JP2002069288A - 硬化性組成物 - Google Patents

硬化性組成物

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JP2002069288A
JP2002069288A JP2000256107A JP2000256107A JP2002069288A JP 2002069288 A JP2002069288 A JP 2002069288A JP 2000256107 A JP2000256107 A JP 2000256107A JP 2000256107 A JP2000256107 A JP 2000256107A JP 2002069288 A JP2002069288 A JP 2002069288A
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oxyalkylene polymer
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JP2000256107A
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Kaoru Tsuruoka
薫 鶴岡
Takashi Watabe
崇 渡部
Ikuko Kitagawa
郁子 北川
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Asahi Glass Urethane Co Ltd
AGC Inc
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Asahi Glass Co Ltd
Asahi Glass Urethane Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化物が厚膜、薄膜のいずれであっても、ク
ラックや白化等の発生を長期間に亘ってより確実に防止
することが可能な硬化性組成物を提供すること。 【解決手段】 一般式(1)の基を有するオキシアルキ
レン重合体(A)と、 −SiXa1 (3-a) ・・・(1) [式中、R1は1価の有機基、Xは水酸基または加水分
解性基、aは1〜3。](メタ)アクリル酸アルキルエ
ステル単量体単位を含む重合体(B)と、平均分子量が
1000以上の高分子可塑剤(C)とを含む硬化性組成
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は硬化性組成物に関
し、より詳しくは、シーラントや接着剤等の主成分とし
て好適な湿分硬化型の硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】アルコキシシリル基等の反応性ケイ素基
を有するオキシアルキレン重合体は、(以下、硬化型オ
キシアルキレン重合体という)は、空気中の湿分により
室温でも硬化可能であり、硬化後はゴム弾性を有する硬
化物が得られ、様々な被着体に対する接着性にも優れて
いるために、シーラント、接着剤、被覆・密封用組成物
の主剤等として広く用いられている。
【0003】近年、このような硬化型オキシアルキレン
重合体に(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体等
の不飽和基含有単量体の重合体を混合したり、硬化型オ
キシアルキレン重合体の存在下前記不飽和基含有単量体
を重合する等の方法により、硬化型オキシアルキレン重
合体を変性する試みがなされている。このような試み
は、例えば、特開昭59−78223号公報、特開昭5
9−122541号公報、特開昭60−31556号公
報、特開昭63−112642号公報、特開平1−27
5648号公報、特開平6−172631号公報、国際
公開公報98/47937号等に開示されており、上記
変性により力学的特性、耐候性、塗料密着性等を改善す
ることが可能であると報告されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、本発明
者らは、上記公報に開示された、(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル単量体等の不飽和基含有単量体の重合体
で変性された硬化型オキシアルキレン重合体(以下、ア
クリル重合体変性硬化型オキシアルキレン重合体とい
う)は、より過酷な条件に晒された場合における耐候性
の点において未だ充分なものではないことを見出した。
すなわち、屋外暴露により風雨や太陽光等に晒されるよ
うな条件においては、暴露期間が長期に亘ると硬化物に
クラックや白化が生じ、特に、硬化物の膜厚が薄くなる
ことによってそれらの発生が顕著となることを見出し
た。
【0005】本発明は、上記従来技術の問題点を鑑みて
なされたものであり、硬化物が厚膜、薄膜のいずれであ
っても、クラックや白化等の発生を長期間に亘ってより
確実に防止することが可能な硬化性組成物を提供するこ
とを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の目
的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、アクリル重合体
変性硬化型オキシアルキレン重合体に対して、一般に高
分子可塑剤として知られている化合物であって特定分子
量以上のものを添加することにより、硬化物が厚膜、薄
膜のいずれであっても、クラックや白化等の発生を長期
間に亘ってより確実に防止することが可能な硬化性組成
物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】アクリル重合体による変性が施されていな
い硬化型オキシアルキレン重合体に高分子可塑剤を添加
することは、例えば、特開平1−171683号公報、
特開平1−279958号公報、特開平5−28718
9号公報、特開平5−339490号公報、特開平7−
113049号公報、特開平9−194735号公報、
特開平10−60253号公報に開示されているように
公知の技術である。しかしながら、上記公報に開示の組
成においては、高分子可塑剤の添加により得られる効果
は、可塑化効果の他は、耐汚染性、貯蔵安定性、塗料乾
燥性の向上等に限られたものであった。
【0008】これに対して、本発明者らは、高分子可塑
剤が、アクリル重合体変性硬化型オキシアルキレン重合
体との組み合わせにおいて、長期間に亘る耐候性向上と
いう従来全く知られていなかった効果を奏することを見
出したものである。そして、その耐候性向上は、高分子
可塑剤未添加のアクリル重合体変性硬化型オキシアルキ
レン重合体の耐候性を遥かに凌ぐ、長期間に亘るもので
あることを見出したものである。
【0009】すなわち、本発明の硬化性組成物は、下記
一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシ
アルキレン重合体(A)と、 −SiXa1 (3-a) ・・・(1) [式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜2
0の1価の有機基、Xは水酸基または加水分解性基、a
は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数個
存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていて
もよく、また、Xが複数個存在するときは、Xはそれぞ
れ同一でも異なっていてもよい。](メタ)アクリル酸
アルキルエステル単量体単位を含む重合体(B)と、平
均分子量が1000以上の高分子可塑剤(C)と、を含
むことを特徴とする。
【0010】本発明においては、前記高分子可塑剤
(C)の少なくとも一部が、前記一般式(1)で表され
る反応性ケイ素基を有しないオキシアルキレン重合体で
あることが好ましい。また、前記高分子可塑剤(C)
が、25℃において5Pa・s以下の粘度を有すること
が好ましく、前記オキシアルキレン重合体(A)が、2
5℃において20Pa・s以下の粘度を有することが好
ましい。
【0011】本発明においては、さらに、前記重合体
(B)が、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体
単位として、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル単量体単位と、アルキル基の
炭素数が10以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル単量体単位とを含む重合体であることが好ましい。ま
た、前記重合体(B)が、(メタ)アクリル酸アルキル
エステル単量体単位を含む重合体であって、上記一般式
(1)で表される反応性ケイ素基を有する重合体である
ことが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の硬化性組成物は、下記一
般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシア
ルキレン重合体(A)と、 −SiXa1 (3-a) ・・・(1) [式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜2
0の1価の有機基、Xは水酸基または加水分解性基、a
は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数個
存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていて
もよく、また、Xが複数個存在するときは、Xはそれぞ
れ同一でも異なっていてもよい。](メタ)アクリル酸
アルキルエステル単量体単位を含む重合体(B)と、平
均分子量が1000以上の高分子可塑剤(C)とを含む
ものである。
【0013】先ず、本発明におけるオキシアルキレン重
合体(A)について説明する。本発明におけるオキシア
ルキレン重合体(A)は、水酸基または加水分解性基を
備えた上記反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重
合体である。本発明において、加水分解性基とは加水分
解反応を受けて水酸基を生じうる基を意味する。したが
って、加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、
アルコキシ基、アシルオキシ基、アルケニルオキシ基、
アミノ基、ケトキシメート基、アミノオキシ基、カルバ
モイル基、メルカプト基を挙げることができる。
【0014】上記ハロゲン原子としては、塩素原子が好
ましく、アルコキシ基としては炭素数1〜6のアルコキ
シ基が好ましい。アルコキシ基の炭素数は1〜4である
ことがより好ましく、このような基としてはメトキシ
基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基が挙げられ
る。アシルオキシ基としては、例えば、アセトキシ基が
挙げられ、アルケニルオキシ基としては、例えば、プロ
ペノキシ基が挙げられる。アミノ基としては、N−置換
アミノ基が好ましく、N,N−ジメチルアミノ基等のよ
うなN,N−ジアルキルアミノ基がより好ましい。カル
バモイル基としては、N−メチルカルバモイル基等のよ
うなN−置換カルバモイル基が好ましい。ケトキシメー
ト基としては、例えば、アセトキシメート基、ジメチル
ケトキシメート基が挙げられる。
【0015】本発明においては、反応性ケイ素基はオキ
シアルキレン重合体の架橋に用いられるために、反応性
ケイ素基中の加水分解性基の反応性は穏やかであること
が好ましく、また、加水分解反応の結果脱離する分子
は、オキシアルキレン重合体分子に閉じ込められること
なく空気中へ拡散可能な、揮発性の低分子であることが
好ましい。このような観点から、本発明においては、加
水分解性基はアルコキシ基であることが好ましく、メト
キシ基が最も好ましい。
【0016】反応性ケイ素基は以上説明した加水分解性
基または水酸基を1〜3個有しており、これらの基の総
数が1または2個である場合は、反応性ケイ素基におけ
るケイ素原子には2または1個のR1が結合している。
このR1は炭素数1〜20の1価の有機基であり、当該
有機基は置換基を有していても有していなくてもよい
が、置換基を有していないことが好ましい。本発明にお
いて、R1の炭素数が20を超す場合は、反応性ケイ素
基に嵩高い有機基が存在することになるため、上記説明
した反応性ケイ素基中の加水分解性基または水酸基の反
応性が不充分となる。本発明においては、R1の炭素数
は1〜16であることが好ましく、1〜8であることが
より好ましい。
【0017】R1が置換基を有しない1価の有機基であ
る場合、その構造は特に制限されず、直鎖状、分岐状、
環状のいずれの構造を有していてもよい。このような有
機基としては、例えば、アルキル基、シクロアルキル
基、アリール基、アラルキル基が挙げられる。アルキル
基としては、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、こ
のようなアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基が挙げられる。また、R1が置換基を
有する1価の有機基である場合、当該置換基の種類は特
に制限されない。
【0018】反応性ケイ素基において、Xで表される基
または有機基R1が複数存在する場合は、それらはそれ
ぞれ同一でも異なっていてもよい。また、オキシアルキ
レン重合体の架橋を促進させるという観点から、Xの個
数(一般式(1)におけるa)は2または3であること
が好ましい。また、上記のようにR1としては嵩高くな
い基が好ましく、加水分解性基としてはメトキシ基が好
ましいことから、本発明においては、反応性ケイ素基と
して、メチルジメトキシシリル基、トリメトキシシリル
基が特に好ましい。
【0019】本発明におけるオキシアルキレン重合体
(A)は、オキシアルキレン重合体の分子中に、以上説
明した一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する
ものである。ここで、オキシアルキレン重合体一分子当
たりの反応性ケイ素基の数や、オキシアルキレン重合体
における反応性ケイ素基の結合部位は特に制限されな
い。すなわち、オキシアルキレン重合体(A)は一分子
当たり上記反応性ケイ素基を1以上有していればよく、
その存在部位は、オキシアルキレン重合体の末端、側
鎖、または末端と側鎖の両方であってもよい。
【0020】また、反応性ケイ素基を有するオキシアル
キレン重合体は繰り返し単位としてオキシアルキレンを
有する重合体であればよく、オキシアルキレンは1種の
みからなるものであっても、2種以上からなるものであ
ってもよい。特に、繰り返し単位が2種以上のオキシア
ルキレンからなる場合は、それぞれのオキシアルキレン
がランダムに連結してオキシアルキレンのランダム重合
体を形成していても、同一種類のオキシアルキレンがブ
ロック状にまとまって連結してブロック共重合体を形成
していてもよい。
【0021】さらに、オキシアルキレン重合体は、繰り
返し単位としてのオキシアルキレン以外の化学構造を分
子中に有していてもよい。後述するように、オキシアル
キレン重合体は開始剤(イニシエーター)に環状エーテ
ルを反応させて合成することが一般的であるから、開始
剤由来の官能基を分子中に有していてもよい。また、後
述するように、オキシアルキレン重合体は含有する水酸
基を他の官能基と反応させて高分子量化することがある
ために、水酸基と他の官能基が反応して生じた結合(例
えば、ウレタン結合等)を分子中に有していてもよい。
【0022】本発明におけるオキシアルキレン重合体
(A)は、官能基を有するオキシアルキレン重合体を原
料とし、その官能基の一部または全部と、一般式(1)
で表される反応性ケイ素基を有する化合物とを反応させ
ることにより得られるものであることが好ましい。この
場合において、一般式(1)で表される反応性ケイ素基
は、2価の有機基を介してオキシアルキレン重合体と結
合することが好ましい。2価の有機基を介してオキシア
ルキレン重合体に結合する場合は、反応性ケイ素基は下
記一般式(2)で表す構造となる。 −R0−SiXa1 (3-a) ・・・(2) [式中、R0は2価の有機基を示す。R1、X、aは、前
記R1、X、aと同義である。]
【0023】本発明におけるオキシアルキレン重合体
(A)を製造するための原料となる、官能基を有するオ
キシアルキレン重合体としては、水酸基、不飽和基、イ
ソシアネート基を官能基として有したオキシアルキレン
重合体が挙げられる。官能基の種類はこれらに限られ
ず、反応性ケイ素基を有する化合物と反応して、オキシ
アルキレン重合体に反応性ケイ素基を導入可能な官能基
であればいずれも使用可能である。オキシアルキレン重
合体における上記の官能基の数や位置も特に限定され
ず、1種または2種以上の官能基がオキシアルキレン重
合体の末端および/または側鎖に結合したものが利用可
能である。
【0024】本発明においては、官能基を有するオキシ
アルキレン重合体として、水酸基を末端に有するオキシ
アルキレン重合体(以下、水酸基末端オキシアルキレン
重合体という)を用いることが好ましい。これは、水酸
基末端オキシアルキレン重合体の末端水酸基を他の官能
基に変換することにより、他の官能基を有したオキシア
ルキレン重合体が比較的容易に得られるからである。
【0025】水酸基末端オキシアルキレン重合体は、1
価または多価アルコールや1価または多価カルボン酸等
の活性水素含有化合物を開始剤として、エチレンオキシ
ド、プロピレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、
2,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環
状エーテルを開環重合させて得ることができる。この場
合において、重合触媒として、カリウム系化合物やセシ
ウム系化合物等のアルカリ金属触媒、複合金属シアン化
物錯体触媒、金属ポルフィリン触媒を用いることができ
る。
【0026】上記の開始剤としては活性水素を2〜8個
有する多価活性水素含有化合物を用いることが好まし
く、活性水素を2〜6個有する多価活性水素含有化合物
を用いることがより好ましい。本発明においては、硬化
後の柔軟性と接着性とに優れる硬化性組成物が得られる
ことから、活性水素の数は2または3個であることがさ
らに好ましい。また、多価活性水素含有化合物としては
多価アルコールが好ましい。
【0027】水酸基末端オキシアルキレン重合体の重合
触媒としてアルカリ金属触媒を用いた場合は、比較的低
分子量の重合体が得られるので、当該重合体の末端水酸
基をナトリウムアルコキシド等とし、塩化メチレン等の
多ハロゲン化合物を反応させることによって多量化して
高分子量化することができる(特開昭62−24032
0号公報参照)。一方、重合触媒として、複合金属シア
ン化物錯体触媒を用いた場合は、高分子量かつ狭分子量
分布の重合体が得ることができる(特開平3−7252
7号公報参照)。
【0028】本発明において、水酸基末端オキシアルキ
レン重合体を得るために用いる重合触媒は、複合金属シ
アン化物錯体触媒であることが好ましい。複合金属シア
ン化物錯体としては亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主
成分とする錯体が好ましく、なかでもエーテルおよび/
またはアルコール錯体が好ましい。この場合、エーテル
としてはエチレングリコールジメチルエーテル(グライ
ム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグラ
イム)等が好ましく、錯体製造時の取り扱いの点からグ
ライムが特に好ましい。アルコールとしてはt−ブタノ
ールが好ましい。
【0029】水酸基末端オキシアルキレン重合体として
は、2〜6価のポリオキシプロピレンポリオールが好ま
しく、なかでもポリオキシプロピレンジオールおよびポ
リオキシプロピレントリオールが好ましい。水酸基末端
オキシアルキレン重合体は、分子量や化学構造が異なる
2種以上の混合物であってもよく、このような混合物を
用いることにより、硬化後の物性の調整や硬化特性の調
整が可能となる。
【0030】以上説明した水酸基末端オキシアルキレン
重合体を用いることにより、例えば、以下の(I)〜
(IV)の方法により反応性ケイ素基を有するオキシア
ルキレン重合体(A)を得ることができる。 (I)水酸基末端オキシアルキレン重合体の末端水酸基
を不飽和基に変換した後、当該不飽和基とヒドロシリル
化合物を反応させる方法。 (II)水酸基末端オキシアルキレン重合体とイソシア
ネート基含有ケイ素化合物とを反応させる方法。 (III)水酸基末端オキシアルキレン重合体の末端水
酸基をイソシアネート基に変換した後、当該イソシアネ
ート基と活性水素含有ケイ素化合物を反応させる方法。 (VI)水酸基末端オキシアルキレン重合体の末端水酸
基を不飽和基に変換した後、当該不飽和基とメルカプト
基含有ケイ素化合物を反応させる方法。
【0031】上記(I)の方法においては、例えば、上
述の方法により得られた水酸基末端オキシアルキレン重
合体の末端水酸基に、水酸基と反応性の官能基と不飽和
基とを有する化合物(以下、化合物1という)を反応さ
せて、まず、オキシアルキレン重合体の末端に不飽和基
を導入する。化合物1における水酸基と反応性の官能基
としては、水酸基との反応により、エーテル結合、エス
テル結合、ウレタン結合、カーボネート結合を形成可能
な基を挙げることができる。このような官能基として
は、ハロゲン原子、カルボキシル基、ハロホルミル基、
イソシアネート基等が挙げられる。また、化合物1にお
ける不飽和基としては、アルケニル基、アクリロイル
基、メタクリロイル基等が挙げられる。アルケニル基と
しては、ビニル基または下記一般式(3)で表される基
が好ましい。 −R2−CH=CH2 ・・・(3) [R2は炭素数1〜18の2価の炭化水素基を示す。]
【0032】一般式(3)で表される基においてR2
炭素数1〜5の炭化水素基であることが好ましく、メチ
レン基であることが特に好ましい。R2がメチレン基で
ある場合は一般式(3)で表される基はアリル基とな
る。また、化合物1としては、アリルクロリドが特に好
ましく、これを用いることにより、オキシアルキレン重
合体の末端水酸基を容易にアリルオキシ基とすることが
できる。
【0033】上記のようにして、オキシアルキレン重合
体の末端に不飽和基を導入した後に、当該不飽和基と下
記一般式(4)で表されるヒドロシリル化合物を反応さ
せることにより、オキシアルキレン重合体の末端に一般
式(1)で表される反応性ケイ素基を導入することがで
きる。 HSiXa1 (3-a) ・・・(4) [式中、R1、X、aは、前記R1、X、aと同義であ
る。]
【0034】(I)の方法において、オキシアルキレン
重合体の末端水酸基をアリルオキシ基に変換した後、上
記一般式(4)で表されるヒドロシリル化合物を反応さ
せた場合は、末端水酸基は下記一般式(5)で表される
基となる。 −O−C36−SiXa1 (3-a) ・・・(5) [式中、R1、X、aは、前記R1、X、aと同義であ
る。]
【0035】上記ヒドロシリル化合物を不飽和基末端の
オキシアルキレン重合体と反応させる際には、白金系触
媒、ロジウム系触媒、コバルト系触媒、パラジウム系触
媒、ニッケル系触媒などの触媒を使用できる。触媒とし
ては、塩化白金酸、白金金属、塩化白金、白金オレフィ
ン錯体などの白金系触媒が好ましい。また、ヒドロシリ
ル化合物は、30〜150℃、好ましくは60〜120
℃で数時間反応させることが好ましい。
【0036】上記(II)の方法においては、例えば、
水酸基末端オキシアルキレン重合体と下記一般式(6)
で表されるイソシアネート基含有ケイ素化合物とを反応
させることにより、オキシアルキレン重合体の末端に一
般式(1)で表される反応性ケイ素基を導入することが
できる。 OCN−R3−SiXa1 (3-a) ・・・(6) [式中、R3は炭素数1〜20の2価炭化水素基を示
す。R1、X、aは、前記R 1、X、aと同義である。]
【0037】水酸基末端オキシアルキレン重合体におけ
る末端水素基と、上記一般式(6)で表されるイソシア
ネート基含有ケイ素化合物におけるイソシアネート基が
反応することによりウレタン結合が生じて一般式(1)
で表される反応性ケイ素基が導入される。この場合にお
いて、オキシアルキレン重合体の末端水酸基は下記一般
式(7)で表される基となる。 −OCONH−R3−SiXa1 (3-a) ・・・(7) [式中、R3、R1、X、aは、前記R3、R1、X、aと
同義である。]
【0038】上記(III)の方法においては、例え
ば、水酸基末端オキシアルキレン重合体とポリイソシア
ネート化合物を、イソシアネート当量数が水酸基当量数
より大きくなる条件で反応させて、まず、水酸基末端オ
キシアルキレン重合体の末端水酸基をイソシアネート基
に変換する。
【0039】次に、末端がイソシアネート基となったオ
キシアルキレン重合体と下記一般式(8)で表される活
性水素含有ケイ素化合物を反応させることにより、オキ
シアルキレン重合体の末端に一般式(1)で表される反
応性ケイ素基を導入することができる。 W−R3−SiXa1 (3-a) ・・・(8) [式中、Wは水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、
第1級アミノ基、第2級アミノ基からなる群より選ばれ
る活性水素含有基を示す。R3、R1、X、aは、前記R
3、R1、X、aと同義である。]
【0040】上記反応の結果、末端がイソシアネート基
であるオキシアルキレン重合体の末端イソシアネート基
は下記一般式(9)で表される基となる。 −NH−W1−R3−SiXa1 (3-a) ・・・(9) [式中、W1は−COO−、−CO−、−COS−、−
CONH−、−CONW2−からなる群より選ばれる2
価の基を示す。ただし、W2は1価の有機基を示し、
3、R1、X、aは、前記R3、R1、X、aと同義であ
る。]
【0041】上記(VI)の方法においては、例えば、
水酸基末端オキシアルキレン重合体を用いて上記(I)
に記載の方法により、まずオキシアルキレン重合体の末
端を不飽和基に変換する。次いで、末端が不飽和基とな
ったオキシアルキレン重合体と下記一般式(10)で表
されるメルカプト基含有ケイ素化合物を反応させること
により、オキシアルキレン重合体の末端に一般式(1)
で表される反応性ケイ素基を導入することができる。 HS−R3−SiXa1 (3-a) ・・・(10) [式中、R3、R1、X、aは、前記R3、R1、X、aと
同義である。]
【0042】(VI)の方法において、オキシアルキレ
ン重合体の末端水酸基をアリルオキシ基に変換した後、
上記一般式(10)で表されるメルカプト基含有ケイ素
化合物を反応させた場合は、末端水酸基は下記一般式
(11)で表される基となる。 −O−C36−S−R3−SiXa1 (3-a) ・・・(11) [式中、R3、R1、X、aは、前記R3、R1、X、aと
同義である。]
【0043】一般式(10)で表されるメルカプト基含
有ケイ素化合物としては、3−メルカプトプロピルメチ
ルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメト
キシシラン等が挙げられる。上記反応の際には、ラジカ
ル発生源としてラジカル重合開始剤を用いてもよく、場
合によってはラジカル重合開始剤を用いることなく放射
線や熱によって反応させてもよい。ラジカル重合開始剤
としては、たとえばパーオキシド系、アゾ系、またはレ
ドックス系の重合開始剤や金属化合物触媒などが挙げら
れる。ラジカル重合開始剤としては、2,2’−アゾビ
スイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチ
ルブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2,4−ジメ
チルバレロニトリル)、ベンゾイルパーオキシド、t−
ブチルパーオキド、アセチルパーオキシド、ジイソプロ
ピルパーオキシジカーボネート等が挙げられる。また上
記反応は20〜200℃、好ましくは50〜150℃で
数時間〜数十時間行うことが好ましい。
【0044】上記(I)の方法は、水酸基末端オキシア
ルキレン重合体の末端水酸基を不飽和基にした後、当該
不飽和基を変換させる方法であるが、この方法の変形態
様として以下の方法が可能である。
【0045】すなわち、開始剤の存在下、環状エーテル
を開環重合させて水酸基末端オキシアルキレン重合体を
得る場合において、環状エーテルとして、アリルグリシ
ジルエーテル、グリシジルアクリレート、グリシジルメ
タクリレート等の不飽和基含有モノエポキサイドを併用
することにより、水酸基末端オキシアルキレン重合体の
側鎖に不飽和結合を導入することができる(特開平3−
79627号公報参照)。
【0046】この水酸基末端オキシアルキレン重合体の
末端水酸基を上記(I)の方法と同様にして不飽和基に
変換することにより、末端および側鎖に不飽和基を有し
たオキシアルキレン重合体が得られるので、当該重合体
における不飽和基を上記(I)と同様の方法により変換
して、末端および側鎖に上記一般式(1)で表される反
応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体を得るこ
とができる。
【0047】上記(I)の変形態様としてさらに、以下
の方法も可能である。すなわち、オキシアルキレン重合
体を得る場合の開始剤である活性水素含有化合物とし
て、例えば、アリルアルコールのような活性水素基と不
飽和基とを有した化合物を用いることにより、アリル末
端ポリオキシプロピレンモノオール等のような、不飽和
基と末端水酸基を有するオキシアルキレン重合体が得る
ことができる。当該重合体の末端水酸基を上記(I)と
同様の方法により不飽和基に変換して、オキシアルキレ
ン重合体の官能基を全て不飽和基とした後に、さらに上
記(I)と同様の方法により、オキシアルキレン重合体
に上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を導入す
ることができる。
【0048】以上説明したオキシアルキレン重合体
(A)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体
単位を含む重合体(B)および平均分子量が1000以
上の高分子可塑剤(C)と共に硬化性組成物を形成す
る。この硬化性組成物は、後述するようにシーラントや
弾性接着剤の原料として使用することが可能である。こ
のような用途においては、硬化性組成物が硬化する前に
被着体に塗布しなければならないため、適度な作業性が
必要であり、そのためには室温における粘度が低いこと
が好ましい。また、硬化後は、シーラントや弾性接着剤
として適度な破断応力および破断伸度を有することが好
ましい。
【0049】したがって、本発明においては、作業性の
観点からオキシアルキレン重合体(A)の粘度は、25
℃において20Pa・s以下であることが好ましい。粘
度の下限は特に制限されないが、1Pa・s以上が好ま
しく、5Pa・s以上がより好ましい。オキシアルキレ
ン重合体(A)の粘度が20Pa・sを超す場合は、得
られる硬化性組成物の作業性の悪くなる傾向にある。
【0050】また、本発明においては、硬化物の破断応
力および破断伸度の観点から、オキシアルキレン重合体
(A)の数平均分子量(Mn)は、6000〜5000
0であることが好ましく、8000〜20000である
ことがより好ましい。なお、本発明における数平均分子
量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GP
C)によりテトラヒドロフラン溶媒で測定されるスチレ
ン換算の数平均分子量(Mn)を意味する。また、オキ
シアルキレン重合体(A)のMnは硬化前のMnを意味
する。オキシアルキレン重合体のMnが50000を超
す場合は、例えば、得られる硬化性組成物をシーラント
や弾性接着剤として使用する場合において、押し出し性
等の作業性が低下する傾向にある。一方、オキシアルキ
レン重合体のMnが6000未満である場合は、組成物
の硬化性が劣る傾向にある。
【0051】また、オキシアルキレン重合体(A)の分
子量分布は、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量
(Mn)の比(Mw/Mn)で表すことができ、その値
は本発明において1.0〜1.7であることが好まし
い。オキシアルキレン重合体(A)のMw/Mnは、
1.0〜1.6であることがより好ましく、1.0〜
1.5であることがさらに好ましい。本発明において、
Mw/Mnは、GPCによりテトラヒドロフラン溶媒で
測定されるスチレン換算のMwとMnの比である。な
お、オキシアルキレン重合体(A)のMw/Mnは、硬
化前のMw/Mnを意味する。
【0052】オキシアルキレン重合体(A)のMw/M
nが1.7を超す場合は、得られる硬化性組成物の硬化
速度が低下する傾向にある。これは、オキシアルキレン
重合体(A)はその分子量が小さい場合は硬化速度が遅
くなることに基くものである。すなわち、平均分子量が
同じオキシアルキレン重合体(A)であって、Mw/M
nが1.0〜1.7のものとMw/Mnが1.7を超す
ものを比較した場合、Mw/Mnが1.7を超すものは
分子量分布が広いため低分子量成分の含有量が多く、そ
のために硬化速度が低下する傾向にある。Mw/Mnの
値が1.0〜1.7である分子量分布の狭いオキシアル
キレン重合体(A)は、例えば、環状エーテル開環重合
触媒として、上述した複合金属シアン化物錯体を用いる
ことにより得ることができる。
【0053】次に、本発明の硬化性組成物における、
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を含む
重合体(B)に関して説明する。本発明における重合体
(B)は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体
単位を必須成分として含んでいればよく、(メタ)アク
リル酸アルキルエステル単量体単位のみを含む重合体で
あっても、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体
単位とそれ以外の不飽和基含有単量体単位を含む重合体
であってもよい。ここで、(メタ)アクリル酸アルキル
エステル単量体単位を含む重合体とは、(メタ)アクリ
ル酸アルキルエステルからなる繰り返し単位を有する重
合体を意味し、当該重合体は、通常、(メタ)アクリル
酸アルキルエステル単量体を必須成分とする不飽和基含
有単量体を重合することにより得ることができる。な
お、本発明において、不飽和基含有単量体とは、不飽和
結合(好ましくは、炭素−炭素二重結合)を有する化合
物であって重合体を形成しうる化合物をいい、(メタ)
アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキル
エステルまたはメタクリル酸アルキルエステルをいう。
【0054】本発明における(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル単量体は、下記一般式(12)で表すことが
できる。 CH2=CR4COOR5 ・・・(12) [式中、R4は水素原子またはメチル基、R5はアルキル
基を示す。]
【0055】一般式(12)におけるR5はアルキル基
であるが、本発明においてはアラルキル基、シクロアル
キルアルキル基等のように、アルキル基の水素原子の少
なくとも一つが環状炭化水素基等の炭化水素基で置換さ
れたような置換アルキル基もアルキル基に含むものとす
る。また、アルキル基の炭素数は特に制限されない。
【0056】本発明における重合体(B)は、上記一般
式(12)で表されるような(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル単量体1種または2種以上からなる繰り返し
単位を有するものであっても、上記一般式(12)で表
されるような(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量
体1種または2種以上と、当該単量体以外の不飽和基含
有単量体1種または2種以上とからなる繰り返し単位を
有するものであってもよく、(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル単量体からなる繰り返し単位を含む限りにお
いては、重合体(B)中の繰り返し単位の種類や数は制
限されない。また、全単量体中の(メタ)アクリル酸ア
ルキルエステル単量体の割合は50質量%を超えること
が好ましく、70質量%以上が好ましい。
【0057】本発明においては、重合体(B)が、(メ
タ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位として、ア
ルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキ
ルエステル単量体単位と、アルキル基の炭素数が10以
上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位と
を含む重合体であることが好ましい。すなわち、重合体
(B)は、アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)アク
リル酸アルキルエステル単量体からなる繰り返し単位
と、アルキル基の炭素数が10以上の(メタ)アクリル
酸アルキルエステル単量体からなる繰り返し単位の両方
を有していることが好ましい。(メタ)アクリル酸アル
キルエステル単量体としてこのような組み合わせを用い
ることにより、重合体(B)のオキシアルキレン重合体
(A)に対する相溶性が向上し、そのために得られる硬
化性組成物の硬化後の強度等の特性が向上する傾向にあ
る。アルキル基の炭素数が10以上の(メタ)アクリル
酸アルキルエステル単量体としては、アルキル基の炭素
数が10〜30の(メタ)アクリル酸アルキルエステル
単量体がより好ましく、アルキル基の炭素数が10〜2
2の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体がさら
に好ましい。
【0058】アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチ
ル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸
ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリ
ル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ベンジルが挙げられる。
【0059】アルキル基の炭素数が10以上の(メタ)
アクリル酸アルキルエステル単量体としては、例えば、
(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ドデシ
ル、(メタ)アクリル酸テトラデシル、(メタ)アクリ
ル酸ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、
(メタ)アクリル酸エイコサニル、(メタ)アクリル酸
ドコサニル、(メタ)アクリル酸ヘキサコサニルが挙げ
られる。
【0060】アルキル基の炭素数が1〜8の(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル単量体とアルキル基の炭素数
が10以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量
体とを併用する場合において、その比は特に制限されな
いが、前者/後者は質量比で95/5〜40/60であ
ることが好ましく、95/5〜40/60であることが
より好ましい。
【0061】本発明における重合体(B)は、上記の
(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位の他
に、当該単量体単位以外の不飽和基含有単量体単位を含
んでいてもよい。(メタ)アクリル酸アルキルエステル
単量体以外の不飽和基含有単量体としては、以下の一般
式(13)で表される化合物が挙げられるが、これらに
限定されない。 CH2=CR4COOR6 ・・・(13) [式中、R6は、アルキル基を除く1価の有機基または
水素原子を示す。R4は前記R4と同義である。]
【0062】一般式(13)において、アルキル基を除
く1価の有機基とは、一般式(12)において定義され
るアルキル基を除く1価の有機基を意味する。このよう
な1価の有機基としては、炭化水素基以外の置換基(ハ
ロゲン原子、水酸基、イソシアネート基、フェノキシ
基、フルフリル基、反応性ケイ素基等)を有するアルキ
ル基、グリシジル基、ポリアルキレングリコールを含む
1価の基等が挙げられる。一般式(13)で表される化
合物の具体例としては、(メタ)アクリル酸;ヒドロキ
シエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル
(メタ)アクリレート;イソシアネートエチル(メタ)
アクリレート等のイソシアネートアルキル(メタ)アク
リレート;2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート
等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;フルフ
リル(メタ)アクリレートやテトラヒドロフルフリル
(メタ)アクリレート等の(水添)フルフリル基を有す
る(メタ)アクリレート;γ−(メタクリロキシプロピ
ル)トリメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシアル
キルアルコキシシラン;グリシジル(メタ)アクリレー
ト;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレ
ート等のポリアルキレンオキシドモノオールの(メタ)
アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0063】不飽和基含有単量体としては、上記一般式
(13)で表されるもの以外にも以下に例示したような
化合物を用いることができる。すなわち、N,N−ジメ
チルアクリルアミド等のN−置換またはN,N−置換
(メタ)アクリルアミド;ビニルグリシジルエーテル、
アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジルエーテ
ル等の不飽和グリシジルエーテル;クロトン酸グリシジ
ル、桂皮酸グリシジル、ビニル安息香酸グリシジル等の
不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル;不飽和ジ
カルボン酸のモノアルキルモノグリシジルエステルもし
くはジグリシジルエステル;スチレン、α−メチルスチ
レン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリロ
ニトリル、2,4−ジシアノブテン−1などのシアノ基
含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビ
ニルエステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロ
ロプレンなどのジエン系単量体;オレフィン;ハロゲン
化オレフィン;不飽和エステル;ビニルエーテル等を用
いることができる。
【0064】本発明における重合体(B)の製造方法は
特に制限されない。(メタ)アクリル酸アルキルエステ
ル単量体を必須成分とする上述の不飽和基含有単量体を
用い、例えば、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン
重合等により重合が可能である。本発明において重合体
(B)は、ラジカル重合で重合することが好ましく、そ
の形態は、溶液重合、乳化重合、懸濁重合、バルク重合
のいずれであってもよい。
【0065】本発明においてラジカル重合を実施する場
合、通常、上記不飽和基含有単量体にラジカル発生源と
してラジカル重合開始剤を添加する。本発明において用
いることのできるラジカル重合開始剤は上記と同様であ
る。なお、放射線や熱により活性化を行う場合は、ラジ
カル開始剤は必ずしも必要ではない。また、上記反応は
20〜200℃(好ましくは、50〜150℃)で数時
間〜数十時間行うことが好ましい。
【0066】本発明において重合体(B)をラジカル重
合で合成する場合は、分子量制御等の目的で、連鎖移動
剤を添加してもよい。連鎖移動剤としては、n−ドデシ
ルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチ
ルメルカプタン等のアルキルメルカプタン類や、α−メ
チルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0067】重合体(B)は、重合体(B)以外の本発
明の硬化性組成物成分の非存在下で重合しても存在下で
重合してもよい。重合体(B)以外の硬化性組成物成分
の存在下で重合する場合は、反応性ケイ素基を有するオ
キシアルキレン重合体(A)の存在下で重合することが
好ましい。重合体(B)を、反応性ケイ素基を有するオ
キシアルキレン重合体(A)の存在下で重合することに
より、混合の手間を省くことができ、また、反応性ケイ
素基を有するオキシアルキレン重合体(A)中における
重合体(B)の分散性を向上させることもできる。ま
た、重合途中に重合体(B)用の不飽和基含有単量体の
一部が反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体
(A)にグラフト重合することも考えられ、このような
場合は、グラフト重合物が相溶化剤として機能して重合
体(B)の分散性がより向上する。
【0068】本発明においては、重合体(B)が、上述
した(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を
含む重合体であって、下記一般式(1)で表される反応
性ケイ素基を有する重合体であることが好ましい。 −SiXa1 (3-a) ・・・(1) [式中、R1、X、aは、前記R1、X、aと同義であ
る。]
【0069】重合体(B)が上記一般式(1)で表され
る反応性ケイ素基を有する場合において、重合体(B)
の分子中の反応性ケイ素基の個数および存在部位は特に
制限されない。反応性ケイ素基の個数は1以上であれば
よく、存在部位は重合体(B)分子の末端でも側鎖でも
よく、または末端および側鎖の両方であってもよい。
【0070】重合体(B)に上記一般式(1)で表され
る反応性ケイ素基を導入する方法としては、以下の
(i)〜(iv)の方法が挙げられる。なお、下記
(i)〜(iv)の方法は組み合わせて行ってもよい。 (i)上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有
する不飽和基含有単量体を、本発明における不飽和基含
有単量体の一部として用いて重合する方法。 (ii)上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を
有する連鎖移動剤を用いて本発明における不飽和基含有
単量体を重合する方法。 (iii)上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基
を有する開始剤を用いて本発明における不飽和基含有単
量体を重合する方法。 (iv)水酸基、アミノ基、カルボキシル基、イソシア
ネート基、エポキシ基等の官能基を有する不飽和基含有
単量体を本発明における不飽和基含有単量体の一部とし
て用いて重合して、当該官能基に反応性の官能基と上記
一般式(1)で表される反応性ケイ素基とを有する化合
物を反応させる方法。
【0071】上記(i)の方法において用いられる、一
般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する不飽和基
含有単量体としては、下記一般式(14)で表される化
合物が好ましい。 R7−SiXa1 (3-a) ・・・(14) [式中、R7は不飽和基を有する1価の有機基を示す。
1、X、aは、前記R1、X、aと同義である。]
【0072】上記一般式(14)で表される化合物とし
ては、ビニルメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジ
エトキシシラン、ビニルメチルジクロロシラン、ビニル
トリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニ
ルトリクロロシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)
ビニルシラン等のビニルシラン;3−アクリロイルオキ
シプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロイ
ルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アクリ
ロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリ
ロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、3−メタク
リロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタ
クリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン等の(メ
タ)アクリロイルオキシシラン等を挙げることができ
る。上記化合物のなかでは、3−アクリロイルオキシプ
ロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロイルオキシ
プロピルトリメトキシシランが特に好ましい。上記単量
体は1種のみまたは2種以上を組み合わせて用いること
がでいる。
【0073】上記一般式(1)で表される反応性ケイ素
基を有する不飽和基含有単量体は、重合体(B)の合成
に用いられる全単量体100質量部中、0.01〜20
質量%とすることが好ましい。
【0074】上記(ii)の方法において用いられる、
上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する連
鎖移動剤としては、下記一般式(15)で表される化合
物、または下記一般式(16)で表される化合物が好ま
しい。 HS−R8−SiXa1 (3-a) ・・・(15) [式中、R8は、単結合または2価の有機基を示す。
1、X、aは、前記R1、X、aと同義である。]
【化1】 [式中、R1、R8、X、aは、前記R1、R8、X、aと
同義である。]
【0075】上記一般式(15)で表される化合物とし
ては、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ
−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メ
ルカプトプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプト
プロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロ
ピルトリイソプロペニルオキシシラン等の加水分解性シ
リル基を有するメルカプタン化合物等が挙げられ、上記
一般式(16)で表される化合物としては、(CH
3O)3Si−S−S−Si(OCH33、(CH3O)3
Si−(CH23−S−S−(CH23−Si(OCH
33等が挙げられる。
【0076】上記(iii)の方法においては、例え
ば、上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有す
るアゾ化合物を開始剤として用いることができ、上記
(iv)の方法においては、例えば、イソシアネート基
を有する重合体(B)と上記一般式(10)で表される
化合物とを反応させることができる。
【0077】以上説明した重合体(B)の分子量は特に
制限されないが、Mnとして、500〜100000で
あることが好ましく、2000〜13000であること
がより好ましい。重合体(B)のMnが100000を
超す場合は、作業性が悪くなる傾向にあり、Mnが50
0未満である場合は、耐候性が不充分となる傾向にあ
る。
【0078】重合体(B)が一般式(1)で表される反
応性ケイ素基を有する場合、ポリオキシアルキレン重合
体(A)における反応性ケイ素基との間に、硬化時に結
合が生じることから、当該反応性ケイ素基を有する重合
体(B)を用いることにより、硬化後の硬化性組成物の
強度や耐候性等を向上させることが可能になる。また、
反応性ケイ素基を有する連鎖移動剤を用いる(ii)の
方法や、反応性ケイ素基を有する開始剤を用いる(ii
i)の方法により、反応性ケイ素基を分子末端に有した
重合体(B)を得ることができ、このような重合体
(B)を用いることにより、硬化後の硬化性組成物の伸
び特性を特に向上させることが可能になる。
【0079】次に本発明における、平均分子量が100
0以上の高分子可塑剤(C)について説明する。高分子
物質に添加する可塑剤としては、一般に、フタル酸ジメ
チル、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル;アジ
ピン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル等
の脂肪族二塩基酸エステル;リン酸トリブチル、リン酸
トリフェニル等のリン酸エステル等が用いられており、
これらの可塑剤はいずれも分子量が500以下の低分子
可塑剤である。これに対して、本発明においては、一般
に高分子可塑剤として知られる化合物であって、平均分
子量が1000以上のものを用いる。
【0080】本発明における高分子可塑剤の平均分子量
は、GPCによりテトラヒドロフラン溶媒で測定される
スチレン換算のMnをいうが、分子の末端が水酸基であ
る高分子可塑剤の平均分子量については、GPCによら
ず、水酸基価換算分子量を用いる。また、分子の末端が
水酸基でない場合であっても、末端水酸基を低分子量化
合物により変性して得られるような高分子可塑剤は、低
分子量化合物による変性前に水酸基価換算分子量を測定
し、その値を用いて変性後の分子量を計算する。なお、
水酸基価換算分子量とは、水酸基価から導き出した重合
体1分子の水酸基のモル数と該重合体を製造する際に使
用した開始剤の活性水素数とから計算により求められる
分子量をいう。
【0081】本発明において用いられる平均分子量10
00以上の高分子可塑剤(C)としては、オキシアルキ
レン重合体、ポリエステル、ポリ−α−メチルスチレ
ン、ポリスチレン、ポリブタジエン、アルキッド樹脂、
ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添
ポリブテン、エポキシ化ポリブタジエン、ブタジエン−
アクリロニトリル共重合体等、およびこれらの混合物を
例示することができる。
【0082】高分子可塑剤(C)の少なくとも一部は、
下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有しない
オキシアルキレン重合体(以下、反応性ケイ素基非含有
オキシアルキレン重合体という)であることが好まし
い。 −SiXa1 (3-a) ・・・(1) [式中、R1、X、aは、前記R1、X、aと同義であ
る。]
【0083】すなわち、本発明における高分子可塑剤
(C)は、反応性ケイ素基非含有オキシアルキレン重合
体とその他の高分子可塑剤との混合物であることが好ま
しく、反応性ケイ素基非含有オキシアルキレン重合体の
みからなることがより好ましい。これらいずれの場合に
おいても、反応性ケイ素基非含有オキシアルキレン重合
体は、1種または2種以上を用いることができる。
【0084】反応性ケイ素基非含有オキシアルキレン重
合体は繰り返し単位としてオキシアルキレンを有する重
合体であればよく、オキシアルキレンは1種のみからな
るものであっても、2種以上からなるものであってもよ
い。特に、繰り返し単位が2種以上のオキシアルキレン
からなる場合は、それぞれのオキシアルキレンがランダ
ムに連結してオキシアルキレンのランダム重合体を形成
していても、同一種類のオキシアルキレンがブロック状
にまとまって連結してブロック共重合体を形成していて
もよい。また、反応性ケイ素基非含有オキシアルキレン
重合体は、繰り返し単位としてのオキシアルキレン以外
の化学構造を分子中に有していてもよい。さらに、反応
性ケイ素基非含有オキシアルキレン重合体は、その末端
および/または側鎖に、一般式(1)で表される反応性
ケイ素基以外の官能基または水酸基を有しているものが
好ましい。
【0085】1価または多価アルコールや1価または多
価カルボン酸等の活性水素含有化合物を開始剤とし、カ
リウム系化合物やセシウム系化合物等のアルカリ金属触
媒、複合金属シアン化物錯体触媒、金属ポルフィリン触
媒等を重合触媒として用い、エチレンオキシド、プロピ
レンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブ
チレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテル
(好ましくは、プロピレンオキシド)を開環重合させる
ことにより、水酸基末端オキシアルキレン重合体を得る
ことができ、この水酸基末端オキシアルキレン重合体を
本発明における反応性ケイ素基非含有オキシアルキレン
重合体として用いることができる。
【0086】上記の方法により得られた水酸基末端オキ
シアルキレン重合体は、さらに、多ハロゲン化合物によ
り多量化でき、また、ポリイソシアネート、ポリカルボ
ン酸、ポリカルボン酸ハライド等により高分子量化でき
る。このようにして得られた重合体も本発明における反
応性ケイ素基非含有オキシアルキレン重合体として用い
ることができる。
【0087】水酸基末端オキシアルキレン重合体に、水
酸基に反応性の基と、一般式(1)で表される反応性ケ
イ素基以外の基とを有する化合物(以下、化合物2とい
う)を反応させることにより、水酸基が反応性ケイ素基
以外の基に変換されたオキシアルキレン重合体を得るこ
とができる。この重合体も、また本発明における反応性
ケイ素基非含有オキシアルキレン重合体として用いるこ
とができる。
【0088】なお、上記化合物2における水酸基に反応
性の基として、例えば、ハロゲン原子、カルボキシル基
(もしくは、ハロホルミル基)、イソシアネート基を用
いた場合は、それぞれ、エーテル結合、エステル結合、
ウレタン結合を介して、一般式(1)で表される反応性
ケイ素基以外の基がオキシアルキレン重合体に導入され
る。オキシアルキレン重合体に導入される一般式(1)
で表される反応性ケイ素基以外の基としては、ビニル
基、(メタ)アクリロイル基、下記一般式(3)で表さ
れる基(好ましくはアリル基)等の不飽和基やアルキル
基が挙げられる。 −R2−CH=CH2 ・・・(3) [R2は炭素数1〜18の2価の炭化水素基を示す。]
【0089】本発明においては、水酸基末端オキシアル
キレン重合体のうち末端水酸基の数が1であるオキシア
ルキレン重合体を、ジエーテル結合、ジエステル結合、
ジカルバネート結合等により2量化したオキシアルキレ
ン重合体も、反応性ケイ素基非含有オキシアルキレン重
合体として用いることができる。
【0090】本発明における反応性ケイ素基非含有オキ
シアルキレン重合体は、オキシエチレン重合体、オキシ
プロピレン重合体、オキシプロピレン−オキシエチレン
共重合体、オキシテトラメチレン重合体、またはオキシ
テトラメチレン−オキシエチレン共重合体からなる骨格
を有することが好ましい。反応性ケイ素基非含有オキシ
アルキレン重合体の骨格としては、オキシプロピレン重
合体が特に好ましい。
【0091】本発明において、以上説明した平均分子量
1000以上の高分子可塑剤(C)を、上記の重合体
(B)で変性された、反応性ケイ素基を有するオキシア
ルキレン重合体(A)に添加することにより、従来の組
成では不可能であった長期間に亘る耐候性を得ることが
可能になる。また、硬化物表面の汚染性の低減や、硬化
物の表面に塗料を塗装した場合の塗料(特に、アルキッ
ド塗料)の乾燥性の向上、塗料乾燥後の塗料表面の汚染
性の低減等、従来から公知の効果も同時に得ることがで
きる。
【0092】本発明における高分子可塑剤(C)の平均
分子量は1000〜50000であることが好ましく、
1000〜20000であることがより好ましい。高分
子可塑剤の平均分子量が1000未満である場合は長期
間に亘る耐候性の向上効果を得ることができず、平均分
子量が50000を超す場合は、得られる硬化性組成物
をシーラントや弾性接着剤等として用いる場合における
作業性が低下する傾向にある。
【0093】また、本発明における高分子可塑剤(C)
の粘度は、25℃において5Pa・s以下であることが
好ましい。粘度の下限は特に制限されないが、0.1P
a・s以上が好ましい。高分子可塑剤(C)の粘度が5
Pa・sを超す場合は、得られる硬化性組成物の作業性
が悪くなる傾向にある。
【0094】特に、高分子可塑剤(C)が反応性ケイ素
基非含有オキシアルキレン重合体である場合における、
当該重合体の分子量分布(Mw/Mn)は1.0〜1.
7であることが好ましい。反応性ケイ素基非含有オキシ
アルキレン重合体のMw/Mnは、1.0〜1.6であ
ることがより好ましく、1.0〜1.5であることがさ
らに好ましい。反応性ケイ素基非含有オキシアルキレン
重合体のMw/Mnが1.0〜1.7と狭い場合は、得
られる組成物が比較的低粘度のものであっても低分子量
成分が少ないという特徴を有し、それによって組成物と
しての粘度を大きく上げることなく耐候性を良好な硬化
物を得ることができる。また、塗料の密着性の改善効果
や塗装表面の汚れ性低減の効果の高い硬化物を得ること
ができる。Mw/Mnが1.0〜1.7である反応性ケ
イ素基非含有オキシアルキレン重合体は、例えば、触媒
として上述の複合金属シアン化物錯体を用いることによ
り合成することが可能である。
【0095】本発明の硬化性組成物は、以上説明したオ
キシアルキレン重合体(A)と重合体(B)と高分子可
塑剤(C)を含むものであり、これらの組成比は特に制
限されないが、本発明においては、オキシアルキレン重
合体(A)100質量部に対し、重合体(B)は1〜3
0000質量部であることが好ましく、1〜10000
質量部であることがより好ましく、1〜1000質量部
であることが特に好ましい。また、高分子可塑剤(C)
は、オキシアルキレン重合体(A)と重合体(B)の合
計100質量部に対して1〜200質量部であることが
好ましく、5〜100質量部であることがより好まし
く、10〜70質量部であることが特に好ましい。
【0096】また、本発明においては、25℃における
粘度が20Pa・s以下であるオキシアルキレン重合体
(A)と、25℃における粘度が5Pa・s以下である
高分子可塑剤(C)とを組み合わせて使用することが好
ましい。このような組み合わせにすることにより、得ら
れる硬化性組成物を、例えば、シーラントや弾性接着剤
として用いる場合における、作業性を特に良好にするこ
とができる。
【0097】本発明の硬化性組成物は、例えば、上述の
方法によりオキシアルキレン重合体(A)を合成した
後、このオキシアルキレン重合体(A)とは別に上述の
方法により重合体(B)を合成し、これらと高分子可塑
剤(C)とを混合することにより得ることができる。ま
た、オキシアルキレン重合体(A)を合成した後、この
重合体の存在下で重合体(B)を合成し、これに高分子
可塑剤(C)を加えて混合することによっても得ること
ができる。後者の場合において、重合体(B)の合成
を、オキシアルキレン重合体(A)および高分子可塑剤
(C)の両方の存在下で行ってもよい。また、合成や混
合の際には有機溶剤を用いることができ、合成または混
合後、必要によりこの有機溶剤を除去することが可能で
ある。
【0098】本発明の硬化性組成物はオキシアルキレン
重合体(A)、重合体(B)および高分子可塑剤(C)
以外にも、充填剤、硬化促進剤、接着性付与剤、脱水
剤、老化防止剤、チキソ性付与剤、溶剤、低分子可塑剤
等の添加剤成分を含んでいてもよい。このような添加剤
成分を含む硬化性組成物を調整する方法は特に制限され
ず、硬化性組成物の製造途中または製造後の適当な時期
に、添加剤成分を一度に、または何回かに分けて添加す
ればよい。以下、これらの添加剤成分について説明す
る。
【0099】まず、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる充填剤について説明する。本発明においては、
硬化性組成物に対して充填剤を添加することができる。
充填剤としては、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カル
シウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽
質炭酸カルシウム、表面を脂肪酸や樹脂酸系有機物で表
面処理した膠質炭酸カルシウム、軽微性炭酸カルシウム
等の炭酸カルシウム;フュームドシリカ;沈降性シリ
カ;表面シリコーン処理シリカ微粉体;無水ケイ酸;含
水ケイ酸;カーボンブラック;炭酸マグネシウム;ケイ
ソウ土;焼成クレー;クレー;タルク;酸化チタン;ベ
ントナイト;酸化第二鉄;酸化亜鉛;活性亜鉛華;シラ
スバルーン、パーライト、ガラスバルーン、シリカバル
ーン、フライアッシュバルーン、アルミナバルーン、ジ
ルコニアバルーン、カーボンバルーン等の無機質の中空
体;フェノール樹脂バルーン、エポキシ樹脂バルーン、
尿素樹脂バルーン、サランバルーン、ポリスチレンバル
ーン、ポリメタクリレートバルーン、ポリビニルアルコ
ールバルーン、スチレン−アクリル系樹脂バルーン、ポ
リアクリロニトリルバルーン等の有機樹脂中空体;樹脂
ビーズ、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀
粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末、フ
リント粉末等の粉体状充填剤;ガラス繊維、ガラスフィ
ラメント、炭素繊維、ケブラー繊維、ポリエチレンファ
イバー等の繊維状充填剤が挙げられる。
【0100】これらの充填剤は単独で用いてもよく、2
種以上を併用してもよい。これらの中では炭酸カルシウ
ムを用いることが好ましく、重質炭酸カルシウムと膠質
炭酸カルシウムを併用することが特に好ましい。中空体
を用いることにより硬化性組成物およびその硬化物を軽
量化することができる。また、中空体を用いることによ
り、組成物の糸引き性を改善して作業性を向上させるこ
とができる。中空体は単独で用いてもよいが、炭酸カル
シウム等のその他の充填剤と組み合わせて用いてもよ
い。
【0101】本発明における充填剤の使用量は、オキシ
アルキレン重合体(A)および重合体(B)の合計10
0質量部に対して1〜1000質量部が好ましく、50
〜250質量部がより好ましい。
【0102】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる硬化促進剤について説明する。本発明における
オキシアルキレン重合体(A)に含有される反応性ケイ
素基の架橋反応は、反応を促進する化合物が存在しなく
とも進行するが、反応性ケイ素基が、例えば、アルコキ
シシリル基の場合、実用上充分な硬化速度を発現させる
ためには硬化促進剤を使用することが好ましい。
【0103】硬化促進剤としては、2−エチルヘキサン
酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズ等の2価ス
ズ化合物;ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジ
アセテート、ジブチルスズモノアセテート、ジブチルス
ズマレート等のジアルキルスズジカルボキシレートやジ
アルコキシスズモノカルボキシレートのような有機スズ
カルボン酸塩、ジアルキルスズビスアセチルアセトナー
ト、ジアルキルスズモノアセチルアセトナートモノアル
コキシド等のスズキレート化合物、ジアルキルスズオキ
シドとエステル化合物の反応物、ジアルキルスズオキシ
ドとアルコキシシラン化合物の反応物、ジアルキルスズ
ジアルキルスルフィド等の4価スズ化合物が挙げられ
る。
【0104】なお、スズキレート化合物としては、ジブ
チルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズビス
エチルアセトアセテート、ジブチルスズモノアセチルア
セトナートモノアルコキシド等が挙げられる。また、ジ
アルキルスズオキシドとエステル化合物の反応物として
は、ジブチルスズオキシドとフタル酸ジオクチルやフタ
ル酸ジイソノニル等のフタル酸エステルとを加熱混合し
て反応させ液状にしたスズ化合物が挙げられる。この場
合、エステル化合物としてはフタル酸エステル以外の脂
肪族、芳香族カルボン酸のエステル、テトラエチルシリ
ケートやその部分加水分解縮合物なども使用できる。ま
た、これらのスズ化合物を低分子アルコキシシランなど
と反応あるいは混合した化合物も好ましく使用できる。
【0105】また、スズ化合物以外に使用できる硬化触
媒としては、有機カルボン酸ビスマス塩など2価ビスマ
ス化合物;リン酸、p−トルエンスルホン酸、フタル
酸、リン酸ジ−2−エチルヘキシル等の酸性化合物;ブ
チルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシル
アミン、ラウリルアミン、N,N−ジメチル−オクチル
アミンなどの脂肪族モノアミン、エチレンジアミン、ヘ
キサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエ
チレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等の脂肪
族ポリアミン化合物、芳香族アミン化合物、アルカノー
ルアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシランや3−アミノプロピルトリメト
キシシラン等のアミノシランカップリング剤等のアミン
化合物が挙げられる。2価スズ化合物や2価ビスマス化
合物は、1級アミン化合物と併用すると硬化促進効果が
向上するので、併用することが好ましい。
【0106】上記の硬化促進剤は1種または2種以上を
組み合わせて使用することも可能である。硬化促進剤を
使用する場合の硬化促進剤の添加量は、オキシアルキレ
ン重合体(A)および重合体(B)の合計100質量部
に対して0.1〜10質量部とすることが好ましい。
【0107】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる接着性付与剤について説明する。本発明におい
て、接着性を改良する目的で硬化性組成物に接着性付与
剤を添加してもよい。接着性付与剤としては、(メタ)
アクリロイルオキシ基含有シラン、アミノ基含有シラ
ン、メルカプト基含有シラン、エポキシ基含有シラン、
カルボキシル基含有シラン等のシランカップリング剤が
挙げられる。
【0108】(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン
としては、3−メタクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、3−アクリロイルオキシプロピルトリメト
キシシラン、3−メタクリロイルオキシプロピルメチル
ジメトキシシラン等が挙げられる。アミノ基含有シラン
としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3
−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロ
ピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチ
ル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメ
トキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノ
プロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルト
リエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−2−ア
ミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、3−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げ
られる。
【0109】メルカプト基含有シランとしては、3−メ
ルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプト
プロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル
メチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチ
ルジエトキシシラン等が挙げられる。エポキシ基含有シ
ランとしては、3−グリシジルオキシプロピルトリメト
キシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメ
トキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエト
キシシラン等が挙げられる。カルボキシル基含有シラン
としては、2−カルボキシエチルトリエトキシシラン、
2−カルボキシエチルフェニルビス(2−メトキシエト
キシ)シラン、N−(N−カルボキシルメチル−2−ア
ミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン
等が挙げられる。
【0110】また2種以上のシランカップリング剤を反
応させて得られる反応物を用いてもよい。反応物の例と
してはアミノ基含有シランとエポキシ基含有シランとの
反応物、アミノ基含有シランと(メタ)アクリロイルオ
キシ基含有シランとの反応物、エポキシ基含有シランと
メルカプト基含有シランの反応物、メルカプト基含有シ
ラン同士の反応物等が挙げられる。これらの反応物はシ
ランカップリング剤を混合し室温〜150℃の温度範囲
で1〜8時間撹拌することによって容易に得ることがで
きる。
【0111】上記の化合物は単独で使用してもよく、2
種類以上を併用してもよい。シランカップリング剤の使
用量はオキシアルキレン重合体(A)および重合体
(B)の合計100質量部に対して0〜30質量部が好
ましい。
【0112】本発明においては、接着性付与剤としてエ
ポキシ樹脂を添加することもできる。本発明の硬化性組
成物に添加することのできるエポキシ樹脂としては、ビ
スフェノールA−ジグリシジルエーテル型エポキシ樹
脂、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル型エポキ
シ樹脂、テトラブロモビスフェノールA−グリシジルエ
ーテル型エポキシ樹脂などの難燃型エポキシ樹脂、ノボ
ラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールA/プロピレンオキシド付加物
のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、4−グリシジル
オキシ安息香酸グリシジル、フタル酸ジグリシジル、テ
トラヒドロフタル酸ジグリシジル、ヘキサヒドロフタル
酸ジグリシジルなどのジグリシジルエステル系エポキシ
樹脂、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノ
ジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキ
シ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジ
ルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、
トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリ
コールジグリシジルエーテル、グリセリンなどの多価ア
ルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキ
シ樹脂、石油樹脂などの不飽和重合体のエポキシ化物等
のエポキシ樹脂、エポキシ基を含有するビニル系重合体
等が挙げられる。エポキシ樹脂を添加する場合の使用量
はオキシアルキレン重合体(A)100質量部に対して
0〜100質量部が好ましい。
【0113】また本発明の硬化性組成物に上記のような
エポキシ樹脂を添加する場合は、エポキシ樹脂の硬化剤
(または硬化触媒)をさらに添加することもできる。こ
のような硬化剤としては、トリエチレンテトラミン、テ
トラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミ
ン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシリレンジア
ミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメ
タン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミ
ン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェ
ノール等のアミンまたはそれらの塩またはケチミン化合
物等のブロックドアミン;ポリアミド樹脂;イミダゾー
ル化合物;ジシアンジアミド;三フッ化ホウ素錯化合
物;無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テト
ラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物、
ピロメリット酸無水物等のカルボン酸無水物;フェノキ
シ樹脂;カルボン酸;アルコール;エポキシ基と反応し
うる基を平均して分子内に少なくとも1個有するオキシ
アルキレン系重合体(末端アミノ化ポリオキシプロピレ
ングリコール、末端カルボキシル化ポリオキシプロピレ
ングリコール等);末端が水酸基、カルボキシル基、ア
ミノ基等で修飾されたポリブタジエン、水添ポリブタジ
エン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体、アクリ
ル系重合体等の液状末端官能基含有重合体;ケチミン化
合物等が挙げられる。エポキシ樹脂硬化剤を使用する場
合の使用量はエポキシ樹脂に対して0.1〜300質量
部が好ましい。
【0114】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる脱水剤について説明する。本発明においては、
硬化性組成物の貯蔵安定性を改良するために、硬化性や
柔軟性に悪影響を及ぼさない範囲で少量の脱水剤を添加
することできる。このような脱水剤としては、オルトギ
酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸アルキル;
オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等のオルト酢酸ア
ルキル;メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキ
シシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラ
ン等の加水分解性有機シリコン化合物;加水分解性有機
チタン化合物等が挙げられる。なかでも、価格および効
果の点から、ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキ
シシランが特に好ましい。本発明の硬化性組成物に硬化
触媒等を添加して防湿容器に充填して用いる一液配合に
おいては、このような脱水剤は特に有効である。本発明
における脱水剤の使用量は、オキシアルキレン重合体
(A)および重合体(B)の合計100質量部に対して
0.1〜30質量部とすることが好ましい。
【0115】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる老化防止剤について説明する。本発明において
は、硬化性組成物に老化防止剤を添加することができ
る。老化防止剤としては、酸化防止剤、紫外線吸収剤、
光安定剤等が挙げられ、ヒンダードアミン系、ベンゾト
リアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエート系、シ
アノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェ
ノール系、リン系、硫黄系の化合物が使用可能である。
特に、光安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤のうち2以
上を組み合わせて使用することが好ましい。このような
使用方法により、それぞれの特徴を生かして全体として
老化防止効果を向上させることができる。具体的には、
3級および2級のヒンダードアミン系光安定剤、ベンゾ
トリアゾール系紫外線吸収剤、ヒンダードフェノール
系、ならびにホスファイト系酸化防止剤から選ばれる2
種以上を組み合わせることが特に効果的である。酸化防
止剤、紫外線吸収剤、光安定剤の使用量は、それぞれ、
ポリオキシアルキレン重合体(A)及び重合体(B)の
合計100質量部に対してそれぞれ0.1〜10質量部
であることが好ましい。0.1質量部未満では老化防止
効果が充分に発現せず、10質量部を越える場合は経済
的に不利である。
【0116】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできるチキソ性付与剤について説明する。本発明にお
いては、硬化性組成物にチキソ性付与剤を添加すること
ができる。チキソ性付与剤の添加により硬化性組成物の
垂れ性が改善される。チキソ性付与剤としては、水添ひ
まし油、脂肪酸アミド、ステアリン酸カルシウム、ステ
アリン酸亜鉛、微粉末シリカ、有機酸処理炭酸カルシウ
ム等が挙げられる。チキソ性付与剤は、オキシアルキレ
ン重合体(A)および重合体(B)の合計100質量部
に対して0.5〜10質量部添加することが好ましい。
【0117】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる溶剤について説明する。本発明においては、硬
化性組成物に、粘度の調整、組成物の保存安定性向上を
目的として、溶剤を添加することもできる。かかる溶剤
としては脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、ハロゲン化
炭化水素、アルコール、ケトン、エステル、エーテルが
挙げられる。アルコールを添加することにより、本発明
の硬化性組成物の保存安定性が向上する。したがって、
硬化性組成物を長期保存する場合等は、アルコールを添
加することが好ましい。このようなアルコールとして
は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコー
ル、イソペンチルアルコール、ヘキシルアルコール等の
炭素数1〜10のアルキルアルコールが挙げられる。溶
剤は、オキシアルキレン重合体(A)および重合体
(B)の合計100質量部に対して0.1〜500質量
部添加することが好ましい。
【0118】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる低分子可塑剤について説明する。本発明におい
ては、硬化性組成物に低分子可塑剤を添加することもで
きる。低分子可塑剤としては、フタル酸ジ(2−エチル
ヘキシル)、フタル酸ジメチル、フタル酸ジブチル、フ
タル酸ブチルベンジル、フタル酸ジイソノニル等のフタ
ル酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジ−
2−エチルヘキシル、セバシン酸ジブチル、コハク酸ビ
ス(2−メチルノニル)、オレイン酸ブチル等等の脂肪
族二塩基酸エステル;リン酸トリブチル、リン酸トリフ
ェニル、リン酸トリオクチル、リン酸トリクレジル等の
リン酸エステル;4,5−エポキシシクロヘキサン−
1,2−ジカルボン酸ジ(2−エチルヘキシル)、エポ
キシステアリン酸ベンジル等のエポキシ化合物等が挙げ
られる。
【0119】上記低分子可塑剤は、単独で用いても、2
種以上を併用してもよい。低分子可塑剤の添加量が多い
場合、本発明の硬化性組成物の高耐候性を損なう場合が
あるため、低分子可塑剤は高分子可塑剤(C)100質
量部に対して100質量部以下、好ましくは50質量部
以下添加することが好ましい。
【0120】次に、本発明の硬化性組成物に用いること
のできる上記以外の添加剤成分について説明する。本発
明においては、硬化性組成物に空気酸化硬化性化合物や
光硬化性化合物を添加することが可能である。これらの
化合物を添加することにより、耐候性や砂埃の付着が改
善される。これらの化合物は、単独で用いてもよいが併
用することがより好ましい。空気酸化硬化性化合物を添
加する場合には、その使用量はオキシアルキレン重合体
(A)および重合体(B)の合計100質量部に対して
0.1〜50質量部、光硬化性化合物を添加する場合に
は、その使用量はオキシアルキレン重合体(A)および
重合体(B)の合計100質量部に対して0.1〜50
質量部とすることが好ましい。
【0121】空気酸化硬化性化合物としては桐油、アマ
ニ油等の乾性油、乾性油を変性して得られるアルキッド
樹脂、乾性油により変性されたアクリル系重合体、シリ
コーン樹脂、ポリブタジエン、炭素数5〜8のジエンの
重合体や共重合体などのジエン系重合体、さらにはこれ
らの重合体や共重合体の変性物(マレイン化変性、ボイ
ル油変性等)、空気硬化性ポリエステル化合物等が挙げ
られる。
【0122】光硬化性化合物としては多官能(メタ)ア
クリレートが挙げられ、多官能(メタ)アクリレートと
してはテトラエチレングリコールジアクリレート、ペン
タエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプ
ロパントリアクリレート等のような多価アルコールの
(メタ)アクリル酸エステルを例示することができる。
なお、この光硬化性化合物は単量体であり、(メタ)ア
クリル酸アルキルエステル単量体を含む不飽和基含有単
量体からなる重合体(B)とは区別されるものである。
【0123】また、本発明においては、硬化性組成物に
加水分解によってトリメチルシラノールを発生する化合
物をモジュラス調整剤として添加することもできる。こ
のような化合物を添加することにより、特に2価スズ化
合物と1級アミン化合物を硬化促進剤とした場合の硬化
物のモジュラスが低減され、かつ表面のべたつきも低減
される。トリメチルシラノールを発生する化合物として
は、脂肪族アルコール、フェノール等のトリメチルシリ
ルエーテル等が使用でき、アルコールの酸性が強いほど
硬化を遅くする効果がある。アルコールの種類を任意に
変えることで、硬化性の調整も可能であり、その目的の
ため複数のアルコールのトリメチルシリルエーテルを同
時に使用することもできる。また、ヘキサメチルジシラ
ザン等も使用できる。トリメチルシラノールを発生する
化合物を使用する場合の使用量は、オキシアルキレン重
合体(A)および重合体(B)の合計100質量部に対
して、0.1〜10質量部が好ましい。
【0124】上記の化合物の他、硬化性組成物に、酸化
鉄、酸化クロム、酸化チタン等の無機顔料;フタロシア
ニンブルー、フタロシアニングリーン等の有機顔料を添
加することができる。顔料を添加することにより硬化性
組成物は着色するが、それ以外にも耐候性の向上という
効果も期待できる。
【0125】また、特にシーラントとしての意匠性を持
たせる目的で、硬化性組成物に対して、その組成物の色
と異なる色の微小体を添加することで、花崗岩や御影石
のような表面外観を持たせることもできる。さらに、難
燃剤、防かび剤、および塗料用途に使用されている艶消
し剤等を添加することも可能である。
【0126】以上説明したように、本発明の硬化性組成
物は、反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体
(A)と、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体
単位を含む重合体(B)と、平均分子量が1000以上
の高分子可塑剤(C)とを必須成分として含むものであ
る。本発明の硬化性組成物においては、平均分子量が1
000以上の高分子可塑剤(C)が、重合体(B)で変
性されたオキシアルキレン重合体(A)との組み合わせ
において、長期間に亘る耐候性向上という効果を発揮す
る。したがって、本発明の硬化性組成物は、シーラン
ト、防水材、接着剤、コーティング剤等として使用可能
であり、特に、屋外で長期間風雨や太陽光等に晒される
ような用途に好適に用いることができる。
【0127】上記のような用途に用いる場合、本発明の
硬化性組成物は1液配合または2液配合にすることがで
きる。1液配合とは、硬化型オキシアルキレン重合体お
よび硬化促進剤を同一の配合中に含む1成分形で、湿分
を遮断した状態で保管され、使用時には空気中の水分と
反応して表面から硬化する湿気硬化タイプの配合であ
る。一方、2液配合とは、硬化型オキシアルキレン重合
体を主成分とする主剤と、硬化促進剤を主成分とする硬
化剤の2成分形で、使用時にはこれらを混練することで
反応して硬化する反応硬化タイプの配合である。
【0128】
【実施例】以下、本発明の好適な実施例についてさらに
詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定され
るものではない。なお、以下の製造例、実施例および比
較例において、部とは質量部を意味する。また、Mnお
よびMw/Mnは上述のとおりGPCにより求められた
ものであり、粘度はB型粘度型により求められたもので
ある。
【0129】(製造例1−1)グリセリンを開始剤と
し、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒
の存在下、プロピレンオキシドを反応させて得られた、
Mnが17000でMw/Mnが1.4のポリオキシプ
ロピレントリオールに、ナトリウムメトキシドのメタノ
ール溶液を添加し、加熱減圧下メタノールを留去してポ
リプロピレンオキシドの末端水酸基をナトリウムアルコ
キシドに変換した。次に塩化アリルを反応させて、未反
応の塩化アリルを除去し、精製して、末端にアリル基を
有するポリプロピレンオキシドを得た。この反応物にに
対し、ヒドロシリル化合物であるメチルジメトキシシラ
ンを白金触媒の存在下反応させ、末端にメチルジメトキ
シシリル基を有するポリプロピレンオキシド(P1)を
得た。得られたポリプロピレンオキシド(P1)の25
℃における粘度は10Pa・sであった。
【0130】(製造例1−2)ジプロピレングリコール
を開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライ
ム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて
得られた、Mnが20000でMw/Mnが1.3のポ
リオキシプロピレンジオールを用い、製造例1−1と同
様の方法で末端にメチルジメトキシシリル基を有するポ
リプロピレンオキシド(P2)を得た。得られたポリプ
ロピレンオキシド(P2)の25℃における粘度は16
Pa・sであった。
【0131】(製造例1−3)プロピレングリコールを
開始剤とし、水酸化カリウム触媒を用いて得られたMn
が3000のポリオキシプロピレンジオール、およびプ
ロピレングリコールを開始剤とし、水酸化カリウム触媒
を用いて得られたMnが3000のポリオキシプロピレ
ントリオールを質量比で84/16の割合で混合したポ
リオキシプロピレンポリオールに、水酸化ナトリウムを
添加して加熱撹拌下に反応させた後、ブロモクロロメタ
ンと反応させて高分子量化を行った。得られた重合体の
数平均分子量は18000、Mw/Mnは2.1であっ
た。続いて塩化アリルを反応させて、揮発物質を除去
し、精製して、末端にアリル基を有するポリプロピレン
オキシドを得た。これにヒドロシリル化合物であるメチ
ルジメトキシシランを白金触媒の存在下反応させ、末端
にメチルジメトキシシリル基を有するポリプロピレンオ
キシド(P3)を得た。得られたポリプロピレンオキシ
ド(P3)の25℃における粘度は38Pa・sであっ
た。
【0132】(製造例2−1)ポリプロピレンオキシド
(P1)20gを撹拌機付きの反応器に入れ、トルエン
40gを加えて希釈し、この混合物を100℃に加熱し
ながら均一に混合した。これに、メタクリル酸メチル
3.3g、アクリル酸ブチル16.7g、メタクリル酸
オクタデシル11.0g、γ−メタクリロキシプロピル
トリメトキシシラン1.6g、スチレン6.8g、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.64gの混
合物に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4g
を溶解した溶液を窒素雰囲気下で撹拌しながら3時間か
けて滴下した。滴下終了後さらに2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル0.3gのトルエン溶液を30分かけ
て滴下した後、同温度で3時間加熱撹拌した。得られた
共重合体のトルエン溶液にポリプロピレンオキシド(P
2)120gを加え、30分間撹拌混合した後、100
℃減圧下でトルエンを留去して、重合体Paを得た。
【0133】(製造例2−2)撹拌機付きの反応器にキ
シレン40gを入れ、110℃に保ちながら、これに、
メタクリル酸メチル1.5g、アクリル酸ブチル28.
7g、メタクリル酸オクタデシル7.7g、トリメチロ
ールプロパントリスメタクリレート1.2g、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン0.19g、γ
−メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.76gの
混合物に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4
gを溶解した溶液を窒素雰囲気下で撹拌しながら3時間
かけて滴下した。滴下終了後さらに2,2’−アゾビス
イソブチロニトリル0.3gのトルエン溶液を30分か
けて滴下した後、同温度で3時間加熱撹拌した。得られ
た共重合体のキシレン溶液にポリプロピレンオキシド
(P2)120gを加え、30分間撹拌混合した後、1
00℃減圧下でキシレンを留去して重合体Pbを得た。
【0134】(製造例2−3)撹拌機付きの反応器にキ
シレン40gを入れ、110℃に保ちながら、これに、
メタクリル酸メチル29.2g、アクリル酸ブチル0.
48g、メタクリル酸オクタデシル7.6g、γ−メタ
クリロキシプロピルトリメトキシシラン1.9g、γ−
メルカプトプロピルトリメトキシシラン0.78gの混
合物に2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.4g
を溶解した溶液を窒素雰囲気下で撹拌しながら3時間か
けて滴下した。滴下終了後さらに2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル0.3gのトルエン溶液を30分かけ
て滴下した後、同温度で3時間加熱撹拌した。得られた
共重合体のキシレン溶液にポリプロピレンオキシド(P
3)120gを加え、30分間撹拌混合した後、100
℃減圧下でキシレンを留去して重合体Pcを得た。
【0135】(製造例3−1)グリセリンを開始剤と
し、水酸化カリウム触媒の存在下プロピレンオキシドを
反応させて得られた、水酸基価換算分子量が5000で
Mw/Mnが1.3のポリオキシプロピレントリオール
を用い、製造例1と同様の方法で末端にアリル基を有す
るポリプロピレンオキシド(K1)を得た。K2の25
℃における粘度は0.9Pa・sであった。
【0136】(製造例3−2)プロピレングリコールを
開始剤とし、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム
錯体触媒の存在下プロピレンオキシドの重合を行い、水
酸基価換算分子量が3000でMw/Mnが1.3のポ
リオキシプロピレンジオールを得た後、精製した(K
2)。K2の25℃における粘度は0.6Pa・sであ
った。
【0137】(製造例3−3)グリセリンを開始剤と
し、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒
の存在下プロピレンオキシドを反応させて得られた、水
酸基価換算分子量が10000でMw/Mnが1.3の
ポリオキシプロピレントリオールを用い、製造例1と同
様の方法で末端にアリル基を有するポリプロピレンオキ
シド(K3)を得た。K3の25℃における粘度は3P
a・sであった。
【0138】(製造例3−4)グリセリンを開始剤と
し、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒
の存在下プロピレンオキシドを反応させて得られた、水
酸基価換算分子量が15000でMw/Mnが1.3の
ポリオキシプロピレントリオールを用い、製造例1と同
様の方法で末端にアリル基を有するポリプロピレンオキ
シド(K4)を得た。K4の25℃における粘度は9P
a・sであった。
【0139】(実施例1)重合体Pa100質量部に対
し、モジュラス調整剤(2−エチルヘキシルオキシトリ
メチルシラン)、空気硬化性化合物(桐油)、チキソ性
付与剤(ディスパロン#305)を表1に記載の質量部
添加して混合した後、さらに充填剤(ネオライトSP−
T、ホワイトンSB、Q−CEL 520)、高分子可
塑剤(K1)、接着性付与剤(エピコート828)、光
硬化性化合物(アロニクスM309)、老化防止剤(ア
デカスタブLA62、チヌビン327、イルガノックス
1010)を表1に記載の質量部添加して均一に混合
し、これを主剤とした。他方、2−エチルヘキサンスズ
とラウリルアミンを質量比で3対1の割合で混合・反応
させた硬化触媒(ST/LA)、可塑剤(DOP)、充
填剤(ホワイトンSB、ASP−170)を表1に記載
の質量部混合し、これを硬化剤とした。なお、表1にお
いて硬化性組成物の原料に略称を用いたものには*およ
び数字を付し、その詳細を表5に示した。
【0140】(実施例2〜7、比較例1〜2)表1に示
す原料および組成(質量比)で、実施例1の主剤の製造
方法と同様にして、実施例2〜7および比較例1〜2の
主剤を作製した。また、実施例1と同様にして実施例2
〜7および比較例1〜2用の硬化剤を作製した。
【0141】
【表1】
【0142】実施例1〜7、比較例1〜2の主剤および
硬化剤をそれぞれ混合して得られた硬化性組成物を、厚
さ5mmとなるように1mm厚のアルミニウム板上に塗
布し、20℃で65%の湿度下に7日間養生して、前記
アルミニウム板上で厚さ5mmの硬化物を形成させ、こ
れを試験体とした。この試験体を、スガ試験機株式会社
製サンシャインスーパーロングライフウェザーメーター
にて曝露試験を行い、500時間後、1000時間後及
び1500時間後の試験体の表面状態を観察した。な
お、評価は、○:クラックが認められない、△:若干薄
いクラックが認められる、×:はっきりとしたクラック
が認められる、とした。
【0143】次に、実施例1〜7、比較例1〜2の主剤
および硬化剤をそれぞれ混合して得られた硬化性組成物
を、厚さ0.2mmとなるように1mm厚のアルミニウ
ム板上に塗布し、20℃で65%の湿度下に7日間養生
して、前記アルミニウム板上で厚さ0.2mmの硬化物
を形成させ、これを試験体とした。この試験体を、スガ
試験機株式会社製サンシャインスーパーロングライフウ
ェザーメーターにて曝露試験を行い、500時間後、1
000時間後及び1500時間後の試験体の表面状態を
観察した。なお、評価は、○:白化が認められない、
△:若干白化(色あせ)が認められる、×:白化(色あ
せ)がはっきりと認められる、とした。
【0144】また、実施例1〜7に関して、主剤および
硬化物の混合作業(ヘラを用いての手混合)時の作業性
の状態を3段階で評価した(作業性1)。なお、評価
は、A:軽い力で混合可能、B:混合に若干の力を要す
る、C:混合にかなりの力を要する、とした。
【0145】上記試験の結果を以下の表2にまとめて示
す。表2に示す結果から明らかなように、実施例1〜7
で得られた硬化性組成物の硬化物は、膜厚が厚い場合
(膜厚:5mm)、曝露時間が1500時間を経過した
時点でも、クラックが認められず非常に長期間に亘る良
好な耐候性を示した。一方、比較例1〜2で得られた硬
化性組成物の硬化物は同様の膜厚において、暴露時間1
000〜1500時間の間でクラックが発生した。
【0146】実施例1〜7で得られた硬化性組成物の硬
化物は、膜厚が薄い場合(膜厚:0.2mm)、曝露時
間が1000時間を経過した時点では全く白化が認めら
れず、1500時間を経過した時点で僅かに白化(色あ
せ)が認められた。一方、比較例1〜2で得られた硬化
性組成物の硬化物は同様の膜厚において、暴露時間50
0〜1000時間の間で白化が発生した。
【0147】また、実施例1〜7で得られた硬化性組成
物はいずれも、ヘラを用いての手混合試験において容易
に混合が可能であり、作業性が良好であることが示され
た。
【0148】
【表2】
【0149】(実施例8)重合体Pa100部に対し、
老化防止剤(アデカスタブLA62、アデカスタブLA
67、イルガノックス1010)、チキソ性付与剤(デ
ィスパロン#6500)を表3に記載の質量部混合分散
したものに、予め加熱乾燥により水分を除去した充填剤
(ネオライトSP−T、ホワイトンSB)を表3に記載
の質量部添加して混合し、さらに高分子可塑剤(K1)
および脱水剤(VTMS)を表3に記載の質量部添加し
て混合した。さらに接着性付与剤(N−(2−アミノエ
チル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−
グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、硬化触媒
(DBTDAA)を表3に記載の質量部添加して混合・
脱泡した後、空気中の湿分の進入を遮ることのできるシ
ーラント用カートリッジに充填して、硬化性組成物を得
た。なお、表3において硬化性組成物の構成原料に略称
を用いたものには*および数字を付し、その詳細を表5
に示した。
【0150】(実施例9〜14、比較例3〜4)表3に
示す原料および組成(質量比)で、実施例8の製造方法
と同様にして、実施例9〜14および比較例3〜4の硬
化性組成物を作製した。
【0151】
【表3】
【0152】実施例8〜14、比較例3〜4で得られた
組成物をカートリッジガンを用いてカートリッジから押
し出して、厚さ5mmとなるように1mm厚のアルミニ
ウム板上に塗布し、20℃で65%の湿度下に7日間養
生して、前記アルミニウム板上で厚さ5mmの硬化物を
形成させ、これを試験体とした。この試験体を、スガ試
験機株式会社製サンシャインスーパーロングライフウェ
ザーメーターにて曝露試験を行い、500時間後、10
00時間後及び1500時間後の試験体の表面状態を観
察した。なお、評価は、○:クラックが認められない、
△:若干薄いクラックが認められる、×:はっきりとし
たクラックが認められる、とした。
【0153】次に、実施例8〜14、比較例3〜4で得
られた組成物を、厚さ0.2mmとなるように1mm厚
のアルミニウム板上に塗布し、20℃で65%の湿度下
に7日間養生して、前記アルミニウム板上で厚さ0.2
mmの硬化物を形成させ、これを試験体とした。この試
験体を、スガ試験機株式会社製サンシャインスーパーロ
ングライフウェザーメーターにて曝露試験を行い、50
0時間後及び1000時間後の試験体の表面状態を観察
した。なお、評価は、○:白化が認められない、△:若
干白化(色あせ)が認められる、×:白化(色あせ)が
はっきりと認められる、とした。
【0154】また、実施例8〜14の硬化性組成物をカ
ートリッジガンを用いてカートリッジから押し出す時の
作業性の状態を3段階で評価した(作業性2)。なお、
評価は、A:軽い力で押し出し可能、B:押し出しに若
干の力を要する、C:押し出しにかなりの力を要する、
とした。
【0155】上記試験の結果を以下の表4にまとめて示
す。表4に示す結果から明らかなように、実施例8〜1
4で得られた硬化性組成物の硬化物は、膜厚が厚い場合
(膜厚:5mm)、曝露時間が1000時間を経過した
時点は全くクラックが認められず、1500時間を経過
した時点で若干薄いクラックが認められたのみであり、
長期間に亘る良好な耐候性を示した。一方、比較例3〜
4で得られた硬化性組成物の硬化物は同様の膜厚におい
て、暴露時間500〜1000時間の間でクラックが発
生した。
【0156】実施例8〜14で得られた硬化性組成物の
硬化物は、膜厚が薄い場合(膜厚:0.2mm)、曝露
時間が1000時間を経過した時点では全く白化が認め
られず、1500時間を経過した時点で白化(色あせ)
が認められた。一方、比較例3〜4で得られた硬化性組
成物の硬化物は同様の膜厚において、暴露時間500〜
1000時間の間で白化が発生した。
【0157】また、実施例8〜14で得られた硬化性組
成物はいずれも、カートリッジガンを用いてカートリッ
ジから押し出す時の作業性が良好であることが示され
た。
【0158】
【表4】
【0159】
【表5】
【0160】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
硬化物が厚膜、薄膜のいずれであっても、クラックや白
化等の発生を長期間に亘ってより確実に防止することが
可能な硬化性組成物を提供することが可能になる。
フロントページの続き (72)発明者 渡部 崇 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 (72)発明者 北川 郁子 東京都中央区八重洲2丁目8番8号 大星 八重洲ビル 旭硝子ウレタン株式会社内 Fターム(参考) 4J002 AC06Y AC07Y AC09Y BB17Y BC03Y BC09Y BG04X BG05X BG06X BL01Y CF01Y CF03Y CH01Y CH05W FD010 FD020 FD070 FD150 FD200 FD340 GJ01 GJ02

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される反応性ケイ
    素基を有するオキシアルキレン重合体(A)と、 −SiXa1 (3-a) ・・・(1) [式中、R1は置換基を有していてもよい炭素数1〜2
    0の1価の有機基、Xは水酸基または加水分解性基、a
    は1〜3の整数をそれぞれ示す。ただし、R1が複数個
    存在するときは、R1はそれぞれ同一でも異なっていて
    もよく、また、Xが複数個存在するときは、Xはそれぞ
    れ同一でも異なっていてもよい。] (メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を含む
    重合体(B)と、平均分子量が1000以上の高分子可
    塑剤(C)と、を含むことを特徴とする硬化性組成物。
  2. 【請求項2】 前記高分子可塑剤(C)の少なくとも一
    部が、前記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有
    しないオキシアルキレン重合体であることを特徴とする
    請求項1記載の硬化性組成物。
  3. 【請求項3】 前記高分子可塑剤(C)が、25℃にお
    いて5Pa・s以下の粘度を有することを特徴とする請
    求項1または2記載の硬化性組成物。
  4. 【請求項4】 前記オキシアルキレン重合体(A)が、
    25℃において20Pa・s以下の粘度を有することを
    特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の硬化性
    組成物。
  5. 【請求項5】 前記重合体(B)が、(メタ)アクリル
    酸アルキルエステル単量体単位として、アルキル基の炭
    素数が1〜8の(メタ)アクリル酸アルキルエステル単
    量体単位と、アルキル基の炭素数が10以上の(メタ)
    アクリル酸アルキルエステル単量体単位とを含む重合体
    であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に
    記載の硬化性組成物。
  6. 【請求項6】 前記重合体(B)が、(メタ)アクリル
    酸アルキルエステル単量体単位を含む重合体であって、
    上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する重
    合体であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一
    項に記載の硬化性組成物。
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