JP2014204589A - 電力変換装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】個々の半導体モジュールの冷却効率を適正化することができる電力変換装置を提供する。【解決手段】複数の半導体モジュール2および複数の冷却管3を積層した積層体10と、一対のパイプ4a,4bとを備える。一対のパイプ4a,4bは、複数の冷却管3のうち積層体10の積層方向(X方向)における一方の端部に位置する冷却管3aに接続している。一方のパイプ4aから冷媒11を導入することにより、冷媒11を個々の冷却管3へ分流させ、他方のパイプ4bから導出するよう構成してある。半導体モジュール2は、それぞれ別の電力変換回路を構成する複数のグループG(G1〜G3)に分けられている。半導体モジュール2の発熱量が高いグループGほど、一対のパイプ4a,4bに近い位置に配されている。【選択図】図1

Description

本発明は、半導体素子を内蔵する半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷却管とを積層した積層体を備える電力変換装置に関する。
例えば、直流電力と交流電力との間で電力変換を行うための電力変換装置として、半導体素子を内蔵する複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する複数の冷却管とを積層した積層体を備えたものが知られている(下記特許文献1参照)。
上記電力変換装置では、複数の冷却管のうち、積層体の積層方向における一端に位置する冷却管に、一対のパイプ(導入パイプ及び導出パイプ)を取り付けてある。また、積層方向に隣り合う2つの冷却管は、互いの間を冷媒が流れるように連結されている。上記導入パイプから冷媒を導入すると、冷媒は、個々の冷却管の内部を分流し、導出パイプから導出する。これにより、半導体モジュールを冷却するよう構成されている。
また、上記電力変換装置では、半導体モジュールを使って、互いに機能が異なる複数の電力変換回路を構成してある。電力変換回路としては、例えば、昇圧回路、インバータ回路、回生回路等がある。昇圧回路は、直流電圧を昇圧する回路である。インバータ回路は、昇圧した直流電圧を交流電圧に変換する。また、回生回路は、電力回生時に、交流電圧を直流電圧に変換し、バッテリーを充電するための回路である。
特開2007−281522号公報
しかしながら、上記電力変換装置は、半導体モジュール全体の冷却効率が必ずしも最適化されていないという問題がある。すなわち、例えばインバータ回路や昇圧回路は、動作頻度が比較的高いが、回生回路は動作頻度が低い。そのため、インバータ回路等の、動作頻度が高い電力変換回路を構成する半導体モジュールは、発熱量が多く、温度が高くなりやすい。また、動作頻度が低い電力変換回路の半導体モジュールは発熱量が低く、温度が低くなりやすい。半導体モジュール全体の冷却効率を最適化するためには、温度が高くなりやすい半導体モジュールほど強く冷却することが望ましいが、従来の電力変換装置は、このような工夫がされていなかった。
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたもので、個々の半導体モジュールの冷却効率を適正化することができる電力変換装置を提供しようとするものである。
本発明の一態様は、半導体素子を内蔵した複数の半導体モジュールと、該半導体モジュールを冷却する冷媒が流れる複数の冷却管とを積層した積層体と、
上記複数の冷却管のうち上記積層体の積層方向における一方の端部に位置する冷却管に接続した一対のパイプとを備え、
上記積層方向に隣り合う上記冷却管同士は、互いの間を上記冷媒が流れるよう連結されており、上記一対のパイプのうち一方のパイプから上記冷媒を導入することにより、該冷媒を個々の上記冷却管へ分流させ、他方の上記パイプから導出するよう構成され、
上記半導体モジュールは、それぞれ別の電力変換回路を構成する複数のグループに分けられており、該複数のグループは、上記積層方向に配列しており、
上記半導体モジュールの発熱量が高い上記グループほど、上記一対のパイプに近い位置に配されていることを特徴とする電力変換装置にある。
上記電力変換装置においては、上記半導体モジュールは、それぞれ別の電力変換回路を構成する複数のグループに分けられている。そして、半導体モジュールの発熱量が高いグループほど、上記一対のパイプに近い位置に配置してある。
そのため、個々の半導体モジュールの冷却効率を適正化することができる。すなわち、上記電力変換装置では、上記一方のパイプから冷媒を導入することにより、冷媒を、個々の冷却管に分流させ、他方のパイプから導出させている。これにより、冷媒と半導体モジュールとの間で熱交換を行い、半導体モジュールを冷却している。この構成では、パイプに近い位置に存在する冷却管ほど、冷媒の圧力損失が小さいため、冷媒が速く流れ、半導体モジュールの冷却効率が高い。
上記電力変換装置では、発熱量が高いグループほど、パイプに近い位置、すなわち冷却効率が高い位置に配置してある。そのため、発熱量が高いグループを構成する半導体モジュールを強く冷却できる。そのため、個々の半導体モジュールの冷却効率を適正化することができる。
また、上記電力変換装置は、半導体モジュールを小型化することができる。すなわち、小型の半導体モジュールは比較的発熱量が高いが、上記構成を採用すると、半導体モジュールを冷却しやすくなるため、小型の半導体モジュールでも使用することが可能になる。小型の半導体モジュールは安価であるため、これを使用することにより、電力変換装置の製造コストを下げることが可能になる。
また、上記構成を採用すると、半導体モジュールの温度を下げやすくなる。半導体モジュールは温度が低い方が損失を低減できるため、電力変換装置全体の電力ロスを減少させることが可能になる。
以上のごとく、本発明によれば、個々の半導体モジュールの冷却効率を適正化することができる電力変換装置を提供することができる。
実施例1における、電力変換装置の平面図であって、半導体モジュールのグループを表したもの。 実施例1における、電力変換装置の回路図。 図1のIII-III断面図。 図1のIV-IV断面図。 図3のV矢視図。 図3のVI-VI断面図。 実施例1における、半導体モジュール内の詳細な構成を説明するための図。 実施例2における、電力変換装置の回路図。 実施例2における、電力変換装置の平面図。 実施例3における、電力変換装置の回路図。 実施例3における、電力変換装置の平面図。
上記電力変換装置は、例えば電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載するための、車載用電力変換装置とすることができる。
また、上記半導体モジュールのスイッチング動作を制御する制御回路部を有し、上記複数のグループのうち、上記パイプに最も近い上記グループである近接グループは、上記半導体モジュールを3段以上積層して構成してあり、上記近接グループよりも上記パイプから遠い位置に配された上記グループである遠方グループは、上記半導体モジュールを2段以上積層して構成してあり、上記制御回路部は、個々の上記グループにおいて上記パイプから上記積層方向に最も離れた上記半導体モジュール以外であって、かつ上記積層体を構成する複数の上記半導体モジュールのうち上記パイプに最も近いもの以外の、特定の上記半導体モジュールに内蔵した温度センサを用いて、各上記グループの代表となる温度を検出し、その検出値を使って、各上記グループを構成する個々の上記半導体モジュールのスイッチング動作を制御することが好ましい。
この場合には、各グループ内の半導体モジュールを冷却しやすくなる。そのため、半導体モジュールを小型化でき、低コスト化できると共に、半導体モジュールの損失を低減しやすくなる。すなわち、各グループにおいてパイプから積層方向に最も離れた半導体モジュールは、発熱量が低いグループに隣接しているため、温度が低くなりやすい。また、全ての半導体モジュールのうちパイプに最も近い半導体モジュールは、積層方向におけるパイプ側に隣の半導体モジュールが存在しないため、温度が低くなりやすい。そのため、仮に、この温度が低くなりやすい半導体モジュール内の温度センサを使って温度を検出したとすると、制御回路部が温度を低く認識してしまうため、グループ内の他の半導体モジュールの温度は高くても、それを反映したスイッチング制御ができなくなってしまう。つまり、半導体モジュールに流れる電流を低減する制御を、制御回路部が行わなくなる。そのため、半導体モジュールを適切に冷却できなくなる。
したがって、この、温度が低くなりやすい上記半導体モジュール以外の半導体モジュールに内蔵した温度センサを使って、温度を検出することにより、制御回路部が、グループ内の半導体モジュールの温度を高めに認識することが可能になる。したがって、制御回路部が、半導体モジュールに流れる電流を低減する制御を行うようになる。これにより、半導体モジュールを適切に冷却することが可能になる。
また、上記複数のグループの半導体モジュールに共通して接続するコンデンサを備え、上記一対のパイプに最も近い上記グループを構成する個々の上記半導体モジュールと上記コンデンサとの間の電流経路の長さは、いずれも、他の上記グループを構成する個々の上記半導体モジュールと上記コンデンサとの間の電流経路の最短距離よりも短いことが好ましい。
この場合には、パイプに最も近いグループ(近接グループ)を構成する半導体モジュールとコンデンサとの間の電流経路の長さが短いため、この電流経路につく寄生インダクタンスを小さくすることができる。そのため、近接グループを構成する半導体モジュールに加わるサージ電圧を小さくすることができる。近接グループ内の半導体モジュールは、動作頻度が高いため、サージ電圧によって素子が劣化するおそれが最も高いが、上記構成を採用すると、この近接グループ内の半導体モジュールに加わるサージ電圧を低減でき、信頼性を高めることができる。また、半導体モジュールのスイッチング速度を上げることが可能になるため、半導体素子を小型化及び低コスト化でき、また、損失を低減することが可能になる。
(実施例1)
上記電力変換装置に係る実施例について、図1〜図7を用いて説明する。図1に示すごとく、本例の電力変換装置1は、複数の半導体モジュール2と複数の冷却管3とを積層した積層体10と、一対のパイプ4(4a,4b)とを備える。半導体モジュール2は、半導体素子24(図2参照)を内蔵している。冷却管3の内部には、冷媒11が流れる。この冷却管3を使って、半導体モジュール2を冷却している。
一対のパイプ4a,4bは、複数の冷却管3のうち積層体10の積層方向(X方向)における一方の端部に位置する冷却管3aに接続している。
X方向に隣り合う冷却管3同士は、互いの間を冷媒11が流れるよう連結されている。一方のパイプ4(導入パイプ4a)から冷媒11を導入することにより、冷媒11を個々の冷却管3へ分流させ、他方のパイプ4(導出パイプ4b)から導出するよう構成されている。これにより、半導体モジュール2を冷却している。
半導体モジュール2は、それぞれ別の電力変換回路Cを構成する複数のグループG(G1〜G3)に分けられている。複数のグループG1〜G3は、X方向に配列している。
半導体モジュール2の発熱量が高いグループGほど、一対のパイプ4a,4bに近い位置に配されている。
本例の電力変換装置1は、電気自動車やハイブリッド車等の車両に搭載される、車載用電力変換装置1である。
図2に示すごとく、個々の半導体モジュール2は、1個のIGBT素子24aと、1個のフリーホイールダイオード24bとを内蔵している。フリーホイールダイオード24bは、IGBT素子24aに逆並列接続している。本例では、この半導体モジュール2を使って、インバータ回路C1と、昇圧回路C2と、回生回路C3との、3つの電力変換回路Cを構成してある。インバータ回路C1は、第1グループG1(図1参照)を構成する半導体モジュール2からなる。昇圧回路C2は、第2グループG2を構成する半導体モジュール2からなる。また、回生回路C3は、第3グループG3を構成する半導体モジュール2からなる。
本例では、昇圧回路C2を使って、直流電源14の直流電圧を昇圧し、この昇圧後の直流電圧を、コンデンサ6によって平滑化している。また、本例では、インバータ回路C1を使って直流電圧を交流電圧に変換し、この交流電圧を使って、三相交流モータ15を駆動させている。これにより、上記車両を走行させている。車両を停止する際には、発電機16によって発生した交流電力を、回生回路C3によって直流電力に変換し、直流電源14を充電するよう構成されている。
これら3つの電力変換回路C(C1〜C3)のうち、半導体モジュール2の発熱量が最も高いのはインバータ回路C1であり、2番目に高いのは昇圧回路C2である。また、発熱量が最も低いのは回生回路C3である。電力を回生するのは、車両を停止する時のみなので、回生回路C3の動作頻度は低く、半導体モジュール2の発熱量も低い。
また、昇圧回路C2を使って直流電圧を昇圧するときは、昇圧回路C2の下アームIGBT素子242のみをオンオフし、上アームIGBT素子241はオフにする。上アームIGBT素子241は、電力回生時のみオンになる。そのため、上アームIGBT素子241は、下アームIGBT素子242よりも発熱量が少ない。
一方、図3に示すごとく、本例の半導体モジュール2は、上記半導体素子24を封止する本体部20と、該本体部20から突出した制御端子21及びパワー端子22を備える。制御端子21には制御回路基板5(制御回路部50)が接続している。この制御回路基板5によって、半導体モジュール2のスイッチング動作を制御している。また、パワー端子22には、正極端子22aと、負極端子22bと、交流端子22cとがある。正極端子22aおよび負極端子22bは、バスバー8(8a,8b)を介して、コンデンサ6(図5、図6参照)に接続している。また、交流端子22cにも、図示しない別のバスバーが接続される。
図1に示すごとく、制御端子21の突出方向(Z方向)とX方向との双方に直交する幅方向(Y方向)における、冷却管3の両端部に、連結管13を取り付けてある。この連結管13によって、X方向に隣り合う2つの冷却管3を、互いの間に冷媒11が流れるように接続してある。
また、本例の電力変換装置1は、積層体10を固定するためのフレーム7を備える。フレーム7は、アルミニウム等の金属からなり、積層体10を収容する積層体収容部70と、コンデンサ6を収容するコンデンサ収容部71とを備える。コンデンサ6は、Z方向から見たときに、一対のパイプ4a,4bの間に位置している。
フレーム7の側壁73と積層体10との間には、加圧部材12(板ばね)が介在している。この加圧部材12を使って、積層体10をコンデンサ収容部71へ向けて押圧している。これにより、半導体モジュール2と冷却管3との接触圧を維持しつつ、積層体10をフレーム7内に固定している。
一方、図7に示すごとく、半導体モジュール2は、温度センサ23を内蔵している。温度センサ23は、複数個のダイオードを直列接続したものである。温度センサ23には、制御端子21が接続している。制御端子21は、上述したように、制御回路基板5に接続している。制御回路基板5は、温度センサ23を使って、半導体モジュール2の温度を測定する。そして、半導体モジュール2の温度が高くなりすぎた場合には、グループG内の全ての半導体モジュール2に流れる電流を低減させる制御等を行う。
一方、図1に示すごとく、グループGには、パイプ4に最も近いグループGである近接グループG1と、それよりもパイプ4から遠い位置に配された2つの遠方グループG2,G3とがある。上記制御回路基板5は、複数のグループG(G1〜G3)それぞれについて、半導体モジュール2のスイッチング動作を制御している。制御回路基板5は、個々のグループG1〜G3においてパイプ4からX方向に最も離れた半導体モジュール2f,2i,2m以外であって、かつ全ての半導体モジュール2のうちパイプ4に最も近い半導体モジュール2a以外の、特定の半導体モジュール2e,2h,2kに内蔵した温度センサ23を用いて、各グループGの代表となる温度を検出する。温度を測定する半導体モジュール2は、半導体モジュール2b〜2e,2g,2h,2j,2kから選択されたものである。
制御回路基板5は、例えば一方の遠方グループG2については、該遠方グループG2に含まれる複数の半導体モジュール2g,2h,2iのうち、X方向においてパイプ4から最も離れた半導体モジュール2i以外の、特定の半導体モジュール2hに内蔵された温度センサ23を用いて、遠方グループG2の代表となる温度を検出する。そして、その検出値を使って、遠方グループG2を構成する個々の半導体モジュール2のスイッチング動作を制御する。他方の遠方グループG3についても同様に、パイプ4から最も離れた半導体モジュール2m以外の、特定の半導体モジュール2kを用いて、遠方グループG3の代表となる温度を検出する。
なお、本例では、遠方グループG2に含まれる複数の半導体モジュール2g,2h,2iのうち、パイプ4から最も離れた半導体モジュール2iの隣に位置する半導体モジュール2hを使って、温度を測定しているが、さらにその隣の半導体モジュール2gを使ってもよい。同様に、他方の遠方グループG3については、半導体モジュール2jを使ってもよい。
また、本例の半導体モジュール2には、冷媒11の上流に位置する半導体モジュール2a’〜2m’と、下流に位置する半導体モジュール2a〜2mとがあり、そのうち、冷媒11の下流に位置する半導体モジュール2h,2kに内蔵した温度センサ23を使って、温度を測定している。これは、冷媒11の下流の方が、温度が高くなりやすいため、半導体モジュール2の温度を厳しく検出できるからである。
また、制御回路基板5は、近接グループG1については、該近接グループG1に含まれる複数の半導体モジュール2a〜2fのうち、X方向においてパイプ4から最も離れた半導体モジュール2fと、パイプ4に最も近い半導体モジュール2a以外の、特定の半導体モジュール2eに内蔵された温度センサ23を用いて、近接グループG1の代表となる温度を検出している。そして、その検出値を使って、近接グループGを構成する個々の半導体モジュール2のスイッチング動作を制御している。
なお、本例では、近傍グループG1については、上記半導体モジュール2eを使って温度を検出しているが、上記2つの半導体モジュール2a,2fの間に存在する半導体モジュール2b〜2eのいずれを用いてもよい。
一方、図5に示すごとく、半導体モジュール2の正極端子22aは、正極バスバー8aを介して、コンデンサ6の正端子61に電気接続している。正極バスバー8aは、板状の本体部80と、該本体部80からY方向に延出し正極端子22aに接続する櫛歯状部81と、本体部80からX方向に延出しコンデンサ6の正端子61に接続するコンデンサ接続部82とを有する。
個々の半導体モジュール2の正極端子22aと、コンデンサ6の正端子61との間に、電流が流れる。近接グループG1を構成する個々の半導体モジュール2(2a〜2f)とコンデンサ6との電流経路R(R1〜R6)の長さは、いずれも、他のグループG2,G3を構成する個々の半導体モジュール2(2g〜2m)とコンデンサ6との間の電流経路R(R7〜R12)の最短距離(R7の長さ)よりも短い。
また、図6に示すごとく、半導体モジュール2の負極端子22bは、負極バスバー8bを介して、コンデンサ6の負端子62と接続している。負極バスバー8bの構造は、正極バスバー8aの構造と略同じであるので、説明を省略する。
本例の作用効果について説明する。図1に示すごとく、本例においては、半導体モジュール2は、それぞれ別の電力変換回路C(C1〜C3)を構成する複数のグループG(G1〜G3)に分けられている。そして、半導体モジュール2の発熱量が高いグループGほど、一対のパイプ4に近い位置に配置してある。
そのため、個々の半導体モジュール2の冷却効率を適正化することができる。すなわち、本例の電力変換装置1では、導入パイプ4aから冷媒11を導入することにより、冷媒11を、個々の冷却管3に分流させ、導出パイプ4bから導出させている。これにより、冷媒11と半導体モジュール2との間で熱交換を行い、半導体モジュール2を冷却している。この構造では、パイプ4a,4bに近い位置に存在する冷却管3ほど、冷媒11の圧力損失が小さいため、冷媒11が速く流れ、半導体モジュール2の冷却効率が高い。
本例では、発熱量が高いグループGほど、パイプ4に近い位置、すなわち冷却効率が高い位置に配置してある。そのため、発熱量が高いグループGを構成する半導体モジュール2を強く冷却できる。そのため、個々の半導体モジュール2の冷却効率を適正化することができる。
また、本例では、半導体モジュール2を小型化することができる。小型の半導体モジュール2は比較的発熱量が高いが、本例では、半導体モジュール2を冷却しやすいため、小型の半導体モジュール2でも用いることができる。小型の半導体モジュール2は安価であるため、電力変換装置1の製造コストを低減することが可能になる。また、電力変換装置1を全体的に小型化することができる。
また、本例では、半導体モジュール2の温度を下げやすくなる。半導体モジュール2は温度が低い方が損失を低減できるため、電力変換装置全体の電力ロスを減少させることが可能になる。
また、本例の制御回路基板5は、個々のグループGにおいてパイプ4からX方向に最も離れた半導体モジュール2f,2i,2m以外であって、かつ積層体10を構成する複数の半導体モジュール2のうちパイプ4に最も近いもの2a以外の、特定の半導体モジュール2e,2h,2kに内蔵した温度センサ23を用いて、各グループGの代表となる温度を検出する。そして、その検出値を使って、各グループGを構成する個々の半導体モジュール2のスイッチング動作を制御する。
このようにすると、各グループG内の半導体モジュール2を冷却しやすくなる。そのため、半導体モジュール2を小型化でき、低コスト化できると共に、半導体モジュール2の損失を低減しやすくなる。すなわち、各グループGにおいてパイプ4からX方向に最も離れた半導体モジュール2f,2i,2mは、発熱量が低いグループGに隣接しているため、温度が低くなりやすい。また、全ての半導体モジュール2のうちパイプ4に最も近い半導体モジュール2aは、X方向におけるパイプ4側に隣の半導体モジュール2が存在しないため、温度が低くなりやすい。そのため、仮に、この温度が低くなりやすい半導体モジュール2a,2f,2i,2m内の温度センサ23を使って温度を検出したとすると、制御回路基板5が温度を低く認識してしまうため、グループG内の他の半導体モジュール2の温度は高くても、それを反映したスイッチング制御ができなくなってしまう。つまり、半導体モジュール2に流れる電流を低減する制御を、制御回路基板5が行わなくなる。そのため、半導体モジュール2を適切に冷却できなくなる。
したがって、この、温度が低くなりやすい上記半導体モジュール2a,2f,2i,2m以外の半導体モジュール2b〜2e,2g,2h,2j,2kに内蔵した温度センサ23を使って、温度を検出することにより、制御回路基板5が、グループG内の半導体モジュール2の温度を高めに認識することが可能になる。したがって、制御回路基板5が、半導体モジュール2に流れる電流を低減する制御を行うようになる。これにより、半導体モジュール2を適切に冷却することが可能になる。
また、本例の半導体モジュール2には、冷媒11の上流側に配された半導体モジュール2a’〜2m’と、下流側に配された半導体モジュール2a〜2mとがある。本例では、下流側に配された半導体モジュール2e,2h、2kを用いて、温度を検出している。下流側に配された半導体モジュール2は、上流側に配された半導体モジュール2よりも温度が高いため、制御回路基板5が半導体モジュール2の温度を高めに認識することが可能になる。そのため、各グループG内の半導体モジュール2を冷却しやすくなる。
また、図5に示すごとく、本例では、近接グループG1を構成する個々の半導体モジュール2(2a〜2f)とコンデンサ6との間の電流経路R(R1〜R6)の長さは、いずれも、他のグループG2,G3を構成する個々の半導体モジュール2(2g〜2m)とコンデンサ6との間の電流経路R(R7〜R12)の最短距離よりも短い。
このようにすると、近接グループG1を構成する半導体モジュール2とコンデンサ6との間の電流経路Rの長さが短いため、この電流経路Rにつく寄生インダクタンスを小さくすることができる。そのため、近接グループG1を構成する半導体モジュール2に加わるサージ電圧を小さくすることができる。近接グループG1内の半導体モジュール2は、動作頻度が高いため、サージ電圧によって素子が劣化するおそれが最も高いが、上記構成によって、この近接グループG1内の半導体モジュール2に加わるサージ電圧を低減でき、信頼性を高めることができる。また、半導体モジュール2のスイッチング速度を上げることが可能になるため、半導体素子24を小型化及び低コスト化でき、また、損失を低減することが可能になる。
以上のごとく、本例によれば、個々の半導体モジュールの冷却効率を適正化することができる電力変換装置を提供することができる。
なお、本例では、図1に示すごとく、フレーム7の側壁73と積層体10との間に加圧部材12を設けたが、これに限るものではなく、コンデンサ収容部71と積層体1の間に加圧部材12を設けてもよい。この場合、積層体10は、側壁73に向けて押圧されることになる。
また、本例では、図3に示すごとく、半導体モジュール2を制御するための制御回路部50として、制御端子21に接続した制御回路基板5を用いたが、これに限るものではなく、外付けの制御回路装置を用いてもよい。
(実施例2)
本例は、電力変換装置1の回路構成を変更した例である。図8に示すごとく、本例では、半導体モジュール2を2つのグループG1,G2に分けてある。一方のグループG1の半導体モジュール2は第1インバータ回路C1を構成しており、他方のグループG2の半導体モジュール2は第2インバータ回路C2を構成している。本例では、三相交流モータ15の消費電力が低いときは、第1インバータ回路C1のみを使って、三相交流モータ15に交流電力を供給する。また、三相交流モータ15の消費電力が高くなったときは、第1インバータ回路C1と第2インバータ回路C2との双方を用いて、三相交流モータ15に交流電力を供給する。
このように構成してあるため、第1インバータ回路C1(一方のグループG1)を構成する半導体モジュール2は、第2インバータ回路C2(他方のグループG2)を構成する半導体モジュール2よりも動作頻度が高く、発熱量が高い。そのため、本例では図9に示すごとく、一方のグループG1をパイプ4に近い位置に配置し、他方のグループG2をパイプ4から遠い位置に配置してある。したがって、発熱量が高い、一方のグループG1を構成する半導体モジュール2を強く冷却できる。そのため、個々の半導体モジュール2の冷却効率を適正化できる。
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
(実施例3)
本例は、電力変換装置1の回路構成を変更した例である。本例では、半導体モジュール2を2つのグループG(G1,G2)に分けてある。一方のグループG1は第1昇圧回路C1を構成しており、他方のグループG2は第2昇圧回路C2を構成している。これらの昇圧回路C1,C2は、インバータ装置17に接続している。このインバータ装置17によって、昇圧後の直流電圧を交流電圧に変換し、三相交流モータ15を駆動させている。
三相交流モータ15の消費電力が低いときは、第1昇圧回路C1のみを用いて、インバータ装置17に直流電力を供給する。三相交流モータ15の消費電力が高くなったときは、第1昇圧回路C1と第2昇圧回路C2の双方を用いて、インバータ装置17に直流電力を供給する。
このように構成してあるため、第1昇圧回路C1(一方のグループG1)を構成する半導体モジュール2は、第2昇圧回路C2(他方のグループG2)を構成する半導体モジュール2よりも動作頻度が高く、発熱量が高い。そのため、本例では図11に示すごとく、一方のグループG1をパイプ4に近い位置に配置し、他方のグループG2をパイプ4から遠い位置に配置してある。したがって、発熱量が高い、一方のグループG1を構成する半導体モジュール2を強く冷却できる。そのため、個々の半導体モジュール2の冷却効率を最適化することができる。
また、昇圧回路C1,C2を使って直流電圧を昇圧するときには、下アームIGBT素子242をオンオフ動作し、上アームIGBT素子241はオフにしておく。そのため、下アームIGBT素子242を内蔵する半導体モジュール2は発熱しやすく、上アームIGBT素子241を内蔵する半導体モジュール2は発熱しにくい。本例では図11に示すごとく、制御回路基板5を使って半導体モジュール2e’,2k’の温度を検出している。これらの半導体モジュール2e’,2k’は、下アームIGBT素子242を内蔵している。そのため制御回路基板5は、より発熱しやすい、下アームIGBT素子242を内蔵した半導体モジュール2e’,2k’の温度を検出することができる。したがって、制御回路基板5は、各グループG1,G2内の半導体モジュール2の温度を高めに認識することができる。そのため、半導体モジュール2に流れる電流を低減する制御を制御回路基板5が行いやすくなり、半導体モジュール2を冷却しやすくなる。
その他は、実施例1と同様である。また、本例に関する図面に用いた符号のうち、実施例1において用いた符号と同一のものは、特に示さない限り、実施例1と同様の構成要素等を表す。
1 電力変換装置
10 積層体
11 冷媒
2 半導体モジュール
24 半導体素子
3 冷却管
4 パイプ
G グループ

Claims (3)

  1. 半導体素子(24)を内蔵した複数の半導体モジュール(2)と、該半導体モジュール(2)を冷却する冷媒(11)が流れる複数の冷却管(3)とを積層した積層体(10)と、
    上記複数の冷却管(3)のうち上記積層体(10)の積層方向における一方の端部に位置する冷却管(3)に接続した一対のパイプ(4,4a,4b)とを備え、
    上記積層方向に隣り合う上記冷却管(3)同士は、互いの間を上記冷媒(11)が流れるよう連結されており、上記一対のパイプ(4a,4b)のうち一方のパイプ(4a)から上記冷媒(11)を導入することにより、該冷媒(11)を個々の上記冷却管(3)へ分流させ、他方の上記パイプ(4b)から導出するよう構成され、
    上記半導体モジュール(2)は、それぞれ別の電力変換回路を構成する複数のグループ(G)に分けられており、該複数のグループ(G)は、上記積層方向に配列しており、
    上記半導体モジュール(2)の発熱量が高い上記グループ(G)ほど、上記一対のパイプ(4a,4b)に近い位置に配されていることを特徴とする電力変換装置(1)。
  2. 請求項1に記載の電力変換装置(1)において、上記半導体モジュール(2)のスイッチング動作を制御する制御回路部(5,50)を有し、上記複数のグループ(G)のうち、上記パイプ(4)に最も近い上記グループ(G)である近接グループ(G1)は、上記半導体モジュール(2)を3段以上積層して構成してあり、上記近接グループ(G1)よりも上記パイプ(4)から遠い位置に配された上記グループ(G)である遠方グループ(G2,G3)は、上記半導体モジュール(2)を2段以上積層して構成してあり、上記制御回路部(5,50)は、個々の上記グループ(G)において上記パイプ(4)から上記積層方向に最も離れた上記半導体モジュール(2f,2i,2m)以外であって、かつ上記積層体(10)を構成する複数の上記半導体モジュール(2)のうち上記パイプ(4)に最も近いもの(2a)以外の、特定の上記半導体モジュール(2e,2h,2k)に内蔵した温度センサ(23)を用いて、各上記グループ(G)の代表となる温度を検出し、その検出値を使って、各上記グループ(G)を構成する個々の上記半導体モジュール(2)のスイッチング動作を制御することを特徴とする電力変換装置(1)。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電力変換装置(1)において、上記複数のグループ(G)の半導体モジュール(2)に共通して接続するコンデンサ(6)を備え、上記一対のパイプ(4a,4b)に最も近い上記グループ(G1)を構成する個々の上記半導体モジュール(2)と上記コンデンサ(6)との間の電流経路(R1〜R6)の長さは、いずれも、他の上記グループ(G2,G3)を構成する個々の上記半導体モジュール(2)と上記コンデンサ(6)との間の電流経路(R7〜R12)の最短距離よりも短いことを特徴とする電力変換装置(1)。
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