JP2014216419A - 光電変換装置 - Google Patents

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寿一 二宮
晶子 古茂田
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晶子 古茂田
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Abstract

【課題】 光電変換装置の耐久性と光電変換効率とをともに向上させる。
【解決手段】 光電変換装置11は、下部電極層2上に光電変換層Cおよび透光性の上部電極層5が順に積層された光電変換装置11であって、上部電極層5は、炭素元素および酸化亜鉛を含む半導体であり、光電変換層C側の部位に比べて光電変換層Cとは反対側の部位の方が炭素元素の濃度が高くなっている。
【選択図】 図3

Description

本発明は、透光性の上部電極層を有する光電変換装置に関する。
太陽光発電などに使用される光電変換装置として、基板の上に複数の光電変換セルが設けられたものがある。
このような光電変換装置は、ガラスなどの基板の上に、金属電極などの下部電極層と、I−III−VI族化合物等の多元化合物半導体層と、イオウ含有亜鉛混晶化合物等の混晶化
合物半導体層と、酸化亜鉛等の透光性導電膜から成る上部電極層とが、この順に積層されている(例えば、特許文献1など)。
透光性導電膜として酸化亜鉛を用いる場合、水分や熱に対する安定性が低いため、光電変換装置の耐久性を高めることが困難である。そこで、酸化亜鉛に炭素を含ませることによって水分や熱に対する安定性を高めることが提案されている(例えば、特許文献2など)。
特開平8−330614号公報 特開2009−295545号公報
光電変換装置には、光電変換効率のさらなる向上が要求されるとともに耐久性も要求される。酸化亜鉛に含ませる炭素量を多くするほど耐久性は高まるものの、透光性導電膜の導電性は低下するため、光電変換装置の光電変換効率を高めるには限界がある。よって、本発明の一つの目的は、光電変換装置の耐久性と光電変換効率とをともに向上させることにある。
本発明の一態様に係る光電変換装置は、下部電極層上に光電変換層および透光性の上部電極層が順に積層された光電変換装置であって、前記上部電極層は、炭素元素および酸化亜鉛を含む半導体であり、前記光電変換層側の部位に比べて前記光電変換層とは反対側の部位の方が炭素元素の濃度が高くなっている。
本発明によれば、光電変換装置の耐久性と光電変換効率とをともに向上させることができる。
光電変換装置の実施の形態の一例を示す斜視図である。 図1の光電変換装置の断面図である。 図1の光電変換装置における上部電極層の組成分布の一例を示すグラフである。
以下に本発明の一実施形態に係る光電変換装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<光電変換装置の構造>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図であり、図2はその断面図である。光電変換装置11は、基板1上に複数の光電変換セル10が並べられて互いに電気的に接続されている。なお、図1においては図示の都合上、2つの光電変換セル10のみを示しているが、実際の光電変換装置11においては、図面左右方向、あるいはさらにこれに垂直な方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配設されていてもよい。
図1、図2において、基板1上に複数の下部電極層2が平面配置されている。図1、図2において、複数の下部電極層2は、一方向に間隔をあけて並べられた下部電極層2a〜2cを具備している。この下部電極層2a上から基板1上を経て下部電極層2b上にかけて、光電変換層Cが設けられている。なお、本実施例では、光電変換層Cは一方導電型の第1の半導体層3と、一方導電型とは異なる導電型の第2の半導体層4との積層体から成る例を示している。また、光電変換層C上には上部電極層5が設けられている。さらに、下部電極層2b上において、接続導体7が、光電変換層Cの側面に沿って、または第1の半導体層3を貫通して設けられている。この接続導体7は、上部電極層5と下部電極層2bとを電気的に接続している。これら下部電極層2、光電変換層Cおよび上部電極層5によって、1つの光電変換セル10が構成され、隣接する光電変換セル10同士が接続導体7を介して直列接続されることによって、高出力の光電変換装置11となる。なお、本実施形態における光電変換装置11は、上部電極層5側から第2の半導体層を経て第1の半導体層3へ光が入射されるものを想定している。
基板1は、光電変換セル10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。基板1としては、例えば、厚さ1〜3mm程度の青板ガラス(ソーダライムガラス)を用いることができる。
下部電極層2(下部電極層2a、2b、2c)は、基板1上に設けられた、Mo、Al、TiまたはAu等の導電体である。下部電極層2は、スパッタリング法または蒸着法などの公知の薄膜形成手法を用いて、0.2μm〜1μm程度の厚みに形成される。
第1の半導体層3は、例えば1μm〜3μm程度の厚みを有する半導体層である。第1の半導体層3としては、II−VI族化合物、I−III−VI族化合物およびI−II−IV−VI族
化合物等の化合物半導体や非晶質シリコン等が挙げられる。
II−VI族化合物とは、II−B族(12族元素ともいう)とVI−B族元素(16族元素ともいう)との化合物半導体である。II−VI族化合物としては、例えば、CdTe等が挙げられる。
I−III−VI族化合物とは、I−B族元素(11族元素ともいう)とIII−B族元素(13族元素ともいう)とVI-B族元素との化合物である。I−III−VI族化合物としては、例えば、CuInSe(二セレン化銅インジウム、CISともいう)、Cu(In,Ga)Se(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、第1の半導体層3は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
I−II−IV−VI族化合物とは、I−B族元素とII−B族元素とIV−B族元素(14族元素ともいう)とVI−B族元素との化合物である。I−II−IV−VI族化合物としては、例えば、CuZnSnS(CZTSともいう)、CuZnSn(S,Se)(CZTSSeともいう)、およびCuZnSnSe(CZTSeともいう)が挙げられる。
第1の半導体層3は、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスは、第1の半導体層3の構成元素の錯体溶液やナノ粒子溶液を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3とは異なる導電型を有する半導体層である。第1の半導体層3および第2の半導体層4が電気的に接合することにより、電荷を良好に取り出すことが可能な光電変換層Cが形成される。例えば、第1の半導体層3がp型であれば、第2の半導体層4はn型である。第1の半導体層3がn型で、第2の半導体層4がp型であってもよい。
第2の半導体層4は、第1の半導体層3とは異なる材料が第1の半導体層3上に積層されたものであってもよく、あるいは第1の半導体層3の表面部が他の元素のドーピングによって改質されたものであってもよい。
第2の半導体層4としては、CdS、ZnS、ZnO、In、InSe、In(OH,S)、(Zn,In)(Se,OH)、および(Zn,Mg)O等が挙げられる。この場合、第2の半導体層4は、例えばケミカルバスデポジション(CBD)法等で3〜200nmの厚みで形成される。なお、In(OH,S)とは、Inが水酸化物および硫化物として含まれる混晶化合物をいう。また、(Zn,In)(Se,OH)とは、ZnおよびInがセレン化物および水酸化物として含まれる混晶化合物をいう。(Zn,Mg)Oとは、ZnおよびMgが酸化物として含まれる化合物をいう。
上部電極層5は、光電変換層Cで生じた電荷を良好に取り出すためのものであり、0.05〜3.0μm程度の厚みの導電膜である。例えば、上部電極層5全体の電気抵抗率は1Ω・cm未満であり、シート抵抗は50Ω/□以下であってもよい。また、上部電極層5は、光電変換層Cで光電変換される光に対して透光性を有している。そして、上部電極層5は、炭素元素および酸化亜鉛を含む半導体であり、光電変換層C側の部位に比べて光電変換層Cとは反対側の部位の方が炭素元素の濃度が高くなっている。
このような構成によって、光電変換装置11の耐久性と光電変換効率とをともに向上させることができる。つまり、上部電極層5の光電変換層C側の部位では、炭素元素の濃度を低くして導電性を高く維持することができる。一方、上部電極層5の光電変換層Cとは反対側の部位では、炭素元素の濃度を高くして上部電極層5の水分や熱に対する安定性を高めることができる。
なお、上記上部電極層5は、厚みの中央部から光電変換層C側の部位(以下では、厚みの中央部から光電変換層C側の部位のことを上部電極層の下部側部位という)における炭素元素の平均濃度と、厚みの中央部から光電変換層Cとは反対側の部位(以下では、厚みの中央部から光電変換層Cとは反対側の部位のことを上部電極層の上部側部位という)における炭素元素の平均濃度とを比較した場合に、上部電極層5の上部側部位における炭素元素の平均濃度の方が高くなっていればよい。特に、上部電極層5の上部側部位における炭素元素の平均濃度が1020〜1022atoms/cmであるとともに、この上部
側部位における炭素元素の平均濃度が、上部電極層5の下部側部位における炭素元素の平均濃度の5〜100倍であれば、良好な透光性を有して光電変換効率をさらに高めることができる。
さらに、上部電極層5を厚み方向に3等分し、光電変換層C側から第1の部位、第2の部位および第3の部位としたときに、炭素の平均濃度が第1の部位<第2の部位<第3の部位となっていてもよい。このような構成によって、上部電極層5の光電変換層Cとの界面付近の導電性を高めて、光電変換層Cからの電荷を良好に取り出すことができる。
上記のような炭素元素濃度が厚み方向に異なる上部電極層5は、例えば、化学気相成長法(CVD法)を用いて、原料の混合比を変えて成膜を行なうことによって作製可能である。また、組成の異なる原料溶液を用いて塗布を行なうことによって原料組成の異なる複数の皮膜の積層体を形成し、これを加熱処理することによって作製することもできる。また、上部電極層5の炭素元素の濃度は、二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて測定できる。
図3のグラフは上部電極層5の厚み方向の組成分布の一例である。図3の上部電極層5は、炭素元素を含む酸化亜鉛である。X軸は、上部電極層5の光電変換層Cとは反対側の主面(受光面側)からの深さを示しており、Y軸の左軸は、上部電極層5における炭素元素の濃度及びホウ素元素の濃度を示している。また、Y軸の右軸は、酸化亜鉛の二次イオン強度を示しており、これにより酸化亜鉛の存在範囲を確認することができる。つまり、X軸の深さ0〜0.75μmの部位が上部電極層5であり、深さ0.75〜1μmの部位は光電変換層Cの一部(上部部分)である。図3における実線は炭素元素の濃度分布であり、これより、炭素元素は光電変換層C側において濃度が低く、光電変換層Cとは反対側において濃度が高くなっていることがわかる。
また、上部電極層5は、さらに不純物元素としてアルミニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ふっ素およびスズのうちの少なくとも1つを含み、光電変換層Cとは反対側の部位に比べて光電変換層C側の部位の方が上記不純物元素の濃度が高くなっていてもよい。なお、上記不純物元素が複数ある場合は、これらの不純物元素の合計濃度が、光電変換層Cとは反対側の部位に比べて光電変換層C側の部位の方で高くなっていればよい。このような構成によって、上部電極層5の導電性と透光性とをともに向上して、光電変換装置11の光電変換効率を高めることができる。つまり、上部電極層2の光電変換層Cとの界面近傍では、不純物金属の濃度が高いことによって良好な導電性を有する。一方、上部電極層2の炭素濃度の高い上部側部位では、不純物金属の濃度が低いことによって透光性が高められ、光電変換層Cへの光の透過率を向上することができる。
なお、上記上部電極層5は、上部電極層5の下部側部位における合計の不純物元素の平均濃度と、上部電極層5の上部側部位における合計の不純物元素の平均濃度とを比較した場合に、上部電極層5の下部側部位における合計の不純物元素の平均濃度の方が高くなっていればよい。特に、上部電極層5の下部側部位における合計の不純物元素の平均濃度が1017〜1022atoms/cmであるとともに、この下部側部位における合計の不純物炭素元素の平均濃度が、上部電極層5の上部側部位における合計の不純物元素の平均濃度の100〜1000倍であれば、良好な透光性を有して光電変換効率をさらに高めることができる。
上記のように不純物金属の濃度が厚み方向に異なる上部電極層5は、例えば、化学気相成長法(CVD法)を用いて、原料の混合比を変えて成膜を行なうことによって作製可能である。
また、上部電極層5は、複数の結晶粒が結合した構造であり、光電変換層Cとは反対側の部位(上部電極層5の上部側部位)に比べて光電変換層C側の部位(上部電極層5の下部側部位)の方が、平均の結晶粒径が小さくなっていてもよい。このような構成であれば、上部電極層5の厚み方向の上部側部位において、不純物金属の濃度が低くても電気抵抗率を高くすることができる。例えば、上部電極層5の上部側部位における平均結の晶粒径は、上部電極層5の下部側部位における平均の結晶粒径の5〜100倍であってもよい。なお、上部電極層5の平均の結晶粒径というのは、層に垂直な断面を走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)等で観察したときに得られる画像における複数の結晶粒の平均粒径である。
このような厚み方向で平均の結晶粒径が異なる上部電極層5は、例えば、CVD法等で上部電極層5を成膜する際の温度を上部電極層5の上部側部位ほど高くすることによって、結晶粒径を異ならせることができる。あるいは、原料溶液を用いて皮膜を形成した後、上部側から積極的に赤外光照射等で加熱処理をして上部側部位ほど結晶成長を促進させることによっても結晶粒径を厚み方向で異ならせることができる。
また、図1、図2に示すように、上部電極層5上にさらに集電電極8が形成されていてもよい。集電電極8は、光電変換層Cで生じた電荷をさらに良好に取り出すためのものである。集電電極8は、例えば、図1に示すように、光電変換セル10の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、光電変換層Cで生じた電流が上部電極層5を介して集電電極8に集電され、接続導体7を介して隣接する光電変換セル10に良好に通電される。
集電電極8は、光電変換層Cへの光透過率を高めるとともに良好な導電性を有するという観点から、50〜400μmの幅を有していてもよい。また、集電電極8は、枝分かれした複数の分岐部を有していてもよい。
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが硬化されることによって形成される。
図1、図2において、接続導体7は、第1の半導体層3、第2の半導体層4および上部電極層5を分断する溝内に設けられた導体である。接続導体7は、金属や導電ペースト等が用いられ得る。図1、図2においては、集電電極8を延伸して接続導体7が形成されているが、これに限定されない。例えば、上部電極層5が延伸したものであってもよい。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
1:基板
2、2a、2b、2c:下部電極層
C:光電変換層
3:第1の半導体層
4:第2の半導体層
5:上部電極層
7:接続導体
10:光電変換セル
11:光電変換装置

Claims (4)

  1. 下部電極層上に光電変換層および透光性の上部電極層が順に積層された光電変換装置であって、
    前記上部電極層は、炭素元素および酸化亜鉛を含む半導体であり、前記光電変換層側の部位に比べて前記光電変換層とは反対側の部位の方が炭素元素の濃度が高くなっている光電変換装置。
  2. 前記上部電極層を厚み方向に3等分し、前記光電変換層側から第1の部位、第2の部位および第3の部位としたときに、前記炭素元素の平均濃度が第1の部位<第2の部位<第3の部位となっている、請求項1に記載の光電変換装置。
  3. 前記上部電極層は、さらに不純物元素としてアルミニウム、ホウ素、ガリウム、インジウム、ふっ素およびスズのうちの少なくとも1つを含み、前記光電変換層とは反対側の部位に比べて前記光電変換層側の部位の方が前記不純物元素の濃度が高くなっている、請求項1または2に記載の光電変換装置。
  4. 前記上部電極層は、前記光電変換層とは反対側の部位に比べて前記光電変換層側の部位の方が平均の結晶粒径が小さくなっている、請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置。
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