JP2014515277A - 苦味抑制剤およびこれを含む高麗人蔘組成物 - Google Patents

Abstract

本発明は、難消化性マルトデキストリンを含有する苦味抑制剤およびこの苦味抑制剤を含む高麗人蔘組成物を提供する。本発明によれば、高麗人蔘の指標成分の損失なしに独特の苦味が遮蔽されて、容易な摂取を可能にする効果がある。

Description

本発明は、苦味抑制剤およびこれを含む高麗人蔘組成物に関し、より具体的に、難消化性マルトデキストリンを含有する苦味抑制剤およびこれを含む高麗人蔘組成物に関する。

多数の食品および飲料は、しばしば過度な苦味または酸味と主に関係のある不快かつ好ましくない味を帯びる。製品の味は、消費者による最終的な受容を決定する際に基本的な役割をすることになるため、不快な味を遮蔽または逓減させるために多くの努力がなされてきた。

苦味が出る物質は、一般的に水に溶けないものが多く、他の基本的な味である甘味、酸味、塩味に比べると味覚を感じるまでの時間が長く、また味が長く残ってなくならないという特徴がある。高麗人蔘、紅蔘、緑茶等の根植物において苦味を示す一般的な成分は、糖や炭水化物により構成された配糖体であるサポニンが代表的である。紅蔘は、水蔘を蒸して乾燥した赤い朝鮮高麗人蔘のことを言い、紅蔘の主要成分としては、白蔘と同様に、配糖体（ｇｌｙｃｏｓｉｄｅｓ）、高麗人蔘香成分（ｐａｎａｃｅｎ）、ポリアセチレン系化合物、含窒素成分、フラボノイド、ビタミンＢ群、微量元素、酵素、抗酸化物質と有機酸およびアミノ酸等である。紅蔘の主要成分および薬理作用に対する多くの研究が行われてきている。科学的に知られている紅蔘の効能としては、免疫力増進、抗癌、抗血栓、血圧降下、抗ストレス、血糖降下、高脂血症改善、老化抑制等がある。長年の研究の結果、紅蔘は、各種有害な環境に対する身体適応能力の向上と疲労回復を促進し、ストレスに対する防御能を向上させるものと示されている。このような紅蔘の薬理学的効果を考えた場合、紅蔘を長期間服用すれば、各種成人病を予防し、発病可能性を軽減させることができるものと期待されている。しかし、紅蔘は、その苦味および独特の香味により、子供や苦味に敏感な人にとっては、摂取が容易ではない。

現在、紅蔘製品の苦味を遮蔽するために、シクロデキストリン（ｃｙｃｌｏｄｅｘｔｒｉｎ，ＣＤ）を利用して、サポニンをデキストリン（ｄｅｘｔｒｉｎ）環状構造に包接する。このシクロデキストリンは、天然食品添加物として製品に処方されると苦味を遮蔽する効果があるのに対し、指標成分の値が低く検出される否定的効果があるという問題点があった。そこで、シクロデキストリンを使用せずとも苦味が遮蔽される原料を探しており、その中で、糖または甘味剤を利用して、シクロデキストリンの量を減らした製品や使わない製品が登場している。

前記のような問題点を解決するために、本発明は、シクロデキストリンおよび甘味剤等、他の物質を添加せずに、食品原料のみを利用して、高麗人蔘指標成分の損失なしに苦味が遮蔽される効果に優れた苦味抑制剤および高麗人蔘特有の苦味が遮蔽される高麗人蔘組成物を提供することをその目的とする。

前記のような目的を解決するために、本発明は、難消化性マルトデキストリンを含有する苦味抑制剤を提供する。

本発明の一実施例において、前記難消化性マルトデキストリンの平均分子量は１００〜１００００であってよい。

本発明の一実施例において、前記苦味抑制剤は、シトラス抽出物をさらに含有するものであってよい。

本発明の一実施例において、前記シトラス抽出物は、前記難消化性マルトデキストリン１００重量部に対して０．００１〜８０重量部含有されるものであってよい。

また、本発明は、前記苦味抑制剤を含む高麗人蔘組成物を提供する。

本発明の一実施例において、前記高麗人蔘は、紅蔘、白蔘、黒蔘、山蔘、長脳蔘および山養蔘からなる群より選択される一つ以上のものであってよい。

本発明の一実施例において、前記高麗人蔘は、固形分含量が６０重量％以上の高麗人蔘濃縮液であるものであってよい。

本発明の一実施例において、前記苦味抑制剤は、全組成物１００重量部に対して０．００１〜８０重量部含有されるものであってよい。

本発明の苦味抑制剤は、食品の苦味が遮蔽されるため、容易な摂取を可能にする効果がある。また、本発明の苦味抑制剤含有高麗人蔘組成物は、高麗人蔘特有の苦味が遮蔽されて摂取が容易になる。したがって、本発明による苦味が遮蔽された高麗人蔘組成物によって、高麗人蔘健康機能食品および一般食品の開発に活用され得る。

以下においては、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を容易に実施できるようにするために、本発明の好ましい実施形態について詳細に説明することとする。

本発明は、難消化性マルトデキストリンを含有する苦味抑制剤を提供する。

前記苦味抑制剤は、シトラス抽出物をさらに含有してよい。前記シトラス抽出物は、前記難消化性マルトデキストリン１００重量部に対して０．００１〜８０重量部含有されるものであってよく、たとえば、０．００１〜３０重量部含有されてよく、好ましくは０．００１〜１０重量部含有されてよい。さらに好ましくは０．１〜１０重量部含有されてよい。０．００１重量部未満の場合には、量が少なすぎて生産時の測定の誤差リスクがあるため適用が不可能であり、８０重量部超の場合には、使用過多により甘みが強くなりすぎ得る。

また、本発明は、前記苦味抑制剤を含む高麗人蔘組成物を提供する。

前記高麗人蔘は、いかなるものでも関係ないが、紅蔘、白蔘、黒蔘、山蔘、長脳蔘および山養蔘からなる群より選択される一つ以上であってよい。白蔘は、水蔘、すなわち原型を維持した生高麗人蔘を言い、紅蔘は、生高麗人蔘を蒸してから煮て乾燥したもので、乾燥過程において褐変反応が起こって、淡黄褐色ないし赤褐色を帯びるものである。黒蔘は、紅蔘をさらに数回蒸し、乾燥して黒色に変化した高麗人蔘を言う。山蔘は、自生高麗人蔘を言い、長脳蔘は、植えて育てた山蔘を言う。山養蔘は、山間の森林の下で人為的に種子や苗蔘を播種移植して栽培した高麗人蔘である。

前記高麗人蔘は、固形分含量が６０重量％以上の高麗人蔘濃縮液であるものであってよい。特に、固形分含量が６０重量％〜９０重量％であることが好ましい。健康機能食品工程上、紅蔘濃縮液基準規格が固形分含量６０％以上であり、また、固形分含量が９０％以上の場合、流性が良くないため製造工程上の不便さを惹き起こし得、濃縮液の損失が多くなる。

前記高麗人蔘濃縮液は、一般的な製造方法によって収得され、特に制限されるものではないが、紅蔘根に水や酒精といった抽出溶媒を混合した後、抽出器に入れ、６５〜７５℃で９〜１１時間、３〜５回反復抽出し、その抽出液を濾過し、その液を減圧濃縮器に移して、５００〜７００ｍｍＨｇ、温度６５〜７５℃で固形分含量６０％以上となるように濃縮させることにより製造されてよい。

前記苦味抑制剤は、全組成物１００重量部に対して０．００１〜８０重量部含有されるものであってよく、たとえば、０．１〜５０重量部含有されてよく、好ましくは１０〜３５重量部含有されてよい。０．００１重量部未満の場合には、苦味抑制効果が微々たるものであり、８０重量部超の場合には、高麗人蔘による効果が十分に発揮されない可能性がある。

前記難消化性マルトデキストリンは、健康機能食品の原料としてトウモロコシ澱粉によって得られるものであり、消化されにくい構造からなっているため人間が消化しにくく、粘性が低く、砂糖の１／１０の甘味度を有し、透明性と溶解性が高い。難消化性マルトデキストリンの平均分子量は、約１００〜１０，０００であってよく、たとえば、約１，０００〜５，０００であってよく、好ましくは約１５００〜２５００であってよい。前記難消化性マルトデキストリンは、分枝型であってよい。難消化性マルトデキストリンの分子構造式を以下に示した。

前記シトラス（Ｃｉｔｒｕｓ）抽出物は、橘、蜜柑、オレンジ、レモン等、柑橘類等の天然物に由来するもの、または合成されたものであってよい。本発明に使用されるシトラスは、シトラスに属するいかなる果物であっても差し支えなく、シトラス抽出物は、一般的な天然物抽出方法または合成によって収得されてよい。

また、本発明は、高麗人蔘濃縮液に難消化性マルトデキストリンを添加することにより、高麗人蔘の苦味を遮蔽することを含む高麗人蔘の苦味の遮蔽方法を提供する。前記苦味の遮蔽方法は、前記高麗人蔘濃縮液にシトラス抽出物をさらに添加するものであってよい。

高麗人蔘濃縮液に難消化性マルトデキストリンおよびシトラス抽出物を一定量加えると、従来の高麗人蔘飲料や高麗人蔘濃縮液よりも官能的に優れる。

以下の実施を通じて、本発明がより詳細に説明される。ただし、実施例は、本発明を例示するためのものであって、これらのみによって本発明の範囲が限定されるものではない。

［実施例１］
抽出タンクに原料紅蔘５００ｇを投入し、水と酒精を体積比１：１で混合した溶媒１．５Ｌを抽出器に入れ、７０℃で１０時間、４回反復抽出し、その抽出液を２５０ｍｅｓｈの濾過器で加圧式濾過した。その液を減圧濃縮器に移して、６００ｍｍＨｇ、温度７０℃で固形分含量６０％以上となるように濃縮させ、殺菌タンクに移して、８３℃で２０分間蒸気滅菌して、紅蔘抽出物（Ｒｇ１＋Ｒｂ１＝１０ｍｇ／ｇ）を製造した。

前記のように製造された紅蔘濃縮液１０ｇに、難消化性マルトデキストリン２５ｇを混合した。

［実施例２］
前記実施例１と同じ方法で得られた紅蔘濃縮液１０ｇに、難消化性マルトデキストリン２５ｇ、シトラスエキス（ＦＬＡＶＥＸ Ｔｅｃｈｎｏｌｏｇｙ社製）０．１ｇを混合した。

［比較例１］
抽出タンクに原料紅蔘５００ｇを投入し、水と酒精を体積比１：１で混合した溶媒１．５Ｌを抽出器に入れ、７０℃で１０時間、４回反復抽出し、その抽出液を２５０ｍｅｓｈの濾過器で加圧式濾過した。その液を減圧濃縮器に移して、６００ｍｍＨｇ、温度７０℃で固形分含量６０％以上となるように濃縮させ、殺菌タンクに移して、８３℃で２０分間蒸気滅菌して、紅蔘濃縮液（Ｒｇ１＋Ｒｂ１＝１０ｍｇ／ｇ）を製造した。

［比較例２］
前記比較例１において、紅蔘に代えて白蔘を使用したことを除き、比較例１と実質的に同一の方法で白蔘濃縮液（Ｒｇ１＋Ｒｂ１＝１０ｍｇ／ｇ）を製造した。

［比較例３］
前記比較例１の紅蔘濃縮液１０ｇに、シクロデキストリン２５ｇを混合した。

［実験例１］官能評価
前記実施例１および２ならびに比較例１および２の試料について、苦味軽減程度および選好度調査のために、よく訓練されたパネル２０名を対象に、官能評価を実施した。

実施例１および２ならびに比較例１および２のそれぞれを水に溶解させて飲料形態で作成し、水と合わせて全重量が１００ｇとなるように製造した。７点尺度法を利用して下記パネル設問内訳を評価した。苦味および全体選好度に関する官能評価の結果は、下記表１に示した。

前記表１から確認できるように、パネル２０名の各試料ごとの評価平均値を見ると、苦味遮蔽および全体選好度において、実施例２の試料が最も優れるものと示され、９５％水準でもその有意性が認められた。その次に、実施例１が優れたものと示された。したがって、難消化性マルトデキストリンが添加されたり、難消化性マルトデキストリンおよびシトラス抽出物が添加されたりした高麗人蔘健康機能食品において高麗人蔘の苦味を軽減させるのに効果があるということが分かった。

［実験例２］官能評価および指標成分測定
紅蔘濃縮液中の指標成分変化と苦味軽減程度および選好度調査のために、よく訓練されたパネル２０名を対象に、官能評価を実施した。

実施例２ならびに比較例１および３のそれぞれを水に溶解させて飲料形態で作成し、水と合わせて全重量が１００ｇとなるように製造した。７点尺度法を利用して下記パネル設問内訳を評価した。苦味および全体選好度に関する官能評価の結果は、下記表２に示した。

これに加えて、各試料に対する指標成分（Ｒｇ１＋Ｒｂ１）を健康食品公典のガイドに従って測定した。これについての結果もまた、下記表２に示した。

前記表２から確認できるように、パネル２０名の各試料ごとの評価平均値を見ると、苦味遮蔽および全体選好度においては、比較例３の試料が最も優れて示された。しかし、シクロデキストリンを利用して苦味を遮蔽する場合（比較例３）、指標成分が約７８％程度減少した値で測定された。こうした理由により、現在、高麗人蔘類製品の苦味遮蔽において、シクロデキストリンを使用しないようにしているのである。その次に、苦味遮蔽および全体選好度において、実施例２の試料が優れて示されたが、難消化性マルトデキストリンとシトラス抽出物を利用する場合、指標成分の減少なしに苦味を遮蔽することができるという結論を得ることができた。したがって、難消化性マルトデキストリンおよびシトラス抽出物が添加された高麗人蔘健康機能食品において、高麗人蔘の苦味を軽減させるのに効果があることが分かった。

Claims (8)

1. 難消化性マルトデキストリンを含有する苦味抑制剤。
2. 前記難消化性マルトデキストリンの平均分子量は、１００〜１００００である、請求項１に記載の苦味抑制剤。
3. 前記苦味抑制剤は、シトラス抽出物をさらに含有するものである、請求項１に記載の苦味抑制剤。
4. 前記シトラス抽出物は、前記難消化性マルトデキストリン１００重量部に対して０．００１〜８０重量部含有されるものである、請求項３に記載の苦味抑制剤。
5. 請求項１〜４のいずれか一項による苦味抑制剤を含む高麗人蔘組成物。
6. 前記高麗人蔘は、紅蔘、白蔘、黒蔘、山蔘、長脳蔘および山養蔘からなる群より選択される一つ以上である、請求項５に記載の高麗人蔘組成物。
7. 前記高麗人蔘は、固形分含量が６０重量％以上の高麗人蔘濃縮液である、請求項５に記載の高麗人蔘組成物。
8. 前記苦味抑制剤は、全組成物１００重量部に対して０．００１〜８０重量部含有されるものである、請求項５に記載の高麗人蔘組成物。