JP2015052103A - ポリエステル樹脂、トナーバインダーおよびトナー組成物 - Google Patents

ポリエステル樹脂、トナーバインダーおよびトナー組成物 Download PDF

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Abstract

【課題】低温定着性と保存安定性の両立が可能であり、粉砕性に優れるトナーバインダーを提供する。【解決手段】多価アルコール(x1)、ポリカルボン酸(y1)と、炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)および/または炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)とを構成単位として有するポリエステル樹脂(A)であって、(x1)、(y1)、(x2)、(y2)の合計モル数に対して(x2)と(y2)の合計モル数の比率が2〜30モル%であり、ガラス転移温度が25〜50℃であり、かつ鉛筆硬度が2B〜6Hであることを特徴とするポリエステル樹脂(A)【選択図】なし

Description

本発明は、ポリエステル樹脂、トナーバインダーおよびトナー組成物に関する。
複写機、プリンタ等における画像の定着方式として一般的に採用されている熱定着方式用の電子写真用トナーバインダーには、高い定着温度でもトナーが熱ロールに融着せず(耐ホットオフセット性)、定着温度が低くてもトナーが定着できること(低温定着性)や、保存安定性、粉砕性が要求されている。
トナーの低温定着性能を向上させる目的で、高酸価とし、更にガラス転移温度と軟化点の差を規定したポリエステル樹脂を含有させる方法が知られている(特許文献1参照)。しかしながら、特許文献1に記載のトナー組成物は、保存安定性が劣るという課題がある。また、トナーの生産性の面からは、トナーバインダーの粉砕性が要求されるが、低温定着性能を向上させるために、トナーバインダーの低分子量化やガラス転移温度の低下を行った場合、著しく粉砕性を損ない生産性が低下する。
特開2008−122931号公報
本発明は、低温定着性と保存安定性の両立が可能であり、粉砕性に優れるトナーバインダーを提供することを目的とする。
本発明者等は、上記の課題を解決するべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。すなわち本発明は、多価アルコール(x1)、ポリカルボン酸(y1)と、炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)および/または炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)とを構成単位として有するポリエステル樹脂(A)であって、(x1)、(y1)、(x2)、(y2)の合計モル数に対する(x2)、と(y2)の合計モル数の比率が2〜30モル%であり、ガラス転移温度が25〜50℃であり、かつ鉛筆硬度が2B〜6Hであることを特徴とするポリエステル樹脂(A);および前記ポリエステル樹脂(A)を含有するトナーバインダーである。
本発明のポリエステル樹脂(A)を含有するトナーバインダーは、低温定着性と保存安定性の両立が可能であり、粉砕性に優れる。
多価アルコール(x1)としては、ジオール(x11)及び3価以上のポリオール(x1−2)が挙げられる。なお、(x1)は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ジオール(x11)としては、炭素数2〜10のアルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、および1,10−デカンジオール等);炭素数4〜10のアルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等);炭素数11〜36のアルキレングリコール(1,12−ドデカンジオール等);炭素数11〜36のアルキレンエーテルグリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、およびポリテトラメチレンエーテルグリコール等);炭素数6〜36の脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、および水素添加ビスフェノールA等);上記脂環式ジオールの(ポリ)オキシアルキレン(アルキレン基の炭素数2〜4(オキシエチレン、オキシプロピレン等)。以下のポリオキシアルキレン基も同じ)エーテル〔オキシアルキレン単位(以下AO単位と略記)の数1〜30〕;および2価フェノール〔単環2価フェノール(例えばハイドロキノン)、およびビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールFおよびビスフェノールS等)〕のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、およびビスフェノール類のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)が好ましい。
3価以上のポリオール(x12)としては、炭素数3〜36の3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール(アルカンポリオールおよびその分子内もしくは分子間脱水物、例えばグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ポリグリセリン、およびジペンタエリスリトール;糖類およびその誘導体、例えばショ糖およびメチルグルコシド);上記脂肪族多価アルコールの(ポリ)オキシアルキレンエーテル(AO単位の数1〜30);トリスフェノール類(トリスフェノールPA等)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30);ノボラック樹脂(フェノールノボラックおよびクレゾールノボラック等、平均重合度3〜60)のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、3〜8価もしくはそれ以上の脂肪族多価アルコール、およびノボラック樹脂のポリオキシアルキレンエーテル(AO単位の数2〜30)である。
ポリカルボン酸(y1)としては、ジカルボン酸(y11)及び3価以上のポリカルボン酸(y12)が挙げられる。なお、(y1)は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
ジカルボン酸(y11)としては、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸(例えばフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、およびナフタレンジカルボン酸等);炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸(例えばコハク酸、アジピン酸、およびセバシン酸);炭素数6〜40の脂環式ジカルボン酸〔例えばダイマー酸(2量化リノール酸)〕;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸(例えば、ドデセニルコハク酸等のアルケニルコハク酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、およびメサコン酸);およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
上記エステル形成性誘導体としては、酸無水物、アルキル(炭素数1〜24:メチル、エチル、ブチル、ステアリル等、好ましくは炭素数1〜4)エステル、および部分アルキル(上記と同様)エステル等が挙げられる。以下のエステル形成性誘導体についても同様である。
これらのうち好ましいのは、炭素数8〜36の芳香族ジカルボン酸;炭素数4〜36のアルカンジカルボン酸;炭素数4〜36のアルケンジカルボン酸および、これらのエステル形成性誘導体であり、更に好ましくは、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、マレイン酸、フマル酸、および/またはそれらのエステル形成性誘導体である。
3価以上(好ましくは3〜6価)のポリカルボン酸(y12)としては、炭素数9〜20の芳香族カルボン酸(トリメリット酸、およびピロメリット酸等)、炭素数6〜36の脂肪族(脂環式を含む)カルボン酸(ヘキサントリカルボン酸、およびデカントリカルボン酸等)、およびこれらのエステル形成性誘導体等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、トリメリット酸、ピロメリット酸、およびこれらのエステル形成性誘導体である。
炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)としては、炭素数9〜30のアルカノール(ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、およびベヘニルアルコール等)、炭素数9〜30のアルケノール(オレイルアルコール、およびリノリルアルコール等)が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、炭素数9〜30のアルカノールであり、更に好ましいのは、炭素数10〜24のアルカノールであり、特に好ましいのはドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコールおよびこれらの併用である。
炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)としては、炭素数9〜30のアルカンモノカルボン酸(カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチル酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、セロチン酸、モニタン酸、およびメリシン酸等)、炭素数9〜30のアルケンモノカルボン酸(オレイン酸、およびリノール酸等)等が挙げられる。
これらのうち好ましいのは、炭素数9〜30のアルカンモノカルボン酸であり、更に好ましいのは炭素数10〜24の直鎖アルカンモノカルボン酸であり、特に好ましいのは、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、およびこれらの併用である。
本発明のポリエステル樹脂(A)は、必須成分の多価アルコール(x1)とポリカルボン酸(y1)以外に、炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)と炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)のうちのどちらか一方又は両方を併用する必要があるが、トナーの保存安定性の観点から好ましいのは(y2)である。
ポリエステル樹脂(A)において、ポリアルコール(x1)、ポリカルボン酸(y1)、炭素数9〜30の脂肪族モノアルコール(x2)、炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)の合計モル数に対する(x2)と(y2)の合計モル数の比率は2〜30モル%であり、好ましくは2.5〜25モル%、更に好ましくは3〜18モル%である。2モル%未満であると粉砕性が不十分であり、また30モル%を超えると、Tgが低下して耐ブロッキング性が低化する。
また、(x1)、(y1)、(x2)、(y2)の合計モル数に対する(y2)のモル数の比率は、2〜30モル%であり、好ましくは2.5〜25モル%、更に好ましくは3〜18モル%である。
ポリエステル樹脂(A)は、炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)以外の1価アルコールを(x2)と併用して構成単位としてもよい。
(x2)以外の1価アルコールとしては、炭素数1〜8のアルカノール(メタノール、エタノール、およびイソプロパノール等)、炭素数3〜8のアルケノール(アリルアルコール、およびプロペニルアルコール等)、および炭素数7〜36の芳香族アルコール(ベンジルアルコール等)等が挙げられる。
これらのうち、耐ブロッキング性の観点から好ましいのは、炭素数7〜36の芳香族アルコール(ベンジルアルコール等)である。
ポリエステル樹脂(A)は、炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)以外のモノカルボン酸を(y2)と併用して構成単位としてもよい。
(y2)以外のモノカルボン酸としては、炭素数1〜8のアルカンモノカルボン酸(ギ酸、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、およびイソブタン酸等)、炭素数3〜8のアルケンモノカルボン酸(アクリル酸、およびメタクリル酸等)、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、メチル安息香酸、フェニルプロピオン酸、およびナフトエ酸等)等が挙げられる。
これらのうち、耐ブロッキング性の観点から好ましいのは、炭素数7〜36の芳香族モノカルボン酸(安息香酸、メチル安息香酸、およびp−t−ブチル安息香酸)である。
ポリエステル樹脂(A)が、ジオール(x11)と炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)を構成単位とする場合の、(x11)と(x2)の合計モル数に対する(x11)の比率〔重縮合反応中に系外に留去されるものは除く、以下同様。〕は、好ましくは50モル%以上であり、更に好ましくは70モル%以上、特に好ましくは75モル%以上である。
ポリエステル樹脂(A)が、ジカルボン酸(y11)と炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)を構成単位とする場合の、(y11)と(y2)の合計モル数に対する(y11)の比率は、好ましくは50モル%以上であり、更に好ましくは60モル%以上、特に好ましくは65モル%以上である。
ポリエステル樹脂(A)が、3価以上のポリカルボン酸(y12)と炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)を構成単位とする場合の、(y12)と(y2)の合計モル数に対する(y12)の比率は、好ましくは25モル%以下であり、更に好ましくは20モル%以下、特に好ましくは18モル%以下である。
本発明におけるポリエステル樹脂(A)は、通常のポリエステル製造法と同様にして製造することができる。例えば、多価アルコール(x1)、ポリカルボン酸(y1)と、炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)および/または炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)とを、不活性ガス(窒素ガス等)雰囲気中で、反応温度が好ましくは150〜280℃、更に好ましくは170〜260℃、特に好ましくは190〜240℃で反応させることにより行うことができる。また反応時間は、重縮合反応を確実に行う観点から、好ましくは30分以上、更に好ましくは2〜40時間である。反応末期の反応速度を向上させるために減圧することも有効である。
多価アルコール(x1)と炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)に対する、ポリカルボン酸(y1)と炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)の配合比率は、水酸基とカルボキシル基の当量比[OH]/[COOH]として、好ましくは2/1〜1/2、更に好ましくは1.5/1〜1/1.3、特に好ましくは1.3/1〜1/1.2である。
このとき必要に応じてエステル化触媒を使用することができる。エステル化触媒の例には、スズ含有触媒(例えばジブチルスズオキシド)、三酸化アンチモン、チタン含有触媒[例えばチタンアルコキシド、シュウ酸チタン酸カリウム、テレフタル酸チタン、特開2006−243715号公報に記載の触媒〔チタニウムジヒドロキシビス(トリエタノールアミネート)、チタニウムモノヒドロキシトリス(トリエタノールアミネート)、およびそれらの分子内重縮合物等〕、および特開2007−11307号公報に記載の触媒(チタントリブトキシテレフタレート、チタントリイソプロポキシテレフタレート、およびチタンジイソプロポキシジテレフタレート等)]、ジルコニウム含有触媒(例えば酢酸ジルコニル)、および酢酸亜鉛等が挙げられる。これらの中で好ましくはチタン含有触媒である。
ポリエステル樹脂(A)のガラス転移温度(Tg)は25〜50℃であり、低温定着性の観点から、好ましくは26〜47℃、更に好ましくは28〜45℃である。
なお、上記および以下において、Tgは、セイコーインスツル(株)製「DSC20、SSC/580」を用いて、ASTM D3418−82に規定の方法(DSC法)で測定される。
ポリエステル樹脂(A)の鉛筆硬度は2B〜6Hであり、粉砕性の観点から好ましくはB〜4Hである。(A)の鉛筆硬度は、下記の方法で測定される。
<(A)の鉛筆硬度の測定方法>
JIS K5600−5−4に準じて、斜め45度に固定した鉛筆の真上から10gの荷重をかけて(A)の引っ掻き試験を行い、傷の付かない最も硬い鉛筆の硬度を、(A)の鉛筆硬度とする。
ポリエステル樹脂(A)は、下記の方法で測定される粉砕率が、好ましくは60重量%以上であり、更に好ましくは65重量%以上、特に好ましくは70重量%以上である。粉砕率が60重量%以上であれば、粉砕してトナーを生産する際の生産性が向上する。
<ポリエステル樹脂(A)の粉砕率の測定方法>
6.0〜7.0gのポリエステル樹脂(A)の樹脂片3個をミルミキサー(例えば、象印マホービン(株)製「品番BM−FS08」等)で5秒間連続して2回粉砕した後、14メッシュのふるいにかけ、ふるいを通過した(A)の重量(Z)(g)を精秤し、下記の式から(A)の粉砕率を算出する。なお、上記操作を3回行い、それぞれの(A)の粉砕率の平均を(A)の粉砕率とする。
(A)の粉砕率(重量%)=〔(Z)(g)/粉砕前の(A)の重量(g)〕×100
ポリエステル樹脂(A)の酸価は、好ましくは0〜100mgKOH/g、更に好ましくは0〜80mgKOH/g、特に好ましくは0〜60mgKOH/gである。酸価が100mgKOH/g以下であるとトナーとして用いた時の帯電特性が低下しない。
また、ポリエステル樹脂(A)の水酸基価は、好ましくは0〜100mgKOH/g、更に好ましくは0〜80mgKOH/g、特に好ましくは0〜50mgKOH/gである。水酸基価が100mgKOH/g以下であるとトナーとして用いた時の耐ホットオフセット性がより良好となる。
ポリエステル樹脂(A)の酸価と水酸基価の和は、好ましくは3〜50mgKOH/g、更に好ましくは5〜47mgKOH/g、特に好ましくは7〜45mgKOH/gである。酸価と水酸基価の和がこの範囲内であるとトナーとして用いた時の帯電特性と定着性能が良好となる。
本発明において、ポリエステル樹脂の酸価および水酸基価は、JIS K0070に規定の方法で測定される。
なお、試料に架橋にともなう溶剤不溶解分がある場合は、以下の方法で溶融混練後のものを試料として用いる。
混練装置 : 東洋精機(株)製 ラボプラストミル MODEL4M150
混練条件 : 130℃、70rpmにて30分
ポリエステル樹脂(A)の軟化点は、好ましくは60〜150℃であり、更に好ましくは65〜145℃、特に好ましくは70〜140℃である。この範囲であると、トナーの耐ホットオフセット性と低温定着性の両立が良好となる。
軟化点は以下の方法で測定することができる。
<軟化点の測定方法>
フローテスター{例えば「CFT−500D」[(株)島津製作所製]}を用いて、1gの測定試料を昇温速度6℃/分で加熱しながら、プランジャーにより1.96MPaの荷重を与え、直径1mm、長さ1mmのノズルから押し出して、「プランジャー降下量(流れ値)」と「温度」とのグラフを描き、プランジャーの降下量の最大値の1/2に対応する温度をグラフから読み取り、この値(測定試料の半分が流出したときの温度)を軟化点とする。
ポリエステル樹脂(A)のピークトップ分子量(以下、Mpと記載)は、トナーの低温定着性と粉砕性の両立の観点から、2,000〜10,000が好ましく、更に好ましくは2,500〜9,000、特に好ましくは3,000〜8,000である。
本発明において、樹脂の分子量〔Mp、数平均分子量(Mn)、および重量平均分子量(Mw)〕は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて以下の条件で測定される。
装置(一例) : 東ソー(株)製 HLC−8120
カラム(一例): TSK GEL GMH6 2本 〔東ソー(株)製〕
測定温度 : 40℃
試料溶液 : 0.25重量%のTHF(テトラヒドロフラン)溶液
溶液注入量 : 100μl
検出装置 : 屈折率検出器
基準物質 : 東ソー(株)製 標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)12点(分子量 500 1050 2800 5970 9100 18100 37900 96400 190000 355000 1090000 2890000)
得られたクロマトグラム上最大のピーク高さを示す分子量をピークトップ分子量(Mp)と称する。また、分子量の測定は、ポリエステル樹脂をTHFに溶解し、不溶解分をグラスフィルターでろ別したものを試料溶液とする。
本発明のトナーバインダーは、ポリエステル樹脂(A)を含有する。本発明のトナーバインダーは、2種以上のポリエステル樹脂(A)を併用してもよく、ポリエステル樹脂(A)の他に、その特性を損なわない範囲で、(A)以外のポリエステル樹脂(B)を含有してもよい。
ポリエステル樹脂(B)としては、多価アルコール(x1)とポリカルボン酸(y1)を構成単位として有するポリエステル樹脂、並びにポリエステル樹脂(A)と構成単位が共通するものの、[1](x1)、(y1)、(x2)、(y2)の合計モル数に対する(x2)と(y2)の合計モル数の比率が2〜30モル%、[2]Tgが25〜50℃、[3]鉛筆硬度が2B〜6H、の要件のうち少なくとも一つを満たさないポリエステル樹脂等が挙げられる。
ポリエステル樹脂(B)は、線形ポリエステル樹脂又は非線形ポリエステル樹脂でもよく、線形ポリエステル樹脂と非線形ポリエステル樹脂を併用したものであってもよい。
本発明のトナーバインダー中のポリエステル樹脂(A)の含有率は、トナーバインダーの重量に基づき、好ましくは20〜99.9重量%であり、更に好ましくは30〜99.5重量%、特に好ましくは50〜99重量%である。
本発明のトナーバインダーの製造方法は特に制限はなく、ポリエステル樹脂(A)と必要によりポリエステル樹脂(B)を、通常行われる公知の方法(粉体混合及び溶融混合等)で混合する方法が挙げられる。また、(A)と(B)を、トナー組成物作製時に混合してもよい。
粉体混合する場合の混合装置としては、ヘンシェルミキサー、ナウターミキサー、及びバンバリーミキサー等が挙げられる。好ましくはヘンシェルミキサーである。
溶融混合する場合の混合装置としては、反応槽等のバッチ式混合装置、及び連続式混合装置が挙げられる。適正な温度で短時間で均一に混合するためには、連続式混合装置が好ましい。連続混合装置としては、エクストルーダー、コンティニアスニーダー、3本ロール等が挙げられる。
本発明のトナー組成物は、本発明のトナーバインダーと、着色剤を含有する。
さらに、離型剤、荷電制御剤、および流動化剤等を添加することもできる。
着色剤としては、トナー用着色剤として使用されている染料、顔料等のすべてを使用することができる。具体的には、カーボンブラック、鉄黒、スーダンブラックSM、ファーストイエローG、ベンジジンイエロー、ピグメントイエロー、インドファーストオレンジ、イルガシンレッド、パラニトロアニリンレッド、トルイジンレッド、カーミンFB、ピグメントオレンジR、レーキレッド2G、ローダミンFB、ローダミンBレーキ、メチルバイオレットBレーキ、フタロシアニンブルー、ピグメントブルー、ブリリアントグリーン、フタロシアニングリーン、オイルイエローGG、カヤセットYG(登録商標)、オラゾールブラウンB(登録商標)およびオイルピンクOP等が挙げられ、これらは単独でまたは2種以上を混合して用いることができる。また、必要により磁性粉(鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属の粉末もしくはマグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の化合物)を着色剤としての機能を兼ねて含有させることができる。
着色剤の含有量は、本発明のトナーバインダー100重量部に対して、好ましくは1〜40重量部、更に好ましくは3〜10重量部である。なお、磁性粉を用いる場合は、好ましくは20〜150重量部、更に好ましくは40〜120重量部である。
離型剤としては、フローテスターによる軟化点が50〜170℃のものが好ましく、ポリオレフィンワックス、天然ワックス、炭素数30〜50の脂肪族アルコール、炭素数30〜50の脂肪酸およびこれらの混合物等が挙げられる。
ポリオレフィンワックスとしては、オレフィン(例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブチレン、1−ヘキセン、1−ドデセン、1−オクタデセンおよびこれらの混合物等)の(共)重合体[(共)重合により得られるものおよび熱減成型ポリオレフィンを含む]、オレフィンの(共)重合体の酸素および/またはオゾンによる酸化物、オレフィンの(共)重合体のマレイン酸変性物[例えばマレイン酸およびその誘導体(無水マレイン酸、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノブチルおよびマレイン酸ジメチル等)変性物]、オレフィンと不飽和カルボン酸[(メタ)アクリル酸、イタコン酸および無水マレイン酸等]および/または不飽和カルボン酸アルキルエステル[(メタ)アクリル酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステルおよびマレイン酸アルキル(アルキルの炭素数1〜18)エステル等]等との共重合体、およびサゾールワックス(登録商標)等が挙げられる。
天然ワックスとしては、例えばカルナバワックス、モンタンワックス、パラフィンワックスおよびライスワックスが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪族アルコールとしては、例えばトリアコンタノールが挙げられる。炭素数30〜50の脂肪酸としては、例えばトリアコンタンカルボン酸が挙げられる。
荷電制御剤としては、ニグロシン化合物、3級アミンを側鎖として含有するトリフェニルメタン系化合物、4級アンモニウム塩、ポリアミン樹脂、イミダゾール誘導体、4級アンモニウム塩基含有ポリマー、含金属アゾ化合物、銅フタロシアニン化合物、サリチル酸金属塩、ベンジル酸のホウ素錯体、スルホン酸基含有ポリマー、含フッ素系ポリマー、ハロゲン置換芳香環含有ポリマー等が挙げられる。
流動化剤としては、コロイダルシリカ、アルミナ粉末、酸化チタン粉末、炭酸カルシウム粉末等が挙げられる。
本発明のトナー組成物は、混練粉砕法、乳化転相法、重合法等の従来より公知のいずれの方法により得られたものであってもよい。例えば、混練粉砕法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を乾式ブレンドした後、溶融混練し、その後粗粉砕し、最終的にジェットミル粉砕機等を用いて微粒化して、さらに分級することにより、体積平均粒径(D50)が5〜20μmの微粒とした後、流動化剤を混合して製造することができる。
なお、粒径(D50)はコールターカウンター[例えば、商品名:マルチサイザーIII(ベックマンコールター社製)]を用いて測定される。
また、乳化転相法によりトナーを得る場合、流動化剤を除くトナーを構成する成分を有機溶剤に分散後、水を添加する等によりエマルジョン化し、次いで分離、分級して製造することができる。トナーの体積平均粒径は、3〜15μmが好ましい。
本発明のトナー組成物は、必要に応じて鉄粉、ガラスビーズ、ニッケル粉、フェライト、マグネタイト、および樹脂(アクリル樹脂、シリコーン樹脂等)により表面をコーティングしたフェライト等のキャリア粒子と混合されて電気的潜像の現像剤として用いられる。トナーとキャリア粒子との重量比は、通常1/99〜100/0である。また、キャリア粒子の代わりに帯電ブレード等の部材と摩擦し、電気的潜像を形成することもできる。
本発明のトナー組成物は、複写機、プリンタ等により支持体(紙、ポリエステルフィルム等)に定着して記録材料とされる。支持体に定着する方法としては、公知の熱ロール定着方法、フラッシュ定着方法等が適用できる。
以下、実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<実施例1>〔ポリエステル樹脂(A−1)の合成〕
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応槽(以下の実施例、製造例に用いる反応槽も同様。)中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)683重量部、テレフタル酸(y1−1a)265重量部、ステアリン酸(y2−a)114重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−1)を得た[(x1−1a)、(y1−1a)および(y2−a)の合計モル数に対する(y2−a)のモル数の比率:10モル%]。
(A−1)のMpは6,000、Tgは32℃、鉛筆硬度はHB、軟化点は81℃、酸価は1、水酸基価は20、酸価と水酸基価の和は21、粉砕率は90重量%であった。
<実施例2>〔ポリエステル樹脂(A−2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)606重量部、テレフタル酸(y1−1a)230重量部、ベヘン酸(y2−b)202重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、常圧下180℃で無水トリメリット酸(y1−2a)20重量部を加え、常圧下で1時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−2)を得た[(x1−1a)、(y1−1a)、(y2−b)および(y1−2a)の合計モル数に対する(y2−b)のモル数の比率:16モル%]。
(A−2)のMpは4,500、Tgは43℃、鉛筆硬度はH、軟化点は92℃、酸価は12、水酸基価は1、酸価と水酸基価の和は13、粉砕率は95重量%であった。
<実施例3>〔ポリエステル樹脂(A−3)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(x1−1b)64重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)504重量部、1,2−プロピレングリコール(x1−1c)98重量部、イソフタル酸(y1−1b)325重量部、ベヘン酸(y2−b)93重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、常圧下180℃で無水トリメリット酸(y1−2a)27重量部を加え、常圧下で1時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−3)を得た[(x1−1a)、(x1−1b)、(x1−1c)、(y1−1b)、(y2−b)および(y1−2a)の合計モル数に対する(y2−b)の合計モル数の比率:6モル%]。回収された1,2−プロピレングリコールは39重量部であった。
(A−3)のMpは3,500、Tgは27℃、鉛筆硬度は2B、軟化点は69℃、酸価は15、水酸基価は31、酸価と水酸基価の和は46、粉砕率は75重量%であった。
<実施例4>〔ポリエステル樹脂(A−4)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)450重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物(x1−1d)74重量部、ネオペンチルグリコール(x1−1e)42重量部、テレフタル酸(y1−1a)306重量部、ベヘニルアルコール(x2−a)182重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、常圧下180℃で無水トリメリット酸(y1−2a)9重量部を加え、常圧下で1時間反応させ、ポリエステル樹脂(A−4)を得た[(x1−1a)、(x1−1d)、(x1−1e)、(y1−1a)、(x2−a)および(y1−2a)の合計モル数に対する(x2−a)のモル数の比率:13モル%]。
(A−4)のMpは6,500、Tgは38℃、鉛筆硬度はB、軟化点は89℃、酸価は5、水酸基価は33、酸価と水酸基価の和は38、粉砕率は88重量%であった。
<実施例5>〔ポリエステル樹脂(A−5)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)552重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物(x1−1d)43重量部、1,6−ヘキサンジオール(x1−1f)37重量部、テレフタル酸(y1−1a)281重量部、ベベン酸(y2−b)144重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、無水トリメリット酸(y1−2a)9重量部を加え、常圧下で1時間反応させた後、2.5〜5kPaの減圧下で反応させ軟化点107℃で取り出し、ポリエステル樹脂(A−5)を得た[(x1−1a)、(x1−1d)、(x1−1f)、(y1−1a)、(y2−b)および(y1−2a)の合計モル数に対する(y2−b)のモル数の比率:10モル%]。
(A−5)のMpは8,500、Tgは44℃、鉛筆硬度はF、軟化点は107℃、酸価は1、水酸基価は6、酸価と水酸基価の和は7、粉砕率は82%であった。
<製造例1>〔ポリエステル樹脂(B−1)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)358重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物(x1−1d)413重量部、テレフタル酸(y1−1a)164重量部、アジピン酸(y1−1c)96重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、常圧下180℃で無水トリメリット酸(y1−2a)26重量部を加え、常圧下で1時間反応させ、ポリエステル樹脂(B−1)を得た。
(B−1)のMpは4,800、Tgは32℃、鉛筆硬度は4B、軟化点は76℃、酸価は15、水酸基価は40、酸価と水酸基価の和は55、粉砕率は33重量%であった。
<製造例2>〔ポリエステル樹脂(B−2)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)20重量部、1,2−プロピレングリコール(x1−1c)660重量部、テレフタル酸(y1−1a)776重量部、安息香酸50重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート1.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、常圧下180℃で無水トリメリット酸(y1−2a)17重量部を加え、常圧下で1時間反応させ、ポリエステル樹脂(B−2)を得た。回収された1,2−プロピレングリコールは330重量部であった。
(B−2)のMpは4,600、Tgは59℃、鉛筆硬度はHB、軟化点は108℃、酸価は11、水酸基価は18、酸価と水酸基価の和は29、粉砕率は86重量%であった。
<製造例3>〔ポリエステル樹脂(B−3)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(x1−1b)41重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド3モル付加物(x1−1d)457重量部、フェノールノボラック(平均官能基数:5.6)のプロピレンオキサイド6モル付加物(x1−1g)9重量部、テレフタル酸(y1−1a)166重量部、フマル酸(y1−1d)93重量部、重合触媒としてテトラブトキシチタネート3重量部を入れ、230℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に酸価が2以下になるまで反応させた。180℃に冷却し、無水トリメリット酸(y1−2a)41重量部を加え、常圧下で2時間反応させた後、さらに230℃に加熱し、0.5〜2.5kPaの減圧下で反応させ軟化点135℃で取出し、ポリエステル樹脂(B−3)を得た。
(B−3)のMpは11,300、Tgは58℃、鉛筆硬度はH、軟化点は135℃、酸価は20、水酸基価は1、酸価と水酸基価の和は21、粉砕率は76重量%であった。
<製造例4>〔ポリエステル樹脂(B−4)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)812重量部、テレフタル酸(y1−1a)321重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート2.5重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させ、ポリエステル樹脂(B−4)を得た。
(B−4)のMpは6,000、Tgは65℃、鉛筆硬度はHB、軟化点は106℃、酸価は1、水酸基価は41、酸価と水酸基価の和は42、粉砕率は84重量%であった。
<製造例5>〔ポリエステル樹脂(B−5)の合成〕
反応槽中に、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2モル付加物(x1−1b)75重量部、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2モル付加物(x1−1a)589重量部、1,2−プロピレングリコール(x1−1c)105重量部、イソフタル酸(y1−1b)380重量部、重合触媒としてチタニウムジイソプロポキシビストリエタノールアミネート3重量部を入れ、210℃で窒素気流下に生成する水を留去しながら5時間反応させた後、0.5〜2.5kPaの減圧下に1時間反応させた。次いで、常圧下180℃で無水トリメリット酸(y1−2a)27重量部を加え、常圧下で1時間反応させ、ポリエステル樹脂(B−5)を得た。回収された1,2−プロピレングリコールは35重量部であった。
(B−5)のMpは3,500、Tgは33℃、鉛筆硬度は4B、軟化点は72℃、酸価は15、水酸基価は52、酸価と水酸基価の和は67、粉砕率は28重量%であった。
<実施例6〜14、比較例1〜5>
ポリエステル樹脂(A−1)〜(A−5)、(B−1)〜(B−5)を表1の配合比(重量部)に従い配合し、本発明のトナーバインダー、および比較のトナーバインダーを得て、下記の方法でトナー化した。
まず、カーボンブラックMA−100[三菱化学(株)製]8重量部、カルナバワックス5重量部、荷電制御剤T−77[保土谷化学工業(株)製]1重量部を加え、ヘンシェルミキサー[日本コークス工業(株)製 FM10B]を用いて予備混合した後、二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練した。ついで超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]を用いて微粉砕した後、気流分級機[日本ニューマチック工業(株)製 MDS−I]で分級し、粒径D50が8μmのトナー粒子を得た。ついで、トナー粒子100重量部にコロイダルシリカ(アエロジルR972:日本アエロジル(株)製)0.5重量部をサンプルミルにて混合して、本発明のトナー組成物(T−1)〜(T−9)、および比較用のトナー組成物(RT−1)〜(RT−5)を得た。
トナー組成物(T−1)〜(T−9)、(RT−1)〜(RT−5)について、下記の方法で低温定着性、保存安定性、トナー粉砕性を評価した。結果を表1に示す。
[評価方法]
〔1〕低温定着性
市販複写機(AR5030;シャープ製)を用いて現像した未定着画像を、市販複写機(AR5030;シャープ製)の定着機を用いて評価した。定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる下限温度を最低定着温度(MFT)とした。最低定着温度が低いほど、低温定着性に優れることを意味する。
〔2〕保存安定性
トナー組成物を、40℃、85%R.H.の高温高湿環境下で、24時間調湿した。同環境下において該現像剤のブロッキング状態を目視判定し、さらに市販複写機(AR5030:シャープ製)でコピーした時の画質を観察した。
[判定基準]
◎:トナーのブロッキングがなく、3000枚複写後の画質も良好。
○:トナーのブロッキングはないが、3000枚複写後の画質に僅かに乱れが観察され
る。
×:トナーのブロッキングが目視でき、3000枚までに画像が出なくなる。
〔3〕トナー粉砕性
二軸混練機[(株)池貝製 PCM−30]で混練、冷却したトナー粗粉砕物(8.6メッシュパス〜30メッシュオンのもの)を、超音速ジェット粉砕機ラボジェット[日本ニューマチック工業(株)製]により下記条件で微粉砕した。
粉砕圧:0.5MPa
アジャスターリング:15mm
ルーバーの大きさ:中
粉砕時間:10分
これを分級せずに、体積平均粒径をコールターカウンター−TAII(ベックマンコールター社製)により測定し、トナー粉砕性の評価とした。
[判定基準]
◎ : 10μm未満
○ : 10μm以上11μm未満
△ : 11μm以上12μm未満
× : 12μm以上
Figure 2015052103
実施例6〜14のトナー組成物は、低温定着性、保存安定性およびトナー粉砕性に優れるのに対し、比較例1、2、4、5のトナー組成物は、実施例6〜14のトナー組成物と比較して、保存安定性とトナー粉砕性が著しく低く、比較例3および4のトナー組成物は、低温定着性が著しく低い。
本発明のトナーバインダーを含有するトナー組成物は、低温定着性と保存安定性の両立が可能であり、粉砕性に優れることから、電子写真、静電記録、静電印刷等に用いる静電荷像現像用トナーとして有用である。

Claims (8)

  1. 多価アルコール(x1)、ポリカルボン酸(y1)と、炭素数9〜30の脂肪族1価アルコール(x2)および/または炭素数9〜30の脂肪族モノカルボン酸(y2)とを構成単位として有するポリエステル樹脂(A)であって、(x1)、(y1)、(x2)、(y2)の合計モル数に対する(x2)と(y2)の合計モル数の比率が2〜30モル%であり、ガラス転移温度が25〜50℃であり、かつ鉛筆硬度が2B〜6Hであることを特徴とするポリエステル樹脂(A)。
  2. 酸価と水酸基価の和が3〜50mgKOH/gである請求項1に記載のポリエステル樹脂。
  3. (x1)、(y1)、(x2)、(y2)の合計モル数に対する(y2)のモル数の比率が、3〜18モル%である請求項1または2に記載のポリエステル樹脂。
  4. (y2)が炭素数10〜24の直鎖アルカンモノカルボン酸である請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  5. 軟化点が60〜150℃である請求項1〜4のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  6. ピークトップ分子量が2,000〜10,000である請求項1〜5のいずれかに記載のポリエステル樹脂。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載のポリエステル樹脂を含有するトナーバインダー。
  8. 請求項7に記載のトナーバインダーと着色剤を含有するトナー組成物。
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