JP2015010162A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
かかる変成シリコーンポリマーを含む硬化性組成物は、シーリング材、接着剤、コーティング剤等として広く使用されている。
変成シリコーンポリマーを含む硬化性組成物を、例えば屋外に施工されるシーリング材として用いる場合には、硬化物の耐候性が良好で、長期間屋外での環境に曝されても、表面に亀裂が生じにくいことが求められる。
また硬化性組成物に、加水分解によりトリメチルシラノールを発生しうる化合物をモジュラス調整剤として含有させることも知られている。
例えば特許文献1の実施例8には、数平均分子量が18,000、分子量分布が2.1、平均官能基数が2.16である前駆重合体に、メチルジメトキシシリル基を導入したポリオキシプロピレンP3と、光硬化性官能基を有するアクリル共重合体のトルエン溶液とを混合した混合物Pdの100部と、モジュラス調整剤であるフェニルオキシトリメチルシランの0.4部およびトリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体(TMP−3TMS)の0.4部を含有する硬化性組成物が記載されている。
また特許文献2の表7、9には、重合体の主鎖末端の平均官能基数が3であり、数平均分子量が26,000〜34,000であり、分子量分布が1.15〜1.20であり、反応性ケイ素基が導入された重合体(A)と、直鎖状で、片末端に反応性ケイ素基を有する、数平均分子量が5,200〜15,300の重合体(B)と、モジュラス調整剤であるトリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体(TMP−3TMS)を含有する硬化性組成物が記載されている。
本発明者等の知見によれば、硬化性組成物にモジュラス調整剤を含有させることは表面のベタツキを防止するのに有効である。しかしモジュラス調整剤を含有させても、特許文献1に記載されている硬化性組成物では、硬化物の伸びおよび耐久性が必ずしも充分ではなく、さらなる改善が求められる。また特許文献2に記載されている硬化性組成物は、硬化物の弾性率を低くして、良好な伸びおよび耐久性を達成しているが、硬化物の表面ベタツキを防止する点では弾性率が高い方が好ましく、耐久性を損なわずに弾性率を高くすることが求められる。
例えば、特許文献2の実施例の表7、9には硬化物の弾性率が0.10〜0.13N/mm2と低いときに良好な耐久性が得られたことが示されている。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、硬化性が良好であり、弾性率が比較的高いにもかかわらず、硬化物の伸びおよび耐久性が良好であり、かつ硬化物の表面のベタツキが防止された硬化性組成物を提供することを目的とする。
[1] 主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を有し、全主鎖末端に、反応性ケイ素基を導入可能な官能基を有し、該官能基が、活性水素を有する基および不飽和基からなる群より選択される1種以上であり、主鎖末端の平均官能基数が2.0以上、3.0以下であり、官能基1個当たりの分子量が7,000〜20,000であり、分子量分布が1.01〜1.40である前駆重合体(A’)に、下式(1)で表される反応性ケイ素基を導入してなる重合体(A)と、加水分解によりトリメチルシラノールを発生しうる化合物(B)の2種以上とを含有し、前記化合物(B)の合計の含有量が前記重合体(A)の100質量部に対して0.4〜2.0質量部であることを特徴とする硬化性組成物。
−SiX1 2R1・・・(1)
[式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基(加水分解性基を除く。)を示し、X1は水酸基又は加水分解性基を示す。2個のX1は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[4] 前記化合物(B)が、フェノキシトリメチルシランおよびトリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体を含む、[1]〜[3]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[5] フェノキシトリメチルシラン/トリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体で表される両者の質量比が20/80〜80/20である、[4]に記載の硬化性組成物。
[6]さらに、直鎖状で、主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を有し、片末端に反応性ケイ素基を有する重合体(C)を含む、[1]〜[5]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
[7] さらに、反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(D)を含む、[1]〜[6]のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
本明細書において、前駆重合体(A’)の主鎖末端の平均官能基数は、前駆重合体(A’)の全主鎖末端の、反応性ケイ素基を導入可能な官能基の数の、1分子当たりの平均値である。
本明細書において、重合体(A)における主鎖末端の官能基の数は、前駆重合体(A’)の主鎖末端に導入された反応性ケイ素基と、反応性ケイ素基が導入されなかった主鎖末端の官能基の合計数とし、重合体(A)の主鎖末端の平均官能基数は、該合計数の、1分子当たりの平均値とする。
したがって、前駆重合体(A’)の主鎖末端の平均官能基数と、重合体(A)の主鎖末端の平均官能基数とは等しい。
なお前駆重合体(A’)または重合体(A)が混合物である場合は、混合後における主鎖末端の官能基数の、1分子当たりの平均を、前駆重合体(A’)または重合体(A)の、主鎖末端の平均官能基数(以下、単に「平均官能基数」ということもある。)とする。
本明細書において、官能基が水酸基である場合、官能基1個当たりの分子量は、56,100を水酸基価で除して得られる値である。
本明細書における水酸基価は、JIS K 1557−1に準拠した方法で測定した値である。
本明細書において、官能基が水酸基以外の基である場合、官能基1個当たりの分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィ−(GPC)で求められる値である。具体的には、官能基1個当たりの分子量が判明している重合体で検量線を引き、測定対象物を測定することで官能基1個当たりの分子量を算出する。
本発明で用いられる重合体(A)は、上式(1)で表される反応性ケイ素基を有する。
式(1)において、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基(加水分解性基を除く。)を示す。R1は、炭素数8以下の炭化水素基が好ましい。具体例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、フェニル基等が挙げられる。メチル基、フェニル基がより好ましく、特にメチル基が好ましい。
加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。該加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基が挙げられる。加水分解性基が炭素原子を有する場合、その炭素数は6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。X1としては、特に、炭素数4以下のアルコキシ基又は炭素数4以下のアルケニルオキシ基が好ましい。より具体的には、X1はメトキシ基又はエトキシ基であることが特に好ましい。
重合体(A)の主鎖末端に反応性ケイ素基があると、硬化物の伸び物性、内部硬化性、表面硬化性が良好となりやすい。
主鎖末端の官能基数が2個の重合体(A12)は、1分子当たりの主鎖末端の官能基の数が2個である、直鎖状の前駆重合体(A’12)の全主鎖末端の官能基の一部または全部が反応性ケイ素基を含む基で置換された重合体である。
(i)の場合、重合体(A)は、主鎖末端の官能基数が2個〜4個である重合体を、主鎖末端の官能基数の平均が上記の範囲内となるように混合した混合物が好ましい。(i)の場合、重合体(A)は、主鎖末端の官能基数が2個〜3個である重合体を、主鎖末端の官能基数の平均が上記の範囲内となるように混合した混合物がより好ましい。特に、重合体(A)が、少なくとも主鎖末端の官能基数が3個である重合体(A11)を含むことが好ましく、主鎖末端の官能基数が3個である重合体(A11)の2種以上の混合物、または主鎖末端の官能基数が2個である重合体(A12)と主鎖末端の官能基数が3個である重合体(A11)の混合物がより好ましい。
すなわち、前駆重合体(A’)および重合体(A)の主鎖が、アルキレンオキシド単量体単位の他に、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を有していてもよい。
本明細書において、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルから誘導される繰り返し単位を意味する。(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル、メタクリル酸アルキルエステルまたは両者の混合物を意味する。
重合体(A)がポリオキシアルキレン鎖を有すると温度依存性が小さい、硬化物の柔軟性が良好となりやすい、価格面で優れる等の利点がある。
開始剤における、反応性を有する官能基とは、活性水素を有する基であり、好ましくは水酸基である。開始剤の平均官能基数と、前駆重合体(A’)の主鎖末端の平均官能基数と、重合体(A)の主鎖末端の平均官能基数とは同じである。
前駆重合体(A’)としては、ポリオキシアルキレン鎖を有し、全主鎖末端が水酸基である、直鎖状または分岐状の前駆重合体(A’−a);またはポリオキシアルキレン鎖を有し、全主鎖末端が不飽和基である、直鎖状または分岐状の前駆重合体(A’−b)が好ましい。
前駆重合体(A’−a)は、アルキレンオキシド開環重合触媒の存在下で、活性水素を2個または3個有する開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させたオキシアルキレン重合体であることが好ましい。
開始剤としては、水酸基を2個または3個有する化合物が好ましい。水酸基を2個有する化合物の具体例としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが挙げられる。これらのうちでプロピレングリコール、ジプロピレングリコールがより好ましい。水酸基を3個有する開始剤の具体例としてはグリセリン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン等が挙げられる。これらのうちで特にグリセリンが好ましい。
また、これらの、水酸基を2個または3個有する化合物にアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる、水酸基1個当たりの分子量が80〜10,000の、ポリオキシアルキレンジオールまたはポリオキシアルキレントリオールを開始剤として用いるのも好ましい。開始剤は1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
アルキレンオキシド開環重合触媒としては、アルカリ金属触媒、複合金属シアン化物錯体触媒、金属ポルフィリン等が挙げられる。特に重合体(A)の分子量分布が小さくなりやすい点で複合金属シアン化物錯体触媒が好ましく、有機配位子としてt−ブチルアルコールが配位した複合金属シアン化物錯体触媒がより好ましい。
特に、触媒骨格に、有機配位子としてt−ブチルアルコールを配位させた複合金属シアン化物錯体触媒が好ましい。
アルカリ金属シアノメタレートのシアノメタレートを構成する金属としては、Fe(II)、Fe(III)、Co(II)、Co(III)、Cr(II)、Cr(III)、Mn(II)、Mn(III)、Ni(II)、V(IV)、およびV(V)から選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。Co(III)またはFe(III)がより好ましく、分子量分布をより狭くできる点で、Co(III)が特に好ましい。
なお、金属の元素記号の後に続く括弧内のII、III、IV、V等のローマ数字はその金属の原子価を示す。
ハロゲン化金属塩はハロゲン化亜鉛が好ましい。アルカリ金属シアノメタレートはNa3[Co(CN)6]、または、K3[Co(CN)6]が好ましく、Na3[Co(CN)6]、または、K3[Co(CN)6]が特に好ましい。
触媒骨格としては、Zn3[Co(CN)6]2(すなわち、亜鉛ヘキサシアノコバルテート錯体)がより好ましい。
ただし、式(i)中、R11はメチル基またはエチル基、R10はエチレン基または該エチレン基の水素原子がメチル基またはエチル基で置換された基、nは1〜3の整数である。
式(i)で示される化合物として以下の化合物が挙げられる。
エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、イソブチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、1,2−ブチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、イソブチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジ−1,2−ブチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジイソブチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、ジ−1,2−ブチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、ジイソブチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリ−1,2−ブチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリイソブチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、トリプロピレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、トリ−1,2−ブチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル、トリイソブチレングリコールモノ−t−ペンチルエーテル。
上記複合金属シアン化物錯体触媒は、ハロゲン化亜鉛とアルカリ金属シアノコバルテートとを反応させて得られる触媒骨格を、t−ブチルアルコールまたはt−ブチルアルコールと式(i)で示される化合物との混合物を含む有機配位子溶液中で加熱攪拌し(熟成工程)、ついで公知の方法により、濾別、洗浄、乾燥させることで製造される。
ポリオキシアルキレン鎖を有し、全末端が不飽和基である、直鎖状または分岐状の前駆重合体(A’−b)は、全末端が水酸基である前駆重合体(A’−a)の水酸基(−OH)をアルコラート化して−OM(Mはアルカリ金属)とした後、塩化アリル等の不飽和基含有ハロゲン化炭化水素と反応させる方法で製造できる。この方法は、一般的であり原料の入手のし易さや反応収率が高い点で好ましい。
または水酸基と反応しうる官能基および不飽和基を有する化合物を、前駆重合体(A’−a)と反応させて、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などを介して不飽和基を導入する方法でも得られる。
前駆重合体(A’−b)の末端の不飽和基に反応性ケイ素基を導入して重合体(A)を得る方法は公知の方法を用いることができる。例えば下記[1]または[2]の方法を用いることができる。
[1]末端の不飽和基と下式(2)で表される水素化ケイ素化合物を触媒の存在下で反応させる方法。ただし、式(2)中のX1、R1は上式(1)と同じである。
HSiX1 2R1・・・(2)
[2]末端の不飽和基と下式(3)で表されるケイ素化合物のメルカプト基とを反応させる方法。
W1R2−SiX1 2R1 …(3)
式(3)中のX1、R1は上式(1)と同じである。R2は2価の有機基であり、W1はメルカプト基である。
[3]末端の水酸基と、下式(4)で表されるイソシアネートシラン化合物(U)とをウレタン化反応させる方法。この反応はウレタン化触媒の存在下に行ってもよい。
NCO−(CH2)n−SiX1 2R1 …(4)
式(4)中のX1、R1は上式(1)と同じである。nは1〜8の整数であり、好ましくは1〜3である。
イソシアネートシラン化合物(U)の好ましい例として、1−イソシアネートメチルジメトキシメチルシラン、1−イソシアネートメチルジエトキシエチルシラン、1−イソシアネートプロピルジメトキシメチルシラン、3−イソシアネートプロピルジメトキシメチルシラン、3−イソシアネートプロピルジエトキシエチルシラン等が挙げられる。
用いるウレタン化触媒は、特に限定されず、公知のウレタン化触媒を適宜用いることができる。例えば、有機錫化合物(ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート等。)、ビスマス化合物等の金属触媒、有機アミン等の塩基触媒が用いられる。反応温度は、20〜200℃が好ましく、50〜150℃が特に好ましい。また、ウレタン化反応は、不活性ガス(窒素ガスが好ましい。)雰囲気下に行うのが好ましい。
W2R3−SiX1 2R1 …(5)
式(5)中のX1、R1は上式(1)と同じである。R3は2価の有機基であり、W2は水酸基、カルボキシル基、メルカプト基およびアミノ基(1級または2級)から選ばれる活性水素含有基である。
重合体(A)に該当する重合体を2種以上混合して用いる場合、混合した後の混合物におけるシリル化率が上記の範囲内であればよく、混合する前の重合体(A)の一部としてシリル化率が70%未満のものを用いてもよい。
後述する重合体(C)のシリル化率の値も同様である。
重合体(C)を配合することにより硬化性組成物の粘度を低下させることができる。一方、重合体(A)に重合体(C)を配合し硬化させると、重合体(A)同士が架橋すると共に、重合体(A)の一部が重合体(C)と反応する。重合体(C)は片末端にのみ反応性ケイ素基を有するため、重合体(A)が重合体(C)と反応することにより、重合体(A)の架橋が阻害される。よって重合体(C)の配合量が多すぎると、硬化不良となり未硬化となる場合がある。
すなわち、硬化性組成物をより低粘度にし、かつ硬化不良にしないためには、重合体(C)の配合量が多く、かつ重合体(A)のシリル化率が高い方が有利である。重合体(A)のシリル化率が高いほど、重合体(C)を多く配合しても、量比の関係から架橋が阻害されにくく、未硬化となりにくい。
よって重合体(A)のシリル化率は、重合体(C)が配合された硬化性組成物において、良好な硬化性が得られる範囲であることが必要であり、シリル化率が高い方が、重合体(C)の添加量を増やすことができる。重合体(C)の配合量が多い方が、より低粘度となるため、シーリング材や接着剤用の硬化性組成物として作業性がより良好になる。
また、前駆重合体(A’)が反応性ケイ素基を導入可能な主鎖末端の官能基として不飽和基を有する場合も、同様の理由で、シリル化率は45モル%以上が好ましく、50モル%以上がより好ましい。該シリル化率は100モル%でもよい。
重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.01〜1.40である。この範囲内であると、柔軟性が良好で、低粘度となる。数平均分子量が同じである場合、分子量分布が狭い方が、低粘度となる。その理由は分子量分布が広い場合には高分子量体が多く存在するため、高粘度の要因となるためである。または、後述の実施例に示されるように、柔軟性が同等である場合には、伸び物性が良好となる。その理由は、分子量分布が1.40を超えると、低分子量の重合体成分が多くなるため、架橋点間距離が短くなり、伸びにくくなるためと考えられる。よって、分子量分布は狭い方が好ましく、1.01〜1.30がより好ましく、1.01〜1.20がさらに好ましい。重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は触媒種類や重合条件(温度、攪拌条件、圧力等)により制御できる。
後述する重合体(C)が混合物である場合も同様である。
重合体(A)は1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(A)に該当する2種以上の重合体が、硬化性組成物中に共存する場合、それらの反応性ケイ素基は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
本発明の硬化性組成物は、重合体(A)の他に、重合体(C)を含んでもよい。重合体(C)は、直鎖状で、主鎖にアルキレンオキシド単量体単位を有し、片末端に反応性ケイ素基を有する重合体である。反応性ケイ素基は、上式(1)で表される基が好ましい。
重合体(C)は、直鎖状で、主鎖にアルキレンオキシド単量体単位を有し、片末端に反応性ケイ素基を導入可能な前駆重合体(C’)に、反応性ケイ素基を導入して得られる。
硬化性組成物中に共存する重合体(A)の反応性ケイ素基と、重合体(C)の反応性ケイ素基は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
具体的には、前駆重合体(C’)の主鎖の両末端のうちの一方の主鎖末端基が反応性を有する基、好ましくは水酸基または不飽和基であり、該主鎖末端基と反応する基および反応性ケイ素基を有する化合物と、前駆重合体(C’)とを反応させて反応性ケイ素基を導入することが好ましい。前駆重合体(C’)の他方の主鎖末端基は、前記反応性ケイ素基を有する化合物との反応性を有しない、不活性な有機基であることが好ましい。
前駆重合体(C’)および重合体(C)における繰り返し単位は、アルキレンオキシド単量体単位を含む。前駆重合体(C’)および重合体(C)の主鎖が、少なくともアルキレンオキシド単量体単位の連鎖、すなわちポリオキシアルキレン鎖を有することが好ましい。
重合体(C)がポリオキシアルキレン鎖を有すると、重合体(A)との相溶性がよく貯蔵安定性がよいので好ましい。
前駆重合体(C’1):ポリオキシアルキレン鎖を有し、片末端が水酸基であり、他方の主鎖末端基は、前記反応性ケイ素基を有する化合物との反応性を有しない、不活性な有機基である、直鎖状の前駆重合体。
前駆重合体(C’2):ポリオキシアルキレン鎖を有し、片末端が不飽和基であり、他方の主鎖末端基は、前記反応性ケイ素基を有する化合物との反応性を有しない、不活性な有機基である、直鎖状の前駆重合体。
前駆重合体(C’1)は、触媒の存在下で、活性水素を1個有する開始剤にアルキレンオキシドを開環付加重合させて製造できる。
開始剤の具体例としては、炭素数1〜20の脂肪族モノオール、炭素数1〜20の脂環族モノオール、炭素数1〜20の芳香族モノオール、チオール、2級アミン、カルボン酸、または前記モノオールにアルキレンオキシドを開環付加重合させて得られる、水酸基1個当たりの分子量が300〜5,000のポリオキシアルキレンモノオールが挙げられる。より好ましいのは水酸基1個当たりの分子量が300〜3,300のポリオキシアルキレンモノオールである。またアリルアルコールのような、不飽和基含有モノヒドロキシ化合物も使用できる。開始剤は1種単独で使用してもよく2種以上を併用してもよい。
前駆重合体(C’1)または開始剤の合成に用いられる、アルキレンオキシドおよびアルキレンオキシド開環重合触媒は、上述の前駆重合体(A’−a)の合成に用いられるアルキレンオキシドおよびアルキレンオキシド開環重合触媒と、好ましい態様も含めて同様である。
前駆重合体(C’1)は、好ましくはポリオキシプロピレンモノオールである。
または水酸基と反応しうる官能基および不飽和基を有する化合物を、前駆重合体(C’1)と反応させて、エステル結合、ウレタン結合、カーボネート結合などを介して不飽和基を導入する方法でも得られる。
前駆重合体(C’1)の末端の水酸基に反応性ケイ素基を導入して重合体(C)を得る方法は公知の方法を用いることができる。例えば上記[3]または[4]の方法を用いることができる。
重合体(C)におけるシリル化率は、前駆重合体(C’)の末端の反応性を有する基と、反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させる際の、該末端の反応性を有する基と反応性ケイ素基とモル比によって制御できる。
重合体(C)の片末端のシリル化率が60モル%以上であると可塑剤として移行性が低いものとなり、シーリング材部周辺の汚染、接着性が改善される。
特に、前駆重合体(C’)が、反応性ケイ素基を導入可能な主鎖末端基として水酸基を有する場合、該水酸基の全部のうち反応性ケイ素基を含む基に置換された主鎖末端基の割合(シリル化率)は上記の点から60モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましい。
また同様に、前駆重合体(C’)が反応性ケイ素基を導入可能な主鎖末端基として不飽和基を有する場合も、同様の理由で、シリル化率は60モル%以上が好ましく、75モル%以上がより好ましい。該シリル化率は100モル%でもよい。
重合体(C)の官能基1個あたりの分子量は2,000〜15,000が好ましく、2,000〜12,000がより好ましい。
重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)は、1.01〜1.30が好ましい。この範囲内であると、重合体(C)の粘度がより低くなる傾向にある。Mw/Mnは、1.01〜1.20がより好ましい。
重合体(C)の分子量分布(Mw/Mn)は触媒種類や重合条件(温度、攪拌条件、圧力等)により制御できる。
重合体(C)は1種単独でもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体(C)に該当する2種以上の重合体が、硬化性組成物中に共存する場合、それらの反応性ケイ素基は互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
重合体(C)において、反応性ケイ素基以外の主鎖末端基は、不活性な有機基であることが好ましい。例えばアリルアルコールのような、不飽和基含有モノヒドロキシ化合物を開始剤として用いると、一方の主鎖末端基が水酸基で、他方の主鎖末端基が不飽和基である前駆重合体(C’1)が得られる。これの末端の不飽和基に反応性ケイ素基を導入して重合体(C)を得る場合、末端の水酸基は塩化ベンゾイルと反応させるなどの方法で不活性な有機基に変換することが好ましい。
重合体(C)を含有させると、硬化性組成物の粘度が低下して良好な作業性が得られやすくなる。重合体(C)の含有量が上記範囲の上記範囲の上限値以下であると、架橋点が十分に得られるため硬化性組成物が硬化した硬化物において優れた柔軟性と伸びが得られやすい。
本発明の硬化性組成物は、重合体(A)の他に、反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(D)(単に、重合体(D)ともいう。)を含んでもよい。重合体(A)と(C)と(D)を含んでもよい。
重合体(D)の主鎖における繰り返し単位は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を含み、アルキレンオキシド単量体単位を含まない。かかる重合体は硬化物の機械強度向上、ならびに硬化性組成物及び硬化物の耐候性向上に寄与する。例えば屋外で使用されるシーラント等に適用された場合など、硬化物が長期間紫外線に暴露されたときに表面にクラック(細かいヒビ割れ)が生じるのを抑制するのに有効である。
CH2=CR12COOR13・・・(ii)
(式中、R12は水素原子またはメチル基、R13は炭素数1〜30のアルキル基を示す。)
−SiX1 aR1 (3−a)・・・(iii)
式中のR1、X1は、上記式(1)におけるR1、X1とそれぞれ同義である。aは、1〜3の整数である。
硬化性組成物中に同時に存在する重合体(A)および重合体(D)の反応性ケイ素基は、互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
重合体(D)は、上記一般式(ii)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の1種または2種以上から誘導される構成単位からなる単独重合体または共重合体であってもよく、上記一般式(ii)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体の1種または2種以上から誘導される構成単位と、当該単量体以外の不飽和基含有単量体の1種または2種以上に基づく構成単位からなる共重合体であってもよい。
重合体(D)の数平均分子量(Mn)は500〜50,000が好ましく、1,000〜30,000がより好ましく、2,000〜20,000がさらに好ましい。または質量平均分子量(Mw)が600〜100,000が好ましく、1,200〜60,000がより好ましく、2,400〜40,000がさらに好ましい。
また市販の反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(D)を用いることもできる。かかる市販品としては、例えば東亜合成株式会社製の、製品名:ARUFON US−6000シリーズ(例えばUS−6120、US−6110等、いずれも製品名)を用いることができる。
重合体(D)の含有量が上記範囲の下限値以上であると重合体(D)の添加効果が充分に得られやすい。上記範囲の上限値以下であると、作業性と硬化性組成物が硬化した硬化物の伸びの低下を抑制することができる。
本発明の硬化性組成物は、加水分解によりトリメチルシラノールを発生しうる化合物(B)(単に、化合物(B)ともいう。)の2種以上を含有する。
化合物(B)はモジュラス調整剤とも呼ばれるもので、加水分解により発生したトリメチルシラノールが重合体(A)、(C)、または(D)と反応して、弾性率の低下を抑えつつ、硬化物の伸びを向上させることができ、硬化物の表面ベタツキの防止に寄与することができる。
化合物(B)は、例えばトリメチルシリルオキシ基を分子内に含有する化合物である。具体例としては、フェノキシトリメチルシラン、トリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体(TMP−3TMS)、2,2−ビス[(トリメチルシロキシ)メチル]−1−(トリメチルシロキシ)ブタン等が挙げられる。
化合物(B)は、トリメチルシリルオキシ基など、トリメチルシラノールを発生しうる官能基を有していれば特に限定されないが、分子量2,000以下の化合物が好ましく、分子量500以下の化合物がより好ましい。また、トリメチルシラノールを発生しうる官能基の数が1分子中に平均0.5〜8.0個以下あるものが好ましく、平均0.9〜4.0個がより好ましい。
多価アルコールの全水酸基におけるトリメチルシリルオキシ化率は、任意に調整できるが、50モル%以上が好ましく、80モル%以上がより好ましい。実質的に全ての水酸基がトリメチルシリルオキシ化されていることが最も好ましい。
また、化合物(B)を2種以上併用する際は、重合体(A)における反応性ケイ素基の加水分解速度よりも、加水分解速度の速い化合物(B)を使用することで硬化物の耐久性向上効果が十分に得られやすい。このため、少なくとも1種類は重合体(A)における反応性ケイ素基の加水分解速度よりも加水分解速度が速い化合物(B)用いることが好ましい。
例えば、重合体(A)における反応性ケイ素基の加水分解速度よりも、加水分解速度の速い化合物(B)としては、フェノキシトリメチルシランが挙げられ、重合体(A)における反応性ケイ素基の加水分解速度よりも、加水分解速度の遅い化合物(B)としては、トリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体(TMP−3TMS)が挙げられる。
フェノキシトリメチルシランとTMP−3TMSを併用する場合、両者の使用量の質量比はフェノキシトリメチルシラン/TMP−3TMSが、20/80〜80/20が好ましく、30/70〜70/30がより好ましい。該両者の使用量の質量比が上記の範囲内であると、良好な硬化性と硬化物の耐久性向上効果をバランス良く得ることができ、弾性率が比較的高いにもかかわらず、耐久性が良好な硬化物が得られやすい。
硬化性組成物に含まれる化合物(B)の合計量のうち、フェノキシトリメチルシランと、TMP−3TMSの合計が60質量%以上であることが好ましく、80質量%以上がより好ましく、100質量%が特に好ましい。
化合物(B)の合計の使用量が、上記の含有量の範囲を満たすとともに、硬化性組成物中に存在する化合物(B)のトリメチルシラノールを発生しうる官能基のモル数(b)を1とするとき、該硬化性組成物中に存在する重合体(A)の水酸基と加水分解性基の合計(a)(式(1)のX1の合計)のモル比(a/b)が0.5〜7.2であることが好ましい。該モル比(a/b)が上記範囲の下限値以上であると重合体(A)の十分な硬化速度が得られやすく、上限値以下であると硬化性組成物の機械物性を向上させ、硬化物の表面ベタツキを抑制する効果が十分に得られやすい。該モル比(a/b)は1.5〜6.3がより好ましく、1.8〜5.0がさらに好ましい。
化合物(B)は、硬化性組成物の構成成分(例えば重合体(A)、(C)、または(D))に予め添加されていてもよく、硬化性組成物を製造するときに添加してもよい。
本発明の硬化性組成物は、上記の重合体(A)、(C)、(D)、化合物(B)の他に、硬化性組成物において公知の成分を含むことができる。具体的には硬化触媒、助触媒、充填材、可塑剤、チキソ性付与剤、空気酸化硬化性化合物、安定剤、接着性付与剤等の添加剤が挙げられる。
このような添加剤成分を含む硬化性組成物を調整する方法は特に制限されず、硬化性組成物の製造途中または製造後の適当な時期に、添加剤成分を一度に、または何回かに分けて添加すればよい。以下、これらの添加剤成分について説明する。
硬化触媒は、反応性ケイ素基および化合物(B)の加水分解反応を触媒する化合物であれば特に限定されず、金属(錫、ビスマス等)と有機酸との塩(オクチル酸、オクテン酸、ナフテン酸等);有機金属錯体等が好ましい。有機酸塩は、オクチル酸第一錫、トリス(2−エチルヘキサン酸)ビスマス等が好ましい。
硬化触媒の使用量は、重合体(A)の100質量部に対して、0.01〜15.0質量部が好ましく、0.1〜10質量部がより好ましい。1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
硬化触媒と助触媒を併用してもよい。助触媒は、アミン、カルボン酸、またはリン酸が好ましく、硬化性組成物の速硬化性と硬化物の機械物性との観点から、アミンが特に好ましい。
アミンは、特に限定されず、第1級アミンが好ましい。アミンの具体例としては、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、N、N−ジメチルオクチルアミン等の脂肪族モノアミン;エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン;芳香族アミン;アルカノールアミン;N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン等の加水分解性シリル基を有するアミンが挙げられる。助触媒は1種を単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。なかでも、2価スズ化合物と第1級アミン化合物の併用が好ましく、オクチル酸第一錫とラウリルアミンの併用がより好ましい。
助触媒は、重合体(A)の100質量部に対して、0.01〜15質量部を用いるのが好ましく、0.1〜5質量部を用いるのが特に好ましい。
充填剤としては、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、表面を脂肪酸や樹脂酸系有機物で表面処理した膠質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム等の炭酸カルシウム;フュームドシリカ;沈降性シリカ;表面シリコーン処理シリカ微粉体;無水ケイ酸;含水ケイ酸;カーボンブラック;炭酸マグネシウム;ケイソウ土;焼成クレー;クレー;タルク;酸化チタン;ベントナイト;酸化第二鉄;酸化亜鉛;活性亜鉛華;シラスバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバルーン、フライアッシュバルーン、アルミナバルーン、ジルコニアバルーン、カーボンバルーン等の無機質の中空体;フェノール樹脂バルーン、エポキシ樹脂バルーン、尿素樹脂バルーン、サランバルーン、ポリスチレンバルーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコールバルーン、スチレン−アクリル系樹脂バルーン、ポリアクリロニトリルバルーン等の有機樹脂中空体;樹脂ビーズ、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フリント粉末等の粉体状充填剤;ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤が挙げられる。
可塑剤としては、フタル酸ジ(2−エチルヘキシル)、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソノニル等のフタル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ビス(2−メチルノニル)、セバシン酸ジブチル、オレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル;ペンタエリスリトールエステル等のアルコールエステル;リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸−ジ−2−エチルヘキシル、エポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤;塩素化パラフィン;イソパラフィン;2塩基酸と2価アルコールとを反応させてなるポリエステル等のポリエステル系可塑剤;ポリオキシアルキレンポリオール等のポリエーテル;ポリオキシプロピレングリコールの水酸基をアルキルエーテルで封止したようなポリエーテル誘導体;ポリ−α−メチルスチレン、ポリスチレン等のポリスチレンのオリゴマー;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマーが挙げられる。
可塑剤としてのイソパラフィンとして、市販のイソパラフィン系溶剤を用いることができる。例えばエクソンモービル社製の、製品名:アイソパーシリーズ(アイソパーH、アイソパーM等、いずれも製品名)を用いることができる。
また、パラフィン系炭化水素も可塑剤として用いることができ、硬化物の表面ベタツキ(タック)の改善に有効である。好ましくは炭素数6以上、より好ましくは炭素数8〜18のパラフィン系炭化水素が顕著な効果が得られやすい点で好ましい。具体的には、n−オクタン、2−エチルヘプタン、3−メチルヘプタン、n−ノナン、2−メチルオクタン、3−メチルオクタン、n−デカン、2−メチルノナン、3−メチルノナン、n−ウンデカン、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、4,5−ジプロピルオクタン、3−メチルトリデカン、6−メチルトリデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン等が例示できる。
例えば、ポリプロピレンポリオールなどのポリオキシアルキレンポリオールを可塑剤として好ましく用いることができる。可塑剤としてのポリオキシアルキレンポリオールの水酸基1個当たりの分子量は500〜20,000が好ましく、1,000〜12,000がより好ましい。
また、無溶剤型アクリルポリマーを可塑剤として好ましく用いることができる。可塑剤としてのアクリルポリマーの質量平均分子量は1,000〜10,000が好ましい。例えば市販の無溶剤型アクリルポリマーを用いることができる。かかる市販品としては、例えば東亜合成株式会社製の、製品名:ARUFON UPシリーズ(例えばUP−1000、US−1110等、いずれも製品名)を用いることができる。
この場合において、高分子可塑剤のみを用いても、高分子可塑剤と低分子の可塑剤とを併用してもよい。高分子可塑剤を用いることにより、硬化物の表面の汚染性や周辺汚染性の低減、硬化物上の塗料の乾燥性の向上、塗料表面の汚染性の低減などの効果が得られ、耐候性の向上にも寄与する。
可塑剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。本発明における可塑剤の使用量は、重合体(A)の100質量部に対して0.1〜150質量部が好ましく、10〜120質量部がより好ましい。
チキソ性付与剤の添加により硬化性組成物の垂れ性が改善される。チキソ性付与剤としては、水添ひまし油、脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、微粉末シリカ、有機酸処理炭酸カルシウム等が挙げられる。
チキソ性付与剤は、重合体(A)の100質量部に対して0.5〜10質量部添加することが好ましい。
硬化性組成物に空気酸化硬化性化合物を添加することにより、硬化物の耐候性や砂埃の付着が改善される。
空気酸化硬化性化合物としては桐油、アマニ油等の乾性油、乾性油を変性して得られるアルキッド樹脂、乾性油により変性されたアクリル系重合体、シリコーン樹脂、ポリブタジエン、炭素数5〜8のジエンの重合体や共重合体などのジエン系重合体、さらにはこれらの重合体や共重合体の変性物(マレイン化変性、ボイル油変性等)、空気硬化性ポリエステル化合物等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、併用してもよい。
空気酸化硬化性化合物の使用量は、重合体(A)の100質量部に対して0.1〜50質量部が好ましい
安定剤(老化防止剤)としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が挙げられ、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系、硫黄系の化合物が使用可能である。特に、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤のうち2以上を組み合わせて使用することが好ましい。このような使用方法により、それぞれの特徴を生かして全体として老化防止効果を向上させることができる。
具体的には、3級および2級のヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール系、ならびにホスファイト系酸化防止剤から選ばれる2種以上を組み合わせることが特に効果的である。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、または光安定剤として市販されている製品を適宜用いることができる。
酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤の使用量は、それぞれ、重合体(A)の100質量部に対してそれぞれ0.1〜10質量部であることが好ましい。0.1質量部未満では老化防止効果が充分に発現せず、10質量部を越える場合は経済的に不利である。
本件技術において、接着性の改善のため接着性付与剤を使用してもよい。接着性付与剤の具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシ基を有するシラン、アミノ基を有するシラン、エポキシ基を有するシラン、カルボキシル基を有するシラン等の有機シランカップリング剤;イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)プロピルトリメトキシチタネート、3−メルカプトプロピルトリメトキチタネート等の有機金属カップリング剤;エポキシ樹脂が挙げられる。
アミノ基を有するシランの具体例としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アニリノプロピルトリメトキシシランが挙げられる。
硬化性組成物に前記有機シランカップリング剤を添加する場合、その添加量は(A)成分の重合体(A)の100質量部に対して0.1〜30質量部であることが好ましい。
硬化性組成物に前記エポキシ樹脂を添加する場合、その添加量は硬化樹脂成分の100質量部に対して100質量部以下が好ましく、10〜80質量部がより好ましい。
本発明の硬化性組成物は、すべての配合成分を予め配合密封保存し、施工後空気中の湿気により硬化する1成分型として調製することも可能であり、重合体(A)および化合物(B)を含む主剤とは別に、硬化剤組成物として、硬化触媒、充填材、水等の成分を配合しておき、該硬化剤組成物と主剤を使用前に混合する、2成分型として調製することもできる。2成分型の場合、主剤と硬化剤を混合する際に、トナー等の着色剤を添加して混合してもよい。
本発明の硬化性組成物によれば、比較的高い弾性率を有しながら、良好な伸びおよび良好な耐久性を有する硬化物が得られる。
例えば、後述の測定方法によるM50の値が0.14〜0.30N/mm2、好ましくは0.16〜0.24N/mm2であり、後述の測定方法による伸びの値が670〜900%、好ましくは700〜900%であり、かつ後述の耐久性の評価方法による2000回の伸縮試験を行った後にも被着体と硬化物との接着界面に亀裂が生じない耐久性を有する硬化物が得られる。
[前駆重合体]
実施例で用いた前駆重合体を表1に示す。各前駆重合体は以下の製造例で得られたものである。また前駆重合体の製造に用いた複合金属シアン化物錯体触媒(アルキレンオキシド開環重合触媒)は以下の参考製造例で得られたものである。
前駆重合体(E’1)は分子量分布が小さい比較例、前駆重合体(E’2)は官能基1個あたりの分子量が小さい比較例である。
以下の参考製造例1〜2において、塩化亜鉛水溶液としては塩化亜鉛10gを15mLの水に溶解したものを、ヘキサシアノコバルト酸カリウム水溶液としてはヘキサシアノコバルト酸カリウム4gを80mLの水に溶解したものを、使用した。
塩化亜鉛水溶液にカリウムヘキサシアノコバルテート水溶液を40℃で30分間かけて滴下した。滴下後、t−ブチルアルコール(以下、TBAという)80mLおよび水80mLを添加し、60℃で1時間撹拌、熟成した。熟成後、錯体を濾別した。
得られた錯体にTBAの40mLおよび水80mLを添加して30分攪拌、洗浄後濾別した。さらに、TBAの100mLを添加し30分撹拌後濾別した。50℃で重量が一定になるまで減圧乾燥した後、粉砕を行い、配位子がt−ブチルアルコールである複合金属シアン化物錯体触媒(亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒)を得た。
塩化亜鉛水溶液中にカリウムヘキサシアノコバルテート水溶液を40℃で30分間かけて滴下した。滴下終了後、グライム80mLおよび水80mLを添加し、60℃で1時間撹拌後、錯体を濾別した。
得られた錯体にグライム80mLおよび水80mLを添加して30分攪拌後濾別し、さらにグライム100mLおよび水10mLを添加して撹拌後濾別した。80℃で4時間乾燥後、粉砕して、配位子がグライムである複合金属シアン化物錯体触媒(亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体触媒)を得た。
グリセリンにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られたポリオキシプロピレントリオール(官能基1個当たりの分子量330)を開始剤(開始剤Aという)として用いた。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒(0.08g)の存在下、開始剤A(64.1g)に、プロピレンオキシド(1,522g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端に水酸基を1分子あたり3個有する前駆重合体(A’1)を得た。前駆重合体(A’1)の、25℃における粘度は24Pa・sであった。GPCで測定したMnは30,000、Mwは35,100、よってMw/Mnは1.17であった。
プロピレングリコールにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られたポリオキシプロピレンジオール(官能基1個当たりの分子量1,000)を開始剤(開始剤Bという)として用いた。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒(0.03g)の存在下、開始剤B(64.1g)に、プロピレンオキシド(525g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端に水酸基を1分子あたり2個有する前駆重合体(A’2)を得た。前駆重合体(A’2)の、25℃における粘度は20Pa・sであった。GPCで測定したMnは22,000、Mwは23,800、よってMw/Mnは1.08であった。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒(0.05g)の存在下、開始剤A(21.4g)、開始剤B(42.7g)の混合液に、プロピレンオキシド(858g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端に水酸基を1分子あたり2.5個有する前駆重合体(A’3)を得た。前駆重合体(A’3)の、25℃における粘度は23Pa・sであった。GPCで測定したMnは26,000、Mwは31,800、よってMw/Mnは1.22であった。
グリセリンにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られたポリオキシプロピレントリオール(官能基1個当たりの分子量330、前記開始剤A)を開始剤として用いた。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒(0.08g)の存在下、開始剤A(64.1g)に、プロピレンオキシド(2,280g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端に水酸基を1分子あたり3個有する前駆重合体(A’4)を得た。前駆重合体(A’4)の、25℃における粘度は50Pa・sであった。GPCで測定したMnは41,000、Mwは47,100、よってMw/Mnは1.15であった。
グリセリンにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られたポリオキシプロピレントリオール(官能基1個当たりの分子量1,000)(開始剤Cという。)を、開始剤として用いた。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのグライム錯体触媒(0.09g)の存在下、開始剤D(64.1g)に、プロピレンオキシド(376g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端に水酸基を1分子あたり3.0個有する前駆重合体(E’1)を得た。前駆重合体(E’1)は、25℃における粘度は23Pa・sであった。GPCで測定したMnは25,000、Mw35,500は、よってMw/Mnは1.42であった。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒(0.05g)の存在下、開始剤A(64.1g)に、プロピレンオキシド(924g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端に水酸基を1分子あたり3個有する前駆重合体(E’2)を得た。前駆重合体(E’2)の、25℃における粘度は6Pa・sであった。GPCで測定したMnは19,000、Mw21,800は、よってMw/Mnは1.15であった。
t−ブチルアルコールにプロピレンオキシドを開環付加重合させて得られたポリオキシプロピレンモノオール(官能基1個当たりの分子量2,000)を開始剤(開始剤Dという)として用いた。
亜鉛ヘキサシアノコバルテートのt−ブチルアルコール錯体触媒(0.05g)の存在下、開始剤D(384g)に、プロピレンオキシド(594g)を、120℃にて反応系の圧力が下がらなくなるまで反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端に水酸基を1分子あたり1個有する前駆重合体(C’1)を得た。前駆重合体(C’1)は、25℃における粘度は1.2Pa・sであった。GPCで測定したMnは7,800、Mwは8,600、よってMw/Mnは1.10であった。
実施例で用いた重合体(A)(C)(E)を表2に示す。各重合体は以下の製造例で得られたものである。
重合体(E1)、(E2)は比較の重合体である。重合体(C1)は直鎖状で、片末端に反応性ケイ素基を有する重合体である。
以下の製造例においては、前駆重合体の末端にアリル基を導入し、該アリル基にジメトキシメチルシランを反応させる方法で、前駆重合体の主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を導入した。かかる方法においては、アリル基が開裂して形成されるメチレン鎖に反応性ケイ素基(ジメトキシメチルシリル基)が結合した構造が得られる。表中のシリル化率は、反応性ケイ素基に結合するメチレン鎖のHの量を1H−NMRで測定して算出した値である。
表中の平均官能基数は、各重合体の合成に用いた開始剤の水酸基数の平均値として求めた。
表に、重合体1g中の反応性ケイ素基(ジメトキシメチルシリル基)の含有量(単位:mmol/g)、および重合体1g中の加水分解性基(ケイ素原子に結合したメトキシ基)の含有量(単位:mmol/g)を示す。
上記で得られた前駆重合体(A’1)に、前駆重合体(A’1)の水酸基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加して、前駆重合体(A’1)をアルコラート化した。つぎに、加熱減圧によりメタノールを留去した後に、前駆重合体(A’1)の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加した。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ全主鎖末端にアリル基を有する重合体(A’’1)を得た。
次に、塩化白金酸六水和物の存在下、得られた重合体(A’’1)の主鎖末端のアリル基に対して0.72倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(A1)を得た。
上記で得られた前駆重合体(A’2)に、前駆重合体(A’2)の水酸基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加して、前駆重合体(A’2)をアルコラート化した。つぎに、加熱減圧によりメタノールを留去した後に、前駆重合体(A’2)の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加した。これにより、これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ全主鎖末端にアリル基を有する重合体(A’’2)を得た。
次に、塩化白金酸六水和物の存在下、得られた重合体(A’’2)の主鎖末端のアリル基に対して0.77倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(A2)を得た。
上記で得られた前駆重合体(A’3)に、前駆重合体(A’3)の水酸基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加して、前駆重合体(A’3)をアルコラート化した。つぎに、加熱減圧によりメタノールを留去した後に、前駆重合体(A’3)の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加した。これにより、これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ全主鎖末端にアリル基を有する重合体(A’’3)を得た。
次に、塩化白金酸六水和物の存在下、得られた重合体(A’’3)の主鎖末端のアリル基に対して0.745倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(A3)を得た。
製造例8と同様にして重合体(A’’1)を得た。塩化白金酸六水和物の存在下、重合体(A’’1)の主鎖末端のアリル基に対して0.67倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(A4)を得た。
製造例8と同様にして重合体(A’’1)を得た。塩化白金酸六水和物の存在下、重合体(A’’1)の主鎖末端のアリル基に対して0.79倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(A5)を得た。
上記で得られた前駆重合体(A’4)に、前駆重合体(A’4)の水酸基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加して、前駆重合体(A’4)をアルコラート化した。つぎに、加熱減圧によりメタノールを留去した後に、前駆重合体(A’4)の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加した。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ全主鎖末端にアリル基を有する重合体(A’’4)を得た。
次に、塩化白金酸六水和物の存在下、得られた重合体(A’’4)の主鎖末端のアリル基に対して0.72倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(A6)を得た。
上記で得られた前駆重合体(E’1)に、前駆重合体(E’1)の水酸基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加して、前駆重合体(E’1)をアルコラート化した。つぎに、加熱減圧によりメタノールを留去した後に、前駆重合体(E’1)の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加した。これにより、これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ全主鎖末端にアリル基を有する重合体(E’’1)を得た。
次に、塩化白金酸六水和物の存在下、得られた重合体(E’’1)の主鎖末端のアリル基に対して0.70倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(E1)を得た。
上記で得られた前駆重合体(E’2)に、前駆重合体(E’2)の水酸基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加して、前駆重合体(E’2)をアルコラート化した。つぎに、加熱減圧によりメタノールを留去した後に、前駆重合体(E’2)の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加した。これにより、これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ全主鎖末端にアリル基を有する重合体(E’’2)を得た。
次に、塩化白金酸六水和物の存在下、得られた重合体(E’’2)の主鎖末端のアリル基に対して0.66倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(E2)を得た。
上記で得られた前駆重合体(C’1)に、前駆重合体(C’1)の水酸基量に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドを含むメタノール溶液を添加して、前駆重合体(C’1)をアルコラート化した。つぎに、加熱減圧によりメタノールを留去した後に、前駆重合体(C’1)の水酸基量に対して過剰量の塩化アリルを添加した。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にアリル基を1分子あたり1個有する重合体(C’’1)を得た。
次に、塩化白金酸六水和物の存在下、得られた重合体(C’’1)の主鎖末端のアリル基に対して0.85倍モルのジメトキシメチルシランを添加し、70℃にて5時間反応させた。これにより、ポリオキシプロピレン鎖を有し、かつ主鎖末端にジメトキシメチルシリル基を有する重合体(C1)を得た。
実施例で用いた重合体(D1)、(D2)は、反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(D)の例である。重合体(D1)は以下の製造例で得られたものである。重合体(D2)は東亜合成株式会社製のARUFON US−6120(製品名、Mw2,400)である。
(製造例21:重合体(D1)の製造)
本例では、溶媒の存在下で、重合体(D1)を構成する不飽和基含有単量体を重合させる方法で重合体(D1)を製造した。
攪拌機付きの耐圧反応器に酢酸エチルを200g入れて、約67℃に昇温した。反応容器内温を約67℃に保ち、窒素雰囲気下、攪拌しながら、メタクリル酸メチル72g、アクリル酸−n−ブチル6.5g、メタクリル酸−n−ブチル29.0g、3−メタクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン15.0g、およびノルマルドデシルメルカプタン14.0gから選ばれるモノマーの所定量、ならびに2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)(商品名:V65、和光純薬株式会社製)2.5gの混合溶液を酢酸エチル中に5時間かけて滴下して重合を行い、反応性ケイ素機基としてトリエトキシシリル基を有する(メタ)アクリレート共重合体(以下、「重合体(D1)」)を合成した。重合体(D1)の数平均分子量(Mn)を測定したところ、4,000であった。
実施例で用いた化合物(B)は以下の化合物(B1)、(B2)である。
化合物(B1):フェノキシトリメチルシラン。1分子中に存在するトリメチルシラノールを発生しうる官能基の数は1個、1g中に存在するトリメチルシラノールを発生しうる官能基は0.060mmol/gである。
化合物(B2):トリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体(TMP−3TMS)。1分子中に存在するトリメチルシラノールを発生しうる官能基の数は3個、1g中に存在するトリメチルシラノールを発生しうる官能基は0.085mmol/gである。
上記重合体(A)、(C)、(D)、比較の重合体(E)および化合物(B)を用いて硬化性組成物を調製した。
以下の実施例では、重合体(A)および化合物(B)を含む主剤組成物と、硬化触媒を含む硬化剤組成物を別々に調製し、該硬化剤組成物と主剤組成物を使用前に混合する2成分型の硬化性組成物を調製した。
主剤組成物の配合を表3〜6に示し、硬化剤組成物の配合を表7に示す。表に示す添加剤成分は以下の通りである。
主剤組成物の配合を示す表に、該主剤組成物中に存在する重合体(A)または比較の重合体(E)の水酸基と加水分解性基の合計のモル数a(相対値)、該主剤組成物中に存在する化合物(B)のトリメチルシラノールを発生しうる官能基のモル数b(相対値)、これらのモル比a/bの値を示す。
白艶化CCR(製品名):膠質炭酸カルシウム、白石工業社製。
ホワイトンSB(製品名):重質炭酸カルシウム、白石カルシウム工業社製、平均粒径1.78μm。
酸化チタン:石原産業社製、R820(製品名)。
バルーン 80GCA(製品名):有機バルーン、松本油脂社製。
グロマックスLL(製品名):焼成カオリン、竹原化学工業社製。
DINP(略称):ジイソノニルフタレート、新日本理化社製、製品名:サンソサイザーDINP。
PMLS4012(製品名):高分子量ポリオール、旭硝子社製、水酸基1個当たりの分子量5,000(PMLS4012は分子中に水酸基を2個有する)。
UP−1000(製品名):東亜合成株式会社製、ARUFON UP−1000(製品名、無官能基アクリルポリマー、Mw3,000)。
サンソサイザーEPS(製品名):新日本理化社製、4,5−エポキシシクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸−ジ−2−エチルヘキシル。
アイソパーH(製品名):エクソンモービル社製、イソパラフィン系可塑剤。
アイソパーM(製品名):エクソンモービル社製、イソパラフィン系可塑剤。
オクタン:和光純薬社製。
ウンデカン:和光純薬社製。
トリデカン:和光純薬社製。
N−12(製品名):日鉱石油化学社製、ノルマルパラフィン(n−ドデカン99.0%)。
YH−NP(製品名):日鉱石油化学社製、ノルマルパラフィン(n−ドデカン18%、n−トリデカン59%、n−テトラデカン19%、n−ヘプタデカン4%)。
SH−NP(製品名):SH−NPは日鉱石油化学ノルマルパラフィン(n−テトラデカン55%、n−ヘプタデカン37%、n−ヘキサデカン8%)。
ディスパロン#305(製品名):水添ひまし油系チクソ性付与剤、楠本化成社製。
[空気酸化硬化性化合物]
桐油:木村社製。
[安定剤]
(酸化防止剤)
IRGANOX 1010(製品名):ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製。
IRGANOX 245(製品名):ヒンダードフェノール系酸化防止剤、BASF社製。
(紫外線吸収剤)
TINUVIN 326:(製品名):ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、BASF社製。
CHIMASSORB 81(製品名):ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、BASF社製。
(光安定剤)
TINUVIN 765(製品名):ヒンダードアミン系光安定剤、BASF社製。
LA−63P(製品名):ヒンダードアミン系光安定剤、ADEKA社製、分子量約2,000、融点85〜105℃。
[接着性付与剤]
KBM−403(製品名):3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学社製。
[硬化触媒・助触媒]
(a)硬化触媒・助触媒混合物:硬化触媒としてのオクチル酸第一錫(吉富製薬社製、商品名:スタノクト)と、助触媒としてのラウリルアミン(n−ドデシルアミン、試薬)とを質量比(硬化触媒:助触媒)6:1で混合した混合物。
(例1〜31)
表3〜6に示す配合で、各成分を遊星式撹拌機で混合して主剤組成物を調製した。例1〜25は実施例であり、例26〜31は比較例である。また、表3〜6における、aは重合体(A)または(E)の水酸基と加水分解性基の合計(相対モル数)であり、bは化合物(B)のトリメチルシラノール基を発生しうる官能基の合計(相対モル数)である。
これとは別に、表7に示す配合で、下記の(a)〜(d)を混合して硬化剤組成物を調製した。
各例の主剤組成物と、表7の配合の硬化剤組成物と、着色剤としてのトナーを、主剤組成物/硬化剤組成物/ダークグレートナー(100/10/5.2)の質量比で混合して硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物について下記の方法で評価した。評価結果を表8、9に示す。
また、例2、25で得られた硬化性組成物については、後述の耐久性試験において2000回の伸縮試験を行った後、さらに追加で1000回、2000回の伸縮試験を行った。その結果を表10に示す。
得られた硬化性組成物を容器(サイズ:縦10.5cm×横7.0cm×深さ4.0cm)に450g入れて、表面から窒素ガスを吹き付けて気泡を取り除いた。その後、10℃の雰囲気中に容器が水平になるように置き、40時間養生したものをサンプルとし、自動ちょう度/針入度試験器(RPM-101型)を用いてちょう度の測定を行った。
ちょう度は、このサンプルの表面の中央部に、ステンレス製の円すい型のコーン(先端0.38mm)を、100gの荷重をかけて侵入させ、5秒間で侵入した長さ(侵入深さ、単位:mm)を測定し、該侵入深さを10倍した値をちょう度の値とした。
該ちょう度の値が100以下であるときに硬化性が良好(○)、100超のときに硬化性が不良(×)と判定した。
被着体として、表面にプライマー(製品名:MP−2000、セメダイン社製)処理をした表面陽極酸化アルミニウムを使用し、JIS A 1439の建築用シーリング材の試験方法に準拠してH型試験体を作製し引張特性試験を行った。
具体的には、作成したH型試験体を温度23℃、湿度65%で1週間養生し、更に温度50℃、湿度65%で1週間養生を行ってH型試験体の硬化物を作成した。得られた硬化物について、テンシロン試験機にて引張物性の測定(H型物性)をし、50%伸張した時の応力(M50、単位:N/mm2)、最大点引張応力(単位:N/mm2)、最大点伸び(単位:%)を測定した。
M50の値が小さいほど柔軟性が高く、最大点引張応力の値が大きいほど引張強度が高く、最大点伸びの値が大きいほど伸びが良い。
ポリエチレンテレフタレート製フィルムの上におよそ縦150mm、横50mm、厚さ5mmの形状に硬化性組成物を施工し、23℃、湿度50%で8時間養生し硬化させ、表面のベタツキの有無を指触で評価した。
耐久性は、JIS A5758(2004年版)に記載の耐久性区分9030に準拠して測定した。被着体として表面にプライマー(製品名:MP−2000、セメダイン社製)処理をした表面陽極酸化アルミニウムを使用した。
耐久性試験において2000回の伸縮試験を行った後の被着体と硬化物との接着界面の亀裂を確認し、その亀裂がないものを◎(最優良)とし、一部に亀裂があるが非常に小さくかつ0.5mm未満程度の極浅い場合を○(優良)とし、全面に渡っておよそ1mm程度の浅い亀裂があるものを△(良)、全面に渡って1mm以上の深い亀裂があるものを×(不良)とした。
この耐久性試験による耐久性が良好であることは、耐伸縮疲労性が良好であることを示す。
これに対して例26は、重合体(A)を用いず、その代わりに前駆重合体の分子量分布(Mw/Mn)が1.40よりも大きい比較の重合体(E1)を用いた例である。硬化物の弾性率および引張強度は例1〜24とほぼ同等であるが、伸びおよび耐久性が劣る。
例27は、重合体(A)を用いず、その代わりに前駆重合体の官能基1個当たりの分子量が7,000よりも小さい比較の重合体(E2)を用いた例であり、硬化物の弾性率は例1〜25とほぼ同等であるが、引張強度、伸びおよび耐久性が劣っていた。
例28は、化合物(B)として、フェノキシトリメチルシラン(B1)の1種だけを用いた例である。例2と比べて硬化性が劣り、10℃、40時間で充分に硬化していなかった。
例29は、化合物(B)としてTMP−3TMS(B2)の1種だけを用いた例である。硬化性は良好であったが、例2と比べて、硬化物の弾性率の値は低いが、引張強度、伸びおよび耐久性が劣っていた。
例30は、化合物(B)を含有させなかった例である。例21と比べて、弾性率の値は高いが、引張強度、および伸びは劣り、耐久性が不充分であった。また硬化物の表面にベタツキが見られた。
例31は、化合物(B)を重合体(A)の100質量部に対して2質量部よりも多く含有させた例である。例22と比べて、硬化性が劣り、10℃、40時間で充分に硬化していなかった。また、例22と比べて硬化物の弾性率の値が小さく、伸びおよび耐久性は良いが、引張強度が劣っていた。
また、表10の結果より、硬化性組成物が重合体(A)と2種の化合物(B)を適切な量比で含み、官能基1個当たりの分子量が異なる例2と25は、硬化物の弾性率はほぼ同等であるが、分子量の高い例25の方が、引張強度、伸びに優れ、追加の伸縮試験を行った際の耐久性に優れる結果となった。
Claims (7)
- 主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を有し、全主鎖末端に、反応性ケイ素基を導入可能な官能基を有し、該官能基が、活性水素を有する基および不飽和基からなる群より選択される1種以上であり、主鎖末端の平均官能基数が2.0以上、3.0以下であり、官能基1個当たりの分子量が7,000〜20,000であり、分子量分布が1.01〜1.40である前駆重合体(A’)に、下式(1)で表される反応性ケイ素基を導入してなる重合体(A)と、加水分解によりトリメチルシラノールを発生しうる化合物(B)の2種以上とを含有し、前記化合物(B)の合計の含有量が前記重合体(A)の100質量部に対して0.4〜2.0質量部であることを特徴とする硬化性組成物。
−SiX1 2R1・・・(1)
[式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜20の1価の有機基(加水分解性基を除く。)を示し、X1は水酸基又は加水分解性基を示す。2個のX1は互いに同一でも異なっていてもよい。] - 前記前駆重合体(A’)が、アルキレンオキシド開環重合触媒の存在下で、活性水素を2個有する開始剤および活性水素を3個有する開始剤の一方または両方に、アルキレンオキシドを開環付加重合させたオキシアルキレン重合体からなる前駆重合体(A’−a)である、請求項1記載の硬化性組成物。
- 前記アルキレンオキシド開環重合触媒が、有機配位子としてt−ブチルアルコールが配位した複合金属シアン化物錯体触媒である、請求項2に記載の硬化性組成物。
- 前記化合物(B)が、フェノキシトリメチルシランおよびトリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- フェノキシトリメチルシラン/トリメチロールプロパンのトリストリメチルシリル体で表される両者の質量比が20/80〜80/20である、請求項4に記載の硬化性組成物。
- さらに、直鎖状で、主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を有し、片末端に反応性ケイ素基を有する重合体(C)を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
- さらに、反応性ケイ素基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体(D)を含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の硬化性組成物。
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