JP2009229450A - 加速度センサ装置および加速度センサ装置の製造方法 - Google Patents

加速度センサ装置および加速度センサ装置の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低背小型化しても実装後の検出感度を高く維持することができる加速度センサ装置を提供する。
【解決手段】錘部11と、錘部11を囲繞する枠部13と、一方端が錘部11に連結され且つ他方端が枠部13に連結された可撓性を有する梁部12と、梁部12に設けられる抵抗素子15と、を有するセンサ素子20と、センサ素子20が搭載される基板1と、基板1の主面1Aで、且つ枠部13の直下領域に設けられる複数個の凸部7と、枠部13の下面と凸部7の上面との間に介在され、センサ素子20と基板1とを接続する接着剤8と、を備えた構成とする。
【選択図】図2

Description

本発明は、加速度を検出する加速度センサ装置および加速度センサ装置の製造方法に関するものである。
携帯型音楽プレイヤーやノート型パソコンなどのハードディスクドライブ搭載機器の落下保護、自動車のナビゲーションシステムにおける加速度検知などに、加速度センサが使用されている。
図10に従来の加速度センサの断面図を示す。同図に示す加速度センサ装置は、シリコン基板を加工して作製された加速度センサチップ100と、加速度センサチップ100を実装するケース200とを備えた構成を有している。
加速度センサチップ100は、錘部101と、錘部101を囲繞する枠状の支持部102と、錘部101と支持部102とに連結される可撓部103と、可撓部103に形成されるピエゾ抵抗素子(図示せず)とを有している。
このような加速度センサチップ100を有する加速度センサに加速度に比例した外力が加わると錘部101が動き、それに伴って可撓部103が変形し、ピエゾ抵抗素子も変形する。このピエゾ抵抗素子の変形による抵抗値の変化に基づいて加速度が検出されることとなる。
ところで加速度センサチップ100は、支持部102の下面とケース200の実装面との間に介在された接着剤300によってケース200に固定されている。通常、ケース200、接着剤300、および加速度センサチップ100とは、それぞれ線膨張係数が大きく異なっているため、接着剤300を支持部102の下面全体にわたって塗布し、接着剤を硬化した場合、両者の線膨張係数の差に起因した残留応力が発生しやすくなり、この残留応力の影響によって可撓部103が変形するなどして、加速度の検出感度の低下、オフセット電圧の増加、温度ドリフトの悪化といった問題が起こる。そこで接着剤300は、支持部102の下面全体にではなく、複数箇所、例えば支持部102の下面四隅に対応する四箇所に分けて接着面積が小さくなるように塗布されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−212246号公報
しかしながら、図10に示すような従来の加速度センサ装置は、複数箇所に分けて塗布した接着剤300が支持部102の下面に沿って広がるなどして、各接着剤300の接着面積にばらつきが生じやすかった。さらに、加速度センサチップ100の低背小型化が進むと、接着面積をさらに小さくする必要があるが、複数箇所に塗布する接着量を従来のディスペンサーを使って均一に制御するのには限界があった。例えば、支持部102の下面四隅に対応する四箇所に分けて接着剤300を塗布した場合、一つの隅における接着面積は小さく、別の隅における接着面積は大きくなる場合があった。このように接着剤300の接着面積がばらつくと、加速度センサチップに不均一な残留応力が発生するなどして可撓部103が変形し、結局、加速度の検出感度の低下、オフセット電圧の増加、温度ドリフトの悪化などが起こり電気的特性の劣化を招くこととなる。特に加速度センサが低背小型化するほど、これらの問題が顕著になってきている。
本発明は、以上のような諸事情を鑑みて案出されたものであり、電気的特性に優れた加速度センサ装置および加速度センサ装置の製造方法を提供することを目的とする。
本発明の加速度センサ装置は、錘部と、前記錘部を囲繞する枠部と、一方端が前記錘部に連結され且つ他方端が前記枠部に連結された可撓性を有する梁部と、前記梁部に設けられる抵抗素子と、を有するセンサ素子と、前記センサ素子が載置される基板と、前記基板の前記センサ素子が載置される側の主面で、且つ前記枠部の直下領域に設けられる複数個の凸部と、前記枠部の下面と前記凸部の上面との間に介在され、前記センサ素子と前記基板とを接続する接着剤と、を有することを特徴とする。
また本発明の加速度センサ装置は、前記枠部は平面視における外形が矩形状をなし、前記凸部は前記枠部の中心点に対し略点対称に配されていることを特徴とする。
また本発明の加速度センサ装置は、前記錘部は平面形状が矩形状をなすとともに、前記梁部が前記錘部の上面四辺の中央部に連結されており、平面視したときに、前記凸部が前記梁部から等距離に配されていることを特徴とする。
また本発明の加速度センサ装置は、前記凸部が前記枠部の四隅に対応する位置に4個形成されていることを特徴とする。
また本発明の加速度センサ装置は、前記複数個の凸部の上面の合計面積が、前記枠部下面の面積の5%〜30%であることを特徴とする。
また本発明の加速度センサ装置は、前記枠部の下面が、第1下面と該第1下面より上方に位置する第2下面とを有し、前記接着剤が前記第2下面と前記凸部上面との間に介在されていることを特徴とする。
また本発明の加速度センサ装置は、前記センサ素子の出力信号を信号処理するICチップをさらに含む。
また本発明の加速度センサ装置は、錘部と、前記錘部を囲繞する枠部と、一方端が前記錘部に連結され且つ他方端が前記枠部に連結された可撓性を有する梁部と、前記梁部に設けられる抵抗素子と、を有するセンサ素子、および前記センサ素子が実装される実装面を有し、前記枠部の直下領域に対応する位置に複数個の凸部を有する基板を準備する工程Aと、前記基板の前記凸部に粘性部材を塗布する工程Bと、前記センサ素子を前記粘性部材を介して前記凸部上に載置し、前記粘性部材を硬化することにより前記センサ素子と前記基板とを接続する工程Cと、を含むものである。
本発明によれば、基板の実装面に複数個の凸部を設け、枠体の下面と凸部の上面との間に接着剤を介在させるようにしたことから、接着剤の接着面積は凸部の上面によって規制されるため、接着剤が枠部の下面に沿って広がるのを抑えることができる。これにより接着剤の接着面積のばらつきを小さくすることができ、センサ素子に不均一な残留応力が発生するのを抑制して電気的特性に優れた加速度センサ装置となすことができる。
以下に図面を参照して、本発明にかかる加速度センサ装置及び加速度センサ装置の製造方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の実施の形態で用いられる図は模式的なものであり、図面上の寸法比率は現実のものとは必ずしも一致していない。また、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更、改良等が可能である。
<加速度センサ装置>
図1は本発明の実施の形態に係る加速度センサ装置の斜視図であり、図2は図1のA−A’線における断面図である。
本実施の形態に係る加速度センサ装置は、図1、図2に示すように、センサ素子20とセンサ素子20が載置される基板1とで主に構成されている。
まず本実施形態にかかるセンサ素子20について説明する。図3はセンサ素子20の斜視図である。図3に示すようにセンサ素子20は、錘部11と、錘部11を囲繞する枠部13と、錘部11と枠部13とに連結される梁部12と、枠部13に形成される素子側電極パッド14と、梁部12に形成される抵抗素子15と、を有している。
錘部11と、枠部13と、梁部12とは、例えば、SOI(Silicon on Insulator)基板を加工することにより一体的に形成されている。
本実施形態における錘部11は、枠部13の開口部の中央部に配される主錘部11aと、主錘部11aの四隅に配された4個の付属錘部11bとから構成されている。主錘部11aは、平面形状が略正方形をなし、その一辺の長さは例えば0.25mm〜0.5mmに設定される。また主錘部11aの厚みは例えば0.2mm〜0.625mmに設定される。付属錘部11bは、主錘部11aと同様に平面形状が、略正方形をなし、その一辺の長さは例えば0.1mm〜0.4mmに設定される。また付属錘部11bの厚みは、主錘部11aと同じ厚みを有するように例えば0.2mm〜0.625mmに設定される。なお、主錘部11aおよび付属錘部11bの平面形状は正方形に限られず、円や長方形など任意の形状が可能である。なお、主錘部11aと付属錘部11bは、例えばSOI基板を加工することにより一体的に形成されている。
センサ素子20に加速度が加わると、加速度に応じた力がこの錘部11に作用し、錘部11が動くことで梁部12が撓むようになっている。錘部11は、主錘部11aのみで構成することも可能であるが、付属錘部11bを設けることによってより大きな力が錘部11に作用するため、加速度に対する梁部12の撓みが大きくなり、加速度の検出感度を向上させることができる。
このような錘部11を囲繞するようにして枠部13が形成されている。枠部13は、平面形状が略正方形をなし、中央部に錘部11より若干大きい略正方形の開口部を有している。枠部13は、その一辺が例えば1.4mm〜3.0mmに設定され、枠部13を構成するアームの幅(アームの長手方向と直交する方向の幅)は例えば0.3mm〜1.8mmに設定される。また枠部13の厚みは、例えば0.2mm〜0.625mmに設定される。
梁部12は、主錘部11aの各辺の上面側中央部と、枠部12の内周における各辺の上面側中央部とを連結するようにして形成されている。本実施形態におけるセンサ素子20では、4本の梁部12が設けられている。
梁部12は、可撓性を有するように形成されており、センサ素子20に加速度が加わると錘部11が動き、錘部11の動きに伴って梁部12が撓むようになっている。梁部12は、例えば長手方向の長さが0.3mm〜0.8mmに設定され、幅(長手方向と直交する方向の長さ)が0.04mm〜0.2mmに設定され、厚みが5μm〜20μmに設定されている。このように梁部12を細長く且つ薄く形成することによって可撓性が発現される。
このような梁部12の上面には複数の抵抗素子15が形成されている。抵抗素子15は、より具体的には、SOI基板にボロンを打ち込むことにより形成されたピエゾ抵抗素子である。本実施形態では、3軸方向(図3に示した3次元直交座標系におけるX軸方向、Y軸方向、Z軸方向)の加速度を検出できるように梁部12の所定の位置にこれらの抵抗素子15が形成されている。例えば、X軸方向に伸びる2つの梁部12には、X軸方向の加速度を検出するための4個の抵抗素子15が設けられており、それぞれの梁部12に2個ずつ配置されている。これら4個の抵抗素子15のうち、枠部13側に配された抵抗素子同士を直列に接続し、主錘部11a側に配された抵抗素子同士を直列に接続し、これらを並列に接続することでブリッジ回路を構成している。またY軸方向に伸びる2つの梁部12には、Y軸方向の加速度を検出するための4個の抵抗素子15が設けられており、これらの抵抗素子15を、X軸方向の加速度検出用の抵抗素子15と同様に配置し、抵抗素子同士の接続を行うことによってブリッジ回路を構成している。また、図3には図示していないがZ軸方向の加速度を検出するための4個の抵抗素子15が、X軸方向に伸びる2つの梁部12に、X軸方向の加速度を検出するための4個の抵抗素子15それぞれと並ぶようにして形成されている。このZ軸方向の加速度検出用の抵抗素子15は、X軸方向の加速度検出用の抵抗素子15とは、抵抗素子同士の接続の仕方が異なっており、本実施形態では、X軸方向に伸びる2本の梁部のうち一方の梁部12に設けられた枠部13側の抵抗素子15と、他方の梁部12に設けられた主錘部11a側の抵抗素子15とを直列接続してブリッジ回路を構成している。このようなブリッジ回路が組まれたセンサ素子20に加速度が加わると、上述したように梁部12が撓み、この撓みに伴って抵抗素子15が変形するため、ブリッジ回路で検出する出力電圧が変化する。この抵抗値の変化に基づく出力電圧の変化を電気信号として取り出し、これを外部のICで演算処理することによって印加された加速度の方向並びに大きさを検知することができる。なおZ軸方向の加速度検出用の抵抗素子15は、X軸方向に伸びる梁部12に設けたのと同様にして、Y軸方向に伸びる2つの梁部12に設けるようにしてもよい。
枠部13の上面には、抵抗素子15と電気的に接続される素子側電極パッド14が設けられており、この素子側電極パッド14を介して抵抗素子同士の接続や抵抗素子15からの電気信号の外部への取り出しなどを行っている。
かかるセンサ素子20は、図2に示すように基板1に実装されている。基板1は外形が略直方体をなし、内部にはセンサ素子20を収容するキャビティ5が形成されている。本実施形態における基板1は、セラミック材料などからなる4枚の絶縁層1a〜1dを積層することにより形成されている。
絶縁層1aは平板状の部材からなり、センサ素子20が搭載される側の主面(搭載面1A)には、複数個の凸部7が設けられている。センサ素子20はこれら凸部7の上面に接着剤8を介して載置されており、接着剤8によって基板1に固定されている。このように本発明における加速度センサ装置は、基板1の搭載面1Aに凸部7を設けた上、枠部13の下面と凸部7の上面との間に接着剤8を介在させるようにしたことから、接着剤8の接着面積は凸部7の上面によって規制され、接着剤8が枠部13の下面に沿って広がりにくい構造となっている。これにより接着剤8の接着面積のばらつきを小さくすることができ、センサ素子20に不均一な残留応力や大きな残留応力が発生するのを抑制して電気的特性に優れた加速度センサ装置となすことができる。また凸部7の上面の面積を変えることで接着剤8の接着面積を精度よく且つ簡単に制御することができるという利点がある。さらに凸部7を枠部下面より重り部11側にはみ出すようにし、かつ重り部11の下に凸部7が位置しないように、すなわち、X、Y方向の加速度や衝撃を受けた際に重り部11の側面が凸部7に当たるようにしておけば、凸部7をストッパーとして機能させることもできる。
従来の加速度センサ装置では、センサ素子20がフラットな搭載面1Aに実装されるため、枠部13と錘部11とが同じ厚みに設定されていると、錘部11の下面と搭載面1Aとの間に殆ど隙間がない状態となりX,Y,Z軸方向の加速度検出ができない。したがって従来の加速度センサ装置では、錘部11の下面と搭載面1Aとの間に所定の大きさのギャップが形成されるように錘部11の下面が枠部13の下面よりも上方に位置するように錘部11を加工するか、あるいは、接着剤8に所定の径を有する硬質プラスチック球を混ぜ、硬質プラスチック球をスペーサとして用いることで錘部11の下面と搭載面1Aとの間にギャップが形成されるようにしている。しかしながら錘部11の下面が枠部13の下面よりも上方に位置するように錘部11を加工する場合、その加工工程を別途必要とするためセンサ素子20の生産性低下を招く。これに対し、本実施形態にかかる加速度センサ装置は、凸部7により錘部11の下面と搭載面1Aとの間に所定のギャップが形成されるため、ギャップ形成のための加工を錘部11に別途施す必要はなく生産効率がよい。
また硬質プラスチック球を混ぜる場合、従来の加速度センサ装置では、錘部11の下面と搭載面1Aとの間に所定の大きさのギャップを形成し且つ接着剤の広がりを抑えるためには、径が比較的大きい硬質プラスチック球を使用しなければならない。この場合、接着剤を塗布するためのディスペンサのニードルが目詰まりを起こしやすく加速度センサ装置の生産性低下を招く。これに対し、本実施形態にかかる加速度センサ装置によれば、凸部7により錘部11の下面と搭載面1Aとの間に所定のギャップが形成されるため、硬質プラスチック球を入れない接着剤や径の比較的小さな硬質プラスチック球を混ぜた接着剤8を使用することができ、ディスペンサのニードルの目詰まりが起こりにくくなり生産性を高く維持することができる。
図4は基板1の斜視図であり、同図に示すように本実施形態における基板1では、凸部7はセンサ素子20の枠部13の下面四隅に対応する位置に4個形成されている。これによりセンサ素子20を基板1に安定した状態で実装することができる。
このような凸部7は、例えば、絶縁層1bを利用して簡単に形成することができる。図5は、絶縁層1bと絶縁層1cとの位置関係を示すための平面図であり、図5(a)は絶縁層1bの平面図、図5(b)は絶縁層1bに絶縁層1cを重ねた状態における平面図である。図5(a)に示すように絶縁層1bには十字形状の貫通穴が形成されている。このような十字形状の貫通穴が形成された絶縁層1bに、貫通穴の十字の角部を露出させる大きさの貫通穴が形成された枠状の絶縁層1cを重ねることで、図5(b)に示すように、絶縁層1bのうち絶縁層1cの貫通穴から露出する部分が凸部7となる。このように貫通穴を有する絶縁層同士を重ね合わせて凸部7を形成するようにすれば、絶縁層1bの貫通穴の形状や絶縁層1cの貫通穴の大きさなどを変えることによって、凸部7の形状、大きさ、個数などを任意のものに簡単に設定することができる。
図6は凸部7にセンサ素子20を実装した状態における凸部7とセンサ素子20との位置関係を示す平面図である。同図に示すように、梁部12が主錘部11aの上面四辺の中央部に連結されている場合、凸部7はセンサ素子20の枠部13の四隅に対応する位置に形成されていることが好ましい。これによりセンサ素子20の基板1への固定部と梁部12との間の距離が大きくなるため、接着剤8による固定に起因して発生し得る残留応力が梁部12に与える影響を小さくすることができ、加速度センサ装置の電気的な特性が劣化するのを抑えることができる。
また凸部7の上面の合計面積は、センサ素子20の枠部下面の面積の5%〜30%に設定しておくことが好ましい。凸部7の上面の合計面積を、枠部下面の面積の5%〜30%に設定することによって、接着強度を十分に確保しつつ接着剤8の固定により発生し得る残留応力の影響を小さくして加速度センサ装置の電気的特性の劣化を抑制することができる。
なお凸部7の厚みは、例えば2μm〜100μmに設定される。この厚みは絶縁層1bの厚みを変えることで簡単に変更することができる。
センサ素子20を基板1に固定するための接着剤8は、例えば、シリコーン樹脂やエポキシ樹脂などを使用することができる。なかでも接着時の残留応力を緩和する観点からシリコーン樹脂を用いることが好ましい。接着剤8として樹脂材料を用いる場合、適宜、直径2〜30μm程度の硬質プラスチック球を混ぜてもよい。
基板1のキャビティ5には図4に示すように段差部11が設けられており、この段差部11には複数の基板側電極パッド4が形成されている。基板側電極パッド4は図2に示すように金属細線6によってセンサ素子20の枠部上面に設けた素子側電極パッド15と電気的に接続されている。また基板1の下面四隅には、外部端子2が設けられており、外部端子2は基板内部に設けたビアホール導体3を介して基板側電極パッド4と接続されている。すなわち、センサ素子20の電気信号は、素子側電極パッド15、金属細線6、基板側電極パッド4、ビアホール導体3、外部端子2などを介して外部へ取り出されることとなる。
基板1のキャビティ5の開口部を塞ぐようにして蓋10が基板1の上面に固着されており、これによりセンサ素子20がキャビティ5内に気密封止されている。蓋10は、例えば42アロイやステンレスなどの金属板からなり、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂9により基板1に接合されている。
以上、本発明の加速度センサ装置によれば、基板1の搭載面1Aに複数個の凸部7を設け、枠部13の下面と凸部7の上面との間に接着剤8を介在させるようにしたことから、接着剤8の接着面積は凸部7の上面によって規制されるため、接着剤8が枠部13の下面に沿って広がるのを抑えることができる。これにより接着剤8の接着面積のばらつきを小さくすることができ、センサ素子20に残留応力が発生するのを抑制して電気的特性に優れた加速度センサ装置となすことができる。
(第1変形例)
図7、図8は上述した実施形態にかかる加速度センサ装置の第1変形例を示す図であり、図7は加速度センサ装置の断面図、図8はセンサ素子20の裏面側からの斜視図である。なお、図7の断面図は図1におけるA−A’線における断面に相当するものである。この変形例にかかる加速度センサ装置では、センサ素子20の枠部13の下面が、第1下面21と、第1下面21より上方に位置する第2下面22とからなり、第2下面22が接着剤8を介して凸部7の上面と接着している。第2下面22を形成するには、例えば、枠部13の下面側で凸部7に対応する位置に切り欠き部を設ければよい。この場合、切り欠き部の底面が第2下面22となる。切り欠き部の深さ、すなわち第1下面21と第2下面22との距離tは、第1下面21が搭載面1Aに接触しないように凸部7の厚み寸法より小さくなるように設定されている。このような第2下面22を設けて第2下面22と凸部7とを接着するようにすれば、図2に示した加速度センサ装置と比較して、実質的に第1下面21と第2下面22との距離tだけセンサ素子20を低背化した状態で基板1に実装することができる。したがって加速度センサ装置を低背化することができる。またセンサ素子20の実装時の位置決めがしやすくなる。さらに接着剤8が切り欠き部内に留まりやすくなり接着剤8が不必要に広がるのを抑えることができるという利点もある。なお第2下面22を形成するための切り欠き部は、任意の形状が可能であり、図8に示した四角柱以外にも、例えば、三角柱、円柱などの形状にしてもよい。
(第2変形例)
図9は上述した実施形態にかかる加速度センサ装置の第2変形例を示す断面図である。なお、図9の断面図は図1におけるA−A’線における断面に相当するものである。第2変形例にかかる加速度センサ装置は、センサ素子20の出力信号を演算処理するICチップ30をさらに含むものである。この第2変形例にかかる加速度センサ装置では、基板1の下面側に設けたキャビティにICチップ30が収容されており、基板1に設けたビアホール導体3や配線導体などを介してセンサ素子20及び外部端子2と電気的に接続されている。ICチップ30は、例えば、センサ素子20の出力信号を増幅する増幅回路、センサ素子20の温度特性を補正する温度補償回路、ノイズを除去するノイズ除去回路などが集積化されたものである。このようなICチップ30を備えることによって加速度を高精度に検知することができる。
(第3変形例)
図11は上述した実施形態にかかる加速度センサ装置の第3変形例を示す断面図である。なお、図11の断面図は図1におけるA−A’線における断面に相当するものである。第3変形例にかかる加速度センサ装置は、基板1の内部における凸部7の直下領域に配線導体16が設けられている。基板1の内部に配線導体16が配置されていると配線導体1の直上領域における基板1の搭載面1Aが配線基板1の厚みに応じて突出する。すなわち第3変形例にかかる加速度センサ装置では、この搭載面1Aの配線導体1による突出部分を利用して凸部7を形成するものである。凸部7の厚みは配線導体16の厚みによって調整可能である。凸部7を形成するための配線導体16の厚みは、例えば、10〜80μmに設定される。絶縁層1bがセラミック材料からなりその厚みが10〜150μm程度である場合、凸部7の厚みは配線導体16の厚みよりも若干薄くなり、5μm〜60μm程度になる。配線導体1は、Ag、Cu,Auなどの金属材料を主成分とする導電性ペーストを印刷などにより絶縁層1a上に所定形状にパターニングし、これを焼成することで形成することができる。すなわち、通常の信号配線として機能する配線導体とともに形成することができ、大きな生産性低下を招くことなく加速度センサ装置を製造することができる。なお第3変形例において凸部7は枠部13の四隅に対応する位置に4個設けられている。凸部7を形成するための配線導体1同士は互いに接続されていてもよい。
<加速度センサ装置の製造方法>
次に本実施の形態に係る加速度センサ装置の製造工程を説明する。
(工程A)
まず錘部11と、錘部11を囲繞する枠部13と、一方端が錘部11に連結され且つ他方端が枠部13に連結された可撓性を有する梁部12と、梁部12に設けられる抵抗素子15と、を有するセンサ素子20、およびセンサ素子20の搭載面1Aを有し、枠部11の直下領域に対応する位置に複数個の凸部7を有する基板1を準備する。
センサ素子20は例えば、SOI基板を用いて作製されるものであり、まずSOI基板表面のシリコン層にイオン注入法によりボロンを注入することでピエゾ抵抗からなる抵抗素子15を形成する。次に、スパッタリングやエッチングなど従来周知の半導体微細加工技術を施すことによって錘部11、枠部13、梁部12を形成することにより図3に示すようなセンサ素子20を作製する。
一方、基板1はアルミナなどの セラミック材料からなる複数の絶縁層を積層する
ことにより形成される。具体的には、平板状の絶縁層1a、十字形状の貫通孔が形成された絶縁層1b、矩形状の貫通孔が形成された絶縁層1c、絶縁層1cの貫通孔より大きな矩形状の貫通穴が形成された絶縁層1dを順次積層することより基板1が作製される。絶縁層1cの貫通孔から露出する絶縁層1bが凸部7となり、絶縁層1dの貫通孔から露出する絶縁層1cが段差部11となる。またこれらの絶縁層1a〜1dを積層することによって、絶縁層1aの搭載面1Aと絶縁層1b〜1dの貫通孔の内周面で囲まれた領域がキャビティ5となる。
凸部7の形成方法としては絶縁層を加工する方法以外にも、基板1の内部に形成される配線導体16を利用して形成することも可能である。この場合、図11に示すように配線導体16が配置された絶縁層1a上に絶縁層1bを積層する。そうすると配線導体16の厚みによって基板1の搭載面1Aにおける配線導体16の直上領域が突出し、この突出部分を利用して凸部7を形成することができる。なお配線導体16を絶縁層1aではなくプリント樹脂基板やガラス基板などに配置し、その配線導体16を絶縁層で覆うような態様においても凸部16の形成は可能である。
(工程B)
次に基板1の凸部7に粘性部材を塗布する。粘性部材は例えば、硬化前のシリコーン樹脂やエポキシ樹脂であり、ディスペンサーなどを用いて凸部7の上面に塗布される。このとき余分な粘性部材は基板1の搭載面1Aに流れ落ちる。これにより粘性部材の塗布量を制御することができるため、塗布する粘性部材の量を微調整する必要がない。
(工程C)
次にセンサ素子20を前記粘性部材を介して凸部7上に載置し、前記粘性部材を硬化することによりセンサ素子20を基板1に固着する。次に金、銅、アルミニウムなどからなる金属細線6によりセンサ素子20に設けた素子側電極パッド15と基板1に設けた基板側電極パッド4とを接続する。最後に42アロイなどからなる金属製の蓋10をエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂9により基板1の上面(絶縁層1dの上面)に接合することより製品としての加速度センサ装置が完成する。
本発明の実施の形態に係る加速度センサ装置の斜視図である。 図1に示す加速度センサ装置のA−A’線断面図である。 図1に示す加速度センサ装置に搭載されているセンサ素子の斜視図である。 図1に示す加速度センサ装置に使用される基板の斜視図である。 図1に示す加速度センサ装置に使用される絶縁層の平面図である。 図1に示す加速度センサ装置に使用される絶縁層とセンサ素子との位置関係を示す平面図である。 本発明の実施の形態に係る加速度センサ装置の第1変形例を示す断面図である。 図7に示す加速度センサ装置の搭載されているセンサ素子の裏面側の斜視図である。 本発明の実施の形態に係る加速度センサ装置の第2変形例を示す断面図である。 従来の加速度センサ装置を概略的に示す断面図である。 本発明の実施の形態に係る加速度センサ装置の第3変形例を示す断面図である。
符号の説明
1・・・基板
2・・・外部端子
3・・・ビアホール導体
4・・・基板側電極パッド
5・・・キャビティ
6・・・金属細線
7・・・凸部
8・・・接着剤
11・・・錘部
12・・・可撓部
13・・・枠部
14・・・素子側電極パッド
15・・・抵抗素子
20・・・センサ素子

Claims (10)

  1. 錘部と、前記錘部を囲繞する枠部と、一方端が前記錘部に連結され且つ他方端が前記枠部に連結された可撓性を有する梁部と、前記梁部に設けられる抵抗素子と、を有するセンサ素子と、
    前記センサ素子が載置される基板と、
    前記基板の前記センサ素子が載置される側の主面で、且つ前記枠部の直下領域に設けられる複数個の凸部と、
    前記枠部の下面と前記凸部の上面との間に介在され、前記センサ素子と前記基板とを接続する接着剤と、を有する加速度センサ装置。
  2. 前記枠部は平面視における外形が矩形状をなし、前記凸部は前記枠部の中心点に対し略点対称に配されている請求項1に記載の加速度センサ装置。
  3. 前記錘部は平面形状が矩形状をなすとともに、前記梁部が前記錘部の上面四辺の中央部に連結されており、平面視したときに、前記凸部が前記梁部から等距離に配されている請求項1に記載の加速度センサ装置。
  4. 前記凸部は前記枠部の四隅に対応する位置に4個形成されている請求項3に記載の加速度センサ装置。
  5. 前記複数個の凸部上面の合計面積が、前記枠部下面の面積の5%〜30%である請求項1に記載の加速度センサ装置。
  6. 前記枠部の下面は、第1下面と該第1下面より上方に位置する第2下面とを有し、前記接着剤は前記第2下面と前記凸部上面との間に介在されている請求項1に記載の加速度センサ装置。
  7. 前記センサ素子の出力信号を信号処理するICチップをさらに含む請求項1に記載の加速度センサ装置。
  8. 前記基板内部の前記凸部の直下領域には、配線導体が設けられている請求項1に記載の加速度センサ装置。
  9. 錘部と、前記錘部を囲繞する枠部と、一方端が前記錘部に連結され且つ他方端が前記枠部に連結された可撓性を有する梁部と、前記梁部に設けられる抵抗素子と、を有するセンサ素、および前記センサ素子が実装される実装面を有し、前記枠部の直下領域に対応する位置に複数個の凸部を有する基板を準備する工程Aと、
    前記基板の前記凸部に粘性部材を塗布する工程Bと、
    前記センサ素子を前記粘性部材を介して前記凸部上に載置し、前記粘性部材を硬化することにより前記センサ素子と前記基板とを接続する工程Cと、を含む加速度センサ装置の製造方法。
  10. 前記基板は、配線導体上に絶縁層を積層し、前記配線導体の厚みによって前記基板の実装面における前記配線基板の直上領域を突出させることにより前記凸部を形成する工程を含んで作製される請求項9に記載の加速度センサ装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP3671155A4 (en) * 2017-09-20 2020-08-19 Asahi Kasei Kabushiki Kaisha SURFACE TENSION SENSOR, STRUCTURAL HOLLOW ELEMENT AND METHOD OF MANUFACTURING THEREOF
WO2022181191A1 (ja) * 2021-02-26 2022-09-01 ローム株式会社 Memsセンサおよびmemsセンサの製造方法

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