより組成物が調製される場合に有益であるだけでなく、電気駆動混合デバイスを使用して混合がなされる場合にも有益である。
更に、部品のキットが歯科用混合カプセル内に貯蔵される場合、調製されたグラスアイオノマー組成物をこのカプセルからより容易に(たとえば、より低い力を適用することにより)外に出すこともできる。
代わりに又は加えて、組成物を表面に送達するためのより小さな口径のノズルを有する歯科用混合カプセルを使用できる。これは、ペーストをより正確に、たとえば口腔内に送達するために役立ちうる。
したがって、本明細書に記載の部品のキットは、優れた取扱い特性を有するグラスアイオノマーセメント組成物を当業者が提供することを可能にする。
本明細書に記載の部品のキットは、粉末部品Pを含む。
粉末部品Pは、酸反応性無機充填剤を含有する。
酸反応性無機充填剤の性質及び構造は、所望の結果を達成できないのでない限り、特に限定されない。酸反応性無機充填剤は、水の存在下でポリ酸と反応させた場合に、グラスアイオノマー反応を起こすことが可能でなければならない。
一実施形態によれば、酸反応性無機充填剤は、以下のパラメータ、
平均粒径:約3〜約10μm、
(d10/μm):0.5μm〜3μm、(d50/μm):2μm〜7μm、(d90/μm):6μm〜15μm
のうちの少なくとも1つ以上又はすべてにより特徴づけられうる。
酸反応性無機充填剤の平均粒径が上述の範囲を超える場合、本明細書に記載の部品のキット中に含有される組成物を混合するときに得られた組成物の粘稠度は適切でないと考えられ、所望の機械的特性に悪影響があることがある。
酸反応性無機充填剤の平均粒径が上述の範囲未満である場合、硬化時間が速すぎると考えられる。
好適な酸反応性無機充填剤としては、金属酸化物、金属水酸化物、ヒドロキシアパタイト又は酸反応性ガラスが挙げられる。
典型的な金属酸化物としては、酸化バリウム、酸化ストロンチウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ランタン、酸化イットリウム及びそれらの混合物が挙げられる。
典型的な金属水酸化物としては、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化カルシウム、水酸化ランタン、水酸化イットリウム及びそれらの混合物が挙げられる。
典型的な酸反応性ガラスとしては、アルミノシリケートガラス、特に、フルオロアルミノシリケート(fluoroaluminosilicate)(「FAS」)ガラスが挙げられる。
FASガラスが特に好ましい。FASガラスは、典型的には、ガラスを硬化性組成物の他の成分と混合するときに、硬化歯科用組成物が得られるよう、十分な量の溶出性陽イオンを含有する。
FASガラスはまた、典型的には、硬化組成物が抗齲蝕性を有するよう、十分な量の溶出性フッ化物イオンを含有する。
ガラスは、フッ化物、シリカ、アルミナ、及び他のガラス形成要素を含有するメルトから、FASガラス製造技術分野の当業者によく知られている手法を使用して製造できる。FASガラスは、典型的には、他のセメント成分と簡便に混合でき、得られた混合物が口中で使用されるときに良好な性能を発揮するよう、十分微粒化された粒子の形態である。
好適なFASガラスは、当業者によく知られていると考えられ、多様な市販供給元から入手可能であり、現在入手可能なグラスアイオノマーセメント、たとえば、Ketac(商標)−Molar又はKetac(商標)−Fil Plus(3M ESPE Dental)、及びFUJI(商標)IX(G−C Dental Industrial Corp.、東京、日本)の商品名で市販されているものに多くが見出される。
フルオロアルミノシリケートガラスは、シリカ、アルミナ、氷晶石及び蛍石の混合物を融合することにより調製できる。
有用な酸反応性無機ガラスはまた、Si/Al比により特徴づけられうる。1.5又は1.4又は1.3未満のSi/Al比(重量%による)を有する充填剤が有用であることが見出された。
好適な酸反応性無機充填剤はまた、たとえばSchott AG(ドイツ)又はSpeciality Glass(米国)から市販されている。
酸反応性無機充填剤の混合物を、それが望ましい場合には使用できる。
酸反応性無機充填剤は、典型的には、以下の量、
下限:少なくとも80又は少なくとも90又は少なくとも95重量%、
上限:最大で100又は最大で99又は最大で98重量%、
範囲:80〜100又は90〜99又は95〜98重量%
で存在し、
重量%は、粉末部品Pの重量に対するものである。
酸反応性無機充填剤の量が少なすぎる場合、本明細書に記載の部品のキットの各ペーストを混合することにより、好適なペーストを得ることはできない。更に、機械的特性が劣るものとなることがある。
本明細書に記載の部品のキットは、液体部品Lを含む。
液体部品Lは、水を含有する。
水は、典型的には、以下の量、
下限:少なくとも7又は少なくとも9又は少なくとも11重量%、
上限:最大で20又は最大で19又は最大で18重量%、
範囲:7〜20又は9〜19又は11〜18重量%
で存在し、
重量%は、液体部品Lの重量に対するものである。
液体部品Lはまた、ポリ酸を含有する。
ポリ酸の性質及び構造も、所望の結果を達成できないのでない限り、特には限定されない。しかしながら、ポリ酸は、グラスアイオノマー材に良好な材料特性をもたらすとともに、良好な貯蔵、取扱い、及び混合特性を提供するのに十分な分子量を有するべきである。
一実施形態によれば、ポリ酸は、以下のパラメータ、
固体であること(23℃において)、
分子量(Mw):約2,000〜約250,000又は約5,000〜約100,000(ゲル浸透クロマトグラフィーを使用してポリアクリル酸ナトリウム塩標準に対して評価)
のうちの少なくとも1つ以上又はすべてにより特徴づけられうる。
ポリ酸の分子量が高すぎる場合、本明細書に記載の部品のキット中に含有される組成物を混合するときに、得られたペーストの実施可能な粘稠度を得るのが困難になることがある。更に、組成物の調製が困難になることがある。加えて、得られた混合物又は組成物の粘着性が高くなりすぎる(すなわち、適用のために使用される歯科用機器に接着する)ことがある。
ポリ酸の分子量が低すぎる場合、得られたペーストの粘度が低くなりすぎ、最終産物の機械的特性が劣ると考えられる。
典型的には、ポリ酸は、複数の酸性繰り返し単位を有するポリマーである。
本明細書に記載のセメント組成物のために使用されるポリ酸は、重合性基を実質的に含まない。
ポリ酸は、完全に水溶性である必要はなく、他の水性成分と組み合わされるときにそれが実質的な沈降を起こすことのないよう、それは典型的には、少なくとも十分に水混和性である。
ポリ酸は、たとえば、酸反応性無機充填剤及び水の存在下で硬化性であるが、エチレン性不飽和基を含有しない。
すなわち、ポリ酸は、不飽和酸を重合することにより得られるポリマーである。しかしながら、製造プロセスにより、ポリ酸は、不可避の微量の遊離モノマー(たとえば、使用されるモノマーの量に対して、1又は0.5又は0.3重量%まで)を依然として含有することがある。
典型的には、不飽和酸は、炭素、硫黄、リン、又はホウ素のオキソ酸(すなわち、酸素含有酸)である。より典型的には、それは、炭素のオキソ酸である。
好適なポリ酸としては、たとえば、ポリアルケン酸、たとえば不飽和モノ−、ジ−、又はトリカルボン酸のホモポリマー及びコポリマーが挙げられる。
ポリアルケン酸は、不飽和脂肪族カルボン酸、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、グルタコン酸、アコニット酸、シトラコン酸、メサコン酸、フマル酸、及びチグリン酸の単独重合及び共重合により調製できる。
好適なポリ酸としては、マレイン酸及びエチレンの交互コポリマー(たとえばモルで1:1の比)もまた挙げられる。
好適なポリ酸はまた、以下の文献、米国特許第4,209,434号(Wilsonら)、米国特許第4,360,605号(Schmittら)に記載されている。これらの文献のポリ酸の説明に関する内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
好適なポリ酸はまた、たとえば3M ESPE(たとえばKetac(商標)Fil Plus Handmix)又はGC Company(たとえばFuji(商標)IX GP Handmix)製の市販製品の液体成分中の水溶液として含まれる。
ポリ酸の量は、酸反応性充填剤と反応し、所望の硬化特性を有するアイオノマー組成物を提供するのに十分であるべきである。
ポリ酸は、典型的には、以下の量、
下限:少なくとも3又は少なくとも5又は少なくとも10重量%、
上限:最大で70又は最大で60又は最大で50重量%、
範囲:3〜70又は5〜60又は10〜50重量%
で存在し、
重量%は、液体部品Lの重量に対するものである。
ポリ酸の量が多すぎる場合、本明細書に記載の部品のキット中に含有される組成物を混合するときに、得られたペーストの実施可能な粘稠度を得るのが困難になることがある。更に、組成物の調製が困難になることがある。加えて、得られた混合物又は組成物の粘着性が高くなりすぎる(すなわち、適用のために使用される歯科用機器に接着する)ことがある。
ポリ酸の量が少なすぎる場合も、本明細書に記載の部品のキット中に含有される組成物を混合するときに、得られたペーストの実施可能な粘稠度を得るのが困難になることがある。更に、所望の機械的特性を達成するのが難しくなると考えられる。
ポリ酸は、それが望ましい場合には、粉末部品P中にも存在しうる。
液体部品Lは、錯化剤又はキレート剤を含有する。
錯化剤又はキレート剤の性質及び構造も、所望の結果を達成できないのでない限り、特には限定されない。
錯化剤又はキレート剤は、以下のパラメータ、
溶解性:水溶性(23℃で少なくとも50g/l水)、
分子量:50〜500g/mol、又は75〜300g/mol
のうちの少なくとも1つ以上又はすべてにより特徴づけられうる。
錯化剤又はキレート剤の具体的な例としては、酒石酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸(ethylene diamine tetra acetic acid、EDTA)、サリチル酸、メリト酸、ジヒドロキシ酒石酸、ニトリロ三酢酸(nitrilotriacetic acid、NTA)、2,4及び2,6ジヒドロキシ安息香酸、ホスホノカルボン酸、ホスホノコハク酸、並びにそれらの混合物が挙げられる。
更なる例は、たとえば米国特許第4,569,954号(Wilsonら)に見出すことができる。この文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
錯化剤又はキレート剤は、典型的には、ポリ酸のみを含有する部品、すなわち液体部品Lに添加される。
錯化剤又はキレート剤は、典型的には、以下の量、
下限:少なくとも0.1又は少なくとも1.0又は少なくとも1.5重量%、
上限:最大で12又は最大で10又は最大で8重量%、
範囲:0.1〜12又は1.0〜10又は1.5〜8重量%
で存在し、
重量%は、液体部品Lの重量に対するものである。
本明細書に記載の部品のキットの液体部品Lはまた、溶媒を含有していてもよい。
溶媒又は共溶媒の添加は、組成物の粘度及び粘稠性を調整するのに役立ちうる。
使用できる溶媒の例としては、アルコール(たとえばメタノール、エタノール、プロパノール)、ポリアルコール/ポリオール(たとえばエチレングリコール、グリセロール)及びそれらの混合物が挙げられる。
液体部品Lは、以下の特徴、
粘度:1から500Pa・s(28℃、10mmの直径、剪断速度:1s−1)、
密度:1.1から2.0g/cm
1gの液体部品L及び10mLの水の分散体(6の初期pH値を有する)の、5分の撹拌後のpH値:1から4の間
のうちのいずれか、2つ以上又はすべてにより特徴づけられうる。
粉末部品P若しくは液体部品Lのいずれか又は液体部品L及び粉末部品Pは、非凝集ナノサイズ粒子を含有する。
一実施形態によれば、液体部品Lが、非凝集ナノサイズ粒子を含有する。
非凝集ナノサイズ粒子を液体部品L中に置くことは、有益でありうる。なぜならこれは、所望のグラスアイオノマー組成物を調製するのに必要な粉末部品Pの量を低減するのに役立ちうるからである。したがって、よりバランスのとれた粉末/液体比が得られる。
別の一実施形態によれば、非凝集ナノサイズ粒子は、液体部品L中のみに含有される。
非凝集ナノサイズ粒子の性質及び構造も、所望の結果を達成できないのでない限り、特には限定されない。
非凝集ナノサイズ粒子は、非毒性で、ヒトの口内での使用に好適であるべきである。
非凝集ナノサイズ粒子は、放射線不透過性又は放射線透過性でありうる。
非凝集ナノサイズ粒子は、典型的には、非酸反応性である。すなわち、粒子は、水の存在下でポリ酸と組み合わされた場合、グラスアイオノマーセメント反応において硬化しない。
一実施形態によれば、非凝集ナノサイズ粒子は、以下のパラメータ、
平均粒径:5nm〜500nm又は5〜300nm又は5〜200nm、
2μmよりも大きい粒子を含有しない、
1gのナノサイズ粒子及び10mLの水の分散体(6の初期pH値を有する)の、5分の撹拌後のpH値:4から7の間
のうちの少なくとも1つ以上又はすべてにより特徴づけられうる。
好ましい一実施形態によれば、非凝集ナノサイズ粒子は、以下、
a)シリカをベースとすること、
b)表面処理されていないこと、
c)酸反応性でないこと、
d)5nm〜150nmの範囲の平均粒径を有すること、
e)液体部品L中にのみ存在すること、及び/又は
f)組成物全体の重量に対して、0.1〜20重量%若しくは0.2〜15重量%の量で存在すること
のうちのいずれか又はすべてにより特徴づけられる。
粘性の低い組成物を提供するために、以下の特徴の組合せが好ましいこともある。すなわち、a)及びd)又はa)及びf)又はa)、b)及びc)又はb)、c)及びd)。
したがって、本明細書に記載の非凝集ナノサイズ粒子は、表面処理又は非表面処理でありうる。
一実施形態によれば、非凝集ナノサイズ粒子は、反応部分、たとえば(メタ)アクリレート部分を含まない表面処理剤を用いて表面処理されている。
反応部分を含まない好適な表面処理剤としては、ポリエチレン残基を有するシラン、アルキル残基(たとえばC〜C12残基)を有するシランが挙げられる。
更なる例としては、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン等が挙げられる。
反応部分を含まない表面処理剤を用いて表面処理されている非凝集ナノサイズ粒子を使用することは、貯蔵中にナノサイズ粒子の粒塊を防止するのに役立ちうるのであり、及び/又は、それらが本明細書に記載の部品のキットの粉末部品P中に含有される場合、それゆえ、より貯蔵安定性が高くなる。この所望の効果を達成するため、粒子の完全な表面被覆は、通常は必要なく、所望もされない。このことにより、粒子表面上の遊離ヒドロキシル基は、充填剤の親水性を保存し続ける。
代わりに又は加えて、これらの表面処理粒子を使用することは、有利でありうる。なぜなら、親水性シランを用いた処理は、充填剤の親水性を更に増強できるからである。これは、充填剤が水と組み合わされる場合、製造プロセス中に有益でありうる。
これとは対照的に、反応部分、たとえば(メタ)アクリレート部分を含む表面処理剤を用いて表面処理された充填剤は、安定性が低下することがあり、貯蔵中に重合を開始しうる。
反応部分を有する表面処理剤の例は、3−メタクリル−オキシプロピル−トリメトキシシラン(3−methacryl−oxypropyl−trimethoxysilane、MPTS)、8−メタクリロイルオキシオクチルトリメトキシシラン、9−メタクリロイルオキシノニルトリメトキシシラン、10−メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリメトキシシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルジクロロメチルシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルトリクロロシラン、11−メタクリロイルオキシウンデシルジメトキシメチルシラン、12−メタクリロイルオキシドデシルトリメトキシシラン、13−メタクリロイルオキシトリデシルトリメトキシシラン等である。
非凝集ナノサイズ粒子の平均粒径が上述の範囲を超える場合、最終的に得られるペーストの粘稠度は適切でないことがあり、加えて、所望の機械的特性を得るのが困難になることがある。
非凝集ナノサイズ粒子の平均粒径が上述の範囲未満である場合も、最終的に得られるペーストの所望の粘稠度が適切でないことがある。
更に、粒子が粒塊した場合、最終的に得られるペーストの粘稠度が適切でないことがあるか、又は所望の機械的特性を得るのが困難になることがあるか、又はそれらの両方である。
非凝集粒子が使用されることを保証する適切な測定としては、原料のTEM、原料及び中間物の光散乱、混合及び硬化組成物のSEMが挙げられる。
使用される粒子の粒径はきわめて小さい(500nm未満)ので、ゾル−ゲル合成から得られる粒子が特に有用だと判明している。
好適な非凝集ナノサイズ粒子はまた、以下の文献、米国特許出願公開第2005/0252413号(A1)(Kangasら)及び米国特許第7,393,882号(Dong Wuら)に記載されている。これらの文献の非凝集ナノサイズ粒子の説明に関する内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
非凝集ナノサイズ粒子が液体(たとえば水)中の粒子の分散体又はゾルとして提供される場合、それは有益でありうる。これはまた、組成物のより容易な配合を可能にしうる。
ナノサイズ粒子が水性分散体又はゾルとして提供される場合、組成物中の水及び充填剤の量が算出又は決定されるときには、水性分散体又はゾル中の水の量を考慮しなければならない。
一実施形態によれば、非凝集ナノサイズ粒子の表面は、たとえばシランを用いて表面処理されていない。
チタニア又はジルコニアをベースとする他のナノサイズ粒子とは対照的に、シリカ又はアルミナをベースとするナノサイズ粒子が好ましい。
好適な非凝集ナノサイズ粒子の例は、非凝集シリカ粒子(たとえば、製品名NALCO COLLOIDAL SILICAS、たとえばNALCO製品#1040、1042、1050、1060、2327及び2329のNalco Chemical Co.(Naperville,Ill.)製の、又はたとえばタイプ「50/50%」を含む商品名Levasil(商標)のObermeier、バートベルレブルク、ドイツ製の、シリカ分散体)及び非凝集アルミナ粒子を含むが、これらに限定されない材料である。
これらの非凝集ナノサイズ粒子の混合物もまた、それが望ましい場合には使用できる。
チタニア又はジルコニアをベースとするナノサイズ粒子は、多くの場合、不透明すぎる組成物をもたらす。なぜならそれらは、系において粒塊又は沈殿する傾向にあり、したがって、審美歯科修復を提供するのに好適でないからである。
ナノサイズ粒子は、典型的には、以下の量、
下限:少なくとも0.1又は少なくとも0.2又は少なくとも1重量%、
上限:最大で50又は最大で40又は最大で30重量%、
範囲:0.1〜50又は0.2〜40又は1〜30重量%
で存在する。重量%は、組成物全体の重量に対するものである。
本明細書に記載の部品のキットの粉末部品P若しくは液体部品Lのいずれか又は粉末部品P及び液体部品Lはまた、ナノサイズ粒子とは異なる他の非酸反応性充填剤を含有しうる。
非酸反応性充填剤の平均粒径は、それが存在する場合には、非凝集ナノサイズ粒子の平均粒径よりも大きい。
一実施形態によれば、非酸反応性充填剤は、以下のパラメータ、
平均粒径:約1〜約10μm、
(d10/μm):0.2μm〜2μm、(d50/μm):0.5μm〜5μm、(d90/μm):1μm〜15μm
のうちの少なくとも1つ以上又はすべてにより特徴づけられうる。
好適な非酸反応性充填剤の例は、石英、窒化物(たとえば窒化ケイ素)、たとえばZr、Sr、Ce、Sb、Sn、Ba、Zn及びAlに由来するガラス、ホウケイ酸ガラス、カオリン、シリカ粒子(たとえば好適な粒径の石英ガラス又は焼成シリカ)、アルミナ、チタニア及びジルコニア粒子を含むが、これらに限定されない、天然又は人工材料である。
一実施形態によれば、非酸反応性充填剤は、石英、石英ガラス、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート及びそれらの混合物から選択される。
酸反応性充填剤の粒子の表面は、それが望ましい場合には、表面処理できる。
表面処理を実施することは、グラスアイオノマー組成物の他の成分との充填剤の相溶性を改善するために有益でありうる。
好適な表面処理剤としては、シラン、たとえば粒子の化学的特性を改変する有機官能基を有するトリメトキシシランが挙げられる。好適なシランは、たとえば、酸性特性を改変するシラン(アミノ基を有するか又はカルボン酸基を有する)、又は疎水性/親水性を改変するシラン(アルカン鎖を有するか又はポリエチレングリコール鎖を有する)である。
非酸反応性充填剤は、それが存在する場合には、典型的には、以下の量、
下限:少なくとも5又は少なくとも10又は少なくとも15重量%、
上限:最大で60又は最大で50又は最大で40重量%、
範囲:5〜60又は10〜50又は15〜40重量%
で存在し、
重量%は、組成物全体の重量に対するものである。
本明細書に記載の部品のキットの粉末部品P若しくは液体部品Lのいずれか又は粉末部品P及び液体部品Lはまた、添加剤を含有しうる。
存在してもよい添加剤としては、指示薬、染料、顔料、粘度調整剤、界面活性剤、緩衝剤、安定剤、保存剤(たとえば安息香酸)が挙げられる。
添加剤が存在する場合、粉末部品Pは、粉末形態でも提供できる添加剤のみを含有する。
上の添加剤のうちの任意のものの組合せもまた用いうる。任意の1種のかかる添加剤の選択及び量は、過度の実験なしに所望の結果を達成するよう当業者が選択できる。
それらの成分が存在する必要はないが、しかしながら、それらが存在する場合には、個々の成分は、典型的には、各部品(L又はP)の重量に対して、5重量%未満又は3重量%未満又は1重量%未満の量で存在する。
それらの成分の有用な範囲としては、各部品(L又はP)の重量に対して、0.01〜5重量%又は0.05〜3重量%又は0.1〜1重量%が挙げられる。
典型的には、本明細書に記載の部品のキットの粉末部品Pも液体部品Lも、以下の成分、
a)1重量%を超える又は0.5重量%を超える量のHEMA、
b)1重量%を超える又は0.5重量%を超える量のラジカル重合性成分、
c)1重量%を超える又は0.5重量%を超える量の、ラジカル重合性成分又はモノマーを硬化させるのに好適な開始剤成分、
d)1重量%を超える又は0.5重量%を超える量の、メトキシフェノール又は3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルオール等の阻害剤
のいずれも、単独でも組み合わせても含有しない。
したがって、本明細書に記載の部品のキットの粉末及び液体部品を混合するときに得られた組成物は、いわゆる樹脂変性グラスアイオノマーセメント(RM−GIC)ではなく、したがって、ラジカル重合性成分を硬化するのに好適な硬化系を含有しない。
特に、本明細書に記載のセメント組成物は、レドックス開始剤系又は熱誘導開始剤系、又は放射線誘導開始剤系を含有しない。
特に、本明細書に記載のセメント組成物は、組成物全体の重量に対して、1重量%を超える又は0.5重量%を超える又は0.1重量%を超える量の以下の成分、
(a)及び(b)、
(b)及び(c)、
(a)、(b)及び(c)、
(b)、(c)及び(d)、
(a)、(b)、(c)及び(d)
を含有しない。
すなわち、本明細書に記載のセメント組成物は、典型的には、これらの成分のいずれも、単独でも組み合わせても本質的に含まない。
本明細書に記載の部品のキットの粉末部品P及び液体部品Lを混合するときに得られたグラスアイオノマー組成物は、典型的には、以下の通り特徴づけられる。すなわち、
非凝集ナノサイズ粒子を以下の量、
下限:少なくとも0.1又は少なくとも0.2又は少なくとも1重量%、
上限:最大で50又は最大で40又は最大で30重量%、
範囲:0.1〜50又は0.2〜40又は1〜30重量%、
で含み、
酸反応性充填剤を以下の量、
下限:少なくとも30又は少なくとも40又は少なくとも50重量%、
上限:最大で85又は最大で80又は最大で75重量%、
範囲:30〜85又は40〜80又は50〜75重量%、
で含み、
水を以下の量、
下限:少なくとも6又は少なくとも8又は少なくとも10重量%、
上限:最大で20又は最大で19又は最大で18重量%、
範囲:6〜20又は8〜19又は10〜18重量%、
で含み、
ポリ酸を以下の量、
下限:少なくとも2又は少なくとも4又は少なくとも7重量%、
上限:最大で40又は最大で30又は最大で20重量%、
範囲:2〜40又は4〜30又は7〜20重量%、
で含み、
錯化剤又はキレート剤を以下の量、
下限:少なくとも0.1又は少なくとも0.5又は少なくとも1.0重量%、
上限:最大で10又は最大で8又は最大で6重量%、
範囲:0.1〜10又は0.5〜8又は1.0〜6重量%、
で含み、
任意選択で、非酸反応性充填剤を以下の量、
下限:0又は少なくとも2又は少なくとも4重量%、
上限:最大で40又は最大で35又は最大で30重量%、
範囲:0〜40又は2〜35又は4〜30重量%、
で含み、
任意選択で、添加剤を以下の量、
下限:0又は少なくとも2又は少なくとも4重量%、
上限:最大で25又は最大で20又は最大で15重量%、
範囲:0〜25又は2〜20又は4〜15重量%、
で含む。
上の量に関して、重量%は、部品のキットの部品を混合するときに得られた組成物全体の重量を指す。
粉末部品P及び液体部品Lを混合するときに得られた組成物中に含有される充填剤(非凝集ナノサイズ粒子、酸反応性充填剤及び任意選択で非酸反応性充填剤)の量は、典型的には、50又は55又は60重量%を超える。
粉末部品P及び液体部品Lを混合するときに得られた組成物の含水量は、20又は19又は18又は17重量%未満である。
低い含水量と組み合わされた高い充填剤含有量は、典型的には、硬化組成物の機械的特性、たとえば圧縮強度を改善するのに役立つ。
本発明はまた、本明細書に記載の部品のキットの各部品中に含有される成分を混合するときに得られるか又は得られた組成物に関する。
一実施形態によれば、本明細書に記載の部品のキットの2つの部品を混合することにより得られたか又は得られる組成物は、硬化前又は硬化中に、以下のパラメータ、
硬化時間:EN−ISO 9917−1:2007に従って決定して、約5又は4又は3分以内、
作用時間:EN−ISO 9917−1:2007に従って決定して、約4又は3又は2又は1分以内、
粘度:粉末部品P及び液体部品Lの成分の混合開始90秒後に測定して、28℃で2,000〜10,000Pa・s
のうちの少なくとも1つ以上又はときにすべてを満たす。
硬化時間及び硬化挙動を、それが望ましい場合には、下の実施例セクションにより詳細に記載の通り決定できる。
本明細書に記載の組成物は、典型的には、施術者が組成物を適切に混合するだけでなく、組成物を窩洞又は歯冠、ブリッジ、根管若しくは義歯の表面に適用することをも可能にするのに十分な作用時間を有する。
更に、本明細書に記載の組成物は、施術者の時間を節約し、患者にとって便利である、適切な硬化時間を有する。
別の一実施形態によれば、本明細書に記載の部品のキットの2つの部品を混合することにより得られたか又は得られる組成物は、硬化後に、以下のパラメータ、
曲げ強度:EN−ISO 9917−2:2010に従って測定して、約20又は約25MPaを超え、但し、組成物を被覆するため、ガラススラブをホイルの代わりに使用する、
圧縮強度:EN−ISO 9917−1/2007に従って測定して、約100又は約120又は約150MPaを超え、但し、組成物を被覆するため、ガラススラブをホイルの代わりに使用する
のうちの少なくとも1つ以上又はときにすべてを満たす。
これらのパラメータは、それが望ましい場合には、下の実施例セクションに記載の通り決定できる。
市販されている最新のグラスアイオノマーセメント組成物と比べ、本明細書に記載の組成物は、容易に混合でき、適切な機械的特性、たとえば圧縮及び/又は曲げ強度を、他の重要なパラメータ、たとえば硬化時間に影響を及ぼすことなく有する。
一実施形態によれば、本発明は、歯科使用のためのグラスアイオノマー組成物を調製するための部品のキットであって、
部品のキットは、粉末部品P及び液体部品Lを含み、
粉末部品Pは、
酸反応性無機充填剤
を含み、
液体部品Lは、
水、
錯化剤、
ポリ酸、
非凝集ナノサイズ粒子
を含み、
粉末部品P及び液体部品Lの成分を組み合わせることにより得られた硬化前の組成物は、以下の量の成分、
非凝集ナノサイズ粒子:2〜10重量%、
50〜75重量%の量の酸反応性充填剤、
ポリ酸:10〜20重量%、
錯化剤:0.5〜3重量%、
水:9〜17重量%
を含み、
重量%は、組成物全体の重量に対するものであり、
非凝集ナノサイズ粒子は、以下、
シリカ又はアルミナ、好ましくはシリカをベースとすること、
表面処理されていないこと、
酸反応性でないこと、
5nmから150nmの範囲の平均粒径を有すること、及び/又は
液体部品L中にのみ存在すること
の通り特徴づけられる、部品のキットに関する。
更なる一実施形態によれば、本発明は、歯科使用のためのグラスアイオノマー組成物を調製するための部品のキットであって、
部品のキットは、粉末部品P及び液体部品Lを含み、
粉末部品Pは、
酸反応性無機充填剤
を含み、
液体部品Lは、
水、
錯化剤、
ポリ酸、
非凝集ナノサイズ粒子
を含み、
粉末部品P及び液体部品Lの成分を組み合わせることにより得られた硬化前の組成物は、以下の量の成分、
非凝集ナノサイズ粒子:2〜10重量%、
50〜75重量%の量の酸反応性充填剤、
ポリ酸:10〜20重量%、
錯化剤:0.5〜3重量%、
水:9〜17重量%
を含み、
重量%は、組成物全体の重量に対するものであり、
非凝集ナノサイズ粒子は、以下、
シリカ又はアルミナ、好ましくはシリカをベースとすること、
表面処理されていないか若しくは反応部分を含まない表面処理剤を用いて表面処理されているかのいずれかであること、
酸反応性でないこと、
5nmから150nmの範囲の平均粒径を有すること、及び/又は
液体部品L中にのみ存在すること
の通り特徴づけられる、部品のキットに関する。
本明細書に記載の部品のキットの部品は、各部品の個別の成分を単純混合することにより製造できる。
必要ならば、充填剤粒子を、当業者に既知の設備、たとえばボールミルを使用して、所望の粒径へとミリングできる。
混合は、手作業によるか又は機械デバイス、たとえば混合機若しくは混練機を用いてのいずれかで達成できる。混合時間は、組成物及び混合デバイスに応じて様々でありえ、均質なペーストを得るのに十分な長さであるべきである。
一実施形態によれば部品のキットの液体部品Lは、各成分を以下の順序で提供及び添加することにより調製される。すなわち、a)水及び非凝集ナノサイズ粒子の分散体、b)錯化剤、c)ポリ酸。
かかる順序が特に有用であることが見出された。なぜなら、個々の部品の目詰まり又は沈降のリスクが低減されるからである。
本明細書に記載の部品のキットは、異なる実施形態で施術者に提供できる。
粉末部品及び液体部品は、別々の密封可能な容器(たとえばプラスチック又はガラスでできた)内に含有されてもよい。
使用のために、施術者は、成分の適切な一部を容器から取り、その一部を手作業により混合プレート上で混合できる。
好ましい一実施形態によれば、各部品は、デリバリーシステムの別々のコンパートメント内に含有される。
したがって、本発明はまた、本明細書に記載の部品のキットの貯蔵及び送達のためのデバイスであって、デバイスは、貯蔵中に互いから隔てられた粉末部品Pを含有するコンパートメントA及び液体部品Lを含有するコンパートメントB、並びに、コンパートメントA又はコンパートメントBのいずれかに接続されたノズルを含み、コンパートメントAは0.5〜3mL又は0.8〜2mLの範囲の容積を有し、コンパートメントBは0.05〜1mL又は0.08〜0.5mLの範囲の容積を有する、デバイスに関する。
粉末部品P及び液体部品Lの混合比は、典型的には、重量に関して6:1〜1:1、好ましくは4:1〜1:1である。
他の好適なデリバリーシステムは、たとえば、米国特許第6,543,611号(B1)(3M ESPE)、米国特許第4,941,751号(Muehlbauer)、米国特許第5,088,830号(Muehlbauer)、米国特許第6,386,872号(Muasaら)又は欧州特許出願公開第0 783 872号(A2)(Voco)に記載されている。これらの参考文献の内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
本明細書に記載の部品のキットの各部品を混合するときに得られたか又は得られる組成物は、歯科用合着セメント、歯科用充填材、歯科用コアビルドアップ材、歯科用裏張り若しくは歯科用根管充填材として、又はそれらを製造するために、特に有用である。
典型的な適用は、以下の工程、
a)粉末部品P及び液体部品Lを混合し、硬化性組成物を得ること、
b)硬化性組成物を歯の硬組織の表面に適用すること、
c)硬化組成物を硬化させること
を含む。
本明細書に記載の部品のキットは、典型的には、使用説明書を更に含む。
使用説明書は、典型的には、部品のキットを貯蔵する方法、部品のキットの各部品を混合する方法及び/又は部品を混合することにより得られた組成物を歯の硬組織の表面に適用する方法のヒントを含む。
本発明はまた、グラスアイオノマー組成物、特に、本明細書に記載の粉末部品P及び液体部品L中に含有される成分を混合することにより得られる又は得られたグラスアイオノマー組成物の粘度を低減するために、本明細書に記載のナノ粒子を使用する方法に関する。
本発明の歯科用組成物において使用されるすべての成分が、十分に生体適合性であるべきであり、すなわち、組成物は、毒性反応、有害反応、又は免疫反応を生体組織にもたらすべきではない。
本明細書に引用した特許、特許文献、及び刊行物の全開示は、それぞれが個別に組み込まれたかのごとく、それらの全体が参照により組み込まれる。本発明に対する様々な修正及び変更が、本発明の範囲及び趣旨から逸脱することなしに、当業者に明らかとなると考えられる。本明細書、実施例及びデータは、本発明の組成物及び方法の製造及び使用の説明を提供する。本発明は、本明細書に開示の実施形態に限定されない。当業者は、本発明の多くの代替的実施形態を、その趣旨及び範囲から逸脱することなしに実施できることを認めると考えられる。
以下の実施例は、本発明の範囲を例示するために記載され、それを限定するために記載されるのではない。
特に指示のない限り、すべての部及び百分率は重量に基づき、すべての水は脱イオン水であり、すべての分子量は重量平均分子量である。更に、特に指示のない限り、すべての実験は、周囲条件(23℃、1013mbar)下で実施した。
方法
密度
所定の容積を有する容器内に組成物を充填し、容器の重量を組成物ありとなしで測定することにより、組成物の密度を測定した。重量差を所定の容積で除算することにより、組成物の密度を得る。容器の充填中に、気泡の混入を回避するか又はそれが少なくとも最小限となるよう留意した。
粘度
組成物の粘度を、Anton Paar製Physica MCR 300レオメーターを用いて測定した。測定は、ディスクセットアップ上の直径10mmの回転ディスクにおいて実施した。温度を28℃、ギャップを2mm、剪断速度を1s−1に設定した。
測定ギャップを充填するのに必要とされるよりも多くの材料を使用し、過剰な材料は測定前に除去しなかった。過剰な材料が、回転10mmシリンダーの側部と接触しないよう留意した。
測定開始後31〜35秒に採取した5つの値を平均した。この時間枠は、混合手順の開始後88〜92秒に当たり、混合手順の開始後90秒の粘度の値を表す。反復決定を全試料について行った。
pH値
pH電極を用いて、溶液及び分散体のpH値を測定した。
圧縮強度(Compressive Strength、CS)
EN−ISO 9917−1:2007に従って圧縮強度の測定を実施したが、但し、組成物を被覆するため、ガラススラブをホイルの代わりに使用する。
直径4mm、高さ6mmの円筒形標本を使用した。材料の標本は、室温及び50%の相対湿度で、割り型を使用して調製した。型を顕微鏡スライド上に置き、気泡の混入を回避するよう、混合材料を徹底して充填した。充填された型をすぐに別のガラススラブを用いて被覆し、わずかな圧力でねじクランプに固定し、過剰な材料を押し出した。アセンブリ全体を、36℃、少なくとも95%の相対湿度で貯蔵した。混合開始1時間後、型から標本を除去し、すぐに36℃の水中に置いた。各材料について6つの標本を調製した。混合開始24時間後に材料を測定した。測定前に、各標本の正確な直径を測定した。クロスヘッド速度1mm/minで作動するZwick万能試験機(Zwick GmbH&Co.KG,Ulm、ドイツ)を使用して圧縮負荷を適用することにより、標本の強度を測定した。結果を、6回の反復の平均として報告した。
曲げ強度(Flexural Strength、FS)
EN ISO 9917−2:2010に基づいて曲げ強度を測定したが、但し、組成物を被覆するため、ガラススラブをホイルの代わりに使用する。
試料を調製するのに25mm×2mm×2mmの寸法を有する矩形割り型を使用したことを除き、圧縮強度試験について上に記載した通り標本を調製した。標本を支持体上で20mm離して、1mm/minのクロスヘッド速度で3点曲げに供した。
粒径(非酸反応性充填剤及び酸反応性充填剤のマイクロサイズ粒子に好適)
平均粒径を含む粒径分布を、それが望ましい場合には、Cilas 1064(FA.Quantacrome)粒径検出デバイスを用いて決定できる。測定中、試料を正確に分散させるために超音波を使用した。
粒径(ナノサイズ粒子に好適)
633nmの光の波長を有する赤色レーザーを備える光散乱型粒径測定装置(「ZETA SIZER−Nano Series,Model ZEN3600」の商品名でMalvern Instruments Inc.,Westborough,MAから得られる)を使用して、粒径測定を、それが望ましい場合には実施できる。各試料を、1平方センチメートルのポリスチレン試料キュベット内で解析する。試料は1:100で希釈され、たとえば1gの試料が100gの脱イオン水に添加されて混合された。試料キュベットに、約1グラムの希釈試料を充填した。次に、試料キュベットを機器内に置き、25℃で平衡化した。機器のパラメータを以下の通り設定した。すなわち、分散剤屈折率1.330、分散剤粘度0.8872mPa・s、材料屈折率1.43、及び材料吸収値0.00単位。次に、自動粒径測定手順を実行する。機器は、粒径を最も良好に測定するよう、レーザー光位置及び減衰器設定を自動的に調整する。
光散乱型粒径測定装置は、試料にレーザーを照射し、粒子から散乱した光の強度変動を173度の角度で解析した。機器で光子相関分光法(Photon Correlation Spectroscopy、PCS)を使用し、粒径を算出する。PCSは、変動する光の強度を使用して、液体中の粒子のブラウン運動を測定する。次に、測定された速度で移動する球体の直径として粒径を算出する。
粒子により散乱される光の強度は、粒径の6乗に比例する。Z平均粒径又はキュムラント平均は、強度分布から算出される平均であり、この計算は、粒子が単峰性、単分散、及び球状であるという仮定に基づいている。変動する光の強度から算出される関連関数は、強度分布及びその平均である。強度分布の平均は、粒子が球状であるという仮定に基づいて算出される。Z平均粒径及び強度分布平均の両方が、小さい粒子よりも大きな粒子に対して感度が高い。
体積分布は、所定の粒径範囲の粒子に対応する粒子の総体積の百分率をもたらす。体積平均粒径は、体積分布の平均に対応する粒径である。粒子の体積は、その直径の3乗に比例するため、この分布は大きな粒子に対してZ平均粒径よりも感度が低い。したがって、体積平均は、典型的には、Z平均粒径よりも小さい値であると考えられる。
本書面の範囲では、Z平均粒径は、「平均粒径」と称される。
分子量
分子量(Mw)を、それが望ましい場合には、ポリアクリル酸ナトリウム塩標準に対してゲル浸透クロマトグラフィー(gel permeation chromatography、GPC)により決定できる。
特に、以下の器具が有用であることが見出された。すなわち、2*PSS Suprema 3000A、8*300mm、10μmカラムを備えるPSS SECurity GPC System、溶出剤:84mMのNa2HPO4+200ppmのNaN3、流速:1mL/min。
作用時間(ta)及び硬化時間(te)
調製されたグラスアイオノマーセメント組成物の硬化挙動は、それが望ましい場合には、以下のパラメータを適用したPhysica MCR 301レオメーター(Anton Paar)を使用して決定できる。すなわち、
ディスクセットアップ上の8mmディスクを用いた振動測定、ギャップ0.75mm、変形率1.75%、周期数:1.25HZ、温度:28℃。
損失角(ドイツ語で「Verlustwinkel」)を経時的に記録し、グラフの最大(ta)及び最小(te)を決定した。最大及び最小に関する2つの測定の平均をmin:secで記載する。
Figure 0006979403
液体組成物1
0.73gの脱イオン水、0.17gの酒石酸、1.16gのポリ酸及び0.34gのLevasil(商標)50/50(50%の水及び50%の表面処理なしのシリカ粒子を含有)を含有する液体組成物#1を調製した。電磁撹拌器を用いて混合することにより、均質な混合物を得た。
混合ペーストの粘度と同様に、液体組成物1の粘度を決定した:17Pa・s。
液体組成物2
0.21gの酒石酸、1.38gのポリ酸及び2.68gのLevasil(商標)50/50(50%の水及び50%の表面処理なしのシリカ粒子を含有)を含有する液体組成物#2を調製した。電磁撹拌器を用いて混合することにより、均質な混合物を得た。撹拌を継続しながら、単純に混合容器の蓋を開くことにより、0.27gの水を室温で蒸発させた。
混合ペーストの粘度と同様に、液体組成物2の粘度を決定した:123Pa・s。
液体組成物3
以下の仕方で液体組成物#3を調製した。すなわち、
アンモニア溶液を触媒として用いて、シラン(X−12−967C)を加水分解した。加水分解は、pH値9で生じた。Levasil(商標)50/50%中1gのシリカ当たり0.236mmolのシランを用いてシラン処理を実施した。溶媒はエタノールであり、シリカに対するエタノールの重量比は50:50だった。16時間、70℃でシラン処理を実施した。ロータリーエバポレーター内で混合物を乾燥させた。乾燥物質をふるい分け(500μm)し、ロータリーエバポレーター内でシラン処理を固定した(標準圧、100℃、1時間)。
2.70gの脱イオン水、0.51gの酒石酸、3.48gのポリ酸及び0.51gのシリカ粒子(X−12−967Cを用いて表面処理)を含有する液体組成物#3を調製した。電磁撹拌器を用いて混合することにより、均質な混合物を得た。
混合ペーストの粘度と同様に、液体組成物3の粘度を決定した:12Pa・s。
粉末組成物4
以下の仕方で粉末組成物#4を調製した。すなわち、
100.0gのNalco(商標)2326(16.5%の固形分)を、5.07gのイソオクチルトリメトキシシラン、3.61のSilquest(商標)A1230、90gのエタノール及び23gのメタノールと、オーバーヘッド機械スターラー及び水冷コンデンサを備える三つ口丸底フラスコ内で組み合わせた。成分を撹拌しながら、80℃まで一晩加熱した。次に、表面修飾粒子を150℃で、通気されたオーブン内で乾燥するまで乾燥させた。ナノ粒子をすり鉢及びすりこぎを用いて粉砕し、更なる精製なしに使用した。
適量の材料(全部で50g)(0.5重量%のナノ粒子及び99.5重量%のアイオノマーガラス粉末(Ketac(商標)Molar ART粉末))を、プラスチックカップ内に置き、FlackTek DAC 150FVZ Speedmixer(FlackTek,Inc,Landrum,SC、米国)を使用して混合した。試料をそれぞれ60秒間、3,000rpmで混合した。
粉末組成物5
以下の仕方で粉末組成物#5を調製した。すなわち、
100gのNalco(商標)2326(16.5%の固形分)を、2.14gのイソオクチルトリメトキシシラン、0.84gのメチルトリメトキシシラン、90gのエタノール及び23gのメタノールと組み合わせた。反応時間/温度及び検査は、粉末組成物#4に関して記載のものと同じである。
液体組成物6
4.03gの脱イオン水、0.78gの酒石酸及び5.19gのポリ酸を含有する液体組成物#6を調製した。電磁撹拌器を用いて混合することにより、均質な混合物を得た。
混合ペーストの粘度と同様に、液体組成物6の粘度を決定した:11Pa・s。
液体組成物7
2.70gの脱イオン水、0.51gの酒石酸、3.48gのポリ酸及び0.51gのAerosil(商標)Ox50(表面処理なしのヒュームドシリカ粒子)を含有する液体組成物#1を調製した。電磁撹拌器を用いて混合することにより、均質な混合物を得た。
混合ペーストの粘度と同様に、液体組成物1の粘度を決定した:48Pa・s。
本発明の実施例1
液体組成物#1を、アイオノマーガラス粉末(Ketac(商標)Molar ART粉末)と、1:2.5の重量比で、スパチュラを用いて混合した。
本発明の実施例2
液体組成物#2を、アイオノマーガラス粉末(Ketac(商標)Molar ART粉末)と、1:1.5の重量比で、スパチュラを用いて混合した。
本発明の実施例3
液体組成物#3を、アイオノマーガラス粉末(Ketac(商標)Molar ART粉末)と、1:2.5の重量比で、スパチュラを用いて混合した。
本発明の実施例4
液体組成物#6を、粉末組成物#4と、1:2.76の重量比で、スパチュラを用いて混合した。
本発明の実施例5
ポリ酸組成物#6を、粉末組成物#5と、1:2.76の重量比で、スパチュラを用いて混合した。
比較例6
液体組成物#6を、アイオノマーガラス粉末(Ketac(商標)Molar ART粉末)と、1:2.76の重量比で、スパチュラを用いて混合した。
比較例7
液体組成物#7を、アイオノマーガラス粉末(Ketac(商標)Molar ART粉末)と、1:2.5の重量比で、スパチュラを用いて混合した。
得られたペーストの粘度を決定した。加えて、硬化組成物の圧縮強度及び曲げ強度を決定した。
Figure 0006979403
実施例は、混合組成物中の酒石酸、ポリ酸及び水の量を一定に保つようデザインされた。なぜなら水の量は、混合ペーストの粘度に影響を及ぼしうるからである。ナノ粒子の量は、アイオノマーガラスの量から減算された。
わかるのは、非凝集ナノサイズ無機粒子の添加がたとえ少量であっても、かかる粒子を有しない比較例6の組成物よりも低い粘度を有する組成物をもたらすことである。混合ペーストの低粘度は、有益な(手作業)混合特性を示す。
ヒュームドシリカの凝集粒子を有する比較例7の組成物は、良好な機械値を有するが、混和性が不十分で、選択された測定設定を用いて測定するには混合ペーストの粘度が高すぎた。

Claims (12)

  1. 歯科使用のためのグラスアイオノマー組成物を調製するための部品のキットであって、
    前記部品のキットが、粉末部品P及び液体部品Lを含み、
    粉末部品Pが、
    酸反応性無機充填剤
    を含み、
    液体部品Lが、
    水、
    錯化剤又はキレート剤、
    ポリ酸
    を含み、
    前記粉末部品Pが、シリカ又はアルミナをベースとする非凝集ナノサイズ粒子を含み、
    粉末部品P及び液体部品Lの成分を組み合わせることにより得られた硬化前の前記組成物が、以下の量の成分、
    非凝集ナノサイズ粒子:0.1〜15重量%、
    50〜75重量%の量の酸反応性充填剤、
    ポリ酸:7〜20重量%、
    錯化剤:0.5〜3重量%、
    水:5〜18重量%
    を含み、
    重量%が、前記組成物全体の重量に対するものである、
    部品のキット。
  2. 液体部品Lが、以下のパラメータ、
    粘度:1s−1の剪断速度で測定して、28℃で1〜500Pa・s、
    密度:1.1〜2.0g/cm
    1gの液体部品L及び10mLの水の分散体(6の初期pH値を有する)の、5分の撹拌後のpH値:1〜4の間
    のうちの少なくとも1つ以上により特徴づけられる、請求項1に記載の部品のキット。
  3. 粉末部品Pの液体部品Lに対する比が、重量に関して4:1〜1:1である、請求項1又は2に記載の部品のキット。
  4. 前記非凝集ナノサイズ粒子が、以下の特徴、
    1gのナノサイズ粒子L及び10mLの水の分散体(6の初期pH値を有する)の、5分の撹拌後のpH値:4〜7の間、
    5nm〜500nmの範囲の平均粒径を有すること
    のうちのいずれか単独で又はそれらを組み合わせて特徴づけられる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の部品のキット。
  5. 前記非凝集ナノサイズ粒子が、以下の通り、
    シリカをベースとすること、
    表面処理されていないこと、
    酸反応性でないこと、
    5nm〜200nmの範囲の平均粒径を有すること、
    液体部品L中にのみ存在すること、及び/又は
    前記組成物全体の重量に対して、2〜10重量%の量で存在すること
    により更に特徴づけられる、請求項1〜4のいずれか一項に記載の部品のキット。
  6. 前記酸反応性充填剤が、以下の特徴、
    1gの充填剤及び10mLの水の分散体(6の初期pH値を有する)の、5分の撹拌後のpH値:6〜10の間、
    3〜10μmの範囲の平均粒径を有すること
    のうちの少なくとも1つ以上により特徴づけられる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の部品のキット。
  7. 前記酸反応性充填剤が、塩基性金属酸化物、金属水酸化物、ヒドロキシアパタイト、アルミノシリケートガラス、フルオロアルミノシリケートガラス、重量%によるSi/Al比が1.5未満であるガラス、及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の部品のキット。
  8. 前記ポリ酸が、ゲル浸透クロマトグラフィーを使用してポリアクリル酸ナトリウム塩標準に対して評価して、約2,000〜約250,000の分子量(Mw)を有する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の部品のキット。
  9. 前記錯化剤又はキレート剤が、酒石酸、クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、サリチル酸、メリト酸、ジヒドロキシ酒石酸、ニトリロ三酢酸、2,4及び2,6ジヒドロキシ安息香酸、ホスホノカルボン酸、ホスホノコハク酸、並びにそれらの混合物から選択される、請求項1〜8のいずれか一項に記載の部品のキット。
  10. 以下の成分、
    約1重量%を超える量の、チタニアをベースとする非凝集ナノサイズ粒子、
    約1重量%を超える量の、ジルコニアをベースとする非凝集ナノサイズ粒子、
    約1重量%を超える量のラジカル重合性成分、
    約1重量%を超える量の、重合性成分を硬化させるのに好適な開始剤成分、
    約1重量%を超える量の阻害剤
    のうちの少なくとも1つ、2つ以上又はすべてを含まず、
    重量%は、前記組成物全体の重量に対するものである、
    請求項1〜9のいずれか一項に記載の部品のキット。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の部品のキットの粉末部品P及び液体部品L中に含有された成分を組み合わせることにより得られ、硬化前に以下のパラメータ、
    粘度:1s−1の剪断速度で、粉末部品P及び液体部品Lの成分の混合開始90秒後に測定して、28℃で10,000Pa・s未満
    により特徴づけられる組成物。
  12. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の部品のキットの粉末部品P及び液体部品L中に含有された成分を組み合わせることにより得られ、硬化後に以下のパラメータ、
    曲げ強度:EN−ISO 9917−2:2010に従って測定して、20MPaを超える、
    圧縮強度:EN−ISO 9917−1/2007に従って測定して、100MPaを超える
    のうちの少なくとも1つ、2つ以上又はすべてにより特徴づけられる組成物。
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