JP2014523860A - シクロヘキサンのエポキシ化方法 - Google Patents

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Abstract

シクロヘキサンの酸化方法であって、接触による酸化反応条件下、シクロヘキサンと、過酸化水素水溶液と、選択的な有機溶媒とを、反応ゾーンの供給口を通して当該反応ゾーンに供給する工程と、当該反応ゾーンの底部に酸化生成物のすべてまたは大半が提供される工程とを含み、上記反応ゾーン内の充填物の一部またはすべてがチタニウム珪酸塩分子篩含有触媒である。本発明のシクロヘキサンの酸化方法は反応ゾーン内で酸化を行うが、当該反応ゾーンは第一に、反応で生じた潜熱を十分に用いてエネルギーを節約し、第二に、目標生成物の収率と酸化剤の利用率を高め、第三に、反応が進むにつれて、酸化生成物を原料であるシクロヘキサンから分離することができ、その結果、その後の分離の費用を節約することができる。

Description

発明の詳細な説明
〔技術分野〕
本発明は、オレフィンをエポキシ化する方法に関する。
〔背景技術〕
シクロヘキサノンとシクロヘキサノールは、重要な工業化学物質として、繊維、合成ゴム、工業用塗料、医薬、農薬、有機溶媒などの分野で広く用いられている。ポリアミド工業の急速な発達とともに、シクロヘキサノンとシクロヘキサノール(これらはナイロン6とナイロン66を製造する際の中間体として用いられる)の需要の全体量は二百万トンを超えている。
このような需要に際して、当業者は、シクロヘキサノン(シクロヘキサノール)を高効率かつ公害を生ずることなしに生産する方法の開発に取り組んでいる。過酸化水素を酸化剤として、チタニウム珪酸塩分子篩を触媒として用いてシクロヘキサンを酸化させてシクロヘキサノン(シクロヘキサノール)を調製すれば、環境に優しい化学の要件とアトムエコノミーという発達中の概念を満たすので、シクロヘキサンの製造に大いに期待できる環境に優しい新技術であると当業者は考えている。
シクロヘキサンの酸化をチタニウム珪酸塩分子篩で触媒する反応は、多数の因子に影響される。そうした因子としては、チタニウム珪酸塩分子篩それ自体の諸性質、酸化剤である過酸化水素(H22)の諸性質、溶媒の選択、反応条件(例えば、温度、供給率、反応圧力等)などが挙げられる。シクロヘキサン酸化方法においてシクロヘキサノンに対する選択性を高めるために、当業者は、より効果的なチタニウム珪酸塩分子篩触媒の開発や、上記の目的を達成する方法での反応条件を最適化することに主に重点を置いている。
シクロヘキサンの酸化をチタニウム珪酸塩分子篩で触媒する反応については、現在、さまざまな研究が行われているが、その大半は研究所レベルに留まっており、連続的な工業生産には至っていない。現在行われている諸方法には、装置に対してこまごまとした要件があることや、エネルギー消費が大きく収率が低いことなどの欠点がある。
したがって、チタニウム珪酸塩分子篩・H22システムによるシクロヘキサンの酸化反応に関する研究は、シクロヘキサンの酸化をチタニウム珪酸塩分子篩で触媒する反応を、商業的な連続生産に利用可能なかたちで行う方法をいかに開発するかという方向に主に注力している。
〔発明の概要〕
本発明の目的は、工業用途に利用可能な、シクロヘキサンの連続的な酸化方法を提供することである。
現在、チタニウム珪酸塩分子篩・H22システムを用いたシクロヘキサンの酸化反応には、溶媒の使用が不可欠である。適切な溶媒を添加することで効果的な反応が行われ、目標とする生成物に対する選択性を高めることができる。しかしながら、現在行われている研究によると、チタニウム珪酸塩分子篩・H22システムを用いたシクロヘキサンの酸化反応において、溶媒の一般的な使用量は、反応液の全重量に対し、約30重量%から約90重量%である。そのため、溶媒の添加により効果的な反応が行われるが、添加量が増えると、その後、溶媒を分離する際の困難さと費用とが増し、その結果、溶媒を工業用途に用いる可能性は低下する。そのうえ、この反応は激しく発熱するので、反応を冷却するのにエネルギーが消費され、一方で、目標の生成物を分離するのに加熱用のエネルギーが消費される。それゆえ、必要なエネルギー消費をいかに抑えるか、上記システムから発せられる熱をいかに効果的に用いるかということも、解決すべき課題であり、現在、研究されている課題である。
本願の発明者らは、上記反応を連続的に行い、より効果的な分離を行うことができ、さらに上記システムからの反応熱を用いてエネルギー消費を抑えることができる方法を提供する。本発明は、そのような考えに基づいて実現されたものである。
上記の目的を達成するために、本発明は、シクロヘキサンの酸化方法であって、接触による酸化反応条件下、シクロヘキサンと、過酸化水素水溶液と、選択的な有機溶媒とを、反応ゾーン(reaction zone)の供給口を通して当該反応ゾーンに供給する工程と、当該反応ゾーンの底部に酸化生成物のすべてまたは大半が提供される工程と、未反応のシクロヘキサンと水の一部を反応ゾーンの上部から排出する工程とを含む、シクロヘキサンの酸化方法を提供する。一つの実施形態では、シクロヘキサンと水とは、好ましくは共沸混合物のかたちで、反応ゾーンの上部から排出される。上記反応ゾーン内の充填物(packing)の一部またはすべてが、チタニウム珪酸塩分子篩を含む触媒である。一つの実施形態では、酸化生成物はシクロヘキサノンおよび/またはシクロヘキサノールを含んでいるか、あるいはシクロヘキサノンおよび/またはシクロヘキサノールからなる群から選ばれる。
本発明に係るシクロヘキサンの酸化方法は、(調整条件下、)反応ゾーン内で酸化を行うが、当該反応ゾーンは、反応で生じた潜熱を十分に用いてエネルギーを節約する。さらに、本発明では、上記反応ゾーンでシクロヘキサンの酸化反応を行うことで、反応が進むにつれて、酸化生成物を原料であるシクロヘキサンから分離することができ、その結果、その後の分離の費用を節約することができる。さらに、システム内で生成物を分離することで、上記反応を正方向に向け、目標生成物の収率と酸化剤の利用率とを高める。
〔図面の簡単な説明〕
図1は、本発明に係る、シクロヘキサンの酸化方法を行う装置を例示する図である。
〔発明を実施するための形態〕
本発明は、シクロヘキサンの酸化方法であって、接触による酸化反応条件下、シクロヘキサンと、過酸化水素水溶液と、選択的な有機溶媒とを、反応ゾーンの供給口を通して当該反応ゾーンに供給する工程と、当該反応ゾーンの底部に酸化生成物のすべてまたは大半が提供される工程とを含み、上記反応ゾーン内の充填物の一部またはすべてがチタニウム珪酸塩分子篩含有触媒である方法を提供する。
本発明は、シクロヘキサンと、過酸化水素水溶液と、選択的な有機溶媒とを、接触用供給口を通して反応ゾーンに供給する方法に関して特に限定されない。しかしながら、上記反応をできる限り早く完了させるように反応ゾーン内で反応剤同士をより十分に接触させるためには、シクロヘキサンと、過酸化水素水溶液と、選択的な有機溶媒とを、供給口を通して反応ゾーンに供給する方法が、上記過酸化水素水溶液と選択的な上記有機溶媒とを第一の供給口を通して上記反応ゾーンに供給する工程と、上記シクロヘキサンを第二の供給口を通して上記反応ゾーンに供給する工程とを含むことが好ましい。本発明の方法では、上記第一の供給口とカラム底部との間の段数(plate number)または理論段数(theoretical plate number)は、上記反応ゾーンの全段数あるいは全理論段数の約50%から約100%であり、より好ましくは約80%から約100%である。上記第二の供給口とカラム底部との間の段数または理論段数は、上記反応ゾーンの全段数あるいは全理論段数の約10%から約80%であり、より好ましくは約30%から約70%である。
本発明は、上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒に関して特に限定されず、上記反応ゾーンに有用なさまざまなかたちのチタニウム珪酸塩分子篩触媒であってよい。好ましくは、上記チタニウム珪酸塩分子篩含有触媒はキャリアとチタニウム珪酸塩分子篩とを含む。当該触媒の全重量に対する当該キャリアの使用量は約1から約90重量%、当該チタニウム珪酸塩分子篩の使用量は約10から約99重量%である。
本発明は、上記チタニウム珪酸塩分子篩含有触媒のキャリアに関して特に限定されず、成形触媒に用いるさまざまな従来のキャリア、例えば耐熱性多孔無機酸化物および/または珪酸塩、とりわけ、アルミナ、シリカ、チタニア、マグネシア、ジルコニア、トリア、べリリア、粘土のうちの一つまたは複数であってよい。より好ましくは、上記キャリアは、アルミナ、シリカ、マグネシア、ジルコニアのうちの一つまたは複数である。
本発明によれば、上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒を成形する方法は、従来技術で知られている技術を用いて行ってもよく、パルプ化、細粒化、焼成などの工程を主に含み、これらの工程に関して本発明は特に限定されない。
上記した触媒はすべて、本発明の要件を満たしうる。しかしながら、上記反応ゾーン内の層が崩壊する傾向や、上記触媒が摩耗したり壊れたりする傾向などの現象を克服するために、また、目標とする生成物に対する選択性と収率とを高めるために、上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒は微小球型であることが好ましく、その直径は約2から約5000ミクロン、好ましくは約5から約2000ミクロンである。より好ましくは、上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒は、有機珪素化合物と、上記チタニウム珪酸塩分子篩を生成するために有用なテンプレート剤とを、加水分解条件下で加水分解してコロイド状溶液を得る工程と、その後、上記チタニウム珪酸塩分子篩と上記コロイド状溶液とを均質に混合して懸濁液を得る工程と、当該懸濁液を細粒化して微小球型の触媒を得る工程とを含む方法によって調製される。
上記した調製方法に従って得られた触媒ならばどれでも、本発明の目的を達成するのに用いることができる。しかしながら、上記触媒に破損に対するより高い耐性を持たせたり、上記生成物に対する選択性と収率とを高めたりするためには、上記チタニウム珪酸塩分子篩と、上記有機珪素化合物と、上記チタニウム珪酸塩分子篩を生成するのに有用な上記テンプレート剤と、水との質量比を、約100:約10から約2000:約2から約40:約50から約1000、好ましくは、約100:約100から約500:約5から約40:約50から約500とすればよい。上記加水分解条件は、約0.5から約10時間の加水分解時間と、室温から約100℃までの加水分解温度とを含むものであることがより好ましい。
本発明によれば、上記有機珪素化合物は、さまざまな加水分解性有機珪素化合物、例えば、テトラエチル・シリケート、テトラメチル・シリケート、テトラプロピル・シリケート、テトラブチル・シリケートのうちの一つまたは複数であってよく、好ましくはテトラエチル・シリケートである。
本発明によれば、上記チタニウム珪酸塩分子篩を生成するのに有用な上記テンプレート剤は、従来技術にある、上記チタニウム珪酸塩分子篩を生成するのに有用な従来のさまざまなテンプレート剤であってよく、例えば、水酸化テトラプロピル・アンモニウム、臭化テトラプロピル・アンモニウム、塩化テトラプロピル・アンモニウム、および/または水酸化テトラエチル・アンモニウムなどである。
本発明によれば、上記チタニウム珪酸塩分子篩を製造するのに有用な上記テンプレート剤は水酸化テトラプロピル・アンモニウムであり、上記有機珪素化合物はテトラエチル・シリケートであることが特に好ましく、これによって、得られる分子篩が本発明に特に有用となる。
例えば、本発明に係る上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒を調製する方法は、好ましくは、
(1)大気圧および室温から約100℃までの温度という条件下、有機珪素化合物を水溶液に添加して、約0.5から約10時間、混合し、撹拌し、加水分解し、コロイド状溶液を得る工程と、
(2)チタニウム珪酸塩分子篩を、上記工程(1)で得られた上記コロイド状溶液に添加し、均質に混合して懸濁液を得る工程であって、上記チタニウム珪酸塩分子篩と、上記有機珪素化合物と、上記チタニウム珪酸塩分子篩を生成するのに有用な上記テンプレート剤と、水との質量比が、約100:約10から約2000:約2から約40:約50から約1000である工程と、
(3)上記懸濁液を一定期間(概して、約0.5から約5時間)連続してかき混ぜた後、従来の噴霧式細粒化(spray granulation)またはボーリング式細粒化(balling granulation)を行い、続いて焼成を行って、微小球型の触媒を得る工程と、を含む。
本発明に係る焼成の条件は、当業者に知られている従来の焼成条件であってよく、約350から約600℃の温度で、大気圧下、約0.5から約12時間、焼成することを概して含む。
本発明の発明者らは、研究中に、以下のような予期せぬ発見をした。すなわち、本発明の方法によれば、上記の方法に従ってチタニウム珪酸塩分子篩触媒を調製すると、過酸化水素の酸化剤としての有効利用率をさらに大きく高めることができることである。
本発明によれば、上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒中のチタニウム珪酸塩分子篩は、従来のチタニウム珪酸塩分子篩であってよい。当該チタニウム珪酸塩分子篩は修飾してもしなくてもよく、好ましくは、MFI構造(例:TS−1)を有するチタニウム珪酸塩分子篩、MEL構造(例:TS−2)を有するチタニウム珪酸塩分子篩、BEA構造(例:Ti−β)を有するチタニウム珪酸塩分子篩のうちの少なくとも一つである。より好ましくは、チタニウム珪酸塩分子篩は、xTiO2・SiO2の構造式を有し、式中、xは約0.0001から約0.04、好ましくは約0.01から約0.03、さらに好ましくは約0.015から約0.025である。
本発明によれば、チタニウム珪酸塩分子篩は、市販のものであってもよいし、あるいは調製したものでもよい。チタニウム珪酸塩分子篩を調製する方法は、当業者に知られている。例えば、チタニウム珪酸塩分子篩は、Journal of Natural Gas Chemistry 2001, 10(4): 295-307に記載の方法を参照して調製できる。あるいは、CN 101279959 Aに開示された触媒を調製する方法を参照して調製できる。
上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒中のチタニウム珪酸塩分子篩はMFI構造を有し、当該チタニウム珪酸塩分子篩の結晶粒子は中空構造を有することがより好ましい。中空構造の空洞部分は、半径長さが約5から約300nmである。25℃、P/P0=0.10、吸着時間が1時間という条件下で測定した上記チタニウム珪酸塩分子篩に対するベンゼンの吸着力は、少なくとも70mg/gである。分子篩の低温時の窒素吸着における吸着等温線と脱着等温線との間にはヒステリシスループがある。上記の構造と性質を有するチタニウム珪酸塩分子篩は、一般に、中空チタニウム珪酸塩分子篩と呼ばれ、関連するパラメータと、当該中空チタニウム珪酸塩分子篩の調製方法については、CN 1301599 Aを参照することができる。
本発明によれば、充填物に含まれるチタニウム珪酸塩分子篩触媒の量の範囲は、広範囲にわたってよい。しかしながら、触媒の量が多すぎると反応があまりに急速になり、そのため、その後の分離が困難になることがある。一方、触媒の量が少なすぎると反応があまりに遅くなり、商業ベースの工業化には不向きなものとなることがある。したがって、充填物は、チタニウム珪酸塩分子篩触媒を約30から約100重量%含んでいることが好ましく、約30から約70重量%含んでいることがさらに好ましい。
本発明に係る上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒を含む充填物は、従来の充填物と上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒とを均質に混合することで得られる混合充填物であることが好ましい。本発明では、上記従来の充填物は、反応ゾーンで一般的に用いられるさまざまな従来の充填物であってよく、例えば、ラシヒリング、ポールリング、カスケードリング、ベルルサドル、インタロックスサドル、金属インタロックスサドルのうちの一つまたは複数であり、具体的には例えば、θリング充填物、βリング充填物などである。
チタニウム珪酸塩分子篩/H22の触媒酸化システムにおいて、溶媒の主な作用は、反応液が均質相になるのを促進することである。この原則に従い、当該溶媒は、立体障害が大きすぎるものは避けるべきであり、そうすれば効果的な反応を行うことができる。当該溶媒の選択に関しては、当業者ならば上記の原則に従って行うことができる。一般的に、有機溶媒を用いることができる。しかしながら、上記溶媒の選択は、上記の要件によってのみ制約されるものではなく、具体的な酸化反応システムに応じて行われるべきものである。本発明の発明者は、シクロヘキサンを酸化するシステムでは、上記の要件を満たす溶媒システムならば何でも、シクロヘキサンを目標の生成物へと、比較的よい結果でもって変換することができるが、それでもシクロヘキサンの変換および目標の生成物の収率は、なおも制限されていることを見出した。本発明の発明者はまた、溶媒として、アルコール、ケトン、ニトリルのうちの一つまたは複数、より好ましくはC1−C8アルコール溶媒、C3−C8ケトン溶媒、C2−C8ニトリル溶媒のうちの一つまたは複数、さらに好ましくはC1−C6アルコール溶媒、C3−C6ケトン溶媒、C2−C7ニトリル溶媒のうちの一つまたは複数を用いることで、よりよい反応結果が得られることを見出した。とりわけ、上記アルコールは、有機アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノール、イソブタノールなどのうちの一つまたは複数でありうる。上記ケトンは、有機ケトン溶媒、例えば、アセトン、ブタノンなどのうちの一つまたは複数でありうる。上記ニトリル溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、シアン化ベンジルなどのうちの一つまたは複数でありうる。より好ましくは、上記溶媒は、アセトン、メタノール、シアン化ベンジル、tert−ブタノールのうちの一つまたは複数である。上記溶媒は、シクロヘキサノンおよび/またはシクロヘキサノールなどの目標生成物とともに反応ゾーンの底部から排出することができるようなものが選ばれる。
さらに、一つの実施形態では、上記の従来の有機溶媒が用いられない。代わりに、一つの好ましい実施形態では、水が溶媒として用いられる。溶媒として用いられる水は、例えば、原料として加えられた過酸化水素水溶液に含まれるもの、および/または別途添加された水、および/または反応で生成された水である。
本発明は、本発明の目的が達成される限りは、酸化反応条件に関して特に限定されない。好ましくは、酸化反応条件には、温度が約40から約200℃、好ましくは約60から約180℃であることと、還流比が約2:1以上、好ましくは約4:1以上であることとが含まれる。
本発明によれば、反応ゾーン内の反応温度は、熱媒体によって与えられる。本技術分野の従来の知識に従えば、当業者ならば、本発明に関して、好ましい熱媒体はシクロヘキサンまたは酸化反応中に特に用いられる溶媒だとごく容易に理解できるであろう。上記反応用の熱媒体を具体的に選ぶにあたっては、具体的な熱媒体として用いられる溶媒またはシクロヘキサンは、一般に、用いられる溶媒と酸化生成物との沸点の差と、シクロヘキサンと酸化生成物との沸点の差とを比較することによって決められる。例えば、アセトンが溶媒として用いられる場合、アセトンと酸化生成物との沸点の差は、シクロヘキサンと酸化生成物との沸点の差よりもはるかに大きいので、その後の分離を容易にするためには、アセトン溶媒を熱媒体として選ぶほうが、シクロヘキサンを熱媒体として選ぶより明らかによい。もちろん、沸点の差は、いくつもある選択基準の一つに過ぎず、特定の工業工程においては、特定の要件に従って選択が行われる。
本発明によれば、反応ゾーンの底部は、酸化生成物のすべてまたは大半に加えて、熱媒体、溶媒、および/または他の物質を含むことができる。このことは、当業者ならば、技術常識に基づいて容易に理解できるので、ここではこれ以上詳細には論じない。
本発明は、反応ゾーン内の全段数あるいは全理論段数に関して特に限定されないが、好ましくは20から45、より好ましくは30から40である。
本発明は、シクロヘキサンと、過酸化水素と、選択的に加えられる有機溶媒との質量比に関して特に限定されない。一般的に、上記質量比は、触媒を用いてシクロヘキサンを酸化する、チタニウム珪酸塩分子篩を用いた従来のシステム内のさまざまな物質間の比を参照して選択することができ、当該質量比は、所望の目標生成物と達成すべき技術目的とに応じて、さらに修正することができる。好ましくは、有機溶媒を用いる場合、仕込まれるシクロヘキサンと、過酸化水素と、有機溶媒との質量比は、約1:約0.01から約10:約0.5から約50、好ましくは約1:約0.03から約2:約3から約15である。
本発明は、過酸化水素水溶液の濃度に関して特に限定されないが、当該過酸化水素水溶液は、過酸化水素が約20から約80重量%、例えば、約27.5重量%、約30重量%、あるいは約50重量%の濃度の市販の過酸化水素水溶液であってよい。しかしながら、水の添加は上記反応に悪影響を及ぼす可能性があるので、過酸化水素の質量濃度ができるだけ高い過酸化水素水溶液を用いることが好ましい。市販の過酸化水素水溶液の大半は、濃度が27.5重量%または50重量%であり、したがって、本発明は、これら二種の過酸化水素水溶液を用いることによっても、一般的に実施して達成することができる。一つの実施形態では、過酸化水素水溶液に含まれる水は溶媒として用いることができる。
その後の分離工程を簡略化し、装置のエネルギー消費を減らすため、反応中は、原料をできる限り完全に反応ゾーン内で反応させ、後で原料の過酸化水素を分離しなくてもよいようにすることが好ましい。したがって、シクロヘキサンと過酸化水素との比率は、約1:約1から約2であることがとりわけ好ましい。
本発明では、チタニウム珪酸塩分子篩含有触媒の充填層(packing bed)が反応ゾーン内で崩壊するのを妨げ、生成物の収率をより高めるために、実際の反応工程では、具体的な状況に応じて、反応ゾーンを多数のステージに分割してもよい。各ステージは従来の充填物を直接用いて互いに分離され、ステージ間の充填物の厚さは、反応ゾーンの分離された各ステージの高さに従って選択しうる。当該厚さは、一般的に、約5から約20cm、好ましくは約8から約15cmである。
本発明はまた、上記の方法を実行できる装置を提供する(図1参照)。本発明に係る上記装置の各部および当該装置で実行される本発明に係る上記方法は、以下のように説明できる。すなわち、過酸化水素が、貯蔵槽1から、反応ゾーンの上部Iを通って反応ゾーンへ供給される。溶媒を用いる場合は、溶媒は溶媒貯蔵槽3から上部Iおよび/または底部IIIを通って反応ゾーンへと供給される。シクロヘキサン供給流8は、シクロヘキサン貯蔵槽2および/または直接の還流から、反応ゾーンの底部IIIを通って当該反応ゾーンへと供給される。シクロヘキサンと過酸化水素の酸化剤との酸化反応は、触媒の影響下(反応ゾーンの中部II)で行われ、未反応のシクロヘキサンの部分が反応ゾーンから反応ゾーンの上部を通って取り除かれる。一つの実施形態では、未反応のシクロヘキサンの部分は反応ゾーンから反応ゾーンの上部を通って水の一部とともに共沸混合物のかたちで取り除かれ、上部蒸気7となる。上部蒸気7は、シクロヘキサンと水とを分離するため、分離槽4へと供給され、分離されたシクロヘキサン流9がシクロヘキサン貯蔵槽2に供給される。あるいは、分離されたシクロヘキサン流9は反応ゾーンの底部IIIに直接還流し、そして/または当該シクロヘキサン流9はシクロヘキサン貯蔵槽2からのシクロヘキサンとともに、シクロヘキサン供給流8として用いられる。分離された水は廃水として生化学的に処理され、その後、直接排出される。上記反応で生じたシクロヘキサノン、シクロヘキサノールなどは、上記溶媒や水の一部(過酸化水素原料に含まれる水の部分と、過酸化水素の反応で生じた水の部分を含む)とともに、反応ゾーンの底部IIIから取り除かれ、溶媒分離槽5に供給される。分離された溶媒は溶媒貯蔵槽3へとリサイクルされ、目標生成物であるシクロヘキサノンおよび/またはシクロヘキサノールと、水の一部などは、分離のため目標生成物分離槽6へと供給され、目標生成物が得られる。
以下の実施例で、本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。具体的な指示がない場合、調製実施例と作業実施例で用いられた試薬はすべて、市販の化学的に純粋な試薬である。
調製実施例で用いられた中空チタニウム珪酸塩分子篩HTSは、CN 1301599 Aに開示されたチタニウム珪酸塩分子篩(X線回折分析で測定されたMFI構造を有する、Hunan Jianchang Co.Ltd製造のチタニウム珪酸塩分子篩。当該分子篩の低温時の窒素吸着における吸着等温線と脱着等温線との間にはヒステリシスループがあり、当該チタニウム珪酸塩分子篩の結晶粒子は中空構造を有し、その空洞部分が半径長さ15から180nmである。25℃、P/P0=0.10、吸着時間が1時間の条件下で測定した分子篩に対するベンゼンの吸着力は、少なくとも78mg/gである)に対応する市販品であり、チタニウム含有量は2.5重量%である。
使用した従来のチタニウム珪酸塩分子篩(TS−1)は、Journal of Natural Gas Chemistry 2001, 10(4): 295-307の296ページ、9−24行で紹介された方法に従って調製した(TS−1)分子篩のサンプルであり、チタニア含有量は2.5重量%である。
実施例で用いられた過酸化水素はどれも、市販の27.5重量%または50重量%の過酸化水素水溶液の形態である。
実施例で用いられた従来のθ環の充填物は、Tianjin Chemtech Co., Ltd., Chinaから購入可能である。
実施例では、システムのさまざまな要素は気相クロマトグラフィを用いて分析され、従来技術の教示を参照して改正標準化法で定量された。当該改正標準化法に基づいて、反応剤の変換、(単数または複数の)生成物に対する選択性、過酸化水素の有効利用率などを計算し、評価する。
実施例では、シクロヘキサンの変換は以下のように計算される。
Figure 2014523860
実施例では、生成物に対する選択性は以下のように計算される。
Figure 2014523860
実施例では、過酸化水素の有効利用率は以下のように計算される。
Figure 2014523860
(式中、Xは変換を、Sは選択性を、Uは有効利用率を、mは要素の質量を、nは要素のモル数を表し、m0とn0はそれぞれ、反応前の質量とモル数を表す)。
調製実施例1
大気圧下、40℃の条件で、テトラエチル珪酸塩を、水酸化テトラプロピル・アンモニウム水溶液に添加し、2時間撹拌した。その後、中空チタニウム珪酸塩分子篩(HTS)を添加し、さらに1時間撹拌した(HTSとテトラエチル珪酸塩と水酸化テトラプロピル・アンモニウムと水との質量比は、100:350:5:120)。ボーリング式細粒化(balling granulation)の後、550℃で5時間焼成し、直径5ミクロンの微小球の形態の触媒を得た。
調製実施例2
HTSとテトラエチル珪酸塩と水酸化テトラプロピル・アンモニウムと水との質量比が100:100:10:50である他は、調製実施例1と同じ方法を行い、ボーリング式細粒化(balling granulation)の後、直径100ミクロンの触媒を得た。
調製実施例3
HTSとテトラエチル珪酸塩と水酸化テトラプロピル・アンモニウムと水との質量比が100:200:40:500である他は、調製実施例1と同じ方法を行い、ボーリング式細粒化(balling granulation)の後、直径2000ミクロンの触媒を得た。
調製実施例4
ボーリング式細粒化(balling granulation)の後、直径500ミクロンの触媒を得た他は、調製実施例1と同じ方法を行った。
調製実施例5
水酸化テトラプロピル・アンモニウムを水酸化テトラエチル・アンモニウムに置き換え、テトラエチル珪酸塩をテトラメチル珪酸塩に置き換えた他は、調製実施例1と同じ方法を行った。
調製実施例6
HTSとテトラエチル珪酸塩と水酸化テトラプロピル・アンモニウムと水の質量比が100:300:50:2000である他は、調製実施例1と同じ方法を行った。
調製実施例7
中空チタニウム珪酸塩分子篩(HTS)を従来のチタニウム珪酸塩分子篩TS−1に置き換えた他は、調製実施例1と同じ方法を行った。
実施例1
シクロヘキサンと、過酸化水素溶液(濃度27.5重量%)と、アセトン溶媒とを、1:1.72:15の質量比で、反応ゾーンの複数の供給口を通して供給した。シクロヘキサンは第二供給口を通して供給し、過酸化水素溶液とアセトン溶媒とは第一供給口を通して供給した。反応ゾーンの温度は77±3℃となるように調整した。反応ゾーン内の圧力は0.15±0.02MPaとした。シクロヘキサンの空間速度は2h-1とした。反応ゾーン内の還流比は5:1とした。反応ゾーンの段数は35とした。第一供給口とカラム底部との間の段数は30とした。第二供給口とカラム底部との間の段数は10とした。充填物は、調製実施例1に従って得られたチタニウム珪酸塩分子篩触媒を60重量%と、θ環を40重量%とを含有したものを用いた。12時間の安定稼働の後、標本分析を行った。シクロヘキサンの変換、ケトンおよびアルコールに対する選択性、過酸化水素の有効利用率を表1に示した。
実施例2
シクロヘキサンと、過酸化水素溶液(濃度27.5重量%)と、シアン化ベンジル溶媒とを、1:3.44:8.89の質量比で、反応ゾーンの複数の供給口を通して供給した。シクロヘキサンは第二供給口を通して供給し、過酸化水素溶液とシアン化ベンジル溶媒とは第一供給口を通して供給した。反応ゾーンの温度は150±5℃となるように調整した。反応ゾーン内の圧力は0.35±0.05MPaとした。シクロヘキサンの空間速度は8h-1とした。反応ゾーン内の還流比は8:1とした。反応ゾーンの段数は35とした。第一供給口とカラム底部との間の段数は30とした。第二供給口とカラム底部との間の段数は10とした。充填物は、調製実施例2に従って得られたチタニウム珪酸塩分子篩触媒を30重量%と、θ環を70重量%とを含有したものを用いた。8時間の安定稼働の後、標本分析を行った。シクロヘキサンの変換、ケトンとアルコールに対する選択性、過酸化水素の有効利用率を表1に示した。
実施例3
シクロヘキサンと、過酸化水素溶液(濃度50重量%)と、tert−ブタノール溶媒とを、1:1.72:10の質量比で、反応ゾーンの複数の供給口を通して供給した。シクロヘキサンは第二供給口を通して供給し、過酸化水素溶液とtert−ブタノール溶媒は第一供給口を通して供給した。反応ゾーンの温度は110±5℃となるように調整した。反応ゾーン内の圧力は0.20±0.02MPaとした。シクロヘキサンの空間速度は5h-1とした。反応ゾーン内の還流比は3:1とした。反応ゾーンの段数は35とした。第一供給口とカラム底部との間の段数は30とした。第二供給口とカラム底部との間の段数は10とした。充填物は、調製実施例3に従って得られたチタニウム珪酸塩分子篩触媒を60重量%と、θ環を40重量%とを含有したものを用いた。18時間の安定稼働ののち、標本分析を行った。シクロヘキサンの変換、ケトンとアルコールに対する選択性、過酸化水素の有効利用率を表1に示した。
実施例4
チタニウム珪酸塩分子篩触媒を、調製実施例4の方法に従って得たチタニウム珪酸塩分子篩型触媒にした他は、実施例1と同じ方法を行った。
実施例5
チタニウム珪酸塩分子篩触媒を、調製実施例5の方法に従って得たチタニウム珪酸塩分子篩型触媒にした他は、実施例1と同じ方法を行った。
実施例6
チタニウム珪酸塩分子篩触媒を、調製実施例6の方法に従って得たチタニウム珪酸塩分子篩型触媒にした他は、実施例1と同じ方法を行った。
実施例7
チタニウム珪酸塩分子篩触媒を、調製実施例7の方法に従って得たチタニウム珪酸塩分子篩型触媒にした他は、実施例1と同じ方法を行った。
実施例8
チタニウム珪酸塩分子篩触媒を、以下の方法に従って得た他は、実施例1と同じ方法を行った。すなわち、HTSとシリカゾル(SiO2含有量40重量%)とを重量比100:250で混ぜ合わせてパルプ状にし(得られた懸濁液は固形分が40重量%であった。ここで、固形分とは当該懸濁液から水分を除いた含有量を意味する)、噴霧式細粒化して、直径50ミクロンの微小球の形態を有する触媒を得た。
実施例9
溶媒をブタノンにした他は、実施例1と同じ方法を行った。
実施例10
溶媒を酢酸にした他は、実施例1と同じ方法を行った。
実施例11
シクロヘキサンと、過酸化水素溶液(濃度50重量%)と、水溶媒とを、2:3:1の質量比で、反応ゾーンの複数の供給口を通して供給した。シクロヘキサンは第二供給口を通して供給し、過酸化水素溶液と水溶媒とは第一供給口を通して供給した。反応ゾーンの温度は69±2℃となるように調整した。反応ゾーン内の圧力は0.10±0.02MPaとした。シクロヘキサンの空間速度は4h-1とした。反応ゾーン内の還流比は10:1とした。反応ゾーンの段数は35とした。第一供給口とカラム底部との間の段数は30とした。第二供給口とカラム底部との間の段数は10とした。充填物は、調製実施例1の方法に従って得られたチタニウム珪酸塩分子篩触媒100重量%とした。15時間の安定稼働の後、標本分析を行った。シクロヘキサンの変換、ケトンとアルコールに対する選択性、過酸化水素の有効利用率を表1に示した。
Figure 2014523860
表1から、本発明の方法を用いることで、シクロヘキサンの変換およびケトンとアルコールに対する選択性は比較的高くなり、好ましい形態の触媒を用いることで過酸化水素の利用率は非常に高くなることがわかる。一方、本発明は反応ゾーン内で反応を行うので、酸化システム内で発生した熱は効果的に用いられ、エネルギー消費が節約される。
本発明に係る、シクロヘキサンの酸化方法を行う装置を例示する図である。

Claims (19)

  1. シクロヘキサンの酸化方法であって、接触による酸化反応条件下、シクロヘキサンと、過酸化水素水溶液と、選択的な有機溶媒とを、反応ゾーンの供給口を通して当該反応ゾーンに供給する工程と、当該反応ゾーンの底部に酸化生成物のすべてまたは大半が提供される工程とを含み、上記反応ゾーン内の充填物の一部またはすべてがチタニウム珪酸塩分子篩含有触媒であり、上記有機溶媒は、アルコール、ケトン、沸点が約40から約250℃の有機カルボン酸のうちの一つまたは複数であることを特徴とする、シクロヘキサンの酸化方法。
  2. 上記酸化生成物の約95から約100重量%が上記反応ゾーンの底部から得られ、当該生成物はシクロヘキサノンおよび/またはシクロヘキサノールを含んでいるか、あるいはシクロヘキサノンおよび/またはシクロヘキサノールから成る群から選ばれることを特徴とする、請求項1に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  3. シクロヘキサンの酸化方法であって、シクロヘキサンと、上記過酸化水素水溶液と、上記有機溶媒とを、上記供給口を通して上記反応ゾーンに供給する方法は、
    上記過酸化水素水溶液と上記有機溶媒とを、第一の供給口を通して上記反応ゾーンに供給する工程と、上記シクロヘキサンを、第二の供給口を通して上記反応ゾーンに供給する工程とを含み、
    上記第一の供給口とカラム底部との間の段数または理論段数は、上記反応ゾーンの全段数あるいは全理論段数の約50%から約100%であり、上記第二の供給口とカラム底部との間の段数または理論段数は、上記反応ゾーンの全段数あるいは全理論段数の約10%から約80%であることを特徴とする、請求項1に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  4. 上記第一の供給口とカラム底部との間の段数または理論段数は、上記反応ゾーンの全段数あるいは全理論段数の約80%から約100%であり、上記第二の供給口とカラム底との間の段数または理論段数は、上記反応ゾーンの全段数あるいは全理論段数の約30%から約70%であることを特徴とする、請求項3に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  5. 上記チタニウム珪酸塩分子篩含有触媒はキャリアとチタニウム珪酸塩分子篩とを含み、当該触媒の全重量に対する当該キャリアの使用量は約1から90重量%、当該チタニウム珪酸塩分子篩の使用量は約10から99重量%であることを特徴とする、請求項1に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  6. 上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒は、約2から約5000ミクロンの直径を有する微小球型であることを特徴とする、請求項5に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  7. 上記チタニウム珪酸塩分子篩触媒は、
    有機珪素化合物と、上記チタニウム珪酸塩分子篩を生成するのに有用なテンプレート剤とを、加水分解条件下で加水分解してコロイド状溶液を得る工程と、その後、上記チタニウム珪酸塩分子篩と上記コロイド状溶液とを均質に混合して懸濁液を得る工程と、当該懸濁液を細粒化して微小球型の触媒を得る工程とを含む方法によって調製されることを特徴とする、請求項1に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  8. 上記チタニウム珪酸塩分子篩と、上記有機珪素化合物と、上記チタニウム珪酸塩分子篩とを生成するのに有用な上記テンプレート剤と、水との質量比が、約100:約10から約2000:約2から約40:約50から約1000であることを特徴とする、請求項7に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  9. 上記加水分解条件は、約0.5から約10時間の加水分解時間と、室温から約100℃までの加水分解温度とを含むことを特徴とする、請求項7または8に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  10. 上記チタニウム珪酸塩分子篩を製造するのに有用な上記テンプレート剤は水酸化テトラプロピル・アンモニウムであり、上記有機珪素源はテトラエチル・シリケートであることを特徴とする、請求項7または8に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  11. 上記チタニウム珪酸塩分子篩はMFI構造を有し、上記チタニウム珪酸塩分子篩の結晶粒子は、空洞部分の半径長さが約5から約300nmである中空構造を有し、25℃、P/P0=0.10、吸着時間が1時間の条件下で測定した上記チタニウム珪酸塩分子篩に対するベンゼンの吸着力は少なくとも約70mg/gであり、上記分子篩の低温時の窒素吸着における吸着等温線と脱着等温線との間にヒステリシスループがあることを特徴とする、請求項5ないし8のいずれか一項に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  12. 上記充填物は約20から約100重量%の上記チタニウム珪酸塩分子篩含有触媒を含むことを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  13. 仕込まれるシクロヘキサンと、過酸化水素と、上記有機溶媒との質量比は、約1:約0.03から約2:約3から約15であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  14. 上記有機溶媒は、アルコール、ケトン、ニトリルのうちの一つまたは複数であることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  15. 上記有機溶媒は、アセトン、メタノール、シアン化ベンジル、tert−ブタノールのうちの一つまたは複数であることを特徴とする、請求項15に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  16. 上記酸化反応条件は、上記反応ゾーン内の温度が約40から約200℃であることと、還流比が約2:1以上であることを含むことを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  17. 未反応のシクロヘキサンと水の一部は、上記反応ゾーンの上部を通って、当該反応ゾーンから取り除かれることを特徴とする、請求項1ないし8のいずれか一項に記載のシクロヘキサンの酸化方法。
  18. 請求項1ないし18のいずれか一項に記載のシクロヘキサンの酸化方法を実行する装置であって、反応ゾーンと分離部とを備えることを特徴とする、装置。
  19. 上記反応ゾーンは上部、中部、底部を有し、当該上部は過酸化水素供給口と、選択的な有機溶媒口を備え、当該中部は上記酸化反応が起きる区画であり、当該底部はシクロヘキサン供給口を備えることを特徴とする、請求項19に記載の装置。
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