本発明は、その後、引き続いて、オリーブ・ペーストを処理してオリーブ油を抽出するために、丸ごとのオリーブからオリーブ・ペーストを作るための新規な装置および方法を提供する。本発明の装置および方法は、特に、特許文献1に記載のオリーブ油抽出装置などの小型の調理台用家電とともに、またはその一部として使用できるオリーブ・ペーストを作るための装置に関する。しかしながら、本発明の新規な装置および方法は、小規模生産、または特定の構成のオリーブ油抽出装置には限定されず、中規模生産および大規模生産にも利用できる。同様に、本発明はオリーブ油生産との関連で説明されているが、本発明の装置および方法は、この目的に限定されず、コーヒー豆、ヒヨコ豆、木の実などの植物および種子を含む他の粒子状物質を押しつぶす/すりつぶすのに使用してもよい。
上述のように、オリーブの種の最初のつぶれ/破壊には、より大きな種では約40kgの限界力が必要となる。種を破壊する機械的な手法/解決法に応じて、この力は、下記の3つにより引き起こすことができる。a.現代のオリーブ油産業の第1段階で通常使用されるハンマー・ミルなどの高速回転する慣性質量の衝突、またはb.回転速度が比較的遅く、モータに加わるトルクが、力と、円錐形バー・グラインダ内または肉挽き機内などの、力が作用する場所までの電機子と、を掛け合わせた積である場合には、力のモーメント、またはc.回転速度が比較的遅く、モータ軸上の電機子が、力が作用している場所までの実際の距離よりも低い(短い)場合には、「部分的な」力のモーメント。
下記に詳細に説明するように、本発明は第3の選択肢に基づいている。
上述のように、ハンマー・ミルのような高速回転する慣性質量により力を加えると、油品質に悪影響を与える過熱を伴う。また、当然のことながら、速度およびトルクはモータ出力およびモータ・サイズに関連している。高出力の大きなモータは、スペースが限られている調理台用の家電機器にはふさわしくない。
本発明は、オリーブの種を砕くための低速、低トルクのプロセスを提供することを目的としている。低速プロセスは、オリーブ処理中に過熱することを防止する。オリーブ油処理の全体を通じて低い温度を保つことは、作られた油の品質および健康効果にとって重要である。さらに、低トルクおよび低速で選ぶと、家電向きの小型、軽量、エネルギー消費の小さいモータになる。また、低速であれば音も小さくなり、プロセス内の異なる段階において同じ回転速度を共有することもできる。
本発明の装置および方法は、第1段階の偏心破砕機により丸ごとのオリーブを押しつぶすことに基づいている。偏心破砕機は、円筒状のハウジングの中に偏心させて取り付けてあるドラムを含んでおり、ハウジングの長手方向軸のまわりの回転とともに、ドラムとハウジング側壁の間のすき間が変化するようになっている。ドラムとハウジングの間に閉じ込められたオリーブは、加えられた力が限界値に達するまで徐々に圧迫されて変形し、それらの種はハウジングの内壁にぶつかってドラムにより押しつぶされる。本発明によれば、ドラムは偏心スリーブなどの偏心手段上に取り付けてあり、この偏心手段は主軸に堅固に取り付けてあり、主軸とともに回転する。しかしながら、ドラム自体は偏心スリーブに堅固に固定されてはおらず、ドラム自身の中心のまわりに自由に回転できる。
図1は、本発明の偏心破砕機の動作を示す模式図である。ハウジングHの中心軸のまわりに回転する回転軸Sのまわりに、破砕ドラムDが、軸Sに堅固に連結された偏心部分Eを介して偏心させて取り付けてある。ハウジングHと破砕ドラムDとの中心長手方向軸が互いに平行である。ドラムとハウジングの間のすき間が、ハウジングの円周に沿った任意の点で、軸が回転する間に最小の「すき間」から最大の「すき間+2*e」までさまざまに変化し、ここでeは偏心量、すなわち、ハウジングとドラムの中心(それぞれ、左右の黒く塗った円で示す)の間の距離である。軸Sが回転すると、異なる種の大きさのオリーブ、例えば、O1、O2、O3などが、回転中心と偏心中心の間の軸に対して異なるアプローチ角度アルファ(α)でドラムDとハウジングHの間に閉じ込められ、偏心ドラムとハウジングとの間のすき間が減少するときに力を受ける。すき間が障害物(オリーブの種)よりも小さくなると、回転軸は、力と、偏心量eとcos(β)とを掛け合わせた大きさのモーメントを受け、ここでβ=α−90である((e*cosβ)は等価電機子である)。この手法のおかげで、駆動システムから必要とされるモーメントを低減できる。破砕ドラムがドラム自身の中心のまわりに自由に回転できるおかげで、摩擦力は回転軸には伝達されない。また、破砕が摩擦力および/または切断力/剥離力を通じて達成されるハンマー・ミルまたは円錐形グラインダとは異なり、本発明によれば、オリーブの種の破砕は、摩擦力ではなく、むしろ圧力により達成されることが理解される。
これに関連して、ドラムDと偏心部分Eの間の連結に応じて、およびドラムが偏心部分に堅固に連結されてはおらず、ドラム自身の中心のまわりに自由に回転できる場合には、ドラムが偏心部分Eの完全な円運動には従わない他の形態の破砕機が設計できることに注目すべきである。例えば、ドラムと偏心部分の間の連結は、長方形のスリット孔を用いてドラムを偏心部分に取り付けることなどにより、ドラムが線に沿って移動することだけしかできないように設計できる。同様に、ドラムと偏心部分の間の連結は、ドラムが任意の多角形の経路をたどることができるように設計できる。
本発明の特定の実施形態によれば、より小さいすき間を作り出すとともに、処理される材料を押しつぶしてより小さい断片にすることができるように、破砕ドラムが、異なる直径の数個の垂直部分、または流れの方向に寸法が大きくなるステップを含んでいてもよい。また、段階的な断面のドラムにより、異なる大きさのオリーブを閉じ込めることができる。それぞれのオリーブ品種が、異なる1個丸ごとの典型的全体寸法/平均全体寸法と、異なる典型的種寸法/平均種寸法とを有している。いくつかの段階を有する破砕ドラムが、破砕ドラムとハウジングの間の、最小のすき間よりも大きな断続的なすき間に種を閉じ込めたときにだけ、オリーブの種を割る。オリーブの種は、柔軟性を示さず、ちょうどその「限界圧力/応力」点を超えたところで破壊する。この段階で、種は、後続の混練段階にとって有利な鋭い縁端部を有するいくつかの任意の断片に砕ける。
あるいは、破砕機は、直径が大きくなる階段状に連続した一連の独立ドラムを含んでいてもよい。さらに、処理される材料とのよりよい摩擦/掴持を作り出すために、ドラム表面がザラザラしたまたは鋸歯状の表面で構成されていてもよい。
ここで図2〜図5と、図7とを参照すると、本発明の実施形態の破砕機/粉砕機組立体の全体を100で示している。組立体100は円筒状のハウジング10と、全体を50で示した偏心破砕機と、全体を80で示した最終粉砕機とを含んでいる。本明細書に示す実施形態によれば、組立体100が、偏心破砕機50の上流に設置してある上部(供給用)オーガ30と、偏心破砕機50と最終粉砕機80の間に設置してある下部オーガ70とをさらに含んでいる。しかしながら、本発明の他の実施形態によれば、破砕機/粉砕機組立体が上部オーガおよび/または下部オーガを含んでいない。
モータ(図示せず)に連結してある駆動軸15が、その軸のまわりに回転するハウジング10の中心長手方向軸に沿って延びている。組立体100は一般的な回転子固定子構造を有しており、軸15と、軸15上に取り付けてある部品とが回転子を構成し、他方、ハウジング10が固定子を構成している。
ハウジング10は上部開口部12を有しており、この上部開口部12を通して処理する予定のオリーブを供給する。図4bおよび図4cに最もよく示されているように、ハウジング10は、5つの異なる部分により区別され、詳細に後述するように、各部分はその部分において行われるプロセスに適合する特徴を引き継いでいる。ハウジング10は、単一の部分に統合したり、またはさらに分割したりすることができる数個の部品で構成してもよい。図4aおよび図4bは、スナップ式はめ込みまたは他の任意の好適な手段で連結するように構成された2つの円筒部品13および14で作られたハウジング10を示している。組立体を固定して、中央リング17を用いて軸15を支持するために、ハウジング10上に上端リング16を設置してある。下端部分14の下方部分には開口部65が設けてあり、この開口部65を通して、オリーブ・ペーストが、さらなる処理のために破砕機/粉砕機組立体を出ていく。
開口部12の下方に位置する上部オーガ30は、特定の体積速度および特定の所定の相対角度で偏心破砕機の中へオリーブを供給する働きをしており、この相対角度は破砕機の離心率に関連している。オーガは、ウォームポンプまたはねじポンプの一種である。さらに、オーガ30は、下流でのオリーブの圧縮を促進する。必要に応じて、オーガ30はオリーブを「特定の」寸法の「パッケージ」に変形させるが、「パッケージ」は、オリーブの果肉がゆがんだ要素となるように圧縮されている間、オリーブを変形させることができるという事実を指している。必要に応じて、オリーブの果肉を切り裂くのを促進するために、オーガはオーガの根元(図示せず)に鋭い刃を含んでいてもよい。オーガは、オリーブの果肉から種が部分的にまたは完全に現れるまで、オリーブを圧縮する。
上部オーガ30は、入り口開口部または断面積と、先頭の個数と、谷径および外径と、長手方向軸に沿ったピッチと、出口開口部または断面積と、内部のハウジング側壁上のリブ22の先頭の個数および歯形と、で特徴付けられる。パラメータの特定の集合を有するオーガは、オーガの形状、回転速度、およびオーガの周囲の流動様式の影響を受ける特定の体積特性を引き継いでいる。オーガの体積処理量は、オーガの幾何学的特性と、軸へのオーガの取り付け方法とに左右される。本発明の異なる実施形態によれば、オーガ30を軸15と連続的にまたは断続的に連結してもよい。オーガとモータとの連結および切り離しを断続的に行うことにより、供給流量を制御できる。断続的な連結は、軸とオーガの間に取り付けたクラッチを用いて達成できる。例えば、軸上にオーガを取り付けて、軸上の切欠き部と連結されるオーガ上の溝部を、バネを用いてオーガに取り付けてもよい。バネが動作長さになるとオーガは連結され、バネが縮むとオーガは切り離されて、オーガの溝部を軸の切欠き部から切り離すことができる。「供給過多」のせいでオーガ出口表面上に生じる圧力を、連結器を作動させるのに使用してもよく、このようにしてオーガ内で処理されるオリーブ量を制御して、オーガの質量速度を制御できる。
偏心破砕機50は、軸15の回転軸に対して偏心している偏心スリーブ52を介して軸15と連結してある破砕ドラム55を含んでいる。偏心量は0.5〜3mmの範囲内であることが好ましい。偏心スリーブ52と破砕ドラム54の間には軸受け部54が設置してあり(図3b参照)、ドラム55が、軸受け保護カバー56で守られたそれ自身の軸の周囲で自由に回転することを容易にしている。さらに、本発明の他の実施形態によれば、偏心手段が、軸上に一体で形成された偏心部分であってもよい。このような実施形態によれば、軸上に内部部品を組み立てた後に互いに取り付けられた2つの長手方向ハーフ部でハウジングを作ってもよい。
本明細書に示す実施形態によれば、破砕ドラム55が、上端部から下端部へと直径が大きくなる4個の垂直部分55a〜55dを含んでいる。しかしながら、本発明の他の実施形態によれば、破砕ドラムが1つの部分だけを含んでいてもよく、または任意の個数の垂直部分を含んでいてもよいことが容易に理解される。直径と高さの両方で特徴付けられるそれぞれの断面55a〜55dは互いに同心であり、ハウジングに対して、異なるすき間を形成する。処理される材料の掴持を向上させるために、破砕ドラム55が鋸歯状の表面を有していることが好ましい。
偏心破砕機を出て次の段階に進む粒子の最大サイズを規定することを目的として、オリフィス板59が偏心破砕機50の下端部に設置してある。オリフィス板59は、ハウジングとオリフィス板の間に所定の大きさのオリフィスを形成するような寸法となされており、破砕ドラム55とともに回転する。
押しつぶされたオリーブおよび種の最終粉砕機80への供給を制御するための下部オーガ70は、偏心破砕機50の下方に設置される。オーガ70に対する設計配慮は、望ましい体積速度および流量に関して上部オーガ30に関連して上述した設計配慮と同様である。材料を最終粉砕機80のせん断チャンバまで押し通すのに十分な供給圧力を上部オーガ30が生成する場合には、下部オーガ70は不必要である可能性があることが分かる。
最終粉砕機80は、オリーブの果肉およびオリーブの皮をさらに処理して、混練により適した、または準備ができたものにするために、加圧されたせん断チャンバ10d(図4B参照)を含み、オリーブの種の砕かれた断片のさらなる破壊を引き起こしてもよい。最終的なオリーブ・ペースト内の種の断片は1〜3mmの範囲内の寸法であることが好ましい。
加圧されたせん断チャンバ10dは下部オーガ70と多孔板90の間に形成され、回転軸15と連結された歯またはブレード85の回転する集合を含んでいる。多孔板90は、スリット孔または穴92の配列が設けてある金属板である。加圧された媒体は、せん断チャンバに移動して、オーガ70により圧力を加えられ、他方、回転する歯/ブレード85は、圧縮されたオリーブ・ペーストをさらに剪断する/粉砕する。多孔板90は、スリット孔92を通って出ていく粉砕されたオリーブに対して、さらなるせん断効果を及ぼす。せん断回転歯/ブレード85は、それらの個数と、ブレードの断面と、せん断回転歯/ブレードが占有する体積と加圧されたチャンバの体積との比率と、多孔板90の上方の距離と、で特徴付けられる。動作音を小さくするために、多孔板90の上方の所定の距離94(図7参照)の位置に歯/ブレード85を設置することが好ましい。しかしながら、ブレード85は、多孔板90と直接接触する形で設置してもよい。このような「肉挽き機」構造では、スリット孔92と、回転する歯85の間の媒体上にせん断が生じる。多孔板90は、開口面積/非開口面積の比率(網目)と、開口部の形状と、その厚さと、で特徴付けられる。下部の網目と、より厚い多孔板とが、圧力を高めて、流量を低減することになる、多孔板を通り抜ける流れ抵抗の増加を引き起こすことになり、逆もまた同様であることが理解される。多孔板90の特性、および歯/ブレード85の特性は、設計する装置の幾何学的制限および電力制限の影響を受ける、最終製品の望ましい構造と望ましい生産速度とに基づいて選択される。
多孔板90の下方に位置し、凹形表面を有する放射状方向転換カップ60(図7で最もよく分かる)が、加圧されたせん断チャンバを出て多孔板90を通り抜けた処理済み材料を受け取り、処理済み材料を半径方向に変えて、開口部65を通ってハウジング10を出るようにする。
本発明の特定の実施形態によれば、軸と連結するすべての円形要素/回転要素を、上部オーガ30と、偏心部分54(破砕ドラム55ではない)と、スリット・プレートと、下部オーガ70と、を有する軸15を含む1つのバルク・モジュールまたは「複合」軸に分類してもよい。これにより、代わりに、より堅固で、容易に大量生産される製品が得られるとともに、分解、洗浄、および保守を容易にする。これに関連して、破砕ドラムを組み立てる1つの方法は、ドラムを、「複合」軸上に組み立てることができる2つの対称的な要素に分割することによる方法である。
上述のように、ハウジング10は、5つの異なる部分を含み、これらの部分のそれぞれは、その部分において行われるプロセスに適合する特徴を含んでいる。ここで再び図4bおよび図4cを参照すると、リング16の下方には、上部オーガ30を収容できる最上部10aがある。この部分では、ハウジング10の内壁に、らせん状に湾曲したリブ22の集合が設けてあり、このリブ22は内周の周囲に均等に配置されており、上部オーガ30のらせん形状に適合している。この下方には、破砕ドラム55が軸15に取り付けてある偏心破砕機チャンバ10bがある。この部分では、ハウジングの内表面に、その部分に沿って縦方向に刻み目を入れて、表面粗さ/摩擦を高めて、垂直リブ24の集合を形成するようになっている。さらに、本発明の他の実施形態によれば、垂直リブを、ハウジング円周の周囲に均等に配置されたらせん状リブの集合に置き換えることができる。偏心破砕機チャンバの下方に隣接して、下部オーガ70を収容するハウジング部分10cがある。この部分では、ハウジング10の内壁に、らせん状に湾曲したリブ26の集合が設けてあり、このリブ26は内周の周囲に均等に配置されており、下部オーガ70のらせん形状に適合している。リブ26はさらに下向きに延びて、下方に隣接して位置している最終粉砕機80の加圧されたせん断チャンバ10dの中まで続いていてもよい。リング18(図3Bに示す)を用いてハウジングに取り付けてある多孔板90が、加圧されたせん断チャンバ10dの下端部を形成している。加圧されたせん断チャンバは、その高さまたは体積で特徴付けられる。最後に、ハウジング10の最下部10eが、それを通って処理済み材料が組立体100を出ていく開口部65を含んでいる。
破砕機/粉砕機組立体100のすべての部品が、非腐食性で、食物と相性がよい材料、好ましくはステンレス鋼などの金属で作られていることが好ましい。軸15の回転速度は、望ましい生産量および処理速度に依存している。軸15の回転速度は、50〜1000rpmの範囲内であることが好ましい。家電機器では、回転速度は50〜250rpmの範囲内であることが好ましい。中規模生産および大規模生産では、回転速度は最高1000rpm、またはさらに高い速度であってもよく、それでも依然として、同じ生産量のハンマー・ミルの速度に比べれば大幅に低い。
図5は、その上に破砕機/粉砕機100を取り付ける駆動軸ハウジング110の部品を示しており、これにより、駆動軸15とモータ軸とが連結できるようになる。駆動軸ハウジング110は、連結器114を受け入れるように構成された基礎部112と、その中を通って連結器114の上部が上方に延びる開口部115を有するカバー116と、補強用固定リング118とを含んでいる。連結器114の上端部114aが軸15の端部15aを受け入れ、他方、下端部114bがモータ軸につながる。放射状方向転換カップ60の下端部を形成するハウジング10の下端部を、カバー116がしっかりと閉じる。
動作について見ると、オリーブは、丸ごとのオリーブが入る断面積の大きさで特徴付けられる上部オーガ30の回転入り口に面した上部リング16の上部ポートに入る。オーガ30は、オリーブを下方に移動させる。また、オーガの固有のパラメータのせいで、オーガを出るとき、「A」型のオリーブは変形するが、他方、「B」型のオリーブは必ずしも変形を受けない。オリーブの変形は、オリーブの型と、出口ポートまたはオーガの断面積との関係に依存しており、「型」はオリーブの幾何学的比率だけを指している。上部オーガの出口ポートは、偏心破砕機に対して特定の角度位置に設置してあり、この特定の角度位置を、以下「導入段階」と呼ぶ。
次に、偏心破砕機チャンバ10bにオリーブを導入する。破砕ドラム55は、ドラムの高さに沿って配置され、直径が大きくなる4個の垂直部分61〜64で特徴付けられ、これらの垂直部分のそれぞれは、各すき間により形成され、垂直部分の高さによりさらに特徴付けられる。異なるすき間は、単一の破砕ドラム上で、変形および破砕パラメータを階段状に連続させることを可能にする。導入段階においてオリーブを偏心破砕機チャンバ10bに導入し、オーガ出口ポートの寸法は、最も大きいオリーブ品種の平均の種寸法よりもわずかに大きいすき間に対応している。オリーブの果肉および種は、導入段階において、回転する破砕ドラム55と、ハウジング10の間に押されたり、または落ちたりする。軸15が回転するにつれて、すき間がより小さくなり、その結果としてオリーブがさらに変形する。いったんオリーブが変形すると、オリーブの寸法がより小さくなるため、次の破砕機垂直部分に進む。オリーブは、種が「破砕」ギャップに挟まれるところまで、破砕ドラムに関して下向きに進む。種が割れる時点まで、40kg〜10kgの力(異なるオリーブ品種と関連するオリーブの種寸法に応じて)を種に加える。また、油っぽい媒体および湿った媒体が破砕ドラム55の外表面上の刻み目と、ハウジング10の内壁の間に詰まって、押しつぶされる。オリフィス板59は、特定の大きさの処理済み媒体だけが、それを通り抜けることができるため、オリーブが押しつぶされ、割られることなしに破砕ドラムを単に素通りするだけになることを防ぐ。
下部オーガ70は、オリフィス板59から出てくる処理済み媒体を受け取る。主軸に連結されると、下部オーガはねじポンプのような働きをして、処理済みオリーブに圧力をかけて、せん断板90に押しつける。らせん歯または集合歯(2つ以上の先頭部分)を組み込んだオーガは、リブの対応するハウジング集合といっしょになって、回転するせん断歯/ブレード85を通じて処理済みオリーブを変形させる。
せん断歯を軸に連結して、加圧されたチャンバの中に置かれた圧縮されたオリーブ・ペーストを切り開く。せん断歯85は、下部オーガ70とせん断板90の間に設置して、どちらにも接触せず、両者の間に浮かぶ形にすることが好ましい。圧力が上昇して、せん断が起こる間に、スリット孔92よりも小さい処理済み媒体が、圧縮されたチャンバを出て、放射状方向転換カップ60の方へ移動し、この放射状方向転換カップ60は処理済み材料の流れを半径方向に変えて、開口部65を通るようにする。大きな種の断片は、せん断および圧力を受けて、より小さい断片に割り砕かれて、ようやく、せん断板から出ていくようになっている。
本発明の破砕機/粉砕機組立体は、丸ごとのオリーブからオリーブ・ペーストを作るためのスタンドアロン型装置である可能性があることが理解される。開口部65を通って排出されたオリーブ・ペーストは、その後、油を抽出するために、任意の既知の技術および/または装置を用いて、さらに処理できる。さらに、本発明のいくつかの実施形態によれば、例えば、特許文献1に記載の油抽出装置などの調理台用のオリーブ油抽出装置に破砕機/粉砕機組立体を組み込むことができる。
今ここで、図6〜図8を参照しながら、調理台用のオリーブ油抽出装置の他の実施形態について説明するが、この他の実施形態によれば、破砕機/粉砕機組立体100を混練ボウルの中に同軸に設置することにより、オリーブ・ペーストをさらに処理して油を抽出するために、組立体100から出るオリーブ・ペーストが混練ボウルに直接流れ込むようになっている。この実施形態によれば、同じモータが破砕/粉砕段階と混練段階の両方を駆動している。さらに、この実施形態によれば、組立体100が、円筒形の液体/固形物分離用網目スリーブ120の中に同軸に格納されており、この網目スリーブ120は、液体は通すが、固形物は通れずにせき止められるようにほぼ完全に構成されたフィルタである。このフィルタは、ステンレス鋼、ポリマー・メッシュ、または他の任意の、食物と相性がよい材料から作られていてもよい。
図6を参照すると、スリーブ120は、上下のフィルタ網目部分123および124のそれぞれの骨組みを作っている円筒形フレーム122を含んでいる。フレーム122は、網目123と網目124の間に、開口部125が設けてある中実部分126を含んでいる。開口部125は、ハウジング10の開口部65と実質的に同じ寸法であり、スリーブ120の中にハウジング10を設置したときに、開口部125が開口部65にぴったり合い、ハウジング10から出たオリーブ・ペーストが混練ボウルに入ることができるように設計されている。スリーブ120は、ハウジング10から所定の距離だけ離れており(図7参照)、それによりハウジング10の周囲に環状スペース128を形成しており、この環状スペース128の中に、混練ボウル内のオリーブ・ペーストから抽出された液体がフィルタ網目123および124を通って入ってくる。環状スペース128は開口部65、125の周囲で途切れており、これらの開口部65、125は、それらの開口部を通って出ていくオリーブ・ペーストと、環状スペース128を満たしている液体との間を分離するために、互いに密閉されている。
図8は、本発明の新規な破砕機/粉砕機組立体を含むオリーブ油抽出装置の実施形態の模式図である。全体を200で示す油抽出装置が、モータ212、ギヤボックス214、および液体容器216を含む本体ケース210と、破砕機/粉砕機組立体100(詳細は図8に示さず)を含む上部220と、混練ボウル230と同軸に設置してある液体/固形物分離用網目スリーブ120とを含んでいる。油抽出装置200は、下部の出口を通して破砕機/粉砕機組立体100にオリーブを流し込むための蓋なしホッパー240をさらに含み、この下部の出口は、上部供給オーガに通じていたり、または直接、偏心破砕機チャンバに通じていたりする(両方とも図示せず)。図5の駆動軸ハウジング110を用いてモータ212の軸に連結してある軸215(破線で示す)が、破砕機/粉砕機組立体100の中を通って上方に延びている。2つ以上の混練パドル235が軸215の上端部に取り付けてあり、軸215の上端部から下向きに混練ボウル230の中に垂れ下がっている。本明細書に示す実施形態によれば、混練パドル235が、補強リブ233を有する閉ループとして形成されている。しかしながら、他の形のパドルも可能であることが容易に理解される。破砕機/粉砕機組立体100から出たペーストは、混練ボウル230に入り、そこで、混練パドル235を用いて混練を受ける。ペーストから分離された液体は、フィルタ123および124を通り抜け/漏れ出して、ハウジング10(破線で示す)とスリーブ120の間の環状スペース128の中に入り、駆動軸ハウジング110の基礎部に位置する液体排出路150の方へ下向きに排出されて、油容器216に集められる。本明細書に示す実施形態では、軸215が、破砕/粉砕機構と混練機構とを、両方とも駆動している。通常、混練は、破砕/粉砕プロセスよりも低い回転速度で実行される。したがって、混練パドル235は、パドルの回転速度を好ましくは約10〜150rpmまで減速する減速ギヤ(図示せず)を介して軸215と連結することが好ましい。
本発明は、本明細書で詳しく図示して上述した内容には限定されないということが当業者には明らかである。もっと正確に言えば、本発明の範囲は、以下のクレームによってのみ規定される。