JP2014145623A - 半導体圧力センサ - Google Patents

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Abstract

【課題】小型化および検出精度の高精度化が可能でかつ安価に製造できる半導体圧力センサを提供する。
【解決手段】半導体圧力センサとしての絶対圧センサ1は、表面および裏面を有する圧力センサチップとしての絶対圧センサチップ10と、絶対圧センサチップ10が搭載されたパッケージ本体2と、絶対圧センサチップ10の裏面側において絶対圧センサチップ10とパッケージ本体2との間に介在し、絶対圧センサチップ10をパッケージ本体2に固定するダイボンド材20とを備える。絶対圧センサチップ10は、内部に設けられた真空チャンバ15と、真空チャンバ15に接するダイヤフラム13とを含む。絶対圧センサチップ10の裏面の法線方向に沿って見た場合に、絶対圧センサチップ10の裏面に対するダイボンド材20の接触領域は、絶対圧センサチップ10の裏面のダイヤフラム13に重なる領域内に位置せず、当該領域の周囲に位置する領域内にのみ位置する。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶対真空を基準にして表わした圧力を測定可能な圧力センサチップ(以下、絶対圧センサチップとも称する)がパッケージングされてなる半導体圧力センサ(以下、絶対圧センサとも称する)に関し、より特定的には、ダイヤフラム型の絶対圧センサチップがダイボンド材を用いてパッケージ本体に固定されてなる絶対圧センサに関する。
圧力センサは、主として気体や液体の圧力を検出するものであり、気圧センサや高度センサ、水圧センサとして各種の装置に適用されている。また、近年においては、これを高度センサとして利用する場合の一態様として、位置情報を得るためのナビゲーション装置への応用やユーザの運動量を精緻に計測する計測器への応用等、その適用範囲が広がりつつある。
一般に、圧力センサは、絶対真空を基準にして表わした圧力を測定する絶対圧センサと、大気圧等のある任意の比較すべき圧力(基準圧)に対して表わした圧力を測定する相対圧センサ(差圧センサ)とに大別される。
このうちの絶対圧センサとしては、各種のものが存在するが、その一つに、MEMS(Micro Electro Mechanical System)センサチップとしてのダイヤフラム型の絶対圧センサチップを備えたものがある。このダイヤフラム型の絶対圧センサチップを備えた絶対センサは、他に比較して大幅に小型であるため、上述したナビゲーション装置への応用や活動量計への応用に適している。
この種の絶対圧センサチップを搭載した絶対圧センサの一般的な構造が開示された文献としては、たとえば特開平10−170367号公報(特許文献1)や特開2012−207931号公報(特許文献2)等がある。
上記特許文献1に開示された絶対圧センサは、真空室およびこれに接するダイヤフラムを含む半導体チップとガラス台座との積層体(すなわち、当該積層体が絶対圧センサチップに該当する)にて構成するとともに、当該絶対圧センサチップのガラス台座の実装面の全面をダイボンド材としてのシリコーン系樹脂接着剤を用いてエポキシ樹脂からなる基台に対して固定した構造を有するものである。
一方、上記特許文献2に開示された絶対圧センサは、真空に維持されたキャビティおよびこれに接するダイヤフラムが形成された絶対圧センサチップを樹脂材料からなるパッケージ本体上に載置し、当該絶対圧センサチップの周側面に沿ってダイボンディング樹脂を塗布することで絶対圧センサチップをパッケージ本体に固定した構造を有するものである。
特開平10−170367号公報 特開2012−207931号公報
一般に、絶対圧センサおよびこれに搭載される絶対圧センサチップにおいては、さらなる小型化やその検出精度の高精度化が要求されている。絶対圧センサチップをナビゲーション装置や活動量計において利用する上記の一態様の場合においても例外ではなく、これら装置が可搬型の装置であることを考慮すれば、絶対圧センサのさらなる小型化(特に薄型化)に対する要求は強く、また高度の違いに基づく気圧の変化をより高精度に検出できることが特に重要な課題となっている。
ダイヤフラム型の絶対圧センサチップの検出精度を高精度化するためには、外部環境の温度変化やパッケージ本体あるいはダイボンド材の温度変化に伴って生じるダイヤフラムへの応力を軽減することが必要であり、そのためには、上述した温度変化が生じた場合にもダイヤフラムに応力が集中しないように構成することが重要である。
この点に関し、上記特許文献1には、ガラス台座の厚みを十分に厚くしたり、あるいは、ダイボンド材としてのシリコーン系樹脂接着剤に所定の粒径のマイクロビーズを混入させることで接着剤の厚みを十分に厚くしたりすることにより、温度変化が生じた場合にもダイヤフラムに応力が集中することが軽減でき、その結果として絶対圧センサチップの検出精度が高精度化できることが記載されている。
しかしながら、前者の手法を採用した場合には、絶対圧センサチップの台座部の厚みが厚くなることで絶対圧センサが大型化してしまう問題が発生し、また、後者の手法を採用した場合には、別途マイクロビーズを用いることで製造コストが増大してしまう問題が発生する。
したがって、本発明は、上述した問題点を解決すべくなされたものであり、小型化および検出精度の高精度化が可能でかつ安価に製造できる半導体圧力センサを提供することを目的とする。
本発明に基づく半導体圧力センサは、表面および裏面を有する圧力センサチップと、上記圧力センサチップが搭載されたパッケージ本体と、上記圧力センサチップの上記裏面側において上記圧力センサチップと上記パッケージ本体との間に介在し、上記圧力センサチップを上記パッケージ本体に固定するダイボンド材とを備えている。上記圧力センサチップは、内部に設けられた真空チャンバと、上記真空チャンバに接するように上記表面に設けられたダイヤフラムと、上記ダイヤフラムに設けられた感圧部とを含んでいる。上記圧力センサチップの上記裏面は、当該裏面の法線方向に沿って見た場合に上記ダイヤフラムに重なる第1領域と、上記第1領域の周囲に位置する第2領域とを有している。上記圧力センサチップの上記裏面に対する上記ダイボンド材の接触領域は、上記第1領域内に位置しておらず、上記第2領域内にのみ位置している。
上記本発明に基づく半導体圧力センサにあっては、上記第1領域の外形線を上記第1領域の中心を基準として相似形に平面的に2倍の大きさに拡大した仮想線を描いた場合に、上記接触領域が、上記仮想線よりも内側の範囲に位置しておらず、当該内側の範囲よりも外側にのみ位置していることが好ましい。
上記本発明に基づく半導体圧力センサにあっては、上記接触領域が、上記圧力センサチップの上記裏面の法線方向に沿って見た場合に、全体として上記第1領域を取り囲むように点列状に形成されていることが好ましい。
上記本発明に基づく半導体圧力センサにあっては、上記圧力センサチップの上記裏面が、矩形状であってもよく、その場合には、上記接触領域が、上記圧力センサチップの上記裏面の四隅にのみ位置していることが好ましい。
上記本発明に基づく半導体圧力センサにあっては、上記接触領域が、上記圧力センサチップの上記裏面の法線方向に沿って見た場合に、上記第1領域を取り囲むようにループ状に形成されていてもよい。
上記本発明に基づく半導体圧力センサにあっては、上記ダイボンド材が接触する部分の上記パッケージ本体の表面粗さが、その周囲に位置する部分の上記パッケージ本体の表面粗さよりも粗いことが好ましい。
上記本発明に基づく半導体圧力センサにあっては、上記ダイボンド材が接触する部分の上記パッケージ本体に、凹部が設けられていることが好ましい。
上記本発明に基づく半導体圧力センサにあっては、上記ダイボンド材の弾性率が、上記ダイボンド材に接触する部分の上記圧力センサチップの弾性率よりも小さいことが好ましい。
本発明によれば、小型化および検出精度の高精度化が可能でかつ安価に製造できる半導体圧力センサとすることができる。
本発明の実施の形態1における絶対圧センサの断面図である。 本発明の実施の形態1における絶対圧センサの模式平面図であり、絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係、ダイヤフラムの形状およびダイボンド材の形状を示す図である。 図1に示す絶対圧センサチップの平面図である。 図1に示す絶対圧センサチップの断面図である。 第1検証シミュレーションに使用したモデルにおいて、絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係を変化させた様子を示す模式図である。 第1検証シミュレーションの結果に基づいて、絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係を変化させた場合におけるダイヤフラムに生じる応力の変化を示したグラフである。 第1ないし第6変形例における絶対圧センサの絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係、ダイヤフラムの形状およびダイボンド材の形状を示す模式図である。 第7変形例における絶対圧センサの絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係、ダイヤフラムの形状およびダイボンド材の形状を示す模式図である。 第2検証シミュレーションにおいて、比較例1に係る絶対圧センサの温度を変化させることによって絶対圧センサチップに生じる応力の分布を解析した結果を示す図である。 第2検証シミュレーションにおいて、実施例1に係る絶対圧センサの温度を変化させることによって絶対圧センサチップに生じる応力の分布を解析した結果を示す図である。 第2検証シミュレーションにおいて、実施例2に係る絶対圧センサの温度を変化させることによって絶対圧センサチップに生じる応力の分布を解析した結果を示す図である。 第2検証シミュレーションにおいて、実施例3に係る絶対圧センサの温度を変化させることによって絶対圧センサチップに生じる応力の分布を解析した結果を示す図である。 第2検証シミュレーションにおいて、実施例4に係る絶対圧センサの温度を変化させることによって絶対圧センサチップに生じる応力の分布を解析した結果を示す図である。 第2検証シミュレーションの結果に基づいて、比較例1および実施例1ないし4に係る絶対圧センサの絶対圧センサチップに生じる対角線方向に沿った応力の分布をまとめて示したグラフである。 第3検証シミュレーションの結果に基づいて、比較例2および実施例5に係る絶対圧センサの絶対圧センサチップに生じる対角線方向に沿った応力の分布をまとめて示したグラフである。 本発明の実施の形態2における絶対圧センサの断面図である。 本発明の実施の形態3における絶対圧センサの断面図である。
以下、本発明の実施の形態について、図を参照して詳細に説明する。なお、以下に示す実施の形態においては、同一のまたは共通する部分について図中同一の符号を付し、その説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
図1および図2は、本発明の実施の形態1における絶対圧センサの断面図および模式平面図である。また、図3および図4は、図1に示す絶対圧センサチップの平面図および断面図である。以下、これら図1ないし図4を参照して、本発明の実施の形態1における絶対圧センサについて説明する。
なお、図1は、図2中に示すI−I線に沿った絶対圧センサの断面を示しており、図4は、図3中に示すIV−IV線に沿った絶対圧センサチップの断面を示している。また、図2は、絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係、ダイヤフラムの形状およびダイボンド材の形状を示すための図でもあるため、当該図2においては、図1に示すリッドおよび絶対圧センサチップ等を破線にて示すこととしている。
図1および図2に示すように、本実施の形態における半導体圧力センサとしての絶対圧センサ1は、表面実装型デバイスとして構成されたものであり、圧力センサチップとしての絶対圧センサチップ10と、パッケージとしてのパッケージ本体2およびリッド7と、ダイボンド材20とを主として備えている。絶対圧センサチップ10は、ダイボンド材20によってパッケージ本体2に固定されている。これにより、絶対圧センサチップ10は、パッケージ本体2およびリッド7からなるパッケージの内部に収容されている。
図3および図4に示すように、絶対圧センサチップ10は、平面視矩形状の表面12aおよび裏面11aを有する扁平直方体形状の外形を有している。絶対圧センサチップ10は、ダイヤフラム型のMEMS圧力センサチップであり、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)として構成されたモノリシック構造を有している。
絶対圧センサチップ10の表面12aの所定位置には、感圧部18、アナログ回路部19A、デジタル回路部19Bおよびメモリ部19Cがそれぞれ設けられている。ここで、絶対圧センサチップ10の表面12aに設けられたこれら機能部は、いずれもCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)プロセスが適用されることで形成される。
絶対圧センサチップ10は、裏面側基板11および表面側基板12を貼り合わせることで構成されている。上述した絶対圧センサチップ10の表面12aは、表面側基板12の一対の主表面のうちの非貼り合わせ面にて構成されており、上述した絶対圧センサチップ10の裏面11aは、裏面側基板11の一対の主表面のうちの非貼り合わせ面にて構成されている。
絶対圧センサチップ10は、内部に設けられた円柱状の空間を有する真空チャンバ15と、当該真空チャンバ15に接するように表面12aに設けられた円板状のダイヤフラム13とを含んでいる。また、絶対圧センサチップ10の表面側基板12は、上述したダイヤフラム13に加え、当該ダイヤフラム13および真空チャンバ15を囲繞するようにこれらの周囲に設けられたフレーム14をさらに含んでいる。
感圧部18は、ダイヤフラム13の周縁に沿って設けられた複数のピエゾ抵抗素子16と、これら複数のピエゾ抵抗素子16を電気的に接続するアルミニウム配線等からなる複数の導電パターン17とによって形成されたブリッジ回路にて構成されている。一方、アナログ回路部19A、デジタル回路部19Bおよびメモリ部19Cは、上述したフレーム14に設けられている。なお、感圧部18としては、上述した如くの複数のピエゾ抵抗素子16を利用したものに限られず、静電容量式のものを利用することも可能である。
上記構成の絶対圧センサチップ10においては、ダイヤフラム13の表面に外気圧が付加されることでダイヤフラム13に歪みが生じることになり、その歪み度合いに応じて複数のピエゾ抵抗素子16の抵抗値がそれぞれ変化してブリッジ回路の中点電位が変動し、この変動する中点電位がアナログ回路部19Aおよびデジタル回路部19Bにおいて処理されることで適切な電気信号に変換され、変換後の電気信号が圧力に応じたセンサ出力として外部に出力される。なお、当該電気信号の出力に際して、生成した電気信号を一時的にメモリ部19Cにおいて記憶させることも可能である。
上記構成の絶対圧センサチップ10は、表面側基板12の貼り合わせ面に予めDeepRIE(Deep Reactive Ion Etching)が適用されることで凹部が形成され、当該凹部を覆うように真空環境下において裏面側基板11が表面側基板12に貼り合わされることで製造される。これにより、絶対圧センサチップ10の内部に上述した真空チャンバ15が形成されるとともに、当該凹部を規定する表面側基板12の底板部によってダイヤフラム13が形成される。
なお、裏面側基板11および表面側基板12としては、好適にはシリコン基板が用いられ、その場合には、これらの貼り合わせにSOI(Silicon on Insulator)技術が適用できる。なお、裏面側基板としては、シリコン基板に限られず、ガラス基板等を利用することも可能である。
図1および図2に示すように、パッケージ本体2は、主として絶縁材料にて形成された箱状の形状を有しており、絶対圧センサチップ10が収容された凹部を有している。パッケージ本体2を構成する絶縁材料としては、セラミックス材料または樹脂材料等が利用できるが、特にセラミックス材料が好適に利用できる。また、絶対圧センサチップ10との線膨張係数差を軽減するために、パッケージ本体2としてシリコン基板等を用いることも可能である。
絶対圧センサチップ10が収容された凹部の側面を構成するパッケージ本体2の内側面には、段差部が設けられており、当該段差部の所定位置に複数のパッド電極3が設けられている。また、パッケージ本体2の枠状の上面には、リッド7を接合するためのリッド接合部4が当該上面に沿って枠状に設けられている。当該リッド接合部4は、リッド7を接地するためのものである。
パッケージ本体2の下面の所定位置には、絶対圧センサ1が実装される実装基板(マザー基板)に対して半田付けを行なうための複数の半田付けランド5が設けられている。また、パッケージ本体2の内部の所定位置には、上述したパッド電極3、リッド接合部4および半田付けランド5を相互に電気的に接続する複数のコンタクト6が設けられている。
絶対圧センサチップ10は、その裏面11aがパッケージ本体2の凹部の底面に対面した状態でパッケージ本体2にダイボンド材20を介して固定されている。ダイボンド材20としては、絶縁性の樹脂接着剤が利用でき、特に好適にはシリコーン系樹脂接着剤が利用できる。なお、本実施の形態における絶対圧センサ1においては、図示するように、ダイボンド材20が絶対圧センサチップ10の裏面11aの全面に対して接着されず、絶対圧センサチップ10の裏面11aの四隅においてのみ接着された構成のものであるが、その詳細については後述することとする。
パッケージ本体2の凹部に収容された絶対圧センサチップ10は、Auワイヤ等からなるボンディングワイヤ8を介してパッケージ本体2に電気的に接続されている。より詳細には、絶対圧センサチップ10の表面12aには、図示しないボンディングパッドが設けられており、当該ボンディングパッドと上述したパッド電極3とを接続するようにボンディングワイヤ8が付設されている。
リッド7は、金属製の部材からなり、パッケージ本体2の上面に固定されている。より具体的には、リッド7の周縁がパッケージ本体2の上面に設けられた枠状のリッド接合部4に対向した状態とされ、この状態においてリッド7の下面の周縁とリッド接合部4とが接合されることにより、リッド7がパッケージ本体2に固定されている。これにより、パッケージ本体2およびリッド7からなるパッケージによって絶対圧センサチップ10が覆われることになる。
なお、絶対圧センサチップ10の周囲の空間は、パッケージ本体2およびリッド7の少なくともいずれかに設けられた図示しない連通孔またはパッケージ本体2とリッド7との間に設けられた図示しない隙間を介して外部の空間に連通している。これにより、絶対圧センサ1の内部の気圧が外気圧と等しくなることになり、ダイヤフラム13に外気圧と同等の気圧が常に付加された状態となる。
上述したように、本実施の形態における絶対圧センサ1においては、ダイボンド材20が絶対圧センサチップ10の裏面11aの全面に対して接着されず、絶対圧センサチップ10の裏面11aの四隅においてのみ接着されている。
より詳細には、図2に示すように、絶対圧センサチップ10の裏面11aを、当該裏面11aの法線方向に沿って見た場合にダイヤフラム13に重なることとなる第1領域A1と、当該第1領域A1の周囲に位置する第2領域A2とに区画した場合に、当該裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域(すなわち、ダイボンド材20が上記裏面11aに接着している領域)は、第1領域A1内に位置しておらず、第2領域A2内にのみ位置している。すなわち、上記裏面11aの法線方向に沿って見た場合には、当該裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が、全体として第1領域A1を取り囲むように点列状(個別に見ればスポット状)に形成されている。
また、絶対圧センサチップ10が固定されたパッケージ本体2の凹部の底面を、当該底面の法線方向に沿って見た場合にダイヤフラム13に重なることとなる第3領域と、当該第3領域の周囲に位置する第4領域とに区画した場合に、当該底面に対するダイボンド材20の接触領域(すなわち、ダイボンド材20が上記底面に接着している領域)は、第3領域内に位置しておらず、第4領域内にのみ位置している。すなわち、上記底面の法線方向に沿って見た場合には、当該底面に対するダイボンド材20の接触領域が、全体として第3領域を取り囲むように点列状(個別に見ればスポット状)に形成されている。
このように構成することにより、外部環境の温度変化があった場合やパッケージ本体2の温度変化に伴ってダイボンド材20に温度変化があった場合にも、ダイヤフラム13に応力が集中しないようになり、これら温度変化に伴って生じるダイヤフラム13への応力を大幅に軽減させることができる。以下、その理由についての考察を示す。
絶対圧センサチップの性能に影響を与える特性の一つとして、センサ出力ヒステリシスがある。センサ出力ヒステリシスは、絶対圧センサチップに付加された圧力が零である場合と定格圧力である場合のそれぞれにおける出力電流(または電圧)値間に理想直線を引き、これと実測電流(または電圧)値との間の差を誤差値として求め、圧力上昇時の誤差値と圧力下降時の誤差値との差の絶対値をフルスケールに対してパーセント表示したものである。このセンサ出力ヒステリシスは、小さければ小さい程よく、センサ出力ヒステリシスが小さい場合には、検出精度の高精度化が図られていると言える。
当該センサ出力ヒステリシスの大小は、ダイボンド材のいわゆる熱ヒステリシス(ダイボンド材の温度が上昇し、その後これが下降する場合において、直ちに元の状態にダイボンド材が戻らず、時間をかけて元の状態に戻っていく現象)の大小や、絶対圧センサチップとダイボンド材との間の線膨張係数差の大小によって主として決まるものと考えられ、これらの影響を可能な限り軽減することにより、センサ出力ヒステリシスが小さくなるものと考えられる。
この点、本実施の形態における絶対圧センサ1においては、ダイボンド材20による接触領域の大きさが絶対圧センサチップ10とパッケージ本体2とが対向する部分の面積よりも大幅に小さく抑えられており、また接触領域とダイヤフラム13との間の距離も十分に遠ざけられた状態にあるため、ダイボンド材20の熱ヒステリシスがダイヤフラム13に与える影響が大幅に軽減されているものと推測される。
さらには、上述したように、たとえば裏面側基板11としてシリコン基板を使用し、ダイボンド材20としてシリコーン系樹脂接着剤を使用すれば、ダイボンド材20の弾性率が、ダイボンド材20に接触する部分の絶対圧センサチップ10の弾性率よりも大幅に小さいことになり、ダイボンド材20が絶対圧センサチップ10に比して大きく弾性変形することになるため、結果として絶対圧センサチップ10とダイボンド材20との間の線膨張係数差の影響が大幅に軽減されているものと推測される。
したがって、上述した本実施の形態における絶対圧センサ1とすることにより、裏面側基板11の厚みを厚くしたり、あるいは、ダイボンド材20にマイクロビーズを混入させてダイボンド材20の厚みを厚くしたりしなくとも、ダイボンド材20の接触領域を上記のように設定することで検出精度の高精度化が図れることになり、小型でかつ安価に製造できる絶対圧センサとすることができる。
なお、本発明者は、上述した本実施の形態における絶対圧センサ1を実際に製作し、上述したダイボンド材20の厚みを10μm以上100μm以下の範囲に設定しつつ当該ダイボンド材20の接触領域を最適化することにより、高低差50cmの検出精度を達成するために必要となる相対圧力精度±6Paでの絶対圧検出が少なくとも実現できることを実験的に確認している。
(第1検証シミュレーション)
以下、検出精度の高精度化を図るに当たり、上述したダイボンド材20の接触領域をどのように設定すべきか検証した第1検証シミュレーションについて説明する。図5は、第1検証シミュレーションに使用したモデルにおいて、絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係を変化させた様子を示す模式図である。
第1検証シミュレーションにおいては、図5に示すように、上述した実施の形態1における絶対圧センサ1において、絶対圧センサチップ10の裏面11aの四隅に位置する平面視矩形状のダイボンド材20の大きさを徐々に小さくすることで絶対圧センサチップ10の中心位置からダイボンド材20までの距離が徐々に大きくなるように(図中に示す距離D1、D2、D3、・・・が、D1<D2<D3・・・となるように(換言すれば、ダイヤフラム13からダイボンド材20までの距離が徐々に遠ざかるように))複数のモデルを設定し、これら複数のモデルのそれぞれについて−10°〜+25°の範囲で熱履歴を加えた場合の構造解析シミュレーションを行なうことにより、温度変化に伴って絶対圧センサチップ10に生じる応力の発生具合にどのような変化が生じるかを確認した。
なお、共通して、これら複数のモデルにおいては、裏面側基板11および表面側基板12としてシリコン基板(ヤング率:1.3×105[N/μm2]、ポアソン比:0.28)を使用したと設定し、絶対圧センサチップ10の中心に所定の大きさおよび厚さの平面視円形状のダイヤフラム13を形成したと設定し、絶対圧センサチップ10の縦幅および横幅をいずれもダイヤフラム13の直径の約9.4倍の大きさに設定し、絶対圧センサチップ10の厚みをダイヤフラム13の厚みの100倍の大きさに設定し、ダイボンド材20として厚みがダイヤフラム13の厚みの10倍の大きさのシリコーン系樹脂接着剤(ヤング率:8.9[N/μm2]、ポアソン比:0.45)を使用したと設定した。
図6は、当該第1検証シミュレーションの結果に基づいて、絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係を変化させた場合におけるダイヤフラムに生じる応力の変化を示したグラフである。当該図6においては、横軸が、絶対圧センサチップ10の中心位置からダイボンド材20までの距離を、絶対圧センサチップ10の中心位置からダイヤフラム13の端部までの距離を基準とした場合の距離比にて表わしたものであり、縦軸が、ダイヤフラム13に生じる主応力を、絶対圧センサチップ10の裏面の全面にダイボンド材20を塗布した場合にダイヤフラム13に生じる主応力の最大値を基準とした場合の主応力比として表わしたものである。
図6に示すように、絶対圧センサチップ10の中心位置からダイボンド材20までの距離が大きくなるにつれ(すなわち、ダイヤフラム13からダイボンド材20が遠ざかるにつれ)、ダイヤフラム13に生じる主応力が減少する傾向にあることが理解される。また、上記距離比を1.05倍以上に設定することにより、上述した基準となる主応力比に対してダイヤフラム13に発生する主応力を約24%以下に低減できることになり、上記距離比を1.19倍以上に設定することにより、上述した基準となる主応力比に対してダイヤフラム13に発生する主応力を約20%以下に低減できることになり、上記距離比を2.00倍以上に設定することにより、上述した基準となる主応力比に対してダイヤフラム13に発生する主応力を約9%以下に低減できることになり、上記距離比を3.10倍以上に設定することにより、上述した基準となる主応力比に対してダイヤフラム13に発生する主応力を約2%以下に低減できることになることが理解される。
したがって、以上の結果から、ダイヤフラム13に生じる応力を相当程度軽減させるためには、ダイヤフラム13を相似形に平面的に2倍の大きさに拡大した範囲の内側部分に対応した位置の絶対圧センサチップ10の裏面11aにダイボンド材20の接触領域が位置していないことが好ましいと言える。このことは、図2を参照して、上述した第1領域A1の外形線を当該第1領域A1の中心を基準として相似形に平面的に2倍の大きさに拡大した仮想線Bを描いた場合に、ダイボンド材20の接触領域が、当該仮想線Bよりも内側の範囲に位置せず、当該内側の範囲よりも外側にのみ位置することが好ましいと言い換えることができる。
(第1ないし第7変形例)
図7および図8は、第1ないし第7変形例における絶対圧センサの絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係、ダイヤフラムの形状およびダイボンド材の形状を示す模式図である。
図7および図8に示すように、第1ないし第7変形例における絶対圧センサ1A〜1Gは、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が、第1領域A1内に位置せず、第2領域A2内にのみ位置するように構成されるとともに、当該接触領域が、全体として第1領域A1を取り囲むように形成されている点において、上述した実施の形態1における絶対圧センサ1といずれも共通している。
図7(A)に示すように、第1変形例における絶対圧センサ1Aは、絶対圧センサチップ10が平面視円形状のダイヤフラム13を有しており、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が当該裏面11aの四隅に位置し、かつ、これら接触領域の形状が平面視円形状とされたものである。
図7(B)に示すように、第2変形例における絶対圧センサ1Bは、絶対圧センサチップ10が平面視円形状のダイヤフラム13を有しており、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が当該裏面11aの四隅の角部よりも所定の距離だけ対角線方向内側に入り込んだ部分に位置し、かつ、これら接触領域の形状が平面視略矩形状とされたものである。
図7(C)に示すように、第3変形例における絶対圧センサ1Cは、絶対圧センサチップ10が平面視円形状のダイヤフラム13を有しており、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が当該裏面11aの四辺の中央部分に位置し、かつ、これら接触領域の形状が平面視略矩形状とされたものである。
図7(D)に示すように、第4変形例における絶対圧センサ1Dは、絶対圧センサチップ10が平面視円形状のダイヤフラム13を有しており、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が当該裏面11aの四隅と当該裏面11aの四辺の中央部分とに位置し、かつ、これら接触領域の形状が平面視略矩形状とされたものである。
図7(E)に示すように、第5変形例における絶対圧センサ1Eは、絶対圧センサチップ10が平面視円形状のダイヤフラム13を有しており、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が当該裏面11aの四辺に沿ってループ状(枠状)に位置しているものである。
図7(F)に示すように、第6変形例における絶対圧センサ1Fは、絶対圧センサチップ10が平面視円形状のダイヤフラム13を有しており、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が当該裏面11aの四辺に沿ってループ状(枠状)に位置し、かつ、この接触領域が第1領域A1の外形線を当該第1領域A1の中心を基準として相似形に平面的に2倍の大きさに拡大した仮想線Bの外側の範囲の全域に位置しているものである。
図8に示すように、第7変形例における絶対圧センサ1Gは、絶対圧センサチップ10が平面視矩形状のダイヤフラム13を有しており、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域が当該裏面11aの四隅に位置し、かつ、これら接触領域の形状が平面視略矩形状とされたものである。
このように、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域のレイアウトや形状は、当該接触領域が第1領域A1内に位置せず、第2領域A2内にのみ位置するように構成される限りにおいて、種々その変更が可能であり、当該条件を充足すれば、上述した実施の形態1において説明した効果と同様の効果が得られることになる。
(第2検証シミュレーション)
以下、検出精度の高精度化を図るに当たり、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域のレイアウトや形状を変更することでどのような違いが生じるかを検証した第2検証シミュレーションについて説明する。第2検証シミュレーションにおいては、絶対圧センサチップの裏面の全面にダイボンド材を塗布した絶対圧センサを比較例1としてモデル化するとともに、上述した実施の形態1、第3ないし第5変形例における絶対圧センサ1,1C,1D,1Eをそれぞれ第1ないし第4実施例としてモデル化した。
図9ないし図13は、第2検証シミュレーションにおいて、比較例1および実施例1ないし4に係る絶対圧センサの温度を変化させることによって絶対圧センサチップに生じる応力の分布を解析した結果をそれぞれ示す図である。なお、図9ないし図13の(A)は、比較例1および実施例1ないし4に係る絶対圧センサにおける絶対圧センサチップとダイボンド材との位置関係を模式的に示した図であり、図9ないし図13の(B)は、それぞれ(A)において示すIXB−IXB線、XB−XB線、XIB−XIB線、XIIB−XIIB線、XIIIB−XIIIB線に沿った絶対圧センサチップおよびダイボンド材の断面を示した図であり、図9ないし図13の(C)は、それぞれ(A)において示す領域IXC、領域XC、領域XIC、領域XIIC、領域XIIICにおける解析結果を示した図である。
第2検証シミュレーションにおいては、それぞれのモデルの条件を上述した第1検証シミュレーションと基本的に同様の条件に設定した。したがって、第1検証シミュレーションと条件が異なる部分は、絶対圧センサチップ10の裏面11aに対するダイボンド材20の接触領域のレイアウトおよび形状のみである。
図9に示すように、比較例1に係る絶対圧センサ1Xにおいては、熱履歴が加えられることにより、絶対圧センサチップ10の全体にわたって比較的大きな応力が発生しており、当該応力は、ダイヤフラム13において最大となっていることが理解される。したがって、比較例に1に係る絶対圧センサ1Xとした場合には、センサ出力ヒステリシスが大きくなり、検出精度の高精度化が十分には達成できないことが理解される。
一方、図10に示すように、実施例1に係る絶対圧センサ1においては、比較例1に係る絶対圧センサ1Xに比較して絶対圧センサチップ10の全体にわたって応力が緩和されており、ダイボンド材20が位置する部分の近傍において応力が最大となっており、特にダイヤフラム13に発生する応力が劇的に低減されていることが理解される。したがって、実施例1に係る絶対圧センサ1とすることにより、センサ出力ヒステリシスが小さくなり、検出精度の高精度化が実現できることが理解される。
また、図11に示すように、実施例2に係る絶対圧センサ1Cにおいても、比較例1に係る絶対圧センサ1Xに比較して絶対圧センサチップ10の全体にわたって応力が緩和されており、ダイボンド材20が位置する部分の近傍において応力が最大となっており、特にダイヤフラム13に発生する応力が大幅に低減されていることが理解される。したがって、実施例2に係る絶対圧センサ1Cとすることにより、センサ出力ヒステリシスが小さくなり、検出精度の高精度化が実現できることが理解される。
さらに、図12に示すように、実施例3に係る絶対圧センサ1Dにおいても、比較例1に係る絶対圧センサ1Xに比較して絶対圧センサチップ10の全体にわたって応力が緩和されており、ダイボンド材20が位置する部分の近傍において応力が最大となっており、特にダイヤフラム13に発生する応力が低減されていることが理解される。したがって、実施例3に係る絶対圧センサ1Dとすることにより、センサ出力ヒステリシスが小さくなり、検出精度の高精度化が実現できることが理解される。
加えて、図13に示すように、実施例4に係る絶対圧センサ1Eにおいても、比較例1に係る絶対圧センサ1Xに比較して絶対圧センサチップ10の全体にわたって応力が緩和されており、ダイボンド材20が位置する部分の近傍において応力が最大となっており、特にダイヤフラム13に発生する応力が低減されていることが理解される。したがって、実施例4に係る絶対圧センサ1Eとすることにより、センサ出力ヒステリシスが小さくなり、検出精度の高精度化が実現できることが理解される。
図14は、第2検証シミュレーションの結果に基づいて、比較例1および実施例1ないし3に係る絶対圧センサの絶対圧センサチップに生じる対角線方向に沿った応力の分布をまとめて示したグラフである。ここで、対角線方向とは、図9ないし図13の(A)において示すIXB−IXB線、XB−XB線、XIB−XIB線、XIIB−XIIB線、XIIIB−XIIIB線の延在方向である。なお、当該図14においては、横軸が、絶対圧センサチップ10の中心位置からの距離を、絶対圧センサチップ10の中心位置からダイヤフラム13の端部までの距離を基準とした場合の距離比にて表わしたものであり、縦軸が、絶対圧センサチップ10のダイヤフラム13に生じる主応力を表わしている。なお、縦軸は、常用対数を用いて表記している。
図14に示すように、比較例1に係る絶対圧センサ1Xにおいては、ダイヤフラム13に概ね5.2×10-2[MPa]程度の応力が生じているのに対し、実施例1に係る絶対圧センサ1においては、ダイヤフラム13に生じる応力が2.7×10-6〜3.1×10-6[MPa]程度にまで劇的に低減されており、実施例2に係る絶対圧センサ1Cにおいては、ダイヤフラム13に生じる応力が2.8×10-5〜3.3×10-5[MPa]程度にまで大幅に低減されており、実施例3に係る絶対圧センサ1Dにおいては、ダイヤフラム13に生じる応力が1.0×10-2〜1.1×10-2[MPa]程度にまで低減されており、実施例4に係る絶対圧センサ1Eにおいては、ダイヤフラム13に生じる応力が2.5×10-5[MPa]程度にまで大幅に低減されていることが理解される。
また、図14に示すように、実施例1ないし4に係る絶対圧センサ1,1C,1D,1Eにおいては、比較例1に係る絶対圧センサ1Xに比較して、フレーム14に生じる応力についてもこれが概ね大幅に低減されていることが理解される。
したがって、上述したように、実施例1ないし4に係る絶対圧センサ1,1C,1D,1Eとすることにより、比較例1に係る絶対圧センサ1Xとした場合に比べ、検出精度の高精度化が実現できることが理解される。
(第3検証シミュレーション)
以下、第2検証シミュレーションに関連し、ダイヤフラムの形状を矩形状とした場合の解析結果についても第3検証シミュレーションとして示す。第3検証シミュレーションにおいては、絶対圧センサチップの中心に所定の大きさおよび厚さの一辺の長さが等しい平面視矩形状(すなわち平面視正方形形状)のダイヤフラムを形成したと設定し、かつ、当該絶対圧センサチップの裏面の全面にダイボンド材を塗布した絶対圧センサを比較例2としてモデル化するとともに、同様の絶対圧センサチップを用い、絶対圧センサチップの裏面に対するダイボンド材の接触領域を図8に示した第7変形例における絶対圧センサ1Gの如くのレイアウトおよび形状に設定したものを実施例5としてモデル化した。なお、これらモデルにおけるダイヤフラムは、上述した第1検証シミュレーションにおけるダイヤフラムの半径を対角線の長さの半分とするものである。
第3検証シミュレーションにおいても、それぞれのモデルの条件を上述した第1検証シミュレーションと基本的に同様の条件に設定した。したがって、第1検証シミュレーションと条件が異なる部分は、上述したダイヤフラムの形状および大きさと、絶対圧センサチップの裏面に対するダイボンド材の接触領域のレイアウトおよび形状とのみである。
図15は、第3検証シミュレーションの結果に基づいて、比較例2および実施例5に係る絶対圧センサの絶対圧センサチップに生じる対角線方向に沿った応力の分布をまとめて示したグラフである。なお、当該図15においては、横軸が、絶対圧センサチップの中心位置からの距離を、絶対圧センサチップの中心位置からダイヤフラムの端部までの距離を基準とした場合の距離比にて表わしたものであり、縦軸が、絶対圧センサチップのダイヤフラムに生じる主応力を表わしている。なお、縦軸は、常用対数を用いて表記している。
図15に示すように、比較例2に係る絶対圧センサにおいては、ダイヤフラムに概ね8.1×10-2〜9.7×10-2[MPa]程度の応力が生じているのに対し、実施例5に係る絶対圧センサにおいては、ダイヤフラムに生じる応力が1.7×10-3〜1.8×10-3[MPa]程度にまで低減されていることが理解される。
また、図15に示すように、実施例5に係る絶対圧センサにおいては、比較例2に係る絶対圧センサに比較して、フレームに生じる応力についてもこれが大幅に低減されていることが理解される。
したがって、実施例5に係る絶対圧センサとすることにより、比較例2に係る絶対圧センサとした場合に比べ、検出精度の高精度化が実現できることが理解される。
(実施の形態2)
図16は、本発明の実施の形態2における絶対圧センサの断面図である。次に、この図16を参照して、本発明の実施の形態2における絶対圧センサについて説明する。
図16に示すように、本実施の形態における絶対圧センサ1Hは、上述した実施の形態1における絶対圧センサ1と比較した場合に、パッケージ本体2の底面に凹部2aが設けられている点において相違している。当該凹部2aは、ダイボンド材20が接触する部分のパッケージ本体2の表面に設けられており、ダイボンド材20によって充填されている。
このように構成することにより、絶対圧センサ1Hの製造に際してパッケージ本体2にダイボンド材20をディスペンスにより塗布する場合において、塗布の際の位置決めがように行なえるばかりでなく、塗布したダイボンド材20が塗布すべき領域から食み出してしまうことが防止でき、作業性の向上と歩留まりの向上とが実現できることになる。したがって、生産性よく絶対圧センサを製造することができる。
加えて、上記のように構成することにより、絶対圧センサの厚みを増大させることなく、またダイボンド材20にマイクロビーズを混入させることなく、ダイボンド材20の厚みを十分に厚くすることが可能になり、温度変化に伴って生じるダイヤフラム13への応力を軽減させることもできる。したがって、小型でかつ検出精度が高精度化した絶対圧センサとすることができる。
(実施の形態3)
図17は、本発明の実施の形態3における絶対圧センサの断面図である。次に、この図17を参照して、本発明の実施の形態3における絶対圧センサについて説明する。
図17に示すように、本実施の形態における絶対圧センサ1Iは、上述した実施の形態1における絶対圧センサ1と比較した場合に、パッケージ本体2の底面がセラミックス材料または樹脂材料からなる素地が露出した部分と、当該素地が露出しておらず、導電パターン2bによって覆われた部分とを有している点において相違している。
素地が露出した部分は、ダイボンド材20が接触する部分のパッケージ本体2の表面に設けられており、ダイボンド材20によって覆われている。一方、導電パターン2bによって覆われた部分は、ダイボンド材20が接触しない部分のパッケージ本体2の表面に設けられており、ダイボンド材20によって覆われていない。
このように、パッケージ本体2の底面に素地が露出した部分と導電パターン2bによって覆われた部分とを設けた場合には、これら部分毎に当該底面における表面粗さが異なることになり、素地が露出した部分において表面粗さが導電パターン2bによって覆われた部分よりも粗くなる。そのため、ダイボンド材20を塗布した場合におけるダイボンド材20の濡れ広がりに差が生じることになる。
その結果、ダイボンド材20を塗布すべき領域(すなわち、素地が露出した部分)にダイボンド材20を供給した場合に、当該領域においてダイボンド材20が留まり易くなって導電パターン2b上への濡れ広がりが防止でき、塗布したダイボンド材20が塗布すべき領域から食み出してしまうことが防止できる。したがって、作業性の向上と歩留まりの向上とが実現できることになり、生産性よく絶対圧センサを製造することができる。
加えて、上記のように構成することにより、導電パターン2b上への濡れ広がりが防止できるため、ダイボンド材20にマイクロビーズを混入させずともダイボンド材20の厚みを十分に厚くすることが可能になり、温度変化に伴って生じるダイヤフラム13への応力を軽減させることもできる。したがって、小型でかつ検出精度が高精度化した絶対圧センサとすることができる。
上述した本発明の実施の形態1ないし3およびその変形例において示した各種の材料や寸法、形状等はあくまでも例示に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。
また、上述した本発明の実施の形態1ないし3およびその変形例において示した特徴的な構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において当然にその組み合わせが可能である。
このように、今回開示した上記実施の形態およびその変形例はすべての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって画定され、また特許請求の範囲の記載と均等の意味および範囲内でのすべての変更を含むものである。
1,1A〜1I 絶対圧センサ、2 パッケージ本体、2a 凹部、2b 導電パターン、3 パッド電極、4 リッド接合部、5 半田付けランド、6 コンタクト、7 リッド、8 ボンディングワイヤ、9 半田、10 絶対圧センサチップ、11 裏面側基板、11a 裏面、12 表面側基板、12a 表面、13 ダイヤフラム、14 フレーム、15 真空チャンバ、16 ピエゾ抵抗素子、17 導電パターン、18 感圧部、19A アナログ回路部、19B デジタル回路部、19C メモリ部、20 ダイボンド材。

Claims (8)

  1. 表面および裏面を有するチップ状の圧力センサチップと、
    前記圧力センサチップが搭載されたパッケージ本体と、
    前記圧力センサチップの前記裏面側において前記圧力センサチップと前記パッケージ本体との間に介在し、前記圧力センサチップを前記パッケージ本体に固定するダイボンド材とを備え、
    前記圧力センサチップは、内部に設けられた真空チャンバと、前記真空チャンバに接するように前記表面に設けられたダイヤフラムと、前記ダイヤフラムに設けられた感圧部とを含み、
    前記圧力センサチップの前記裏面は、当該裏面の法線方向に沿って見た場合に前記ダイヤフラムに重なる第1領域と、前記第1領域の周囲に位置する第2領域とを有し、
    前記圧力センサチップの前記裏面に対する前記ダイボンド材の接触領域が、前記第1領域内に位置しておらず、前記第2領域内にのみ位置している、半導体圧力センサ。
  2. 前記第1領域の外形線を前記第1領域の中心を基準として相似形に平面的に2倍の大きさに拡大した仮想線を描いた場合に、前記接触領域が、前記仮想線よりも内側の範囲に位置しておらず、当該内側の範囲よりも外側にのみ位置している、請求項1に記載の半導体圧力センサ。
  3. 前記接触領域が、前記圧力センサチップの前記裏面の法線方向に沿って見た場合に、全体として前記第1領域を取り囲むように点列状に形成されている、請求項1または2に記載の半導体圧力センサ。
  4. 前記圧力センサチップの前記裏面が、矩形状であり、
    前記接触領域が、前記圧力センサチップの前記裏面の四隅にのみ位置している、請求項3に記載の半導体圧力センサ。
  5. 前記接触領域が、前記圧力センサチップの前記裏面の法線方向に沿って見た場合に、前記第1領域を取り囲むようにループ状に形成されている、請求項1または2に記載の半導体圧力センサ。
  6. 前記ダイボンド材が接触する部分の前記パッケージ本体の表面粗さが、その周囲に位置する部分の前記パッケージ本体の表面粗さよりも粗い、請求項1から5のいずれかに記載の半導体圧力センサ。
  7. 前記ダイボンド材が接触する部分の前記パッケージ本体に、凹部が設けられている、請求項1から6のいずれかに記載の半導体圧力センサ。
  8. 前記ダイボンド材の弾性率が、前記ダイボンド材に接触する部分の前記圧力センサチップの弾性率よりも小さい、請求項1から7のいずれかに記載の半導体圧力センサ。
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