以下、本発明を実施するための形態について、図面に基づいて説明する。なお、特に明示しない限り、「接続する」という場合には電気的に接続することを意味する。各図は、本発明を説明するために必要な要素を図示し、実際の全要素を図示しているとは限らない。上下左右等の方向を言う場合には、図面の記載を基準とする。英数字の連続符号は、符号が存在する限りにおいて記号「〜」を用いて略記する。例えば、図1における「スイッチング素子Q14〜Q26」は「スイッチング素子Q14,Q15,Q16,Q24,Q25,Q26」を意味する。駆動相切替処理の終了には、括弧書きで示すように上位ルーチンに戻るリターンを含む。
〔実施の形態1〕
実施の形態1は図1〜図9を参照しながら説明する。図1に示す電源システム10Aは、電源システム10の一例である。電源システム10Aは昇圧コンバータ20Aを含み、電力源Eから供給される直流電力を昇圧してインバータ30に出力する機能を担う。インバータ30は、昇圧コンバータ20Aから出力される直流電力を交流電力に変換し、負荷に相当する回転電機40に出力する。回転電機40には、回転情報θを制御装置50に出力する回転センサ41を備える。本形態の回転センサ41には、回転角センサの一例であるレゾルバを適用する。
電源システム10Aは、昇圧コンバータ20A、制御装置50、リアクトルL1,L2、電流センサA1,A2、温度センサTAなどを有する。電源システム10Aの入力側には、入力電力を平滑にするコンデンサC1を介して電力源Eが接続される。電力源Eの具体例については後述する。電源システム10Aの出力側には、出力を平滑にするコンデンサC2を介してインバータ30が接続される。
昇圧コンバータ20Aは、昇圧コンバータ20の一例である。本形態の昇圧コンバータ20Aは、複数のコンバート部21,22を有する。複数のコンバート部21,22は並列に接続される。
コンバート部21は、ダイオードD11,D12,D13や、半導体モジュールM14,M15,M16などを有する。ダイオードD11,D12,D13は並列接続される。半導体モジュールM14,M15,M16は並列接続される。並列接続されたダイオードD11,D12,D13と、並列接続された半導体モジュールM14,M15,M16とは、接続点P1を介して直列接続される。ダイオードD11,D12,D13のカソード側は、それぞれインバータ30に接続される。
半導体モジュールM14は、スイッチング素子Q14とダイオードD14とを含んで並列接続される。半導体モジュールM15は、スイッチング素子Q15とダイオードD15とを含んで並列接続される。半導体モジュールM16は、スイッチング素子Q16とダイオードD16とを含んで並列接続される。半導体モジュールM14,M15,M16は、ダイオードD14,D15,D16のアノード側でそれぞれグラウンドGに接続される。グラウンドGは共通電位であり、必ずしも0[V]とは限らない。接地されたグラウンドGは0[V]になる。
コンバート部22は、ダイオードD21,D22,D23や、半導体モジュールM24,M25,M26などを有する。ダイオードD21,D22,D23は並列接続される。半導体モジュールM24,M25,M26は並列接続される。並列接続されたダイオードD21,D22,D23と、並列接続された半導体モジュールM24,M25,M26とは、接続点P2を介して直列接続される。半導体モジュールM24は、スイッチング素子Q24とダイオードD24とを含んで並列接続される。半導体モジュールM25は、スイッチング素子Q25とダイオードD25とを含んで並列接続される。半導体モジュールM26は、スイッチング素子Q26とダイオードD26とを含んで並列接続される。半導体モジュールM24,M25,M26は、ダイオードD24,D25,D26のアノード側でそれぞれグラウンドGに接続される。
上述したダイオードD11〜D23と半導体モジュールM14〜M26は、それぞれが「半導体素子部」に相当する。ダイオードD11〜D23は上アームに配置され、半導体モジュールM14〜M26は下アームに配置される。
温度センサTAは、半導体モジュールM25に含まれるスイッチング素子Q25の温度を検出し、検出温度Tmとして制御装置50に伝達する。
電力源Eのプラス側は、接続点P1との間にリアクトルL1が接続され、接続点P2との間にリアクトルL2が接続される。リアクトルL1を流れる電流は電流センサA1が検出し、電流IL1として制御装置50に伝達する。リアクトルL2を流れる電流は電流センサA2が検出し、電流IL2として制御装置50に伝達する。電力源Eのマイナス側はグラウンドGに接続される。
制御装置50は、昇圧コンバータ20Aを含めた電源システム10Aの作動を全体的に司る。すなわち入力される入力情報に基づいて、昇圧コンバータ20Aに備えるスイッチング素子Q14〜Q26などを個別にオン/オフの制御を行う制御信号Scを出力する。入力情報には、外部装置60との間で相互に伝達される制御情報T*や、電力源Eから伝達される出力情報Seや、電流センサA1,A2で検出された電流IL1,IL2、温度センサTAで検出された検出温度Tm、インバータ30から伝達される電圧情報Svや状態情報Ss、回転センサ41で検出された回転情報θなどが該当する。制御装置50の構成例については後述する。外部装置60は、例えばECUやコンピュータ等が該当する。
制御情報T*には、昇圧コンバータ20から出力する電圧や電流、回転電機40の回転数やトルクなどのうちで一以上を含む。出力情報Seには、出力可能な電力,電圧,電流などのうちで一以上を含む。電圧情報Svには、インバータ30の入力側電圧に相当する昇圧前電圧VLや、出力側電圧に相当する昇圧後電圧VHなどを含む。状態情報Ssには、インバータ30に関する状態に相当する正常状態や異常状態などを含む。回転情報θには、回転位置,回転角度,回転速度などのうちで一以上を含む。
図2の電力源Eは、燃料電池E1,太陽電池E2,リチウムイオン電池E3,鉛蓄電池E4などのうちで一以上を含む。燃料電池E1と太陽電池E2は電力を出力できる一次電池に相当する。リチウムイオン電池E3と鉛蓄電池E4は電力の放電と蓄電ができる二次電池に相当する。本形態の電源システム10Aと、後述する実施の形態2の電源システム10Bは、力行は行えるものの、回生が行えない点で、燃料電池E1や太陽電池E2のような一次電池が適する。
図3に示す制御装置50は、キャリア波生成部51,温度推定部52,切替制御部53などを含む。キャリア波生成部51は、スイッチング素子Q14〜Q26のオン/オフを行う際に参照するキャリア波CWを生成する。キャリア波CWの波形は任意であり、例えば三角波や鋸波などが該当する。
温度推定部52は、温度センサTAが設けられていないコンバート部21,22に含まれるスイッチング素子Q14,Q15,Q16,Q24,Q26についてそれぞれの推定温度Teを推定する。本形態の温度推定部52は、検出温度Tmと電流IL1,IL2に基づいて、コンバート部21に含まれるスイッチング素子Q14〜Q16の推定温度Teを推定する。推定温度Teの推定方法は任意である。以下に示す検出値やスイッチング素子の熱抵抗などに基づいて推定温度Teを算出すると、高精度で求めることができる。
例えば推定温度Teとの関係について、検出温度Tm、電流IL1,IL2、キャリア周波数f、スイッチング素子Q14〜Q16の熱抵抗を、テーブルやマップ等に記録したり、関数式で定義したりしておくとよい。
また、(推定温度Te)=(スイッチング素子熱抵抗)×(スイッチング素子で発生する損失)の算出式で求めてもよい。当該算出式におけるスイッチング素子は、本形態ではコンバート部21,22に含まれるスイッチング素子Q14,Q15,Q16,Q24,Q26に相当する。スイッチング素子の熱抵抗と損失は、いずれも出荷時の検査データの学習や、制御装置50に含まれる記録部に記録されるマップで算出することもできる。スイッチング素子で発生する損失は、各電流、昇圧前電圧VL、キャリア周波数f、制御目標(例えばデューティー)から算出することもできる。各電流は、本形態では電流IL1,IL2に相当する。
切替制御部53は、駆動するコンバート部21,22の相数を切り替える切替制御を行う。切替制御は、キャリア波CWの周波数であるキャリア周波数fに基づいて、コンバート部21,22の相数を切り替えてもよい。切替制御の手続き例については後述する。
上述した各機能を果たす限りにおいて、制御装置50は任意に構成してよい。例えば、CPUがプログラムを実行するソフトウェア制御を行う構成としてもよく、ICやトランジスタ等の電子部品を用いてハードウェア制御を行う構成としてもよい。本形態では制御装置50にECUを適用する。ECUは「Electronic Control Unit」の頭文字からなる略称である。
図4には、電源システム10Aに含まれる基板100と冷却装置200Aを示す。基板100には、図示する半導体モジュールM14〜M26や、図示しないダイオードD11〜D23などが配置されて接続される。半導体モジュールM14〜M26やダイオードD11〜D23は通電に伴って発熱するので、当該発熱を鎮める冷却装置200Aを配置する。冷却装置200Aは、冷却装置200の一例であって、冷却対象物の両面から冷却する両面型冷却装置に相当する。
図5に示す冷却装置200Aは、上流管201、複数(本形態では7)の連結管202〜208、下流管219などを有する。なお図5では、区別し易くするため、半導体モジュールM14〜M26とダイオードD11〜D23には斜線ハッチを付している。
連結管202〜208は上流管201と下流管219とを連結するとともに、連結管202〜208について隣り合う連結管の相互間は、冷却対象物である半導体モジュールM14〜M26やダイオードD11〜D23を収容する隙間を空ける。上流管201、複数の連結管202〜208および下流管219は、冷媒が内部を流れるように形成される。冷媒は例えば水,空気,油などが該当する。
図示しないポンプによって送り出された冷媒は、流入口INから流入して矢印DR1で示すように上流管201を流れ、連結管202〜208に分岐する。連結管202〜208に分岐された冷媒は、矢印DR2で示すように流れる。連結管202〜208をそれぞれ流れた冷媒は、合流しながら矢印DR3で示すように下流管219を流れ、流出口OUTから流出する。流出した冷媒は、一般的には循環のためにポンプに戻される。
上流管201と下流管219は、任意の材料を用いて、任意の形状で形成してよい。複数の連結管202〜208は、冷却能力を高めるため、熱伝導率の高い材料(例えば金属,樹脂,ファインセラミックスなど)で成形するとよい。接触面積が多くなるほど冷却効率が高まる点と、成形コストを低く抑える点とを考慮すれば、連結管202〜208および冷却対象物の各接触面を平面にするのが望ましい。下アームに配置されてスイッチング素子を含む半導体モジュールM14〜M26は、発熱量が多いので上流管201側に配置するとよい。
図6には、積層段数Nに対する熱抵抗Rの変化例を示す。積層段数Nは、複数の連結管で挟まれる冷却対象物の段数である。流入口INに一番近い位置を「1」とし、流入口INから離れるに伴って「2」,「3」,…のように増えるものとする。nは積層段数Nの最大となる整数値であり、例えば図5に示す構成例ではn=6である。
図示するように、1段目の熱抵抗Rが熱抵抗Rminで最小であり、積層段数Nが増えるに従って熱抵抗Rも増加してゆく。積層段数Nがn−1段目のときに熱抵抗Rが最大の熱抵抗Rmaxになる。このように変化するのは、上流管201、複数の連結管202〜208および下流管219がそれぞれ個別に有する通水抵抗に起因する。端側に配置される連結管202と連結管208は、片面しか冷却対象物と接触しないので、連結管203〜207に比べて冷却能力が高いことにも起因する。
上述した要因によって、冷却装置200Aに収容される冷却対象物のうちで、熱抵抗Rが最大となるn−1段目に配置される冷却対象物の温度が最も高い。そこで、n−1段目に対応する位置に配置する冷却対象物に温度センサを設けるとよい。本形態では、図5に示すように、n−1=6−1=5段目に収容された半導体モジュールM25に温度センサTAを設けている。
制御装置50で実現する駆動相切替処理について、図7を参照しながら説明する。図7に示すステップS10は温度推定部52に相当し、ステップS13,S16は切替制御部53に相当する。ステップS11,S12,S14,S15の判別条件は「切替条件」に相当する。電源投入を含む初期時は、コンバート部22だけを駆動させ、コンバート部21は駆動させない。図7の駆動相切替処理は繰り返し実行される。
まずステップS10では、現在の状態を把握するため、温度センサTAから検出温度Tmを取得し、電流センサA1,A2から電流IL1,IL2を取得する。さらに、検出温度Tmと電流IL1,IL2とに基づいて、温度センサTAが設けられていないコンバート部21に含まれるスイッチング素子Q14〜Q16についての推定温度Teを推定してもよい。
ステップS11では、検出温度Tmが温度閾値Tthb以上であるか否かを判別する。すなわち、Tm≧Tthbの不等式を満たすか否かを判別する。もし検出温度Tmが温度閾値Tthb以上であればYESになるのでステップS13に進み、検出温度Tmが温度閾値Tthb未満であればNOになるのでステップS12に進む。なお、推定温度Teが検出温度Tmよりも大きい場合は、検出温度Tmに代えて推定温度Teを用いて判別してもよい。
ステップS12では、電流IL1が電流閾値Ith1b以上であるか、または、電流IL2が電流閾値Ith2b以上であるか否かを判別する。すなわち、IL1≧Ith1bとIL2≧Ith2bのいずれか一方の不等式を満たすか否かを判別する。もし電流IL1が電流閾値Ith1b以上、または、電流IL2が電流閾値Ith2b以上であればYESになるのでステップS14に進む。一方、電流IL1が電流閾値Ith1b未満、かつ、電流IL2が電流閾値Ith2b未満であればNOになるのでステップS13に進む。
ステップS13では、コンバート部の駆動相数を増やす。具体的には、コンバート部22に加えてコンバート部21を駆動する。
ステップS14では、検出温度Tmが温度閾値Ttha以下であるか否かを判別する。すなわち、Tm≦Tthaの不等式を満たすか否かを判別する。ヒステリシスを持たせるため、温度閾値Tthaには温度閾値Tthbよりも小さい値が設定され、Ttha<Tthbである。もし検出温度Tmが温度閾値Ttha以下であればステップS16に進み、検出温度Tmが温度閾値Tthaを超えていればステップS15に進む。なおステップS11と同様に、推定温度Teが検出温度Tmよりも大きい場合は、検出温度Tmに代えて推定温度Teを用いて判別してもよい。
ステップS15では、電流IL1が電流閾値Ith1a以下であり、かつ、電流IL2が電流閾値Ith2a以下であるか否かを判別する。すなわち、IL1≦Ith1aとIL2≦Ith2aの双方の不等式を満たすか否かを判別する。ヒステリシスを持たせるため、電流閾値Ith1aには電流閾値Ith1bよりも小さい値が設定され、電流閾値Ith2aには電流閾値Ith2bよりも小さい値が設定される。もし電流IL1が電流閾値Ith1a以下であり、かつ、電流IL2が電流閾値Ith2a以下であればYESになるのでステップS16に進む。一方、電流IL1が電流閾値Ith1bを超えているか、または、電流IL2が電流閾値Ith2bを超えていればNOになるので駆動相切替処理を終了する。
ステップS16では、コンバート部の駆動相数を減らす。具体的には、コンバート部22を駆動し続け、コンバート部21は駆動を停止する。ステップS13,S16はコンバート部21の駆動/停止を行うに過ぎず、コンバート部22の使用頻度を高くする。ステップS16を実行した後は、駆動相切替処理を終了する。
図示を省略したが、キャリア波生成部51から伝達されるキャリア波CWに基づいて、駆動相数を変化させてもよい。例えば、キャリア周波数fが周波数閾値fthb以上になると、コンバート部の駆動相数を増やす。キャリア周波数fが周波数閾値ftha以下になると、コンバート部の駆動相数を減らす。ヒステリシスを持たせるため、周波数閾値fthaには周波数閾値fthbよりも小さい値が設定され、ftha<fthbである。
図7に示す駆動相切替処理の実行によって、コンバート部21,22の駆動相数の変化について図8,図9を参照しながら説明する。図8は検出温度Tmによる駆動相数の変化を示し、図9は電流IL1,IL2による駆動相数の変化を示す。
図8に示すように、検出温度Tmが上昇して温度閾値Tthb以上になると駆動相数が増えて「2」になり、コンバート部21,22を駆動する。これに対して、検出温度Tmが降下して温度閾値Ttha以下になると駆動相数が減って「1」になり、コンバート部22だけを駆動する。図8は検出温度Tmを用いる例を示したが、検出温度Tmに代えて推定温度Teを用いる場合も同様に駆動相数が変化する。
なお、図7のフローチャートには図示していないが、検出温度Tmが上限温度である温度閾値Tthx以上になると、昇圧コンバータ20A全体の作動を強制的に停止して駆動相数を「0」にしてもよい。こうすることで、スイッチング素子Q14〜Q26が熱暴走したり損傷したりするのを未然に防止することができる。
図示を省略したが、キャリア波生成部51から伝達されるキャリア波CWに基づく駆動相数の変化は次のように行う。キャリア周波数fが周波数閾値fthb以上になると駆動相数が増えて「2」になり、コンバート部21,22を駆動する。キャリア周波数fが周波数閾値ftha以下になると駆動相数が減って「1」になり、コンバート部22だけを駆動する。すなわち、図8に示す温度閾値Ttha,Tthbの場合と同様の制御を行う。
図9に示すように、電流IL1が大きくなって電流閾値Ith1b以上になるか、または、電流IL2が大きくなって電流閾値Ith2b以上になると駆動相数が増えて「2」になり、コンバート部21,22を駆動する。これに対して、電流IL1が小さくなって電流閾値Ith1a以下になり、かつ、電流IL2が小さくなって電流閾値Ith2a以下になると駆動相数が減って「1」になり、コンバート部22だけを駆動する。
なお、図7のフローチャートには図示していないが、電流IL1,IL2のいずれかが上限電流である電流閾値Ithx以上になると、昇圧コンバータ20A全体の作動を強制的に停止して駆動相数を「0」にしてもよい。こうすることで、過電流に伴ってスイッチング素子Q14〜Q26が損傷するのを未然に防止することができる。
上述した実施の形態1によれば、以下に示す各作用効果を得ることができる。
(1)電源システム10Aは、図1に示すように、昇圧コンバータ20Aと制御装置50を有する。昇圧コンバータ20Aは、一以上のリアクトルL1,L2と、それぞれが複数の半導体素子部を含む複数のコンバート部21,22とを備える。複数のコンバート部21,22のうちで一部のコンバート部21,22は、半導体素子部に含まれる所定のスイッチング素子Q25の温度を検出する温度センサTAを有する。制御装置50は、少なくとも複数のコンバート部21,22のそれぞれに流れる電流IL1,IL2と、温度センサTAによって検出される検出温度Tmとに基づいて、コンバート部21,22の駆動相数を切り替える切替制御部53を有する。この構成によれば、昇圧コンバータ20Aに含まれる一部のコンバート部22に温度センサTAを設ければよいので、温度センサTAの数が抑えられ、昇圧コンバータ20Aの回路規模を小さく抑制できる。制御装置50は、図7〜図9に示すように、コンバート部21,22に流れる電流IL1,IL2と温度センサTAで検出される検出温度Tmとに基づいてコンバート部21,22の駆動相数を切り替える。そのため、並列に駆動されるコンバート部21,22間の並列出力誤差を低減し、出力効率を向上させることができる。
(2)温度センサTAは、図5に示すように、複数のコンバート部21,22のうちで最も駆動頻度が高いコンバート部22に設けられている。この構成によれば、一番使用頻度の高い相であるコンバート部22をモニターすることで、最も高効率・高信頼性の制御が可能になる。
(3)制御装置50は、図3に示すように、温度推定部52を有する。温度推定部52は、検出温度Tmと、温度センサTAが設けられていないコンバート部21に流れる電流IL1とに基づいて、温度センサTAが設けられていないコンバート部21に含まれるスイッチング素子Q14〜Q16の推定温度Teを推定する。この構成によれば、コンバート部21に含まれるスイッチング素子Q14〜Q16には温度センサTAが設けられていないが、高精度で温度を推定することができる。
(4)電源システム10Aは、図4,図5に示すように、昇圧コンバータ20Aに含まれる半導体モジュールM14〜M26やダイオードD11〜D23の全部を冷却する冷却装置200Aをさらに有する。この構成によれば、複数の半導体素子部が冷却されるので、熱暴走や、発熱に伴う損傷を防止することができる。
(5)冷却装置200Aは、図5に示すように、冷媒が流入する流入口INと、冷媒が流出する流出口OUTとを備える。温度センサTAは、流入口INから最も離れた位置にあるコンバート部22のスイッチング素子Q25に設けられている。この構成によれば、最も熱抵抗の高いスイッチング素子Q25をモニターし、温度センサTAで検出される検出温度Tmをベースとすることで、最も信頼性高く制御することができる。
(6)制御装置50は、図3に示すように、それぞれのコンバート部21,22に含まれるスイッチング素子Q14〜Q26のオン/オフを行う際に参照するキャリア波CWを生成するキャリア波生成部51をさらに有する。切替制御部53は、さらにキャリア波CWの周波数であるキャリア周波数fに基づいて、コンバート部21,22の駆動相数を切り替える。この構成によれば、キャリア周波数fが高くなればスイッチング素子Q14〜Q26のオン/オフが頻繁に行われて温度が上昇し易くなるので、コンバート部21,22間の並列出力誤差を低減し、出力効率を向上させることができる。
(7)切替制御部53は、図8,図9に示すように、コンバート部21,22の駆動相数を切り替えるにあたり、増加時と減少時とで切替条件にヒステリシスを持たせている。この構成によれば、駆動相数の切り替えが頻繁に行われるチャタリングを抑制することができる。
〔実施の形態2〕
実施の形態2は図10〜図14を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするため、特に明示しない限り、実施の形態1で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。よって、主に実施の形態1と相違する点を説明する。
図10に示す電源システム10Bは、電源システム10の一例である。電源システム10Bは昇圧コンバータ20Bを含み、電力源Eから供給される直流電力を昇圧してインバータ30に出力する機能を担う。なお、コンバート部21,22は実施の形態1における図1と同一構成であるので、図示を簡略化する。また、電源システム10Bの入力側に接続する電力源EやコンデンサC1、出力側に接続するインバータ30やコンデンサC2、負荷である回転電機40については、実施の形態1と同様であるので図示を省略する。
電源システム10Bは、昇圧コンバータ20B、制御装置50、リアクトルL1〜L4、電流センサA1〜A4、温度センサTBなどを有する。電源システム10Bが電源システム10Aと相違するのは、昇圧コンバータ20Aに代えて昇圧コンバータ20Bを適用し、温度センサTAに代えて温度センサTBを適用する点である。
昇圧コンバータ20Bは、昇圧コンバータ20の一例である。本形態の昇圧コンバータ20Bは、複数のコンバート部21〜24を有する。コンバート部21,22については実施の形態1における図1と同一構成であるので、説明を省略する。複数のコンバート部21〜24は並列に接続される。
コンバート部23は、ダイオードD31,D32,D33や、半導体モジュールM34,M35,M36などを有する。ダイオードD31,D32,D33は並列接続される。半導体モジュールM34,M35,M36は並列接続される。並列接続されたダイオードD31,D32,D33と、並列接続された半導体モジュールM34,M35,M36とは、接続点P3を介して直列接続される。半導体モジュールM34は、スイッチング素子Q14とダイオードD34とを含んで並列接続される。半導体モジュールM35は、スイッチング素子Q15とダイオードD35とを含んで並列接続される。半導体モジュールM36は、スイッチング素子Q16とダイオードD36とを含んで並列接続される。半導体モジュールM34,M35,M36は、ダイオードD34,D35,D36のアノード側でそれぞれグラウンドGに接続される。
コンバート部24は、ダイオードD41,D42,D43や、半導体モジュールM44,M45,M46などを有する。ダイオードD41,D42,D43は並列接続される。半導体モジュールM44,M45,M46は並列接続される。並列接続されたダイオードD41,D42,D43と、並列接続された半導体モジュールM44,M45,M46とは、接続点P4を介して直列接続される。半導体モジュールM44は、スイッチング素子Q24とダイオードD44とを含んで並列接続される。半導体モジュールM45は、スイッチング素子Q25とダイオードD45とを含んで並列接続される。半導体モジュールM46は、スイッチング素子Q26とダイオードD46とを含んで並列接続される。半導体モジュールM44,M45,M46は、ダイオードD44,D45,D46のアノード側でそれぞれグラウンドGに接続される。
上述したダイオードD11〜D43と半導体モジュールM14〜M46は、それぞれが「半導体素子部」に相当する。コンバート部23,24においてダイオードD31〜D43は上アームに配置され、半導体モジュールM34〜M46は下アームに配置される。
温度センサTBは、半導体モジュールM45に含まれるスイッチング素子Q25の温度を検出し、検出温度Tmとして制御装置50に伝達する。
電力源Eのプラス側は、リアクトルL1,L2に加えて、接続点P3との間にリアクトルL3が接続され、接続点P4との間にリアクトルL4が接続される。リアクトルL3を流れる電流は電流センサA3が検出し、電流IL3として制御装置50に伝達する。リアクトルL4を流れる電流は電流センサA4が検出し、電流IL4として制御装置50に伝達する。
制御装置50は、昇圧コンバータ20Bを含めた電源システム10Bの作動を全体的に司る。すなわち入力される入力情報に基づいて、昇圧コンバータ20Bに備えるスイッチング素子Q14〜Q46などを個別にオン/オフの制御を行う制御信号Scを出力する。
図11に示す冷却装置200Bは、上流管201、複数(本形態では13)の連結管202〜214、下流管219などを有する。なお図11では、区別し易くするため、半導体モジュールM14〜M46とダイオードD11〜D43には斜線ハッチを付している。
連結管202〜214は上流管201と下流管219とを連結するとともに、連結管202〜214について隣り合う連結管の相互間は、冷却対象物である半導体モジュールM14〜M46やダイオードD11〜D43を収容する隙間を空ける。上流管201、複数の連結管202〜214および下流管219は、冷媒が内部を流れるように形成される。下アームに配置されてスイッチング素子を含む半導体モジュールM14〜M46は、発熱量が多いので上流管201側に配置するとよい。
冷却装置200Bは、図6に示す積層段数Nがn=12である。上述したように、n−1段目に配置される冷却対象物の温度が最も高い。そのため、図11に示すように、冷却装置200Bではn−1=12−1=11段目に収容された半導体モジュールM45に温度センサTBを設けている。
制御装置50で実現する駆動相切替処理について、図12を参照しながら説明する。図12に示すステップS20は温度推定部52に相当し、ステップS23,S26は切替制御部53に相当する。ステップS21,S22,S24,S25の判別条件は「切替条件」に相当する。電源投入を含む初期時は、コンバート部24だけを駆動させ、コンバート部21〜23は駆動させない。図12の駆動相切替処理は繰り返し実行される。
まずステップS20では、現在の状態を把握するため、温度センサTAから検出温度Tmを取得し、電流センサA1〜A4から電流IL1〜IL4を取得する。さらに、検出温度Tmと電流IL1〜IL4とに基づいて、温度センサTAが設けられていないコンバート部21〜23に含まれるスイッチング素子Q14〜Q16,Q24〜Q26,Q34〜Q36についてそれぞれの推定温度Teを推定してもよい。
ステップS21では、駆動相数との関係において検出温度Tmが温度閾値Tthb,Tthd,Tthf以上であるか否かを判別する。温度閾値Tthb,Tthd,Tthfは、Tthb<Tthd<Tthfの大小関係がある。駆動相数が「1」であれば、Tm≧Tthbの不等式を満たすか否かを判別する。駆動相数が「2」であれば、Tm≧Tthdの不等式を満たすか否かを判別する。駆動相数が「3」であれば、Tm≧Tthdの不等式を満たすか否かを判別する。
もし検出温度Tmが温度閾値Tthb,Tthd,Tthf以上であればYESになるのでステップS23に進み、検出温度Tmが温度閾値Tthb,Tthd,Tthf未満であればNOになるのでステップS22に進む。なお、推定温度Teが検出温度Tmよりも大きい場合は、検出温度Tmに代えて推定温度Teを用いて判別してもよい。
ステップS22では、駆動相数との関係において、電流IL1が電流閾値Ith1b以上であるか否か、電流IL2が電流閾値Ith2b以上であるか否か、電流IL3が電流閾値Ith3b以上であるか否か、電流IL4が電流閾値Ith4b以上であるか否かを判別する。すなわち、IL1≧Ith1b、IL2≧Ith2b、IL3≧Ith3b、IL4≧Ith4bの不等式を満たすか否かを判別する。例えば、駆動相数が「1」であれば、IL4≧Ith4bの不等式を満たすか否かを判別する。駆動相数が「2」であれば、IL3≧Ith3bの不等式を満たすか否かを判別する。駆動相数が「3」であれば、IL2≧Ith2bの不等式を満たすか否かを判別する。
もし、駆動相数との関係において上述した不等式を満たせばYESになるのでステップS24に進む。一方、駆動相数との関係において上述した不等式を満たさなければNOになるのでステップS23に進む。
ステップS23では、コンバート部の駆動相数を増やす。具体的には、コンバート部24に加えて、コンバート部21〜23のうちで一以上を順次駆動してゆく。すなわち駆動するコンバート部がコンバート部24→コンバート部23,24→コンバート部22,23,24となるように駆動相数を順次増やしてゆく。
ステップS24では、駆動相数との関係において検出温度Tmが温度閾値Ttha,Tthc,Tthe以下であるか否かを判別する。温度閾値Ttha,Tthc,Ttheは、Ttha<Tthc<Ttheの大小関係がある。駆動相数が「2」であれば、Tm≦Tthaの不等式を満たすか否かを判別する。駆動相数が「3」であれば、Tm≦Tthcの不等式を満たすか否かを判別する。駆動相数が「4」であれば、Tm≦Ttheの不等式を満たすか否かを判別する。ヒステリシスを持たせるため、温度閾値Ttha,Tthc,Ttheには温度閾値Tthb,Tthd,Tthfよりも小さい値が設定される。すなわち、Ttha<Tthb<Tthc<Tthd<Tthe<Tthfを満たすようにそれぞれ数値が設定される。
もし検出温度Tmが温度閾値Ttha,Tthc,Tthe以下のいずれかであればステップS26に進み、検出温度Tmが温度閾値Ttha,Tthc,Ttheのいずれかを超えていればステップS25に進む。なおステップS21と同様に、推定温度Teが検出温度Tmよりも大きい場合は、検出温度Tmに代えて推定温度Teを用いて判別してもよい。
ステップS25では、駆動相数との関係において、電流IL1が電流閾値Ith1a以下であり、電流IL2が電流閾値Ith2a以下であり、電流IL3が電流閾値Ith3a以下であり、電流IL4が電流閾値Ith4a以下であるか否かを判別する。すなわち駆動するコンバート部に対応して、IL1≦Ith1a、IL2≦Ith2a、IL3≦Ith3a、IL4≦Ith4aの不等式を全て満たすか否かを判別する。ヒステリシスを持たせるため、実施の形態1の電流閾値Ith1a,Ith2aと同様にして、電流閾値Ith3b,電流閾値Ith4aを設定する。すなわち、電流閾値Ith3aには電流閾値Ith3bよりも小さい値が設定され、電流閾値Ith4aには電流閾値Ith4bよりも小さい値が設定される。例えば、駆動相数が「4」であれば、IL1≦Ith1a、IL2≦Ith2a、IL3≦Ith3a、IL4≦Ith4aの不等式を全て満たすか否かを判別する。駆動相数が「3」であれば、IL2≦Ith2a、IL3≦Ith3a、IL4≦Ith4aの不等式を全て満たすか否かを判別する。駆動相数が「2」であれば、IL3≦Ith3a、IL4≦Ith4aの不等式を全て満たすか否かを判別する。
もし、駆動相数との関係において上述した不等式を満たせばYESになるのでステップS26に進む。一方、駆動相数との関係において上述した不等式を満たさなければNOになるので駆動相切替処理を終了する。
ステップS26では、コンバート部の駆動相数を減らす。具体的には、コンバート部24を駆動し続け、コンバート部21〜23のうちで一以上を順次停止してゆく。すなわち駆動するコンバート部が、コンバート部22,23,24→コンバート部23,24→コンバート部24となるように駆動相数を順次減らしてゆく。ステップS26を実行した後は、駆動相切替処理を終了する。
実施の形態1と同様にして、キャリア波生成部51から伝達されるキャリア波CWのキャリア周波数fが周波数閾値fthb以上になると、コンバート部の駆動相数を増やしてもよい。また、キャリア周波数fが周波数閾値ftha以下になると、コンバート部の駆動相数を減らしてもよい。
図12に示す駆動相切替処理の実行によって、コンバート部21〜24の駆動相数の変化について図13,図14を参照しながら説明する。図13は検出温度Tmによる駆動相数の変化を示し、図14は電流IL1〜IL4による駆動相数の変化を示す。
図13に示すように、検出温度Tmが上昇して温度閾値Tthb以上になると駆動相数が増えて「2」になり、コンバート部23,24を駆動する。同様に、温度閾値Tthd以上になると駆動相数が増えて「3」になり、コンバート部22,23,24を駆動する。さらに、温度閾値Tthf以上になると駆動相数が増えて「4」になり、コンバート部21〜24を駆動する。
なお、図12のフローチャートには図示していないが、検出温度Tmが上限温度である温度閾値Tthx以上になると、昇圧コンバータ20Bの作動を強制的に停止して駆動相数を「0」にしてもよい。こうすることで、スイッチング素子Q14〜Q46が熱暴走したり損傷したりするのを未然に防止することができる。
これに対して、検出温度Tmが降下して温度閾値Tthe以下になると駆動相数が減って「3」になり、コンバート部22,23,24を駆動する。同様に、温度閾値Tthc以下になると駆動相数が減って「2」になり、コンバート部23,24を駆動する。さらに、温度閾値Ttha以下になると駆動相数が減って「1」になり、コンバート部24だけを駆動する。図13は検出温度Tmを用いる例を示したが、検出温度Tmに代えて推定温度Teを用いる場合も同様に駆動相数が変化する。
図示を省略したが、実施の形態1と同様に、キャリア波生成部51から伝達されるキャリア波CWに基づいて駆動相数を変化させてもよい。すなわち、図13に示す温度閾値Ttha,Tthb,Tthc,Tthd,Tthe,Tthfにそれぞれ相当する周波数閾値ftha,fthb,fthc,fthd,fthe,fthfを用いて同様の制御を行う。
図14に示すように、電流IL4が大きくなって電流閾値Ith4b以上になると駆動相数が増えて「2」になり、コンバート部23,24を駆動する。同様に、電流IL3,IL4のいずれかが大きくなって電流閾値Ith3b,Ith4b以上になると駆動相数が増えて「3」になり、コンバート部22,23,24を駆動する。さらに、電流IL2,IL3,IL4のいずれかが大きくなって電流閾値Ith2b,Ith3b,Ith4b以上になると駆動相数が増えて「4」になり、コンバート部21〜24を駆動する。
なお、図12のフローチャートには図示していないが、電流IL1〜IL4のいずれかが上限電流である電流閾値Ithx以上になると、昇圧コンバータ20B全体の作動を強制的に停止して駆動相数を「0」にしてもよい。こうすることで、過電流に伴ってスイッチング素子Q14〜Q46が損傷するのを未然に防止することができる。
これに対して、電流IL1,IL2,IL3,IL4が小さくなって全て電流閾値Ith1a,Ith2a,Ith3a,Ith4a以下になると駆動相数が減って「3」になり、コンバート部22,23,24を駆動する。同様に、電流IL2,IL3,IL4が小さくなって全て電流閾値Ith2a,Ith3a,Ith4a以下になると駆動相数が減って「2」になり、コンバート部23,24を駆動する。さらに、電流IL3,IL4が小さくなって電流閾値Ith3a,Ith4a以下になると駆動相数が減って「1」になり、コンバート部24だけを駆動する。こうすることで、回転電機40の作動に応じてコンバート部の駆動相数を適切に少なくして、電源システム10B全体の電力消費を低く抑えることができる。
上述した実施の形態2によれば、コンバート部21,22に代えてコンバート部21〜24を適用するに過ぎないので、実施の形態1における(1)〜(7)と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態3〕
実施の形態3は図15〜図17を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするため、特に明示しない限り、実施の形態1,2で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。よって、主に実施の形態1,2と相違する点を説明する。
図15に示す電源システム10Cは、電源システム10の一例である。電源システム10Cは昇圧コンバータ20Cを含み、電力源Eから供給される直流電力を昇圧してインバータ30に出力する機能を担う。
電源システム10Cは、昇圧コンバータ20C、制御装置50、リアクトルL1,L2、電流センサA1,A2、温度センサTC1,TC2などを有する。電源システム10Cが電源システム10Aと相違するのは、昇圧コンバータ20Aに代えて昇圧コンバータ20Cを適用し、温度センサTAに代えて温度センサTC1,TC2を適用する点である。
昇圧コンバータ20Cは、昇圧コンバータ20の一例である。本形態の昇圧コンバータ20Cは、複数のコンバート部25,26を有する。複数のコンバート部25,26は並列に接続される。
コンバート部25は、半導体モジュールM11〜M16などを有する。半導体モジュールM11,M12,M13は並列接続され、半導体モジュールM14,M15,M16は並列接続される。並列接続された半導体モジュールM11,M12,M13と、並列接続された半導体モジュールM14,M15,M16とは、接続点P1を介して直列接続される。半導体モジュールM11,M12,M13は、ダイオードD11,D12,D13のカソード側でそれぞれインバータ30に接続される。
半導体モジュールM11は、スイッチング素子Q11とダイオードD11とを含んで並列接続される。半導体モジュールM12は、スイッチング素子Q12とダイオードD12とを含んで並列接続される。半導体モジュールM13は、スイッチング素子Q13とダイオードD13とを含んで並列接続される。半導体モジュールM14,M15,M16は実施の形態1における図1と同一構成であるので、説明を省略する。
コンバート部26は、半導体モジュールM21〜M26などを有する。半導体モジュールM21,M22,M23は並列接続され、半導体モジュールM24,M25,M26は並列接続される。並列接続された半導体モジュールM21,M22,M23と、並列接続された半導体モジュールM24,M25,M26とは、接続点P2を介して直列接続される。半導体モジュールM21,M22,M23は、ダイオードD21,D22,D23のカソード側でそれぞれインバータ30に接続される。
半導体モジュールM21は、スイッチング素子Q21とダイオードD21とを含んで並列接続される。半導体モジュールM22は、スイッチング素子Q22とダイオードD22とを含んで並列接続される。半導体モジュールM23は、スイッチング素子Q23とダイオードD23とを含んで並列接続される。半導体モジュールM24,M25,M26は実施の形態1における図1と同一構成であるので、説明を省略する。
上述した半導体モジュールM11〜M16と半導体モジュールM21〜M26は、それぞれが「半導体素子部」に相当する。コンバート部25,26において半導体モジュールM11,M12,M13,M21,M22,M23は上アームに配置され、半導体モジュールM14,M15,M16,M24,M25,M26は下アームに配置される。
温度センサTC1は、半導体モジュールM22に含まれるスイッチング素子Q22の温度を検出し、検出温度Tm1として制御装置50に伝達する。温度センサTC2は、半導体モジュールM25に含まれるスイッチング素子Q25の温度を検出し、検出温度Tm2として制御装置50に伝達する。検出温度Tm1,Tm2は、それぞれ実施の形態1における検出温度Tmに相当する。
本形態の電源システム10Cと、後述する実施の形態4の電源システム10Dは、力行と回生とが行える点で、リチウムイオン電池E3や鉛蓄電池E4のような二次電池が適する。回転電機40で発電された電力を充電しない場合には、燃料電池E1や太陽電池E2のような一次電池を用いてもよい。
図16に示す冷却装置200Aは、上述した昇圧コンバータ20Cに含まれる半導体モジュールM11〜M16や半導体モジュールM21〜M26を収容して冷却する例を示す。下アームに配置されてスイッチング素子を含む半導体モジュールM14,M15,M16,M24,M25,M26は、発熱量が多いので上流管201側に配置するとよい。なお図16では、区別し易くするため、各半導体モジュールには斜線ハッチを付している。
冷却装置200Aは、図6に示す積層段数Nがn=6である。そのため、n−1=6−1=5段目に収容された半導体モジュールM22,M25に温度センサを設けるとよい。図16では、半導体モジュールM22に温度センサTC1を設け、半導体モジュールM25に温度センサTC2を設けている。
制御装置50で実現する駆動相切替処理について、図17を参照しながら説明する。温度推定部52,切替制御部53および切替条件のそれぞれに相当するステップについては図7と同様である。電源投入を含む初期時は、コンバート部26だけを駆動させ、コンバート部25は駆動させない。図17の駆動相切替処理は繰り返し実行される。
図17の駆動相切替処理が図7の駆動相切替処理と相違するのは、ステップS30を実行してからステップS10を実行する点である。ステップS30では、回転電機40を回転させる力行と、回転電機40で発電を行う回生とに応じて、温度を取得する温度センサを特定する。最も発熱するスイッチング素子が力行と回生で異なるためである。例えば、力行時にはスイッチング素子Q25が最も発熱するので温度センサTC2を特定する。回生時にはスイッチング素子Q22が最も発熱するので温度センサTC1を特定する。
ステップS10では、ステップS30で特定された温度センサから温度を取得する。力行時には温度センサTC2が特定されるので、検出温度Tm2を取得する。回生時には温度センサTC1が特定されるので、検出温度Tm1を取得する。こうして力行/回生に応じて取得した検出温度をTmとし、ステップS11,S14での判別を行う。
上述した実施の形態3によれば、コンバート部21,22に代えてコンバート部25,26を適用するに過ぎないので、実施の形態1における(1)〜(7)と同様の作用効果を得ることができる。
〔実施の形態4〕
実施の形態4は図18〜図20を参照しながら説明する。なお図示および説明を簡単にするため、特に明示しない限り、実施の形態1〜3で用いた要素と同一の要素には同一の符号を付して説明を省略する。よって、主に実施の形態1〜3と相違する点を説明する。
図18に示す電源システム10Dは、電源システム10の一例である。電源システム10Dは昇圧コンバータ20Dを含み、電力源Eから供給される直流電力を昇圧してインバータ30に出力する機能を担う。なお、コンバート部25,26は実施の形態3における図15と同一構成であるので、図示を簡略化する。また、電源システム10Dの入力側に接続する電力源EやコンデンサC1、出力側に接続するインバータ30やコンデンサC2、負荷である回転電機40については、実施の形態1と同様であるので図示を省略する。
電源システム10Dは、昇圧コンバータ20D、制御装置50、リアクトルL1〜L4、電流センサA1〜A4、温度センサTD1,TD2などを有する。電源システム10Dが電源システム10Cと相違するのは、昇圧コンバータ20Cに代えて昇圧コンバータ20Dを適用し、温度センサTC1,TC2に代えて温度センサTD1,TD2を適用する点である。
昇圧コンバータ20Dは、昇圧コンバータ20の一例である。本形態の昇圧コンバータ20Dは、複数のコンバート部25〜28を有する。コンバート部25,26については実施の形態3における図15と同一構成であるので、説明を省略する。複数のコンバート部25〜28は並列に接続される。
コンバート部27は、半導体モジュールM31〜M36などを有する。半導体モジュールM31,M32,M33は並列接続され、半導体モジュールM34,M35,M36は並列接続される。並列接続された半導体モジュールM31,M32,M33と、並列接続された半導体モジュールM34,M35,M36とは、接続点P3を介して直列接続される。半導体モジュールM31,M32,M33は、ダイオードD31,D32,D33のカソード側でそれぞれインバータ30に接続される。
半導体モジュールM31は、スイッチング素子Q31とダイオードD31とを含んで並列接続される。半導体モジュールM32は、スイッチング素子Q32とダイオードD32とを含んで並列接続される。半導体モジュールM33は、スイッチング素子Q33とダイオードD33とを含んで並列接続される。半導体モジュールM34,M35,M36は実施の形態2における図10と同一構成であるので、説明を省略する。
コンバート部28は、半導体モジュールM41〜M46などを有する。半導体モジュールM41,M42,M43は並列接続され、半導体モジュールM44,M45,M46は並列接続される。並列接続された半導体モジュールM41,M42,M43と、並列接続された半導体モジュールM44,M45,M46とは、接続点P4を介して直列接続される。半導体モジュールM41,M42,M43は、ダイオードD41,D42,D43のカソード側でそれぞれインバータ30に接続される。
半導体モジュールM41は、スイッチング素子Q41とダイオードD41とを含んで並列接続される。半導体モジュールM42は、スイッチング素子Q42とダイオードD42とを含んで並列接続される。半導体モジュールM43は、スイッチング素子Q43とダイオードD43とを含んで並列接続される。半導体モジュールM44,M45,M46は実施の形態2における図10と同一構成であるので、説明を省略する。
上述した半導体モジュールM31〜M36と半導体モジュールM41〜M46は、それぞれが「半導体素子部」に相当する。コンバート部27,28において半導体モジュールM31,M32,M33,M41,M42,M43は上アームに配置され、半導体モジュールM34,M35,M36,M44,M45,M46は下アームに配置される。
図19に示す冷却装置200Bは、上述した昇圧コンバータ20Dに含まれる半導体モジュールM11〜M16,半導体モジュールM21〜M26,半導体モジュールM31〜M36,半導体モジュールM41〜M46を収容して冷却する例を示す。下アームに配置されてスイッチング素子を含む半導体モジュールM14,M15,M16,M24,M25,M26,M34,M35,M36,M44,M45,M46は、発熱量が多いので上流管201側に配置するとよい。なお図19では、区別し易くするため、各半導体モジュールには斜線ハッチを付している。
冷却装置200Bは、図6に示す積層段数Nがn=12である。そのため、n−1=12−1=11段目に収容された半導体モジュールM42,M45に温度センサを設けるとよい。図19では、半導体モジュールM42に温度センサTD1を設け、半導体モジュールM45に温度センサTD2を設けている。
制御装置50で実現する駆動相切替処理について、図20を参照しながら説明する。温度推定部52,切替制御部53および切替条件のそれぞれに相当するステップについては図12と同様である。電源投入を含む初期時は、コンバート部28だけを駆動させ、コンバート部25〜27は駆動させない。図20の駆動相切替処理は繰り返し実行される。
図20の駆動相切替処理が図12の駆動相切替処理と相違するのは、ステップS30を実行してからステップS20を実行する点である。ステップS30は、実施の形態3と同様に、力行/回生に応じて温度センサを特定する。
ステップS20では、ステップS30で特定された温度センサから温度を取得する。力行時には温度センサTD2が特定されるので、検出温度Tm2を取得する。回生時には温度センサTD1が特定されるので、検出温度Tm1を取得する。こうして力行/回生に応じて取得した検出温度をTmとし、ステップS21,S24での判別を行う。
上述した実施の形態4によれば、コンバート部21,22に代えてコンバート部25〜28を適用するに過ぎないので、実施の形態1における(1)〜(7)と同様の作用効果を得ることができる。
〔他の実施の形態〕
以上では本発明を実施するための形態について実施の形態1〜4に従って説明したが、本発明は当該形態に何ら限定されるものではない。言い換えれば、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施することもできる。例えば、次に示す各形態を実現してもよい。
昇圧コンバータ20は、実施の形態1ではコンバート部21,22を適用し、実施の形態2ではコンバート部21〜24を適用し、実施の形態3ではコンバート部25,26を適用し、実施の形態2ではコンバート部25〜28を適用する構成とした。この形態に代えて、3のコンバート部を適用してもよく、5以上のコンバート部を適用してもよい。昇圧コンバータ20に含まれるコンバート部の数が相違するに過ぎないので、実施の形態1〜4と同様の作用効果を得ることができる。
上述した実施の形態1では、図9に示すように、電流閾値Ith1a,Ith2aはIth1a=Ith2aとなる数値を設定し、電流閾値Ith1b,Ith2bはIth1b=Ith2bとなる数値を設定する構成とした。この形態に代えて、Ith1a≠Ith2aとし、Ith1b≠Ith2bとなる数値を設定してもよい。コンバート部21,22の構成等に応じた適切な閾値を設定することで、コンバート部21,22の切り替えを最適に行える。
上述した実施の形態2では、図14に示すように、電流IL2,IL3,IL4と電流閾値Ith2a,Ith2b,Ith3a,Ith3b,Ith4a,Ith4bとの関係に基づいてコンバート部21,22,23,24の駆動相数を切り替える構成とした。この構成に代えて、電流IL1〜IL4の合計値である電流ILsumと電流閾値Ith2a,Ith2b,Ith3a,Ith3b,Ith4a,Ith4bとの関係に基づいてコンバート部21,22,23,24の駆動相数を切り替えてもよい。個別の電流を用いるか、全体の電流を用いるかの相違に過ぎないので、実施の形態2と同様の作用効果を得ることができる。