JPH0747539B2 - 胆汁酸固形製剤 - Google Patents

胆汁酸固形製剤

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JPH0747539B2
JPH0747539B2 JP24954786A JP24954786A JPH0747539B2 JP H0747539 B2 JPH0747539 B2 JP H0747539B2 JP 24954786 A JP24954786 A JP 24954786A JP 24954786 A JP24954786 A JP 24954786A JP H0747539 B2 JPH0747539 B2 JP H0747539B2
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進三 中澤
悟司 久野
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東京田辺製薬株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は胆汁酸及びデキストリン類を含有する胆汁酸固
形製剤に関する。さらに詳しくは、胆汁酸固有の苦味を
マスクした胆汁酸の散剤及び顆粒剤に関する。
従来の技術 胆汁酸は古来から利胆薬として汎用され、その効能効果
が高く評価されており、また近年胆汁酸の一種ウルソデ
オキシコール酸及びケノデオキシコール酸が胆石溶解剤
として注目されている。胆汁酸は本来非常に強い苦味を
有しているので散剤、顆粒剤として服用するとき苦痛、
不快感を感じ服用が大変困難とされている。
胆汁酸の苦味をマスクする方法として、特開昭59−19
0913号公報にケノデオキシコール酸に結晶セルロースを
配合した顆粒剤が開示され、特開昭55−22616号公報
にウルソデオキシコール酸又はケノデオキシコール酸の
β−シクロデキストリン類による包接化合物が開示され
ている。また苦味薬物をマスクする方法として一般に用
いられるのは、フィルムコーティングする方法、甘
味剤を添加する方法などが知られている。しかしなが
ら、ウルソデオキシコール酸又はケノデオキシコール酸
とデキストリン類を単に混合した非包接状態で苦味をマ
スクする散剤、顆粒剤については知られていない。
発明が解決しようとする問題点 上述の従来技術に関し、ケノデオキシコール酸と結晶
セルロースを含有する顆粒剤においてはある程度苦味を
緩和しているものの、まだなおその効果は不十分であ
り、しかも口中で熱感、膨潤感を感じるなど満足のゆく
効果が得られなかった。また、結晶セルロースを含有す
る顆粒剤を製造する場合結合剤の添加が必須となる。
ウルソデオキシコール酸又はケノデオキシコール酸のβ
−シクロデキストリンによる包接化合物は水可溶性を目
的としているが、附随して苦味をマスクする。しかしな
がら、この包接化合物を製造するにおいて、β−シクロ
デキストリンを胆汁酸に対して重量比で3以上添加する
必要があり、両成分の水への溶解度が低く水溶液の濃度
が希薄になるため、水を濃縮、凍結乾燥などによって除
去したあとの出来上り包接化合物が非常に嵩高な微粉末
(見掛比重、ルーズ0.04g/cc)となり、飛散性が高く
(逃飛率38〜45%)、これを散剤、顆粒剤などの固形製
剤に調製する場合取扱いが困難である。そして、包接化
合物を製造するためには可溶化、攪拌、溶媒除去、凍結
乾燥など種々の工程を必要とするために非常に長時間を
要し面倒である。また、包接化合物はゲスト化合物と比
較し薬理効果、吸収、排泄などの点で差異が生じ別個の
薬剤である。散剤、顆粒剤をフィルムコーティングす
る方法は粒子表面に完全にコーティングすることが難し
く、しかも繰り返しコーティングしなければならないの
で作業に長時間を要する欠点があり、甘味剤を添加す
る方法は苦味マスクが十分に達成されない。
したがって、胆汁酸の苦味を十分にマスクし、製造法、
製剤化が簡便であり、出来上り製剤が取り扱い易く、し
かも、薬理効果、吸収、排泄などの点で差異を生じない
胆汁酸の散剤、顆粒剤が望まれる。
問題点を解決するための手段 前記の特開昭59−190913号公報によると、デキストリ
ン、β−サイクロデキストリンは苦味をマスクする必須
成分でないことが記載されているが、本発明者らは鋭意
研究したところ、意外にも、胆汁酸と製剤用賦形剤とし
て汎用されているデキストリン類とをある配合比にて単
に混合するだけで胆汁酸の強い苦味をマスクすることを
見出し本発明を完成した。
胆汁酸とは医薬品として重要なウルソデオキシコール酸
及びケノデオキシコール酸を、デキストリン類とはアミ
ロデキストリン、エリスロデキストリン、マルトデキス
トリンを意味する。本発明の固形製剤は、粒子表面を完
全にコーティングすることが困難な散剤、顆粒剤におい
て本質的な特徴を有し目的を達成する。ここで言う散剤
とは細粒剤も含む。
本発明固形製剤における胆汁酸とデキストリン類の配合
量は胆汁酸に対するデキストリン類の重量比が8以上で
あり、所望の医薬製剤となるように胆汁酸の濃度を任意
に決定し、好ましくは固形製剤1g当りの胆汁酸の含有量
が10〜100mgの範囲である。
本発明固形製剤は、結合剤、界面活性剤などの添加剤を
添加することなく、胆汁酸とデキストリン類のみから一
般的な方法によって散剤又は顆粒剤に調製できることも
特徴の一つである。また、これら必須二成分のほかに、
必要に応じて、慣用されている添加剤、例えばタルク、
ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、
無水ケイ酸等の滑沢剤、澱粉、乳糖、蔗糖、マンニトー
ル等の賦形剤、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロ
キシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリド
ン、アラビアゴム末、カルボキシメチルセルロースナト
リウム、ゼラチン等の結合剤、ステアリン酸ポリオキシ
ル40、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール
等の崩壊剤などを適宜選択して添加してもよい。また、
本発明固形製剤をケイヒ末、ウイキョウ末などの健胃薬
と配合することによって利胆作用も有する有益な健胃剤
を調製することができる。
ウルソデオキシコール酸又はケノデオキシコール酸の10
0重量部とアミロデキストリン、エリスロデキストリン
又はマルトデキストリンの800重量部以上をV型混合機
に入れ、10〜60分間混合して散剤を得、得られた散剤を
水又は含水エタノールを用いて攪拌造粒機、流動層造粒
機などで造粒し、所望の粒度に篩過して顆粒剤を調製す
る。必要に応じて、必須二成分のほかに前記の添加剤を
添加してもよい。こうして得られた散剤の見掛比重(ル
ーズ)は0.32〜0.65g/cc、逃飛率は8〜12%であり、顆
粒剤の見掛比重(ルーズ)は0.42〜0.56g/cc、逃飛率は
7〜11%であり、いずれも取扱い易い固形製剤である。
作用 本発明固形製剤の苦味マスク効果について以下に説明す
る。
苦味マスク効果の試験用試料は、ウルソデオキシコール
酸又はケノデオキシコール酸とアミロデキストリン、エ
リスロデキストリン又はマルトデキストリンを所定の重
量比に配合し、散剤についてはV型混合機[VFS型:三
英製作所(株)製]にて30分間混合して調製し、顆粒剤
については上記散剤を流動層造粒機[FLO−1型;フロ
イント産業(株)製]に採り、含水エタノールを用いて
造粒し、次いで12号及び42号のふるいを用いて分級し、
顆粒剤とした。比較対照試料は胆汁酸と結晶セルロース
[アビセルPH−101;旭化成(株)製]を所定量配合し、
さらに結合剤としてヒドロキシプロピルセルロース−L
[HPC−L;日本曹達(株)製]を50重量部添加し、上記
と同様にして散剤、顆粒剤を調製した。
苦味マスク効果はパネラー10名(男5名、女5名)によ
る苦味官能テストによって判断した。各パネラーが胆汁
酸100mg相当量の試料を20秒間口に含んだのち水ととも
に飲み下し、10名のパネラー全員が苦味を感じなかった
場合を〇、1〜7名が苦味を感じた場合を△、8名以上
が苦味を感じた場合を×で表示した。苦味マスク効果及
び見掛比重、逃飛率の測定効果を表1(ウルソデオキシ
コール酸の散剤)、表2(ケノデオキシコール酸の散
剤)、表3(ウルソデオキシコール酸の顆粒剤)に示
す。逃飛率は試料2gを用い青木らの方法(薬剤学、27、
103頁、1967)によって測定した。各表中の配合比とは
胆汁酸に対するデキストリン類又は結晶セルロースの含
有重量比を表わす。
各表から明らかなように、ウルソデオキシコール酸又は
ケノデオキシコール酸とアミロデキストリン、エリスロ
デキストリン又はマルトデキストリンとを配合した散
剤、顆粒剤はデキストリン類の配合重量比が8以上であ
ればパネラー全員が苦味を感じず、胆汁酸の苦味を完全
にマスクすることが認められた。一方、デキストリン類
の代りに結晶セルロースを配合した対照製剤においては
配合重量比が2.5及び4において1〜7名が苦味を感
じ、苦味マスクが不十分であった。また、結晶セルロー
スを配合した試料No.11、12、23、24、35及び36におい
てパネラー全員が口中で熱感(舌がしびれて熱く感じ
る。)や膨潤感(口中の粘膜が圧迫されるように感じ
る。)を感じた。
次に、本発明固形製剤の製造例を具体的に実施例をもっ
て説明する。
実施例1 ウルソデオキシコール酸25g、アミロデキストリン250
g、乳糖210g及びタルク15gをV型混合機に入れ、30rpm
で30分間混合して散剤を得た。散剤中のウルソデオキシ
コール酸の含有量を中和滴定法で測定したところ、1g当
り49.7±0.2mgであった。見掛比重(ルーズ)0.50g/c
c。逃飛率9.8%。
この散剤は10人のパネラー全員が苦味を感じなかった。
実施例2 ケノデオキシコール酸50gとアミロデキストリン450gを
流動層造粒機に入れ、30%(W/W)エタノール水溶液160
gを加えて造粒し、乾燥した。室温で放冷し、12号及び4
2号ふるいを用いて分級し顆粒剤を得た。顆粒剤中のケ
ノデオキシコール散含有量を中和滴定法で測定したとこ
ろ、1g当り99.2±0.3mgであった。見掛比重(ルーズ)
0.42g/cc、(タップ)0.53g/cc。逃飛率8.5%。安息角3
3゜。崩壊時間 瞬時。乾燥減量1.8%。
この顆粒剤は10人のパネラー全員が苦味を感じなかっ
た。
実施例3 ウルソデオキシコール酸10g、エリスロデキストリン290
g、ケイヒ末100g、ウイキョウ末60g、硝酸チアミン4g、
塩化カルニチン26g及びタルク10gをV型混合機に入れ、
30rpmで30分間混合して健胃胃腸薬を散剤として得た。
散剤のウルソデオキシコール酸含有量をガスクロマトグ
ラフィーで測定したところ、1g当り19.9±0.2mgであっ
た。
この散剤は10人のパネラー全員が苦味を感じなかった。
発明の効果 本発明の固形製剤は利胆剤、胆石溶解剤として有用な胆
汁酸であるウルソデオキシコール酸又はケノデオキシコ
ール酸とアミロデキストリン、エリスロデキストリン又
はマルトデキストリンとを胆汁酸に対するデキストリン
類の配合重量比が8以上であるように混合して調製した
散剤、顆粒剤に関し、これらは胆汁酸の強い苦味を完全
にマスクした製剤であるから服用が容易であり医薬品と
して非常に有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】胆汁酸及びデキストリン類を含有する固形
    製剤において、胆汁酸に対するデキストリン類の配合重
    量比が8以上であることを特徴とする胆汁酸固形製剤。
  2. 【請求項2】胆汁酸がウルソデオキシコール酸又はケノ
    デオキシコール酸である特許請求の範囲第(1)項記載
    の胆汁酸固形製剤。
  3. 【請求項3】デキストリン類がアミロデキストリン、エ
    リスロデキストリン又はマルトデキストリンである特許
    請求の範囲第(1)項記載の胆汁酸固形製剤。
  4. 【請求項4】固形製剤が散剤又は顆粒剤である特許請求
    の範囲第(1)項記載の胆汁酸固形製剤。
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