JP2007169441A - 伸び増強剤及びそれを含む硬化性組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】オキシアルキレン重合体及び硬化触媒と併用することにより、十分に速い硬化速度でオキシアルキレン重合体を硬化させることができ、硬化後の伸びや柔軟性も向上させることができる伸び増強剤、及びそれを含む硬化性組成物を提供すること。
【解決手段】反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と当該重合体の硬化触媒とを含有する硬化性組成物に添加して用いられ、当該硬化性組成物の硬化後の伸びを増強させる伸び増強剤であって、下記一般式(1)で表される構造を有する伸び増強剤である。RSiX …(1)(式中、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環族炭化水素基又は炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、Xは加水分解性基、をそれぞれ示す。)
【選択図】なし

Description

本発明は、伸び増強剤及びそれを含む硬化性組成物に関する。
シロキサン結合を形成することによって架橋し得る反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体は、空気中の湿分により室温で硬化可能であり、硬化後はゴム弾性を有する硬化体となることが知られている。そして、様々な被着体に対する接着性に優れる特性を有していることから、このオキシアルキレン重合体は、例えば、シーラント、接着剤、被覆・密封用組成物の主剤として広く用いられている。
このようなオキシアルキレン重合体のうち、トリメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体は、トリメトキシシリル基が一般に加水分解されやすく、かつシロキサン結合により架橋を形成しやすい。このことから、上記トリメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体を用いると湿分存在下で速やかに硬化してゴム弾性を有する硬化体が得られることが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
また、トリメトキシシリル基とメチルジメトキシシリル基とを有するオキシアルキレン重合体を含有する室温硬化性組成物を硬化させる方法も知られている(例えば、特許文献3参照)。
特開平3−47825号公報 特開平10−245484号公報 特開2000−136313号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に記載のトリメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体を硬化させて得られる硬化体は、脆くなりやすく、十分な伸びや柔軟性が得られない傾向にあった。
本発明は、上記の背景技術の問題点に鑑みてなされたものであり、オキシアルキレン重合体及び硬化触媒を併用することにより、十分に速い硬化速度でオキシアルキレン重合体を硬化させることができ、硬化後の伸びや柔軟性を向上させることができる伸び増強剤、及びそれを含む硬化性組成物を提供することを目的とする。
本発明は、下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と当該重合体の硬化触媒とを含有する硬化性組成物に添加して用いられ、当該硬化性組成物の硬化後の伸びを増強させる伸び増強剤であって、下記一般式(2)で表される構造を有する伸び増強剤である。
−Si(OR) …(1)
SiX …(2)
(式中、Rは炭素数1〜6の1価の有機基、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環族炭化水素基又は炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、Xは加水分解性基、をそれぞれ示す。但し、R及びRの少なくとも一方は炭素数2以上の炭化水素基であり、複数存在するR及びXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記一般式(2)で表される構造を有する本発明の伸び増強剤は、上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、当該重合体の硬化触媒とを含有する硬化性組成物に添加して用いられる。このとき当該硬化性組成物を硬化させて得られる硬化体(以下単に「硬化体」という。)は、伸びや柔軟性に優れるものとなる。すなわち、本発明の伸び増強剤は、上記硬化体の伸びや柔軟性を増強させることができる。
また、上記オキシアルキレン重合体は、上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するため、十分に速い速度で硬化性組成物を硬化させることができる。
よって、本発明の伸び増強剤によれば、オキシアルキレン重合体及び硬化触媒と併用することにより、十分に速い硬化速度でオキシアルキレン重合体を硬化させることができ、硬化後の伸びや柔軟性も向上させることができる。
また、本発明の伸び増強剤は、オキシアルキレン重合体や硬化触媒のみならず、様々な添加剤と組合せることができる。このため、さらに添加剤を組合せた硬化性組成物を硬化させることにより、得られる硬化体は伸びや柔軟性のみならず、添加剤に基づく特性(接着性等)も有するものとなる。
このように伸び増強剤を上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、当該重合体の硬化触媒とを含有する硬化性組成物に添加することにより、得られる硬化体が伸びや柔軟性に優れるものとなる理由については定かではないが、伸び増強剤として、オキシアルキレン重合体よりも高い加水分解性を有する化合物を用いることにより、オキシアルキレン重合体の架橋度が制御されるためと考えられる。ただし、要因はこれに限定されない。
上記一般式(2)において、Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる加水分解性基であることが好ましい。この場合、伸び増強剤の保存時の化学的安定性と湿気硬化時の高い加水分解性とを両立することができる。
本発明の伸び増強剤は、ジフェニルジメトキシシラン又はシクロヘキシルメチルジメトキシシランからなることが好ましい。この場合、得られる硬化体の伸びや柔軟性をより向上させることができる。
上記オキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレンポリオール又はその誘導体を、一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する化合物と反応させて得られる重合体であることが好ましい。
また、上記オキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレンポリオールとイソシアネートアルキルトリアルコキシシランとを反応させて得られる重合体であることが好ましい。この場合、ポリオールとイソシアネートシランとの反応により、上記オキシアルキレン重合体を簡便に製造できる。
上記Rがメチル基又はエチル基であることが好ましい。この場合、より高い伸び物性を有する硬化体が得られる。
上記ポリオキシアルキレンポリオールは、開始剤の存在下、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて環状エーテルを開環重合させて得られるものであり、オキシアルキレン重合体の数平均分子量(Mn)は8000〜50000、分子量分布(Mw/Mn)は1.6以下であり、かつ、オキシアルキレン重合体の末端の数の総数のうち、反応性ケイ素基からなる末端の数の割合が、55〜100%であることが好ましい。
ここで、分子量分布とは、重量平均分子量(Mw)を数平均分子量(Mn)で割った値をいう。また、本発明において、数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)は、分子量既知の標準ポリスチレン試料を用いて作成した検量線を用い、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定することによって得られるポリスチレン換算分子量であり、本発明の水酸基価は、JIS K1557 6.4に基づいた測定値である。
上記ポリオキシアルキレンポリオールを、開始剤の存在下、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて環状エーテルを開環重合させて得られるものとすることにより、オキシアルキレン重合体の数平均分子量及び分子量分布を上記範囲とでき、それにより、伸び、内部硬化性により優れる硬化体が得られる。また、オキシアルキレン重合体の粘度が低くなるため、取り扱い性にも優れる。さらに、オキシアルキレン重合体が末端に反応性ケイ素基を有する数の割合を上記範囲とすることにより、硬化体の硬化性が特に優れるものとなる。
また、本発明は、下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、当該重合体の硬化触媒と、上述した伸び増強剤を含有し、シロキサン結合を形成することによって結合するケイ素含有官能基を備えた(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体を含有しない、硬化性組成物である。
−Si(OR) …(1)
(式中、Rは炭素数1〜6の1価の有機基を示す。但し、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
上記硬化性組成物はオキシアルキレン重合体の硬化触媒を含有するため、室温条件下で空気中の湿気により、当該オキシアルキレン重合体が硬化して、上記硬化性組成物が硬化体となる。このとき硬化性組成物は、上述した伸び増強剤を含有するため、硬化させると伸びや柔軟性に優れる硬化体が得られる。
また、上記硬化性組成物は、上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体を含有するため、オキシアルキレン重合体の硬化速度が速く、また、伸び物性も改善できる。このため、特に速い硬化速度を必要とする用途に硬化性組成物を用いた場合であっても、十分なゴム弾性を有する硬化体を得ることができる。
よって、本発明の硬化性組成物によれば、十分に速い硬化速度でオキシアルキレン重合体を硬化させることができ、硬化後の伸びや柔軟性も向上させることができる。
上記硬化性組成物は、オキシアルキレン重合体100質量部に対して、伸び増強剤を0.1〜30質量部含むことが好ましい。この場合、硬化速度と伸び物性とを両立できるという利点がある。
本発明によれば、所定のオキシアルキレン重合体及び硬化触媒と併用することにより、十分に速い硬化速度でオキシアルキレン重合体を硬化させることができ、硬化後の伸びや柔軟性も向上させることができる伸び増強剤、及びそれを含む硬化性組成物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明に係る伸び増強剤は、下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と当該重合体の硬化触媒とを含有する硬化性組成物に添加して用いられ、当該硬化性組成物の硬化後の伸びを増強させる伸び増強剤であって、下記一般式(2)で表される構造を有する伸び増強剤である。
−Si(OR) …(1)
SiX …(2)
上記一般式(1)において、Rは、炭素数1〜6の1価の有機基であり、特にRがアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基であることが好ましい。したがって、上記一般式(1)におけるOR基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基又はn−ヘキシルオキシ基等のアルコキシル基;ビニルオキシ、プロペニルオキシ、アリルオキシ又はイソプロペニルオキシ基等のアルケニルオキシ基;シクロペンチルオキシ又はシクロヘキシルオキシ基等のシクロアルキルオキシ基;フェノキシ基等のアリールオキシ基等が好ましい。これらの中でも、より速い硬化速度と、より高い伸び物性を得るという観点から、Rは、アルキル基であることが好ましく、メチル基又はエチル基であることがより好ましい。また、シラノール基発生速度が速いことから、メチル基であることが更に好ましい。
上記一般式(2)において、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環族炭化水素基又は炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、Xは加水分解性基、をそれぞれ示す。但し、R及びRの少なくとも一方は炭素数2以上の炭化水素基である。
上記1価の脂肪族炭化水素基の炭素数は、1〜8であることが好ましい。このような脂肪族炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、n‐ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、ビニル基等の直鎖状脂肪族炭化水素基、イソプロピル基、sec‐ブチル基、tert‐ブチル基、イソプロピルビニル基等の分岐鎖状脂肪族炭化水素基が挙げられる。
上記1価の脂環族炭化水素基の炭素数は、5〜8であることが好ましい。このような脂環族炭化水素基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等が挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシル基又はシクロペンチル基であることが更に好ましく、シクロヘキシル基であることが特に好ましい。
上記1価の芳香族炭化水素基の炭素数は、6〜18であることが好ましい。このような芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、ナフチル基、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。これらの中でも、フェニル基であることが特に好ましい。
このように、R又はRを好ましい基とすることにより、得られる硬化体は、伸びや柔軟性により優れるものとなる。
上記R及びRのいずれかは、炭素数が2以上であり、6以上であることが好ましい。この場合、伸び増強剤同士で縮合が起こることを抑制できる。
上記一般式(2)において、Xはそれぞれ独立に、加水分解性基を示す。本発明において、上記一般式(2)に示すように、上記X基の数は2個である。ケイ素原子に結合したX基の数が1個の場合は、ポリオキシアルキレン重合体同士の架橋反応が抑制され、X基の数が3個以上の場合は、架橋密度が上がってしまい、いずれも得られる硬化体が脆くなる。
ここで、上記加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる加水分解性基であることが好ましい。これらの中でも、アルケニルオキシ基又はアルコキシ基が好ましい。具体的には、このような基としてメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、プロペニルオキシ基、ブトキシ基が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜6のアルコキシ基であることが更に好ましく、メトキシ基、エトキシ基であることがより一層好ましく、メトキシ基であることが特に好ましい。この場合、オキシアルキレン重合体の硬化速度をより速くすることができる。
なお、上記一般式(1)及び(2)において、複数存在する上記R及び上記Xはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。
このような構造を有する本発明の伸び増強剤の具体例としては、特に限定されないが、ジメトキシメチルビニルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジエトキシドデシルメチルシラン、ジエトキシメチルオクタデシルシラン、ジメトキシドデシルメチルシラン、ジメトキシメチルオクタデシルシラン、プロピルメチルジメトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシラン等が挙げられる。
これらの中でも、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、フェニルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジシクロペンチルジメトキシシランであることが好ましく、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシランであることがより好ましい。この場合、得られる硬化体の伸びや柔軟性をより一層向上させることができる。なお、本発明の伸び増強剤は、反応性の観点からジフェニルジメトキシシランからなることが特に好ましい。
上述した本発明の伸び増強剤は、上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、当該重合体の硬化触媒とを含有する硬化性組成物に添加して用いられる。このとき当該硬化性組成物を硬化して得られる硬化体は、伸びや柔軟性に優れるものとなる。すなわち、本発明の伸び増強剤は、上記硬化体の伸びや柔軟性を増強させることができる。
また、後述するオキシアルキレン重合体は、上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するため、十分に速い速度で硬化性組成物を硬化させることができる。
よって、本発明の伸び増強剤によれば、オキシアルキレン重合体及び硬化触媒を併用することにより、十分に速い硬化速度でオキシアルキレン重合体を硬化させることができ、硬化後の伸びや柔軟性も向上させることができる。
次に、上記硬化性組成物に含まれる硬化触媒及びオキシアルキレン重合体について説明する。
上記硬化触媒の具体例としては、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、(n−CSn(OCOCH=CHCOOCH、(n−CSn(OCOCH=CHCOO(n−C))、(n−C17Sn(OCOCH=CHCOOCH、(n−C17Sn(OCOCH=CHCOO(n−C))又は(n−C17Sn(OCOCH=CHCOO(iso−C17))等の有機錫カルボン酸塩;(n−CSn(SCHCOO)等の含硫黄有機錫化合物;(n−CSnO又は(n−C17SnO等の有機錫オキシド;上記有機錫オキシドと、エチルシリケート、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジオクチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル及びフタル酸ジオクチルからなる群より選ばれるエステル化合物との反応生成物;(n−CSn(acac)、(n−C17Sn(acac)、(n−CSn(OC17)(acac)、(n−CSn(OC(CH)CHCO、(n−C17Sn(OC(CH)CHCO、(n−CSn(OC17)(OC(CH)CHCO)又はビスアセチルアセトナート錫等のキレート錫化合物(ただし、上記acacはアセチルアセトナト配位子を意味し、OC(CH)CHCOはエチルアセトアセテート配位子を意味する。);上記キレート錫化合物と、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン及びテトラプロポキシシランからなる群より選ばれるアルコキシシランとの反応生成物;(n−C(CHCOO) SnOSn(OCOCH)(n−C又は(n−C(CHO)SnOSn(OCH)(n−C等の−SnOSn−結合含有有機錫化合物等の4価の錫化合物が挙げられる。
また、2−エチルヘキサン酸錫、n−オクチル酸錫、ナフテン酸錫又はステアリン酸錫等の2価の錫カルボン酸塩類;リン酸、p−トルエンスルホン酸又はフタル酸等の酸性化合物類;ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン又はラウリルアミン等の脂肪族モノアミン類;エチレンジアミン又はヘキサンジアミン等の脂肪族ジアミン類;ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン又はテトラエチレンペンタミン等の脂肪族ポリアミン類;ピペリジン又はピペラジン等の複素環式アミン類;メタフェニレンジアミン等の芳香族アミン類;モノエタノールアミン、ジエタノールアミン又はトリエタノールアミン等のアルカノールアミン類;トリエチルアミン等のトリアルキルアミン類;エポキシ樹脂の硬化剤として用いられる各種変性アミン等のアミン化合物類等が挙げられる。
これらの化合物は1種類のみを用いても、2種類以上を組合せて用いてもよい。2種類以上を組合せる場合は、たとえば、上記2価の錫カルボン酸塩に、脂肪族モノアミン又はその他の上記アミン化合物を組合せることが、優れた硬化性を有する硬化体が得られることから好ましい。
硬化触媒の使用割合は、オキシアルキレン重合体100質量部に対して0.001〜10質量部であることが好ましい。 硬化触媒の使用割合を0.001質量部以上とすることにより、硬化性組成物の硬化速度を有効に促進でき、硬化触媒の使用割合を10質量部以下とすることにより硬化体の発泡および耐久性の低下などの不具合の発生を防止できる。
なお、上記硬化性組成物は、硬化触媒をあらかじめ添加して脱水条件で保存し、硬化時に大気中の湿分と反応させる一液型としてもよく、また、硬化させる直前に硬化触媒を混合して硬化させる二液型としてもよい。
上記硬化性組成物に含まれ、上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレン鎖と、末端に上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基とを有する。このようにオキシアルキレン重合体はポリオキシアルキレン鎖を有するため、比較的低粘度である。このため、上記オキシアルキレン重合体は取り扱い性に優れるとともに、上記伸び増強剤とも均一に混合できる。
一方、例えば上記オキシアルキレン重合体が(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位を有すると、粘度が高くなるため硬化性に劣り、作業性に劣る傾向にある。ここで、(メタ)アクリル酸アルキルエステル単量体単位からなる共重合体とは、(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなる繰り返し単位を有する共重合体を意味し、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸アルキルエステル又はメタクリル酸アルキルエステルを意味する。
上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基は、反応性ケイ素基がジアルコキシシリル基である場合と比較して、反応性が高いため、上記オキシアルキレン重合体を含む硬化性組成物は、速い硬化速度を必要とする場合に好適に用いることができる。
上記オキシアルキレン重合体の数平均分子量(Mn)は、柔軟かつ伸びの良い硬化体を得るという観点から、8000〜50000であることが好ましく、8000〜25000であることがより好ましく、12000〜20000であることが更に好ましい。
上記数平均分子量が8000未満であると、平均分子量が上記範囲にある場合と比較して、得られる硬化体が脆くなる場合があり、平均分子量が50000を超えると、平均分子量が上記範囲にある場合と比較して、オキシアルキレン重合体が高粘度となり、施工時における作業性および取り扱い性に劣る傾向にある。
上記オキシアルキレン重合体の分子量分布(重量平均分子量Mw/数平均分子量Mn)の値は1.6以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましく、1.4以下であることが更に好ましい。
オキシアルキレン重合体の分子量分布が1.6以下であると、分子量分布が1.6を超える場合と比較して、分子量の小さいオキシアルキレン重合体の含有量が少なくなるため、得られる硬化体の破断時伸度及び最大応力を大きくすることができる。また、得られる硬化体は、弾性率を変化させずに伸びが大きく高強度とすることができる。さらに、得られる硬化体の粘度が低くなるため、取り扱い性にも優れるものとなる。
オキシアルキレン重合体の末端の数の総数のうち、式(1)で表される反応性ケイ素基からなる末端の数の割合が、55〜100%であることが好ましく、75〜100%であることがより好ましく、85〜100%であることが更に好ましい。反応性ケイ素基からなる末端の数の割合が55%未満であると、硬化体の硬化性が不十分となる傾向にある。式(1)で表される反応性ケイ素基以外の末端は、当該反応性ケイ素基を導入する前の基であることが好ましい。
次に、オキシアルキレン重合体の製造方法について説明する。
上記オキシアルキレン重合体は、例えば、開始剤存在下、重合触媒を用いて環状エーテルを開環重合反応させることにより、ポリオキシアルキレン鎖を有し、分子末端が水酸基であるポリオキシアルキレンポリオールが得られ、ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基に直接又は連結基を介して反応性ケイ素基を結合させることにより得られる。
まず、ポリオキシアルキレンポリオールの製造方法について説明する。ポリオキシアルキレンポリオールは、開始剤存在下、環状エーテルを開環重合反応させることにより得られる。
上記開始剤としては1分子あたり1個以上の活性水素原子を有する化合物、例えば1分子あたり1個以上の水酸基を有するヒドロキシ化合物等が使用できる。
具体的には、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサメチレングリコール、水素化ビスフェノールA、ネオペンチルグリコール、ポリブタジエングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、アリルアルコール、メタリルアルコール、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等、又はこれらの化合物のアルキレンオキシド付加物等の水酸基含有化合物等が挙げられる。これらの開始剤は1種類のみを用いても、2種類以上を組合せて用いてもよい。
上記環状エーテルとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、ヘキシレンオキシド、又はテトラヒドロフラン等が挙げられる。これらの環状エーテルは1種類のみを用いても、2種類以上を組合せて用いてもよい。
開始剤に環状エーテルを開環重合させる際には、重合触媒を用いることが好ましい。かかる重合触媒としては、例えば水酸化カリウム又はカリウムメトキシド等のカリウム化合物、水酸化セシウム等のセシウム化合物等のアルカリ金属化合物;複合金属シアン化物錯体;金属ポルフィリン錯体;P=N結合を有する化合物等が挙げられる。
上記重合触媒のうち、複合金属シアン化物錯体触媒、セシウム化合物触媒、又はP=N結合を有する化合物触媒、を用いることが好ましく、複合金属シアン化物錯体触媒を用いることがより好ましい。複合金属シアン化物錯体触媒を用いると、ポリオキシアルキレンポリオールは複合金属シアン化物錯体触媒の活性が高いため、分子量が大きいものとなる。なお、分子量の大きいポリオキシアルキレンポリオールを含むオキシアルキレン重合体は硬化性に優れるため、得られる硬化体は伸び等の機械物性に一層優れる。
上記複合金属シアン化物錯体触媒としては、高い重合活性を有することから亜鉛ヘキサシアノコバルテートを主成分とする錯体を用いることが好ましい。また、複合金属シアン化物錯体触媒は、有機配位子を有することが好ましく、なかでも有機配位子がエーテル、又はアルコール等であると高活性となることからより好ましい。
上記エーテルとしては、重合反応時に錯体を取り扱いやすいことから、エチレングリコールジメチルエーテル(グライム)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグライム)又はトリエチレングリコールジメチルエーテル等を用いることが好ましく、グライムを用いることがより好ましい。
上記アルコールとしては、tert−ブチルアルコール、又は、tert−ブチルアルコールと、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、tert−ペンチルアルコール、iso−ペンチルアルコール、N,N−ジメチルアセトアミド及びエチレングリコールモノ−tert−ブチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種との組合せを用いることが好ましい。この場合、重合触媒が高活性となることから、重合触媒の触媒量を減らすことができ、ポリオキシアルキレンポリオール中の触媒の残存量が低減される。
上記のようにして得られるポリオキシアルキレンポリオールは、2〜8価のポリオキシプロピレンポリオールであることが好ましく、特にポリオキシプロピレンジオールおよびポリオキシプロピレントリオールであることがより好ましい。一般に1分子あたりの反応性ケイ素基の数、末端1個あたりの分子量、又はオキシアルキレン重合体の分子量分布等の各パラメータによって得られる硬化体の特性が異なるが、原料となるポリオキシアルキレンポリオールが上記の化合物である場合、得られる硬化体の伸び及び強度においてバランスが優れるものとなる。
さらに、後述する不飽和基へのヒドロシラン又はメルカプトシランの付加反応を用いてポリオキシアルキレンポリオールの分子末端に反応性ケイ素基を導入する場合は、アリルアルコール等の不飽和基含有モノアルコールを開始剤として環状エーテルの開環重合反応により得られるアリル末端ポリオキシプロピレンモノオール等も使用できる。
次に、ポリオキシアルキレンポリオールの末端基に反応性ケイ素基を導入する方法について説明する。ポリオキシアルキレンポリオールの末端基に反応性ケイ素基を導入することにより、オキシアルキレン重合体となる。
ポリオキシアルキレンポリオールの末端基に反応性ケイ素基を導入する方法は特に限定されないが、当該末端基にさらに有機基を介して反応性ケイ素基を連結させ、オキシアルキレン重合体を製造する方法が好ましい。この製造方法を用いた場合に得られるオキシアルキレン重合体は、下記一般式(3)で表される基を分子末端の少なくとも一部に有することになる。
−R−Si(OR) …(3)
上記一般式(3)において、Rは2価の有機基を表す。また、Rは上述した一般式(1)におけるRと同義である。
このように有機基Rを介してポリオキシアルキレンポリオールに反応性ケイ素基を導入する方法としては、たとえば以下の(A)〜(C)の方法を挙げることができる。
(A)水酸基を有するポリオキシアルキレンポリオールの末端に、不飽和基を導入した後、この不飽和基に反応性ケイ素基を結合させる方法。この方法としてはさらに以下の2つの方法(A−1)及び(A−2)が挙げられる。
(A−1)上記不飽和基に下記一般式(4)で表されるヒドロシリル化合物を反応させる、いわゆるヒドロシリル化反応を用いる方法。
HSi(OR) …(4)
上記一般式(4)中、Rは上記一般式(3)におけるRと同義である。
かかるヒドロシリル化反応は、触媒の存在下、ポリオキシアルキレンポリオールに導入した不飽和基にヒドロシリル化合物を付加させる反応である。上記触媒としては、白金系触媒、ロジウム系触媒、コバルト系触媒、パラジウム系触媒、又はニッケル系触媒等が挙げられる。これらの中でも、塩化白金酸、白金金属、塩化白金、又は白金オレフィン錯体等の白金系触媒を用いることが好ましい。
また、不飽和基にヒドロシリル化合物を反応させる際の反応条件は、30〜150℃、好ましくは60〜120℃の温度、数時間以内の反応時間で行われる。
(A−2)不飽和基に下記一般式(5)で表されるメルカプトシラン化合物を反応させる方法。
(RO)Si−R−SH …(5)
上記一般式(5)において、Rは上記一般式(3)におけるRと同義であり、Rは2価の有機基を表し、好ましくは炭素数1〜17の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、トリメチレン基(−CHCHCH−)である。
上記一般式(5)で表されるメルカプトシラン化合物としては、例えば3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
不飽和基とメルカプト基とを反応させる際には、ラジカル重合開始剤として用いられるラジカル発生剤などの化合物を用いてもよく、ラジカル重合開始剤を用いることなく放射線や熱によって反応を行ってもよい。
上記ラジカル重合開始剤としては、例えばパーオキシド系、アゾ系、又はレドックス系の重合開始剤、金属化合物触媒等が挙げられ、具体的には、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス−2−メチルブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、tert−アルキルパーオキシエステル、アセチルパーオキシド、又はジイソプロピルパーオキシカーボネート等が挙げられる。
ラジカル重合開始剤を用いて不飽和基とメルカプト基とを反応させる際の反応条件は、上記ラジカル重合開始剤の分解温度(半減期温度)によって異なるが、一般に20〜200℃、好ましくは50〜150℃の反応温度、数時間〜数十時間の反応時間で行われる。
ポリオキシアルキレンポリオールの末端に不飽和基を導入する方法としては、ポリオキシアルキレンポリオールの末端水酸基と、エーテル結合、エステル結合、ウレタン結合、又はカーボネート結合等により連結しうる官能基及び不飽和基を有する反応剤とを、反応させる方法が挙げられる。
(B)末端の少なくとも一部に水酸基を有するポリオキシアルキレンポリオールを下記一般式(6)で表される化合物と反応させる方法。
(RO)Si−R−NCO …(6)
上記一般式(6)において、Rは上記一般式(3)におけるRと同義であり、Rは2価の有機基を表し、好ましくは炭素数1〜17の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、トリメチレン基である。
上記一般式(6)で表される化合物としては、1−イソシアネートメチルトリメトキシシラン、1−イソシアネートメチルトリエトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリメトキシシラン、2−イソシアネートエチルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネートシラン等が挙げられる。
これらの中でも、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシランを用いることが好ましい。この場合、速い硬化性が得られる。
また、この場合、ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基(OH)に対し、イソシアネートシランのイソシアネート基(NCO)が、モル比でNCO/OH=0.6〜1.2となるようにして反応を行うことが好ましい。この方法は製造工程数が少ないために工程時間を大幅に短縮でき、製造工程途中で副生する不純物もなく、精製等の煩雑な操作も不要である。また、この方法によって得られるオキシアルキレン重合体を含む硬化性組成物は貯蔵安定性が優れる。
また、上記NCO基とOH基の比率が、NCO/OH(モル比)=0.95〜1.10であることがより好ましく、0.95〜1.05であることが更に好ましい。NCO比率が少ない場合には、残ったOH基とアルコキシシリル基との反応等が起こり、貯蔵安定性が低下する傾向にある。なお、そのような場合には、新たにイソシアネートシラン化合物か若しくはモノイソシアネート化合物を反応させて、過剰のOH基を消費することが好ましい。一方、NCO基量がOH基に対して多い場合は、硬化体の物性が硬くなることや、水とNCO基との反応で発泡が起こる傾向にある。なお、そのような場合は、OH基含有有機化合物を新たに反応させ、過剰のNCO基を消費することが好ましい。
ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基を上記一般式(6)で表される化合物と反応させる際には、公知のウレタン化反応触媒を用いてもよい。反応条件は、ウレタン化反応触媒の使用の有無および使用量によって反応温度および反応が完結するまでに要する反応時間は異なるが、一般に20〜200℃、好ましくは50〜150℃の温度で数時間反応を行うことが好ましい。
ウレタン化反応触媒を使用する場合、ウレタン化反応触媒の使用量は、5〜200ppm、好ましくは10〜100ppmであることが好ましい。ウレタン化反応触媒の使用量が100ppmを超えると、ウレタン化反応触媒の使用量が上記範囲にある場合と比較して、ポリマーの貯蔵安定性が悪くなる傾向にあり、ウレタン化反応触媒の使用量が10ppm未満であると、ウレタン化反応触媒の使用量が上記範囲にある場合と比較して、ウレタン化反応に時間がかかる傾向にある。
(C)分子末端の少なくとも一部に水酸基を有するポリオキシアルキレンポリオールにイソシアネート基過剰の条件でポリイソシアネート化合物を反応させ、上記末端の少なくとも一部にイソシアネート基を有するポリオキシアルキレンポリオールを製造し、さらにこのイソシアネート基に下記一般式(7)で表されるケイ素化合物のW基を反応させる方法。
(RO)Si−R−W …(7)
上記一般式(7)において、Rは上記一般式(3)におけるRと同義であり、Rは2価の有機基であり、好ましくは炭素数1〜17の2価の炭化水素基であり、更に好ましくは、トリメチレン基である。また、上記Wは、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、1級アミノ基、又は2級アミノ基等の活性水素含有基を示す。
上記一般式(7)で表されるケイ素化合物としては、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、又は3−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン系化合物;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン系化合物等が挙げられる。
ポリオキシアルキレンポリオールの水酸基と上記一般式(7)で表される化合物とを反応させる際には、上述した公知のウレタン化反応触媒を用いてもよい。また、反応条件は上記同様である。
上述したオキシアルキレン重合体の製造方法の中でも、上記オキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレンポリオールとイソシアネートアルキルトリアルコキシシランとを反応させて得られる重合体であることが好ましい。この場合、ポリオールとイソシアネートシランとの反応により反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体を簡便に製造できる。
本発明の硬化性組成物は、上述した上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、当該重合体の硬化触媒と、上述した伸び増強剤を含有し、シロキサン結合を形成することによって結合するケイ素含有官能基を備えた(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体を含有しない。
上記硬化性組成物はオキシアルキレン重合体の硬化触媒を含有するため、室温条件下で空気中の湿気により、当該オキシアルキレン重合体が硬化して、上記硬化性組成物が硬化体となる。このとき硬化性組成物は、上述した伸び増強剤を含有するため、硬化させると伸びや柔軟性に優れる硬化体が得られる。
また、上記硬化性組成物は、上記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体を含有するため、オキシアルキレン重合体の硬化速度が速くなる。このことにより、硬化性組成物を特に速い硬化速度を必要とする用途に用いた場合であっても、十分なゴム弾性を有する硬化体を得ることができる。
よって、本発明の硬化性組成物によれば、十分に速い硬化速度でオキシアルキレン重合体を硬化させることができ、硬化後の伸びや柔軟性も向上させることができる。
上記硬化性組成物は、オキシアルキレン重合体100質量部に対して、伸び増強剤を0.1〜30質量部含むことが好ましく、0.5〜10質量部含むことがより好ましく、1〜5質量部含むことが更に好ましい。伸び増強剤の含有量が30質量部を超えると、伸び増強剤の含有量が上記範囲にある場合と比較して、得られる硬化体の物性が低下する傾向にあり、伸び増強剤の含有量が0.1質量部未満であると、伸び増強剤の含有量が上記範囲にある場合と比較して、伸び増強剤の架橋への影響が少なくなる傾向にある。
[添加剤]
以下、本発明の硬化性組成物に添加可能な添加剤について説明する。
(充填剤)
本発明の硬化性組成物は、充填剤を含んでいてもよい。かかる充填剤としては、例えば、脂肪酸又は樹脂酸系有機物で表面処理した炭酸カルシウム、上記炭酸カルシウムをさらに微粉末化した平均粒径1μm以下の膠質炭酸カルシウム、沈降法により製造した平均粒径1〜3μmの軽質炭酸カルシウム、平均粒径1〜20μmの重質炭酸カルシウム、その他の炭酸カルシウム類、フュームドシリカ、沈降性シリカ、無水ケイ酸、含水ケイ酸、カーボンブラック、炭酸マグネシウム、ケイソウ土、焼成クレー、クレー、タルク、酸化チタン、ベントナイト、有機ベントナイト、酸化第二鉄、酸化亜鉛、活性亜鉛華、シラスバルーン、ガラスバルーン、プラスチックバルーン、木粉、パルプ、木綿チップ、マイカ、くるみ穀粉、もみ穀粉、グラファイト、アルミニウム微粉末又はフリント粉末等の粉体状充填剤;ガラス繊維、ガラスフィラメント、炭素繊維、ケブラー繊維又はポリエチレンファイバー等の繊維状充填剤等が挙げられる。これらの中でもプラスチックバルーンを用いると、硬化性組成物の比重を小さくできるため好ましい。なお、これらの化合物は、1種類のみを用いても、2種類以上を組合せて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物に充填剤を含有させる場合、充填剤の使用割合はオキシアルキレン重合体100質量部に対して、1000質量部以下であることが好ましく、50〜250質量部であることがより好ましい。
(可塑剤)
本発明の硬化性組成物は、可塑剤を含んでいてもよい。かかる可塑剤としては公知の可塑剤が使用でき、例えば、フタル酸ジブチル、フタル酸ブチルベンジル又はフタル酸ビス−2−エチルヘキシル等のフタル酸エステル類;アジピン酸ジオクチル、コハク酸ビス(2−メチルノニル)、セバシン酸ジブチル又はオレイン酸ブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;ペンタエリスリトールエステル等のアルコールエステル類;リン酸トリオクチル又はリン酸トリクレジル等のリン酸エステル類;エポキシ化大豆油、4,5−エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル又はエポキシステアリン酸ベンジル等のエポキシ可塑剤類;塩素化パラフィン;2塩基酸と2価アルコールとを反応させて得られるポリエステル類等のポリエステル系可塑剤類;ポリオキシプロピレングリコール又はその誘導体等のポリエーテル類;ポリ−α−メチルスチレン又はポリスチレン等のスチレン系のオリゴマー類;ポリブタジエン、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、ポリブテン、水添ポリブテン又はエポキシ化ポリブタジエン等のオリゴマー類等の高分子可塑剤類が挙げられる。なお、これらの化合物は1種類のみを用いても、2種類以上を組合せて用いてもよい。
本発明の硬化性組成物に可塑剤を含有させる場合、可塑剤の使用割合は、オキシアルキレン重合体100質量部に対して、0〜1000質量部であることが好ましい。
なお、硬化性組成物を接着剤等の用途に用いる場合は、可塑剤を用いないほうが硬化体と基材との接着力が向上する場合がある。
(接着性付与剤)
本発明の硬化性組成物は、基材とオキシアルキレン重合体との接着性を向上させる目的で接着性付与剤を含んでいてもよい。かかる接着性付与剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有シラン類、アミノ基含有シラン類、メルカプト基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類又はカルボキシル基含有シラン類等のシランカップリング剤が挙げられる。これらの中でもアミノ基含有シラン類、エポキシ基含有シラン類が好ましい。
上記アミノ基含有シラン類としては、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−(N−ビニルベンジル−2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン又は3−アニリノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
上記エポキシ基含有シラン類としては、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン又は3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物に接着性付与剤を含有させる場合、接着性付与剤の使用割合は、オキシアルキレン重合体100質量部に対して0〜30質量部であることが好ましい。
また、接着性付与剤としては、エポキシ樹脂、又はエポキシ樹脂とエポキシ樹脂硬化剤との混合物も挙げられる。上記エポキシ樹脂は特に限定されず、一般に知られるエポキシ樹脂を用いることができる。エポキシ樹脂としては例えば、ビスフェノールA−ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、ビスフェノールF−ジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA−グリシジルエーテル型エポキシ樹脂等の難燃型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA−プロピレンオキシド付加物のグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、4−グリシジルオキシ安息香酸グリシジル、フタル酸ジグリシジル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジル又はヘキサヒドロフタル酸ジグリシジル等のジグリシジルエステル系エポキシ樹脂、m−アミノフェノール系エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルメタン系エポキシ樹脂、ウレタン変性エポキシ樹脂、各種脂環式エポキシ樹脂、N,N−ジグリシジルアニリン、N,N−ジグリシジル−o−トルイジン、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリアルキレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリン等の多価アルコールのグリシジルエーテル、ヒダントイン型エポキシ樹脂又は石油樹脂等の不飽和重合体のエポキシ化物等の一般に使用されているエポキシ樹脂やエポキシ基を含有するビニル系重合体等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物にエポキシ樹脂を含有させる場合、エポキシ樹脂の使用割合は、オキシアルキレン重合体100質量部に対して100質量部以下であることが好ましい。エポキシ樹脂の使用割合が100質量部を超えると、硬化体の硬度が高くなり、柔軟性が小さくなる傾向にある。
上記エポキシ樹脂硬化剤は特に限定されないが、通常知られるエポキシ樹脂硬化剤を用いることができる。エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ジエチルアミノプロピルアミン、N−アミノエチルピペラジン、m−キシリレンジアミン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、イソホロンジアミン又は2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等のアミン類;上記アミン類の塩類;上記アミン類のケチミン化合物等によるブロックドアミン類;ポリアミド樹脂;イミダゾール類;ジシアンジアミド類;三フッ化ホウ素錯化合物類;無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、ドデセニルコハク酸無水物又はピロメリット酸無水物等のカルボン酸無水物;フェノキシ樹脂;カルボン酸類;アルコール類;エポキシ基と反応しうる基を平均して分子内に少なくとも1個有するポリアルキレンオキシド系重合体(例えば末端アミノ化ポリオキシプロピレングリコール又は末端カルボキシル化ポリオキシプロピレングリコール等);水酸基、カルボキシル基及びアミノ基等から選ばれる官能基で末端が修飾された、ポリブタジエン、水添ポリブタジエン、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体又はアクリル系重合体等の液状末端官能基含有重合体等が挙げられる。
上記エポキシ樹脂にエポキシ樹脂硬化剤を組合せる場合、エポキシ樹脂硬化剤の使用割合は、エポキシ樹脂100質量部に対して、300質量部以下であることが好ましい。
(脱水剤)
本発明の硬化性組成物は、貯蔵安定性をさらに改良するために、硬化性や柔軟性に悪影響を及ぼさない範囲で少量の脱水剤を含んでいてもよい。かかる脱水剤としては、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル等のオルトギ酸アルキル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル等のオルト酢酸アルキル、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン又はテトラエトキシシラン等の加水分解性有機シリコン化合物、加水分解性有機チタン化合物等が挙げられる。これらの中でもビニルトリメトキシシラン又はテトラエトキシシランがコスト、脱水能力の点から好ましい。
本発明の硬化性組成物に脱水剤を含有させる場合、脱水剤の使用割合は、オキシアルキレン重合体100質量部に対して0.001〜30質量部であることが好ましい。
(チキソ性付与剤)
本発明の硬化性組成物は、タレ止め剤としてチキソ性付与剤を含んでいてもよい。かかるチキソ性付与剤としては、特に限定されないが、水添ひまし油又は脂肪酸アミド等が挙げられる。
本発明の硬化性組成物にチキソ性付与剤を含有させる場合、チキソ性付与剤の使用割合は、所望のタレ止め性が得られる使用割合であれば、特に限定されない。
(老化防止剤)
本発明の硬化性組成物は、耐候性及び耐光性をより高めるために老化防止剤を含んでいてもよい。かかる老化防止剤としては、特に限定されず、一般にポリウレタン樹脂等に添加される酸化防止剤、紫外線吸収剤及び光安定剤等からなる群より選ばれる老化防止剤を用いることができる。具体的には、ヒンダードアミン系、ベンゾトリアゾール系、ベンゾフェノン系、ベンゾエ−ト系、シアノアクリレート系、アクリレート系、ヒンダードフェノール系、リン系又は硫黄系等の老化防止剤が挙げられる。なお、これらの中から適宜好ましい化合物を選択して本発明の硬化性組成物に含ませることができる。
(その他の添加剤)
本発明の硬化性組成物は、上述した添加剤の他にも、酸化鉄、酸化クロム又は酸化チタン等の無機顔料、フタロシアニンブルー又はフタロシアニングリーン等の有機顔料、防かび剤、又は発泡剤等の添加剤を含んでいてもよい。
なお、本発明の硬化性組成物は、上述した添加剤を複数種類配合してもよい。すなわち、本発明の硬化性組成物は、充填剤、可塑剤、接着性付与剤、脱水剤、チキソ性付与剤、老化防止剤、無機顔料、有機顔料、防かび剤及び発泡剤からなる群より選ばれる少なくとも1つを含有していてもよい。
このように本発明の伸び増強剤は、オキシアルキレン重合体や硬化触媒のみならず、様々な添加剤と組合せることができる。このため、さらに添加剤を硬化性組成物に組合せて硬化させることにより、得られる硬化体は伸びや柔軟性のみならず、添加剤に基づく特性(接着性等)も付与することができる。
こうして得られる本発明の硬化性組成物は、速硬化性に優れ、かつ伸び及び柔軟性に優れるという特徴から、接着剤、とりわけ弾性接着剤、シーラント、防水材、コーティング材等の被覆組成物・密封組成物の分野に使用できる。例えば、弾性接着剤に用いた場合、せん断強度と剥離強度のバランスの取れた速硬化性接着剤としての応用が期待される。
以下、実施例及び比較例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、以下に挙げる実施例に限定されるものではない。
まず、以下の方法に基づいて、オキシアルキレン重合体及び硬化触媒の製造を行った。
(オキシアルキレン重合体の製造例1)
グリセリンにプロピレンオキシドを開環付加して得られた数平均分子量5000のポリオキシプロピレントリオール295gを開始剤として、亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒0.059gの存在下、プロピレンオキシド706gを開環重合させてポリオキシプロピレントリオール(PT1)を得た。このポリオキシプロピレントリオールの水酸基に対して1.05当量となるように、ナトリウムメトキシドのメタノール溶液をポリオキシプロピレントリオールに添加し、次いで、加熱減圧下メタノールを留去して、ポリオキシプロピレントリオールの末端水酸基をナトリウムアルコキシドに変換した。そして、塩化アリルをポリオキシプロピレントリオールの水酸基に対して1.08当量加え、90℃で4時間反応させた後、未反応の塩化アリルを減圧除去した。さらに、副生した塩を精製して、ポリオキシアルキレンポリオールであるアリル基末端オキシプロピレン重合体(PU1)を得た。
1000gのPU1に対し、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン42gと、メタノール15g中に溶解した2、2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)5gとを加え、PU1と、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランとを85℃にて12時間反応させた。そして、メタノールを減圧脱気することにより、全分子末端基の85%にトリメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体(TMS1)を得た。得られたTMS1の数平均分子量(Mn)は17000であり、分子量分布(Mw/Mn)は、1.42であった。
なお、上記3−メルカプトプロピルトリメトキシシランの添加量は、上記PU1の不飽和基価を公知の方法により測定した値から決定した。
また、本実施例おける各重合体の重量平均分子量(Mw)、数平均分子量(Mn)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミッションクロマトグラフィー(GPC)を用いて測定した値である。具体的には、GPCのカラムとしてMultiporeHxL(東ソー株式会社)を2本直列につないだものを用い、移動相にテトラヒドラフランを使用し、温度40℃で測定を行った。また、分子量既知のポリスチレン標準試料(Polymer Laboratories社製PS−2)を用いて作成した検量線を使用してポリスチレン換算分子量としてMw、MnおよびMw/Mnの値を求めた。
(オキシアルキレン重合体の製造例2)
上記1000gのPU1に対し、塩化白金酸を0.01g加え、30分攪拌した後、メチルジメトキシヒドロシラン(信越化学社製 KBM−12)を20g加え、90℃にて4時間反応させた。反応後、未反応シランを減圧留去し、末端にメチルジメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体(MDS1)を得た。得られたMDS1の数平均分子量(Mn)は17000であり、分子量分布(Mn/Mw)は1.42であった。
1000gのPT1をフラスコに仕込み、100℃で2時間脱水させた。その後、ジブチル錫ジラウレートを10ppm添加し攪拌したのち、γ―イソシアネートプロピルトリメトキシシランを、PT1のOH基とγ―イソシアネートプロピルトリメトキシシラン中のNCO基量の比が、(OH基)/(NCO基)=1/0.98となるように投入し、80℃で10時間反応させた。反応終了は、IR測定でNCO基が消失していることで判断し、末端にトリメトキシシリル基を有するオキシアルキレン重合体(ncoTMS1)を得た。得られたncoTMS1の数平均分子量(Mn)は18000であり、分子量分布(Mw/Mn)は1.45であった。
(硬化触媒の合成例)
ガラス製反応容器中に、無水酢酸20g(0.4モル)と、ジブチル錫オキシド97g(0.8モル)とを加え、溶媒であるトルエン150ml中で撹拌しながら、約3時間加熱還流した。その後、トルエンを留去して、白色ロウ状のビス[ジブチルアセトキシ錫(IV)オキシド]を得た。これにジオクチルフタレートを加えて、有機錫化合物濃度を50質量%に調整した有機錫触媒溶液(触媒1)を得た。
(実施例1)
100質量部のTMS1と、表面処理炭酸カルシウム(充填剤、白石カルシウム社製、白艶華CCR)50質量部と、重質炭酸カルシウム(充填剤、日東粉化工業社製、NS−400)30質量部と、を混合し、遊星式攪拌器(クラボウ社製)にて攪拌した。そして、混合物の温度を室温まで下げた後、ビニルトリメトキシシラン(脱水剤、信越化学社製、KBM―1003)を5質量部加えて更に攪拌を行った。その後、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン(接着性付与剤、信越化学社製 KBM−603)3質量部と、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン(接着性付与剤、信越化学社製 KBM−403)1質量部と、ジフェニルジメトキシシラン(伸び増強剤、信越化学社製 KBM−202S)3質量部とを更に加えて攪拌した後、硬化触媒として上記触媒1を2質量部加え、再び攪拌することにより硬化性組成物を得た。
(実施例2〜7、比較例1)
表1に示す種類と量のオキシアルキレン重合体と伸び増強剤とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、硬化性組成物を得た。なお、伸び増強剤として使用した「CHMS−112」は、信越化学社製シクロヘキシルメチルジメトキシシランである。
(実施例8〜14、比較例2)
表2に示す種類と量のオキシアルキレン重合体と伸び増強剤と、有機錫触媒溶液とを加え、遊星式攪拌器にて攪拌することにより硬化性組成物を得た。
(実施例15)
100質量部のTMS1と、表面処理炭酸カルシウム50質量部と、重質炭酸カルシウム30質量部と、を混合し、遊星式攪拌器にて攪拌した。そして、混合物の温度を室温まで下げた後、ビニルトリメトキシシランを5質量部加えて更に攪拌を行った。その後、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン3質量部と、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン1質量部と、ジフェニルジメトキシシラン3質量部とを更に加えて攪拌した後、硬化触媒として上記触媒1を1質量部加え、再び攪拌することにより硬化性組成物を得た。
(実施例16〜18、比較例3〜10)
表3に示す種類と量のオキシアルキレン重合体と伸び増強剤を用いたこと以外は、実施例15と同様にして、硬化性組成物を得た。なお、伸び増強剤として使用した「KBM−22」は、信越化学社製ジメチルジメトキシシランである。
実施例1〜7及び比較例1で得られた硬化性組成物の処方一覧を表1に、実施例8〜14及び比較例2で得られた硬化性組成物の処方一覧を表2に、実施例15〜18及び比較例3〜10で得られた硬化性組成物の処方一覧を表3にそれぞれ示す。なお、表1〜3中、単位のない数字は質量部を表す。
Figure 2007169441

Figure 2007169441

Figure 2007169441
[評価方法](引張せん断試験)
実施例1〜7、15〜18、及び比較例1、3〜10の硬化性組成物を、被着体として、陽極酸化アルミニウム片を用い、JIS K6850の試験法に準拠して、物性測定用試験体を作成した。それぞれの試験体は、23℃、50%の湿度条件下で3日硬化養生した後、スペーサーをはずし、さらに50℃、65%の湿度条件下で6日間養生した。そして、養生装置からそれぞれの試験体を取り出した後、24時間以上23℃、50%湿度条件下に放置し、その後、テンシロン試験機を使用して引張せん断試験を行った。試験は、JIS K6850に準拠して行った。得られた結果を表4及び表6に示す。なお、表4及び表6に示したTmax(N/mm2)は最大引張応力を意味し、E(mm)は最大応力時の伸びを意味する。
(硬化速度)
実施例8〜18、及び比較例2、3、7〜10の硬化性組成物を容器に入れ、23℃、50%の温湿度条件下で手攪拌した。これに一定時間毎にスパーテルで触れてみて、スパーテルの付着物がゲル状になった時点を可使時間(分)、スパーテルに付着しなくなった時間を硬化時間(分)とした。得られた結果を表5及び表6に示す。
Figure 2007169441

Figure 2007169441

Figure 2007169441
表4に示すように、実施例1〜7の伸び増強剤を添加した硬化性組成物の硬化体は、伸び増強剤を含まない比較例1と比べて、引張せん断強度(Tmax(N/mm))をほぼ維持しながら、伸び(E(mm))が高い値を示した。
表5に示すように、実施例8〜14の伸び増強剤を添加した硬化性組成物は、伸び増強剤を含まない比較例2と比べて、可使時間、硬化時間ともに速くなることがわかった。
表6に示すように、実施例15〜18の伸び増強剤としてジフェニルジメトキシシラン又はシクロヘキシルメチルジメトキシシランを添加した硬化性組成物の硬化体は、伸び増強剤を含まない比較例3と比べて、硬化性組成物の可使時間、硬化時間ともに速くなることがわかった。また、上記実施例15〜18の硬化性組成物の硬化体は、比較例4〜6の伸び増強剤としてジメチルジメトキシシランを添加した硬化性組成物の硬化体と比較して、伸び(E(mm))が高い値を示した。さらに、比較例7〜10のオキシアルキレン重合体として、MDS1を用いた硬化性組成物の硬化体では、伸び増強剤としてジフェニルジメトキシシランの添加量が増えることにより、伸び(E(mm))は向上するが、引張せん断強度が低下した。
上記の結果より、伸び増強剤を添加した本発明の硬化性組成物によれば、速い硬化性を有し、かつ良好な伸びと柔軟性を有する硬化体が得られることが確認された。
本発明の硬化性組成物は、室温において速い硬化性を有し、作業場に必要な可使時間を確保することができ、しかも硬化後の硬化体も良好な伸び及び柔軟性に優れている。この特徴から、本発明の硬化性組成物は、シーラント、防水材、接着剤、コーティング材等の被覆組成物・密封組成物の分野に好適に使用できる。

Claims (8)

  1. 下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と当該重合体の硬化触媒とを含有する硬化性組成物に添加して用いられ、当該硬化性組成物の硬化後の伸びを増強させる伸び増強剤であって、
    下記一般式(2)で表される構造を有する伸び増強剤。
    −Si(OR) …(1)
    SiX …(2)
    (式中、Rは炭素数1〜6の1価の有機基、R及びRはそれぞれ独立に、炭素数1〜18の1価の脂肪族炭化水素基、炭素数3〜20の1価の脂環族炭化水素基又は炭素数6〜20の1価の芳香族炭化水素基、Xは加水分解性基、をそれぞれ示す。但し、R及びRの少なくとも一方は炭素数2以上の炭化水素基であり、複数存在するR及びXはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  2. 前記Xは、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基及びアルケニルオキシ基からなる群より選ばれる加水分解性基である、請求項1記載の伸び増強剤。
  3. ジフェニルジメトキシシラン又はシクロヘキシルメチルジメトキシシランからなる、請求項1又は2に記載の伸び増強剤。
  4. 前記オキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレンポリオール又はその誘導体を、前記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有する化合物と反応させて得られる重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の伸び増強剤。
  5. 前記オキシアルキレン重合体は、ポリオキシアルキレンポリオールとイソシアネートアルキルトリアルコキシシランとを反応させて得られる重合体である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の伸び増強剤。
  6. 前記ポリオキシアルキレンポリオールは、開始剤の存在下、複合金属シアン化物錯体触媒を用いて環状エーテルを開環重合させて得られるものであり、
    前記オキシアルキレン重合体の数平均分子量(Mn)は8000〜50000、分子量分布(Mw/Mn)は1.6以下であり、かつ、
    前記オキシアルキレン重合体の末端の数の総数のうち、前記反応性ケイ素基からなる末端の数の割合が55〜100%である、請求項4又は5に記載の伸び増強剤。
  7. 下記一般式(1)で表される反応性ケイ素基を有するオキシアルキレン重合体と、当該重合体の硬化触媒と、請求項1〜6のいずれか一項に記載の伸び増強剤とを含有し、シロキサン結合を形成することによって結合するケイ素含有官能基を備えた(メタ)アクリル酸アルキルエステル重合体を含有しない、硬化性組成物。
    −Si(OR) …(1)
    (式中、Rは炭素数1〜6の1価の有機基を示す。但し、複数存在するRはそれぞれ同一であっても異なっていてもよい。)
  8. 前記オキシアルキレン重合体100質量部に対して、前記伸び増強剤を0.1〜30質量部含む、請求項7記載の硬化性組成物。
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