JP2015099836A - 光電変換装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】 高抵抗層の機能の低下を低減し、光電変換効率を高く維持することが可能な光電変換装置を提供する。【解決手段】 下部電極層2上に第1導電型を有する光吸収層3、金属硫化物を含むバッファ層4、第1の金属酸化物を含む高抵抗層5および第2の金属酸化物を含み第1導電型とは異なる第2導電型を有する上部電極層6が順に積層された光電変換装置11であって、高抵抗層5は、第1部位5aと、第1部位5aよりも光吸収層3から離れているとともに第1部位5aよりも平均粒径が小さい第2部位5bとを具備している。【選択図】 図3
Description
本発明は、光吸収層上に高抵抗層を介して上部電極層が積層された光電変換装置に関する。
太陽光発電などに使用される光電変換装置として、基板の上に複数の光電変換セルが設けられたものがある。
このような光電変換装置は、ガラスなどの基板の上に、金属電極などの下部電極層と、I−III−VI族化合物等の光電変換層(光吸収層)と、CdS等のバッファ層と、ノンド
ープのZnO等の絶縁層(高抵抗層)と、アルミニウム(Al)がドープされたZnO等の透明電極(上部電極層)とが、この順に積層されている(例えば、特許文献1など)。
ープのZnO等の絶縁層(高抵抗層)と、アルミニウム(Al)がドープされたZnO等の透明電極(上部電極層)とが、この順に積層されている(例えば、特許文献1など)。
上記の光電変換装置ではリーク電流を低減するために高抵抗層が設けられている。しかしながら、上記光電変換装置では、製造時や使用時において、高抵抗層の上に積層されている上部電極層から金属元素(Al)が高抵抗層に拡散し易い傾向がある。その結果、高抵抗層の電気抵抗が低くなって高抵抗層の機能が低下し、光電変換効率を高く維持することが困難である。
また、上部電極層としてAlがドープされたZnOを用いた場合に限らず、他の材料(例えば、ホウ素(B)がドープされたZnO等)を用いた場合でも、同様にB等の金属元素が高抵抗層に拡散し易いという課題を有している。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、高抵抗層の機能の低下を低減し、光電変換効率を高く維持することが可能な光電変換装置を提供することを目的とする。
本発明の一態様に係る光電変換装置は、下部電極層上に第1導電型を有する光吸収層、金属硫化物を含むバッファ層、第1の金属酸化物を含む高抵抗層および第2の金属酸化物を含み前記第1導電型とは異なる第2導電型を有する上部電極層が順に積層された光電変換装置であって、前記高抵抗層は、第1部位と、該第1部位よりも前記光吸収層から離れているとともに前記第1部位よりも平均粒径が小さい第2部位とを具備している。
本発明によれば、高抵抗層の機能の低下を低減し、光電変換効率を高く維持することが可能となる。
以下に本発明の一実施形態に係る光電変換装置について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<光電変換装置の構造>
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図であり、図2はその断面図である。また、図3は光電変換装置の高抵抗層部分を更に拡大した部分拡大断面図である。光電変換装置11は、基板1上に複数の光電変換セル10が並べられて互いに電気的に接続されている。なお、図1においては図示の都合上、2つの光電変換セル10のみを示しているが、実際の光電変換装置11においては、図面左右方向、あるいはさらにこれに垂直な方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配設されていてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る光電変換装置の一例を示す斜視図であり、図2はその断面図である。また、図3は光電変換装置の高抵抗層部分を更に拡大した部分拡大断面図である。光電変換装置11は、基板1上に複数の光電変換セル10が並べられて互いに電気的に接続されている。なお、図1においては図示の都合上、2つの光電変換セル10のみを示しているが、実際の光電変換装置11においては、図面左右方向、あるいはさらにこれに垂直な方向に、多数の光電変換セル10が平面的に(二次元的に)配設されていてもよい。
図1、図2において、基板1上に複数の下部電極層2が平面配置されている。図1、図2において、複数の下部電極層2は、一方向に間隔をあけて並べられた下部電極層2a〜2cを具備している。この下部電極層2a上から基板1上を経て下部電極層2b上にかけて、第1導電型を有する光吸収層3、金属硫化物を含むバッファ層4、第1の金属酸化物を含む高抵抗層5および第2の金属酸化物を含み第2導電型を有する上部電極層6が順に積層されている。さらに、下部電極層2b上において、接続導体7が、光吸収層3、バッファ層4および高抵抗層5の側面に沿って、またはこれらを貫通して設けられている。この接続導体7は、上部電極層6と下部電極層2bとを電気的に接続している。これら下部電極層2、光吸収層3、バッファ層4、高抵抗層5および上部電極層6によって、1つの光電変換セル10が構成され、隣接する光電変換セル10同士が接続導体7を介して直列接続されることによって、高出力の光電変換装置11となる。なお、本実施形態における光電変換装置11は、上部電極層6側から光吸収層3へ光が入射されるものを想定しているが、これに限定されず、下部電極層2側から光吸収層3へ光が入射されるものであってもよい。
基板1は、光電変換セル10を支持するためのものである。基板1に用いられる材料としては、例えば、ガラス、セラミックス、樹脂および金属等が挙げられる。基板1としては、例えば、厚さ1〜3mm程度の青板ガラス(ソーダライムガラス)を用いることができる。
下部電極層2(下部電極層2a、2b、2c)は、基板1上に設けられた、Mo、Al、TiまたはAu等の導電体である。下部電極層2は、スパッタリング法または蒸着法などの公知の薄膜形成手法を用いて、0.2μm〜1μm程度の厚みに形成される。
光吸収層3は、光を吸収してキャリア(電子および正孔)を発生させる機能をする半導体層である。光吸収層3は、例えば1μm〜3μm程度の厚みであり、第1導電型(ここではp型の例を示す)を有している。第1の半導体層3としては、II−VI族化合物、I−III−VI族化合物およびI−II−IV−VI族化合物等の化合物半導体等が挙げられる。
II−VI族化合物とは、12族元素(II−B族元素ともいう)と16族元素(VI−B族元素ともいう)との化合物半導体である。II−VI族化合物としては、例えば、CdTe等が挙げられる。
I−III−VI族化合物とは、11族元素(I−B族元素ともいう)と13族元素(III−B族元素ともいう)と16族元素との化合物である。I−III−VI族化合物としては、例
えば、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、CISともいう)、Cu(In,Ga
)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、光吸収層3は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
えば、CuInSe2(二セレン化銅インジウム、CISともいう)、Cu(In,Ga
)Se2(二セレン化銅インジウム・ガリウム、CIGSともいう)、Cu(In,Ga)(Se,S)2(二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム、CIGSSともいう)が挙げられる。あるいは、光吸収層3は、薄膜の二セレン・イオウ化銅インジウム・ガリウム層を表面層として有する二セレン化銅インジウム・ガリウム等の多元化合物半導体薄膜にて構成されていてもよい。
I−II−IV−VI族化合物とは、11族元素と12族元素と14族元素(IV−B族元素ともいう)と16族元素との化合物である。I−II−IV−VI族化合物としては、例えば、Cu2ZnSnS4(CZTSともいう)、Cu2ZnSn(S,Se)4(CZTSSeともいう)、およびCu2ZnSnSe4(CZTSeともいう)が挙げられる。
光吸収層3は、スパッタリング法、蒸着法などのいわゆる真空プロセスによって形成可能であるほか、いわゆる塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスによって形成することもできる。塗布法あるいは印刷法と称されるプロセスは、光吸収層3の構成元素の錯体溶液を下部電極層2の上に塗布し、その後、乾燥・熱処理を行うプロセスである。
バッファ層4は、光吸収層3にヘテロ接合された、金属硫化物を含んだ半導体層であり、5〜200nmの厚みを有している。バッファ層4に含まれる金属硫化物としては、CdS、ZnS、In2S3等が挙げられる。なお、バッファ層4は、金属硫化物に加えて、金属酸化物および金属水酸化物を含む混晶であってもよい。バッファ層4は、例えば溶液析出法(CBD法)、ALD法、MOCVD法などで形成される。
高抵抗層5は、バッファ層4の上に設けられた、ZnOやIn2O3、SnO2等の第1の金属酸化物を含んだ半導体層である。高抵抗層5は上部電極層6よりも電気抵抗率が高い。これによって、光電変換セル10におけるリーク電流を低減することができる。具体的には、高抵抗層6の電気抵抗率は、例えば1〜6000Ω・cmであってもよい。
高抵抗層5は、図3に示すように、厚み方向において、第1部位5aと、この第1部位5aよりも光吸収層3から離れた位置に位置する第2部位5bとを有しており、第2部位5bの平均粒径は第1部位5aよりも小さくなっている。このような構成によって、上部電極層6から金属元素が拡散してきたとしても、第2部位5bによって有効に金属元素をトラップして、第1部位5aへの拡散を低減し、第1部位5aで高抵抗層の機能を良好に維持することができる。つまり、第2部位5bを構成する結晶粒は、平均粒径が小さいために総表面積が大きくなる。そして、結晶粒の表面には金属元素をトラップするトラップサイトが多く存在するため、総表面積の大きい第2部位5bではこのトラップサイトが多くなる。よって、上部電極層6から拡散してきた金属元素はこの第2部位5bで良好にトラップされることとなり、第1部位5aには金属元素が拡散され難いため、第1部位5aで電気抵抗率が低下するのを有効に低減できる。
第1部位5aと第2部位5bの結晶粒の平均粒径は、高抵抗層5の層に垂直な断面(バッファ層4と高抵抗層5との界面に垂直な断面)を走査型電子顕微鏡(SEM)によって観察し、このSEM画像から各部位における結晶粒の粒径を測定することによって求めることができる。なお、SEM画像において観察される結晶粒は、完全な円形状でない場合が多いが、その場合、1つの結晶粒における最大内径をこの結晶粒の粒径と見なすことによって求めればよい。
第2部位5bは、金属元素の拡散を良好に抑制するとともに光電変換によって生じたキャリアの上部電極層6への移動を良好にするという観点からは、結晶粒の平均粒径が5〜20nmで、厚みが15〜400nmであってもよい。また、第1部位5aは、高抵抗層としての機能を良好にして光電変換効率を高めるという観点からは、結晶粒の平均粒径が
第2部位5bの平均粒径の1.5〜6倍で、厚みが第2部位5bの厚みの0.5〜3倍であってもよい。
第2部位5bの平均粒径の1.5〜6倍で、厚みが第2部位5bの厚みの0.5〜3倍であってもよい。
また、高抵抗層5において、第2部位5bよりも第1部位5aの方が厚くてもよい。この場合、高抵抗層5の結晶性を良好にして、バッファ層4、高抵抗層5および上部電極層6の電気的な接合をより良好にすることができる。
このような第1部位5aおよび第2部位5bを有する高抵抗層5は、例えば化学気相成長法(CVD法)等を用いて作製可能である。このとき、成膜時の圧力(言い換えれば、成膜装置内の真空度)を変えることによって結晶粒の平均粒径を変えることが可能である。例えば、高抵抗層5としてZnOを作製する場合、ジエチル亜鉛を用いた有機金属気相成長法(MOCVD法)を用いて成膜する際、成膜時の圧力を低くするほど平均粒径の小さいZnO膜になる傾向がある。なお、高抵抗層5は第1部位5aと第2部位5bの2層に限定されず、第2部位5bの上にさらに第2部位5bよりも平均粒径の大きな第3部位を有していてもよい。この場合、第3部位は粒径が大きいために結晶性がより良好となり、上部電極層6と良好に接合することが可能となる。その結果、光電変換効率をより高めることができる。
上部電極層6は、光吸収層3の第1導電型とは異なる第2導電型を有する半導体層であり、0.05〜3.0μm程度の厚みの導電膜である。第1導電型がp型であれば第2導電型はn型であり、第1導電型がn型であれば第2導電型はp型である。上部電極層6は、光吸収層3で生じた電荷を良好に取り出すためのものであり、例えば、上部電極層6の電気抵抗率は1Ω・cm未満であり、シート抵抗は50Ω/□以下であってもよい。
上部電極層6は、ZnOやIn2O3、SnO2等の第2の金属酸化物を含み、電気抵抗率を低くするために、Al、B、Ga、InおよびF等のうちの何れかの元素が含まれても良い。このような元素が含まれた金属酸化物半導体の具体例としては、例えば、AZO(Aluminum Zinc Oxide)、BZO(Boron Zinc Oxide)、GZO(Gallium Zinc Oxide)、IZO(Indium Zinc Oxide)、ITO(Indium Tin Oxide)、FTO(Fluorine tin Oxide)等がある。上部電極層6は、スパッタリング法、蒸着法またはCVD法等で形成される。
上部電極層6に含まれる第2の金属酸化物は、高抵抗層5に含まれる第1の金属酸化物に他の金属元素が添加されたものであってもよい。この場合、結晶構造が近似するため、高抵抗層5と上部電極層6との接合性がより良好となる。このような例としては、第1の金属酸化物が12族元素の酸化物であり、第2の金属酸化物が13族元素を含む12族元素の酸化物であるものがある。より具体的には、第1の金属酸化物がZnOであり、第2の金属酸化物がAZOまたはBZOであるものが挙げられる。
また、図1、図2に示すように、上部電極層6上にさらに集電電極8が形成されていてもよい。集電電極8は、光吸収層3で生じた電荷をさらに良好に取り出すためのものである。集電電極8は、例えば、図1に示すように、光電変換セル10の一端から接続導体7にかけて線状に形成されている。これにより、光吸収層3で生じた電流が上部電極層6を介して集電電極8に集電され、接続導体7を介して隣接する光電変換セル10に良好に通電される。
集電電極8は、光吸収層3への光透過率を高めるとともに良好な導電性を有するという観点から、50〜400μmの幅を有していてもよい。また、集電電極8は、枝分かれした複数の分岐部を有していてもよい。
集電電極8は、例えば、Ag等の金属粉を樹脂バインダー等に分散させた金属ペーストがパターン状に印刷され、これが硬化されることによって形成される。
図1、図2において、接続導体7は、光吸収層3、バッファ層4、高抵抗層5および上部電極層6を分断する溝内に設けられた導体である。接続導体7は、金属や導電ペースト等が用いられ得る。図1、図2においては、集電電極8を延伸して接続導体7が形成されているが、これに限定されない。例えば、上部電極層6が延伸したものであってもよい。
なお、本発明は上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良などが可能である。
1:基板
2、2a、2b、2c:下部電極層
3:光吸収層
4:バッファ層
5:高抵抗層
5a:第1部位
5b:第2部位
6:上部電極層
7:接続導体
8:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
2、2a、2b、2c:下部電極層
3:光吸収層
4:バッファ層
5:高抵抗層
5a:第1部位
5b:第2部位
6:上部電極層
7:接続導体
8:集電電極
10:光電変換セル
11:光電変換装置
Claims (5)
- 下部電極層上に第1導電型を有する光吸収層、金属硫化物を含むバッファ層、第1の金属酸化物を含む高抵抗層および第2の金属酸化物を含み前記第1導電型とは異なる第2導電型を有する上部電極層が順に積層された光電変換装置であって、
前記高抵抗層は、第1部位と、該第1部位よりも前記光吸収層から離れているとともに前記第1部位よりも平均粒径が小さい第2部位とを具備している光電変換装置。 - 前記高抵抗層は、さらに前記第2部位よりも前記光吸収層から離れているとともに前記第2部位よりも平均粒径が大きい第3部位を具備している、請求項1に記載の光電変換装置。
- 前記第2部位よりも前記第1部位の方が厚い、請求項1または2に記載の光電変換装置。
- 前記第2の金属酸化物は、前記第1の金属酸化物に他の金属元素が添加されたものから成る、請求項1乃至3のいずれかに記載の光電変換装置。
- 前記第1の金属酸化物は12族元素の酸化物であり、前記第2の金属酸化物は13族元素を含む12族元素の酸化物である、請求項4に記載の光電変換装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013238609A JP2015099836A (ja) | 2013-11-19 | 2013-11-19 | 光電変換装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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